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日本共産党

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赤旗

2017総選挙/各分野の政策

47、性暴力被害者支援

女性に対する暴力を根絶するために――性刑法のさらなる改正と性暴力被害者支援法制定を

2017年10月


 刑法(性犯罪規定)が2017年6月、明治時代の制定から110年ぶりに大きく改正されました。長年に及ぶ関係者の尽力が実ったものです。

 強姦罪を口腔性交、肛門性交に拡大するとともに、被害者を女性以外にも広げたこと、性犯罪を非親告罪としたこと、18歳未満の被害者を監護する者がその影響力に乗じて性交等を行ったことへの監護者性交等罪の新設などの前進があります。

一方、被害者団体等が撤廃を強く求めていた、強姦罪、強制わいせつ罪の「暴行・脅迫要件」が残されたこと、性的虐待からの子どもの保護が極めて不十分であるなど、国連諸機関から勧告された多くの課題が残されたままです。

性犯罪は、心身の完全性、人間の尊厳を脅かす重大犯罪です。

日本共産党は、性刑法改正で規定された「3年後の見直し」を実現させるための取組を強化し、大きく前進させます。

この課題をすすめるすべての皆さんと連帯して、潜在化している性暴力被害と加害の実態についての国民的関心を高めるとともに、衆院で6項目、参院で9項目の刑法改正附帯決議(全会一致)を活用して、性暴力の根絶に向けた施策を抜本的に充実させます。

 

1.性暴力被害者支援を抜本的に強化する

 内閣府調査で、異性から無理やり性交された被害者の7割もの人がどこにも誰にも相談しなかったと答えています。「恥ずかしくて誰にも言えない」「自分さえ我慢すればなんとかこのままやっていけると思った」などと苦しみを一人で抱え込んでいる実態があります。警察に相談した人はわずか5%で、ほとんどの加害者は野放しにされています。

 「性犯罪は加害者が悪い」「被害者は悪くない」「相談を」というメッセージを大きく打ち出し、相談体制を充実させ、潜在化を防ぐ対策を強化します。

 全国どこでも性暴力被害者を受け止め、相談、心身のケア、証拠採取が1か所で行えるワンストップ支援センターを早急に増設する必要があります。

 性暴力被害者支援に関する政府予算を抜本的に増額し、現在40カ所(17年8月)を国連がもとめる女性20万人に1カ所の水準に引き上げます。

 日本共産党は2016年5月、センターの財政措置の根拠となる「性暴力被害者支援法案」を野党5党共同で提出しました。選挙後の新しい国会で、あらためて共同提出を目指します。

 急性期の支援拡充と併せて、被害者を精神的、経済的に長期に支援する仕組みを充実することも不可欠です。

 

2.性刑法を国際水準に引き上げる改正を行う

 性犯罪捜査においては、これまで警察官が被害者の話をまともに聞かず被害届を受理しないこと、事情聴取の中で被害者が「落ち度」を責められ、過去の性体験を聞かれるなどの2次被害(セカンドレイプ)が多々問題となってきました。

 今回の刑法改正、同附帯決議と連動して、捜査機関へのジェンダー教育を強化し、旧い捜査姿勢を転換する必要があります。

 同時に、司法の場においても性犯罪被害者に関する認識を深めさせ、個々の裁判官の「経験則」が「強姦神話」に基づくものとならないようジェンダー教育強化を求めます。

 日本共産党は2017年の刑法改正審議において、国連女性差別撤廃委員会、同子どもの権利委員会、自由権規約委員会がわが国刑法改正について度重なる勧告を行っていることを指摘し、同勧告を反映した21世紀の国際水準に見合った改正を求めました。

 その内容は、暴行・脅迫要件の緩和撤廃、夫婦間強姦規定の明記、13歳以上とされているいわゆる性交同意年齢の引上げです。子どもの性的虐待からの保護の水準が他国と比較して低いことは極めて問題であり、諸外国で導入されている未成年被害者が成年に達するまでの公訴時効の停止、撤廃も重要です。 

 地位、関係性を利用した性的行為に関する構成要件を明記し、加害者が権威ある立場の場合について、学校の教師と生徒の関係、雇用関係、医療の場での医師と患者の関係、施設における職員と入所者の関係、スポーツコーチ、協会役員と選手の関係などの規定も必要です。

 強姦罪(強制性交等罪)を現状の社会的法益の章立てから、個人的法益の章立てへと組みなおすことも必要です。

 性犯罪を見逃さない方向の刑法改正と併せて必要なのは加害者対策です。

 現在、刑務所や少年院、保護観察で実施されている加害者更生プログラムをはじめ、出所、出院後の就労支援や更生プログラムを充実し、再犯防止を強化することが求められます。

 

3.若年女性に対する性的搾取の法規制と、支援体制の拡充

 国連の児童売買、児童買春及び児童ポルノ特別報告者による日本に関する報告書(2016年3月)が、10代の女子が従事するJKビジネスなど性的搾取を促進する商業活動の禁止を勧告しました。また犯罪的なアダルトビデオ撮影被害者の訴えにより、若年女性に対する性的搾取の一端-脅迫や欺罔による意に反する撮影(多くは犯罪行為の撮影)とその映像の半永久的拡散に被害者が甚大な打撃を被っていることが関係者・弁護団の尽力で明らかになっています。

 これらを取上げた日本共産党の池内さおり衆院議員の国会質問(2016年3月)も一つの契機となって、政府はAV被害やJKビジネスの一部実態把握を行い、2017年春に相談、啓発、取締強化に着手しました。

 これらの対策は緒についたばかりであり、性的搾取の実態調査をさらに進めるとともに、当事者の意に反する性を売り物に莫大な利益を上げる構造にメスを入れ、性的搾取を根絶する抜本的対策が必要です。

 アダルトビデオ製作販売に係る刑法犯、職業安定法・労働者派遣法違反業者に厳正に対処させるとともに、規制立法を策定します。JKビジネスの商業活動禁止をもとめます。

 これらの性的搾取を潜在化させないためにも、被害者支援を総合的に行う必要があります。被害者の多くは若年女性であり、現行制度の狭間となっている現状を改め、行政や民間の多様な相談窓口にアクセスしやすい工夫をします。

 厚生労働省「婦人保護事業等の見直しに関する検討会 論点整理」(2013年3月)を全面的に生かした、総合的な「女性自立支援法(仮称)」制定を目指します。

 売春防止法を改正し、婦人相談所、婦人保護施設等の改組発展、民間団体との協力と支援の拡充、アウトリーチ型支援の推進、受入施設の拡充を行います。

 

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