各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

24、民泊・観光―「民泊」解禁、訪日外国人客誘致、国民のための観光政策

住民・地域を置き去りにする「民泊」解禁、大規模開発をすすめる安倍政権の訪日外国人客誘致・観光政策―観光は、大企業の利益を優先する成長戦略でなく、住民・地域、観光客を優先する政策へ転換します

2017年10月


 ここ数年、日本に観光・ビジネスで訪れる外国人が増え、16年度には2000万人を超えました。日本の文化や歴史などの魅力が広がり、訪れる外国人が増えることは歓迎すべきです。また訪日客が何度でも訪れてみたいと思うような日本の魅力を広げる取り組みを進めることは必要なことです。

 しかし、安倍政権は、“観光“を”成長戦略“の柱の一つに位置づけ、大企業の利益を最優先する新自由主義的な経済対策に組み込みました。訪日外国人客を20年4000万人、30 年6000 万人にするという目標を掲げ、16年の経済対策では、訪日外国人客の受入れのための観光インフラ整備を前面に打ち出し、住民や地域を置き去りにした大規模開発事業や特定大資本を優遇する規制緩和を推し進めています。

 観光インフラ整備の具体的な内容を見ると、大規模開発事業では、羽田空港や成田空港の増便・新滑走路建設、大型クルーズ船受入港湾や国際戦略港湾の整備、リニア中央新幹線や整備新幹線等の整備、大都市圏環状道路や空港・港湾へのアクセス道路の整備などがあります。規制緩和では、「民泊」事業の解禁、容積率緩和等によるホテルや超高層オフィスビルなどの民間都市開発事業、外国人ビジネス客誘致のための国際戦略特区指定による都市再生事業、そして、カジノを含むIR(統合型リゾート)施設や国際会議等誘致(MICE)建設など巨大リゾート開発までも進めようとしています。結局、訪日外国人客誘致を口実にして、大規模開発や規制緩和をさらに加速させようとするものにほかなりません。

 

「住んでよし、訪れてよし」の理念にそった観光政策を

 安倍政権の観光政策は、成長戦略として、訪日外国人客の目標の達成を優先させ、受入れ施設の整備を迫るやり方です。これでは、観光地域と住民、地方自治体や観光業界に無理を強いることになりかねません。すでに、有数の観光地である京都では、観光客が増え過ぎ、交通混乱や人気スポットの混雑、違法民泊施設の増加などによるトラブルも多発し、観光客の不満だけでなく、地元住民とのあつれきが生まれています。このままでは、京都の街並みが一変し、良さが消失してしまうと危惧する声も上がっています。

 政府が訪日外国人客を受入れのため首都圏空港の収容能力を拡大するとして、羽田空港や成田空港の増便・新滑走路建設を計画しています。羽田空港の国際線を混雑する昼間時間帯に増便するため、現在の海上ルートから住宅市街地を通過する都心上空ルートに変更する。成田空港では、夜間飛行制限を緩和し、深夜に航空機を飛ばせない時間を7時間から4時間半に短縮するというものです。いずれも、直下の住民に騒音被害、航空機の墜落、落下物の危険など安全と生活環境の悪化を押し付け、犠牲を強いることになります。また、両空港の増便は、地方再生に役立つどころか首都圏一極集中を加速するだけです。  (詳細は、交通運輸分野詳細政策に掲載)

 また、東京外環道、圏央道など大都市環状道路の建設、乱立する超高層ビル建設などの都市再生・再開発事業、さらに、リニア中央新幹線建設、カジノを含むIR(統合型リゾート)施設誘致・建設などの大規模開発を加速させるため、訪日外国人の交通利便向上や外国人ビジネス客誘致などを口実に使われています。こうした大規模開発は、周辺地域住民の生存権を脅かす生活環境破壊、強制収用など権利侵害を引き起こし、情報開示や合意形成も不十分なまま事業が強行されています。

 こうした、地域住民が迷惑や不安を感じ、住みづらくなるような訪日客誘致と受入れ施設の整備は、「住んでよし、訪れてよし」の観光政策の理念に反すると言わなければなりません。

06年に制定した観光立国推進基本法の基本理念には、「地域の観光資源を生かし、住民が誇りと愛着を持てる持続可能な観光まちづくり」が明記され、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」として盛り込まれました(※1)。これは、バブル期に、リゾート産業振興のため施設建設を促進するとして導入されたリゾート法による政策が破たんし、過大需要予測に基づいたハコモノ施設の建設など大規模開発に偏重し、全国に環境破壊と地域破壊の爪痕を残した経過と反省を踏まえたものでした(※2)。安倍政権のやり方をすすめれば、破たんしたリゾート政策の失敗を繰り返すことになりかねません。

 

(参考)

※1)観光立国推進基本法の基本理念 「地域の住民が誇りと愛着を持つことができる活力に満ちた地域社会の実現」(前文)、「地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の持続可能な発展」(法第2条第1項)…「住んでよし、訪れてよしの国づくり」(法律概要)

※2)総合保養地域整備法(リゾート法・1987年に制定)は、リゾート産業の振興と国民経済の均衡的発展を促進するため、多様な余暇活動が楽しめる場を、民間事業者の活用に重点をおいて総合的に整備することを目指したが、全国42の基本構想の施設整備進捗率は4分の1に達せず、経営主体の行き詰まり・倒産が相次ぎ、全国に環境破壊と地域破壊の爪痕を残している。巨大なホテル・リゾートマンション・ゴルフ場・スキー場・マリーナなどの建設による自然破壊が横行した。(「リゾート法の廃止と、持続可能なツーリズムのための施策・法整備を求める決議」2004年10月8日 日本弁護士連合会)

 

住民・地域置き去りの「民泊」解禁

 「民泊」解禁などの規制緩和も、周辺住民の生活環境を悪化させることになりかねません。

 住宅やマンションの居室を有料で宿泊サービスを提供する「民泊」を事業として認める「民泊新法」(住宅宿泊事業法)が国会で成立し、関連企業の動きが強まる中で、地域住民などの不安と懸念が広がっています。安全や衛生などの確保を定めた旅館業法の許可がないままの「違法民泊」は、各地で近隣トラブルなどが社会問題になってきました。今度の「民泊新法」は、届出さえすれば営業を認めるもので、違法民泊を事実上、合法化し野放しにするものです。

 違法な民泊は、深夜の騒音、ごみ出しルール・マナー違反、マンションのオートロック機能が意味をなさない実態などを引き起こしています。京都市の「民泊通報・相談窓口」には「住民の悲鳴のような苦情が押し寄せ、1自治体では対応できない状態」(同市の国への要望)です。安心して暮らせるまちづくりのために、違法民泊を指導し取り締まるべきだという声は大きくなるばかりです。

 厚生労働省の民泊実態調査では、調査件数1万5127件中、半数以上の7998件が「所在地を特定できず」、「営業許可」ありは2505件で、4624件は無許可でした。大都市では旅館業法の許可を受けている民泊はわずか1.8%にすぎません。

◇ 民泊新法は、施行をいったん凍結し、違法民泊の取り締まりを強化します

民泊新法は遅くとも18年6月までに施行することになっています。これを一時凍結したうえで、緊急に民泊の実態を把握し、その結果に基づいて違法、悪質な業者を厳しく取り締まるようにします。同時に、違法物件を仲介サイトに掲載している民泊仲介事業者に対し、違法物件の掲載をやめさせ、旅行業法の登録を義務付けるなど指導を強めます。

◇ 民泊(住宅宿泊事業等)に、旅館業法なみのルールを適用するよう見直します。

住宅宿泊事業は届出、住宅宿泊管理業と住宅宿泊仲介業は登録するだけで営業ができます。これでは宿泊者の安全・衛生、周辺住民への配慮などの規制が十分ではありません。民泊事業を許可制にすること、住居専用地域やマンションでの営業の原則として禁止するなど、旅館業法なみの規制ルールを適用するよう法令改正を含め見直します。

 

 (c)日本共産党中央委員会