各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

42、秘密保護法―秘密保護法廃止、国会情報監視審査会

国民の目・耳・口をふさぎ、「海外で戦争する国」へと道を開く希代の悪法――秘密保護法の廃止を求めます

2017年10月


 秘密保護法(特定秘密保護法)は、2013年12月6日、広範な国民の反対の声を押し切り、安倍政権と自民・公明両党が強行成立させました。同法は2014年12月10日に施行が強行され3年が経過しようとしていますが、秘密保護法の廃止を求める世論と運動はいまも大きく広がっています。

 秘密保護法のねらいは、防衛・外交をはじめ国政の重要問題で国民の目・耳・口をふさぎ、集団的自衛権の行使容認ともあわせて、日本を「海外で戦争する国」につくりかえることにあります。

 日本共産党は、この間、通常国会や臨時国会に「秘密保護法廃止法案」を他党や無所属議員との共同で提出してきました。ひきつづき、国会内外での共同のたたかいを強め、この希代の悪法を廃止するため力を尽くします。

1.民主主義の根幹である国民の知る権利、言論・表現の自由を脅かし、日本国憲法の基本原理を根底からくつがえすものです

(1)「秘密の範囲」は政府が勝手に決め、国民には何が秘密かも秘密

 秘密保護法は、①防衛②外交③特定有害活動(スパイ行為)の防止④テロリズムの防止―に関わる行政情報で、政府が“安全保障に支障がある”と判断したものを「特定秘密」に指定し、それを漏らしたり知ろうとしたりした者に対して、公務員・民間人を問わず最高で懲役10年と1千万円の罰金という重罰を科すものです。

 特定秘密の範囲はあいまいです。特定秘密を指定するのは「行政機関の長」です。首相や外相、防衛相、警察庁長官らの勝手な判断で、秘密の範囲はいくらでも広げることができます。秘密にしておく期間も、政府の判断でいくらでも延長でき、原則60年、場合によってはさらに長く、永久に秘密にされる恐れもあります。

 内閣官房が2017年5月に発表した報告書(「特定秘密の指定及びその解除並びに適正評価の実施の状況に関する報告」)によれば、2014年には382件、18万9,000文書数だった特定秘密は、2016年末には487件、32万6,000文書数へと年々範囲が拡大されています。

 

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重大なことは、指定された特定秘密の数字は明らかにされても、 “何が秘密か”ということについても国民には秘密にされていることです。自分が接した情報が特定秘密かどうかもわからないまま、いきなり処罰されることが起こりえます。政府は「原発やTPPは秘密保護法の対象ではない」といいますが、法文上それらが除外される保証はありません。原発事故での資料隠しのように、政府に都合の悪い情報を秘密にされる危険が大です。

(2)国民の知る権利、報道の自由を奪う

 特定秘密の漏えいは、故意でなく過失であっても処罰の対象です。特定秘密を取り扱うことになる公務員や、国との取引関係がある民間業者に対しては、「適性評価」と称して、犯罪歴や病歴、借金、思想信条をふくむ網羅的な身上調査が行われます。調査対象は家族や友人にも及びます。多くの国民がプライバシーを侵害され、思想信条を理由とした差別的取扱いという重大な人権侵害の危険にさらされます。

 ジャーナリストの取材活動や一般市民による情報公開請求などが、特定秘密を知ろうとしたとして処罰される恐れもあります。「共謀、教唆、煽動」も処罰するとしており、処罰の対象は市民のあらゆる行為に及び、家族・友人などにも広がる危険があります。

 批判の世論に押され、条文には報道や取材の自由に「配慮」することが盛り込まれましたが、何の歯止めにもなりません。この法律の存在そのものが、報道・取材を委縮させ、言論・表現の自由、国民の知る権利に対して致命的な打撃を与えることは明らかです。

(3)特定秘密というだけで国会の立法権や国政調査権をも制限

 特定秘密に対しては、国権の最高機関である国会の調査権も制限されます。秘密保護法は、秘密を国会に提供する場合には非公開の「秘密会」を要求し、秘密会で知った秘密を漏えいした場合には国会議員でも懲役5年の処罰を受けます。これでは、外交・防衛という重要問題で、国民の代表として政府を監視しチェックすることは不可能になります。国会の立法権、国政調査権を侵害し、国民主権の原理にも反するものです。

  日本の国会には開示を制限する一方、アメリカなど同等の秘密保全体制をとる外国政府に対しては、外務省や防衛省の判断で特定秘密を提供できる仕組みとなっています。国民には隠しながら、日米で情報を統制・操作しようとするものです。

 2017年には、特定秘密保護法が米国からの要求だったことが明らかにされました。米国のNSA(国家安全保障局)やCIA(中央情報局)のスタッフだったエドワード・スノーデン氏(ロシアに亡命中)は、日本でのみずからの体験をもとに、「秘密保護法は、より深い大量監視のため、米政府が(導入を)要求した」「アメリカがデザインした」と証言しています。(小笠原みどり著『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』など)

 さらに、2017年4月には、スノーデン氏が暴露した文書のなかに、NSAが独自に開発した大量監視プログラム「XKEYSCORE」(エックスキースコア)を日本に提供していたことも判明しました。このシステムは、大量の情報の中から特定の個人のネット上の情報、行動が把握できる仕組みとされ、特定個人の名前やキーワードを打ち込むだけで、メールや電話の相手、その時期、時間、ネットの閲覧履歴などあらゆるデータを瞬時に入手できるものです。2017年6月には、内心の自由を監視・処罰する憲法違反の共謀罪が強行されましたが、特定秘密保護法、共謀罪がセットで運用されることになれば、文字通り国民の目、耳、口を塞いだうえに、その市民一人ひとりの動向、思想を政府権力が監視できるようになってしまいます。(共謀罪については、次項の「43、共謀罪廃止」を参照してください)

2.「海外で戦争する国」につくりかえるため、国家が強権的に情報を統制し、国民の言論・表現を規制するのがねらいです

(1)アメリカと軍事情報を共有し、日米軍事一体化をすすめるためのもの

 安倍政権は、秘密保護法と一体で国家安全保障会議(日本版NSC)設置法を成立させ、2014年7月には集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、さらに2015年9月に憲法違反が明白な安保関連法制(戦争法)を多くの国民の反対をおしきって成立させました。

 日本版NSCは、内閣総理大臣を中心に外交・安全保障政策の「司令塔」として機動的に活動し、各省庁の情報を集中させ、アメリカと軍事戦略・情報を共有する受け皿です。秘密保護法の制定は、日米で国家戦略や軍事情報を共有し、また情報を管理・統制して軍需企業が国際的な武器の共同開発・生産に本格的に参画するための不可欠の課題として、アメリカから要求されていたものです。

 秘密保護法強行を突破口にして、集団的自衛権の行使容認・安保関連法制(戦争法)とあわせて、日本をアメリカと一緒に「海外で戦争する国」につくりかえる策動がすすめられています。

(2)日米軍事同盟の「密約」や実態を明らかにすることも処罰の対象に

 歴代政府は、日米の「核兵器持ち込み密約」を否定しつづけてきました。日本共産党が国会で明らかにした決定的な外交文書「討論記録」の存在を、2010年になってようやく認めましたが、核持ち込みの「明確な合意はない」といって密約だったことは否定したままです。さらに、米軍に事実上「行動の自由」を容認している日米地位協定に関わる密約や、裁判権・指揮権をめぐる密約はいまだに隠されたままです。日米合同委員会合意の実質的内容も国民に秘密にされています。これらの密約の公表を求めること、基地の実態や予算の使い道を追及し公開を迫ることなども、秘密保護法によって処罰の対象になりかねません。

3.国会「情報監視審査会」――国会を政府の秘密保全体制に組み込む

 自民・公明両党は、2014年6月、特定秘密保護法の規定に基づき、国会法を改悪し、衆参両院に「情報監視審査会」の設置を強行しました。同審査会は、政府の特定秘密保護法の「運用をチェックする機関」という建前ですが、その内容は、①国会において特定秘密の提出を受ける際の手続その他、国会における「特定秘密の保護措置」を定め、②秘密を知った国会議員が院外で漏らせば刑罰に処せられ、委員会の質問でとりあげれば懲罰の対象とし除名処分までとれるようにするものです。この改悪に対して、日本共産党は、秘密保護法の規定に従って、国会の委員会や国会議員が秘密を漏らさない厳格な仕組みをつくり、国会を政府の秘密保全体制に組み込むものであり、憲法が保障する国会の国政調査権を制約し、国会議員の発言・質問の自由を奪うものだとして断固反対しました。

 2016年3月、衆参両院に設置された情報監視審査会がそれぞれ初めての年次報告書を提出しました。衆参の審査会の報告書は、特定秘密保護法の施行後に指定された特定秘密382件(約18万9千点)の指定状況を調査した経過と結果を報告したものですが、審査会が政府に提出を求めた特定秘密は、衆院で1件、参院で4件にすぎず、政府側は自分たちの都合の悪い情報の提供を拒否しています。報告書は「特定秘密ではない事項にも答弁を差し控えることが多かった」と指摘しながら、「改善勧告」の行使すら行っていません。国会の情報監視審査会がその建前である政府の秘密保全体制の「監視機関」「チェック体制」という役割を果たし得ないことが明らかになりました。

 国会は、主権者国民を代表する唯一の立法機関であり、国権の最高機関です。憲法は国会に国政調査権を保障し、公開原則、議員の発言権保障を明記しています。国会の第一の任務は、政府を監視することであり、国政調査権を行使し、日米安保の秘密をはじめ政治・行政の実態を国民に明らかにすることが求められています。秘密保護法を前提にし、政府・行政の行為を国会の上に置いたのでは、国会はその憲法上の役割をはたすことはできません。秘密保護法の廃止こそが求められています。

情報公開・公文書管理の抜本改革をすすめます

――「国民の知る権利」の立場にたって、公文書管理と情報公開のあり方を根本からあらため、公正・公平な行政を確立します。

 安倍政権の下で、「森友・加計」問題をはじめ、陸上自衛隊南スーダンPKO派遣部隊の日報など、政権にとって都合の悪い文書の公開を拒否し、さらには隠蔽、破棄する事態が相次ぎました。また、内閣法制局が集団的自衛権の行使容認の閣議決定に必要な憲法9条解釈変更の内部検討過程の文書を残さず、原子力規制委員会は作成が義務づけられている行政ファイル管理簿をつくっていなかったことも発覚しました。しかも、秘密保護法の施行下で、公文書が国民に隠され、勝手に廃棄されることが懸念されます。

 情報公開制度は、何人からの請求にも、政府が保有するすべての情報を原則として開示する制度です。それは、国民の知る権利を保障すると同時に、政府に対してその諸活動について国民に説明する責任を課すものです。すでに情報公開法と公文書管理法が制定・施行され、公文書を「国民共有の知的資源」と位置付け、行政機関に「政策決定過程を記録に残すこと」を義務づけています。

 にもかかわらず、安倍政権が法の趣旨をも逸脱し、行政文書の隠ぺいを繰り返してきたことは重大です。これは、国民の知る権利を踏みにじり、民主主義の土台を壊すものです。

1.国民の基本的人権である「知る権利」の観点から、政府が保有する情報については、「公開」が原則です。非開示は、外交交渉の最中の情報などに限定されるべきであり、政府の勝手な判断で秘密を指定できる秘密保護法体制は、情報公開に真っ向から反し、妨げるものであり、廃止しなければなりません。

現行の情報公開法は、「原則公開」の例外を広く認めているなどの問題があり、抜本改革が必要です。

○ 「不開示情報」にできる条件を厳格化します。行政機関が保有する企業情報について、政府が不開示の根拠としてきた法5条2号ロの規定(行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの)を削除します。

○ 国際的基準である、公開の「30年原則」を義務付けます。

○ 全ての情報を情報公開法の開示請求の対象とし、不開示に対する不服審査においては裁判官のインカメラ審査を導入します。

○ 情報公開請求にあたっての利用料は原則廃止します。

2.公文書管理法は、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付けたうえで、「現在及び将来の国民に説明する責務」を果たすため、行政機関が「経緯を含めた意思決定に至る過程」を「合理的に跡付け」「検証する」ことができるよう文書を作成することを義務付けています。この法の趣旨が実行できるように、公文書の作成、整理・保存、管理の在り方を根本から改革します。

○ 「加計学園」問題では「総理の意向」などが記載された文書が個人のメモとされましたが、これは行政文書の範囲を恣意的な解釈で不当に狭めるものです。行政機関の職員が職務に関し作成・取得した文書、記録、データーなどは、その保管場所や保管形態を問わず、すべて行政文書として扱うように法改正します。

○ 一年未満の保存期間の行政文書が公文書管理法の規制の例外とされていることが「抜け穴」となっています。恣意的な文書廃棄の「抜け穴」を許さないように法改正を行います。公文書管理法8条には文書ファイルを廃棄するときは内閣総理大臣の同意が必要と定めていますが、重要な文書が捨てられてしまうことのないように廃棄予定の文書ファイルリストを公示し、国民がチェックし、異議申し立てができるようにします。

○ 陸上自衛隊の南スーダン派遣部隊の日報問題では、後に、日報が電子媒体で保管されていたことが明らかになりました。電子媒体は大量に保管することが可能であり、その重要度を検証の上、保存か破棄かを決定できる時期まで、すべてを保存することも可能です。今日、ほとんどの文書が電子媒体で作成されているもとで、それにふさわしい制度・体制を整備します。

○ 「経緯を含めた意思決定に至る経過」を検証できるようにするため、行政機関に設置されている審議会・専門委員会・ワーキンググループ等(私的諮問機関含む)の会議はすべて議事録に記録し、インターネットで閲覧できるようにします。

○ 国立公文書館は、国民の知る権利を保障するにふさわしい規模と体制にすべきです。行政文書の作成・管理のための独立した専門人材を育成し、行政機関の長の判断を優先させる扱いを改めさせます。

○ 国立公文書館を国会の憲政記念館と合築する計画は撤回をもとめます。

3.国会の情報公開をすすめます。立法府の公文書管理の在り方を議論し、議員立法の作成や法案修正などの立法過程の文書などについて、その作成、管理、公開のルールをすみやかに検討することを提案します。東京電力福島第一原発国会事故調査委員会(国会事故調)の調査資料の管理、公開の法体制整備を求めます。

 憲政記念館は、市民の浄財で建設され、尾崎記念財団の運営を衆議院が引き継ぎ、憲法学習と憲政資料の収集・展示の場としてきた経緯をふまえ、国会の情報公開とあわせ、国会の活動全体の記録を後世に残していく文書館として発展させることを提案しています。

 

 (c)日本共産党中央委員会