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日本共産党

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赤旗

2017総選挙/各分野の政策

18、被災者支援と防災対策

復興の柱に被災者の生活再建をすえ、災害に強いまちづくり、国土づくりをすすめます。

2017年10月


 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、巨大地震と大津波、福島第一原発事故による放射能汚染という、巨大かつ深刻な複合災害となりました。6年経ってもなお、約12万人の被災者が全国47都道府県で避難生活を強いられています。熊本地震をはじめ地震、豪雨、火山噴火など相次ぐ災害では、開発や防災対策のあり方、監視・観測や研究体制の脆弱さが改めて問われてきました。経済効率優先で被害を拡大させてきた「防災対策」の根本的転換が求められています。

 防災対策は、災害が発生した後の応急対策や復旧・復興対策だけでなく、災害の発生を抑え、被害の拡大を防止するための予防対策を重視した対策に転換する必要があります。日本共産党は、(1)防災を無視した開発をやめ、必要な防災施設の整備と安全点検を徹底するなど防災まちづくりをすすめること、(2)観測体制の整備をすすめ、消防や住民などを中心とした地域・自治体の防災力を強化すること、(3)災害が発生した場合には、再度災害を防止するとともにすべての被災者を対象にした生活と生業の再建、被災者の自立にむけた支援をおこなうこと――このことを基本にすることが必要と考えます。

被災地の復興は被災者の生活再建を柱にすえる

 阪神・淡路大震災(1995年1月)では、「創造的復興」の掛け声のもと、再開発ビルが林立されてもシャッターが閉まったままの区画が目立ち、肝心の商店や事業所はそこでの再建ができず苦しんでいるというのが22年もの時間が経過した現実です。東日本大震災の復興について日本共産党は、「21世紀半ばのあるべき姿を目指す」ことや「わが国が直面する課題等の解決に資するための先導的施策への取組」などを国が押し付けるのでなく、被災者を中心に据えた復興をすすめることを要求してきました。被災者の住宅、生業が再建し、人が戻ってこそ、地域の復興といえます。医療費の免除打ち切りなど復興施策によって、「災害関連死」はもちろん被災者にあらたな苦難をおしつけることなどあってはなりません。

被災者への支援を強化します

 避難生活や仮設住宅での仮住まいを強いられ、生活と生業の一日も早い再建にむけ、多くの被災者の皆さんが苦闘しています。日本共産党は、被災者のみなさんの思いに寄りそい、一日も早い生活と生業の再建にむけ、ご一緒に全力をつくします。被災者や被災地の生活再建、復旧・復興対策は、既存の制度を押しつけるのではなく、現場の声を反映させ、被災地にとって使い勝手のよい制度とすることが必要です。国は必要な財源を確保し、地域の判断で被災者支援がおこなえるようにすべきです。

 東京電力福島原発事故では、住民が帰還できる環境整備が不十分なまま避難指示の解除がすすめられ、避難生活を強いられている被災者の実態把握にも困難がでています。被災者を分断する線引きや切り捨てをやめ、すべての被災者が生活と生業を再建できるまで、国と東京電力が責任をもって賠償と支援をおこなうことを大原則とすべきです。福島第2原発の廃炉をただちに決断することを求めます。

 日本共産党は、被災者の最低限の住まいや生業など生活基盤の回復のための支援を国の責任でおこなうことを主張し、(1)自宅避難者をふくめ当面の生活の維持への支援をおこなうこと、(2)被災者生活再建支援制度については全壊や大規模半壊だけでなく半壊などに対象をひろげるとともに支給額を引き上げること、(3)地域経済とコミュニティの担い手である中小商工業者の事業の再建については金融に限定せず事業所や事業用施設・設備再建を直接支援の対象とすること、(4)被災者の自立にとって大きな障害となっている既存ローンの負担を抜本的に軽減すること、(5)被災住宅の被害判定については、竜巻や浸水被害、液状化などの宅地被害にも対応し、失われた住宅としての機能を反映した判定基準とすること──などを柱にした被災者支援を実現するため、引き続き被災者のみなさんと力をあわせます。

 災害救助法にもとづく応急救助については、被災者の生活再建に効果的に結びつくようにすることが不可欠です。福祉避難所の整備、給食施設やトイレなど避難所としての機能の確保をはじめ、指定避難所以外を含めた避難生活の環境改善をすすめることは喫緊の課題です。応急仮設住宅の建設は、自宅敷地内への設置やコミュニティや被災者の生活の便を考慮するとともに、木造仮設住宅の活用をすすめることが必要です。仮設住宅への入居や被災住宅の応急修理、障害物の除去など、高齢世帯や母子世帯などをはじめ実際に救助を必要とする世帯はすべて救助の対象とすること、特別基準による基準額や適用期間の延長など、現金供与も含めて被災の状況に見合った全面的な活用を追求します。災害救助法にもとづく国庫負担を最大で全額とするなど必要な見直しをおこなうべきです。

 被災住宅の被害認定は住家としての機能損失に着目した認定に改め、被災小規模事業者の施設や設備の再建に対する直接支援や「災害障害者」への支援など被災者や被災地の実態に即した実効ある支援制度とするため全力をつくします。

被災者生活再建支援法の見直しは急務

 「被災者に公的補償を!」―阪神・淡路大震災被災者の粘りづよい運動と世論の力で被災者生活再建支援法は創設され、来年で20年になります。当初住宅再建には使えなかったものの、被災者と被災地の実態を背景にした運動で、改善を重ねてきました。しかし、原則として支援の対象が住宅の全壊・大規模半壊に限定されていることから、支援の対象となるのは東日本大震災でも住宅に被害のあった被災者の一部にすぎません。300万円の支援金額を少なくとも500万円に引き上げること、支援の対象を半壊などに広げることは、喫緊の課題です。

 日本共産党は、支給額を500万円に引き上げるなどの「被災者生活再建支援法改正案」を4野党共同で国会に提出しました。一日も早く審議をおこない、成立させるために全力を尽くします。

 同時に、被災者生活再建支援法が適用された同じ災害にもかかわらず、支援がおこなわれない自治体をなくすことも必要です。

災害に強いまちづくり、国土づくりをすすめます

 大都市部では、「再開発」や「都市再生」の名による超高層ビルの建設ラッシュ、無秩序なまちづくりによって、雑居ビルや老朽木造住宅が混在しています。通勤や通学のため大規模な人口移動が繰り返され、迷路のような駅ターミナルに人があふれています。一方、地方では、山林の荒廃がすすみ、山間地などの集落の維持が深刻な問題となっています。市町村の広域合併は、住民と行政の距離をますます広げています。地域医療や介護・福祉の後退も深刻です。いったん地震や豪雨・洪水などが発生すれば、被害をいっそう拡大することにつながるこのような状況を、一つひとつ具体的に克服してゆくことが災害に強い社会を実現することになります。日本共産党は、災害による被害を拡大・深刻にするこうしたあり方を根本的に転換するため、住民のみなさんと力を合わせます。

 活断層の評価を含めた事前の防災アセスメントの導入による災害の危険を無視した開発行為の規制など、経済効率最優先でなく防災を重視したまちづくりをすすめるとともに、災害復旧にあたっては「原形復旧」をおしつけるのではなく、再度災害を防止するため必要な「改良復旧」をすすめます。

 地震による被害を最小限にくい止めるうえで、学校などの公共施設や緊急輸送路沿いの住宅などだけでなく、病院や大規模集客施設をはじめ宅地を含めたすべての住宅の耐震診断と耐震補強を計画的にすすめるとともに、そのための財政支援の強化が必要です。熊本地震による建築物の被害状況にもとづき、耐震基準や耐震診断のあり方について検討をすすめるとともに、長周期地震動や地盤の液状化などへの対策を強めます。

 交通やガス・上下水道などライフライン施設、河川堤防、がけ崩れや土石流などの危険カ所、老朽化したため池など、災害危険カ所の調査・点検をおこない、その結果にもとづき補強や防災対策をすすめます。安全な避難を確保するとともに危険区域の住宅などの移転に対する支援を強化します。

 大規模な災害発生にあたって、消防や警察などの救援部隊を全国的に派遣する体制は急速に整備されてきました。一方、地域の防災対策を日常的に点検・強化し、災害発生時には被災者救助の中心的役割を担う市町村消防の実情は、職員の不足が常態化しており、広域化による市町村災害対策本部との連携や地理不案内による初動体制の遅れなどが懸念されています。防災行政無線の整備を含め、消防職員の増員や消防水利の整備など、消防力を強化することは地域の防災力にとって不可欠です。ボランティアを含めた住民の知恵と力を取り入れ、地域防災計画を見直し、高齢者や障害者、住民の安全な避難など地域の防災対策を強化します。

 突風・竜巻や局所的豪雨災害による被害の拡大を防止するうえで、気象現象の的確な把握と住民の確実な避難をおこなうことがいよいよ切実に求められています。地震・津波や火山、気象の観測・監視体制を強化するとともに、市町村長による避難の指示等や住民への伝達が的確におこなえるようにするため、支援を強化します。東海地震の予知を前提に、自衛隊の事前出動、住民の生活・営業の制限を可能とする大規模地震対策特別措置法については、廃止をふくめた見直しをおこないます。

石油コンビナートなど大都市圏臨海部の安全対策をすすめます

 東日本大震災では広域にわたり大規模な液状化が発生、千葉県など臨海部の石油コンビナートで火災・爆発事故が発生しましたが、石油タンクだけでなく地盤の耐震化、液状化対策も不十分なまま放置されています。東京湾だけでなく大阪湾や伊勢湾など、大都市圏の臨海コンビナート地区は住宅密集地に隣接しています。大規模災害が発生した際の労働者・住民の安全、ライフラインの確保だけでなく、応急対策をすすめるうえでも臨海部の安全対策はとりわけ急務です。事業所まかせというあり方を改め、都道府県単位の防災計画だけでなく臨海部一帯の防災対策に国が責任を持ち、国と地方の関係行政機関と事業所が連携して、消防・防災体制と避難体制を抜本的に強化します。

 

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