各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

22、公共事業―新規建設から維持更新、大規模開発より小規模事業、地域循環・生活密着型事業への転換を

新規建設から、防災・老朽化に備えた維持・更新へ、大規模開発より雇用に役立つ小規模事業、住民生活密着・地域循環型へ

――国民の命・暮らし守り、地域経済再生に役立つ公共事業政策に転換します

 

アベノミクス・「成長戦略」のもとで復活する大規模開発、新たな「民活」手法、海外インフラ輸出

2017年10月


 2012年12月に政権についた安倍内閣は、「アベノミクス」の〝三本の矢〟のひとつとして、公共事業による財政出動を経済対策・景気対策と位置付け、高速道路や巨大港湾、大規模再開発プロジェクトなど新規の大型開発事業に多額の予算を投入してきました。

 さらに、安倍政権は、「企業が稼ぐ力を取り戻す」「世界で一番企業が活動しやすい国にする」など財界・大企業のための国際競争力の強化を前面に押し出した成長戦略を推し進めています。2050年を視野に今後の国土づくりの理念や考え方を示した新たな「国土のグランドデザイン2050」(国土交通省)や概ね10年間の国土づくりの方向を示した「国土形成計画」、「国土強靱化」、「国家戦略特区」政策などにより、「国際競争力の強化」「規制緩和」「選択と集中」など、市場競争を優先し、財界・大企業に奉仕するインフラ整備を加速させています。

 とりわけ、「国土形成計画」などで、リニア中央新幹線を核として首都圏・中部圏・近畿圏を一体化した拠点とする世界最大のスーパー・メガリージョンを構想し、それを軸とした国際経済戦略都市づくりに向け、大都市圏の大規模開発事業が活発化しています。また、2020年東京オリンピックや訪日外国人誘致を理由にした、首都圏空港、国際コンテナ戦略港湾、大都市圏環状道路など高速交通網の整備が急ピッチで進められています。

 こうしたアベノミクス・「成長戦略」のもとで、大規模開発事業が相次いで復活しています。

 高規格幹線道路の東京外かく環状道路(東名~湾岸線間)、阪神高速淀川左岸線延伸部、下関北九州道路(関門海峡道路)、空港では、羽田・成田空港の滑走路増設計画、整備新幹線では、北陸新幹線大阪延伸、四国新幹線などの基本計画路線の建設など、これまで凍結されてきた計画を含め、調査費を予算に盛り込むなど復活させる動きが強まっています。

 また、そのやり方も、官民連携など新たな「民活」手法によりすすめられています。

 典型的なのが、リニア中央新幹線です。中央新幹線は、長く基本計画路線のまま凍結され、公費による建設ができずにいましたが、大儲けしているJR東海に自己資金で建設させることで事業が進んでいます。〝国家戦略特区の指定や容積率緩和など規制緩和により、大手不動産・開発会社の都市開発事業をやりやすくし、東京大改造〟など各地で再開発ラッシュを発生させています。また、カジノをふくめたIR(統合型リゾート)開発、国際会議場など誘致する「MICE(マイス)」施設建設の計画も相次いでいます。

 さらに大企業のグローバル展開に応え、海外でのインフラ開発など大規模開発事業が強められています。

 安倍首相は、16年5月の伊勢志摩サミットで「質の高いインフラ輸出拡大イニシアチブ」として、17年からの5年間で最大2000億ドル(約22兆円)を供給する目標を表明しました。これは、公共投資に限界のある日本国内から、中国・東南アジア・インドなど海外に大規模開発を展開させようというものです。インフラ海外輸出は、高速鉄道などでは車両設備の販売にとどまらず鉄道施設全体の建設を対象にし、また、高速道路建設や港湾開発事業、マンションや病院、公共施設や工場などもその対象としています。まちそのものをつくる都市開発事業などをふくめて、大規模開発事業をまるごと海外に輸出しようとするものです。

 大手商社、ゼネコンや不動産・開発会社などが、日本政府の支援を受け受注競争をくりひろげています。トップセールスなどと称して、安倍首相や国土交通大臣が、国民の税金を使って海外に出向き、大企業のセールスマンのごとく売り込みをかけています。

 JR東海のリニア新幹線技術を売り込むため、アメリカのメリーランド州が計画するリニア建設のための調査費の一部、八億円を援助することまで実施しています。途上国でもないアメリカの大規模開発に日本国民の税金を投入するという、理解しがたいやり方がまかりとおっているのです。

 安倍政権の公共事業政策は、バブル崩壊後の低迷した経済を立て直すとして実施した90年代のやり方と同じです。結局、巨額の公共投資で膨大な借金=〝負の遺産〟を抱えただけで、日本経済の再生にはつながりませんでした。その二の舞になりかねない危ないものです。

 また、東日本大震災などからの迅速な復旧や復興、大規模災害に備えた事前防災や減災・防災対策、インフラ老朽化対策も進められています。しかし、国土強靱化基本法や交通政策基本法などには、「国際競争力の向上に資する」事業や「国家及び社会の重要な機能の代替性の確保」事業が盛り込まれました。これらは、高速道路や新幹線、港湾、空港など巨大開発事業の口実とされてきたものです。9兆円もの大規模開発事業であるリニア中央新幹線建設さえ、東海道新幹線の老朽化や東南海地震に備えた「代替ルート」などと理由付けし、推進しています。八ッ場ダム、山鳥坂ダムなど各地で建設継続されている新規のダム建設事業も、水害・防災対策として建設促進されています。結局、防災・老朽化対策の重視とは名ばかりで、大規模災害を口実に、新規の大型開発事業を継続・拡大させる根拠にしているのです。

 

新規建設を抑制し、防災・老朽化に備えた維持・更新、大型から小規模生活密着型へ

 2012年12月に発生した中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故は、道路、橋、トンネル、水道管といったインフラ(社会基盤)構造物の点検、維持修繕・更新など老朽化対策が喫緊の課題であることを浮き彫りにしました。1960~70年代の高度経済成長期に建設された多くのインフラが、寿命を迎えつつある状況のもとで、新規建設を抑制し、維持・更新事業へ公共事業政策を転換することは、まさに待ったなしとなっています。

 人口減少や危機的な財政状況、大規模災害、社会資本老朽化が進行する時代に、大規模開発事業のために、公共事業予算を増額すべきではありません。新規・新設の大型開発事業を中止・抑制し、防災・老朽化対策など維持管理・更新事業へ予算の使い道を切り替えれば、大幅に予算を増やす必要はありません。

 日本共産党は「公共事業=悪」という立場はとりません

公共事業政策で大事なのは、国民のいのち・安全、暮らしに必要な事業は何か、何を優先すべきかを見定めることです。新規の高速道路や大規模再開発、巨大港湾の優先度は高くありません。いま最優先しなければいけないのは、耐震化対策や老朽化対策など既存社会資本の維持管理・更新です。

 国土交通省が所管する道路やダムなど10分野の維持管理・更新費は、2013年度の推計で年間3.6兆円かかっていますが、20年後には最大、年間5.5兆円(1.5倍)になる見通しです。今後50年間に必要となる維持管理・更新費は、優に200兆円を超える規模になります。この試算には、鉄道施設や高速道路など民間企業が管理する施設は含まれていません。国土交通省所管以外の水道施設は今後40年間におよそ39兆円、公立小中学校は、今後30年間に約30兆円~38兆円の更新費がかかると試算されています。

 こうした維持・更新費用を低減する長寿命化対策など急ぐ必要がありますが、それでも膨大な額にのぼることは避けられません。

 そのため、公共事業政策は、財界・大手ゼネコンなどの国際競争力強化を軸にした産業政策や大型開発依存型の地方活性化策から、国民のいのち・安全、暮らしを守り、地域経済再生に役立つ方向へ根本的転換をはかる必要があります。

 

(1)大規模開発事業の復活ストップ、新規建設を抑制し、防災・老朽化に備えた維持・更新事業を優先します。

○“建設さきにありき”の建設計画を根本から見直し、新規建設を抑制します。

・事業中を含む新規に建設されるダムや高速道路は、多くが20~30年前の第四次全国総合開発計画(4全総)をもとに計画されています。高速道路網の高規格幹線道路14000km、地域高規格道路約7000kmなどが、全総計画を改定した国土形成計画にいまだに盛り込まれています。社会経済情勢の変化に関係なく、建設計画だけを推進するやり方を改めます。

・リニア中央新幹線をはじめ、八ッ場ダム、設楽ダムなどの建設継続ダムや東京外環道(関越道~東名)、新名神高速などの高速道路建設、空港、港湾、整備新幹線など事業中を含む新規の大型開発事業については、中止・凍結を含めて見直します。新たに始めている東京外環道(東名~湾岸)などの新規の大型開発事業の検討は取りやめます。

○公共事業の徹底した見直しをすすめるため、「公共事業改革基本法案(仮称)」を制定します。

 情報公開の保障、双方向性の市民参加の保障、環境保全優先性、国と地方公共団体の役割分担、審議会改革、独立・中立の「第三者機関」によるチェック、不正行為の禁止、費用便益分析算定データの公表などを内容とし、既存の公共事業を徹底検証できるようにします。

○既存公共施設の老朽化対策、防災・耐震化を急いですすめます。

 全国の自治体で、道路橋、トンネル、上下水道、学校施設など既存施設の老朽化が深刻になっています。また、南海トラフ地震の被害が想定される地域の既存の海岸・河川堤防の4割~6割が耐震化されていません。

 既存施設の老朽化実態把握、修繕・更新費用の試算、長寿命化計画を急いで策定し、老朽化対策を実施します。堤防など既存施設の耐震化計画を早急に策定し、対策を実施します。

 市町村の老朽化対策が進まない要因に、予算不足と技術者不足があることが明らかになっています。維持管理・修繕費用への補助を拡充するとともに、技術者の育成、国や県からの技術支援を強めます。

 

(2)大規模開発事業優先から、住民生活密着・地域循環型の事業へ切り替えます。

安倍内閣のもとで、公共事業費が全体として増えましたが、とくに、1件当たり10億円以上の大型工事の割合が4年間で17.4%から25.4%へ、金額にして1.5兆円も増えています。

 生活に身近な小規模事業を優先してこそ、地域経済・雇用を守ることができます。公共工事の規模と雇用数の関係について「規模が上がるにつれ、労働者の数は減るという相関関係がございます」(2009年2月24日衆院予算委員会、国土交通省総合政策局長答弁)と政府も認めているように大規模工事より小規模工事の方が労働者の雇用効果が大きいのです。維持補修など身近な小規模工事は地域の中小企業が受注し、仕事起こしにもなり、地域の雇用拡大につながります。小規模事業への手厚い支援こそ、雇用対策、地域経済活性化に役立つのです。

<参考>通学路の安全確保・・・自動車走行優先から歩行者優先へ(リンク)2017年衆議院選挙各分野政策23、「交通」)

 

(3)国民のいのち・安全を守るための身近な防災・減災対策事業を優先します。

 東日本大震災後、被災地の復興や防災対策、道路や鉄道幹線の代替網などインフラ整備が注目されています。高速道路の一部が津波の「防波堤になった」ことや東北新幹線の復旧が早かったことなどから、これを“錦の御旗”に高速道路網や整備新幹線の整備などを正当化しようとしています。

 防災や減災に向けたインフラ整備は必要ですが、それは、より生活に身近なところから整備をすすめるべきです。巨額の費用を投じて、防災に本当に役立つかどうか疑問がある高速道路やリニア中央新幹線整備を優先する必要はありません。

 たとえば、大深度に建設される特殊な構造の東京外環道は、大震災発生時に避難路とはなりえず、救援活動にも過度の期待を寄せることはできません。入出路が限られてしまう高速道路の整備よりは、避難所へアクセスする一般道路の沿道建築物の耐震強化、不燃化対策を優先させる方がより重要です。

 防災・減災対策を理由にすれば、なんでもいいとものではありません。

国民のいのち・安全を守るための身近な防災・減災対策事業を優先すべきです。

防災・減災対策は、生活道路、上下水道、学校など、より住民に密着した事業を優先します。

 

(4)ダム・河川事業

○ 脱「ダム依存」=「ダムに頼らない治水」の立場で、すべての事業中ダムを見直します。

 民主党政権のもとで再検証を始めた83ダムのうち、もともと必要性のない25ダムを中止しましたが、国や水資源開発が行う八ッ場ダム(群馬県)、サンルダム(北海道)、山鳥坂ダム(愛媛県)、設楽ダム(愛知県)、補助ダムの石木ダム(長崎県)など54ダム建設を継続としました(16年8月末時点で4ダムが検証中)。国交省や県など管理・建設主体を事務局に据え、検証メンバーは都道府県など建設推進派だけで実施する再検証のやり方では、まともな検証はできません。また、小豆島の内海ダム(香川)など本体工事段階のダムや天ヶ瀬ダム(京都)など再開発事業のダムを再検証から除外していました。

近年、雨の降り方が局地化・集中化・激甚化しています。国土交通省も「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」の検討を始めました。これは、ダムに貯水して洪水調整するダム頼みの治水対策のあり方を根本的に見直すべきことを示唆しています。水害・洪水対策は、河川堤防や河道を修繕・改修するなど流域全体で対策を講じる流域治水こそ重視すべきです。

治水対策としてのダムの有効性そのものを再検証し、ダムに頼らない流域全体での治水対策に改めます。

また、既設のダムは、建設から50年以上経過したダムも多く、機能低下や老朽化がすすんでいます。ダムに土砂がたまる堆砂によって、ダムの貯水機能の低下や洪水時にダム上流が浸水するなど既設ダムによる被害が発生しています。ダム堆砂の浚渫など必要な対策をとるとともに、既設ダムの撤去を含めた検証を実施します。

○ スーパー堤防は事業の廃止を含め根本的に見直します。

○ 河川・海岸堤防など耐震化・老朽化対策を優先してすすめます。

<参考>「ダム建設ありき」を改め、住民参加を徹底し、「流域住民が主人公」の河川行政への転換を求める」(2008年10月22日 日本共産党国会議員団)

 

(5)高速道路

○ 大都市圏環状道路など高速道路建設への予算の重点化をやめ、高速道路網計画は、白紙を含め抜本的に見直します。

 高規格幹線道路整備状況は、総延長計画14,000kmのうち11,272kmが16年3月末までに開通し、整備率は81%です。未開通区間は2,522kmで、すべて整備するとすれば、約21兆円規模(これまでの整備区間の1kmあたり事業費平均を約83億円として計算)の事業費が今後も必要になります。大深度地下で建設中の東京外郭環状道路(関越~東名)は、当初事業費1兆2820億円でしたが、16年5月に1兆5975億円に増額(3155億円)されています。さらに国交省は、新たに東京外郭環状道路(東名~湾岸)の検討を始めました。

 首都高速などの地域高規格道路は、「計画路線」186路線、約6,950kmのうち約2,200km(16年3月時点)が開通しています。濃飛横断自動車道中津川工区などリニア中央新幹線へのアクセスを名目にした高速道路にも新たな予算をつけています。また、阪神高速大阪湾岸道路西伸など整備の検討を始めています。

・高規格幹線道路計画は、白紙を含め抜本的に見直します。大深度地下で建設中の東京外環道(関越~東名)など事業中区間を含め、情報公開、住民参加の徹底を前提にして、計画の不必要なもの、急がないものなど検証します。

・地域高規格道路でもある首都高速や阪神高速など都市高速道路は、新規・新設を抑制し、大規模修繕・更新など老朽化対策を優先させます。その際、大深度地下化など新規事業と変わらない更新は、道路路線の存廃を含め検証します。

○ 6大海峡横断道路計画など地域高規格道路の候補路線(110路線)を直ちに廃止します。

 安倍政権の国土強靱化政策の流れを受けて、08年度に調査を中止した6大海峡横断道路構想を復活させる動きが出ています。山口県下関市と北九州市を結ぶ関門海峡道路や和歌山県と淡路島を海底トンネルで結ぶ紀淡海峡道路などです。海峡横断道路計画は、国土形成計画(全国計画)(2015年8月)に、「湾口部、海峡部等を連絡するプロジェクトについては、長期的視点から取り組む」と記載されています。これを含む地域高規格道路の候補路線(110路線)は廃止すべきです。

○ 高速道路の大規模修繕・更新費用は、新規路線の建設を削減・縮小することで賄います。

05年の道路公団民営化の際、高速道路建設の借金は、2050年までに返済し、その後は無料化する計画でした。ところが、笹子トンネル事故を受け、高速道路各社が試算した老朽化対策に必要な大規模修繕・更新の工事費用は総額約4兆円にのぼり、これが民営化時の債務返済計画に織り込まれていませんでした。そのため借金返済計画を見直して、無料化を先送りしました。

もともと、大規模修繕・更新費用を想定していなかった民営化のずさんさを物語るものですが、新規路線の建設を削減・縮小すれば大規模修繕・更新費用は賄えます。

 

(6)新幹線・空港・港湾

(リンク) 各分野の政策 23、「交通」

 

(7)住宅・建築

 住宅  (リンク) 各分野の政策、25「住宅・マンション」)

 

 建築行政 ・耐震偽装再発防止のために 建築基準法等改正案の審議にあたっての提案(2006年4月12日 日本共産党国会議員団)

・エレベーター事故の再発防止対策に関する申し入れ(2006年6月28日 日本共産党国会議員団 国土交通部会)

 

(8)都市再生・まちづくり

 安倍政権のアベノミクス成長戦略は、「世界と戦える国際都市の形成」(日本再興戦略)など、都市を競争力強化の舞台のひとつに位置付けて都市再生政策をすすめています。そのもとで、民間都市再生事業を実施する大企業・大手不動産会社には、11年~15年の5年間だけでも143億円もの減税で優遇しています。さらに、都市計画手続きを簡素化する「国家戦略特区」の指定や容積率の規制緩和、不動産証券化など不動産投資、PPP/PFIなど民間資金活用等のやり方で、大手不動産・都市開発会社がすすめる大規模再開発事業の誘導・支援を強めています。2020東京オリンピック開催や「世界で一番ビジネスのしやすい国際都市づくり」「国際金融都市構想」などを口実に、グローバル競争に勝ち抜く国際競争拠点都市へと超高層マンション・複合ビルが乱立する‟東京大改造“を進行させています。

 しかし、こうした「国際競争力のある大都市づくり」は、人口減少社会のもとで、いっそう大都市一極集中を加速し、ストロー効果による地方の衰退と疲弊をさらに押しすすめ、地域間格差を拡大させることになり、日本の国土を荒廃させる道です。

 また、東京一極集中により、東京では高価格住宅、長時間通勤など過密問題に加え、増加する高齢者福祉の劣悪化、非正規雇用増加など貧困と格差の拡大、そして、首都直下地震など大規模な災害リスクの問題などが顕著になっています。政府も東京一極集中の是正を言わざるを得なくなっていますが、東京圏への公共投資の集中や規制緩和を改めようとはしていません。

〇「大都市の国際競争力強化」を口実にした東京圏への公共投資の集中、大規模開発プロジェクト推進の都市再生・規制緩和政策を改めます。

〇首都直下地震など大規模災害に備えた対策を優先し、高齢者、子育て世代、低所得者など大都市住民のいのち・安全、暮らしを最優先する政策に転換します。

〇住民不在の都市再生政策を抜本的に見直し、「住民が主人公」のまちづくりを支援し、住環境や景観、コミュニティを守り、改善します。

〇都市再開発や土地区画整理事業などまちづくりへの住民参加をすすめ、住民主体の計画づくりや許認可制度を軸にした「都市計画法」などの改正をめざします。

 

(9)建設産業の健全化、工事偽装防止へ、国に監督責任を果たさせます。

 建設工事データ偽装など不祥事が相次ぐ建設業界の体質改善に向け、重層的下請け構造の是正、公正な取引環境の整備などと合わせ、国の監査・監督を抜本的に強化します。

 高層マンションなどの建設工事や大地震に備えた地盤改良工事など建築・土木の分野で施工不良やデータ偽装が相次いでいます。東洋ゴム工業の免震ゴム性能偽装、三井住友建設と旭化成建材のくい打ち工事偽装、東亜建設工業の地盤改良工事偽装などが相次ぎ、建築・建設業界とその技術力に対する信用・信頼を失墜させています。同時に、国等の検査・監査制度の不十分さも明らかになっています。

 いのちと安全にかかわる製品や工事の性能・品質を、儲けのために改ざん・偽装して販売や施工する企業体質は放置できません。くい打ち工事偽装では、元請会社の杜撰な監理や第1次下請けの「丸投げ」など重層下請け構造が問題になりました。安全・安心を疎かにする企業体質の改善はもちろんのこと、建設業界の重層下請け構造や取引環境の改善は喫緊の課題です。

 地盤改良工事偽装では、発注者の国土交通省が、東亜建設工業の施工不良を現場に立ち会っていながら見抜けませんでした。免震材料の大臣認定制度、くい打ち工法の大臣認定など、‟大臣認定”があれば、再度の検査も必要がない仕組みの弊害も露呈しました。市場競争優先・規制緩和政策が強められる下で、国が‟性善説”に立脚し、検査データ作成や施工管理を企業任せにしてきたことに起因しています。国土交通省の大臣認定制度の見直しや監査・検査の抜本的強化が必要です。

 

(10)建設現場の労働災害なくし、建設労働者の賃上げ、労働条件改善をはかる

 新名神高速道路の建設工事現場で16年以降6件5人の死亡事故が発生するなど、労働災害事故が相次いでいます。東京五輪のメイン会場となる新国立競技場の工事現場で働く新入社員が過労自殺するなど長時間労働も常態化しています。16年に制定された建設工事従事者安全健康確保推進法(職人基本法)など労災事故対策をいっそう強めることが必要です。

 建設産業では、若者の入職が減り、技術継承が危ぶまれています。この危機を打開するため、国交省が、公共工事設計労務単価を2012年度比で、34.7%(平均値)引き上げ、建設業団体にも賃上げ要請を行ってきました。現場労働者の賃金水準は、改善の傾向にあるものの、末端の労働者まで反映していない実態があります。業界団体に要請しただけでは、確実な賃上げを保証する仕組みがないからです。重層的下請け構造による「中抜き」の常態化の是正、ダンピング受注の排除などが必要です。そのため、末端の労働者の適正賃金額を決めて元請け業者に支払いを義務づける「公契約法」や公契約条例の制定を促進します。

〇建設業の一人親方等も労働安全衛生法の適用対象とするなど建設現場の事故対策を強化します。

〇末端の労働者まで確実に賃上げ、労働条件改善等を保証する公契約法・条例の制定を促進します。

〇公共工事の発注は、直接、地域の建設業者や工務店に発注する機会を増やすなど改善します。

〇ダンピングの受注を排除するため、受注企業に適正な賃金の支払いの保障を求めます。

〇政労使の協議会を設置するなど、建設産業労働者の適正な賃金等に関する話合いの場を設けます。

〇入札要件として「地元への貢献度」等がTPPの非関税障壁として規制対象にならないようにします。

 

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