各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

50、在日外国人―「外国人技能実習生」、入管法、地方参政権、移民・難民問題

2017年10月


外国人労働者の生活と権利の向上を

 厚生労働省が公表している「『外国人雇用状況』の届出状況」によると、2016年10月末現在、日本国内で外国人労働者を雇用している事業所数は17万2798カ所(前年同期比1万5208カ所増)、外国人労働者数は108万3769人(同17万5873人増)で、2007年に届出が義務化されて以来、過去最高を更新しました。

 外国人労働者のうち、派遣・請負で働いている人が、全体の21・9%を占めています。また、「技能実習生」(後述)は19・5%を占めています。

 安倍政権はこの間、「2020年東京オリンピックまでに建設労働者が足りない。『即戦力』として外国人技能実習生の活用を」「『女性の活躍推進』のため、介護や家事サービスに外国人労働者を」など、安易な人手不足解消策として外国人労働者の受け入れ拡大を打ち出しています。しかし、現に日本で働いている外国人労働者の中でも、言葉のハンディなどにつけこまれ、最低賃金を割り込む低賃金で働かされたり、パスポートや預金通帳をとりあげて自由を奪われたりと、さまざまな人権侵害に苦しんでいる人たちがいます。

 日本共産党は、外国人労働者が、憲法と労働基準法をはじめとした労働法に認められた労働者としての権利が保障され、人間らしい営みができるよう労働条件を改善することを求めます。

 

≪外国人技能実習制度―安易な受け入れ拡大に反対し、制度の廃止を含めた根本からの見直しを求めます≫

 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(外国人技能実習法)が2016年11月に成立、2017年11月1日施行が予定されています。

 外国人技能実習制度は、「技能移転」による「国際貢献」を名目としながら、その実態は、低賃金、単純労働力の受け入れであるという構造的矛盾を抱えたまま、深刻な人権侵害を生み出し続けてきました。それにもかかわらず安倍政権は、実習期間の3年から5年への延長、受け入れ人数枠と対象職種の拡大などをおしすすめています。これは人道上も許されるものではありません。

 この制度は、当初から、「研修」とは名ばかりの安価な労働力の供給手段とされ、強制労働、低賃金、残業手当不払い、ピンはね、強制貯金、パスポート取り上げ、高額の保証金や違約金、強制帰国、セクハラと性的暴行など、数々の人権侵害が続発し、重大問題となってきました。こうした外国人実習生の実態に対し、日本弁護士連合会は、「人権侵害は構造的問題に起因する」として、その早急な廃止を求めています。また、国連自由権規約委員会は、性的虐待、労働に関する死亡、強制労働を指摘し、米国務省は、労働搾取や人身売買への懸念を表明しています。国連人権機関、国際社会から、さまざまな懸念が指摘されているのです。

 2010年の入管法改正により、それまでの「研修」を「技能実習」にかえて、労働関係法令を適用するとともに、監理団体を設けました。しかし、技能実習生をめぐる悪質な人権侵害の状況は、引き続き深刻です。

 実習生の失踪件数は、2010年の1282人から、2016年には5803人と4倍以上に増え、過去最高となっています。「『日本で働けば月給20万~30万円。1日8時間、週5日勤務。寮あり』ときいて、仲介会社に約150万円を支払い来日したが、実際には毎日早朝6時から深夜2時まで働き、休みもなく、『寮』は農機具の保管場所で、家賃として月2万円が給料から天引きされ、手元には6万円程度しか残らない。7カ月がんばったが疲れてしまい、逃げ出した」(ベトナム人技能実習生)などの事例が報告されています。

 外国人技能実習法によっても、技能実習生は例外的な場合を除いて職場移転の自由がなく、人権侵害の根源である支配従属関係を解消することはできません。悪質なブローカーや法外な保証金を排除するための2国間取り決めが行われる制度的担保がありません。

外国人技能実習機構(新機構)は、実習認定業務他、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する業務を行います。しかし、新機構の体制・権限では、技能実習の適正な実施および技能実習生を保護するには不十分です。

介護分野での過酷な労働条件と低賃金を放置しつづけけたまま、在留資格「介護」を新設し、技能実習の職種に「介護」を追加することは、深刻な人権侵害、介護サービスの質の低下や稚拙な日本語でのコミュニケーションによる新たなトラブルなどの可能性が懸念されます。

外国人技能実習法は、制度の適正化といいながら、外国人技能実習制度の構造的矛盾を固定化し、逆に制度拡大により、さらに矛盾を拡大するものです。

 ――低賃金と劣悪な労働条件を広げる、外国人研修制度の固定化・拡大に反対します。

 ――深刻な人権侵害を生み出しつづけ、低賃金・単純労働の受け入れという構造的矛盾を抱える現行制度は、廃止を含めて根本から見直しすることを求めます。

 

永住外国人に地方参政権の付与を

 日本には90万人の永住外国人が生活しています。日本共産党は、永住外国人の地方参政権を認め、ただちに付与する措置が取られるよう求めます。

 1995年2月の最高裁判所判決は、永住外国人に地方参政権を保障することは「憲法上禁止されているものではない」との判断を示しました。地方自治体の運営は、本来、すべての住民の参加によってすすめられるのが、憲法のさだめる地方自治の根本精神です。永住外国人を地方自治の担い手としてむかえ、日本国民と等しく参加する政治を実現することは現状に即しており、わが国の民主主義の成熟と発展につながります。

 日本共産党は1998年に「永住外国人に地方参政権を保障するための提案」を発表しましたが、この中で、都道府県および市区町村の首長、議会議員について選挙権を付与すること、日本の法律に基づく被選挙権年齢に達した永住外国人に被選挙権を付与すること、さらに、地方自治体における条例制定などの直接請求権、首長・議員リコールなどの住民投票権も同様に付与することを明記し、その実現のために努力してきました。残念ながら一部の人々の反対で実現には至っていませんが、日本共産党は、永住外国人に地方参政権を保障することに、国会がただちにとりくむことを強く求めます。

 

移民・難民問題について

難民問題に、日本政府は先進国として積極的な役割を果たすよう求めます

 シリア内戦による難民は400万人を超え、トルコ、レバノンなどの周辺国には難民が逃れ、欧州諸国にも大勢が押し寄せました。世界各地の紛争などによって、難民の数は世界中で5千万人を大きく超えるといわれます。国連では、「爆発的に増える難民の問題に立ち向かわなければならない」(総会議長=デンマーク元外相)と、国際社会が一致して取り組む緊急の課題として取りあげられました。

 多くの難民が欧州諸国におしよせ、ドイツ一国だけで80万人をこす難民申請(2015年)となりました。ドイツでは申請者の87%以上、イギリスでは91%以上を難民として認定したとされます。また、難民キャンプなどから受け入れる「第三国定住」にも各国政府が名乗りをあげており、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど30か国近くが、10万人以上の受け入れを表明しています。

 日本政府の難民認定は、2013年には申請者3260人に対しわずか6人、2014年には5000人の申請に対し11人、2015年には7586人の申請に対し27人、2016年には10901人の申請に対し28人にとどまり、欧米各国とはけた違いの状況が続いています。シリア難民については、2011年~16年で申請が69人にたいし認定は7人にとどまっています。イギリスのガーディアン紙(2015年9月30日付)が「人権団体は…日本は高所得の国なのに、第二次世界大戦以降で最悪の難民問題に手をさしのべることに失敗していると強調している」、「日本は昨年、1億8160万ドルを国連の難民対策部門に支出し、アメリカに次いで2番目に多いが、シリアや他の難民受け入れは、その経済規模に見合っていない」と報じるなど、「日本は難民対策に不熱心」と世界から批判を受けました。

 安倍首相は2015年9月30日におこなった国連総会演説で、シリア・イラク難民の問題にたいして経済支援を実施する方針を明らかにしましたが、難民受け入れにはふれませんでした。演説後の記者会見で外国人記者から「難民の一部を日本に受け入れることは考えていないか?」と問われ、「われわれは移民を受け入れる前に、女性の活躍、高齢者の活躍、出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手がある」とのべ、シリア難民への人道支援よりも日本の人口減少に伴う労働力不足という課題の解決を上に置く印象を与え、国内外から大きな批判をあびました。

 日本共産党は、世界からテロをなくすために、国際社会が一致結束して次の三つの対策に取り組むことを提唱してきましたが(各分野政策「国際テロ」の項参照)、柱の一つとして、難民支援を抜本的に強めることを提唱しています。

 国際社会からの要請にこたえ、日本も先進国として難民問題で積極的な役割を果たすべきです。

 日本共産党は以下の3点を日本政府に求めます。

 ――シリア難民危機に対応した難民の受け入れを適切に行うこと。

 ――国際機関、地域機関、NGOと協力体制をとり、シリア、アフガニスタン難民が滞在する地域周辺国などへの支援を抜本的に強化すること。

 ――難民が生まれる根本原因を一掃するための日本の貢献、とくに、平和憲法を持つ国にふさわしく、紛争解決のための外交的な役割を発揮すること。

 

日本政府の難民認定のありかたを抜本的に改善する

難民認定が極端に少ない

 シリアからの難民に限らず、日本は難民認定が極端に少ない国です。2014年に難民申請をした人のうち、世界平均では27%が認定されていますが、日本の認定率はわずか0・2%です。

 その要因の第一は、難民条約における「難民」の定義を、あまりにも狭く解釈していることです。「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか、又はそれを望まないもの」(難民条約第1条)という規定となっていますが、日本の入管行政は「迫害を受けるおそれ」という点を、難民申請者自身に客観的な証拠をもって立証することを求め、また「迫害を受けるおそれ」も極めて狭く解釈しています。また、「国籍国の保護を受けることができない」という規定を「無政府状態」でなければならない、と狭く解釈しています。

 要因の第二は、難民認定行政と出入国管理行政が分離されていないことです。日本ではどちらも法務省入国管理局が所管しており、難民調査官は入国審査官の中から指名されています。こうした出入国管理行政との密接なつながりが、難民認定の抑制につながる可能性があると指摘されています。とくに異議申立機関に関しては、出入国管理行政からの分離を推奨する勧告を、国連人権理事会や国連自由権規約委員会などから受けています(いずれも2008年)。

難民申請者の生活保障が不十分

 法務省は難民審査を原則的に6カ月で処理できるように努力する旨を宣言しています。処理期間の公表を始めた2010年には、平均で10・3カ月~14・4カ月程度かかっていたのが、2015年度には、10~12月に8・3カ月、1~3月に6・3カ月と、短縮していますが、2017年度に入ると、また11・7か月に戻ってしまいました(4~6月)。

目標達成には至っていません。さらに、難民認定がなされず、異議申立て・訴訟提起等、経過が長引いた場合には、さらに時間が必要となります。

 支援団体や弁護士などからは、この期間の生活保障が不十分であることについて、多くの指摘があがっています。かつては国民健康保険の加入、生活保護の受給は認められず、就労にも制約があるなか、外務省所管の財団法人が難民認定申請中の生活困窮者に支給する生活支援金が唯一の頼りという状況でした。国連の人種差別撤廃委員会からは2010年、わが国に対し、すべての庇護希望者の権利、とくに適当な生活水準や医療ケアに対する権利が確保されるべきであるとの勧告がありました。同年3月、申請者の生活に配慮して、申請から6カ月を超えれば就労できるように改善されましたが、一部メディアには「これが偽装難民を多数生む温床となっている」と問題視する論調もあり、不十分・不安定な状況が続いています。

難民認定者への支援も不十分

 難民認定者には、国際救援センターで日本語教育、社会生活への適応のための指導、就職あっせんなどの定住支援が6カ月間実施されます。退所後も、生活面でのアフターケアなどを改善する必要があります。

 ――「難民」の定義を極端に狭くしている認定を改善します。

 ――入管行政と難民審査行政が一体となっているような難民審査体制の改正を含めた法制度の整備を急ぎます。

 ――難民申請者の生活保障と難民認定者への支援を拡充します。

 

 (c)日本共産党中央委員会