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日本共産党

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赤旗

2017総選挙/各分野の政策

30、「民意の届く」選挙制度改革・「政治とカネ」

2017年10月


1.国民の声が届く国会へ選挙制度改革――小選挙区制の廃止、企業・団体献金の全面禁止、政党助成制度の廃止

 多くの国民が、国会の議席と民意の乖離を目の当たりにし、「自分たちの声を無視するな」との思いを強めています。なぜ、国民多数の声が国会に届かないのでしょうか。

 今から約20年前、細川政権下のいわゆる「政治改革」によって、小選挙区比例代表並立制の導入と政党助成金制度の創設が行われました。この「政治改革」は、国民が求めた金権腐敗政治の一掃にならなかったばかりか、民意の反映をゆがめ、「政党の堕落」と「政治家の劣化」をまねきました。

 日本国憲法施行から70年、女性参政権獲得以来、昨年、選挙権年齢が18歳からに拡大しました。「政治改革」からの20年を検証し、根本的に見直し、民主主義と政治の在り方についての国民的な議論が必要ではないでしょうか。

(1)「民意が届く国会」を実現するため、小選挙区制を廃止し、民意が正しく反映する比例代表中心の選挙制度に抜本改革します。民意を切り捨てる定数削減には断固反対します。

“民意を削減する”国会議員定数の削減に反対します

 昨年(2016年)の通常国会で、自民・公明の与党などは衆議院議員定数10削減の法案を成立させました。しかし、この定数削減にまったく根拠がないことは明白です。

 自民党・公明党案、民進党案は、第三者機関「衆院選挙制度調査会」の答申が元になっていました。この答申に定数10削減が盛り込まれていたことは事実ですが、「削減案を求められるとするならば」との気持ちから書き込んだと、元調査会座長の佐々木毅氏が答えています。答申の結論は何だったのかと言えば、衆議院議員定数について「国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず」、「定数を削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い」ということが、明確に書かれています。

 いったい、各党は何を基準に定数削減が必要だというのでしょうか。はたして現在の「国会議員数は多い」のでしょうか。

 議員定数のあり方は、国民の代表をどう選ぶかという選挙制度の根幹をなす問題です。

 国民の代表で構成される国会の役割でもっとも大事なことは、政府を監視し暴走させないようにすることです。定数削減によって、国会の政府監視機能が低下することは明らかです。

 日本の国会議員の総定数は、80年代には、衆院512、参院252でした。ところが、「政治改革」以来の20年の間に衆参ともに定数が削減され、現在では、衆院475(削減後465)、参院242議席となっています。わが国の男子普通選挙法1925年制定時には、人口は今の半分で衆院466、「人口12万人で1議員を配当」したことからみても、議会政治史上もっとも少ない水準となります。

 国会議員1議席が何人の国民を代表しているかをみると、現行の衆院定数(475)は、人口約27万人に1議席の割合です。イギリス、ドイツなど諸外国(下院)は10万人に1議席の水準であり、国際的にみても、日本は議員が少ない国となっています。

 これ以上「国民の代表」を削減する定数削減を行うことに合理的根拠は存在しません。

 法案審議の中で、自民党提案者は、今回の削減によって「90年前の水準に国会議員数が減ってしまう」とのべ、衆議院議員は「代議士と言われているように、選挙区の代表だから、できるだけ多い方がいいのではないか」と思うと答弁しました。「国会議員が多いとは思っていないが、ひとまず減らす」というのは、まったくの論理矛盾です。

 定数削減の提案者は、あれこれ弁明はしても、国会議員数をなぜ削減しなければならないのか、合理的な根拠を示せず、ただ、声高に「身を切る改革」を叫んでいるだけです。

 「身を切る改革」とは、民主党・野田首相が公約にもなかった消費税増税を提案するにあたって、「国民の皆さんに消費税増税をお願いする以上、政治家も身を切る改革が必要だ」と発言したことに、端を発したものです。消費税増税を押し付けるために、定数削減を行うことは、全くのすり替えであり、何の道理もありません。

 この批判に対して、自民党提案者は「身を切る改革イコール定数削減との考え方にくみするべきではない。国民の声を代弁する貴重な議席は国会議員のものではなくて国民のものだ」と明確に答えました。民進党提案者も「定数を減らしていけば、議員が様々な法案に接する機会が減っていく。国会にかかっている案件数、重さと比較して、(定数削減が)妥当なのか」と述べたのです。

 定数削減によって切り捨てられるのは、主権者・国民の声であり、国会の政府監視機能が低下するという弊害を、提案者も認めているのです。

 理由も根拠も見いだせず、国民の声を代弁する国会議員定数を削減するなど、断じて許されません。

 主権者・国民の代表の選びかた、国民の参政権の在り方について、国民的な議論を呼びかけます。

多くの「死に票」を生みだし、投票した過半数の民意を切り捨てる小選挙区制を廃止します

 日本国憲法は、国民が主権者であり、「日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」すると前文の冒頭に明記しています。民意を正確に反映した国会での徹底した議論を通じて、国の進路を決めることこそが、国民主権の議会制民主主義です。

 ところが、いまの国会は、現行の小選挙区比例代表並立制によって民意の反映が著しくゆがめられています。

 この20年間、小選挙区制の下で7回の総選挙が行われました。小選挙区において第一党は4割台の得票率にもかかわらず、7~8割もの議席を占め、議席に反映しない投票、いわゆる「死票」は各小選挙区投票の半数にのぼっています。まさに、小選挙制の根本的欠陥を浮き彫りにしたものにほかなりません。

 今の自民党・安倍政権を支える衆院で300に迫る議席は、2014年総選挙で全有権者の17%(絶対得票率)の支持で獲得したものです。このもとで、2015年、国民多数が反対する中、民意をゆがめた「虚構の多数議席」によって、戦争法(安保法制)を強行成立したのです。さらには、沖縄県民の圧倒的な民意を踏みにじり、辺野古の米軍基地建設を強行する。どの世論調査でも反対が5~6割となっている原発再稼働にも突き進む。平和主義・立憲主義を破壊する暴挙が、現行の小選挙区制の害悪を明白に示しています。

 今年の通常国会で、定数削減と同時に、現行小選挙区制の温存が図られました。

 小選挙区間の1票の格差を解消するとして、「アダムズ方式」の採用だけにとどまらず、自動的に定数配分と区割りを行う格差是正の仕組みを盛り込んだ、長期的に現行制度を維持できる設計を組み込んだのです。

 憲法が求める投票価値の平等は、選挙区間の人口格差是正にとどまりません。

 自民党も公明党も民進党も、現行制度が「民意を過度に集約している」ことを認めながら、なぜこの根本的な問題を放置するのでしょうか。「世論が(現行制度の改革を)求めていない」と言い訳をしますが、安倍政治の暴走を目の当たりにした国民は、この暴走政治が、小選挙区制がつくりだす「虚構の多数」によるものだと気づいています。立憲主義・民主主義の回復を求める世論の広がりにこそ、真剣に向き合うべきです。

 いわゆる「政治改革」において、政権交代を可能とするため、民意の集約が必要だと小選挙区を導入したことに、諸悪の根源であり、「虚構の多数」による強権政治の害悪が明白となった今、「政治改革」を根本から問い直すべきです。

 民意と議席に著しいかい離を生み出す小選挙区制は廃止し、民意を反映する選挙制度へ抜本的に改革すべきです。

参議院、衆議院ともに、民意を正確に反映する比例代表中心の選挙制度に改革します

 参議院選挙制度の見直しは、2009年に最高裁が投票価値の平等の観点から「現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と指摘したことを契機とし、2012年には最高裁が違憲状態と判示し抜本改革の実行をもとめています。

しかし、この抜本改革は先送りされ続けています。2012年に、我が党などが反対する中、民主・自民両党が糊塗した「4増4減」につづいて、2015年の通常国会で、自民・維新など5会派によって「2合区10増10減」が可決・成立させられました。

 昨年の参院選から、隣接選挙区の「合区」が導入されました。都道府県単位の選挙区を基本的に維持しながら合区する手法は、数合わせ感を否めないばかりか、一部の県のみが単独の選挙区でなくなることによる「格差」と不公平を新たに生じさせます。さらに、人口変動によって合区の府県の見直しが必要となるなどの根本的な問題点も残ります。しかも、「合区」を一方的に決めながら、その解消のために改憲が必要との主張はきわめて無責任です。

 「2合区10増10減」をおこなった改正公選法付則には「選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得る」と書き込まれました。国民的な抜本改革の議論を進め、その実現をはからなければなりません。

 いま、国民は「私たちの声が届く国会を」と求めています。この声にこたえ、国民・有権者の参政権の点からも、民主主義の根幹をなす選挙制度を抜本的に見直し、多様な民意が正確に反映される比例代表を中心とした選挙制度にすべきです。

【選挙制度改革についての日本共産党の提案】

●衆議院選挙制度について、小選挙区比例代表並立制を廃止し、民意を正確に反映する比例代表制への抜本改革を行います。議員総定数は元に戻し、全国11ブロックを基礎とした比例代表制にすることを提案します。

●参議院議員選挙制度について、総定数の削減は行わず、多様な民意が正確に反映される比例代表を中心とした選挙制度にすることを提案します。

(2)カネで政治をゆがめる企業・団体献金(企業・団体によるパーティー券購入を含む)を禁止します。政党助成制度を廃止します。

 日本共産党は、前回(2014年)総選挙の後、政治資金パーティーを含む企業・団体献金全面禁止法案と政党助成法廃止法を提出しました。両案は、衆議院の委員会で法案の質疑が行われ、答弁も行いました。

 企業・団体献金の全面禁止と政党助成制度の廃止を一体として行うことは、金権腐敗政治を根絶するうえで不可欠の道です。

 政党助成制度は、もともと金権政治一掃をもとめる国民の批判にこたえるため、1994年「政治改革」で「企業・団体献金の廃止」とひきかえにという口実で導入されました。しかし、実際には、温存された政党本部・支部への企業・団体献金を受け取りながら、もう一方の手で国民の税金である政党助成金を受け取り、「企業・団体献金も、政党助成金も」“二重取り”が続けられているのです。

 同時に、日本共産党は、こうした方向を主張するだけでなく、企業・団体献金も政党助成金も受け取らないことをみずから実行しています。

企業・団体献金を全面禁止します

 「政治をカネ」をめぐる疑惑が、相変わらず続いています。このような問題が浮上するたび、「国民に疑惑をもたれてはならない」との議論がおこりますが、今こそ、金権腐敗政治の根源である企業・団体献金の全面禁止に踏み出すべきです。

 20数年前、リクルート事件、ゼネコン汚職など、自民党の金権腐敗政治に国民の厳しい批判が向けられました。当時、細川内閣のもとで提案された「政治改革」法案は、「企業・団体献金については、廃止の方向に踏み切る」といいながら、実際には、「政党支部への献金は認める」「政治資金パーティーは残す」という二つの抜け道をつくり、企業・団体献金を温存してきました。

 直近2015年分の総務大臣届出分と都道府県選管届出分の合計をみると、政界全体への企業・団体献金総額は90億0100万円にのぼり、政治資金パーティー収入の総額は186億7100万円となっています。

 「政治家個人に対する企業・団体献金は禁止するが、政党には認める」とされたため、政治家は党支部をたくさんつくり、党支部を受け皿に、企業・団体献金を受け取っているのです。現在、総務省に届けられている各党の支部は9000近くにのぼっています。

 パーティー券は、その大半を企業・団体が購入しているのが実態であり、形を変えた企業・団体献金にほかなりません。この巨額の政治資金パーティー収入が透明化されていないことも問題です。

 そもそも、企業の政治献金は、本質的に政治を買収する賄賂であり、ただちに全面禁止すべきです。

 国民一人ひとりが、自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのもの、「国民固有の権利」です。選挙権を持たない企業が献金することは国民主権と相いれず、国民の参政権を侵害するものです。

 企業献金を容認する人たちは、1970年の八幡製鉄最高裁判決を持ち出し、「企業も社会的存在である」などといって正当化します。しかし、今なお、この判決にしがみつくのは、国民の権利を侵害している実態から目をそらし、立法府が積み重ねた企業・団体献金禁止の議論を無視するものです。

 営利を目的とする企業が、個人をはるかに超える強大な財力で、カネの力で政治に影響をあたえ自己の利益をはかれば、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかです。

 政治のゆがみをただし、国民主権を貫くためにも、企業・団体献金の禁止がどうしても必要です。

政党助成制度を廃止します

 政党助成制度が1995年に導入されて20年余、国民に1人当たり250円を負担させ、毎年約320億円もの税金が日本共産党以外の各政党にばらまかれました。その総額は約7106億円(~2017年7月分)に達し、各党が受け取った金額は、自民党3307億円、民進党2071億円、公明党547億円にもなります。

 そもそも、国民は、自らの思想、政治信条に従い、支持政党に寄附する自由と権利をもっており、政治資金の拠出は、国民の政治参加の権利そのものです。ところが、税金を政党に配分する政党助成の仕組みによって、国民は、自ら支持しない政党にたいしても強制的に寄附させられることになります。

 日本共産党は、このような制度は、「思想・信条の自由」や「政党支持の自由」を侵かす、憲法違反の制度であると指摘し、その創設に反対するとともに、一貫して政党助成金の受け取りを拒否してきました。

 重大なことは、政党助成制度が、きわめて深刻な形で「政党の堕落」をまねいていることです。

 政党助成金を受け取っている各党の本部収入に占める比率(2015年分)は、自民党が66.2%、民進党が81.4%、当時の維新の党が83.4%などです。この制度の導入の際には提案者から「税金に過度に依存しないことが必要」との議論がありましたが、いまや政党助成金を受け取っている多くの党が、その運営資金の大半を税金に依存しているのが実態です。自らは税金に依存しながら、国民に増税を押し付ける、まさに厚顔無恥の態度であり、断じて許されません。

 また、制度導入以来、政党助成金を受けとった政党は40党、今年の7月分を受けとった政党は7党です。「5人以上の国会議員を集めれば政党助成金をもらえる」ことから、理念も政策もぬきに、政党助成金目当てに、おびただしい数の新党の設立と解散が繰り返されてきたことも、問題です。

 政党は、何よりも、国民の中で活動し、国民の支持を得て、その活動資金をつくる、ということが基本です。政党が、国民・有権者から「浄財」を集める努力をしないで、税金頼みになっていることから、カネへの感覚が麻痺し、庶民の痛みがわからなくなり、腐敗政治をつくりだす一つの根源になっていることも重大です。

 このように政党助成金頼みの政党をつくりだす制度は、「虚構の多数」をつくりだす小選挙区制とあいまって、「政党の堕落」や「政治家の劣化」を生み出しています。民主主義を壊すきわめて「有害」な税金の使い方は許されません。

 政党助成金制度はきっぱり廃止します。

(3)選挙活動の自由の拡大を求め、公職選挙法の抜本改正をすすめます。

選挙運動の自由を広げます

 日本の公職選挙法は、「べからず法」といわれるように、立候補や選挙運動にさまざまな規制が設けられています。これは政治的民主主義や国民の参政権の保障という点でも、重大な問題です。

 国政選挙に立候補する場合、供託金は比例代表で600万円、選挙区で300万円必要です。1回の選挙に立候補するのに、これだけの資金を融通できる一般国民がどれだけいるでしょうか。被選挙権の行使を妨げていることは明らかです。諸外国の供託金は、隣の韓国が180万円、欧米諸国は、ほとんど10万円前後です。

 日本共産党は供託金を大幅に引き下げることを求めます。

 2013年の参院選から、インターネットを利用した選挙運動を可能とする法改正によって、WEBやSNSを利用して、投票を訴える選挙運動ができるようになりました。

 一方、ネットの世界では選挙運動の自由を拡大しながら、実社会では、戸別訪問の禁止をはじめ、選挙期間中のビラ、ポスターの配布規制など、従来と変わらない規制や禁止規定が依然として残ったままで、国民の自由な選挙活動を妨げています。

 日本共産党は、実社会でも、主権者である国民が選挙に気軽に多面的に参加できるよう、選挙活動の自由を拡大するための公職選挙法の抜本改革をすすめます。

国民の参政権行使を保障します

 昨年の参院選から、18歳以上の若者も投票と選挙運動を行えるようになりました。

 これにより、240万人の有権者が増え、さらに幅広い民意が議会に反映され、議会制民主主義の発展につながる、70年ぶりの歴史的な改正です。

 歴史をみれば、自由と人権を獲得するたたかいの中で、議会をつくり、制限選挙から男子普通選挙へ、そして戦後、婦人参政権、20歳からの選挙権へと発展し、国民主権の日本国憲法を確定しました。日本共産党は、1922年の党創立いらい、「18歳以上のすべての男女に対する普通選挙権」を掲げ、綱領に位置付け、その実現に力をつくしてきました。

 この改正では、18歳からの投票と選挙運動だけにとどまり、被選挙権の引き下げは盛り込まれませんでした。

 参政権は、候補者を応援し投票する権利だけでなく、自ら候補者となり政治に参加する権利も当然含まれています。選挙権と被選挙権を一体として考えるべきであり、若者の政治参加を保障する上でも被選挙権の引き下げが必要です。

 また、高校生だからと言って政治活動を禁止・制限することは許されません。主権者国民の権利である政治活動の自由を守ります。

 選挙権、参政権は、国民主権・議会制民主主義の根幹をなすものです。

 国民の参政権行使を保障するには、投票機会の保障が不可欠であり、これなしに選挙権の保障はありません。また、投票や開票などに不正があっては、選挙無効になりかねず、ひいては選挙権を行使できなくなることになります。選挙権行使の保障と選挙の公正性の確保、同時に追求し、投票機会を最大限保障することが必要です。

 しかし、国政選挙は選挙権年齢以上の日本国民が選挙権を有しているにも関わらず、投票できない事態が生じています。この間、一部改正をはかりましたが、今後も、不在者投票、在外投票、洋上投票など、投票機会の保障をはかります。

 さらには、障害をもつ方、高齢の方が「投票所が遠い」「バリアフリー化されていない」などの理由で投票所へ行きにくいという問題もあります。外出が困難な有権者の投票行動を制約させることがないよう、投票環境の改善をすすめます。

2.国民の意見を反映する「徹底審議」の国会に改革します

 <国会改革の基本は、国会の機能強化です>

 国会は、国民を代表する国権の最高機関であり、唯一の立法機関の権能をもち、政府行政を監視する役割をもっています。国会改革の基本は、国民を代表する国会の立法機能、行政監視機能を充実し強化していくものでなければなりません。

 そのため、必要なことは、国民の意見を反映し、政府行政を監視監督するための国会機能を強化し、「徹底審議」の国会に改革することです。自民党などが主張する「国会改革」は、「総理・閣僚の国会出席の制限」「答弁の軽減」を中心としており、国会の政府監督機能を弱体化し、国会審議を形骸化するものです。

 政府提出法案は政府の責任で提出したものであり、担当大臣が責任もって答弁し、とりわけ内閣の基本政策にかかわる重要法案の審議に総理が出席し答弁するのは当然のことです。憲法66条は、内閣は、行政権の行使について、国会に対して連帯して責任を負うと明記し、63条で、国会の要求に対し、総理大臣、国務大臣の国会出席答弁を義務づけています。国会審議への総理出席を制限することは、行政府の長である総理大臣の国会に対する責任をあいまいにし、国会による行政監督権能を制約することになりかねません。

 また質疑と討議は本質的に異なります。法案質疑は、政治家同士の討議や党首討論に置き換えられるものではありません。

 「通年国会」の議論がありますが、会期制は憲法上の規定です。法案は会期内に衆参両院で可決されなければ成立しないという仕組みは、国会による政府監視の機能の一つです。会期中に成立しなかった政府提出法案は、国民の意見を反映して見直し、出し直すのが筋です。

<国会審議の形骸化に対する“検証と反省”を>

 「国会改革」の議論にあたっては、「国会審議活性化」「効率化」の名でこの14年来どういうことが行われてきたのか、きちんとした検証と反省が必要です。

 1999年の「国会審議活性化法」について、わが党は、国家基本政策委員会を設置することで、内閣総理大臣の国会審議への出席を大幅に減らそうとするもので、行政府の長としての総理大臣の国会に対する責任をあいまいにし、国会による行政監督機能を制約し、弱めるものだと指摘し反対した。

 同法の運用の「申し合わせ」として「党首討論(QT)を毎週水曜日に行う」としながら「本会議・予算委員会への総理出席と重複しない」こととされ、総理の国会出席制限がもちこまれました。そのもとで、従来、通常国会の総予算審議で7日間程度行われていた全閣僚出席の総括審議は、2~3日程度の基本的質疑に短縮され、法案審議における本会議への総理出席は「重要広範議案」(4件程度)に限定され、著しい国会審議の形骸化をもたらしました。しかも、こうした総理出席を制限する「しばり」は、政府与党側が政府提出法案を押し通す上での妨げともなり、数年で事実上、破たんをきたしました。

 2009年、民主党政権の下では、官僚答弁禁止、法制局長官の答弁禁止、大臣答弁は月1回、委員会定例日の廃止などという「国会改革」構想がもちだされましたが、議会制度を根本的に変質させるという批判のもとで頓挫することとなりました。

 こうした経緯の検証と反省がいまこそ必要である。

 衆参両院で与党が安定多数議席を占めるや、また「国会改革」と称して「総理の国会出席制限」がもちだされています。政権与党の側から提起される「国会改革」は、結局、国会を政府提出法案の追認機関にしたいというものにほかなりません。国権の最高機関としての国会の機能を低下させる一方で、政府の側は官邸主導のトップダウン機能を強化し、そのうえ「秘密保護法」で情報統制と国民監視の仕組みをつくることは、絶対に許されません。

<国会改革についての日本共産党の提案>

 国会改革について、わが党は従来から様々な提案をしてきましたが、中心問題は、少数会派の議員にも十分な質疑時間を保障し、徹底した審議を通じて問題点を国民の前に明らかにし、国民的な議論を反映して審議をつくす国会にすることです。同時に、議会制民主政治の土台の問題として、民意を正確に反映する選挙制度への改革が重要です。

●「徹底審議」の国会をめざします

 政府提出法案等の審議では、「対立」と「談合」の駆け引きに終始するのではなく、本会議・委員会での徹底した質疑を通じて問題点を国民の前に明らかにし、国民的な議論を反映しながら審議をつくす「徹底審議」の国会に改革します。

そのため質疑時間は議席率による按分ではなく、少数会派の議員にも十分な質疑時間を保障すること、修正案についても十分な質疑を求めます。また専門家や関係者を参考人招致し、多様な国民の意見を直接聞く公聴会をもっと活用します。

 衆参いずれかの院で10議席以上なければ党首討論ができないというような、少数政党を不当に国会審議の場から排除したり、発言の機会を少なくしたりしている取り決め(申し合わせ)を抜本的に改めることを要求します。「国会活性化」の名で首相・閣僚の国会出席義務を制限する取り決めは廃止します。

 国会請願については、請願者から趣旨を聴取し質疑するよう改善を提案します。議案提案権の人数要件を緩和し、議員立法の活発化を図ります。

●国会の国政調査権、政府・行政監視機能を強化します

 国会のもっとも重要な役割の一つが政府・行政の監視機能です。東電福島原発事故では東電・政府による資料隠しが横行し、事故の実態や対応状況を明らかにするための国会の国政調査権、行政監視機能の重要性を改めて示しました。国政調査権を背景に設置された国会東電原発事故調査委員会が提言した、事故の継続調査のための第三者機関や国会常設委員会(原子力問題特別委員会)の設置をすすめ、監視機能を強化します。

 政府・行政実態の解明のため、行政責任者(官僚)、公的機関への質疑、関連企業の責任者の証言を求めます。政府・行政機関等が議事録の作成・公表を怠り、「黒ぬり公開」などの情報隠しも横行しています。国政に必要な行政資料・情報の公開を徹底します。

秘密保護法は、国会の国政調査権を侵害し、国会の政府監視を不能にするものです。秘密保護法の廃止を求めます。

国会の立法・調査機能や国立国会図書館などの充実、強化が必要です。同時に、国会の委員長手当の廃止、文書通信交通滞在費の見直しなどについて、わが党は数十年来、毎年度の国会予算の協議の際に主張してきました。経費の面でも不合理なものを改めることが必要です。

 

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