各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

38、文化

芸術・文化の活動を支え、文化が豊かに発展する社会をめざします

2017年10月


 芸術・文化は、人々に生きる力を与え、心豊かなくらしに欠かすことができないものです。文化を創造し、享受することは国民の権利です。

今年6月の国会で16年ぶりに「文化芸術振興基本法」が改正され、「文化芸術基本法」になりました。前文に「表現の自由」が初めて明記されました。日本共産党は、芸術・文化の自由な活動を応援し、文化が豊かに発展する社会をめざします。

 

文化予算を抜本的に増額し、芸術・文化活動を発展させます

 芸術・文化を発展させ、国民が文化に親しみ楽しむためには、国民の文化活動や鑑賞の機会を保障することが大切です。また、芸術・文化を創造する芸術家や芸術団体の自由な創造活動が長期的・持続的に発展することが重要です。そのためには「アームズ・レングスの法則」(お金は出しても口は出さない)にもとづいた国の支援が不可欠です。しかし、文化庁の予算は1043億円(2017年度)にすぎず、日本の国家予算に占める文化予算の割合は0.1%で、諸外国に比べてとても低いものです。1機100億円もするオスプレイの購入などの無駄遣いをやめるだけで大幅な増額は可能です。日本共産党は、あまりにも低い文化予算を抜本的に増額することを求めます。

芸術団体への支援を強めます

 近年の国の方針には、「稼ぐ文化」をめざし、芸術・文化に「経済効果」や「効率」を求め、それを作品や文化事業の評価の基準にする傾向がみられます。芸術団体への助成は、新たに入場料収入に応じた助成方式が導入され、オぺラ・オーケストラでは、集客力が助成金の判断基準に持ち込まれています。芸術団体に対する助成は、小泉自公政権の2003年以来、毎年のように削減され、芸術団体助成の中心である重点支援は最高時の半分以下にまで落ち込んでいます。芸術団体が専門性を発揮し、持続的に発展していけるよう基盤整備を含めた助成制度の発展をはかります。幅広い団体が気軽に活用できる助成制度の確立や、助成への応募を年複数回にするなど制度の改善をはかります。助成金の一部「前払い」制度を本格的に実施し、すみやかな支払いを実現します。寄付税制の充実など、税制支援をすすめます。

子どもたちの心豊かな成長に寄与する芸術活動を支援します

 「子どもたちの7人に1人が貧困」という調査結果もあるほど、子どもの貧困が進んでいます。子どもたちの心豊かな成長のために、どの子にも芸術・文化を創造、鑑賞できる条件を整えることが重要です。地域での文化活動のとりくみや、学校での芸術鑑賞教室は、すべての子どもに芸術鑑賞の機会を保障する大切なとりくみです。全国の小中学校は約3万校ですが、実際に芸術鑑賞教室が実施されているのは、その12分の1程度でしかありません。

すべての子どもが年1回以上芸術鑑賞ができるよう、様々な芸術鑑賞教室を視野に入れた国による事業の拡充や支援制度を確立し、あわせて学校と芸術団体の自主的な努力を応援します。その際、情報提供や申請実務の簡素化など条件整備をすすめます。義務教育の期間だけでなく、就学前の子どもや高校生に対する芸術鑑賞などの支援を強めます。

日本映画、アニメーションの製作を支えます

 日本映画やアニメなどの製作システムをささえる財政支援の拡充をはかります。文化庁の「映画振興に関する懇談会」の提言「これからの日本映画の振興について」(2003年)が提起した製作支援、専門家育成、多様な作品の鑑賞機会の充実など日本映画再生のための支援策を、その後の映画をめぐる状況の変化を踏まえて抜本的に強化します。現在、東京国立近代美術館の付属組織になっているフィルムセンターの独立、職員の正規化をはかります。映画フィルムの保存を急ぐとともに、フィルム作品の劣化や散逸、急速に進むデジタル化に対応した映画作品の保存をすすめます。 

劇場・音楽ホールなど、文化施設への支援を強めます

 文化施設は、創造と鑑賞の両面から、芸術・文化の発展になくてはならない場所です。特に、公的な文化施設は国民のためのものであり、地域の文化の拠点です。ところが、自民党政治のもとで指定管理者制度が設けられ、ほとんどの文化施設で予算が削減されてきました。市町村合併で文化施設が統合され、遠方になったため、鑑賞や発表の機会が減っている地域も少なくありません。

2012年に劇場法が制定されました。劇場・音楽堂は、芸術・文化の創造と鑑賞だけではなく、「社会包摂」の場としても役割を果たすことが求められています。しかし、施設・設備が老朽化したのに大規模改修の費用を捻出できず、休館・閉館に追いこまれる劇場・音楽堂もあり、民間劇場の閉鎖も相次いでいます。劇場法を生かし、専門家を適切に配置するとともに、施設改修や舞台機能の高度化への支援措置を設けるなど、劇場・音楽堂への国の支援を強めます。劇場どうし、劇場と芸術団体の連携公演などに対する支援を強めます。また、民間の劇場・音楽堂や映画館は、現状では商業施設として扱われ、何の支援もありません。年間100日以上事業を行っている会館を劇場とみなして固定資産税の軽減を図るなど、積極的な支援を行います。施設の閉館、改修で首都圏をはじめホールが足りなくなっています。仮設のホール・劇場建設や、今ある公的ホールの使用規定の見直しなどで芸術団体の活動場所を確保し、国民の鑑賞の機会を保障します。

美術館・博物館、図書館は、「表現の自由」を土台として国民に鑑賞機会を提供するとともに、大切な社会教育の場です。コレクションの充実、ワークショップなどの活動を支援します。芸術・文化活動の拠点として活性化するために、国立美術館・博物館、国立劇場・新国立劇場については、国の施設にふさわしく予算の充実をはかります。

文化施設の運営への芸術家と市民の参画を促し、舞台技術者や司書、学芸員など非正規職員となっている専門家の身分を保障し、専門家として力量を発揮できるよう支援します。国民の身近な文化施設である文化ホールや図書館、美術館・博物館の民営化、民間委託をやめさせ、公的支援を充実します。

地域の文化活動を応援します

 地域では、住民が主人公となって多種多様な文化活動が、様々な市民や団体で行われ、街の活性化やコミュニティーの形成につながっています。一方で地域の過疎化や文化活動の担い手の高齢化に伴い、地域の文化活動に困難も生じています。現役世代や子どもたちの文化活動、NPOやサークル、鑑賞団体などの活動が発展するように、表現空間や展示場所、けいこ場の利用料の低減など条件整備をすすめます。自治体の文化担当の職員を支えるために、研修機会の充実をはかります。

文化を支える専門家の地位向上にとりくみます

  年収300万円未満が5割以上という劣悪な状態にある実演家、舞台芸術や映画スタッフ、アニメーターなど、多くの芸術家やスタッフは、一般の勤労者に比べても低収入です。仕事のうえでの怪我であっても労災認定は5.3%にすぎないように、社会保障がほとんどありません。これでは、技能を高める前に辞めざるを得なくなり、技術の伝承のみならず、芸術・文化の発展を阻害することになりかねません。ユネスコやILOは、芸術家の地位向上をはかることを求め、収入の向上や社会保障制度を実演家の実情に適合させることを求めています。専門家の地位向上を理念として掲げるだけでなく、一般勤労者並みに改善することを目標に施策を実施します。

 演劇・舞踊や映画の国立大学の設立や国立劇場・新国立劇場での専門家養成・研修事業の充実、海外研修支援の拡充など、専門家の養成における国の責務をはたさせます。 

文化財の保存と継承をはかります

 文化財は、有形・無形を問わず、先人の生きてきた証しであり、現在・未来に生きる財産です。最近の政府の方針では、文化財を観光などに「活用」し、「文化財で稼ぐ」ことに重点が置かれています。しかし、文化財の「活用」の名のもとに、文化財の保存があいまいにされ、破壊・毀損されることがあってはなりません。「活用」する場合も、修理・修復して保存することが欠かせません。東日本大震災、熊本地震などで被災した文化財の保存・修復も道半ばです。文化財保存のために財政的な支援を求めます。文化財の保存と活用のために、普段からの調査活動を支援します。大型公共事業とその関連工事による文化財破壊を許さず、埋蔵文化財をはじめ、文化遺産、歴史的景観および文化的景観の保護をはかります。「陵墓」に指定されている古墳の学術目的での公開と保存をすすめます。 

 世界遺産や無形文化遺産の推薦にあたっては、透明性向上や公平性確保につとめます。また、「世界の記憶」も含め、ユネスコの決定に異論があるからといって、分担金や拠出金を保留するようなやり方を改めます。

アーカイブへの支援を強めます

映画、アニメ、マンガ、美術、デザイン、写真、音楽、など、文化各ジャンルの貴重な遺産の収集・保存を支援します。 

著作者の権利を守り発展させます

 日本の芸術・文化の発展のうえで各ジャンルの専門家の役割はきわめて重要です。著作権は、表現の自由を守りながら、著作物の創造や実演に携わる人々を守る制度として文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画監督やスタッフに権利がありません。実演家もいったん固定された映像作品の二次利用への権利がありません。国際的には視聴覚実演に関する条約が作成されるなど、実演家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが強まっています。著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。

 私的録音録画補償金制度は、デジタル録音録画の普及にともない、一部の大企業が協力義務を放棄したことによって、事実上機能停止してしまいました。作家・実演家の利益をまもるために、私的複製に供される複製機器・機材を提供することによって利益を得ている事業者に応分の負担をもとめる、新たな補償制度の導入をめざします。

文化庁の京都移転は抜本的な再検討を求めます

政府は昨年、文化庁を、一部の部署をのぞき京都に全面的に移転することを決めました。京都に移転することで、国会の行政監視機能、行政の効率性が低下し、実際の文化行政の実施に支障をきたすおそれがあります。移転先の改修費は地元負担で、そのほかの経費についても不確定であり、国民や芸術・文化団体の声が届きにくくなるなど、懸念の声があがっています。日本共産党は地元自治体や関係者の意見を聞かず全面移転を推進することには反対です。抜本的な再検討を求めます。

オリンピック・パラリンピックの文化プログラムは住民参加ですすめます

 2020年東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムは、東京都の「市民創造文化活動支援」を充実させることをはじめ、幅広い分野の芸術家・芸術団体、住民が参加できるようにします。文化プログラムの透明化をはかり、広報活動の支援や、情報公開をすすめます。

憲法を生かし、表現の自由を守ります

 芸術活動は自由であってこそ発展します。憲法は「表現の自由」を保障しています。ところが、第2次安倍内閣の発足以降、各地の美術館や図書館、公民館など公の施設で、創作物の発表を不当な理由で拒否するなど、表現の自由への侵害が相次いでいます。

 2013年12月に成立を強行された特定秘密保護法は、国民の「言論・表現の自由」や「知る権利」を脅かすものであり、「ジャーナリストとその情報源に刑罰を課す危険性にさらしている」(デビット・ケイ国連人権理事会特別報告者)と指摘されています。

今年6月に強行された共謀罪法に対しても、多くの芸術家や芸術団体が、自由な創作活動に委縮をもたらすとして反対の声明を挙げています。国連人権理事会からも「プライバシーに関する権利と表現の自由に過度な制限をされる可能性がある」(ジョセフ・ケナタッチ国連人権理事会特別報告者)との指摘をうけています。憲法違反の特定秘密保護法と共謀罪法の廃止を求めます。

6月に改正された新しい「文化芸術基本法」では、前文に「表現の自由」が明記されました。「文化芸術基本法」や憲法の基本的人権の条項をまもり生かして、表現の自由を侵す動きに反対します。「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。

 諸外国では、表現の自由を守るという配慮から、財政的な責任は国がもちつつ、専門家が中心となった独立した機関が助成を行っています。文化庁の助成は応募要綱などが行政の裁量で決められ、芸術団体の意見がそこに十分反映されていません。すべての助成を専門家による審査・採択にゆだねるよう改善します。

11月3日の「文化の日」を明治天皇の誕生日を祝う「明治の日」に変えようという動きに反対します。

国民や芸術団体の活動を困難にする消費税の10%増税は中止します

 「アベノミクス」の失敗で、労働者の実質賃金は下がっているうえに、消費税が8%になり、ますます国民が芸術・文化に親しむ機会から遠ざかっています。家計から芸術や文化を楽しむ支出を節約することによって、芸術・文化団体の経営や活動も大打撃を受けています。消費税10%への増税は、きっぱり中止します。

 

 (c)日本共産党中央委員会