各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

16、農林漁業

農林漁業と農山漁村は食料と国土・環境を守る社会の基盤

―市場まかせでなく、国の責任で再生します

2017年10月


 国民の命を支える農林漁業と農山漁村に崩壊の危機が広がっています。基幹的農業従事者の42%が70歳以上と極端な高齢化が進み、農林漁業従事者の減少に拍車がかかっています。若い世代がいなくなり、「地域がなくなる」という不安も各地で広がっています。農地の減少や耕作放棄が止まらず、先進諸国で最低の食料自給率は、昨年さらに38%へ低下してしまいました。

 「国民の食料をだれが生産し、国土や環境はだれが守るのか」が真正面から問われる事態です。農林漁業と農山漁村の再生は、日本社会が真剣に向き合うべき待ったなしの課題です。

〔農業つぶしの暴走続ける安倍政権〕

 今日の事態は、歴代自民党政府が、アメリカ・財界いいなりに食料の外国依存を深め、農産物輸入を次々に自由化し、国内の農林漁業を犠牲にしてきたことに根本原因があります。

 安倍政権は、危機に歯止めをかけるどころか、「企業が一番活躍できる国づくり」を公言し、大企業の利益第一で、農林漁業つぶしの暴走を続けています。農業の将来を奪うTPPの国会批准を強行し、日欧EPAではTPP水準を上回る市場開放を受け入れるなど、農産物の際限ない自由化に突き進んでいるのは、その最たるものです。

 国内政策でも、「国際競争力の強化」が必要として農業に画一的な大規模化やコスト低下を押しつけ、中小の家族経営は「非効率」として切り捨ててきました。農政「改革」と称して、農地・農業委員会・農協など戦後の家族農業を支えてきた諸制度を次々に解体してきました。先の国会では、農業競争力強化支援法など関連法を成立させ、種子法の廃止も強行しました。農村の現場の声にはまったく耳を貸さず、規制改革推進会議などの財界委員の主張を一方的に採用して暴走を繰り返したのです。さらに米価の大暴落には何の対策も取らず、2018年産からは米の需給や価格を完全に市場まかせにしようとしています。国内農業を、外国産を含めて全面的な自由競争に投げ出し、「競争力ない農業はつぶれてもかまわない」という無責任な農政にほかなりません。

 こんな安倍政権が続く限り、わが国の農林漁業に未来はありません。農林漁業の崩壊が一気に進み、地方は衰退し、食料自給の基盤を完全に失った国になるのは必至です。

〔国民の生存の根本にかかわり、人類社会への責任〕

 21世紀の世界は、「食料は金さえ出せばいつでも輸入できる」状況ではなくなっています。気候変動や水需給のひっ迫などで生産拡大の制約が強まる一方、途上国の人口増や肉類・水産物消費などで需要拡大が続き、政府自身も「世界の食料需給は中長期的にはひっ迫する」と予測しています。食料の6割以上を輸入に頼る日本が、国内の農水産業をつぶして、さらに輸入依存を深めるなど、国民の生存基盤を根本から脅かすもので、とうてい許されません。

 いま世界には、貧困と格差を広げ、経済危機も深刻化させた自由貿易・市場原理一辺倒の政治がゆきづまり、転換を求める声が広がっています。地球環境の保全も人類の死活的な課題となり、目先の「経済効率」優先でなく、国土や自然条件を生かした循環型社会への転換が求められています。国連が、2012年を国際協同組合年に、2014年を国際家族農業年に設定し、食料問題の解決と地域社会の安定にとって協同組合や家族農業が不可欠だとして、その役割を高く評価し、支援することを世界に呼びかけたのも、そうした流れの1つです。

 わが国が、農林漁業の再生に本格的に踏み出すことは、国民の生存条件の根本にかかわる課題であり、人類社会の持続的発展にたいする責任でもあります。大企業の一人勝ち、大都市への一極集中、貧困と格差の広がりなど、日本社会の深刻なゆがみを正し、経済を内需主導、持続可能な方向に転換するうえでも、農山漁村の再生は不可欠です。

〔市場まかせでなく、国土・社会の条件を最大限に生かす政治を〕

農林漁業と農山漁村は、国民に食料を供給し、国土や環境をまもる、社会の基盤です。だからこそ、先進諸国の多くは、政府が条件に応じて手厚い保護を行い、維持しています。

わが国には、温暖多雨な自然条件、すぐれた農林漁業技術、世界有数の経済力、安全・安心を求める消費者のニーズなど、農林漁業を多面的に発展させる条件は十分にあります。近年の、都市住民の中に強まる「田園回帰」の流れも、農山村再生への希望です。

必要なのは、国際的にも異常な「市場まかせ」の農政を根本から転換し、そうした条件を全面的に生かす政治の実現です。一部の「競争力ある経営」だけが生き残る政治でなく、すべての農業者や地域住民、農村の役割に期待する多くの国民、豊かな自然や蓄積された技術・伝統などを総結集する政治こそ求められています。

 日本共産党は、アメリカ・財界いいなり政治を大もとから転換して、農林漁業の本格的な再建、食料自給率を早期に50%台に引き上げる課題を国づくりの柱に位置づけ、次の政策を実現するために全力をつくします。

 

価格・所得保障を再建し、将来にむけて農業に励める土台を整える

 いま、農業と農村の再生に何よりも必要なのは、将来に向けて安心して農業に励み、農村で暮らし続けられる条件です。現に農業に従事する人はもちろん、農家の後継者や都会の若者などが就農に踏み切り、深刻な担い手不足を解決するうえでも、決定的な条件です。その最大の柱は、農産物の価格保障を中心に所得補償を組み合わせ、生産費をカバーすることです。

農業は、自然の制約を受け、中小経営が大半であることから、他産業との取引条件が不利であり、政府による下支えがなければ経営は維持できません。なかでも農産物の価格保障は、農業に豊凶変動や価格の乱高下が避けられないなかで、農業者に再生産を保障し、意欲と誇りを取り戻し、食料自給率を向上させる基礎的条件です。農業大国であるアメリカでさえ、主な農産物に生産費を農家に保障する仕組みを二重三重にもうけているのは、その表れです。

 日本共産党は、農畜産物の特性を踏まえて品目別の価格・経営安定制度の再建、現行制度の充実・改善に取り組みます。加えて、国土や環境の保全など農業の多面的な機能を評価して、農地面積などを対象にした各種の直接支払い(所得補償)を抜本的に充実します。

米価の暴落をおさえ、生産と価格の安定をはかる

 2014年産生産者米価の大暴落は、大規模稲作経営を含めて米の再生産を危うくし、「米作って飯食えねえ!」という事態を全国に広げました。15年産以降、米価が回復傾向にあるとはいえ、全国平均の生産コストを大幅に下回る事態(15年産の相対取引価格は60㌔平均で1万2200円、全参入生産費は1万5390円)に変わりはありません。政府が米の需給安定にたいする責任を放棄し、市場まかせにしてきたことが大きな原因です。

食糧管理法が廃止され米価を市場にゆだねた1995年まで、60㌔2万円を超えていた市場価格は、2014年には1万1000円台まで暴落しました。この間の米の総産出額は約1兆7000億円も減少し、わが国の農業総産出額減少の大半を占めています。大多数の米農家が赤字生産を強いられ、中小農家の大量リタイアにつながり、地域経済にも甚大な打撃をもたらしました。ここに、農業つぶしの矛盾が集中的に現れており、この事態を打開し、米作経営の安定を回復することは、農業再生の出発点です。

米生産者の間でいま、2018年以降の米作りへの深刻な不安が広がっています。安倍政権が、政府による米生産数量目標の配分の廃止と米直接支払交付金の廃止を打ち出しているからです。前者は、かろうじて残されてきた米の需給安定に対する政府の役割さえ投げ捨て、米の生産や流通を完全に無秩序の世界においやるものです。米価の大暴落や乱高下は必至です。

米直接支払交付金は、生産調整参加農家に10㌃7500円を一律に支払い、不十分とはいえ米作農家の赤字を補てんする、確実に見込める収入でした。17年産では総額714億円にのぼります。その廃止は、農家所得の減少に直結し、稲作依存度の高い大規模経営ほど打撃は深刻です。「農業所得の向上」という安倍政権のかけ声に逆行することは明らかです。

 米の需給や流通の安定に政府が責任をはたす――国民の主食である米の需給と価格の安定に政府が責任を持つべきです。18年産以降も、政府が米の生産数量目標の配分に関わるなど、一定の役割を果たします。豊作などで余剰米が発生した場合には政府買い入れを増やすなどで需給調整をはかります。複数年契約を含めて年間を通じて計画的に集出荷・販売する業者・団体にたいして金利・倉庫料など必要な助成をおこないます。

米価に「不足払い」制度を導入する――米農家に生産費を保障するため、過去5年のうち中3年の生産コストの平均を基準として販売価格との差額を補て んする「不足払い制度」を創設します。

 当面、米直接支払い交付金の廃止を中止し、交付金水準を元に戻し(10㌃1万5000円)、価格変動支払いも復活するなど、農家に歓迎されていた戸別所得補償制度を復活します。

 あわせて水田のもつ国土・環境保全の役割を評価し、当面10㌃1~2万円の直接支払い(所得補償)を実施します。

 主食用米以外の増産に力を入れる――水田を主食用米以外の生産に積極的に活用することは水田の多面的利用、食料自給率の向上にとって不可欠です。米の生産調整は、水田における麦・大豆・飼料作物などの増産と一体で取り組みます。そのために、水田の乾田化などとあわせて転作作物の条件を思い切って有利するなど、増産できる条件を整えます。

 当面、麦・大豆・飼料作物などの助成金を10アール平均で5万円(現行3万5千円)増額し、地域農業の実態をふまえて配分できるようにします。米粉・飼料用米には、10アール平均8万円の助成、原料として受け入れる地場の加工企業などへの支援を強め、増産に見合って輸入を抑制するなど、安定した販路・需要先を確保します。

畜産、野菜、畑作、果樹などに価格・所得対策を充実する

 日本農業は、地域の条件に応じて畑作、畜産、果樹、野菜など多様な生産が発展してきましたが、輸入自由化政策のなかで、外国産に押されて多くの作物で生産の減少傾向が続いています。自由化政策をストップするとともに、品目ごとの実態に即した価格保障(価格安定・支持制度)と所得補償の拡充で、農家経営が安定して持続できる条件を整えます。

 酪農・畜産など――酪農・畜産は、高齢化や離農の増加による生産基盤の縮小に歯止めがかかりません。大規模化に偏重した従来の酪農・畜産政策は、輸入飼料に依存した畜産経営を広げ、地域環境の悪化とともに、畜産農家に過重な労働や過大な投資をもたらすなど持続可能性が問われる矛盾を広げています。政府の畜産政策を、自由化推進・規模拡大一辺倒から日本の大地に根ざした循環型の畜産経営を支援する方向に転換します。

 酪農では、加工原料用の乳価に生産費を基準とする不足払い制度を復活します。生乳の需給調整や生産者価格の安定に重要な役割を果たしている指定生乳生産者団体の役割を重視し、機能を維持します。生乳生産の持続に欠かせない乳用後継雌牛の確保に特別の支援を行います。

 肉用子牛補給金や牛・豚肉の価格・経営安定対策は、単価や補てん水準を引き上げ、再生産が可能になるよう改善・充実します。昨年の国会で、TPP関連法として成立した、肉牛・豚マルキン制度の補てん水準の引き上げは、TPP発効と切り離してただちに実行に移します。

 飼料作物の増産を支援するため、水田・畑・採草地への直接支払いを拡充するとともに、増産が計画されている飼料用米の保管・流通施設など飼料の広域流通体制を整備します。

飼料価格の高騰よる畜産経営の破たんを防ぐため、配合飼料価格安定基金からの補てんを安定的なものにするために万全な財源を確保します。

 野菜・果樹、甘味資源など――現行の野菜価格安定制度を、対象品目や産地を拡大し、保証基準価格を引き上げる、加入や支払いの事務を簡素化するなどの改善・充実をはかります。加工向け生産や自治体が行う特産物の価格安定対策に国の支援を強めます。

ミカンやリンゴなど果実生産は、豊作時に加工に向けることで生果の需給調整が可能になるよう、輸入原料の規制とあわせて、加工向け果実価格安定対策を創設します。

 北海道や南九州・沖縄の基幹作物であり、国内で貴重な甘味資源作物であるてんさい・ばれいしょ、さとうきび・かんしょなどは、生産・製造コストと販売価格の差額を補てんする現行の経営安定対策を充実・強化し、再生産が可能となるよう支援を強めます。

 麦・大豆――自給率の極端に低い麦・大豆の増産は急務です。土地条件の改良や栽培技術・品種の改善、加工・流通への支援などとあわせて、麦・大豆に生産費と販売価格の差額を補てんする交付金制度を復活し、充実させます。国産を活用したパンや加工品の学校給食での普及・拡大を支援し、国産麦や大豆の需要拡大にとりくみます。

農業の多面的機能に着目した直接支払い(所得補償)を拡充する

 農業生産の4割を担う中山間地など条件不利地域での農業を維持するためには、特別の援助が必要です。中山間地域等直接支払い制度を、高齢化が進む実態を踏まえて、集落協定の要件の緩和、対象地域の拡大、協定期間の弾力化、事務手続きの簡素化などを進めます。高齢者率の高い集落への支援や樹園地などには補償水準を手厚くします。

 農業のもつ国土や環境を保全するなどの多面的な機能は、農産物の価格には反映されず、農家の無償労働で国民に提供されてきたものです。これを正当に評価して、水田・畑地・樹園地など地目に応じた直接支払い(所得補償)を実施します。

収入保険制度を改善する

 19年度から導入される収入保険制度は、加入対象が販売農家の約2割にすぎない青色申告者に限ったうえ、補てん基準となる収入も過去5年間の平均の9割であることから、価格下落が続けば、基準収入も底なしで下がる仕組みで、加入農業者の安心を保障するものとは言えません。さしあたって、対象者を青色申告者に限定するのをやめ、基準となる収入も生産コストと関連させるなどの改善をはかります。

 

選別・淘汰でなく、多様な担い手の育成に国を挙げて取り組む

 戦後日本の農業を中心的に支えてきた世代の「引退」が加速し、担い手不足が深刻です。そのなかで安倍政権は、農業の「競争力強化」「成長産業化」を叫び、大規模化・企業参入を強調して、中小の家族経営を支援の対象から締め出しています。担い手を選別し、政策的にふるいにかけるやり方は、大小多様な家族経営とその共同で成り立ってきたわが国の農業と農村をこわし、担い手減少に拍車をかけるだけです。一部に大規模経営が育ったとしても、地域農業も農村社会も維持できず、国土や環境も守れなくなります。安倍政権の農政の方向は、国連が、2014年を国際家族農業年に指定し、家族農業や小規模農業の役割を高く評価して、その支援を呼びかけた国際的な流れとはまったく逆行します。

多様な家族経営をできるだけ多く維持する――農地の集積が進み、大規模化が進んでいるとはいえ、農業と農村の多くが、専業や兼業など大小多様な家族経営や、その共同で成り立っていることに変わりはありません。今後の担い手対策も、価格保障の再建などによる営農条件の改善と一体で、多様な家族経営をできるかぎり維持することに重点を置きます。農業の「経営安定対策」や、各種の補助金は、大規模化や「法人化」を条件にせず、地域に存在する「続けたい、やりたい人(法人を含む)」すべてを対象にします。

地域農業を支えている集落営農など大規模経営も支援する――離農者の農地や農作業を引き受けて頑張っている大規模経営や集落営農組織は少なくありません。そうした経営も安倍政権の農政のもとで経営不安を抱えており、地域農業を支える役割を将来にわたって持続できるよう、支援するのは当然です。規模拡大に見合う大型機械の導入・買い換え時の投資コストを抑えるために、機械・施設の更新などへの助成、リース制度の拡充、低利融資、負債の利息軽減、土地改良負担の軽減措置などを実施します。

 生産組織に対する支援は、地域の自主性を尊重しながら、複雑な資金管理や実務が負担にならないよう、行政や農協による支援を強めます。

新規就農者総合支援法を制定し、新たな担い手の確保・育成に力を注ぐ――高齢農業者のリタイアが加速し、その多くが後継者不在という中、農家の子弟や都市住民を含めて、新規就農者の確保に思い切った対策をとり、次代の担い手を飛躍的に増やすことが必要です。

 近年、若者や定年退職者、都市住民のなかで就農や農山村への移住希望者が増え、農林業への関心が高まっています。「田園回帰」といわれるこの動きを、本格的な就農に結び付け、定着させるために、国・自治体・関係機関が一体となった長期にわたる支援を強めます。

 「新規就農者総合支援法」を制定し、就農希望者の研修・教育機関の整備、農地や住宅の確保、資金、技術の提供、販路確保など国・自治体などが一体となった総合的な支援体制を確立します。青年就農者給付金(17年度より農業次世代人材投資事業)の拡充、農業者大学校や各種農業研修制度への支援を強めます。中山間地や過疎集落での定住者・移住者にたいし、営農と暮らしの両面から特別に支援を行います。

雇用の面からも就農を広げる――農業法人に雇用される形で農業に従事する人も増えています。農業法人が新たに労働者を雇う場合、賃金に対する一定の支援をおこないます。農の雇用促進事業を抜本的に拡充し、就農希望者を雇用する大規模経営や団体、法人を支援し、雇用の面からも就農を広げます。

多様な形態で「農」に関わるグループ・個人を支援する――生業としての農業だけではなく、市民農園や体験農園、学校・福祉農園、グリーンツーリズム、農業ボランティアなど、様々なチャンネルで国民が農業・農村に触れ、生産に関わるようになっています。これらも、農業・農村の多様な担い手の1つと位置づけ、支援します。

農業公社などへの支援を強める――耕作放棄地が広がる中山間地などで、農協や自治体の出資する農業公社などが耕作を引き受け、中小農家の維持や農地の保全、新規参入者の支援などに努める場合、その経費を国が援助する。

財界主導の農協「改革」を中止し、農家の共同や農協の役割を重視する――今日の農村で中小農家が成り立つためには、農産物の共同販売や資材の共同購入などが欠かせません。担い手の育成、集落営農への支援、資金の確保など農村社会のインフラとしての総合農協の役割も重要です。

 安倍政権がごり押しする農協「改革」は、こうした農業者の共同や協同組合の役割を否定し、財界の言うままに、農協に営利企業化を押し付け、農業者や地域をバラバラにしようとしています。とりわけ、単位農協からの信用・共済事業の分離、准組合員制度の見直しなどは、総合農協を解体に導き、農外企業が農業・農村に“勝手気まま”に進出し、利益を得られるようにすることをねらったものです。このような農協「改革」のおしつけに反対し、農協の自主性・独立性を尊重し、組合員・役職員が力をあわせて協同組合としての原点に立った役割を果たせるよう、国や自治体も協力し、支援します。

 農地制度の改悪に反対し、農外企業による農地取得・利用を厳しく監視する――09年の農地法「改正」以後、農外企業の農地進出が増えていますが、もうけ第一の株式会社が進出する対象は優良農地であり、そこで成り立っている農家や集落営農と競合し、追い出すことになりかねません。地域外からの企業の参入・農地取得については、集落営農から発展した株式会社など地域に密着した法人とは区別し、厳しい監視と規制を強めます。国家戦略特区の名で、農地法の規制を形骸化し、一般企業の農地所有に道を開くことには反対します。

 2015年の国会で、農業委員会法が「改正」されましたが、農地の維持・管理や利用調整、耕作放棄地の解消などに一定の権限を持つ行政委員会という性格は変わりません。農民の声を反映し、農地の自主的管理を担う機関としての役割が発揮できるよう、事務局体制を強化し、委員手当も引き上げるなど必要な予算を確保します。

 

災害対策、生産費や税負担の軽減で農家経営を応援する

多発する災害で、農業経営の再建を全面的に支援する

 近年、自然災害が多発し、農山村に甚大な被害が続発しています。農山村や林業の荒廃は社会の災害への対応力を弱め、逆に災害が農山村の崩壊に拍車をかけています。この点からも、農林業と農山村の再生は急務であり、甚大な被害が出た場合、復興に迅速に取り組めるよう、万全の支援体制を準備しておくことが求められます。

農業災害補償制度の充実をはかる――収入保険の創設と一体で、農業共済事業における米・麦などの当然加入制度が廃止になり、共済組合の組合員の減少、共済事業の縮小・弱体化が懸念されます。農業共済事業は災害の際に農業者の経営を維持し、地域農業を支える重要な仕組みであり、引き続きその役割が発揮されるよう、加入者の促進、事務費の援助などを支援します。加入率の低い果樹、施設などの共済を利用できやすく改善します。

被災農業者の早期の営農再開を支援する――被災農業経営が早期に経営再開できるよう、農地や農機具・施設の復旧に手厚い支援を行います。東日本大震災のように、地域全体が甚大な被害を受けた場合、経営再建に必要な施設や機械を全額国費による交付金制度などの支援を行います。その際、中小規模も対象にするなど助成金の早期支給とともに、期間延長など、実情に合った援助を行います。

東日本大震災・原発放射能災害からの復興を急ぐ

 東日本大震災と原発・放射能被害からの農林水産業の復旧と復興は、被災者の暮らしや地域経済の回復の柱であり、わが国の農林水産業の再生にむけても欠かせない一歩です。

 営業再開を望むすべての農家・地域を引き続き支援する――震災後6年が経過し、放射能被害の深刻な地域を除いて、農地や施設の復旧・整備が進んでいますが、新たに誕生した大規模農業法人・経営などの不安定な状況が続き、引き続き支援が求められています。支援の対象を大規模経営や共同事業に限定するのでなく、希望する農家すべてが営農を再開するか、集落営農法人等に参加できるよう支援します。

 原発事故による農林漁業被害に全面的な賠償を求める――原発・放射能災害は、福島県を中心に農地や森林、海を汚染し、住民がふるさとを追われ、農林漁業の再生にむけて出発できない地域が残されています。森林の除染もほとんど手がついていません。農林漁業者の損害のすべてを国と東電の責任で全面的に賠償することは、農漁業の経営を再生する最低の条件です。

 国や東電による賠償打ち切りを許さず、農林水産物の価格低下や販売不振などの“風評被害”、事故に伴う諸経費の増加、使用できない農林地や農業施設の損失、汚染・除染に伴う精神的被害をふくめて、東電に全面的な賠償を行わせます。賠償金について非課税扱いにし、賠償請求の手続きも簡素化させます。 

 農用地について一筆ごとの詳細な汚染マップを早急に作成するとともに関係機関の英知を結集して除染方法の開発・実証をすすめ、除染を急ぎます。放射能に汚染された牧草、稲ワラ、堆肥などの処理方法が決まらず、依然として農地や作業場などに滞留しています。政府の責任で早急に処理方法や処分地を決定し、あらたな生産の開始を可能にします。

生産コストの低下や税負担を軽減し、農業経営を支援する

 農業機械や施設の大型化はコストを高め、農家の所得を減らす場合が少なくありません。経営規模に見合った機械の導入、共同利用の機械更新への支援、肥料の価格安定、軽油引取税免税の恒久化などで生産コストの低下、農家所得の増大、消費者価格の安定をはかります。

米・麦などの種子の開発・普及に公的機関が責任をもつ新たな法律をつくる――安倍政権は、米・麦などの種子の開発・普及は都道府県の責任としてきた主要農産物種子法を、農業関係者の納得できる説明のないままに一方的に廃止しました。この分野が利益第一の民間企業に委ねられ、種子代の高騰を招き、多国籍種子企業に支配されることになりかねません。種子は農業にとっての基本的な資材です。農業者に優良で安価な種子の供給を将来にわたって保障するためにも、都道府県の農業試験場などの運営に必要な予算を確保し、種子の開発・普及などに責任を持って取り組めるよう、新たな法律を制定します。

品種・栽培技術の改良など試験研究を強化する――作物の増産と生産コストの削減には、品種改良・栽培技術など基礎的な研究と援助が不可欠です。効率優先による基礎研究の切り捨てではなく、食料の増産、農業経営の改善に役立てる方向で強めます。

消費税増税を中止する――大多数の農業者にとって、消費税は、生産費の上昇分を農産物価格に転嫁できず、赤字でも身銭を切って払わなければならない営農破壊税です。所得の低い人に重くのしかかる最悪の不公平税制であり、最悪の景気破壊税です。“軽減税率”の導入も農業者への負担を増やすだけです。消費税10%への増税中止を強く求めます。

 

国境措置を維持し、「食料主権」を保障する貿易ルールを

 今日の農業の危機の根本には、食料は「安い」外国から買えばいいとして農産物の輸入を次々に自由化し、わが国農業を外国産との無制限な競争にさらしてきた歴代政府の無責任な農政があります。安倍政権も、TPP批准を強行したうえ、米トランプ政権の離脱表明後もTPPに固執し、日欧EPAではTPP水準を上回る大幅な譲歩を行うなど、際限のない市場開放の道を突き進んでいます。大企業の輸出や投資の拡大を最優先し、農林漁業に犠牲を強いる貿易・食料政策の転換なしには、農業・農村の再生はありえません。

 農林水産業には、各国の間に、国土や自然・社会条件の違いなど、生産者の努力では埋めきれない競争条件の格差があります。日本のように狭小な国土や高い人口密度のもとで、農林水産業を守り、食料自給率を高めるためには、関税など何らかの国境措置は不可欠です。

 欧米諸国をはじめ世界の多くの国でも、競争力の弱い農産物については、さまざまな国境措置をとっています。自由化一辺倒のWTO体制の下で、世界各国の農業が荒廃し、食の安全や環境も脅かされ、貧困と格差が拡大するなどの矛盾が広がりました。人類の食料問題が深刻化する21世紀の世界に必要なのは、各国が国土・資源を最大限に生かした食料の増産であり、それを可能にする貿易ルールです。

TPPはきっぱり断念する――安倍政権は、アメリカの離脱でとん挫したTPPの復活を画策し、米国を除くTPP参加11か国で新たな交渉を続けています。そこでは、農業者が激しく反対してきた農産物の関税の撤廃・削減について、何の修正も求めないと伝えられます。国会決議もみずからの公約も裏切って結んだ農業つぶしのTPPを、既定の路線として押し付けようとする行為は断じて許せません。TPPはきっぱり断念すべきです。

日欧EPAの「大枠合意」の撤回を求める――安倍政権が7月に「大枠合意」したとする日欧EPAは、農林水産物・加工品に関してTPP水準を超える譲歩を受け入れています。「自由貿易を守る」との口実で、大企業の輸出や投資の拡大のために農業を犠牲にするやり方が、またしても繰り返されました。交渉過程をいっさい明らかにせず、農業への影響も試算しないまま結論だけを押し付けるやり方も、農業者に不信を募らせています。日欧EPAの「大枠合意」は、わが国の農業に新たな打撃となるのはあきらかであり、撤回を求めます。

「日米経済対話」の中止を求める――安倍政権の提案で始まった日米二国間の経済対話は、アメリカ第一を掲げるトランプ政権によって、TPP以上の農産物市場開放を迫られるのは必至です。日米経済対話の中止を求めます。

各国の食料主権を保障する貿易ルールを確立する――日本政府もかつてWTO新ラウンド交渉の中で「多様な農業の共存」が可能になる貿易ルールを提案していました。農業政策を自主的に決定できる権利=「食料主権」を保障する貿易ルールの確立をめざします。二国間・多国間の貿易や経済連携にあたっては、農業に新たな打撃となる協定には反対し、「各国の多様な農業の共存、食料主権を尊重するルールをめざします。

ミニマム・アクセス米の輸入を中止する――世界で米が不足しているときに、輸入の必要のない日本に77万㌧ものコメ輸入を強要するミニマム・アクセス制度はきっぱり廃止すべきです。ミニマム・アクセスは、WTO協定上は最低輸入機会の提供にすぎず、全量輸入は義務ではありません。当面、「義務」輸入は中止します。

 

食料自給率を早期に50%へ、農林水産予算を基幹産業にふさわしく増額する

 わが国の農林水産業を再生するには、長期の見通しによる計画的な取り組みと関連予算の思い切った増額が必要です。長年”猫の目農政“に苦しんできた農家が、将来にわたって安心して農業に励めると確信をもてるようにするためにも、政策の一貫性・持続性が不可欠です。

 日本共産党は、食料自給率の向上を国政の柱に据え、早期50%達成を掲げていますが、そのために価格保障や所得補償の充実などに必要な農林水産予算を大幅に増額します。

 一般歳出に占める農林水産予算の割合は2000年の7.1%から2017年には4.0%に低下しています。現在の国の予算規模を前提にしても、農業を「国づくり」の柱に据え、予算上の位置づけを17年前の水準に戻すだけでも、農林水産予算を約1兆円は増額できます。

 食料の増産には、水田の乾田化、用排水の維持・補修、山間地域の圃場整備などの土地改良事業は欠かせません。土地改良事業や施設は、大型事業中心ではなく、維持管理・補修を重視し、農家や地元の負担が少なく、経営改善につながる事業に重点的に配分します。

 

農林漁業者・消費者の共同を重視し、食の安全・安心をひろげる

 輸入食品への農薬残留、遺伝子組み換え食品の横行など食の安全・安心を脅かす事態が後を絶ちません。「安全な食料は日本の大地から」の実現をめざしつつ、食品の検査体制・安全基準を強めます。

 食の安全より貿易拡大を優先する貿易ルールに反対する――TPP協定は、遺伝子組み換え食品の「貿易の促進」をうたい、食の安全基準は貿易の障害にならないよう“科学的根拠”にもとづいて決定し、決定過程に透明性を確保するため外国企業の注文を受け付ける、などを参加国に求めていました。貿易拡大を優先し、食の安全への懸念を広げるこのような貿易ルールを認めるわけにはいきません。

BSE対策を堅持し、牛肉の安全を確保する――TPP参加のための日米事前交渉で、日本政府はBSE(牛海綿状脳症)のアメリカ産牛肉の輸入拡大を受け入れるため、BSE検査の月齢制限を次々に緩和しました。率が低いとはいえ、発生メカニズムもわからない非定型形BSEが存在し、定型でも48か月齢まで発症する牛が存在する以上、食の安全上も、BSE根絶という世界的な課題の達成のためにもBSE全頭検査は維持します。特定危険部位の除去など現行のBSE対策を堅持し、牛肉の安全を確保します。

口蹄疫や鳥インフルエンザの発生防止に万全を期す――口蹄疫や鳥インフルエンザ、豚流行性下痢症、ヨーネ病など各種感染症の発生の影響を最小限にとどめるよう、国の責任で監視体制を強めます。被害農家には、殺処分した家畜の評価額を再生産可能な価格とし、埋却までの間のエサ代の補償、出荷規制期間の減収補償や新たに導入する家畜が販売できるまでの期間の所得などの直接支援をおこないます。

水際での検査体制を強化する――輸入食品の水際での検査体制を抜本的に強化し、食品衛生法違反の輸入食品の国内流通を根絶します。食品の原料・原産地表示をすべての加工品に実施します。食品に関する表示制度を一本化し、製造年月日表示を復活させます。

 遺伝子組み換え食品の承認検査を厳密にし、遺伝・慢性毒性、環境への影響に関する厳格な調査・検証・表示を義務づけます。

安全で環境にやさしい食料の生産・流通を広げる――「効率化」一辺倒で農薬や化学肥料に過度に依存した農業生産のあり方を見直し、有機農業など生態系と調和した環境保全型の農業、「地産地消」や「スローフード」への取り組み、食文化の継承・発展を支援します。

食の安全や環境に配慮した有機農業などに一定の基準で所得補償を実施します。

卸売市場の公正な運営をはかる――公設の卸売市場が、大手産地と大手スーパー中心の相対取引に偏重しないよう、地方産地、中小業者の参加を保障する条件を強め、公正で適正な流通に資するようにします。大手量販店などによる、コストを無視した低価格での納入の強要や、大手集荷者による指値の強要するなど優越的地位利用を規制し、産地、中小小売が対等な立場で交渉できるようにするための協議会設置など、公正な流通ルールを実現させます。

安倍政権は、規制改革推進会議などで、受託拒否の禁止や卸の第三者廃売禁止など卸売市場における取引原則を見直し、卸売市場の廃止を含めた検討に乗り出しています。卸売市場の公的な責任をなし崩しにし、農水産物の流通を大手流通資本の支配強化に道を開くものです。

卸売市場制度については、流通の広域化、産地の大型化と大量出荷、市場間の格差拡大など農水産物の流通が大きく変化し、市(東京は都)を開設者とする卸売市場では実態に合わない状況も生まれています。広域的な流通にあわせた卸売市場のあり方を検討します。また、老朽施設の建て替えなどは、施設・用地の多角的な利用などよる自治体の負担軽減などとあわせて公的役割の維持・増進をはかります。

ベンゼンなどの土壌・水質汚染の無害化ができない豊洲への築地市場移転強行を中止させ、築地での再整備、安全基準の強化など、安全確保を最優先した生鮮食品流通政策をすすめます。

 

農林漁業に基盤をおいた農山漁村の再生に取り組む

農林漁業の衰退を放置し、企業誘致や公共事業、大型開発に依存した地域づくりは、企業の海外進出、公共事業の激減、原発事故などでゆきづまり、各地で破たんしています。農山村の人口減少、地域崩壊の危機が広がる中、安倍政権は、雇用創出や移住促進、子育て支援などをうたった「地方創生」を打ち出していますが、「選択と集中」の名で拠点都市・拠点集落への人や投資の集中、農林漁業の衰退につながる「改革」を叫ぶばかりで、農山村、国土の崩壊は止められません。いまこそ政府は、産業・国土政策を転換し、都市と農村が共生でき、農林漁業や地方経済が再生できる方向に踏み出すべきです。

 農業は地域の基盤を離れて「孤立」しては成り立ちません。農業用水や農道、生産・生活施設の管理や集落の助け合い、文化行事など地域の共同体の営みと農業生産は一体で取り組まれています。安倍政権のように、産業政策と地域政策は区別すべきとして、産業としての農業の競争力強化ばかりを強調するのでは、農村の崩壊は早まるばかりです。

いま国民の中に、農山漁村のもつ多面的な価値に共感し、都会から移住する “田園回帰”の動きが強まっています。「若い世代が来てくれ、地域が元気になった」という過疎地の集落も生まれています。多くは、農林漁業を中心に、加工や販売、子育てや福祉、再生エネルギーなど、地域の資源を生かして雇用や働く場を確保しています。「経済効率」優先ではなく、大規模と中小経営が共存し、農業者や地域住民の共同や相互扶助を重視しています。

こうした国民の願いや各地の取り組みを踏まえ、農山漁村の再生には、農林漁業を基盤としながら、生産者・地域住民・消費者との共同をひろげ、地域資源をフルに生かした循環型の経済で、就業や雇用の場を確保することと一体で取り組むことが求められています。

地産地消を重視した循環型の地域づくりをすすめる――わが国の農林漁業は、地域ごとにきわめて多様であり、再生の取り組みは地域の自主性を尊重すべきです。「食の安全都市宣言」「地産地消宣言」などをかかげる自治体が各地に生まれています。直売所や産直がにぎわい、高齢者や女性、兼業農家などが元気に参加した都会の消費者との交流もさかんです。地産地消や食の安全を重視した循環型経済で、地域農林業、沿岸漁業の振興をはかります。

農林漁業の「6次産業化」はあくまで農林漁業者主体に――地域の資源を生かした加工や販売に力を入れることも、農林水産物の需要を拡大し、地域の雇用を増やし、農漁家の所得を増やすうえで重要です。農家や協同組織による農産物の直売、加工、観光、農家レストランなどの取り組み、福祉施設などとの共同を積極的に支援します。農業の「6次産業化」はあくまで農業者主体を貫き、連携する企業も可能な限り地場企業を重視します。

太陽光、バイオマス、小水力発電など自然エネルギー開発に力を入れる――地球温暖化対策の一環として、世界ではいま、太陽光・熱、風力、小水力、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの開発が進んでいます。過酷な原発事故は、その本格的な普及を切実に求めています。原発ゼロを決断し、農山漁村に豊富にあるエネルギー資源の積極的な活用を、地域経済や雇用確保の重要な柱として位置づけ、開発・普及に力を入れます。その際、地域環境の破壊にならないよう大規模開発を規制し、地域の住民や団体の共同した取り組みを支援します。

過疎集落への支援を思い切って強化する――第一次産業の振興とともに、「山の駅」(仮称)など地域にあった生活拠点をつくり、集落を結ぶコミュニティバスの運行、高齢者集落への「集落支援員」の配置などにより、地域住民の買い物や医療、福祉、教育など生活に不可欠な最低条件の整備に努めます。こうした対策を講ずる自治体に対し、国の支援を強めます。

 近年、農作業や伝統行事の支援、都市住民との交流などを支援する「地域おこし協力隊」(政府が3年間財政支援、自治体が委嘱)の活動が過疎地域で注目されています。派遣される隊員も年々増え、期間終了後も地域に定住し、就農する例も増えています。関連予算を増額し、「協力隊」員を思い切って増員します。

有害野生生物対策を抜本的に強める――増え続ける鳥獣被害は、農林漁業者の生産意欲を失わせ、集落の衰退に拍車をかけ、それが鳥獣害への対抗力も弱める、という悪循環をもたらしています。根本的には、農林漁業が成り立ち、農山漁村で元気に暮らせる条件整備が不可欠ですが、当面、該当する鳥獣の生態や繁殖条件の調査を国の責任で行い、増えすぎた鳥獣を適正な密度に減らす地域や自治体の取り組みを支援します。鳥獣が里山に下りずに生息できる森林環境を整備するとともに国の鳥獣被害対策交付金を大幅に増やし、防護柵・わなの設置、捕獲物の利用など農林家や自治体の取り組みへの支援を強めます。

 大型クラゲ、ザラホヤ、トドなど新たに増えている漁業被害をなくすため、発生メカニズムの解明、駆除方法の開発に取り組みます。

都市農業を振興し、農地税制を抜本的に改める――一昨年の国会で成立した都市農業基本法は、都市内の農地は「宅地化すべき」というこれまでの考え方から、積極的に「保全すべき」へと大転換しました。この理念を本格的に定着させるために、固定資産税、相続税における課税評価を、現に農業が営まれている農地は農地評価を基本にして農地利用の存続をはかります。農地に準じた課税を、農作業場や屋敷林、市民農園などにも拡大します。生産緑地の要件を緩和し、他人に貸しつけて耕作される場合でも相続税納税猶予の適用を継続します。全国の生産緑地の8割が期限が切れ、開発が可能となる2022年以降、引き続き生産緑地として維持・継続できるよう、自治体や関係団体による支援を強めます。都市内での直売所、地産地消、学童農園、体験農園などの取り組みを支援します。

 

山村地域の基幹的産業として林業・木材産業の再生をはかる

国土面積の3分の2を占める森林は、木材の供給とともに、国土・環境の保全、水資源の涵養、生物多様性など国民生活に不可欠な役割をはたしています。またCO2の吸収・固定による地球温暖化防止への寄与など「低炭素社会」の実現にも欠かせない資源です。

森林の蓄積量は、戦後、植林した人工林を中心に、毎年、年間消費量を上回って増大しており、木材として利用する時代を迎えています。

国産材の利用と森林の公益的機能の持続的な発揮は、森林・林業者だけでなく、国民共通の願いです。森林・林業の持続的な管理経営のために、外材依存の加工流通体制を改めて、地域の実態に即した国産材の生産・加工・流通体制を構築し、林業・木材産業の再生をはかります。

外材依存政策を転換し、日欧EPA、TPP11大枠合意を撤回する――安倍政権は、日欧EPAの「大枠合意」で、かろうじて残されていた製材や集成材などの関税撤廃を受け入れました。政府は、木材自給率50%の目標を掲げていますが、「大枠合意」は国産材の利用拡大と森林・木材産業の再生を困難にし、自給率向上に逆行するものであり、撤回を求めます。

自主権を尊重した林産物貿易を提起する――丸太や製材品などの林産物は、WTO(世界貿易機関)協定では、自動車や電化製品と同じ「鉱工業製品」扱いになっています。多くの国で環境保全や林産業育成などのため、丸太の輸出規制が行われており、実質的に自由貿易品目でなくなっています。森林生態系や自然環境は、人間の生存にかかわる問題であり、市場まかせにする時代でありません。輸出国主導のWTO体制を見直し、各国の自主権を尊重した林産物貿易、森林・林業政策を保障することを世界に提起します。

地籍調査・境界確定を促進し、地域の実態に即した産地づくりにとりくむ――わが国の森林・林業は、亜熱帯から亜寒帯に分布し、植生も多様です。地域ごとに異なる歴史や自然的、社会的条件を持っており、画一的、効率一辺倒ではなりたちません。 

林業の基礎となる林地の地籍調査は4割台にとどり、事業の障害になっています。地籍調査と境界確定を促進し、森林所有者や素材生産、製材・加工、工務店など川上と川下が連携し、地域の実態に即した産地づくりを支援します。

地形や自然環境に配慮した林道・作業道など災害に強い路網整備をすすめる――生産基盤となる林道や作業道の路網整備が大きく立ち遅れています。路網整備では、生態系や環境保全に配慮した技術を確立し、災害に強い路網整備をすすめます。また、日本の地形や森林資源の実態に対応できる高性能林業機械の開発を国の責任ですすめます。

林業就業者の計画的な育成と定着化の促進、就労条件の改善にとりくむ――林業は、森林の多面的機能や生態系に応じた育林や伐採などの専門的知識や技術が必要です。基本的技術の取得を支援する「緑の雇用」や「緑の青年就業準備給付金」事業の拡充や事業体への支援を強め、系統的な林業労働者の育成と定着化にとりくみます。また、安全基準などILOの林業労働基準に即した労働条件や生活条件の改善にとりくみ、安心して働ける環境をつくります。

架線系システムの技術の継承、発展にとりくむ――急傾斜地では、林地保全などから架線集材システムが有効です。集材機の開発や技術者を確保し、技術の継承、発展をはかります。

公共建築物や土木、道路施設、新たな製品開発など国産材の需要拡大にとりくむ――「公共建築物木造利用推進法」が施行されて8年、木造化は推進されていますが、2017年度の全国平均実績は11.7%にとどまっており、不足している木造の設計・建築技術者の育成や木造建築技術の開発・普及にとりくみ、需要を計画的につくりだすなど、可能な限り木造化を推進します。また、土木事業や道路施設への技術開発、新たな木材製品の開発などをすすめ、国産材の需要拡大にとりくみます。

木質バイオマス施設の適切な配置と熱電併給にとりくむ――木質バイオマス利用は、林地残材等の活用による収入確保や雇用の確保など林業の再生にとっても大事なとりくみです。木質バイオマス発電では、一部で輸入パームヤシ殻依存や製紙用向けが燃料になるなどの問題が明らかになっています。地域の資源量に即した適切な配置をすすめます。また、熱効率を高めるために、排熱を利用する熱電併給にとりくみます。

国産材のカスケード利用にとりくむ――良質材から低質材まで、建築や木製品、紙製品、エネルギーなど、100%有効に利用するカスケード利用にとりくみます。エネルギー利用は、「材として利用できない低質材」の原則を確立します。

持続的な管理経営にとりくめるよう森林所有者に再造林できる価格を保障する――国の林業政策の目的に、「林産物の需給および価格の安定」を位置づけ、政府が責任をもって再造林できる原木価格を保障できるとりくみをすすめます。

地震や集中豪雨などによる山地崩壊や施設被害の復旧に全力でとりくむ――全国各地で地震や豪雨による大量の流木や山地崩壊、施設などの被害が頻発しています。流木による二次被害防止対策や荒廃林地や施設の全面的な復旧にとりくみます。地域材を活用した仮設住宅や復興住宅の建設に力を入れるなど、森林・林業の再生のとりくみを支援します。

シカ等の野生獣による食害や病虫害害対策にとりくむ――シカなどによる食害やナラ枯れなどの被害は、年間8000haに及び生態系の破壊など人間生活にも影響を与えています。野生獣の防除と捕獲、個体数の管理や病虫害の効果的、効率的な防除技術の開発をすすめます。捕獲した野生獣の食肉流通対策を支援します。

地域資源の活用や都市住民との交流などで就労機会の確保をはかる――山菜や薬草など地域資源を活用した特産品の生産振興や加工・販売などのとりくみや、自然環境を活用したレクリーション,保健・休養など都市住民との交流などのとりくみをすすめ、就労機会の確保をはかります。

市町村や森林組合、林業事業体への支援を強める――2016年の森林法改正で、市町村が森林・林業の基本となる資源情報など「林野台帳」の作成が制度化されました。「林野台帳」の整備にとりくむ技術者の育成や最新の情報通信技術や地理情報システムなどが活用できるよう、市町村への支援を強めます。また、森林組合員の所有面積は私有林面積の7割を占め、地域の森林整備の中心的な役割を担っています。市町村行政や素材生産業、製材業などと連携し、地域林業の確立のために積極的な役割がはたせるよう支援を強めます。

林業女子会などボランティア団体等への支援を強める――森林づくりにとりくむ女子会やボランティア団体は全国で3000を超え、国民の森林・林業への関心を高める大きな役割をはたしています。技能の習得や必要な資材の貸し出し、森林・林業者との自主的な相互協力・交流などを支援します。

森林のCO2吸収力を評価した排出量取引で、山村地域と都市部の連携を強める―― 国内のCO2排出量の削減を促進するために、森林の整備によるCO2の森林吸収量と、化石燃料を木質バイオマスの利用に替えることによるCO2排出量の削減を評価して、都市部の企業や自治体の排出削減のとりくみにおけるカーボン・オフセット(炭素排出量の相殺)に活用する制度を本格的に導入し、植林・間伐などの森林整備の資金を生み出します。 

国有林の持続的な管理経営にとりくむ――国有林は、国土面積の2割、森林面積の3割を占め、奥地山岳地帯や水源地帯に広く分布し、9割が保安林に指定され、国土保全や環境保全など国民生活にとっても重要な役割を担っています。「国民の共有財産」として、①林産物の計画的・持続的供給、②国土保全、水源涵養、自然環境の保全などの公益的機能の発揮、③地域振興への寄与等の役割をもっています。

 これらの役割を確実に実行していくため、技術者を育成確保し、自治体・住民との連携をはかり、地域の経済や雇用に配慮した、持続的な管理経営にとりくみます。規制改革推進会議で検討している国有林の民間開放は、この役割をないがしろにするものであり、反対します。

国が導入する「森林環境税(仮称)」は、汚染者負担原則を基本に、国民合意をすすめる――政府は温室効果ガス削減目標達成のために、年平均52万haの森林整備を実施することにし、その財源として住民税に上乗せする「森林環境税(仮称)」の創設を検討しています。この方式は、すでに37府県で地方税として導入され、約300億円の税収になっています。温暖化対策は、排出源対策と吸収源対策をあわせることが必要で、森林整備は重要な吸収源対策です。国が導入する「森林環境税(仮称)」は汚染者負担原則を基本に、二酸化炭素の排出量に着目した地球温暖化対策税を拡充するなど、国民合意のもとで森林整備を含めた温暖化対策を推進します。

 

漁業者の経営安定と資源管理型漁業で水産物の安定供給をはかる

 四方を海に囲まれ、変化に富んだ海岸線をもつ日本の漁業は、沿岸、沖合を中心に多様な形態で営まれ、豊かな魚食文化をはぐくんできました。200海里時代に入っても排他的経済水域(EEZ)は世界6番目の広さをもち、漁業発展の条件はあります。

 ところが、漁業資源の減少や漁業従事者の減少・高齢化などで、2016年の日本の漁獲量は過去最低に落ち込み、漁業者の経営危機も深刻です。地球温暖化の影響は、海水温の上昇、潮流とともに漁貝類の生育、回遊にも変化をもたらし、イカ、サンマ、サバなど不漁の目立つ魚種が増えています。一方、消費税の8%への増税と国民の実質所得の減少が、割高感のある水産物の消費を減退させるなど、国民一人当たりの水産物消費量は減少していながら、20116年の自給率は59%と低下傾向が続いています。

 ところが、自由貿易一辺倒の安倍内閣は、アメリカぬきでのTPP条約の発効(TPP11)や日欧EPA(経済連携協定)の大枠合意などで、水産物の関税撤廃・削減をさらにすすめようとしています。東日本大震災からの沿岸漁業と水産業の復興では多くの課題が残され、東京電力福島原発事故の海洋汚染による水産物の安全に対する国民の不信は払拭されていません。

 世界的にも、海洋をめぐる国際環境の変化、利益優先の開発による漁場の悪化と水産資源の減少、発展途上国を中心にした水産物需要の増大が顕著であり、水産物を輸入に頼ることは、ますます困難になっています。こうしたもとで、我が国の主権を確保しつつ、国際的な資源管理を適切に進めることが重要になっています。

 自公政権は、17年に「水産基本計画」を改訂し、基本方針として「産業としての生産性向上と所得の増大」「漁場管理の適切な保全・管理」「多面的機能の十分な発揮」を掲げましたが、力点は「国際的競争力のある漁業経営体の育成」「魚類・貝類養殖党への企業の参入」「沖合漁業の規制緩和」などにあり、漁業に競争を持ち込み、企業参入や規制緩和などで、漁業者が築いてきた浜の秩序を大きく変えようとしています。

 そのうえ、財界代表を中心にした規制改革推進会議では、漁協に優先権を与えている区画漁業権などの見直し、企業の参入自由化を押しすすめようとしています。

 日本共産党は、家族経営と漁業者の共同で成り立っている沿岸漁業、沖合の中小漁業者が、互いに尊重しあい、資源の実態にあった持続可能な漁業を展開できる政策の確立をすすめ、漁業の振興と水産物の安定供給、自給率の向上をめざします。

魚価の安定、燃油・資材経費の引き下げなど漁業経営安定対策を確立する――漁業経営を安定させ、乱獲を防ぎ、資源の保全をはかる資源管理型漁業をすすめ、政府の責任で魚価安定対策を強化します。「浜の活力再生プラン」では、地域の漁業者の意見を十分反映させ、家族経営と中小経営をふくめ、沿岸・沖合漁業の維持・発展に役立つようにします。

 調整保管や下落時の補てんなどの漁価の下支えとあわせて、漁業共済・積み立てプラス制度の拡充などで、漁業者の所得対策の確立をはかります。水産資源保全のための休漁・減船による減収補償を国の責任で充実させます。

 資源管理のために漁獲削割り当てが必要な場合には、沿岸つり漁業など資源の持続に役立つ漁法が続けられるよう配慮します。海区漁業調整委員会の民主的な機能をつよめ、漁業権の独占的な支配や中小漁業者を締め出すことのない運営を促進します。高船齢漁船の資源型漁船への代船や資源管理に適する漁法への支援、時限立法で措置されている燃油(軽油引取税など)の免税措置の恒久化など、漁業者の経営安定と消費者価格の安定をはかります。

 財界主導・企業参入自由化の規制緩和をやめる――規制改革推進会議で財界代表が主張している漁業権の廃止や企業参入の自由化は、浜の秩序を壊すだけでなく、漁業に利潤第一を持ち込み、資源管理も困難にします。規制。制度の見直しは、漁業者の要求・意見を優先します。

新規漁業就業者支援制度を充実させる――自治体による新規就業者にたいするさまざまな支援策が実施されています。国の新規漁業就業者総合支援事業を充実・改善するとともに、若い新規就業者に一定の期間、生活費を補てんする制度を国の制度として確立し、漁業への若い人の就業と定着をはかります。

漁業・漁村を維持する地域活動を支援する――沿岸漁業の再生とともに、漁業集落、水産業集積地の再建を、地域の計画・合意を基本にすすめます。沿岸漁業の実態の変化のなかで、漁協の再編・整備も多くの組合員の漁労や販路の確保を最意優先するように支援を行います。

 離島をふくむ漁業・漁村の環境や国土保全にはたしている役割を正しく評価し、交通網の整備、「離島漁業支援再生交付金」の充実、多面的機能を維持・増進させる地域活動への支援制度をつくります。国の予算の使い方を、漁業者の所得補償や販路の確保、地産地消の推進、産地における水産加工の振興などを重視するよう組み換えます。

漁業と水産業を一体にした震災復旧を早急にすすめる――東日本大震災からの復旧・復興は、漁業と漁場とともに、漁港、冷蔵庫、水産加工、流通など水産業を一体にした復興に引き続き援助をすすめます。グループ補助金の適用期間の延長と要件の見直し、経営の実態にあわせた返済の猶予、漁業者や地域住民がのぞまない住宅地や巨大防潮堤の建設などを見直し、漁業活動と住民生活、景観との両立をはかる津波対策、沿岸づくりをすすめます。

放射能汚染対策を強化する――東電福島原発事故が引き起こした放射性物質による海洋汚染のため、福島県沖では7年たっても試験操業にとどまっています。禁漁が続いている河川・湖沼も少なくありません。放射能調査をきめ細かく行うとともに、国が責任をもった情報提供で魚介類の安全を保障し、漁業再開の条件をひろげます。漁業関係者にたいする東電による休漁の保障、施設の復旧費用の賠償とともに、操船・漁獲・加工技術の維持・継承などへの助成を国の政策としてつよめます。

自由貿易一辺倒でなく資源管理型漁業を保障する貿易ルールの確立をめざす――世界の水産物消費量が増え、資源の減少があきらかなもとで、安倍政権が推し進める自由貿易の拡大は、漁業の生産にも重大な影響を与えずにおきません。適切な輸入規制と漁業者の所得確保など、各国の主権を尊重した資源管理と漁業の振興を保障する貿易ルールの確立をめざします。マグロ、クジラなど遠洋漁業について、国際的な資源管理を尊重しながら、日本の魚食文化を守る方向での外交的努力をすすめます。

大型開発をやめさせ、漁場の保全、操業の安全をはかる――沖縄県名護市辺野古沖への米軍基地の建設をはじめ干潟を破壊する大型開発をやめ、諫早湾への海水導入による干潟の再生など漁場の保全・改善をすすめます。潜水艦、巡洋艦による海難事故の根絶、広域に操業を規制する米軍の爆撃訓練海域の廃止・縮小など、漁船操業の安全をはかります。

 尖閣列島、竹島、北方領土などでは、領土問題に関連して、日本の漁民が操業の自粛や縮小を余儀なくされています。政府に、領土問題での道理ある主張をもとめ、EEZ内の大和堆での北朝鮮漁船の違法操業の排除など、政府の責任で水産をめぐる主権の擁護と漁民の権利を守る、外交交渉を推進します。

 

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