各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

14、中小企業―小規模企業・中小企業振興、下請け対策、商店街の活性化、フランチャイズ問題、中小企業憲章

中小企業憲章と小規模企業振興基本法を活かし、中小企業を第一にすえた政策を実行します

2017年10月


 中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」(中小企業憲章)する存在です。企業の99.7%を占め、働く人の3人に2人が働いている雇用の担い手です。地域に根をおろし、モノづくりやサービスでの需要にこたえ雇用を生み出している中小企業の役割はますます大きくなっています。農林水産業の振興と結んだ自然エネルギーの利活用など、日本経済・産業の新しい方向を切り開くことが切実な課題となっており、地域に根ざした中小企業の役割がいっそう重要となっています。

 この中小企業が元気になってこそ、日本経済再生の道がひらかれます。 “大企業がよくなれば中小企業もよくなる”という、大企業中心の経済政策を根本的にあらため、中小企業を日本経済の根幹に位置づけ、それにふさわしい振興・支援策をすすめるときです。

 ところが、安倍自公政権のすすめてきた経済政策―いわゆるアベノミクス、さらに消費税の大増税、社会保障の改悪は、中小企業にあらたな困難をつくりだしています。消費税増税による物価値上げにくわえて、日銀の「異次元金融緩和」によってつくりだされた円安は、原材料費などの値上がりで中小企業の経営を圧迫しています。安倍政権は「賃上げ」を言いながら、逆に実質賃金を年間10万円低下させ、家計消費は消費税の8%増税以来、1世帯あたり22万円も落ち込んでいます。アベノミクスによる異次元の金融緩和は、円安と株高がすすんだだけで経済の現場に資金が供給されることはなく、中小企業に対する資金繰りでは信用保証協会の保証が部分保証に改悪されるなど厳しさは続いています。

 また、地域経済や中小企業を重視する施策を非関税障壁などとして排撃するTPPへの参加は、巨大多国籍企業の利益のために、日本市場を明け渡し、中小企業への官公需をはじめ国、自治体の支援策を「非関税障壁」の名でやめさせようとする、中小企業つぶし、地域経済つぶしの道です。

中小企業憲章と小規模企業振興基本法にもとづく政策を

 中小企業憲章が2010年6月閣議決定されました。そして、2014年6月には小規模企業振興基本法が全会一致で可決・成立しました。これは、中小企業経営者や自営業者が求めてきた運動の成果です。

 1999年に改悪された中小企業基本法は、それまでの基本法ではまがりなりにも掲げていた「中小企業と大企業との格差是正」や「不利の補正」などの理念をやめ、「多様で活力のある中小企業」を育てるという理念に大転換し、特に創業、ベンチャー支援に重点化するものでした。それから10数年が経過し、日本の中小企業者数、特に小規模事業者数が大きく減少してきました。1999年には423万社だった小規模事業者が2014年には325万社になんと99万社も激減しています。地域経済と小規模事業者を守れと、民商・全商連や多くの中小企業団体関係者などが運動をしてきました。日本共産党も国会や地方議会などで積極的にこの問題を取り上げ、多くの皆さんとの共同をすすめてきました。そういう中でつくられたのが小規模企業振興基本法です。

 小規模企業振興基本法は、「成長発展」だけではなく、「事業の持続的発展」の重要性を明確にし、国、地方自治体に施策の策定と関係団体との連携を責務とし、個人事業主、従業員5人以下の「小企業者」などを「地域経済の主役」と位置づけています。2014年度の中小企業白書ではこの小規模企業法について「パラダイムシフト」と明言し、従来の基本法との違いを強調しているほどです。しかし、安倍政権が実際に進めている施策では基本法と逆行する面が出てきており、あらためて小規模企業振興法の理念にもとづき、実際に支援施策を前進させることが求められています。

 日本共産党は、中小企業のがんばりが生かされる経済政策の転換をめざし、中小企業経営者、自営業者のみなさんと力をあわせて奮闘します。

消費税10%への増税に反対します

 安倍首相は、「増税の一部を教育・子育てにまわす」などと、切実な願いを逆手にとって、2度も延期した消費税率10%への大増税を、今度こそ国民に押し付けようとしています。安倍政権が行った2014年4月の8%増税の結果、増税後の41か月で家計消費が前年同月を上回ったのは、たった4カ月で、37か月はマイナスです。政府は増税の影響は「一時的」と言いましたが、3年以上経過しても、深刻な消費不況が続いています。こんな時に、10%への大増税をやれば、経済もくらしもどん底に突き落とします。売り上げが減るうえに、消費税の増税分を転嫁できず、納税のために〃身銭を切って〃やりくりせざるを得ない中小企業にとって、10%への増税は死活問題です。消費税の10%増税はきっぱり中止すべきです。

 増税というならば、アベノミクスによって莫大な利益をえている富裕層や大企業にこそ、応分の負担を求めるべきです。

1、大企業と中小企業の公正な取引を保障するルールをつくります

(1)「優越的地位の濫用」をなくすため、独占禁止法を強化します

 2015年4月に「経済の好循環実現に向けた政労使会議」(経団連、日商、連合、安倍首相など)が開催され、取引先企業の仕入れ価格の上昇等を踏まえた取り組みについて適正な取引価格の形成などが合意されています。しかし、その後の中小企業庁の調査(大企業1万5000社以上、中小企業1万社程度対象)では、「合意」そのものを知らない大企業が半分以上、中小企業のうち約3割は原材料価格上昇分を転嫁できていない実態が明らかになりました。自動車産業や鉄鋼業などの中小企業からは、「1年前と比較して取引単価が下げられた」という回答が25%以上、その主な要因が「定期的な原価の引き下げ要請」が40%以上であり、政労使合意などはどこ吹く風、大企業による横暴が経済産業省・中小企業庁自身の調査で明らかにされています。

 「買いたたき」や「価格決定権」の侵害などの不公正な取引で、親企業が下請け企業を締め上げるようなやり方が横行しているのは世界でも日本だけです。日本にしか見られない下請け取引の異常をなくすことをめざします。

 下請代金法は独占禁止法の特別法であり、下請代金法の適用がなくても、「親法」である独占禁止法に戻って不公正な取引を取り締まることが可能です。独占禁止法の厳格な運用や課徴金の引き上げなどの改正・強化によって、中小企業にかかわるすべての取引について、大企業による「優越的地位の濫用」をなくしていきます。

(2)下請け取引を適正化し、「単価たたき」など不公正な取引をやめさせます

 下請法違反の疑いがあるとして公正取引委員会が着手した件数は、2016年6589件、うち違反行為があると認めたのが6313件ですが、是正勧告は11件に過ぎません(公正取引委員会年次報告2016年版)。公正な取引を実現するために抜本的な改善が必要です。

 適正な単価を保障するため、「振興基準」を実効あるものとします……下請振興法は、下請け単価は、「下請中小企業の適正な利益」を含み、「労働条件の改善」が可能となるよう、親企業と下請け企業が「協議」して決定しなければならないと定めています(同法第3条「振興基準」)。「振興基準」に照らして取引の実態を総合的に調査し、それをもとに「振興基準」を実効あるものとします。

 「主導的に検査に入る」しくみをつくるなど下請け検査を改善します…… “申告待ち”“書面調査頼み”という現在の下請け検査のやり方を転換し、抜き打ち検査など主導的に検査に入るシステムをつくります。そのために立入検査権をもった「下請けGメン」・検査官の増員などを行います。

 罰金を引き上げ、親会社の挙証責任を強化します……下請代金法の罰金額を引き上げるとともに、課徴金を設ける、被害救済の違反金制度(被害額の3倍等)を創設するなど、不公正取引が「割の合わない」ようにします。アメリカには、不公正取引による損害額の3倍を賠償請求できる仕組みがあります(クレイトン法4条)。契約書の作成や単価決定の交渉記録の長期保存を親企業に義務付けるなど、下請代金法違反ではないことを立証する親企業側の責任を強化します。資本金規模によって適用範囲を限定する現行制度を見直し、発注元企業や元請け企業までさかのぼって不公正取引の調査等ができるようにするなど、下請け2法の改正・強化をすすめます。昨年12月、党議員の国会質問などを受け下請け2法の運用が改善・拡充されました。これが実効あるものとなるようにします。

 官公需の物品・役務調達のダンピング競争に歯止めをかけます……インターネットを利用して入札価格の競り下げを行う「リバースオークション」の拡大などで、果てしないダンピング競争が続いています。独禁法などのルールを適正に執行し、歯止めをかけます。

(3)大型店の身勝手をゆるさないルールをつくり、商店街・小売店を活性化します

 「大型店・まちづくりアセスメント」を義務付けるなど、まちづくりのルールをつくります……大型店の身勝手な出店・撤退は、地域の商店街・小売店を衰退させ、各地で「買い物難民」を生むなど、地域の存亡にかかわる問題を引き起こしています。欧米では、自治体が大型店を規制するルールが各国で具体化されています。大型店の出店・撤退等による生活環境や地域経済への影響評価と調整・規制を行う「大型店・まちづくりアセスメント」などのルールをつくります。規制対象となる大型店の床面積を現行の1万平方メートル超から3000平方メートル超にするなど、「まちづくり3法」の抜本改正をすすめます。

(4)「フランチャイズ適正化法」を制定し、加盟店の経営安定をはかります

 フランチャイズ形式の取引・経営で働く人は250万人、売り上げは24兆円にのぼりますが、ここには、日本の「ルールなき資本主義」「日本社会の在り方を問う問題」となっています。本部の加盟店にたいする関係では、24時間労働の強制、ロイヤルティーという名の不当な利益の吸い上げ、値引き販売の禁止、近隣への出店、一方的な契約の打ち切りなどの優越的地位の濫用、著しく不公正な関係が横行しています。

 加盟店に本部との交渉権を保障し、契約内容やロイヤルティーの適正化などを盛り込んだ「フランチャイズ適正化法」を制定します。

(5)実体経済に貢献する金融に転換し、中小企業の経営を支えるルールをつくります

 「地域金融活性化法」を制定し、資金繰りを円滑化します……短期のもうけを最優先するアメリカ型の金融自由化路線を見直し、中小企業をはじめ実体経済に貢献する金融へ転換します。メガバンクをはじめとした貸し渋り・貸しはがしをやめさせます。「地域金融活性化法」を制定し、金融機関の地域への貸し出し状況を公表させるなど、資金供給を円滑化するルールをつくります。「自己資本比率」一辺倒による金融機関の評価を改め、中小企業や地域への貢献度などを評価します。短期的な経営指標に基づく債務者区分を改め、「不良」債権、「要注意」債権などの不当な呼び方をやめさせます。

 信用保証などのあり方を見直し、政策金融本来の役割を果たさせます……すべての中小企業が使える「一般保証」制度に導入された「部分保証」を廃止し、セーフティネット保証(5号:不況業種)の改悪を元に戻すなど全額保証とします。リスクに応じた保証料率をあらためさせます。政府は、中小企業融資への保証制度を、「生産性向上」の名でITや省力化、中核企業支援,TPP対応の輸出・海外展開に集中するとともに、部分保証を5割まで引き下げることを打ち出しています。中小業者の選別と切り捨てを迫るものであり、絶対に許せません。信用保証協会に補助されてきた「制度改革促進基金」が2015年度に廃止され信用保証協会の経営・財政基盤を危うくするだけでなく、「保証渋り」につながる危険性があり、代位弁済時に保証協会に財政損失が出ないように全額国庫負担とするなどの改善こそ必要なことです。日本政策金融公庫などによる貸し渋りをやめさせるとともに、業務や組織形態など、政策金融全体のあり方を見直します。

 2017年の民法改正が踏み込まなかった第三者保証の全面禁止を実現します。また経営者個人保証や担保に依存しない金融システムを推進します。

2.本格的な中小企業振興策をすすめます

(1)中小企業予算を1兆円に増額し、経営支援を抜本的に強化します

 中小企業予算を1兆円に増額します……国の中小企業対策費(当初)は、1967年に一般歳出比でピークの0・88%を記録して以来減少傾向にあり、2017年度は0.31%の1810億円と史上最低を更新しました。中小企業に冷たい予算のあり方を転換し、当面、一般歳出の2%、1兆円程度に増額し、日本経済の「根幹」にふさわしい本格的な施策をすすめます。

 地域に「中小企業センター」をつくり、中小企業者の要望にこたえる支援策を行えるようにします……中小企業の支援策は、省庁ごとの縦割り、単発・細切れで使い勝手が悪くなっています。申請手続きの煩雑さも大きな負担です。現行の支援策を改善し、経営者が使いやすい制度に改善します。

 区市町村に「中小企業センター」をつくり、国の補助をつよめます。中小企業が必要なときに必要な情報や相談を受けられるように、中小企業の身近な場所に設置し、夜間開放など使いやすい運営をはかります。製品開発や販路開拓などを専門家が支援します。個々の企業では持ちえない最新設備を整備し、検査、測定、試作、技能訓練などが行えるようにします。中小企業からの「相談待ち」ではなく、市の職員や「センター」の相談員などが、直接中小企業や業者を訪問して要望を聞き、相談にのる体制をととのえます。

(2)地域経済循環の核である中小企業の仕事を増やす支援を強化し、雇用の増加、くらしの改善をはかります

 農商工連携のとりくみを支援し、地元産物の利用をすすめます……地元の農林水産物などを活用し、その生産・加工・販売・流通など各段階で地域に仕事と雇用を生み出します。「農・商・工」連携のとりくみへの支援を拡充し、地元農水産物の給食材への活用、地元木材の公共事業などへの活用をすすめます。消費者と結んだ直売所・産直センターなどへの支援をつよめます。

住宅リフォームへの国の支援をつよめます……地方自治体が実施している「住宅リフォーム助成制度」は全国で603自治体に達し(2015年現在全商連調査)、住環境の改善整備で住民に喜ばれるとともに、波及効果の大きさで地域経済対策としても大きな威力を発揮しています。国の緊急経済対策の交付金がきっかけとなった自治体も少なくありません。助成制度の具体的な設計と実施は、地方の自主性にゆだね、これを国が支援することが求められています。地域の業者と住民の利益が守られる制度が一層重要になっています。

 「空き店舗」対策、商店リフォーム助成など、商店街・小売店の振興をすすめます……商店街・小売店を「地域の共有財産」と位置づけ、商店街振興対策予算を拡充します。「空き店舗」の借り上げ、改装費などへの補助を拡充します。群馬県高崎市が、2013年4月に創設した「まちなか商店リニューアル助成事業」は、全国55自治体まで広がっています。個々の商店の改装や店舗等で使用する備品の費用などへの助成を行います。お年寄り、障害者、子ども等の生活圏(ライフ・エリア)を単位に、生鮮食料品を買える店舗、商店街、学校、医療機関、保育施設や官公署、公共交通などを整備します。朝市、ポイントカード、共同配達など、自ら努力している商店街を支援します。

 地場・伝統産業の産地・集積地への支援をつよめます……地域の雇用や文化の土台を担っている地場産業・伝統産業への支援をつよめます。ネットワークの強みこそ産地の競争力の源であり、それを生かすために、産地・集積地全体を「面」として支援する自治体ごとの振興計画をつくります。新製品・デザイン開発や他産業とのコラボレーションを支援し、常設展示施設の整備、インターネットの活用など販売支援をつよめます。

 環境・福祉など、社会的ニーズにこたえた製品開発・販路開拓などを支援します……自然エネルギーの利活用や省エネ、環境や福祉、建築分野では、社会的要請にこたえた製品やサービス、建築などで、中小企業の挑戦がすすんでいます。わずかな風力でも動く小型風車、木質繊維の断熱材、リハビリ効果を高める「足こぎ車いす」の開発など、多彩な取り組みが行われています。

 モノづくりでは、連携して社会的ニーズにこたえようとする中小企業のネットワークも広がっています。

 こうした中小企業の取り組み―製品・サービスを国や自治体が率先して購入し、その評価を広く知らせ、海外もふくめ販路が広がるよう支援します。

 日本古来の木造建築技術を見直し、大手ハウスメーカーに都合の良い「建築確認」審査の仕組みをあらため、森林組合と提携した地場の工務店の取り組みを支援します。ヨーロッパですすんでいるエネルギー・パス(住宅のエネルギー消費量の認定)による建築物の省エネのとりくみを制度化し、支援します。

 トライアル発注制度など新分野開拓を支援します……環境でも、福祉でも、中小企業がモノづくり技術を生かし、社会的要請にこたえた製品やサービスの提供に努力しています。しかし、中小企業の場合、ブランド力がなく、なかなか普及できない場合が少なくありません。中小企業製品やサービスを購入して「試し」に使用しその評価を公にする「トライアル発注」(お試し発注)制度を国や地方自治体が取り入れ、中小企業の新分野開拓を支援します。

(3)生活密着型公共事業への転換をすすめ、「公契約法・条例」で人間らしい労働条件を保障します

 保育所・特養の建設、学校・道路などの維持補修をすすめます……生活密着型公共事業への転換をすすめ、保育所・特別養護老人ホームの建設、学校・福祉施設の耐震補強、道路・橋梁(きょうりょう)の維持補修、個人宅の耐震補修・リフォームなどを支援し、中小企業の仕事と雇用の増加につなげます。

 官公需を増やし、ダンピング競争をなくします……国と自治体の中小企業向け官公需発注比率を引き上げます。中小企業への発注率を高めるために、分離・分割発注をすすめ、「小規模工事希望者登録制度」の活用、ランク制の厳格実施などをすすめます。インターネットを利用して入札価格の競り下げを競い合う「リバースオークション」には反対します。果てしないダンピング競争をなくすため、独禁法など現行のルールを厳正に執行するとともに、最低制限価格制度を導入して適正化をはかります。建設業法が定める元請け責任を厳格に守らせ、工事代金の未払いなどをなくします。

 生活できる賃金などを保障する「公契約法・条例」を制定します……千葉県野田市では、2010年4月から全国初の「公契約条例」が施行され、市の公共工事等を受注した企業や下請け業者等は、市が定める賃金以上を支払うことが義務付けられています。川崎市、相模原市などの政令指定都市を含む全国17自治体に広がってきています。発注する公的機関と受注者等の間で結ばれる契約(公契約)において、生活できる賃金をはじめ、人間らしく働くことのできる労働条件を保障する「公契約法」「公契約条例」の制定をすすめます。

(4)創業・開業を応援し、中小企業の財産である人材育成を支援します

 積極的な創業・開業を応援し、研究機関等との連携をすすめます……ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、アメリカ、韓国などでは、自営商工業者が大幅に増えているのに対して、日本では1980年比で3分の2に減っています。新規開業者が利用できる起業支援制度を拡充し、低利で返済猶予期間を備えた開業資金融資制度を創設します。大学、高等専門学校、専修学校、研究機関等との連携を促進します。

 中小企業の財産である人材育成を支援します。経営者・団体間の交流を支援します……中小企業にとって、最大の財産はそこで働く人々です。若者や後継者が、実際に仕事を覚えるまでには時間がかかります。雇用を継続する経営者の努力への支援をつよめます。各分野のすぐれた技能者・職人の認定制度、報償金制度を整備・拡充し、すぐれた技術を継承します。経営者同士が交流できる場、各地の商店街や市場が交流できる場をつくります。同業種間、異業種間の交流を応援します。教育関係者等との連携を強め、中小企業の値打ち・役割が社会の共通認識になる環境をつくります。

(5)「日本の宝」―町工場を守るため、固定費補助などの緊急・直接支援をおこないます

 町工場は、金型・成形・切削・研磨・プレス・熱処理・メッキ・鍛造・鋳造など、基盤技術の集積を形成している日本独特の中小企業・自営業者のネットワークであり、創造と技術革新の「苗床」です。

 ところが、日本一の集積を誇る東京都大田区では2003年から2014年の間に、従業者数で1~3人以下の小規模事業所が半数以上を占める工場数が5040から3481へと約3割も減少してきています(大田区ものづくり産業等実態調査による)。「日本の宝」である優れた技術・技能が失われることは、大企業や日本経済全体にとっても大きな損失であり、何としても防がなくてはなりません。

 町工場の固定費の負担軽減のため、リース料の支払い猶予を広げるとともに、機械設備のリース料や借り工場の家賃に対する直接補助を実現します。

 東京都大田区で実施されたような自治体独自の緊急・直接の支援策「ものづくり経営革新緊急支援事業制度」を国としても支援し、モノづくり集積地への支援を強めます。

(6)被災地での生業、中小企業の復旧、復興を全面的に支援します

 東日本大震災と福島原発事故から6年余が経過しました。熊本を中心とした九州地方では大地震の直撃を受け家屋の損壊と生業の喪失など深刻な被害が続いています。

 選別と切り捨ての「復興」ではなく、地域社会全体を再建します。地域に仕事と雇用を生み出す中小企業と生業の全面的な復旧・復興を抜きに地域の復興はありません。「グループ補助金」の制度を希望したグループ全体にゆきわたるよう、柔軟に対応することを求めます。同時に、仮設から本格的な復旧と事業立ち上げへ向かう中小企業者を支援する制度を創設、拡充します。市町村が実情にあわせて支援できるよう「復興基金」を上積みします。

 「二重ローン」問題の解決を妨げている金融機関主導の既往債務の買い取りを改めさせ、再生支援機構と地域金融機関への指導と支援などをつよめます。

 復興に当たっての公共事業を地元中小企業が担い、地域に仕事・雇用・所得がまわるようにします。

 原発事故がなかったものとする強引な福島県民切り捨てが行われてきています。とりわけ、住民の合意がない避難指示の解除と合わせて、賠償を打ち切るなど安倍政権と東電は責任を果たそうとしていません。営業損害を認めず、一方的に賠償を打ち切ることで中小企業は事業の継続への展望を失ってきます。生業裁判など福島県民や被災住民のたたかいを支持しともに要求実現へ運動をすすめます。

3.中小企業を支援する税制と社会保障のしくみをつくります

(1)外形標準課税の拡大・強化に反対し、中小企業を支援する税制・税務行政に転換します

 大企業優先の税制から中小企業・自営業者を支援する税制に転換します……大企業減税の財源確保のために、赤字の中小企業まで狙い撃ちにした外形標準課税の拡大・強化は絶対に許せません。消費税の増税計画を中止するとともに、消費税の延納措置を認め、免税点を引き上げます。所得税法56条を廃止し、事業主、家族従業者の働き分(自家労賃)を経費と認めます。法人税に累進制を導入し、中小企業の一定範囲内の所得については現行より税率を引き下げます。事業用資産については、一定期間の事業承継を条件に、相続税の減免を認めるようにします。中小企業法人所得税の軽減税率を守り、減価償却の定率償却方式を維持します。繰越控除制度の縮小、中小企業経営者の給与所得控除の引き下げに反対します。

 「納税者憲章」を制定し、納税者の権利をまもります……消費税納税にあたっての仕入れ税額控除否認、機械類への償却資産課税の強化、倒産に追い込む差し押さえの乱発など、国と地方の過酷な徴税・税務調査が横行しています。「事前通知を要しない」との例外を定めるなど、改悪された国税通則法でも、事前通知を原則義務としており、納税者の人権、権利が守られなければなりません。

 経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国のうち23カ国で、「納税者憲章」が制定されています。日本でも、「事前通知や調査理由開示の義務付け」、「第三者の立会人及び調査内容の記録や録音」、「生存権的財産の差し押さえ禁止」など、納税者の権利を保障する「納税者憲章」を制定します。

(2)国保料をはじめとした中小企業の負担を軽減し、共済制度等への支援をつよめます

 国保料(税)を軽減し、人権無視の国保行政をあらためます……市町村国保の高すぎる保険料(税)が、業者のくらしを脅かしています。緊急に国の責任で国保料(税)を1人1万円値下げします。国保への国庫負担を復元して、誰もが払える国保料に引き下げます。滞納者への脅迫まがいの督促、情け容赦のない財産調査・差し押さえ、生活困窮者からの機械的な保険証とり上げなど、加入者の人権を無視した国保行政をやめさせます。出産や病気・ケガのときにも安心して休めるように、出産・傷病手当金の制度をつくります。

 国保組合の国庫補助をまもり、負担軽減のとりくみを応援します……不況による生活悪化と健康破壊が深刻化するなか、業者が自主的に運営し、負担軽減や健康づくりにとりくむ、国保組合の役割はますます重要です。ところが、この間、建設国保の入院費無料化などの努力を攻撃する不当なキャンペーンが展開されてきました。国保組合への国庫補助をまもり、負担軽減・健康保持のとりくみを応援します。

 社会保険料の猶予・軽減制度を整備し、公的支援が受けられるようにします……不況で経営難におちいった事業所が、社会保険料の事業主負担を払えず、その結果、滞納を理由に雇用調整助成金、信用保証、制度融資などの公的支援が受けられない事態も起こっています。経営困難な事業所の社会保険料を猶予・軽減する制度をつくり、企業の経営と従業員の社会保障を守るとともに、公的支援制度を利用できる環境をつくります。

 小規模共済制度・中小企業退職金共済制度などを改善します。自主共済は、保険業法の対象外とします……社会保障の相次ぐ改悪で将来不安が増しているいま、中小企業の各種共済制度を充実させることが必要です。小規模共済制度や中小企業退職金共済制度などの改善をすすめます。「助け合い」の精神でつくられている「自主共済」を保障するよう、法整備をはかります。

 中小企業が最低賃金を引き上げられる環境をつくり、引き上げに際しては助成を行います……適正な単価や納入価格の保障、過度な競争の規制、「公契約法」「公契約条例」の実現などによって、中小企業が最低賃金を引き上げられる環境をつくります。欧米では、「(中小企業で働く労働者の)最低賃金の引き上げが地域経済を押し上げる」(全米1000社の社長・中小企業経営者の声明)との見地から、アメリカでは8800億円の減税(07~11年)、フランス2兆2800億円の社会保険料の軽減(03~05年)を実施、中小企業を支援しています。最低賃金の引き上げに際しては、雇用保険財政などを活用して、中小企業への助成を行います。

4.「中小企業憲章」を国会決議し小規模企業振興基本法にもとづき、中小企業施策を総合的に見直します

 中小企業・自営業者は、製造、建設、小売り、サービスなどあらゆる分野で大きな役割を果たし、雇用の最大の担い手であり、日本経済の「根幹」というべき重要な存在です。さらに、(1)短期的な利益よりも雇用や社会貢献を重視する、(2)利益を地域に還元し、域内循環の中核を担っている、(3)高いモノづくり技術をもつ経済・文化資源である、(4)地域に根ざして社会的責任を果たし、生き生きとした地域社会をつくりだしているなど、多彩な役割を果たしています。

 この中小企業の役割が発揮できるようにと、中小企業団体の運動があり、中小企業憲章が閣議決定され、小規模企業振興基本法がつくられました。これらを単なる政治文書にとどめず、現実の予算や施策に活かすことが何よりも求められています。

 同時に、政府自らこれまでの中小企業基本法の破たんを認めざるを得ないところまで追いつめられており、基本法の抜本的な見直しが当然必要です。

(1)「中小企業憲章」と小規模企業振興基本法にもとづき、中小企業の声が国政に反映されるしくみをつくります

 小規模企業重視の方向に国の経済政策を転換させます……小規模基本法は、「小規模企業振興のための法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない」と政府の責任を明確にしています。中小企業対策費の大幅増額と、地方自治体への財政上の支援が重要ですが、現状では全く不十分と言わなければなりません。そればかりか安倍政権は、今国会でいわゆる「地域未来投資法」を制定し、ほんの一握りの「地域経済を牽引する」特定企業に政策資源を動員する一方で、ものづくり産業・町工場や産地、地場産業など「産業集積」を切り捨てようとしており重大です。地域経済を支えるすべての中小企業・小規模企業を対象とする政策への転換が必要です。また、不公正取引、被災者事業所支援、官公需受発注など基本法に照らして見直しを進めていきます。

 小企業への支援は、起業を広げ、国民の創造性・イニシアチブを発揮する環境をつくるものであり、税制、金融などでの支援措置をとります。

 省庁横断的に中小企業施策を実施するために、「中小企業政策会議」をつくるなど、必要な法整備をおこなう……「縦割り」ではない横断的な中小企業政策をすすめるために、総理大臣のもとに中小企業・自営業者などの代表が参加する「中小企業政策会議」をつくります。同会議では、「憲章」実施の進ちょく状況等を検討するとともに、規制緩和など従来の政策が中小企業に与えた影響を調査し、施策に反映させます。省庁横断的に「どんな問題も中小企業の立場で考え」、施策を実行できるよう、法整備を行い、中小企業担当大臣を設置します。現在の中小企業庁の職員は約200人であり、公安調査庁約1500人の7分の1、宮内庁約1000人の5分の1にすぎません。中小企業庁を中小企業省に昇格させ人員を抜本的に増員します。

(2)地方自治体で「中小企業振興条例」を制定し、地域独自の活性化策をすすめます

 中小企業数は約380万者(うち小規模事業者は325万者、2014年)にのぼりますが、一つ一つが多彩な個性をもち、固有の歴史的・文化的特徴を備えています。したがって、国が「中小企業憲章」と「小規模企業振興基本法」に基づいて基本政策を実施することとあわせて、地域の実情に応じて中小企業施策を展開することが重要です。

 「中小企業振興条例」を制定し、地域の実情に応じた施策をすすめます……2017年5月現在、43道府県、218市区町村で「中小企業振興基本条例」(名称はさまざま。以下「振興条例」)が制定(中同協調査)されており、中小企業振興に大きな力を発揮しています。各自治体で「中小企業振興条例」を制定し、その地域の中小企業施策の基本理念を定めます。

 大阪府八尾市では、2002年に地元の大工場が撤退しましたが、前年に制定されていた「振興条例」を根拠に、障害者の雇用を確保するなどの成果をかちとっています。吹田市の振興条例は、大型店や大企業に「地域社会における責任を自覚し…中小企業者との共存共栄を図る」こと求めています。

 全事業所実態調査を行い、施策に反映します……全国に先駆けて1979年に「振興条例」を制定した東京都墨田区では、制定の前年、係長級職員165人が、区内製造業9314社に自ら足を運んで実態調査(悉皆〈しっかい〉調査)を行いました。この調査で、「ひどい環境で、家族労働に支えられ、それでも税金を払っている。健康破壊や、長時間労働への対策・支援が急務」など、区長・職員の認識が一変しました。それまで中小企業対策は、商工部だけの「縦割り」行政でしたが、悉皆調査後は、福祉や教育を含む横断的事業として区政に位置付けられています。「全事業所実態調査」を行い、自治体が地域の中小企業の実態を把握し、得られた情報を施策に生かします。その際、商工施策だけでなく、福祉やまちづくりなど自治体の幅広い施策に反映させます。

 経営者・業者などで構成する「中小企業振興会議」をつくり、中小企業の声を生かします……「振興条例」が単なる「飾り」ではなく、実際に役立つものになるためには、中小業者・金融機関・自治体職員などの当事者が「主役」となって実践をすすめることが不可欠です。北海道帯広市では、2007年に「中小企業振興基本条例」を制定した後、条例を具体化するために1年で74回に及ぶ議論を重ねました。その中で、経営者・業者自身が中小企業や地域の値打ちに「気づき」、工場誘致などの「呼び込み型」から「内発型」の地域振興に軸足を移すことが重要だという認識が広がっています。「振興条例」の推進体制として、経営者、金融機関、自治体職員などで構成する「中小企業振興会議」をつくり、中小企業の声を生かします。

 

登録テーマ:中小企業/ 登録テーマ:各分野政策(2017年)
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