各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

15、金融―日銀金融緩和、マイナス金利、中小企業金融、金融自由化規制、金融被害根絶、「二重ローン」

破たんした「異次元の金融緩和」をやめ、国民の暮らし、中小企業を支える金融政策に転換します

2017年10月


破たんが明白になった「異次元金融緩和」路線を転換します

 日本銀行は2013年4月より、「アベノミクス第一の矢」として、民間銀行の保有する国債等を買い上げ、大量に資金を供給する「異次元の金融緩和」をすすめてきました。この大量の資金供給に期待した投機的な動きが活発化したことにより、円安と株高が急速に進みました。この結果、富裕層や大企業には巨額の利益がもたらされました。

 12年秋には9000円程度だった株価が急激に高騰し、保有株式総額が100億円以上増えた大株主が200人を超えました。アメリカのフォーブス誌の集計によると「日本の富裕層」上位40人の資産総額は、7.2兆円から15.4兆円に増加しました。

 自動車などの多国籍企業は、急激に進んだ円安により、巨額の為替差益を手にしました。大企業は4年連続で史上最高益を確保し、内部留保は400兆円を超えました。

 政府と日銀は、「異次元金融緩和」によって大量の資金を供給すれば、インフレ期待によって物価が上昇し、経済の好循環が生み出され、デフレ打開につながるとしてきました。しかし、大企業や富裕層の利益は増えたものの、賃上げはわずかにとどまり、消費税増税によって実質賃金は逆に低下し、消費は冷え込みました。

 国民の消費が低迷するなかで、いくら日銀が民間銀行に大量の資金を供給しても、それが企業への貸し出しにはつながらず、民間銀行にたまる一方でした。銀行等が保有する日銀当座預金の残高は、安倍政権発足前の40兆円規模から、直近では9倍の363兆円まで増加しています。

 実体経済が改善されず、株価の下落傾向も生じる中で、「異次元金融緩和」路線の行き詰まりが明らかになってきました。あせった日銀は昨年、「マイナス金利」という異例の措置に踏み切りました。日銀当座預金の一部にマイナス金利を適用することで、さらなる金利低下と融資の活発化をねらったものですが、金利は低下したものの、貸し出しが活発化することはなく、むしろ、銀行がマイナス金利による損失を顧客にしわよせするとか、国債等の金利低下で資金運用が困難になるなど、弊害の方が強くあらわれる状況となっています。

 一方、大量の国債を買い続けてきた結果、日銀が保有する国債等残高は、今年6月末で437兆円(国庫短期証券を含め)に達し、国債残高(981兆円)の40%を超えるまでになっています。財政を日銀が事実上「丸抱え」する異常な状況が進行すれば、財政の浪費をいっそう促進するとともに、「異次元金融緩和」からの出口の困難をも大きくすることになります。

 破たんが明らかとなった「異次元金融緩和」路線からの転換をはかります。

中小企業と地域経済を応援する金融行政に転換します

 安倍政権は「異次元金融緩和」をすすめる一方で、中小企業の資金繰りを支える制度は相次いで打ち切ってきました。緊急保証制度は2012年10月末、金融円滑化法は2013年3月末で打ち切られました。中小企業にとっては「金融緩和」どころか「金融引き締め」が実態です。

 もともと、中小企業向け貸出は減少傾向にありました。民間金融機関による中小企業向け貸出残高は、2001年3月の約293兆円から、2012年12月には221兆円へと72兆円も減少していました。「異次元金融緩和」で日銀が民間銀行に巨額の資金を供給したにもかかわらず、回復していません。

 民間金融機関は、短期的な利益を最優先して、「直近決算期の売上高」など、限られた数値だけをモノサシにして機械的に融資の可否を決定するようになっています。金融機関が本来発揮すべき「目利き」能力、審査能力の喪失は深刻です。

 「頼みの綱」となるべき政府系金融機関も、短期的な「効率化」を迫られて審査基準を厳格化しています。信用保証制度では、部分保証(責任共有制度)導入によって「一般保証」が激減しています。保証料率も、中小企業の経営状況に応じて格差がつけられました。小規模事業者の〃命綱〃である特別小口保証は、国会での追及によって、100%保証を守っています。

 いま必要なことは、民間金融、公的金融ともに、その本来の役割を発揮できるように金融行政をおおもとから転換することです。日本共産党は、企業の99%、雇用の7割を支える中小企業を支え、地域経済に円滑に資金が供給されるよう金融行政を転換します。

「地域金融活性化法」を制定し、資金繰りを円滑化します・・・・短期のもうけを最優先するアメリカ型の金融自由化路線を見直し、中小企業をはじめ実体経済に貢献する金融へ転換します。メガバンクをはじめとした貸し渋り・貸しはがしをやめさせます。「地域金融活性化法」を制定し、金融機関の地域への貸し出し状況を公表させるなど、資金供給を円滑化するルールをつくります。「自己資本比率」一辺倒による金融機関の評価を改め、中小企業や地域への貢献度などを評価します。短期的な経営指標に基づく債務者区分を改め、「不良」債権、「要注意」債権などの不当な呼び方をやめさせます。

信用保証などのあり方を見直し、政策金融本来の役割を果たさせます・・・・すべての中小企業が使える「一般保証」制度に導入された「部分保証」を廃止し、セーフティーネット保証(5号:不況業種)の改悪を元に戻すなど全額保証とします。リスクに応じた保証料率をあらためさせます。政府は、中小企業融資への保証制度を、「生産性向上」の名でITや省力化、中核企業支援,TPP対応の輸出・海外展開に集中するとともに、部分保証を5割まで引き下げることを打ち出しています。中小業者の選別と切り捨てを迫るものであり、絶対に許せません。信用保証協会に補助されてきた「制度改革促進基金」が2015年度に廃止され信用保証協会の経営・財政基盤を危うくするだけでなく、「保証渋り」につながる危険性があり、代位弁済時に保証協会に財政損失が出ないように全額国庫負担とするなどの改善こそ必要なことです。日本政策金融公庫などによる貸し渋りをやめさせるとともに、業務や組織形態など、政策金融全体のあり方を見直します。

個人保証の原則廃止を実現します……2017年の民法改正が踏み込まなかった第三者保証の全面禁止を実現します。また経営者個人保証や担保に依存しない金融システムを推進します。

銀行カードローンへの総量規制の導入など多重債務問題の解決をはかるとともに、個人向けセーフティーネット貸出を拡充します。

 2016年の自己破産件数が13年ぶりに前年を上回り、今年に入ってからも増加傾向が続いています。自己破産増加の背景にある問題が、銀行カードローンによる過剰貸付です。銀行カードローンは消費者金融(サラ金)なみの高金利でありながら、年収の3分の1を超える貸付けを禁じる「総量規制」がなく、「第2のサラ金化」しています。政府は「多重債務問題は解決した」と主張してきましたが、銀行カードローン利用者を含めた多重債務者の正確な状況を把握していません。また、日常的な生活費不足から、高金利の消費者金融(サラ金)に手を出す人も後をたちません。若者のサラ金利用が増え、新規利用者の6~7割を占めています。金融庁の調査では、銀行カードローン利用者・貸金業利用者の利用目的の4割が「生活費不足」です。クレジットカードの「リボ払い」利用から借金を重ね、多重債務化する問題も生まれており、見過ごせません。

 本当に資金を必要とする人が、安心してお金を借りることのできるセーフティーネット貸出制度を緊急に拡充・強化することが必要です。

 ――銀行カードローンに総量規制を導入し、貸金業法と同等の規制を設けます。

 ――だれでも利用できる身近な金融相談窓口を整備します。低利の生活福祉資金貸付制度や緊急小口資金貸付制度を抜本的に拡充するなど、個人向け、離職者向け、個人事業者向けのセーフティーネット貸出制度を拡充・強化します。その際、生活再建のためのカウンセリングと組み合わせるなど、制度の運用改善をすすめます。

 ――貸金業法の改悪を狙う動きを許しません。利息制限法の上限金利(20%)の更なる引き下げを求めます。

 ――貸金業法の円滑な施行をすすめるとともに、形を変えて暗躍しているヤミ金、偽装質屋などに対する取締りを抜本的に強化します。警察、金融庁、金融機関などによる総合的なとりくみをすすめます。

金融自由化路線の根本的見直し、金融被害の根絶、金融機関に社会的責任を果たさせるルールつくります

 世界経済を混乱と不況に陥れたアメリカ発金融危機から9年。投機マネーの規制、バブルの防止、金融危機への対応策をめぐって、欧米各国においても、「先進国」の枠を超えたG20、IMF(国際通貨基金)などでも国際的な議論が進められてきました。

 EUでは、投機的取引の規制と金融機関への社会的責任を求め、株、債券、デリバティブ(為替取引を含む)取引など幅広く金融取引に課税する金融取引税の議論が進んでいます。既にフランス、イタリアでは一部を先行導入し、ユーロ圏10か国での共通の金融取引税の導入に向けて取り組んでいます。

 しかし、全体として、アメリカでヘッジファンドや銀行の投機的取引に抜本的な規制を加えるボルカー・ルールが骨抜きにされるなど、「金融自由化路線」の抜本改革にはほど遠い状況です。

 日本では、アメリカ型の金融自由化・規制緩和が進められ、1990年代の「日本版金融ビッグバン」以降、自民党も民主党も金融規制緩和を競いあってきました。安倍政権も、銀行・証券業界の後押しを受け、金融自由化、「貯蓄から投資へ」と庶民の零細な金融資産を含め、投機的な金融市場に誘導する政策を、いっそう強化しています。深刻な金融被害が広がる一方、政府の対策は後手に回っています。

 ―――2013年の預金保険法等の改正では、銀行のみならず、証券会社、保険会社、ファンドなども含めた金融機関に公的資金の導入を可能とする仕組みが導入されました。1990年代から「住専問題」、長期信用銀行の破綻処理、大手銀行への公的資金投入が、「金融システム不安」を口実に相次いで実施され、10兆円に上る税金負担を招きました。日本共産党は、銀行の破たん、金融危機への対応策として、国民負担につながる公的資金投入に反対し、投機活動に走った金融機関・金融業界への自己責任と自己負担を求めます。

 ―――国連やG20で進められている国際的なルールづくりにおいて、積極的なイニシアチブを発揮します。巨大金融機関の投機活動を規制して、公的責任を果たさせるルールづくり、ヘッジファンドなどの投機筋やデリバティブなどの投機的取引の規制、バブルの防止と金融危機への対応策の強化を進めます。国際連帯税(通貨取引税など)など、投機を規制するしくみを検討します。IMFの意思決定のあり方を含め、「先進国」とくにアメリカ主導のしくみを改めます。

 ―――AIJ事件やMRI事件など、年金や個人の金融資産をねらった悪質な金融事件が相次いでいます。個人年金保険や外国為替証拠金取引(FX)などの金融商品で被害を受ける人も増えています。郵便局での投資信託などのリスク商品による被害も増えています。FX業者による証拠金の流用や詐欺的勧誘も相次いでいます。銀行、証券、保険などすべての金融商品について、「不招請勧誘」(望まない人への勧誘)の禁止と「適合性原則」(消費者の財産、知識や目的などに合わない取引の禁止)の徹底など、国民が不当な金融被害を受けないような仕組みをつくります。

 ―――金融被害の温床となっている金融商品販売担当者に対する過大なノルマのおしつけをやめさせます。

 ―――FXや商品先物を組み合わせた投資信託など、個人の資産運用に適さないハイリスクな金融商品について、総合的・抜本的に規制を強化します。一般投資家に販売が禁止されている未公開株を解禁する「投資型クラウドファンディング」が新たに創設されますが、行政による監視と制度の改善を求めます。

 ―――無登録金融業者による未公開株詐欺など金融犯罪を取り締まるため、証券取引等監視委員会の人員、権限を抜本的に強化します。

 ―――裁判外の苦情・紛争解決支援制度(金融ADR)の更なる充実や、被害回復給付金支給法の改善など、金融被害を受けた方への救済制度を拡充します。

 ―――高齢者などをねらった「振り込め詐欺」などの「特殊詐欺」とされる件数が、史上最悪の件数にのぼっています。こうした被害は、警察、自治体、関係団体と連携し、ただちに根絶します。

災害被害者の「二重ローン」問題の解決を急ぎます

 東日本大震災や熊本地震で被災した住民や事業者の「二重ローン」の解消は、地域再生のためにも重要になっています。

 現在、中小企業庁の産業復興機構と復興庁の事業者再生支援機構が、事業ローンの買い取りをすすめていますが、再建の意欲のあるすべての中小事業者を救済するために、さらに買い取り基準を改善し、金融機関への指導を強化するように求めます。

 個人事業者・個人の銀行からの負債を軽減し再生を目指す「私的整理ガイドライン」は、日本共産党や地元弁護士の要望を受け、一定の基準の見直しがすすんできましたが、被災者の生活再建のために、いっそうの制度の運用と内容の改善をすすめます。

大資産家優遇の証券税制を改めます

 証券優遇税制が期限切れとなり、所得税・住民税あわせた税率は20%となりましたが、欧米の富裕層の株式配当への最高税率は、アメリカ(ニューヨークの場合)32.7%、イギリス38.1%、ドイツ26.375%、フランス60.5%(配当の6割が所得とされるため、実質的には36.3%)、株式譲渡所得への最高税率も、アメリカやドイツは配当と同じ(いずれも2017年1月現在)であり、日本は依然として低い状況が続いています。これによる減税額は、財務省の16年度の見込み試算(所得税のみ)でも1兆円を超えています。

 ―――世界に例を見ない大資産家優遇の配当や株式譲渡所得の税率軽減措置を改めます。株式配当は少額の配当や低所得者の場合を除き、勤労所得などとあわせた総合課税を義務づけ、富裕層の高額の配当には所得税・住民税の最高税率が適用されるようにします。譲渡所得についても将来的には総合課税とすることを検討しますが、分離課税が続いている間も、欧米諸国の水準にあわせて高額所得者には30%以上の税率が適用されるようにします。

 ―――証券優遇税制の廃止にともない、2014年に「少額投資非課税制度(NISA)」が創設され、現在年間120万円、最高600万円までの株式投資から得られる配当や譲渡所得を非課税となっています。2018年1月からは積立NISAが新設されます(最高800万円)。小規模な投資を行う「庶民投資家」への課税を富裕層より軽減するのは必要なことですが、モデルとされたイギリスの個人貯蓄制度(ISA)が預金利子も非課税の対象となっているのと違って、日本の制度は株式投資だけに限定された歪んだものです。対象を狭めない小口投資の非課税枠をつくり、投資先は投資家の判断にゆだねるようにすべきです。

 

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