各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

21、環境―地球温暖化対策、公害対策、乱開発の規制、生物多様性、動物愛護

持続可能な経済・社会を実現するため、環境問題に真剣に取り組みます

2017年10月


 21世紀の世界を持続可能な経済・社会とするためには、温暖化ガスの大幅削減を実現する対策など地球環境の保全の見通しをたてるとともに、国内の原発事故への対応や公害被害の早急な救済、アスベスト対策や大気・土壌汚染対策など身の回りの環境対策に真剣にとりくむことが必要です。将来にわたって良好な環境を維持していくために、環境汚染を規制し、生態系を守るとりくみを強化します。そのためにも環境汚染問題の解決には、少なくとも、(1)汚染者負担の原則、(2)予防原則、(3) 国民・住民の参加、(4)徹底した情報公開──の視点が欠かせません。その立場で次のようなとりくみを強めます。

 改憲の口実に、「環境権」(良い環境を享受する権利)を憲法に盛り込むことが、挙げられています。しかし、憲法学会の通説では、環境権が現行憲法と矛盾するものではなく、第13条の幸福追求権や第25条の生存権から、環境権は導き出すことができるとされています。求められているのは、国民の権利として、環境基本法に環境権とその内容を明確に規定することです。それには、内閣が環境基本法の改正を提案すればすむことです。環境基本法の制定時に、環境権を盛り込む要望があったにもかかわらず、請求権が生ずる恐れがあるとして政府が入れなかった経過があります。自民党が掲げる改憲案には、「環境保全の責務」として、「国は、…国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない」と書いてあるだけです。これは、国民の権利ではなく、国の単なる努力義務にすぎません。「環境権」を口実に、9条や人権条項の改悪をする憲法改悪をねらうことなど許せません。

パリ協定の目的達成のために、地球温暖化対策の深刻な遅れを克服する

 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)は2015年12月に、工業化前(1850年ごろ)と比べて気温上昇を、今世紀末に2度を大きく下回るようにし、1.5度に抑える努力をするという新たな協定(パリ協定)を採択しました。今世紀後半にガス排出量を実質ゼロにすること(森林や海などの吸収分を上回る温室効果ガスの排出はしない)を決めた点も合わせて、「歴史的合意」と評価されています。パリ協定は昨年(2016年)11月、発効しました。

 現在すでに世界の気温は約1度上昇し、対策がなければ5.4度も上がるとされます。185カ国がこれまでに出した対策を実行しても、約3度上昇するとされます。3度上昇すれば毎年45億人が熱波に苦しむなど、大きな影響が出るとされています。それを2度未満に抑え、さらに1.5度まで引き下げることを努力目標にするのが、パリ協定です。

 先進国だけに削減数値目標を義務づけた京都議定書(1997年採択)と違い、途上国を含む世界のすべての国が温暖化対策に取り組むことで合意しているのが、パリ協定のもう一つの特徴です。とはいえ、先進国が引き続き指導性を発揮するよう求めていることに、変わりはありません。新協定の仕組みは「各国の自主努力の積み上げ」方式ですが、2度未満に抑え、さらに1.5度まで引き下げる努力をするという目標の下で、2023年以降5年ごとに自国の活動を見直し、取り組みを強化することとなっています。ことし7月、イギリスとフランスは、脱化石燃料時代に踏み出す取り組みとして、2040年を目途にガソリン・ディーゼル車の販売禁止を打ち出しました。

 そういうなかで、アメリカのトランプ大統領は、ことし6月にパリ協定からの離脱を表明しました。中国に次ぐ世界第2位の二酸化炭素排出国であるアメリカ(2014年の世界の排出量の16%)が、「自国の利益」を口実に離脱したことに、各国の首脳や国際NGOから厳しい非難が寄せられました。

 一方、安倍政権の温室効果ガス削減目標は、2030年までに「2013年比で26%削減」ですが、これを国際的な基準である1990年比に直すと、わずか18%削減にすぎません。日本の対応の抜本的見直しが求められます。政府は、2016年5月13日に閣議決定した「地球温暖化対策計画」で、「長期的目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指す」と明記していますが、政府の2030年削減目標のスピードでは到底、達成できません。NGOが、2030年までに日本が野心的に温室効果ガスを1990年比で「少なくとも40%~50%削減」すべきだと主張しているのは当然であり、日本共産党は、その実現に努めます。

 パリ協定の目標に照らして、まったく逆行しているのが、日本政府が国内外で推進している石炭火力発電の建設です。

 政府の長期エネルギー需給見通しにもとづく2030年度の電源構成に照らしても、すでに国内の石炭火力発電の発電量は目いっぱいとなっています。環境NGOの調査では、2012年以降、全国で49基(計2302万キロワット)が計画され、4基(231万キロワット)は事業リスクなどを理由に中止を決めましたが、すでに4基(50万キロワット)が稼働中で年間推計271万トンの二酸化炭素を排出しています。残りの41基(2021万キロワット)が建設・稼働されれば、年間推計1億1866万トンの二酸化炭素が排出されることになります。稼働中4基と合わせて1億2137万トン、温室効果ガスの排出増減の基準となる1990年排出量の9.5%に相当する量です。環境大臣のもとに設置された気候変動長期戦略懇談会が2015年2月にまとめた提言でも、「2050年には火力発電への依存度を極力減らす必要があり、…2050年までの残りの年数を踏まえると…特に初期投資額が大きく排出係数の高い石炭火力発電への投資には大きなリスクが伴う」と述べています。温暖化対策にとって致命的であり、こうした提言やNGOなどの批判のなかで、中部電力の「武豊火力発電所リプレース計画」に対し、環境大臣が「是認できない」「事業の再検討」という意見書を提出し、経産大臣も同様の「勧告」を出さざるを得なくなっています。

 また安倍政権は日本再興戦略のなかで「インフラシステムの輸出」を掲げ、ODAと絡めて官民一体で石炭火力の輸出に力を入れています。インドネシア、ベトナム、インドなどで日本企業や邦銀が関わる石炭火力発電事業が、住民との間で人権侵害や環境破壊など深刻な事態を引き起こしています。それらの事業には、国際協力銀行(JBIC)が融資をしています。JBIC自身の環境社会配慮ガイドラインに照らしても明らかに反しており、計画の見直しと融資の中止を求めます。

 日本の再生可能エネルギーの現状は、発電量の14%(2015年度、一般電気事業ベース。大型ダム水力を除けば5%)にとどまっており、2030年までに4割まで引き上げるよう目指します。一次エネルギーベースでは2030年に30%を再生可能エネルギーでまかなう「再生可能エネルギー開発・利用計画」を策定し、着実に実行していきます。

 大型風力発電機、ヒートポンプや熱・電気併給システム(エコキュート)のコンプレッサーなどから発生した低周波音によって、不眠、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴りなど住民の健康被害が出ています。低周波振動の健康への影響についてただちに調査・研究を行い、環境アセスを義務づけた風力発電のように他の施設についても影響調査を義務づけ、環境基準や設置・建設のさいの距離条件の設定、累積的な・複合的な環境影響、低周波を発生しない製品の開発など、本格的な対応が必要です。個別の被害の調査への補助をおこないます。

 また大型の太陽光発電に関しても、森林の伐採や、地滑り地域への建設、住環境への悪影響など、「乱開発」による住民との対立が起きています。環境規制の弱い日本では、事業化に当たってきちんとしたルールや規制を整備しないまま、利益追求を優先した乱開発が起き、環境保全や住民の健康・安全にかかわる問題を引き起こしています。事業者と地域住民の間で軋轢や紛争が生じることは、再生可能エネルギーの導入を、国民的な支持を得て進めていくのに、望ましい状況ではありません。事業の立案および計画の段階から情報を公開し、事業者、自治体、地域住民、自然保護関係者、専門家など広く利害関係者を交え、その地域の環境維持と地域経済への貢献にふさわしいものとなるようにします。一定規模以上の太陽光発電施設を建築物とし、土地の区画形質の変更とするなど、きちんとした法的な位置づけを明らかにし、環境基準を定めて、環境アセスメントの手続きの中に組み込んでいくことが必要です。十分に調査・検討した環境基準の早急に設定し、環境アセスメントの強化を図ります。

 再生可能エネルギーによる電力の固定価格買取制度を改善し、再生可能エネルギーの普及を進めます。(20、エネルギー を参照) 企業の目標達成のための補助的手段としての「国内排出量取引制度」は、原単位方式でなく、発電施設も含めた事業所の直接排出量の総量削減を定めます。

 「地球温暖化対策の課税」として、石油石炭税の上乗せ措置が実施されましたが、不十分なものにとどまっており、さらに拡充をはかります。同時に、原油の国際価格急騰などの際には、課税がなくともエネルギー消費抑制効果が十分にあることを考慮し、税率を柔軟に変動できる制度を検討します。

 HFC(代替フロン)は、オゾン層破壊効果はないが、高い温暖化効果があることからモントリオール議定書の規制対象物質に追加されました。冷凍冷蔵庫や食品製造工場などでのノンフロン化、低GWP化を推進します。また、HFCの生産メーカーの段階的削減を前倒しに進め、脱フロン社会の構築を目指します。

原発の被害から国民・住民を守る

 「原発ゼロ」の取り組みに関しては、各分野の政策「19、原発問題」を、また日本共産党の提言、「福島原発事故による放射能汚染から、子どもと国民の健康を守る対策を」(2011年8月11日)、「福島第1原発の放射能汚染水の危機打開のための緊急提言」(2013年9月17日)を参照してください。

  2012年6月、「原子力事故による子ども・被災者支援法」が制定されましたが、すべての被災者・被害者を対象とすべきであり、福島県の全域を対象とするのは当然ですが、上からの「線引き」を押し付けるようなことはせず、支援すべきです。被ばく推計をする場合、放射性の全核種を対象とし、内部被ばくも含めます。とくに子どもたちが生涯にわたって健康診断を受けるさい、乳幼児健診や学校診断、定期健診のなかに、これにかかわる健康診断を組み入れ、診断に必要な情報の状況など、実施のためのバックアップ体制を厚くし、さらに精密な検査、専門的な検査も可能になるようにします。具体的な支援として、民間借り上げ住宅・公営住宅の提供の期間の延長、避難・保養・検診・家族と会うための移動費補助など、被災者の実情に合った支援をします。そのため、行政だけでなく被災者・支援者の代表を含めた恒常的な協議機関を設置すべきです。

 除染で取り除いた汚染土や、放射能を帯びた廃棄物の仮置き・処理については、住民の合意が大前提です。国が上から押し付けるようなことは、あってはなりません。東電を免責した避難困難区域での除染への国費投入は容認できません。放射性物質汚染対処法の抜本的な見直しを求めます。東電と国が最後まで、責任をもって対応することを強く要求します。

水俣病被害者の全面的な救済に力を尽くす

 水俣病は公式確認から60年の歳月がたったいまもなお、補償、救済を求める被害者が多数存在しています。同じ魚を食べていたのに、住んでいる地域で線引きされ、患者と認められないために苦しんでいる人たちが大勢います。対象地域外でありながらほとんどの住民に水俣病症状が確認された例があり、水俣病救済特措法においても、国の救済策が指定する対象地域外でも多くの被害者が救済されています。地域による線引きは事実上破綻しています。環境相の私的懇談会も国の不作為による被害の発生、拡大を認めざるをえなくなっており、年齢や地域の線引きによって、救済の対象を限定するようなやり方は改めるべきです。不知火海沿岸、阿賀野川地域住民の健康調査及び環境調査を実施するよう求めます。
 公害健康被害補償法に基づく認定基準が厳しすぎるために患者として認められず、低額の一時金や医療費などの救済しか受けられなかった「被害者」が7万人以上に達しています。今なお認定申請が増え、裁判に訴える人が多数いるのは国の認定制度に問題があるためであり、水俣病問題の全面解決とすべての患者の救済のために、患者や被害者らの声に耳を傾け、新指針や認定基準を見直すべきです。

 

大気汚染患者を救済し、自動車メーカーに社会的責任を果たさせる

 大気汚染の重要な汚染物質である微小粒子状物質(PM2.5)について、環境省が発表した2014年度の測定結果によれば、一般局の62%、道路沿道に設置された自動車排出ガス測定局では74%が、環境基準を達成できていません。PM2.5は、呼吸器系疾患だけでなく循環器系疾患や肺がんとの関連も指定されています。

 PM2.5の発生源を究明するとともに、人と健康と命の問題として、測定体制の強化を図り、一日も早い基準達成に取り組みます。

 東京都のぜんそく患者の医療費無料化制度においても、9万人以上の被害者が認定されています。国は多くの未認定患者を含め、全国的な医療費助成制度など、新たな救済制度を作るべきです。

 2017年度末に、公害健康被害補償制度の財源の一部である「自動車重量税」の繰り入れ期限が来ますが、全国に大気汚染公害病認定患者は3万6000人います。公害健康被害補償制度を維持して、こうした人たちの暮らしを支えるのは、当然の国の責務です。東京大気汚染訴訟などの判決でも健康被害に対する国・自動車メーカーの責任は明らかであり、引き続き、患者に補償していくよう求めます。

アスベストなど、身近にある有害物質への規制を強め、化学物質基本法を制定する

 アスベスト(石綿)公害については、2008年の提訴以来、国の責任が繰り返し断罪され、昨年1月には京都地裁判決で建材メーカーの責任も認められました。アスベスト暴露による健康被害を防ぐため安全確保の規制を強化します。公営住宅でのアスベスト建材の使用が明らかになっています。国は地方自治体と協力し、早急に全国的な調査を行わせ、安全対策を求めます。じん肺・アスベスト被害者の労働災害認定基準を大幅に緩和し、診断・治療のための医療機関への情報の提供を進めます。国と建材メーカーなどが拠出する資金で、裁判によらず簡易・迅速に救済する「被害者補償基金制度」の創設をめざします。

 大規模災害では、事業所からの有害化学物質の流出や解体工事によるアスベストの飛散などが問題になります。阪神・淡路大震災では、解体工事にかかわり、アスベスト特有のがんを発症した労働者が労災認定されています。

 熊本地震への対応にあたって、使用建材及び飛散状況の調査を急ぐとともに、アスベスト(石綿)を含む建材を除去する時の注意事項や有害性、危険性を、パンフレットを作成・配布するなど周知することが必要です。また、倒壊、解体現場作業者へのマスクの配布、暴露が懸念される住民や作業者、ボランティアの健康被害の追跡調査を可能にする登録制度の導入などを行うべきです。

 販売・譲渡元事業者に化学物質の有害性や取り扱い方法を示すよう義務付けた、国の「安全データシート(SDS)制度」には罰則がなく、作業で扱うすべての化学物質の内容を示された事業所は全国で半数にとどまっています。化学物質を扱う職場の詳細な実態調査の実施と、SDS制度の厳格化をもとめます。

 新豊洲市場での土壌汚染に見られるように、京葉地区などの臨海部での土壌汚染対策が問題となっています。環境省は、産業界などの要望を受けて閣議決定した「規制改革実施計画」に基づき、臨海部の工場敷地内の土壌汚染に対して規制緩和を行っています。本来、工場操業によって発生した土壌汚染は、事業者の責任で処理業者に委託して適正に処理しなければならないのに、事業者自らが敷地内を移動させ汚染状態を事実上放置できるようになり、事業者の処理責任を曖昧にするものです。

 残留性が高く発がん性があるPCB(ポリ塩化ビフェニール)を無害化する処理が続けられていますが、北九州市でPCB廃棄物を無害化する処理施設の排出ガスから、白血病の原因になる高濃度の有害物質ベンゼンが検出されました。PCBの処理施設では相次いでトラブルが発生しており、その大本には、環境省が事業運営を国が100%出資するJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)に任せ、さらにJESCOも運営を他社に委託し、実際の作業は請負や派遣の人たちが担っているという「丸投げの連鎖」があります。また処理費用がすでに当初想定を上回る約4400億円に達しているのに、さらに3800億円の膨大な費用に加え、処理施設の解体撤去費用もかかります。国民の税金がどんどん投入されており、「汚染者負担の原則」に立って製造者にもっと負担を求めるべきです。17年度末で処理期間が終了する北九州地域を含め、国とJESCOが掘り起こしを徹底して行い、安全で適正な処理を求めます。

 処理を期限内に終わらせる必要があるのに、データが出ている使用中のPCB使用電気工作物2万台を処理対象に含んでいないなど、政府の計画は全くずさんです。

 カネミ油症事件から46年になるにもかかわらず、被害者はいまなおPCBやダイオキシン類による身体被害に苦しんでいまます。認定患者の医療費を補償していく方向で、被害者の救済に取り組みます。

 化学物質審査製造等規制法で新たに禁止された物質は、本来使用すべきではありません。代替物質への転換を政府が責任をもって促すべきです。産業界の負担を軽減することを理由に、リスク評価の対象を約1000種の物質に絞った「スクリーニング型評価」ではなく、危険性評価が必要な全化学物質(約7000種)に対する網羅型評価を2020年までに終えるよう、取り組むべきです。産業界からの事業の効率化、低コスト化要求を優先にした「総量規制の見直し」を行ったことは、国際的な合意にも逆行したもので許されません。また10億分の1メートル単位の微細粒子であるナノ物質については、健康被害を拡大したアスベストの苦い教訓を踏まえて、健康への影響について対策をとります。予防的原則を明文化し、化学物質の製造や使用量の削減、安全性のデータがない化学物質は市場での流通・使用を認めないなどの理念をもりこんだ化学物質基本法を制定します

 化学物質による環境汚染がひきおこすとされているアトピーや化学物質過敏症、ダイオキシンをはじめとする環境ホルモンの悪影響、シックスクールやシックハウスなどへの健康被害の調査と安全対策を強化します。地球環境サミットでも確認された予防原則にたって、遅れている化学物質の有害性にかんする研究と規制を促進します。工場跡地や不法投棄が原因とみられる地下水の汚染などの環境汚染にたいして、住民の健康被害に関する調査と情報公開、新たな被害補償制度などを求めます。

 電磁波による健康への影響について、WHO(世界保健機関)は、2007年6月、新たな環境保健基準を公表しました。各国での医学的調査を基に、平均3〜4ミリガウス(ガウスは磁界の強さの単位)以上の磁界に日常的にさらされる子どもは、もっと弱い磁界で暮らす子どもに比べ、小児白血病にかかる確率が2倍程度に高まる可能性を認めています。予防的考え方に基づいて磁界の強さについての安全指針作り、予防のための磁界測定などの対策をとるよう各国に勧告しました。日本でも、この勧告にもとづいて、電磁波に関する環境基準を早急に設定すべきです。そのさい、日弁連が提言したように、電力・電波を利用する側の企業を所管する総務省や経済産業省から独立した組織として「電磁波安全委員会」を設置し、中立・公平な立場から電磁波にたいする安全規制を行い、予防原則にたった暫定規制、住民協議や電磁波放出組織に関する情報公開を制度化し、取り扱うという方式は、原発事故の痛苦の教訓からも妥当です。携帯電話用の無線基地の建設など電磁波の発生源が急増しているなかで、国民の不安にこたえるためにも、電磁波の健康への影響にかんする研究・調査を積極的にすすめるよう求めます。

 高速道路の騒音、振動、低周波音によって、不眠、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴りなど住民の健康被害が出ています。高速道路床全体の振動を抑える制振装置を設置し、低周波音の健康への影響については、調査・研究を強め、環境アセスメントでの影響調査に反映させるなど、本格的な対応が必要です。

ごみの“焼却中心主義”から脱却し、ごみを出さないシステムの確立をめざす

 環境省は、ダイオキシン削減対策、最終処分場延命策などを理由に、1997年度から2003年度まで焼却炉建設の際、「焼却灰の溶融固化施設」を必ず設置するよう自治体に義務付けてきました。しかしガス化溶融炉は故障や事故の発生が多く、維持管理費が高いうえに、運転管理が難しいという構造的な問題があります。そのうえ、溶融炉の内外で基準値を超えるダイオキシン類も検出され、ごみ焼却施設から出た基準値を超えるダイオキシン類を含むばいじんを、事実を隠ぺいして大阪湾の埋め立て処分場に搬入した事件も起こりました。環境省は、ガス化溶融炉を政策・財政誘導した責任を認めないまま、補助金の返還を免除しましたが、広域化、大型化のごみ処理を明確に反省すべきです。

 ごみ行政では、分別・資源化してきたプラスチック系ごみなどの資源化ではなく、〃燃やせるものはすべて焼却炉で燃やしてしまおう〃という流れを強め、焼却量を増やす流れが強まっています。これを転換し、溶融炉の推進でなく、ごみの発生抑制、減量・リサイクル化を踏まえた適切なごみ処理とその計画に基づいた焼却施設建設に取り組むべきです。ごみの発生を設計・生産段階から削減するためには、自治体と住民に負担を押しつける現行制度を、OECDも勧告している「拡大生産者責任」の立場で抜本的に見直すことが必要です。

 自治体が扱うごみだけでなく、企業が出すごみでも深刻な違反事件が起きています。鉄鋼会社の工場から排出された有害物質を含み、膨張する性質を持つ鉄鋼スラグが、八ツ場ダム周辺で大量に使用されていました。

 有害物質が混入した安定型処分場や土壌汚染処理施設による環境汚染、産業廃棄物の不法投棄に歯止めをかけます。違法行為の「やり得」を許さないために、都道府県が徹底した立ち入り検査を実施し、違反者への厳格な監督と行政処分をおこないます。不法投棄のルートと関与者の解明、違反者など排出者の責任による撤去を実施させます。財源確保のための制度見直しを行い、早期処理を進めます。

 食品廃棄物の不正転売事件が起きました。原因は、食品リサイクル法に食品関連事業者が取り組むべき措置が定められているにもかかわらず、実態は事業者の再生利用の実施率をあげるための法律となり、事業者の再生利用の委託や実施の状況確認が不十分であることにあります。国は、不正転売事件を受け、規則の見直しを行いましたが、一連の再生利用の工程が適切に行われるよう、食品関連事業者の責任を法律上、明記すべきです。また事件の背景には、賞味期限の3分の2を過ぎれば食べることができても店頭から撤去するという食品流通業界の慣習があります。食品廃棄物の可食部分が再生利用事業者に悪用され、不正転売の土壌となっており、賞味期限が過ぎた食品廃棄物しか処理委託ができないようにするなどの対策をとることで、再発防止の対策を取るよう求めます。

 容器包装リサイクル法によるペットボトルリサイクルも、自治体負担の軽減措置など制度見直しを求めます。家電リサイクルでは、大手量販店などによる不適正な引取・引渡が問題になっており、早急に小売業者が遵守すべき基準の設定などの規制強化や、回収・リサイクル料金の見直しを求めます。またデポジット制度の活用を進めます。住民がごみになるものを買わない、使わない、出さない、分別を徹底するなど、住民の意識・取り組みの向上、自治体と住民の協力が欠かせません。

大規模開発による環境破壊をやめさせ、生物多様性を守る

 生物の遺伝資源を利用した医薬品などの開発によって得られた利益を、資源の提供国と利用国で配分するルールを定めた名古屋議定書が2014年10月に発効しました。ところが、日本は産業界との調整に時間がかかったことなどから批准が遅れていましたが、今年5月に批准しました。しかし、関係各省の合意だけで国内担保法の制定には至りませんでした。

名古屋議定書にふさわしい国内担保法の制定をめざします。

 これまで開発の対象と思われてきた湿地は、水の浄化など、自然の恵みをもたらすものでああり、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の吸収にも重要な役割を果たしていると再認識されるようになり、保全が重視されてきています。登録ずみの湿地の保全にとどまらず、ラムサール条約を通して広い視野で、環境について考えることが求められています。諫早干拓計画を撤回し、水門の開放で有明海の豊かな海を回復するよう、政府はただちに実行すべきです。

 日米両政府は、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地の建設を強行しようとしていますが、名護市辺野古・大浦湾一帯が世界でも極めて生物多様性の高い貴重な地域です。その保全は、生物多様性条約の締約国である日本の責務です。新基地建設に反対し、辺野古沖の貴重な干潟の保全のために力をつくします。またアメリカ軍がオスプレイの着陸帯を建設する沖縄県の北部訓練場は、世界自然遺産への登録も検討されている「やんばるの森」なかでも自然度が最も高い地域です。北部訓練場を除いて一部が返還され自然公園に指定されることになりましたが、着陸帯や軍事訓練で自然が破壊されることに断固、反対し、一括返還を要求します。

 人類生存の基盤である生態系を守るため、環境破壊をひきおこすような大規模開発をやめさせるとともに、改定された環境アセスメント制度に、欧米で導入されている「政策の検討段階からの環境アセスメント(戦略的アセスメント)」の完全導入を求めます。電力業界の要望を受けて閣議決定した「新成長戦略」に基づき、環境アセス手続きを規制緩和した「火力発電所のリプレース」が、石炭火力発電所新増設に活用される懸念があります。電力業界の圧力に屈して、発電所を戦略アセスメントの対象からはずすべきではありません。干潟などの保全法をつくるとともに、環境NGOが求めている「野生生物保護基本法」の制定を目指します。諫早湾や長良川などの水門をあけ、自然の維持と回復をはかるべきです。

 9兆円もの大規模開発事業であるリニア中央新幹線建設は、JR東海が建設主体となり、2027年に品川―名古屋で先行開業させ2045年に大阪まで延伸させる計画ですが、安倍政権は3兆円もの公的マネーを投入して、大阪開通を大幅に前倒しするとしています。しかし、リニア新幹線建設は、環境への深刻かつ重大な影響を及ぼそうとしています。環境省も「環境影響は枚挙にいとまがない」という意見書を出しています。品川―名古屋ルートの86%を地下トンネルで貫く工事によって大量発生する残土の処分先が決まっておらず、建設による水枯れの問題や、大規模工事の期間中多くの車両が行き交うことによる環境破壊などについて、沿線7都県(東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知)の住民や自治体などが多岐にわたる問題を具体的に指摘しています。ところが、JR東海も政府も、まともに答える姿勢がありません。リニア建設や残土処理によって南アルプスなど地形が大きく変わり、災害を拡大させる危険を警告する研究者も少なくありません。リニア建設ルートには糸魚川―静岡構造線など日本でも有数の活断層が多く存在しており、時速500kmという超高速走行中に、断層が大きくずれる巨大地震に直撃されたらどうなるのか、安全上も問題があります。本格着工前の今のうちに、政府は見直し・中止を検討すべきです。

 瀬戸内法ができて以降も埋め立ては続き、瀬戸内海の生態系に重大な影響を与えています。法律を改正して、国の責任で「埋め立ての禁止」「海砂利採取の全面禁止」「廃棄物の持ち込み禁止」をしていくことが重要です。瀬戸内海などからの辺野古への埋立て土砂の搬出に反対し、あわせて、生態系の回復・復元を計画的に進めていきます。その際、回復・復元の過程での影響をよく検討し、住民もふくめた関係者(ステークホルダー)の英知を集め、たとえば藻場、干潟、砂堆などの形成過程や条件、それが生態系でどのような役割をもっているのかなどの基礎的な調査・研究とモニタリングを繰り返し、その結果を一段と新しい計画に適切に生かしていきます。岩国基地の拡大強化と艦載機移駐に反対し、瀬戸内海の静かな環境を守ります。

 政府の「明日の日本を支える観光ビジョン」において「国立公園満喫プロジェクト」として、2020年までに外国人国立公園利用者数を年間1000万人に倍増させる計画が進められています。これは、全国8箇所の国立公園を中心に裕福層をターゲットにしたホテル・カフェ等の整備、遊歩道・ビジターセンターなどの整備を進めるとしています。しかし、かつてのリゾート法での乱開発や「緑のダイヤモンド計画」での過大整備についての反省もないまま、外国人利用者の倍増だけを目標にした施設整備は自然の破壊になるおそれがあます。環境保全と両立した事業への転換を求めます。

ペットの譲渡促進で殺処分を減らし、動物実験に替わる方法の普及を図る

 犬や猫などのペットは、こんにちでは単なる愛玩動物としてだけでなく、コンパニオン・アニマル=「伴侶動物」と考えて飼育する人も少なくありません。保健所への持ち込みや捕獲による犬や猫の殺処分数は、この間、市民団体や保健所の譲渡・返却の懸命の努力で2010年度には年間20万件を超えていたものが、2015年度には8万件まで減少しました。

 殺処分を減らすためには、なによりも飼い主の責任として、ペットが死ぬまで飼いつづけることが基本です。同時に、引き取り手の見つからないまま子猫・子犬が処分されることがないよう、里親を探すなど譲渡する数をふやすことが重要です。そのために活動している動物愛護団体やNPOは、保護している間の人手や費用がかかるので、公的な支援を強めます。新たに犬猫を飼い始めようとしている人に、保護された犬猫を飼うという選択肢があることを、周知啓発する取り組みを強めます。自治体の動物愛護センターが、保護し譲渡する施設として機能することをめざします。子犬は引き取り手が見つかりやすいのに比べ、成犬はみつけにくく処分されることが多いといわれています。譲渡の可能性を広げるためには、性格を知り、必要な矯正をし、一定期間の健康管理をするなど手間と時間が必要です。行政だけでこうした措置をカバーすることは困難ですが、愛護団体やNPO、地域の住民の協力なども得られる仕組みをつくります。政府は、市町村による動物との共生の地域ビジョンの作成を支援し、不妊手術への助成制度の創設や、譲渡促進のとりくみへの支援などに乗り出すべきです。

 2012年9月、動物愛護管理法が改正されましたが、順調な成育を妨げないために、出生後56日を経過しない子犬や子猫の親からの引き離しを禁じている一方、付則で施行後、経過措置として短縮されており、業者の利益優先ではなく動物の命と健康、予防原則の立場から、一日も早く本則の実現を図ることが大切です。

 法改正で、犬猫のインターネット販売時の現物確認や、書面による対面説明が義務化されましたが、業界や自治体に徹底を図ることが必要です。

 東日本大震災や熊本地震の教訓からも災害対策での避難計画にペットの避難を位置づけることが必要になっています。災害対策基本法の地域防災計画などとの連携を図るとともに、同計画にペットの同行避難を加えることを検討すべきです。

 先進各国では、動物実験に替わって、動物を使用しない試験方法(代替法)の開発がすすめられています。OECDなどにおいても、試験ガイドラインのなかに代替法を採用することで動物実験を削減しようという動きもあります。代替法の採用を進め、動物実験を可能な限り回避するよう努めます。

 こうした内容を、動物愛護法の改正に反映させます。

「オーフス条約」の早期批准で、環境保全・再生への市民参加を保障する

 「オーフス条約」は、1992年に合意された「環境と開発に関するリオ宣言」の第10原則に基づき、環境分野への市民参加の保障のため、情報へのアクセスや意思決定への市民の参加、裁判を受ける権利の保障などを盛り込まれています。2001年に発効し、EU諸国や旧東欧諸国など47の国と地域が批准を終えています。日本も早急に批准すべきです。

日本にも影響が及んでいる東アジアの環境保全のために、協力を強める

  日本海や東シナ海を越えてくる黄砂や窒素酸化物が、日本国内の自動車排ガス対策の遅れと相まって、日本の国民ののどや鼻に影響をあたえ、酸性雨や光化学スモッグの原因になっています。モンゴルや華北地域の砂漠化がすすんでいることで悪化する黄砂被害や、急速な経済発展をすすめる中国での大気汚染の深刻化が、国境を越えて日本にも影響を与えているといわれています。また、海洋のプラスチックによる汚染も、ひどくなっています。

 東アジア全体の環境を保全するために、政府は、公害防止の経験や技術・研究の成果を生かし、緑化事業や東アジア諸国の人びとの健康を守るとりくみを提起し、実効性のある支援を強めるべきです。東アジア諸国に進出して活動している日本企業も、その国の環境にかかわる規制を遵守するだけでなく、適正な環境基準の設定に積極的に応じることで、社会的に貢献すべきです。

 

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