各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

36、教育―高校以下の無償化、大学学費の半減、少人数学級、いじめのない学校、不登校の子どもへの支援、憲法と子どもの権利条約を教育にいかす

2017年10月


 教育は子ども一人ひとりの幸せ、成長と発達のためにあります。それだけに社会にとって大切な営みです。教育は子どもの権利であり、家庭の経済力に関わらず、すべての子どもに豊かに保障される必要があります。F

 ところが、安倍政権のもとで、日本の教育はたいへん貧しく歪んだものになっています。

この9月に公表された教育予算の世界ランキング(GDPにたいする公財政教育支出の割合)では、日本はまたOECD34ヵ国中ワースト1になりました。こうした低予算の下で、国民は世界では考えられないような高学費に苦しみ、教育条件も欧米では一学級20~30人が当たり前なのに、日本では小学校3年以上は40人学級のままです。公的支出を先進国の平均並みにすれば、あと6兆円の公的支出が増えることになります。日本共産党は、先進国並みの無償教育、教育条件の充実を進めます。

 同時に、安倍政権は、「道徳の教科化」「教育委員会制度の改悪」など教育への政治的介入を次々に行ってきました。道徳の教科書では、「愛国心」の観点から、パン屋が和菓子屋に書き換えさせられ、国民的な批判をあびました。安倍政権の教育介入の本質は「戦争する国」「弱肉強食の経済社会」という「国策」に従う人づくりに他なりません。〝お金は出さずに口を出す〟では、教育は歪むばかりです。

 日々の学校で子どもたちは人間として大切にされているでしょうか。

 学年が進むにしたがって受験中心の教育となり、子どもは競争に追い立てられ、他人と比べられ、豊かな子ども期が奪われています。ここまでの受験中心の教育は国際的にも異例で、国連子どもの権利委員会は再三「高度に競争的な教育制度」の是正を勧告しています。

 厳しすぎる校則など管理一辺倒の教育も深刻です。安倍政権の下で「ゼロトレランス(許容度ゼロ)」政策、子どもの言動を事細かく指定する「学校スタンダード」も広がっています。先生じたいが管理され競わされ、のびのびと教育をおこなえない状態におかれています。

 日本共産党は、憲法と子どもの権利条約を生かし、「世界最低水準の教育予算の引き上げ・重すぎる教育費負担の軽減」「ゆきすぎた競争主義からの脱却」「〝上からのしめつけ〟をやめ子どもの権利と教育の自主性を保障する」という立場から、日本の教育を改革することを提案します。

教育費負担を軽減します――教育費無償の国をめざして

 教育は人権であり、経済的な理由で教育上の差別をすることは禁じられています。ところが教育費負担の重さは、その原則をふみにじり、格差の連鎖をうんでいます。教育費無償の国をめざして、次の政策をすすめます。

義務教育期間中の教育費負担を解消します……憲法で義務教育無償が定められていますが、授業料や教科書の無償に限られ、給食費、ドリル代、修学旅行積み立てなど義務教育でも保護者負担は相当の金額です。義務教育無償の原則にもとづき、給食費、副教材をはじめとする義務教育期間中の教育費負担を解消します。

就学援助を拡充します……就学援助制度は経済的な困難をかかえる子どもに義務教育を保障するための命綱です。ところが、「子どもの貧困」が深刻な問題になっているときに、自公政権が制度への国庫負担を廃止し、各地で就学援助の縮小を引きおこしました。国庫負担制度をもとに戻し、対象を生活保護基準×1.5倍まで広げ、支給額も増額するとともに、利用しやすい制度にします。教育扶助の額も同様に引き上げます。

幼児教育の無償化をすすめます……乳幼児は人格の土台をつくる大切な時期です。ところが、日本の乳幼児教育の予算はOECD諸国の平均の半分しかありません。予算を引き上げ、すべての乳幼児が豊かな保育がうけられる体制を整えるとともに、保育園、幼稚園とも無償化を進めます。

高校授業料を完全無償化します……安倍政権は、高校就学支援金に所得制限を導入して制度を後退させ、申請手続きなしに制度を利用できなくなり、さまざまな矛盾がうまれています。所得制限なしに戻すとともに、私立高校への支援金を増額し、私立高校も授業料無償とします。国民の運動によって2014年に生まれた「高校生等奨学給付金」(年額数万円~十数万円程度)を抜本的に拡充し、通学費や生活費を含め十分な金額となるようにします。
(「学費が払えず高校卒業、入学できない若者を一人も出さない 日本共産党の緊急提案」
(2009年3月11日)

大学学費を国公立も私立も半分に引き下げます……日本政府も承認した国際人権規約の「大学教育の段階的無償化」を具体化し、大学教育無償の国をめざします。当面、国公立も、私立大学も10年間で半分にまで引き下げます。そのために国立大学運営費交付金、私大助成の金額を計画的に引き上げるとともに、公立大学への補助制度を創設します。

給付制奨学金を抜本的に拡充し、有利子奨学金は無利子にします……日本の奨学金は名前こそ「奨学金」ですが、その実態は学生を借金漬けにしてしまう「学生ローン」です。名実ともに「奨学金」といえるものにするため、①給付型奨学金を月額3万円で70万人=学生4人に支給できるよう抜本的に拡充する、②有利子奨学金はすべて無利子にする、③既卒者の奨学金返済の減免制度をつくり、生活が困窮する場合の共済措置を講ずる、の3つの改革を行います。

各種学校・専門学校の負担軽減をすすめます……高卒後なんらかの教育機関に進学する割合は70%に達しています。ところが各種学校・専門学校には大学のような公的助成がなく、年間100万円、200万円の学費がかかります。北欧などでは専門学校も無償です。国の責任で公的助成に着手します。

少人数学級など豊かな教育条件を築きます

35人学級を早期に完成させ、さらに少人数学級にすすみます……少人数学級は、子どもの悩みやトラブルに対応するうえでも、子どもの発言の機会がふえるなど学習を豊かにするうえでも、重要な教育条件です。欧米でも20人から30人学級が当たり前です。ところが安倍政権は、国会が全会一致で決議した〝小中学校の35人学級の全学年実施〟に5年連続で背を向け、35人学級を小学校1年と2年でしか認めていません。国としての35人学級を早期に全学年で実施し、地方独自の少人数学級の努力とあいまって、少人数学級を推進します。さらに国として学級編制を30人、将来的には20数人に改善することをめざします。高校でも同様に35人学級を早期に実施し、さらに少人数の学級編制をめざします。

スクール・ソーシャルワーカー、カウンセラーなどの配置をすすめます……欧米の学校では先生以外に多くの専門職員が配置され、子どもの育ちを支えています。アメリカでもイギリスでも教員とほぼ同数の専門職員が配置されています。ところが日本は教員数の七分の一しか専門職員がいません。「子どもの貧困」などに対応できるスクール・ソーシャルワーカーは週一回三時間、48週勤務のパートを「1人」と数え、フルタイムに換算すれば154人分しか配置されていません(2016年度)。必要な専門職員を定数化して十分に配置するとともに、職の専門性・独立性を尊重した待遇とします。

一方的な学校統廃合に反対し、小規模校を残すとりくみを支援します……政府は、教育予算削減のために学校統廃合の推進を打ちだしました。しかし、小規模な学校は子ども一人ひとりに目が行き届くなどの優れた面があるとともに、地域の維持と発展にとってかけがえのない役割があります。統廃合は、地域の教育力の衰退、子どもの長時間通学、いざという時の安全面の不安などでもデメリットがあります。子どもの教育を後退させ、地域の存続を危うくする、一方的な統廃合に反対するとともに、小規模校を地域に残して充実させ、地域づくりを進めるとりくみを支援します。

保健室を充実させます……学校の保健室は、医師、カウンセラーなどの専門家と連携して、子どもの心身を支える、多様でかけがえのない役割を果たしています。養護教諭の複数配置をすすめるなど拡充をすすめます。

学校耐震化の基準を見直し、防災拠点としての整備をすすめます…… 東日本大震災、熊本地震はあらためて、学校の防災拠点としての重要性を示しました。多くの学校で耐震化は進んでいますが、熊本地震では耐震化した校舎や体育館が損壊し使用できなくなりました。

 耐震性が地域によって違う現状を見直し、万全の体制をとります。また、天井材、内外装材、照明器具、窓ガラスなどの非構造部材に被害が生じ、避難所として使用できない事態にもなりました。3割以上の学校で非構造部材の対策が実施されていません。(2015年4月1日現在)。さらに、少なくない学校で避難所・防災拠点として必要な水や燃料、毛布などの整備が十分ではありません。それぞれ国の制度を確立し、整備を進めます。

学校校舎・施設の老朽化への対策をすすめます……各地で学校校舎・施設の老朽化が深刻な問題となっています。全国的には築25年以上の学校施設は75%にも達し、雨漏り、壁に穴、外壁落下、トイレの悪臭など、子どもたちの安全にかかわる事態にもなっています。しかし、老朽化対策に必要な予算を確保できず放置されていることは大きな問題です。さらに整備できないことを、学校統廃合をすすめる口実にしている自治体さえあります。学校施設整備の予算を増額し、補助率と補助単価を引き上げるなど、対策を確実に進めるようにします。

学校給食を拡充します……安全で豊かな学校給食のために、給食の安全性や質の確保の上で問題の多い民間委託は見直し、地産地消、自校方式、直営方式などをすすめます。中学校給食、高校給食をひろげます。学校給食費の未払いをすべて保護者の責任にするのではなく、無償化の方向を検討するとともに、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめるようにします。また、学校栄養職員・栄養教諭を一校に一名配置します。

小中一貫校、中高一貫校について……小中一貫校、中高一貫校導入は様々なケースがあり、子どもの成長・発達にとってどうかから、その是非を判断します。安倍政権のすすめる「小中一貫校」構想は、学校統廃合をすすめることが最大のねらいです。しかも小学校高学年の自覚などこれまであった子どもの成長に有益なものが失われる、学校がマンモス化する、中学のテスト体制や厳しい管理が小学校に拡大するなど多くの問題をかかえています。

学校予算の差別化に反対します……この間すすめられてきた「小中一貫校」、「スーパーハイスクール」などは同じ公立学校でも破格の予算がつけられています。こうしたやり方は、教育格差を助長しかねません。すべての学校の教育条件の向上を重視します。

デジタル教材について……デジタル教材は、子どもへのさまざまな影響、教育効果の程度について多くの問題点が指摘されています。しかも保護者に高額な負担を求めるとすれば許されるものではありません。メーカー中心で導入先にありきを決めるのでなく、子ども、保護者、現場教員、研究者中心にメリット・デメリットをはっきりさせることをまず行うべきです。

公立図書館を充実させます[2017総選挙/各分野の政策 62、図書館政策 ]

学校図書館に学校司書を配置します……学校図書館に専任・専門・正規の学校司書を配置できるよう国の財政措置を充実させます。学校図書館は、子どもたちに豊かな読書、調べる楽しみ、知る喜びを保障し、教師には豊かな授業展開のための情報や資料を提供します。特定の資料を排除する動きや、読書を強制するような政治的介入は許しません。

社会教育を拡充するとともに、表現や学習の自由を保障します……社会教育は住民の学習権を保障するとともに、地域のコミュニティーの形成、子どもや親への支援など多くの役割をはたしています。そうした役割が発揮できるよう、社会教育予算の削減や施設の有料化、公共施設再編計画の下での社会教育施設の廃止再編をやめさせ、公民館などの増設をすすめるとともに、社会教育主事など職員の増員をはかります。住民の学習の場である社会教育には表現の自由、学習の自由が不可欠であり、その侵害につよく反対します。

外国人の子どもへの教育条件の整備をすすめます…… 日本に居住する外国人登録者は200万人を超え、新たに結婚する20組のうち1組は外国籍の人との結婚といわれています。内外人平等を保障した国際人権規約、子どもの権利条約にもとづき、公立学校への受け入れ体制の整備、外国人学校への支援、日本語教室設置、公立高校への入学資格の改善など在日外国人の子どもの教育を保障します。子どもの生活のためにも、外国人の賃金未払いや劣悪な労働条件の改善、福祉・医療を受けやすくするとともに、地域での共生をすすめます。

夜間中学の開設を推進します……夜間中学は、戦争の混乱や経済的な理由により教育を受けられなかった多くの人、不登校の子ども、障がい者、中国帰国者・在日外国人らにとってかけがえのない義務教育の場となっています。ところが全国にわずか31校しかありません。16年12月に成立した教育機会確保法を生かし、全県での協議会設置と夜間中学開設を急ぎます。また、就学援助の年齢撤廃、夜間中学の教員配置と研修保障、バリアフリー化、自主夜間中学への公的支援の実施をすすめます。

学童保育などの拡充をすすめます…… 共働き家庭やひとり親家庭が増えるなかで、小学生の放課後の生活と安全を保障する学童保育の役割はいっそう大きくなっています。希望する子どもが全員入所できるよう施設整備費を大幅にふやし、学童保育の新・増設をすすめます。「遊びと生活の場」にふさわしく、子どもの負担のない適正規模化(40人)、専任の常勤職員の複数配置、施設の広さや設備など、安心して生活できる設置・運営基準を法的拘束力のある基準として定めます。障害のある子どものための指導員の配置が行えるよう加配の基準を定めます。高学年や特別支援学校の子どもが学童保育の対象であることを明確化します。保育料の減免を制度化し必要な財政措置を行います。学童保育指導員の公的資格(学童保育指導員(仮称)を創設するとともに、待遇を引き上げます。「放課後子どもプラン」で学童保育をなくすのでなく、学童保育、放課後子ども教室をそれぞれ拡充します。

特別支援教育・障害児教育を拡充します

 障害のある子どもの教育は、その子どもの成長し発達する権利を保障し、障害のある人々の「社会への完全かつ効果的な参加」を実現するものでなければなりません。その立場から、以下の政策の実現をめざします。
(詳しくは、「障害のある子どもたちの教育条件を改善するための緊急提案」(2010年4月2日)をご参照ください。

特別支援学校の教室・教員不足の解消をすすめます……特別支援学校に在籍する子どもが急増しているのに行政が条件整備を怠り、各地で「教室をカーテンで仕切って二学級が使う」「できるだけ音を出さない音楽」「できるだけ体を動かさない体育」など小中学校では考えられないような事態がおきています。学校設置 基準を設け、学校を増設し、こうした劣悪な条件を改善します。子どもの障害の重度化重複化に対応できるよう教員を増員します。スクールバスを増車し通学の負担をへらします。必要なすべての子どもへの寄宿舎の保障をすすめます。医療・福祉など専門機関とのネットワーク、巡回相談など地域全体の支援体制をつよめます。

特別支援学級の拡充をすすめます……特別支援学級に在籍する子どもたちの障害の複雑化に対応するため、教員を増員します。学級編制を低学年と高学年などに分けるなどして教育条件を向上させます。教員が特別支援教育についての専門性をもてるような採用、異動などのしくみを改善します。

通級指導教室の条件整備を進めます……通級指導教室は、数十万人と推定されている通常学級に在籍する発達障害の子ども、その他さまざまな事情から支援が必要な子どもの教育にかけがえのない役割をはたしています。とろこがその整備が遅れ「希望しても入れない」などの事態が広がっています。通級指導教室への要望を調査し、それに基づいた整備計画を立て、教室を増やします。「生徒10名に教員一人を配置」など基準を設け、必要な教員を定数化します。

高校、大学などでの特別支援教育の体制を確立します……高校や大学、専門学校などでも特別な支援を必要とする子どもや学生が増えています。そのために必要な教員や専門的支援員の配置などの条件を整備します。

過度の競争と管理を改善し、子どもを排除しない学校をきずきます……この間、特別支援の学校や学級の在籍数がふえ続けています。その背景には子どもにあった専門的な教育を受けさせたいという願いの広がりもありますが、「学力テストの平均点アップに汲々とする」「子どもを力で押さえつける」など過度の競争と管理によって子どもたちが通常学級にいづらい状態が広がっている問題があります。過度の競争と管理を改善し、学校をどんな子どもでも排除されない、ゆったりとした人間的な雰囲気のある場にします。

インクルーシブ教育にふさわしい教育制度の検討について……国連の「障害者権利条約」(08年5月発効)は、障害のある人が障害のない人と分け隔てなく人権を保障され、豊かに生きられる社会を実現するために、教育の分野で「インクルーシブ教育」(障害のある子どもが一般の教育制度から排除されず参加を保障される教育)を提唱しています。そのためには、子どもの「最大限の発達」と、「社会への完全かつ効果的な参加」が欠かせません。日本の教育制度がインクルーシブ教育にふさわしいものとなるよう、国民的な合意形成をはかり、条件整備などの改善を進めます。そのなかで特別支援学校を小規模分散の地域密着型にすることなどを検討します。

いじめも指導死も体罰もない、安全な学校をつくります

いじめ問題の解決を学校関係者、国民とともにすすめます……いじめは相手に恥辱や恐怖を与え、思い通りに支配しようとするもので、ときに子どもを死ぬまで追いつめる事件に発展します。多くのいじめ被害者は、その後の人生を変えてしまうような心の傷をうけます。いじめはいかなる形をとろうとも人権侵害であり、暴力です。そうしたいじめが全国の学校に広がっていることは、社会全体の大きな問題です。以下の方向で、学校関係者、国民と力をあわせます。

――学校での対応として、①いじめへの対応をぜったいに後回しにしない命最優先の原則の確立(安全配慮義務)、②ささいなことでも様子見せずに対応するため、教職員・保護者の情報共有を重視する、③子どもの自主的活動の比重を高め、いじめをとめる人間関係をつくる、④被害者の安全を確保し、加害者にはいじめをやめるまでしっかり対応する、⑤被害者家族の真相を「知る権利」を尊重し、学校側がつかんだ情報をかくさない、などを重視することを提案します。

――行政側の条件整備や対応として、①教員の「多忙化」解消、少人数学級推進、養護教諭・カウンセラーの増員、いじめ問題の研修、②深刻なケースに対応できる全国的なセンターとして「いじめ防止センター」の設立、③厳罰主義などいじめ解決に逆行する方向でなく、子どもの安全に生きる権利を保障する方向で「いじめ対策法」を運用する、④いじめ解決に逆行する、「いじめ半減」などの数値目標化、教職員をバラバラにする上からの教員評価などの教育政策をあらためる、を提案します。

――いじめ増加は子どものストレスの増大を示し、その背景には教育や社会の歪みがあります。過度の競争と管理の教育をあらためるとともに、弱肉強食の社会のあり方をかえていくことを重視します。、

詳しくはこちらを→(「いじめ」のない学校と社会を 日本共産党の提案 2012年11月28日)(いじめ問題に関わる法制化についての日本共産党の見解 2013年6月3日)

学校から体罰をなくします…… 肉体的な苦痛や恐怖で子どもを服従させることは、成長途上の子どもの体だけでなく、心に複雑で深い傷を残します。法律で明確に禁じられているにもかかわらず、少なくない学校で教員による体罰・暴力がいまだにあることは、日本の教育の重大な問題です。ところが自民党など政界の一部には、体罰・暴力を容認する潮流があります。2012年12月におきた大阪の桜宮高校での体罰死事件の際にも、自民党の国会議員は文部科学大臣政務官として大阪に出張し、「ありうる体罰とそうじゃない体罰の線引きが必要」と発言し、大きな問題となりました。日本共産党はこうした風潮を許さず、なぜ体罰がいけないのかを多くの人々と根本から考えあい、学校から体罰・暴力をなくすために全力をつくします。

学校から「指導死」をなくします……部活や生活指導のなかで、教員の「指導」により、子どもがおいつめられ、あるいは暴行をうけ、自殺したり、一生寝たきりになるほどの怪我を負ったりするなどが後をたちません。「指導」の名で子どもを傷つけたり、見せしめにして人格を否定したりすることは、教育の場であってはならないことです。「指導死」をなくすため、通達を出すだけの「通達行政」「手引き行政」をあらため、教員の指導の中に安全配慮義務や「人間の尊厳」の尊重を確立するために、教員集団の話し合いや研修などの措置をとります。「指導死」などがおきた場合、いじめの重大事件と同様に事実関係の調査と再発防止のために、第三者調査などを義務付けます。

学校の安全対策をすすめます……「学校災害給付」件数は年間200万件に増加し、学校での事故や犯罪から子ども、教職員らの生命を守る仕事は急務です。「安全配慮義務」を明記するなど、子どもの「安全に教育を受ける権利」を保障する「学校安全法」「学校安全条例」の制定を支持します。不審者対応を含めた安全対策のための専門職員配置や施設の改善をすすめるとともに、学校安全のための住民の自主的なとりくみを支援します。

不登校の子どもを温かく支援し、フリースクールなどへの経済的支援をおこないます

不登校の子どもの安心を第一に、学びと自立を温かく支援します……不登校の子どもが12万人を超えているのは、日本の学校が子どもにとって息苦しい場となっていることを示しています。競争的で管理的な学校や社会のうみだした問題であり、不登校を本人や家庭の責任とすることはまちがいです。この立場から、以下の政策を進めます。①子どもと親とが安心して相談できる窓口を拡充する。②子どもの居場所として、学校復帰を前提としない公的な施設を拡充する。③学校以外のさまざまな学びの場(フリースクール、フリースペースなど)をきちんと認め、公的支援をおこない、学校と同等の支援をめざす。④不登校の家庭の子育てを支えている親の会などへの公的支援をおこなう。⑤学校をすべての子どもにとって〝安心して休める学校〟にし、子どもを緊張感から解放する。⑥「不登校を三年で半減」「不登校ゼロ作戦」など学校復帰を前提とした、子どもや親をおいつめる施策をやめさせます。

「教育機会確保法」の不登校に関する部分について……16年に同法を策定する際、学校への復帰を前提とした内容に、「子どもと親をさらに追い詰める」と不安の声が広がりました。私たちは改善をもとめ反対しました。同時に、当事者や保護者のみなさんの反対運動と国会審議により、「児童生徒の意思を十分に尊重」などの付帯決議がついたことは重要です。こうした到達をふまえ、同法を暴走させず、子どもの意思を尊重する施策を進めるために役立てます。今後、法律の問題点を改めるとともに、不登校の子どもを支える多様な場への経済支援を支える方向で、法改正に取り組みます。

「ひきこもり」の青年の相談・支援をつよめます…… ひきこもりが今日のように数十万人にも広がった背景には、競争的な教育や不安定雇用の拡大など「弱肉強食の社会」が、人々に挫折感を与え、かつそこからの 快復を支える人と人とのつながりを希薄にしてきたことがあります。安定雇用や社会保障を拡充し、「だれでも安心して生きられる」社会への転換をはかります。ひきこもりとその家族を支える児童相談所、保健所、医療機関などの専門機関を拡充します。地域の就労支援のネットワークを築くとともに、支援団体への助成をふやし経験・知識を生かします。

主権者教育、市民道徳など民主主義社会にふさわしい教育をすすめます

民主主義の原則にもとづく主権者教育をすすめます……18歳選挙権の実施にともない、主権者教育、政治教育をいっそう充実させます。主権者教育、政治教育では、「個人の尊厳」や基本的人権の重要性を学び、主権者として批判的に政治や社会の問題を考え、みずから行動してよりよい社会をつくる主権者に成長することが大切です。国民の間で意見の対立がある政治課題を扱う場合、教員が特定の政治的立場を押し付けないことは、民主主義社会での教育の大原則です。同時に、生徒から尋ねられた時や授業の必要から、教員が自らの政治上の意見を強制しない形で述べることは当然保障されなければなりません。学校での主権者教育、政治教育にたいする政治家や行政からの不当な介入に反対し、教育が自主的にすすめられるようにします。

高校生の政治活動の自由を尊重します……憲法はすべての国民に政治活動の自由を保障しており、高校生にもとうぜん政治活動の自由があります。安保法制など様々な問題について高校生たちはのびのびと活動しています。ところが国は、昨年10月に高校生だけ政治活動を禁止・制限する通知を出し、一部には集会参加や演説会を聞くなどの政治活動を届け出制にする高校まででています。このような憲法違反の制限に反対し、高校生の政治活動の自由を一般市民と同様に認めます。

道徳教育も個人の尊厳・民主主義を土台にすえます……民主主義社会の道徳教育は、すべての人に人間の尊厳があることを土台にし、子ども一人ひとりの選択による価値観形成を大切にする、市民道徳の教育として行われることが大切です。戦前の封建的な道徳教育のようになってはいけません。ところが安倍政権は「道徳の教科化」によって、国が教科書検定などを通じて上から子ども、ひいては国民の道徳を管理しようとしています。このような国定道徳の押しつけに反対します。憲法や子どもの権利条約などの学習、いじめや人間関係のトラブルなどをみんなで解決していくクラス討論や学校行事などの自治活動、すべての授業や生活で子どもが人間として大切にされ体罰などがきびしく批判されること――そうした教育全体をとおして市民道徳の教育が行われるようにします。「道徳の時間」はそれらの一つとして位置づけてこそ有効なものになります。また愛国心についての教育は、戦前の偏狭な愛国心をともなっておこなわれた植民地支配と侵略戦争の歴史の問題を伝えてこそ、世界の人々と共生できるものとなりえます。

厳しすぎる校則や「ゼロトレランス」政策、「学校スタンダード」を見直します……「靴下の色は白一色。少しでも模様があれば違反者となり、親は白い靴下を買って学校に届けなければならない」日本にはこのような人権無視にいたる校則がいまだにあります。こうした理不尽な校則をあらためます。子どもに市民的自由を認めないことは、人権の侵害であり、子どもを人間として大切にする教育とは正反対のものです。ところが、「生徒が規則を破ったら一律に厳しく罰し、生徒が規則を破った理由は聞いてはならない」など生徒の言動を問答無用で押さえつける「ゼロトレランス」政策が各地にひろがっています。挙手や起立の仕方、机の上に出すものの指定など子どもたちの行動をこと細かく型にはめようとする「学校スタンダード」も広がっています。これらは子どもを独立した人格として認めず、調教しようとするものであり、根本的に見直します。子どもの人格を尊重する学校をつくります。

自主的な性教育を尊重するとともに、性的マイノリティ(LGBT)の子どもへの配慮をすすめます……性教育は、子どもを人間として大切にしようと、専門家や保護者らの努力ですすめられてきました。ところが一部の政治家が、マスメディアも動員した性教育バッシングを行うなかで、現場の柔軟なとりくみが萎縮させられています。こうした政治的介入をゆるさず、子どもたちに科学と人権をベースに、体や心の仕組みや発達、性のちがいや多様性などを伝え、自己肯定感情をはぐくむ、自主的な性教育を尊重します。

 同性愛や性同一性障害などを含む性的マイノリティ(LGBT)の子どもへの適切な配慮を求める運動は国を動かし、配慮を求める通知が全国の学校にだされました。「児童生徒が自認する性別の制服・体操着などの着用を認める」「標準より長い髪型を一定の範囲で認める(戸籍上男性)」「着替えの際に皆とは別に保健室の利用を認める」「修学旅行で1人部屋の使用を認め、入浴時間をずらす」などの配慮が実際におこなわれるようにするとともに、教職員や子どもたちの理解を進めるため、研修や授業での取り扱いをすすめます。

過去の戦争への反省を教育の面からも重視します……日本がかつておこなったアジア諸国にたいする侵略戦争と植民地支配は、アジアの人々の無数の命を奪い、塗炭の苦しみを与えました。過去の歴史への反省は日本国憲法に刻み込まれ、日本が戦後の国際社会に復帰した際の大前提ともなっています。その立場から、過去の侵略戦争と植民地支配の歴史的な事実と反省を教科書に反映する努力をすすめます。過去の侵略戦争と植民地支配への反省は、日本の子どもの人間的な誠実さや真の誇りをはぐくみ、世界とアジアの人々と肩を並べて生きていく子どもを育てるうえで不可欠です。「日本の戦争は自存自衛とアジア解放が目的」「日本軍慰安婦などなかった」などの事実と日本の根本的立場に反する立場からの教育現場や教科書にたいする介入を許さないため全力をあげます。

教育への国家統制に反対し、豊かな授業と教育をすすめます

 教育は自由な雰囲気のもとにあってこそ花開きます。とくに授業は、諸分野の学問的な到達にたった教員の自主性や創造性が保障されてこそ、子どもが感動する生き生きとしたものになります。そうした立場から、教育への国家統制に反対し、教育の自主性を守り、豊かな授業と教育がすすめられるようにします。

学習指導要領を強制性のない「大綱的基準」とします……現在の指導要領は国の強い関与のもとに一部の考えだけでつくられ、過密カリキュラムで「落ちこぼし」 をふやす、内容的にも科学性や系統性に欠けるなど多くの問題をかかえています。にもかかわらず「法的強制力」があるとされ教員に強要され、スピード授業、創造性のない画一的な授業の原因となっています。学習指導要領の内容を、研究者や教職員、保護者など国民参加で抜本的に見直すとともに、その強制性をあらため、戦後直後のように「試案」と明示して子どもの状況や学校・地域の実情に即した教育課程を自主的につくれるようにします。なお、現在の「小学校英語」や2020年度導入が検討されている「小学校英語の教科化」は、体制なしに形だけ「英語」教育をすすめるもので、英語教育の専門家や教育現場からデメリットが大きいと批判と疑問の声がおきています。豊かな英語教育へ国民の各分野の英知をあつめて再検討します。

学力形成に有害な全国学力テストを廃止し、創造的な授業を奨励します……安倍政権が全国学力テストを導入してから、各地で学校・教員が平均点競争に走らされ、「平均点を上げるため先生が正解を教える」「テスト対策のドリルばかりでほんらいの授業がおろそかになる」などの問題が噴出しています。学力形成に有害な全国学力テストを廃止し、学力の全国的調査は以前のような抽出調査に戻します。そのかわりに面白く分かりやすい自主的な授業づくりを奨励し、学習のおくれがちな子どもへのケアを手厚くするなど、ほんらいの学力形成をすすめます。

習熟度別学習などの強制に反対し、多様な教育方法を保障します……国や行政は、個々の教員の授業のやり方にまで介入をつよめています。習熟度別学習は、子どもをふるいわけ、人間として傷つける危険のつよい方法であり、慎重に取り扱われなければなりません。その強制に反対します。安倍政権がすすめようとしている「アクティブ・ラーニング」も、特定の授業方法を機械的に教員におしつける危険の強いものです。すべての子どもが「わかった」と瞳をかがやかし、自然や社会の基本的なしくみや法則を理解できるよう、自主性が保障された多様な教育方法を保障します。

教科書制度を改善します……現在の教科書検定は、検閲的な様相がつよく教科書を魅力のないものにしています。しかも安倍政権は「社会科教科書は閣議決定の内容を書け」などと教科書を政府言いなりのものにしようとさえしています。こうした動きに歯止めをかけ、執筆者の創意が生かされ、多彩でユニークな教科書がうまれるようにします。教科書採択は、その地域や学校の子どもにもっともふさわしいものを選び取る教育的な行為です。各教科の教授についての知識や経験がない教育委員会が独断で決めるのでなく、各教科を教えている現場教員の判断、さらに保護者や住民の意向を反映して採択が行われるようにします。将来的には、検定制度そのものをやめ、教科書は、専門家や教員、保護者らからなる第三者機関が検討して認証する認証制度とし、開かれた討論を通じて教科書が学問的な事実に即し、魅力あるものになるようにします。

子ども・保護者・教職員・住民による「参加と共同の学校」づくりをすすめます……子ども・教職員・保護者・住民らが話し合って教育を創造していく「参加と共同の学校」をめざします。職員会議の形骸化をあらため、教育方針についての合意形成の場として位置づけます。学校評議員制度や地域運営学校は教員や生徒の参加を保障し、改善します。行政の決めた数値目標に教育を従属させてゆがめる「PDCAサイクル」などの押しつけに反対します。

「日の丸・君が代」の強制に反対します……憲法19条(思想、良心、内心の自由)に違反する、「日の丸・君が代」の強制に反対します。入学式・卒業式は、子どもにとって最善のものにするため、教職員、子ども、保護者で話し合って行なえるようにします。その合意によって「君が代」斉唱がある場合でも、アメリカのように、斉唱を拒否する自由が生徒にも教職員にもあることを明確にして、内心の自由を守ります。

大学入試や高校入試などを競争主義からの脱却の立場から大胆に改革します

 日本は高校入試が基本的にあり、大学入試も大学の学部ごとに一点を競う形であるなど、欧米にはないような競争的な教育制度があります。国連の子どもの権利委員会からは「高度に競争的な教育制度が子どもの発達をゆがめている」と繰り返し改善が求められてきました。

 競争主義の教育は、子どもの人格形成に欠かせない遊びや休息をうばい、人間関係をとりむすぶ力も弱まります。また点数のための勉強で「何のために学ぶの か」という大切なものを失います。落ちこぼされた子どもたちは、力があるにもかかわらず劣等感をかかえます。「できる」子どもにしても、歪んだ優越感をもち、早く「答え」を出すことの訓練で、深くものを考える力が伸びなくなります。

 こうした競争の教育に未来はありません。日本共産党は、競争主義の教育を改革し、子どもたちが助け合いながら、自分たちの人間性と知的能力をともに伸ばす〝連帯の教育〟をめざします。

大学入試制度の改革をすすめます……センター入試の導入や推薦入試の広がりのなかで、特定の少数の受験科目以外の教科の勉強をしなくなるなど、現在の入試制度は高校生の基礎的な学力を劣化させる要因にまでなっています。大学が偏差値で並べられ、そのどの位置に入るのかという大学選びのあり方は、高校生の学ぶ目的の喪失にもつながっています。ところが安倍政権のかかげる2020年度からの「大学入試改革」は、現行制度とほとんど変わらない小手先の「改革」にすぎなどころか、英語入試を民間の英語検定に丸投げするなど、受験料を大幅に値上げするものです。根本的な見直しを求めます。世界では、大学入学資格試験を課して一定の成績があれば大学に進学できるようにする、採点に手間をかけて論述を重視したり受験生との面接に多くの予算と人を使うなど、教育を受験競争で歪ませない工夫があります。そうした海外の事例も参考にしながら、〝ゆきすぎた競争主義からの脱却〟〝高校生がゆったり成長し自分の意志で勉強するようになる〟という視点にたち、さらに〝大学教育の段階的無償化〟の展望にもたった入試制度の抜本改革を国民的な検討の場を設けて検討し、改革をすすめます。

高校入試制度の改革をすすめます……高校学区の拡大などにより、偏差値による高校の順位付けの傾向がますます強まっています。また、合否を左右する内申書や推薦入試の許諾を盾にして、学校・教員が中学生を服従させるという問題も深刻です。こうしたことが思春期のただなかにいる中高生をどれほど傷つけているか知れません。ところが安倍政権は高校生ぜんたいに新たな有料の新たな学力試験を課そうとしています。すでに各種模試や就職のための仕組みがあるもとで、これ以上のテストはいりません。構想は中止すべきです。アメリカやヨーロッパでは基本的に高校への受験競争がないなど、こうした弊害から子どもを守る工夫があります。高校は進学率97%にたっし、基本的に選抜が不可欠な教育段階ではなくなっています。そのこともふまえて競争性を緩和し、中学生の成長を歪めないような高校入学のあり方を、国民的な検討の場をもうけて検討し、改革をすすめます。

小中学校の選択制を見直します…… 小中学校の学校選択制は、学校に競争原理を導入するという目的で導入されました。しかし導入した地域では、一方の学校に生徒が集中してマンモス校化する一方で入学者ゼロの学校をつくる、学校間競争に振り回されて「点数競争」など教育が歪む、地域の結びつきが弱まり教育力が低下する、など深刻な矛盾をもたら しています。選択制を見直し、子どものための弾力的で民主的な学区域制度とします。

教職員の「働き方改革」を、教職員定数増によって、実効あるものにします

先生たちの異常な長時間労働や、「非正規」教職員の急増は、教職員の生活や健康にとっても、子どもの教育のことを考えても、一刻も早く解決すべき問題です。その解決へ全力をつくします。
【チラシ】「政治でかえよう教職員の働き方」(公立学校教職員むけ)(しんぶん赤旗2017年10号外_PDF)

教職員の長時間労働を改善します……国の2016年度教員勤務実態調査は、平日の勤務時間が小学校で11時間45分、中学校で11時間52分など、10年前の調査に比べても長時間労働になっていることがわかりました。その実態は、朝7時前から夜9時、10時すぎまで働き、土日も仕事という過酷さで、しかも一番やりたい授業準備や子どもとむきあう時間がとれないという本末転倒の状態です。教員が勤務時間内に授業準備や子どもと向き合うことに集中できるよう、以下の方向で長時間労働の解決をすすめます。①教職員の増員(緊急に、この間の授業時数増にみあう定数増。持ち授業時数の上限を設け、それに見合った定数の抜本増)、②業務の改善(増えすぎた授業時数の削減、現場の負担も考えずに乱発した「教育改革」の中止、免許更新制の廃止、各学校の自由な話し合いによる業務の整理・削減)、③部活動の改善(すべての関係者の合意で、土日どちらか休養日、練習時間の上限設定、全国大会の縮小・廃止など)、④労働法の適用(勤務時間の把握、労働安全衛生体制の確立、勤務時間と健康についての研修、働きすぎたら休めるなど長時間労働の防止、教職調整額の維持と超過勤務手当の支給など)

臨時教員の待遇改善と正規化をすすめます……以前は教員の世界には、臨時教員は産休代替などの際の限定的なものでした。それが2004年の法改悪で「定数崩し」の制度(※)が導入され、臨時教員が限定なく認められるようになり急増し、今では全教員の16.5%をしめています。臨時教員は担任などの仕事をしているにもかかわらず、低賃金で来年の契約があるかどうか分かりません。そうした待遇を改善するとともに正規雇用にきりかえていきます。①教員が暮らしていけるだけの給与に引き上げます。②病休・有休取得、職員会議の参加などでの差別を禁止します。③臨時教員急増をまねいた「定数崩し」の制度を見直した臨時教員比率の上限を設定し正規化をすすめます。④自公政権が定数改善計画を廃止したことで、都道府県や政令市が正規採用の見通しをもてなくなっています。計画を策定し、正規採用がすすみやすくします。(※小泉政権時に行われた正規教員給与の予算を臨時教員に使えるようにした「規制緩和」)

パワハラやセクハラをなくし、風通しのいい職員室にします……上意下達の学校運営がひろがるもとで、パワハラやセクハラがふえています。国としてパワハラ防止の指針を策定して、学校職場に徹底します。上意下達の学校運営をあらため民主的な学校運営をすすめ、互いの人格を尊重し協力しあえる風通しのいい職場がつくれるようにします。

教員を専門職として尊重します……教員は専門職であり、上意下達では責任をもった仕事をすることができません。このことは「ILOユネスコ・教員の地位に関する勧告」にも明記された世界のルールです。教員を教育の専門家として尊重し、学校運営のみならず教育政策の決定でも重要な役割を果たせるようにします。

「教員免許更新制」を廃止します……「教員免許更新制」は、教員の身分を不安定にして、政府言いなりの「物言わぬ教師」づくりをすすめるものです。受講は自己負担の上に、大量の教員に「講習」が義務づけられるのに講習の開設義務が誰にもない、講習中の代替要員もないなど制度的にも破綻しています。同制度はきっぱり廃止にします。

教員の研修を改善します……新任の先生を長時間子どもから引き離す、官製の「初任者研修」を抜本的に見直します。

主幹制、主幹教諭制度を見直します……教員の専門職性や同僚性を弱め、教員組織を上意下達のピラミッド型組織に変質させる主幹制や主幹教諭制を見直します。教員採用、管理職昇任を公正なものにします。

「教員評価」制度を見直します……現在の「教員評価」制度は、教員の目を子どもではなく管理職や行政に向けさせるだけです。また行政が教員の優劣をきめ給与に差をつければ、教員どうしの協力や連携がこわされ、子どもの教育が劣化します。教員評価というなら、教員の努力を励ます、教育活動へのていねいな評価で あるべきです。そのためにも、子ども、保護者、同僚、専門家などの関与や、評価者と評価される者と双方向的な関係を大切にすべきです。

子どもを傷つける教員について……子どもを傷つける言動をする教員には、子どもの成長する権利を保障する立場から毅然と対処するとともに、問題をかかえる教員の人間的な立ち直りを促す支援を重視し、 そのための人員配置などの支援策をとります。「不適格教員」のレッテル貼りや「草むしり」「密室に座らせ続ける」などの「指導力改善研修」は、教員を人間として追いつめるだけであり、改善をすすめます。

私立学校の豊かな発展をささえます

私学は憲法が保障する公教育のひとつであるとともに、建学の精神や独自の教育理念によって多様な教育を求める国民の要求にこたえる、かけがえのない役割があります。日本共産党は私学を応援し、その豊かな発展をささえます。

安心できる就学支援金制度を築き、私立高校無償化をめざします……私立高校の学費負担は公立との格差もおおきく、その改善は焦眉の課題です。就学支援金の所得制限をなくし、すべての私立高校生が受け取れるようにするとともに、授業料無償をめざし、就学支援金を低所得層から順次、段階的にひきあげます(最終的には全員に平均授業料36万円を受給)。将来的には私学の公共性から考えれば、ヨーロッパのように学費負担も無償あるいは低額の「公設私学」の方向にすすむべきです。

入学金と施設整備費にたいする支援制度をつくります……入学金と施設整備費も学費です。それらへの国としての支援制度をつくります。当面、年収500万円以下の家庭で全額、800万円以下の家庭で半額を支給する制度をめざし段階的にひきあげます。

奨学給付金を拡充します……高校生にたいする国の奨学給付金が始まりましたが、受給対象が少なく、その額も十分ではありません。制度を拡充して、低所得の場合に通学費や生活費まで保障できるような制度をめざします。

私立中学生への学費支援制度の充実……国がはじめた支援制度をより実態にあったものに改善し、家計急変などで学校をあきらめることのないようにします。

私学助成をふやし教育条件の向上と経営の安定をはかります……生徒一人当たりの財政支出が公立の約三分の一という公私間格差を是正します。当面、経常費1/2助成の早期実現、校舎などへの助成の実現をはかります。

予算の誘導で専任教員をふやします……私立高校では非常勤講師、常勤講師の割合が36.8%にも達しています。講師は仕事が同じなのに低賃金、いつクビになるかわからない不安にさらされています。専任化を誘導する予算の創設で、若手の「使い捨て」を止めます。

私学の自主性を守ります……「私学の自由」は、国民の教育の自由を保障する上できわめて大切なものです。2007年に自公政権が強行した「教育三法」改悪は、私学にたいする権力統制に道をひらく危険があります。日本共産党の国会質問にたいして、政府は「私学の建学の精神尊重」を認めるとともに、教員評価・学校評価を私学助成の交付要件にすることを「考えていない」と答弁しました。こうしたことをふまえ、私学の自主性を守るために全力をあげます。

東日本大震災など被災地の教育の復興、原発事故への対応をすすめます

 東日本大地震から6年半以上が経過しましたが、被災地では教育上も解決すべき問題が今なお数多く残されています。現在進行中の福島第一原発事故による放射能汚染への対応も不十分で、子どもの被曝への心配もやみません。子どもは復興の希望です。その子どもたちの成長や安全が保障されるよう全力をつくします。

「給付型奨学金」の創設など被災者の教育費や生活の心配をなくします……震災により保護者の生活基盤が破壊されたことは、進学の断念、生活の困窮によるネグレクトなど子どもに深刻な影響をあたえています。復興の大原則として生活基盤復活を求めるとともに、被災者への返済不要の「給付型奨学金」(程度に応じて月数万円から10万円)を創設、被災者への私立高校、専修学校・各種学校、大学等の授業料減免の拡充、被災地の給食費、教材費等を復興まで不徴収とするための国庫補助、保護者の生活を支援するスクール・ソーシャルワーカーを中学校区に最低一名以上配置するなど教育の面から子どもの教育費や生活の心配をなくす手立てをとるようにします。震災によって親を失い、孤児となった子どもへの支援の体制を拡充します。

学校再建・教育条件整備を全額国の負担ですすめます……震災・津波など大規模な災害の場合、学校再建を全額国の負担ですすめるようにします。また、「原状復帰」という制約に固執せず、地元の要望にもとづいた再建を可能にします。震災に乗じて行政が学校統廃合を一方的に進めることに反対します。私立学校や専修学校・各種学校の再建や修繕も公立学校と同様の措置をとるようにします。

熊本地震被災地の教育の復興、子どもの支援をすすめます……熊本地震でも多くの学校が被害を受け、家がつぶれたり、親を失ったりした子どもも少なくありません。学校の復旧・再建は私立学校をふくめて全額国庫負担でおこなうとともに、教育費や生活費への支援をすすめます。

被災地の教職員定数をふやします……子どもの心のケア、生活の心配、学習の遅れなど、被災地の学校は多くの課題がある一方、教職員自身も被災による困難をかかえています。子どもたちをていねいに育てられるよう、被災地の教職員定数の増員をすすめます。とくに原発事故により福島県では多数の子どもが他県に避難し、また、避難しなくとも被曝を心配しながら教育活動を続けなければならないなど、きわめて困難な状態が続いています。そうした状況に対応するため少人数学級など手厚い条件整備をすすめます。

原発事故による健康不安への対応をすすめます……原発事故による被曝から健康を守る原則は、「これ以下なら絶対に大丈夫という値はない」という考え方(「しきい値なし」)にたち、被曝量を可能な限り下げることです。とくに子どもは大人より感受性が高いわけですから、被曝量をより低く抑える必要があります。保護者・子どもの要望と必要に応じて、健康診断などを無料で受けられるようにします。教職員の健康調査を毎年行うようにします。

避難解除地区の学校再開について……避難解除にともない、学校の再開が問題となっています。避難解除によって強引に子どもの帰還・通学を求めず、保護者の意思によっては避難先でも学校が保障されるように国の支援をつよめます。

原発と被曝についての科学的な教育を保障します……自公政権は2002年から、原子力発電所立地を目的とするエネルギー特別会計によって偏った原発推進教育をすすめていました。すでに「原発安全神話」が書かれた副教材「わくわく原子力ランド」等はわが党の追及で「見直し」となりましたが、それにかわって発行された副教材も、原発事故についての反省もなく、放射能や被曝の過小評価を子どもに与えるような内容となっています。こうした原発推進教育の影響を一掃して、原発や被曝に関する科学的な教育が自主的にとりくめるようにします。

憲法と子どもの権利条約を生かした教育法制度を確立します

 憲法26条は、国民の教育を受ける権利を定めています。そこでの教育とは、教育をおこなう側が自由勝手にしてよいものではなく、子どもの学習し成長する権利にこたえ、それを満たすことのできる者の責務です。戦前のように〝教育は国家のためにある〟として時の権力が教育を左右することは、平和・人権・民主主義の憲法の精神と相容れません。ところが、自民党は「戦後教育は間違いで、戦前の教育を再生しよう」「子どもの権利など認めてはならない」など極右的な主張を教育に持ち込もうとしています。私たちはこうした動きに断固として反対し、憲法や子どもの権利条約の精神を生かした教育をすすめるための必要な法制度をととのえます。

子どもの権利条約を教育に生かします……子どもの権利条約は、日本政府も批准しており、その精神と各条項を、政府、自治体ともに遵守することは当然のことです。ところが、日本政府は、「極度な競争的教育制度」の問題点を指摘した国連・子どもの権利委員会にたいし、「証拠を示せ」と居直りはじめました。こうしたことを許さず、「子どもの最善の利益」「意見表明権」「余暇・休息、遊び、文化の権利」など子どもの権利を学校などあらゆる教育の場で生かし、それに反する制度や法令を見直します。子どもたちが学校などで同条約を学べるようにするとともに、条約とそれに基づく子どもの権利委員会勧告を教職員や行政関係者などに周知徹底します。子どもに関する施策への子どもの意見反映をおこなう制度をととのえます。

憲法と子どもの権利条約に基づいて、教育基本法を改めます……教育への国家的統制を進める改悪教育基本法(2006年)を、憲法と子どもの権利条約に基づいて再改正するための国民的討論を進める場を設けます。そのなかで、戦前の教育を反省し、教育の目的を「人格の完成」にすえた、戦後初期の教育基本法(1947年)の精神を受け継ぎ、発展させることを重視します。

教育委員会を住民自治の教育機関として改革します……教育委員会は、ほんらいは教育の自主性を保障するため、一般行政から独立した住民の代表である教育委員たちが意思決定する住民自治の機関です。しかし制度は形骸化し、国の言うとおりの教育を学校に徹底するための上意下達の機関となり、大津市のいじめ自殺の隠ぺいに見られるような子ども不在の風潮もひろがっています。①教育委員たちが保護者、子ども、教職員、住民の不満や要求をつかみ、自治体の教育施策をチェックし、改善する役割をはたす、②会議の公開、教育委員の待遇改善や支援、教育への見識や専門性をもつ人物の確保など、教育委員会の役割が実際に果たせる体制をつくる、③政治的介入から教育の自由と自主性を守る、④憲法と子どもの権利条約の立場にたって行政を行う、⑤将来的には教育委員の公選制などの抜本的な改革を国民的合意の下ですすめる、という五つの方向で改革をすすめます。

(安倍政権の「教育委員会改悪法」に反対する国民的共同をよびかけます 2014年4月18日)(PDF)しんぶん赤旗2014年4月号外

 

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