各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

31、高齢者――社会保障の充実、住宅、雇用・就業先の確保

高齢者が安心してくらせる社会をつくります

2017年10月


 65歳以上の高齢者は3000万人にのぼっています。戦前、戦中、戦後の苦難の時代を、身を粉にして働きつづけ、家族と社会のためにつくしてきた人たちです。高齢者は「多年にわたり、社会の進展に寄与してきた者」「豊富な知識と経験を有する者」として「敬愛されるとともに、生きがいをもてる健全な安らかな 生活を保障される」と、老人福祉法には明記されています。高齢者が安心して暮らせる社会をつくることは政治の重要な責任です。

 ところが、 現役時代の低賃金や生活苦、高齢期に入ってからの社会保障の連続改悪などにより、多くの高齢者のくらしは逼迫し、「下流老人」「老後破産」などの言葉がメディアをにぎわす異常事態となっています。日本の高齢者世帯は、年収200万円以下の層が4割を占めています。国民年金だけを受給する人の平均受給額は月5・1万円、厚生年金でも、女性の平均受給額は基礎年金分を含め月10・2万円に過ぎません。生活保護受給者の半分は高齢者であり、自殺者のなかに高齢者が占める割合も、日本は世界のトップクラスです。

 こうした現実があるにもかかわらず、安倍内閣発足後、“社会保障が高齢者優遇となっている”“高齢者を支えるために現役世代が苦労している”など世代間を分断する宣伝が繰り返され、それが、年金・医療・介護などの改悪をすすめる“口実”とされてきました。

  日本共産党は、高齢者の尊厳を傷つけ、くらしと健康を破壊する悪政と対決し、高齢者が大切にされ、安心して老後をおくれる社会の実現をめざして全力をあげます。

年金給付の充実を――減らない年金、頼れる年金を実現します

 公的年金は老後のくらしを支える柱です。ところが、安倍内閣は、「特例水準の解消」の名による年金削減、「マクロ経済スライド」の発動、物価・賃金の低迷を理由にした年金のマイナス改定など、年金の削減・目減りを強行してきました。

 安倍政権の年金削減は、これで終わりではありません。

 安倍政権が2016年の臨時国会に提出し、自民・公明・維新の賛成で可決された「年金カット法」により、①現役世代の賃金指標がマイナスになった場合、ひたすら“低い方”にあわせて年金をマイナス改定する「賃金マイナススライド」、②各年度の「マクロ経済スライド」で“削り残し”が出た場合、その分を翌年度以降に繰り越し、物価・賃金が上がる年度にまとめて年金を目減りさせる「キャリーオーバー」――という2つの年金削減の仕組みが導入され、2018年度から順次実施されていく予定です。

 ほかにも、安倍政権は、所得が一定額を超える人に対する年金の「一部支給停止」、支給開始年齢の先延ばしなどを検討し、国会に法案を提出していくとしています。

 日本共産党は、安倍政権の“際限なき年金削減”に反対し、阻止するために全力をあげます。「マクロ経済スライド」をはじめとする年金支給削減の仕組みを撤廃し、“減らない年金、頼れる年金”を実現します。第一段階として、受給者全員に基礎年金満額の2分の1の公費負担を行い、低年金の底上げをはかります。次の段階では、月5万円の最低保障年金に保険料に応じた額を上乗せする制度をスタートさせます。これが実現すれば、現在、国民年金の満額を受け取っている人は、年金が月6・6万円から月8・3万円に底上げされることになります。

 「消えた年金」「消された年金」問題に対する国の責任を放棄することを許さず、「分限免職」した旧社会保険庁職員の再雇用をはじめ、問題解決の体制をとり、解決に責任を持つことを求めます。

後期高齢者医療制度の廃止、安心してかかれる医療制度へ

 後期高齢者医療制度は、国民を年齢で区切り、高齢者を別枠の医療保険に囲い込んで、負担増と差別を押しつける悪法です。2008年の制度導入後、すでに4回にわたる保険料値上げが強行されました。

 高齢者差別に怒る国民の批判をかわすため、制度導入時、当時の自公政権は、低所得者の保険料を軽減する仕組み(「特例軽減」)を導入しました。ところが、安倍政権は「制度の定着」を理由に「特例軽減」を撤廃していくことを決め、2017年度から、“もとは健保の扶養家族で、75歳になったことで後期高齢者医療制度に入れられた人たち”の保険料値上げが始まっています。際限のない保険料値上げと差別医療の推進というこの制度の害悪が、いよいよ本格的に、高齢者・国民に襲いかかろうとしています。日本共産党は、後期高齢者医療制度をすみやかに撤廃して、元の老人保健制度に戻します。 減らされ続けた高齢者医療への国庫負担を復元し、保険料や窓口負担の軽減をすすめます。

 医療費の重すぎる窓口負担に、多くの高齢者が悲鳴をあげています。ところが、安倍政権は、70~74歳の窓口負担を2割に引き上げる改悪を2014年度から実行に移しました。さらに、75歳以上への2割負担の導入など、高齢者を狙い撃ちにした窓口負担増も計画されています。

 欧州諸国など先進国では、窓口負担は無料または少額の定額制です。日本でも、岩手県沢内村(現・西和賀町)で始まった老人医療費無料化制度が全国に広がり、1973年から1983年まで国の制度として実現した歴史をもっています。

 日本共産党は、高齢者を狙い撃ちにした、安倍政権の窓口負担増計画を中止させます。社会保障再生の改革の第一歩として、まず、「現役並み所得者」も含めたすべての高齢者の窓口負担を1割とし、“窓口負担ゼロ”の医療制度へ前進していきます。

 国の責任で、高すぎる国保料(税)を緊急に引き下げます。削減された国保への国庫負担を計画的に増額し、だれもが払える国保料(税)に改革します。

 病床の削減・廃止計画や入院患者の“追い出し”路線をストップさせ、安心して入院治療・療養ができるよう体制をととのえます。

介護保険制度の拡充をはかります

 「老老介護」に疲れ果てた高齢者夫婦の無理心中や、要介護の高齢者を抱えた一家全員が遺体で発見される「孤立死」など、痛ましい事件が後を絶ちません。会社などで働いていた人が家族の介護・看護のために仕事をやめる「介護離職」が毎年10万人、十年間で105万人にのぼるなど、介護の問題は、現役世代にとっても、大きな不安要因となっています。重い保険料・利用料の負担、深刻な介護施設の不足など、“保険あって介護なし”の事態を解決することは、いまや国民的課題となっています。

 ところが、安倍政権はこの5年間、要支援者サービスの保険給付外し、特養入所の「要介護3」以上への限定、利用料の2割負担・3割負担の導入、施設の食費・居住費の負担増など、介護保険をいっそう“サービスが利用できない保険”にする改悪を連打し、介護事業所の経営や介護現場の人手不足を加速する、介護報酬の大幅削減を強行しています。

 これだけの大改悪を実行しながら、口先だけ「介護離職ゼロ」を叫ぶなど欺まんでしかありません。

  日本共産党は、介護保険の大改悪に反対し、特養ホームの抜本的増設による「介護難民」の解消、低所得者に対する利用料・保険料の減免制度の創設、介護報酬の引き上げによる介護・福祉職員の賃上げと労働条件の改善など、必要なサービスが受けられる介護制度への見直しをすすめます。利用料・保険料などの国民負担増を抑えながら、介護制度の抜本的改善をはかるために、介護保険にたいする国庫負担割合をただちに10%引き上げ、公費負担割合を60%にします。

高齢者の「住まいの人権」を保障します

 高齢者で、現在、居住している住宅で困っている人は4割を超えます。特養ホーム待機者は50万人を超えており、ケアハウス、グループホームなどの入居希望者も増えています。政府は、「高齢者住まい法」を改定し、「サービス付き高齢者向け住宅」の建設を推進していますが、その利用者は、家賃・食費・サービス費・介護保険の自己負担分をあわせて月15~20万円程度を負担できる人に限られます。低所得・低年金の人も含め、高齢者に住まいを確保する取り組みが必 要です。

 低所得で体調に不安があり、様々な理由から同居家族がいない高齢者を低廉な費用で住まわせる「軽費老人ホーム」の増設、低所得者や 高齢者が住み慣れた町で暮らせるよう、国と自治体の責任で住宅整備や家賃補助を行う「地域優良賃貸住宅」の活用など、住宅福祉を抜本的に拡充します。虐待被害や貧困など困難を抱える高齢者を、市町村が救済して入所させる養護老人ホームの機能の再生・拡充をはかります。

介護保険の住宅改修の改善をはかるとともに、自治体による住宅改造助成制度の新設・拡充をすすめます。サービス付き高齢者住宅については、自己負担への補助制度や入居者のくらしと権利をまもる仕組みづくりをすすめます。

 公営住宅やUR(都市再生機構)の賃貸住宅の建設をふやし、高齢者むけ家賃減免制度の拡充をはかります。民間賃貸住宅に暮らす高齢者にたいする自治体の家賃補助制度の普及をすすめます。

高齢者の就業・雇用の保障をすすめます

 政府は、年金制度改変の議論とも呼応させながら、“高齢者の就労促進”を叫んでいます。しかし、実際には、雇用継続や再雇用が認められる代わりに“賃金のダウン”“子会社への出向”といった待遇悪化を強いられたり、ハローワークにかよっても、希望どおりの職種が見つからないなど、働き続けたいと望む高齢者の多くは、さまざまな困難を強いられているのが実態です。

 政府は、2012年の高年齢者雇用安定法の改定で、定年を65歳まで引き上げるか、60歳定年後も希望者全員を65歳まで再雇用するか、いずれかの対応をすることを使用者に義務づけました。しかし、実際には、使用者が労働者を選別する『抜け穴』がつくられ、病気や障害のある人への差別が横行しています。また、雇用継続がされた場合でも、雇用する企業は『グループ企業』でも良いとされたために、関連企業への派遣・出向による賃金の大幅ダウン、退職・移籍の強要、労働者の心身の負担、親企業の雇用責任回避などが起こっています。

そうした差別を受けた労働者が裁判に訴え、“定年前と同じ仕事をする定年再雇用者に賃金差別をするのは違法”という判決がでるなどの状況も生まれています。

 待遇の悪化が高齢社員のモチベーションを下げ、企業側が期待する「長年、培ってきた専門能力の発揮」「人脈や顧客等の継承を通した後進の指導」などの役割発揮を妨げていることには、日本経団連など財界も危惧の声をあげています。

 国による企業・経営者への指導・監督の強化、『抜け穴』をふさぐための法令改正を求めます。年齢による賃金差別や、年齢を理由とした解雇をやめさせるため、アメリカやEUで実施されているような、「年齢による差別を禁止する法律」(仮称)の制定をめざします。

 地域の実情におうじて高齢者の就労・社会参加の場を広げることも大切な課題です。

 シルバー人材センターでは、「いきがい就労」とともに、就業時間が緩和された高齢者派遣についても、賃金・労働条件・災害補償などの改善をはかります。高齢者の就労の場の確保のために活動している団体に対して、行政が支援をおこなうようにします。

 OECDの「高齢者の就業率の国際比較」によれば、日本の高齢者の就業率は20・1%で、フランス(2・2%)、ドイツ(5・4%)、イギリス(9・5%)の2~9倍という水準となっています。また、高齢者が就労を続ける理由は、日本は、「収入が欲しいから」が49・0%のトップで、「仕事が面白いから」と答えた人は16・9%にとどまりますが、ヨーロッパ諸国では、軒並み「仕事が面白いから」が4~5割のトップで、「収入が欲しいから」と答えた人は2~3割にとどまっています。これらの事実は、日本で多くの高齢者が就労を希望する大きな要因に、年金・社会保障の水準が低すぎ、収入のために「働かざるを得ない」実態があることを示しています。

 高齢者が自らの意欲と能力にふさわしく働ける環境を整備することと同時に、社会保障を抜本的に拡充し、“高齢者が無理をして働かなくても暮らしていける社会”に転換していくことも重要です。

安心・安全のネットワークづくりをすすめます

 一人暮らしの高齢者(65歳以上)は年々増えつづけ592万人にのぼります(2016年)。だれにもみとられず亡くなるという、痛ましい孤独死は、民間団体の推計で年間2万人を超えるとされています。その背景には、医療制度の連続改悪、生活保護の“門前払い”や受給者バッシング、介護保険の導入を契機とした自治体の高齢者福祉の後退があります。社会保障改悪をやめて、改善・充実を図ることと同時に、行政が責任をもって地域住民と協力しあい、高齢者を地域でささえる、安心のネットワークをつくることが急務です。

 日本社会の病理化が進行し、虐待被害や貧困・孤立など処遇困難な高齢者が急増する今こそ、自治体の福祉・保健・公衆衛生の再構築が必要です。自治体と地域包括支援センターが地域の高齢者の実態を把握し、介護保険や民間事業所では対応できない人を自治体が直接救済する体制を強化していきます。そのために、自治体の福祉職員の増員、地域包括支援センターの体制強化、養護老人ホームへの財政支援などをすすめます。

 NPO、ボランティア団体、地域自治会、社会福祉協議会などに、地域で高齢者の暮らしをささえる多様な主体に保険給付の“肩代わり”を押しつける改悪を中止し、本来の役割の発揮を応援して、高齢者への配食サービス、見守り活動、緊急通報システムなどの普及・拡充をはかります。高齢者が積極的に外出し、住民同士で会食や交流などができるミニ集会所をきめこまかに整備します。

 600万人に達するといわれる「買い物弱者」(買い物難民)をなくすため、移動販売車への補助、商店街・小売店への移動手段の確保などを行います。

 

 (c)日本共産党中央委員会