各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

9、医療―国保、窓口負担の引き下げ、後期高齢者医療制度、混合診療、診療報酬、医師・看護師不足、公的病院、感染症

安倍政権による医療大改悪を許さず、「医療崩壊」を打開し、だれもが安全・安心の治療を受けられる医療制度を確立します

2017年10月


安倍政権による医療制度の連続大改悪をくいとめます

 安倍政権は、社会保障費の「自然増削減」を基本方針とし、患者負担の引き上げ、保険外診療の拡大、後期高齢者医療保険料の値上げ、国民健康保険料(税)のさらなる値上げにつながる「国保の都道府県化」、新たな病床削減の仕組みの導入など、医療制度の連続改悪を行なってきました。

  ○安倍政権によって決められた医療制度の改悪〔実施予定も含む〕

   ・70~74歳の窓口負担の2割への引き上げ(2014~18年度)

   ・入院患者の食費負担の引き上げ(2016~17年度)

   ・紹介状なしで大病院を受診した患者からの追加負担徴収(2016年度)

   ・混合診療を大幅に拡大する「患者申出療養」の導入(2016年度)

   ・後期高齢者医療保険料の値上げ〈「特例軽減」一部廃止〉(2017~19年度)

   ・高額療養費の自己負担上限の引き上げ(2017~18年度)

   ・入院患者の水光熱費の負担の引き上げ(2017~18年度)

   ・国保料(税)のさらなる引き上げにつながる「国保の都道府県化」(2018年度)

   ・「医療費適正化計画」「地域医療構想」による病床・給付費削減(2018年度)

 これらの改悪は、国民生活に深刻な打撃を与え、命と健康を脅かすものです。

 日本共産党は、医療制度の連続大改悪に反対し、医療・社会保障の充実を求める多くの国民・医療関係者と共同し、その阻止のために全力をあげます。

富裕層・大企業に応分の負担を求める税制の改革、国民の所得を増やす経済の民主的改革で安定した財源を確保し、公的医療保障の再生・拡充をはかります。

 

高すぎる窓口負担を軽減し、先進国では当たり前の“窓口無料”をめざします

 「現役世代=3割、高齢者=1~3割」という窓口負担に国民が悲鳴をあげ、深刻な受診抑制が起こっています。ところが、安倍政権は、70~74歳の窓口負担の引き上げ、入院時の食費・水光熱費の負担増、高額療養費の負担上限引き上げなど、窓口負担をさらに増やす改悪を繰り返してきました。

 日本共産党は、あらゆる窓口負担増の改悪に反対し、軽減を求めます。ヨーロッパ諸国やカナダでは、公的医療制度の窓口負担はゼロか、あっても少額の定額制です。日本も1980年代までは「健保本人は無料」「老人医療費無料制度」でした。応能負担の原則にそって保険料や税の負担を求めつつ、患者負担は低額に抑えて、重症・軽症にかかわらず必要な医療を給付するのが、公的医療制度の本来のあり方です。

 医療制度を立て直す改革の第一歩として、▽子ども(就学前)の窓口負担は国の制度で無料とし、現役世代は国保も健保も2割負担に引き下げ、高齢者(70歳以上)は「現役並み所得者」とされている人も含めて1割負担とするなど、窓口負担の軽減を実行します。 

将来的には、安定した財源を確保し、“窓口負担ゼロ”の医療制度に前進していきます。

 

後期高齢者医療保険料の大幅値上げに反対し、差別制度の撤廃をめざします

 後期高齢者医療制度は、国民を年齢で区切り、高齢者を別枠の医療保険に強制的に囲い込んで、負担増と差別医療を押しつける稀代の悪法です。2008年の制度導入以来、4回にわたる保険料値上げが実施され、高齢者の生活を圧迫する重大要因となっています。

 2008年の制度導入時、差別制度に怒る国民世論に包囲された自公政権は、低所得者の保険料を軽減する措置(「特例軽減」)を導入しましたが、安倍内閣は、その「特例軽減」の一部を打ち切り、“もとは健保の扶養家族だったが、75歳になって後期高齢者医療制度に入れられた高齢者”の保険料を値上げする改悪を、2017年度から実行に移しました。

 後期高齢者医療制度の導入当時、厚生労働省の担当官が、「医療費が際限なく上がっていく痛みを高齢者に直接感じてもらう」ためにこの制度をつくったと講演して、大問題となりましたが、高齢者に際限ない保険料値上げを押しつけ、「負担増を我慢するか、医療を受けるのを制限するか」をせまるという制度の害悪が、本格的に高齢者に襲いかかろうとしています。

 日本共産党は、安倍政権が推進する、後期高齢者医療保険料の引き上げに反対します。差別と負担増の制度を廃止し、元の老人保健制度に戻します。

 老人保健制度は、高齢者が国保や健保に加入したまま、現役世代よりも低い窓口負担で医療を受けられるようにする、財政調整の仕組みです。老人保健制度に戻せば、保険料の際限ない値上げや別枠の診療報酬による差別医療はなくなります。高齢者が75歳になったとたんに家族の医療保険から切り離されることもなくなり、65~74歳の障害者も、国保や健保に入ったまま低負担で医療を受けられます。

 差別制度を廃止したうえで、減らされてきた高齢者医療への国庫負担を抜本的に増額し、保険料・窓口負担の軽減を推進します。

 

「国保の都道府県化」による制度改悪に反対し、国民健康保険の再建・改革をすすめます

 市町村が運営する国民健康保険では、「給与年収400万円の4人家族で国保料が年41・7万円」(東京都特別区)など、住民の支払い能力をはるかに超える保険料(税)が各地で大問題となっています。高すぎる国保料(税)を完納できない滞納は312万世帯にのぼり(2016年度)、滞納制裁として保険証を取り上げられた生活困窮者が医者にかかれず重症化・死亡したり、生計費を差し押さえられた滞納者が、餓死や自殺に追い込まれたりするなどの事件も多発しています。

 日本共産党は、国の責任で国保料(税)を引き下げ、国保制度を立て直す改革をすすめます。無慈悲な保険証取り上げや問答無用の滞納制裁をやめさせて、住民の命と健康をまもります。

〔「国保の都道府県化」による住民犠牲の国保行政の拡大に反対する〕

 安倍・自公政権が2015年に強行した法改定により、2018年度から「国保の都道府県単位化(都道府県化)」が実行される予定です。

 新制度が施行されれば、国保は「都道府県と市町村が共同で運営する制度」となります。「都道府県化」が実施された後も、国保料(税)の率・額を決定し、住民に賦課・徴収するのは引き続き市町村の仕事ですが、国保財政は都道府県に一括で管理されるようになり、都道府県が各市町村に「納付金」を割り当て、市町村が住民から集めた保険料を都道府県に「納付」する形で、国保財政はまかなわれることになります。都道府県は、「納付金」の額を提示する際、市町村ごとの「医療給付費の水準」「標準的な収納率」「標準保険料率」などの指標を提示します。こうした仕組みの導入により、“給付費の水準が高い自治体”“収納率が低い自治体”“一般会計からの公費の独自繰入で保険料を下げている自治体”などを浮き立たせ、都道府県から市町村に、給付費抑制、収納率向上、繰入解消を“指導”させるというのが、制度導入の狙いです。

 今回の制度改変に際し、政府・厚労省は、「国保への3400億円の公費投入」を行なうとしていますが、その投入額の半分は、都道府県・市町村の国保行政を政府が“採点”し、“成績が良い”とされた自治体に予算を重点投入する、「保険者努力支援制度」という、新たな仕組みによって配分されます。そこでは、▽市町村に公費の独自繰入をやめさせるよう、都道府県が指導しているか、▽市町村が、滞納者への差し押さえなど、収納対策の強化を行っているか、▽都道府県が、病床削減など医療費抑制の取り組みを行っているか、などが重要な“採点項目”となる予定です。

 新制度のもと、都道府県には「国保運営方針」の策定が義務づけられます。2018年度は、「地域医療構想」「医療費適正化計画」「医療計画」など、この間の法改定によって新設されたり、内容が強化された、病床削減・給付費抑制の計画も、いっせいに発動する予定です。これらの計画は、いずれも都道府県が策定することとされ、しかも、「国保運営方針」と「整合」させることが法律で定められています。「国保運営方針」による市町村国保への予算配分、「医療費適正化計画」による給付費抑制、「地域医療構想」による病床削減――これらの権限をすべて都道府県に集中し、強権的に給付費削減を推進させることが狙われているのです。

 高すぎる国保料(税)の問題を改善するどころか、さらなる負担増と徴収強化を推進する、こんな「都道府県化」では、住民の困難と制度の矛盾は深まるばかりです。そこに、強引な給付抑制策や病床削減が結びつけば、地域の医療基盤が壊れかねません。

 日本共産党は、「国保の都道府県化」による国保料(税)の負担増、住民いじめの国保行政の強化に断固反対します。

 新制度に代わっても、市町村の判断で一般会計の繰入が可能であることは、法案審議の議論で、厚労省もたびたび答弁しました。自治体の判断による公費繰入をまもり、国保料(税)軽減に向けた努力をさらに前進させます。

 来年度から国保の運営主体となる都道府県にも、「給付費削減の先兵となるのか、住民福祉の砦となるのか」を問いながら、都道府県独自の財政支出を行ない、住民負担の軽減や地域医療の向上の先頭に立つことを求めていきます。

〔高すぎる国保料(税)を引き下げ、低所得者の負担減免をすすめる〕

 国保料(税)の高騰を招いた大きな要因は、“加入世帯の貧困化”と“国の予算削減”です。

 現行の国保制度がスタートした1960年代、国保に加入する世帯主の4割は「農林水産業」、3割は「自営業」でしたが、現在は、年金生活者など「無職」が4割、非正規労働者などの「被用者」が3割を占めるようになっています。こうしたなか、国保加入世帯の平均所得は、1990年代前半の「270万円」をピークに下がり続け、いまや「139万円」にまで落ち込んでしまいました(2015年度)。

 国保制度がスタートした当初、政府は、「無職者が加入」し、「保険料に事業主負担がない」国保を、保険制度として維持するには、「相当額の国庫負担」が必要と宣言していました(社会保障制度審議会「1962年勧告」)。ところが、自民党政権は、1984年の国保法改悪で定率国庫負担割合を引き下げたのを皮切りに、国保の財政運営に対する国の責任を後退させてきました。その結果、国保の総会計に占める国庫支出金の割合は、1980年代前半の50%から、20・3%(2015年度)にまで下がっています。

 このように“加入世帯の貧困化”と“国の予算削減”が同時並行ですすむなかで、国保の1人当たり保険料は、1980年代が3~4万円、1990年度は6~7万円、2000年代以後は8~9万円へと上がり続けてきたのでした。

 「低所得者が加入する医療保険なのに、保険料が高い」という「国保の構造問題」は、全国知事会・全国市長会などの地方団体も解決を求め、厚労省も矛盾の存在を認めざるを得なくなっています。現在、国保の一人当たり保険料は「年間9・1万円」ですが、今後、高齢化や医療技術の進歩により、2025年の一人当たり保険料は「年11・2万円」になると厚労省は試算しています。「国保の構造問題」を本当に解決するには、制度の抜本的改革が必要です。

 日本共産党は、国保の国庫負担を抜本的に増額し、「国保の構造問題」を解決し、現在と将来の国保料(税)を引き下げていくことを提案します。当面、国の責任で国保料(税)を1人1万円(4人家族なら4万円)値下げし、計画的に定率国庫負担の割合を増やして、保険料の負担水準を“他の医療保険並み”に引き下げていきます。

 市町村による一般会計繰入や都道府県による独自財源の投入など、国保料(税)の高騰を抑え、住民の負担軽減をはかる自治体の努力も、推進・応援します。

 低所得者や中間層の国保料(税)の負担を重くする、不合理な仕組を是正します。

 国保料(税)には、家族の数が増えるごとに保険料を加算していく「均等割」という仕組みがあり、それが、子育て世帯など“家族の多い世帯”の保険料を高騰させる重大要因となってきました。この仕組みには「まるで人頭税」「子育て支援への逆行」という批判の声が上がり、全国知事会など地方団体からも見直しが要求されています。日本共産党は、被保険者数に応じて定額を課す「均等割」、各世帯に定額を課す「平等割」など、国保料(税)の逆進性を高める、“人頭税型”の「応益割」の軽減・撤廃をすすめます。

 国の責任で1人1万円ずつ「均等割」を引き下げるという日本共産党の提案は、その第一歩となるものです。

 住民の生活実態を反映しない「所得割」の「旧ただし書き方式」、固定資産税を根拠に低所得者にも負担を強いる「資産割」など、不合理な算定式についても、見直し・撤廃をすすめます。

 現行の国保制度は、災害や事業の休廃止などで「一時的な所得激減」におちいった人にしか保険料(税)の免除制度が適用されず、「恒常的な低所得」に着目した免除を行なわないことが制度の建前とされています。また、介護保険には、生活保護基準をギリギリ上回る所得状況の人が、保険料をとられることで基準以下となる場合に保険料を免除する、「境界層措置」という制度がありますが、国保には、それに類する仕組みがありません。こうした制度の“不備・欠陥”により、国保料(税)の負担が貧困に拍車をかけ、生存権を侵害する事態が広範に起こっています。

日本共産党は、貧困層・境界層など「恒常的な低所得」に対応した国保料(税)の免除制度の創設を求めます。「7割・5割・2割」の法定減額や、失業で国保に加入した人への「所得割」の軽減など、現行の減額制度も改善・拡充し、低所得者が重すぎる国保料(税)に苦しめられる状況を打開します。

 国保料(税)の負担上限の引き上げに反対します。保険料が年収2000万円程度まで上がり続ける健保と違い、国保の場合、多くの市町村で、保険料(税)は所得600万円前後で上限(頭打ち)に達してしまいます。そうした状況下での保険料(税)上限を引き上げは、高額所得とはいえない中間層に、いっそう重い負担を課すことにつながります。負担上限を引き上げる前に、まず、国庫負担増による保険料水準の引き下げ、「均等割」の軽減・見直しなどを行なうべきです。

〔生活困窮者からの国保証取り上げをやめる〕

 国保料(税)滞納を理由に正規の保険証を取り上げられ、医療費の10割負担を求められる「資格証明書」や、期限を区切った「短期保険証」に置きかえられた世帯は120万世帯にのぼります。「短期保険証」を自治体の窓口に「留め置き」にされ、無保険状態になっている人、「派遣切り」などで健保を追い出され、国保にも「未加入」のまま無保険となっている人も多数にのぼります。「資格証明書」や無保険となった人が医者にかかれず、重症化・死亡する事例も、引き続き、全国各地で起こっています。

 国民の命と健康をまもる公的医療保険が、住民の生活苦に追い打ちをかけ、医療を奪うことなどあってはなりません。日本共産党は、保険証取り上げの制裁措置を規定した国保法第9条を改正し、保険証の取り上げをきっぱりとやめさせます。

〔強権的な取り立てをやめ、住民の生活と権利まもる行政に〕

 「収納率向上」のかけ声のもと、生活苦や経営難で国保料(税)を滞納せざるを得なくなった人に対する、無慈悲で強権的な差し押さえが全国で大問題となっています。

 給与・年金の生計費相当部分や、児童手当などの公的手当は、本来、法律で「差し押さえ禁止財産」となっていますが、銀行に振り込まれた瞬間からそれを「金融資産」と扱って差し押さえる、行政側の脱法行為が各地で横行しています。年金が振り込まれる銀行口座を凍結された高齢者が餓死したり、商売用の車をタイヤロックされた自営業者が一家心中するなどの痛ましい事件も続発しています。

 こうした強権的な滞納処分が一気に拡大する契機となったのが、2000年代以来の厚労省の指導の強化です。総務省の方針で、国保税・住民税などの徴収業務の民間委託が広がり、「地方税回収機構」など広域徴収機関が徴収を担うようになったことも、機械的な取り立てを横行させる一因となりました。

 日本共産党は、人権無視の強権的な取り立てを奨励する、行政のあり方を転換します。国保料(税)滞納への機械的な差し押さえをやめさせ、滞納者の生活実態をつかんで困窮者には処分を「停止」するなど、本来の徴税原則にそった対応を徹底します。

 国保料(税)の延滞金に減免制度を適用し、改善をすすめます。

 自治体が、住民の生活実態をよく聞き、親身に対応する相談・収納活動ができるよう、国として支援を強めることも必要です。

〔窓口負担の減免を推進する〕

 子どもの医療費を無料化(現物給付)する自治体独自の制度は全国各地に広がり、いまでは、すべての都道府県・市町村で何らかの子ども医療費への助成制度が実施されています。ところが、歴代政権は、都道府県や市町村が窓口負担を独自に減免すれば、通常より受診が増えて、不必要な給付費増大(波及増)が起こると言いたて、子ども医療費の窓口無料化(現物給付)を行なっている自治体に、国保の国庫負担を減額するペナルティを科しています(地単カット)。

高まる批判の世論と地方団体の意見を受け、2018年度から、就学前児童への医療費助成についてはペナルティが中止されることになりましたが、地方団体からは、小学生以上の子ども、障害者・障害児、ひとり親家庭への医療費助成についても、ペナルティをやめることが要望されています。

 日本共産党は、自治体独自の医療費助成に対する、あらゆるペナルティを撤廃し、住民の窓口負担を減免する、自治体の取り組みを推進・応援します。

 国保法第44 条の規定にもとづく、生活困窮者の窓口負担(一部負担金)の減免を積極的に推進します。

 国保加入者の貧困・生活悪化が深刻化するなか、2010年前後から、政府・厚労省もこの規定の積極的活用を言いだしましたが、その際、厚労省が示した制度適用の基準があまりに“狭き門”であったために、自治体の現場では混乱が起こっています。

〈2010年9月の通知で厚労省が示した制度の適用基準〉

――対象者は、▽災害・失業等による収入激減、▽現在の収入が生活保護基準以下、▽預貯金が生活保護基準の3カ月分以下、▽入院治療を受けている人

――減免期間は1カ月ごとの更新制で、「標準期間」は3カ月。

 とりわけ、国が通知を出す前から、「生活保護基準の1・0~1・5倍」の所得層を対象に減免制度を実施してきた自治体の関係者からは、「国基準のせいで、かえって制度が後退しかねない」という危惧の声もあがっています。

 国は、対象者を限定する基準を出す一方、自治体による「上乗せ」は「望ましい」ことであり、国基準より広い独自基準を持つ市町村が、それを狭める必要はないと、たびたび明言しています(2010年9月13日・参院厚労委員会における政務官答弁、同日付の厚労省事務連絡「一部負担金減免・保険料徴収に関するQ&A」)

 日本共産党は、国保法第44条にもとづく窓口負担の減免制度の改善・普及・拡充をすすめます。国は基準の見直しを求めるとともに、自治体独自の「上乗せ」を推進・応援し、生活困窮者に医療を保障する取り組みを前進させます。

〔国保組合の独自給付と国庫補助をまもる〕

 業界団体などでつくる国保組合をめぐっても、この間、不当な制度攻撃や国庫補助削減の改悪が行なわれています。

 2010年代初め、一部メディアが、建設国保が取り組む入院費無料化などの「独自給付」を非難し、国保組合に「特権」があると言い立てるキャンペーンを開始し、それに便乗する形で、国保組合の国庫補助を見直す、政府の議論が始まりました。

 国保組合への国庫補助率は、市町村国保の国庫負担率より低く、建設国保などに「手厚い国庫補助」が出ているという攻撃は事実を偽るものです。建設国保の「独自給付」は、加入者が割高の保険料を負担することで実施されており、その部分に国庫補助は入っていません。国保組合が、組合の決定にもとづいて、被保険者の負担軽減をはかるのは、医療保険としての当然の役割発揮です。

 事実をねじ曲げた一連の報道・宣伝が、社会保障の改悪をねらった意図的なキャンペーンだったことは明らかです。

 こうした状況を利用しつつ、安倍政権は、2015年の法改定で「被保険者の所得の水準が高い」とされる、一部の国保組合の国庫補助率削減を実行しました。この間、バッシングの標的とされてきた建設国保の補助削減は見送られましたが、引き続き、国保組合の国庫補助のあり方を見直していくというのが、政府の方針です。

 日本共産党は、偽りの宣伝と卑劣な分断攻撃に反対し、国保組合への国庫補助をまもり、拡充します。

 

患者「追い出し」・病床削減をやめさせ、必要な治療を保障します

 自公政権は、「早期退院」の誘導を狙った診療報酬の改定、療養病床の削減、国公立病院の統廃合と病床機能の淘汰など、入院患者の“追い出し”を強化する制度改変を累次にわたって続けてきました。これらの連続改悪は、患者や家族の困難を増やし、「介護難民」「療養難民」を増大させる重大要因となっています。

 さらに、安倍・自公政権は2014年の「医療・介護総合法」で、新たな病床削減の仕組みである「地域医療構想」を導入しました。患者“追い出し”を強化する新たな仕組みを導入しました。

 厚労省「地域医療構想ガイドライン」は、現行の一般病床を診療報酬の取得点数で区分し、医師や看護師を手厚く配置する病床・施設を、報酬点数の高い「高度急性期」などに限定する一方、そこに至らない一般病床は、2025年度までに再編・淘汰していくよう都道府県に指示しています。高齢者・障害者・難病患者が長期入院する療養病床については、全国でも“病床数が少ない県”にあわせて大幅削減し、患者を「在宅化」していくというのが、「ガイドライン」が示す方針です。こうした病床再編の「構想」を都道府県に持たせることで、高齢化のピークとされる2025年の病床数を、本来必要とされる152万床から119万床に、33万床削減していくというのが、政府の計画です。

 この削減をより着実に実行するため、都道府県には、各医療機関に「増床中止」「稼働していない病床の削減」などを要求する権限や、従わない医療機関に、▽機関名の公表、▽補助金・公的融資の対象からの除外、▽各種指定の取り消しなど、ペナルティを行なう権限も与えられました。まさに、医療資源の強権的な淘汰です。

 日本共産党は、病床削減、患者“追い出し”の強化をねらった制度改悪を中止・撤回させ、必要な医療体制の維持・拡充を図ります。

 

混合診療の拡大、医療の営利産業化、TPP復活交渉を許しません

 安倍政権は、医療でも「岩盤規制に穴をあける」と叫び、「混合診療」の解禁や、医療分野への営利企業参入など、医療の市場化・産業化に向けた制度改悪を推進しています。

 2016年4月からスタートした「患者申出療養」は、「患者からの申出」を起点にさまざまな保険外の治療法と保険診療の併用を認めていくものですが、国会での法案審議をつうじ、「患者の同意」を口実に、安全性・有効性の不確かな治療法を、野放図に保険外併用療養の枠にいれていく、制度の実態が明らかになりました。「混合診療」解禁の“水路”というべき、危険な改悪にほかなりません。

 保険外診療をめぐっては、ほかにも、▽保険収載を前提としない「選定療養」(差額ベッド代など)の対象拡大、▽保険収載の可否を判断する間、「混合診療」を認める「評価療養」の対象拡大(再生医療など)、▽費用対効果やコスト回収の問題で保険収載が見送られた治療法を、保険外併用療養にとどめる新制度――などが検討の俎上にのぼっています(「日本再興戦略」)。

 また、安倍政権は、米国の医療ホールディングスカンパニー(持ち株会社)を念頭に、医療法人と社会福祉法人を統合した新型法人の創設を構想し、新しく「地域医療連携推進法人」を導入することを決めました。

 世論や医療界の意向も受け、「地域医療連携推進法人」は米国式の“全国チェーン”でなく、2次医療圏の範囲で医療法人と社福法人が連携しあう非営利型の法人とされましたが、▽新法人の理事長は医師・歯科医師でなくても良いとされ、▽関連事業なら株式会社への出資も可能とされ、▽議決権に差をつけることで一部の大規模法人による法人全体の実効支配も可能とされるなど、今後の“火種”となりうる規制緩和も実行されました。

「医療の産業化」を“前のめり”で推進する安倍政権のもと、医療の非営利原則をまもる取り組みは正念場を迎えています。

 安倍政権の「規制改革」により、一般用医薬品のインターネット販売が解禁されました。さらに、規制改革会議は、「規制改革に関する第4次答申」で、処方箋による調剤医薬品についてもインターネット販売を可能とする方向を打ち出しています。医薬品の対面販売の原則を突き崩し、患者の安全を危うくする重大な動きです。

 日本共産党は、保険外治療の拡大、「混合診療」解禁にむけた、あらゆる策動を許さず、国民皆保険をまもり、保険医療の拡充をすすめます。「患者申出療養」など保険外併用療養費の野放図な拡大に反対し、「必要な治療はすべて保険で給付する」「安全・有効な治療法は速やかに保険適用する」という原則にそって制度の改善をすすめます。差額ベッド料などの自費負担をなくし、安全で質の高い治療を保険で受けられるようにします。

 医療機関が処方するかぜ薬や胃腸薬など「市販品類似医薬品の保険外し」、軽い病気の治療を保険外にする「保険免責制」など、財界が要求し、安倍内閣や自民党が検討する、公的医療保険を縮小する改悪に反対します。

 社会保障と相容れない経営原理の持ち込みや、株式会社による医療経営解禁を許さず、非営利原則をまもります。医薬品の対面販売の原則など、患者の安全を守る規制の撤廃に反対します。

 日本の医療を多国籍企業の新たな儲け口として“開放”し、「混合診療」解禁、医療への営利企業参入、米国製薬企業いいなりの薬価つり上げなど、国民の命と健康を犠牲にしかねない、TPPの“復活”交渉をきっぱり中止することを求めます。

 

「医療費適正化計画」による給付削減の改悪に反対します

 安倍政権は、2015年の法改定で「医療費適正化計画」の内容を強化する制度改変を行いました。

 「医療費適正化計画」はもともと、医療給付費の総額管理(「キャップ制」の導入)という財界の提言に押され、2006年に法定化された仕組みです。国民世論や医療界の批判を受け、実際に導入されたのは、都道府県に「平均在院日数の短縮」「健診受診率の向上」などの目標を出させつつ、医療給付費は「予測」を書くにとどめるという、財界からすれば「不十分」な仕組みでしたが、それでも、この「適正化計画」のもと、病床削減や入院患者の“追い出し”が強化され、「第1期計画期間」とされた2008年~2012年の医療給付費の伸びは「予測」より1・1兆円、抑制されました。

 2018年度から、「医療費適正化計画」には、医療給付費の「予測」ではなく「目標」が明記されることになり、都道府県には、病床機能の再編、後発医薬品の使用促進、給付の効率化など、「目標」達成に向けた努力が義務づけられることになります。「目標」を着実に達成するため、都道府県が「適正化計画」の進行状況を毎年検証することや、「目標」と実績が乖離した場合に分析と対策を講じることも決められています。「適正化計画」が定める医療給付費の「目標」と、「地域医療構想」による病床削減、「国保運営方針」による国保の財政運営を「整合」させることも、法文に明記されています。

 都道府県に医療給付費の総額目標をかかげさせ、病床削減や国保の給付削減などで給付抑制を競わせあう――これでは、「キャップ制」と実質は変わりません。

 また、安倍政権は、都道府県による医療給付費の「格差」が大きすぎるとし、医療給付や医療提供体制を「効率化」して、すべて地域の給付費を“全国の低いレベル”に合わせていくべきだと叫んでいます。

 そのために、財務省からは、2006年の法改定で導入した“都道府県によって診療報酬に格差をつける”仕組みを本格発動させ、給付費抑制が遅れている地域の診療報酬を引き下げることが提案され、経済財政諮問会議の民間議員からは、「医療費水準の高い自治体」には交付金削減のペナルティを科し、“自治体財政からの持ち出し”をせまるべきという主張が出されています。

 こんな施策が実行されたら、地域の医療基盤も医療保険もボロボロに崩され、とめどない「医療崩壊」が起こってしまいます。住民の命と福祉をまもる地方自治体を、医療切り捨ての先兵に使う改悪など許されません。

 日本共産党は、「医療費適正化計画」による強権的な給費削減の推進に反対し、都道府県・市町村を医療切り捨てに動員する仕組みの撤廃をめざします。

 

削減されてきた診療報酬を元に戻し、地域医療を再建します

 2002〜08年度の診療報酬改定で、自公政権が削減した診療報酬は7・68%――年間2・6兆円にのぼります。これが、保険医療に従事するすべての医療機関を経営危機におとしいれ、「医療崩壊」を引き起こす大きな要因となりました。診療報酬の増額による地域医療の立て直しは、医療従事者はもちろん、国民的な要求です。

 ところが、安倍政権は、社会保障費の「自然増」を抑制するためとして、2014・2016年度に診療報酬の実質引き下げに踏み切りました。

 2014年度の改定は、「消費税増税への対応」として加算された部分があったため、額面上はプラス改定となっていますが、実質的には大幅削減で、消費税増税の打撃と相まって、多くの医療機関の経営に悪影響を与えました。2016年度は、小泉内閣以来10年ぶりの1%を超えるマイナス改定を強行しました。

 安倍政権が行なってきた、この間の診療報酬改変は、医師や看護師を高度急性期に重点的に配置し、入院患者の“追い出し”を強烈に誘導しながら、高齢者・障害者・難病患者など慢性疾患の患者を“在宅・介護”に流し込んでいくというものでした。その結果、中小病院・診療所・療養病床などは大幅な減収に見舞われ、少なくない医療機関が、経営維持の困難に直面しています。

給付費抑制を至上命題に、診療報酬を使って、入院患者の“追い出し”や中小医療機関の淘汰をすすめ、医療機関の集約化を図るやり方では、地域医療の困難は増すばかりです。

 日本共産党は、診療報酬の総額削減、地域医療を後退させる診療報酬の改悪に反対します。診療報酬を抜本的に引き上げ、2000年代の改悪前の水準を回復して、地域医療全体の底上げを図ります。診療報酬増額を患者負担増に直結させないためにも、窓口負担の軽減をすすめます。

 

医師不足を解決し、地域医療体制をたてなおします

 地方でも都市でも、医師不足が引き続き重大な社会問題となっています。根本原因は、「医者が増えると医療費が膨張する」といって医師の養成数を抑制し、日本を世界でも異常な「医師不足の国」にしてきた歴代政権の失政です。そこに、診療報酬削減による病院の経営悪化、国公立病院の統廃合・民営化などの「構造改革」が加わって、地域の拠点病院・診療科の消失が引き起こされました。

 2000年代、医師不足と「医療崩壊」が社会問題化し、打開を求める国民世論が高まるなかで、政府は2008・2009年に医学部定員の増員を決め、一定数の医師の養成増を図ってきました。

 ところが、社会保障費の「自然増削減」をかかげる安倍政権の復活後、政府・厚労省は、“医師は総数では足りている”“問題は、地域・診療科による偏在”“このままでは将来は医師過剰になる”という、かつての常套句を再び用いるようになり、厚労省の「検討会」などで、医師の養成増を図る政策の見直しを打ち出すようになっています。

 これらの議論は、現在の勤務医の過酷な労働状況を今後も続けることを前提に、“医師は足りている”というものです。この間、各地の中核病院で、当直医の勤務の実態が労働基準監督署から「違法状態」と指摘されるなど、勤務医の長時間・過密労働が深刻な社会問題となっています。昨年には、新潟県の公立病院に勤める若手の女性医師が亡くなり、それが過労自殺として労災申請されるなど、痛ましい事件も起こりました。

 医師不足の問題は、勤務医の長時間・過密労働の解消、医師のワークライフバランスの確立、医療の安全と国民の信頼の向上などと一体に考えることが必要です。OECDの国際比較でみれば、日本の医師数は加盟国平均より11万人少ない水準であり、フランスの7割、ドイツの6割という到達点に過ぎません。“医師の頭数”だけで医師・医療の需要を判断し、「医師は総数で足りている」などというのは、1980年代に旧厚生省が唱えた“医師・医療費が増えすぎて、国の財政が破綻する”という「医療費亡国論」の焼き直しにほかなりません。

 日本共産党は、医師の計画的に増員し、医療の安全・質の向上、医師の労働条件の改善をすすめます。医療現場の矛盾を深め、「医療崩壊」を引き起こす大本にある、政府の医療費削減路線を転換します。削減されつづけてきた診療報酬を抜本的に増額し、強引な病床削減・病院統廃合を中止させ、地域医療全体を底上げする医療政策に転換します。

 日本共産党は、「医師数抑制」「病院淘汰・病床削減」路線を転換し、国の責任で計画的な地域医療の確保と再建をはかります。

 ――国の予算投入で医師の養成数を抜本的に増やし、計画的にOECD加盟国平均並みの医師数にしていきます。そのために医学部定員を1・5倍化し、教育・研修体制の充実を図ります。医学部の「地域枠」や奨学金の拡充をすすめます。

 ――産科・小児科・救急医療などを確保する公的支援を抜本的に強化します。地域の医療体制をまもる自治体・病院・診療所・大学などの連携を国が支援します。

 ――医療の安全・質の向上、医療従事者の労働条件改善、産科・小児科・救急医療の充実などにかかわる診療報酬を抜本的に増額します。

 ――医師の公的任用や公募で医師を確保する「プール制」「ドクターバンク」、代替要員の臨時派遣など、不足地域に医師を確保する取り組みを国の責任で推進します。

 ――勤務医の過重労働を軽減するため、薬剤師、ケースワーカー、助産師、医療事務員、スタッフの増員をはかります。院内保育所や産休・育休保障など家庭生活との両立をめざします。女性医師の働きやすい環境づくり、産休・育休・現場復帰の保障などを国として支援します。

 ――国公立病院の乱暴な統廃合や民営化、社会保険病院・厚生年金病院・労災病院などの売却をやめ、地域医療の拠点として支援します。

 ――より良い医師を育てるという臨床研修制度の主旨をまもり、研修内容の充実、受け入れ病院への支援強化、研修医の待遇改善をすすめます。

 

「新専門医制度」の導入は議論をつくして丁寧な対応を

 2017年度のスタートが予定されていた「新専門医制度」は、日本医師会や四病院団体協議会など医療団体からの懸念の声を受け、導入が1年延期されました。

 政府・厚労省が導入を準備する新制度は、2年間の「初期研修(臨床基本研修)」を終えた、すべての若手医師にさらに3年間の「後期研修(専門医研修)」を事実上、義務づけ、その「診療実績」などに応じて、「学会から独立した中立的な第三者機関」である「日本専門医機構」が「専門医」の認定をおこなっていくというものです。

 「標準的な医療を提供できる医師」を養成するという「新専門医制度」の主旨は、国民や医療界も賛同できるものですが、この案では、「専門医研修」を実施する「基幹施設」が大学病院や一部の専門性の高い大病院に限定され、地方・中小の病院に医師が来なくなって、地域医療に悪影響を与えかねないことが、広範な医療関係者の懸念を呼びました。

 それ以外にも、医師の養成期間の長期化により、若手医師の進路選択やワークライフバランスに問題を生じさせかねないことや、“大学医局中心の研修制度”の復活につながりかねないこと、「専門医」が事実上の定員制となり、新たな医師数統制・医療費抑制の仕組みになりかねないことなどが指摘されています。

 日本共産党は、2016年の参院選政策で、問題の多い「新専門医制度」の2017年度実施は延期し、医療関係者や自治体の意見も聞きながら、制度の内容について再検討をすることを求めました。

 2018年度のスタートに向け、この10月から「専攻医」の募集が始まりますが、「基幹施設」が大学病院や大病院に限定され、中小病院に医師が集まらなくなることへの懸念は、払拭されたとはいえません。「基幹施設」を選定するため、医療機関が提出する研修プログラムを審査する過程の不透明性や、「日本専門医機構」のガバナンスを問う声も、医療関係者からは出されています。新制度が、当初の目的のとおり、プロフェッショナルオートミー(医師の専門性と自律性)にのっとり、国民の理解を得られる制度になるかどうかが問われています。

 日本共産党は、新制度の導入が、地域医療に混乱や悪影響をもたらすことがないよう、また、研修医の研修が十分に保障され、国民が期待する質の高い医療の実現に資する制度となるよう、引き続き注視し、問題提起を行なっていきます。「新専門医制度」を医師・医療現場の統制に利用することや、診療報酬の改悪、フリーアクセスの制限などに結びつける動きに反対します。

 

看護師不足を解消し、安全でゆきとどいた医療を実現します

 看護師の不足、超過密労働、離職者の急増は、医療の安全をおびやかす重大問題です。

 政府は、2006年の看護師配置基準の改定で、「患者7人に看護職1人」(「7対1」)を配置した医療機関に報酬を加算して手厚い看護体制を促す仕組みをつくりましたが、その後、「7対1」基準の報酬を取得する要件として「重症度・看護必要度」などの基準を導入し、社会保障費の「自然増削減」路線の復活後は、「7対1病床」の要件を徹底的に絞り込む診療報酬の改悪を強行してきました。その結果、各地で「7対1」から撤退し、看護体制を後退させる病院が続出しています。

 日本共産党は、「手厚い看護体制をめざす」という流れを後退させる改悪に反対します。

 本当に手厚い看護体制を実現するには、諸外国に比べて少ない看護師数を抜本的に増やすことが必要です。また、医療機関に「入院日数の短縮」をせまって看護師の過密労働を激化させるなど、給付費抑制のため看護現場に犠牲をしいる医療政策の転換が求められます。看護師の配置基準を満たせない中小・地方病院をさらなる経営悪化に追い込み、選別した病院だけを支援する路線もあらためるべきです。

 日本共産党は、地域医療をまもり、すべての患者に安全でゆきとどいた治療を保障するため、看護師不足の解決に全力をあげます。看護職の抜本的増員、労働条件の改善と地域医療の支援、退職した看護師の再就労支援などで、看護師200万人体制を確立します。

 ――「7対1」基準の報酬を取得できる病院を限定・選別するのをやめ、施設基準を満たす全病院が継続・取得できるようにします。「7対1」以外の配置基準を満たす、すべての病院に対しても、診療報酬を引き上げ、人員体制の確保を応援します。

 ――看護師の労働条件を改善するための公的支援、診療報酬改革をすすめ、「夜勤は複数、月8日以内」という人事院判定の早期実現、産休・育休の代替要員確保、院内保育所の設置、社会的役割にふさわしい賃金への引き上げなどをはかります。

 ――政府として「看護師確保緊急計画」を策定し、看護職員の大幅増員へ抜本的対策を講じます。「行革」の名による看護学校の切り捨てをやめ、自治体独自の看護師増員対策をすすめます。看護教育制度の抜本的充実をすすめます。

     ――退職した看護師の再就労を、国が予算を大幅に増やして支援します。

 ――「医療・介護総合法」で決められた看護師による「特定医行為」の実施は、看護師の負担を増やし、チーム医療の現場に混乱や矛盾を持ち込みかねません。見直し・再検討を求めます。

 

自公政権による改悪をただし、安心できる医療制度への改善をすすめます

〔協会けんぽの改悪に反対し、中小企業の労働者の医療をまもる〕

 中小企業の労働者が加入する協会けんぽ(旧政管健保)の国庫補助率は、もともと「16・4%~20%」と法本則に規定されていましたが、1992年から2009年までの間、附則の規定を根拠に「13%」に削減され、そこに、不況・賃下げによる保険料の減収、高齢者医療への過重な支援金負担などが重なったために、慢性的な財政難と保険料の引き上げが続いてきました。2010年度、政府はようやく、協会けんぽ本体への国庫補助率を「16・4%」に戻しましたが、その一方で、高齢者医療の支援金への国庫補助は削減するなど、中途半端な対応に終始してきました。

 安倍政権は、2015年の法改定で、協会けんぽの国庫補助の本則の規定を「13%~20%」に書き直し、「16・4%」を附則に“格下げ”しました。法改定後も、協会けんぽ本体への国庫補助は「16・4%」が維持されていますが、中小企業・医療関係者の諸団体が、この法改定を国庫補助削減への布石ととらえ、警戒・懸念する声を上げたのは当然です。

 その一方、2015年改定法で、協会けんぽの保険料率の上限は「1000分の120(12%)」から「1000分の130(13%)」に引き上られました。

 2006年の法改定で、それまで全国単一だった政管健保が、都道府県単位の協会けんぽに分割されて以後、長引く不況、中小企業の経営難と賃下げ、医療給付費の増大のなかで、各地の協会けんぽが保険料の値上げを余儀なくされています。とくに、不況や賃金低迷が深刻な地域では、保険料率は法定上限ギリギリとなっています。こうしたときに、国庫補助削減の制度改変を連打しながら保険料上限の“のびしろ”を増やすのは、保険料値上げの誘導策以外の何者でもありません。

 日本商工会議所、日本商工会連合会、全国中小企業団体中央会、日本労働組合総連合会、全国健康保険協会は、2015年に出した連名の要望書で、協会けんぽの財政構造は、医療費等の支出の伸び率が賃金の伸び率を上回り、依然として構造的な赤字は解決していないと訴えています。いま国が協会けんぽにやるべきことは、国庫補助の削減と保険料値上げを誘導する制度改悪ではなく、国庫補助を増やして中小企業の労働者・経営者の負担軽減をはかることです。

 日本共産党は、協会けんぽへの国庫補助を緊急に法定上限の「20%」にまで引き上げ、協会けんぽの財政再建、労働者・中小企業の負担軽減にむけた、国の支援を強化します。自公政権によって導入された、保険料引き上げや給付費抑制の仕組みを撤廃し、中小企業の労働者・家族に国の責任で医療を給付するという、旧政管健保の本来の目的・役割をまもる立場から、制度の改革をすすめます。

 協会けんぽの財政を根本的に立て直すためにも、中小企業支援と一体の最低賃金の引き上げ、大企業と中小企業の公正な取引ルールの確立、国の中小企業振興策の抜本的拡充など、経済改革を推進します。

〔健診をゆがめる制度改悪に反対し、改善・充実をはかる〕

 40〜74歳の国民に「特定健診」を受けさせ、メタボリック症候群の有無を判定する仕組みが導入されて10年がたちました。日本共産党は、この制度が導入された当初から、メタボリック症候群と診断された人を“健康づくりを怠った”かのように扱い、“受診率”や“メタボ改善率”が低いとされた医療保険に財政拠出増のペナルティを科すなど、国民に懲罰を与えて“健康づくり”をせまるやり方を批判してきました。

 特定健診の導入後、「メタボ対策」への特化による検診項目の偏り、旧制度になかった自己負担の徴収など、さまざまな問題が発生しています。さらに、政府はこの間、各人の健診結果と受診履歴をマイナンバーによって“紐づけ”し、“健康づくり”の強要や保険者へのペナルティをいっそう強化することを検討・計画しています。

 「医療の産業化」をすすめる安倍内閣のもと、健診事業に健康機器業界やフィットネス産業が参入し、保険財政が食いものになることへの懸念も広がっています。

 日本共産党は、「自己責任」の名で健診をゆがめ、国民の健康保持に対する国・自治体の責任を後退させる改悪に反対します。病気の予防・早期発見という本来の主旨にたって、健診の改善・充実をはかります。

社会保障の給付削減をねらい、国民のプライバシーを危機におとしいれる共通番号(マイナンバー)の中止・撤回をめざします

 各分野政策の13、「マイナンバー」参照

 

医科でも歯科でも、国民に安全・安心の医療を保障するために

〔医療保険財政の立て直し〕

 給付費抑制を最優先に、国民に負担増を求め、公的保険を切り縮めて市場原理にゆだねる「医療改革」では、患者の重症化がすすみ、国の医療費は逆に増大するだけです。日本共産党は、減らされ続けた国庫負担を計画的に復元・拡充し、本当に持続可能な医療保険財政の確立をすすめます。その財源は、応能負担の原則に立った税・財政の改革、国民の所得増で税収をふやす経済改革によって確保します。

 この間、大企業の賃下げやリストラ、非正規雇用への置きかえで健保の収入が減り、不安定雇用の労働者が大量に国保に追いやられたことも、健保・国保財政を悪化させる原因です。医療保険財政を立て直すためにも大企業に雇用・賃金・保険料負担に対する社会的責任を果たさせ、中小企業の経営をまもる施策を推進します。

 同時に、不必要な医療費の膨張をただすため、高薬価や高額医療機器など医療保険財政の無駄にメスを入れます。

 予防・公衆衛生や福祉施策の充実に本腰を入れ、国民の健康づくりを推進します。病気の早期発見・治療を進めるためにも、窓口負担軽減が重要です。

 国民の長寿化や医療技術の進歩によって、医療費が増えることは本来、おそれるべきことではありません。日本共産党は、「医療費削減」の名で患者・国民、医療機関・医療従事者に犠牲をしいる路線を転換し、危機にひんした公的医療保障を再建・拡充します。

〔異常な高薬価構造の是正〕

 日本の医療費総額に占める薬剤費の比率は3割を超え、イギリス・フランスの約2倍、ドイツの1・3倍など、国際的にも突出した高水準となっています。近年では、2014年に承認された抗がん剤オプジーボが、アメリカの2・5倍、イギリスの5~10倍という高値で薬価算定され、世論の批判や日本共産党議員の国会論戦を受けて、急きょ半額に是正されたことも話題となりました。

こうした異常な高薬価がまかり通る、最大の要因は、新薬価格の高騰と先発品薬価の高止まり、それを容認・促進する薬価制度(仕切価格制、加重平均値R幅方式、新薬創出等加算など)にあるというのが医療団体の指摘です。新薬価格の算定原案を作成する、厚労省の「薬価算定組織」の議論がすべて非公開とされるなど、薬価の算定過程が国民に隠されていることも黙過できません。不透明な薬価ルールによる異常な高薬価は、いまや医療保険財政を圧迫する重大要因となり、その是正は避けられない課題となっています。

 ところが、安倍政権は「成長戦略」の一環として、「創薬に係るイノベーションの推進」「医薬品産業の国際競争力の強化」をかかげ、それを後押しするため、「真に有効な新薬の適正な評価」の名で、さらなる優遇をおこなうとしています。これでは、薬価構造のゆがみと医療保険財政の窮迫は拡大するばかりです。

 日本共産党は、不合理・不透明な薬価制度やその根底にある政官業の癒着構造にメスを入れ、薬価構造を根本的に見直します。新薬価格を2割引き下げるだけでも、約1兆円の財源確保が可能です。高薬価の是正によって得られた財源を、医療の充実や患者の負担の軽減に振り向けます。

〔高額療養費の改善〕

 安倍政権が推進する高額療養費制度の改悪に反対します。

 低所得者や治療が長期間にわたる患者の過重な医療費負担を軽減するため、応能負担の立場にたった、高額療養費制度の改善を緊急にすすめます。

 高額療養費制度の所得区分をふやし、負担限度額の上限を、現役世代も高齢者も、通院も入院も大幅に引き下げます。重い病気の患者ほど患者負担が自動的に高くなる、「1%」の定率部分をなくします。70歳未満の通院にも、受領委任払いを導入します。70歳未満の入院費の受領委任払いを徹底し、使いやすい制度に改善します。

 限度額の設定を“月ごと”から“治療ごと”にあらため、「治療が月をまたぐと高額療養費が適用されない」という矛盾を解決します。世帯の所得区分ごとに年間をつうじた負担上限額を設け、「同一世帯でも、保険がちがうと医療費を合算できない」問題などについても解決をはかります。

 現行では三疾患(血友病、HIV、人工透析の腎臓病)に限られている「高額長期疾病にかかわる高額療養費の支給特例」を拡大し、療養が長期にわたる場合に対応した「長期療養費給付制度(仮称)」を創設します。

 対象が限定され、当事者が申請しないと適用されない、高額医療・介護合算制度を抜本に見直します。

〔無料低額診療への支援をすすめる〕

 各地に広がってきている無料低額診療への支援を強めます。現在、無料低額診療では、院外処方による薬局での調剤が制度の適用とならず、患者が自己負担を強いられる問題が起こっています。薬剤費への制度適用をすすめ、この問題を解決します。

〔子どもの医療費無料化〕

 日本共産党は、子ども医療費の無料化運動が起こった1960年代から住民運動に協力し、国会でも地方議会でも助成制度実現を求める論戦を展開してきました。

 保護者や住民のねばり強い運動と世論が広がるなか、今日、すべての都道府県・市町村で、子どもの医療費(通院・入院)に対する助成制度が実施されています。

しかし、子ども医療費に対する国の助成制度はなく、各地の医療費助成には、対象年齢、所得制限、一部負担の有無など大きな格差があります。しかも、政府・厚労省は、都道府県や市町村が窓口負担を独自に減免すれば、通常より受診が増えて、不必要な給付費増大(波及増)が起こると言いたて、子ども医療費の窓口無料化(現物給付)を行なっている自治体に対し、国保の国庫負担を減額するペナルティを科しています(地単カット)。

  住民のくらしと健康をまもり、福祉の向上をめざす自治体の努力を国が妨害するなど、本来、絶対にあってはならないことです。

 高まる批判の世論、地方団体や与党の一部からの要求を受け、政府は、2018年度から、就学前児童に対する自治体の医療費助成については、ペナルティをやめることを決めました。まさに、世論と運動の画期的な成果ですが、住民・地方団体からは、就学前の子どもだけにとどまらず、小学生以上の子ども、障害者・障害児、高齢者、ひとり親家庭など、他の医療費助成についてもペナルティをやめることが要求されています。

 日本共産党は、小学校就学前の子どもの医療費を所得制限なしで無料化する、国の制度を確立します。その共通の制度の上に、全国に広がった自治体独自の助成制度を、さらに前進させます。

 「ペナルティ中止」を就学前児童だけにとどめず、自治体独自の医療費助成に対する、国庫負担削減のペナルティを全面撤廃し、住民の医療費負担軽減に向けた自治体の努力を推進・応援します。

〔診療報酬の改革〕

 診療報酬は、国民に平等に医療を保障し、“もうけ本位の医療”を許さないための大事な仕組みです。ところが、歴代政権は、医療にかかる国の予算を減らすために診療報酬の仕組みをゆがめ、「医療費削減」の道具にしてきました。現行の診療報酬は、医療従事者の労働を不当に低く評価しており、そのことが、中小病院の経営難や、医療従事者の労働条件悪化の大きな原因となっています。急性期患者の強引な退院を誘導する報酬改定、高齢者・長期入院の“追い出し”を促進する報酬削減、長期リハビリに対する保険給付の制限など、公的医療費の削減をねらったさまざまな報酬操作が、医療現場の矛盾を拡大し、医療従事者と患者の両方を苦しめています。

 日本共産党は、医科でも歯科でも診療報酬の抜本的な増額を求めるとともに、「国民皆保険」をまもり、拡充する立場で診療報酬の改革に取り組みます。診療報酬の総額削減、保険外診療の拡大に反対し、安全・有効な治療はすみやかに保険適用とする仕組みをつくります。“安上がり医療”をねらった「包括払い(定額制)」の導入・拡大に反対し、「出来高払い」による給付をまもります。薬・医療機器にかたよった報酬評価のあり方を見直し、医療従事者の労働を適正に評価する診療報酬に改革します。

 すべての医療機関における基本診療料である初・再診料、入院基本料を適正に評価し、引き上げます。

 急性期病床の削減と“在宅化”“介護への移行”を促進するため、2014年度・2016年度の診療報酬では「7対1」病床の絞り込みが行われました。「7対1」取得に該当しなくなった病院は大幅な減収になり、赤字経営で地域医療を支える病院がさらなる苦境に追い込まれる事態が起こっています。「7対1」病床を出た患者の“受け皿”として「地域包括ケア病棟」が新設されましたが(2014年度)、ここにも“60日以内の退院”“70%以上の在宅復帰”などの要件が課されるため、取得できる病院は限定され、患者も病院も退院後の行き先探しに右往左往し、地域間の医療連携が阻害される事態も起こっています。

 2012年度改定で、▽長期入院・回復リハ・慢性期病床への報酬削減、▽DPC対象病院の再編と「効率化」の誘導、▽在宅支援診療所の「機能強化型」と「従来型」への線引きなどの改定が行われましたが、いずれも、「在宅化」と「介護への移行」を誘導する一方、診療所や中小病院にかかわる報酬を低く抑えていく改変です。このように、患者の「追い出し」や医療機関の淘汰を誘導する報酬改定では「医療崩壊」は深刻化するばかりです。地域医療全体を底上げする立場で、診療報酬体系の抜本的な見直しを進めます。

 高齢者や長期入院患者の給付費削減をねらった差別的な診療報酬の廃止を求めます。

 地域医療・救急をささえる病院を大幅な減収に追いこみ、病院に「保険外併用療養」の採用をせまる、「総合入院体制加算」を撤回させます。

 標準算定日数を超えたリハビリを「保険外併用療養」とする改悪を許さず、リハビリ日数制限の全面撤回と制度の再構築を求めます。

 厚労省は、2014年度の「7対1」病床に係る診療報酬改定で、難病患者や肢体不自由者を「平均入院日数」の計算から除外し、入院日数が90日を超えても入院基本料が減らないようにしてきた「特定除外制度」を廃止してしまいました。まさに、難病患者や障害者を“追い出し”の対象としていく改悪です。厚労省は他にも、脳卒中や認知症の患者を受け入れる「特殊疾患病棟」「障害者施設」の報酬を引き下げるなど、重症患者を狙い撃ちにした“追い出し”強化を進めています。これらの非情な改悪を是正し、難病患者、障害者、長期の治療が必要な重症患者が、安心して療養に専念できる報酬・体制をととのえます。

 人工透析の「夜間・休日加算」の引き下げにより、外来の夜間透析が受けにくくなり、患者の困難が続いています。患者負担の軽減をすすめながら、適切な報酬への引き上げをはかります。

 入院中の患者が他の医療機関で受診した場合、▽入院医療機関に支払われる入院料を減額する、▽他医療機関が算定できる報酬の範囲を制限する、▽他医療機関による投薬を当日分に限る――など、2010年度の報酬改定で導入された報酬削減・投薬規制に、医療現場からは「入院患者に必要な医療を提供できない」「医療機関の連携を阻害する」などの批判の声が上がっています。日本共産党の国会論戦などを受け、投薬規制の一部は見直されましたが、入院医療機関への報酬削減、他医療機関の算定範囲の制限、包括払い病床の患者に対する投薬規制は、今も続いています。地域医療の実態とかけ離れ、患者・医療機関の双方に困難をもたらす、不合理な報酬のあり方をあらためます。

〔出産一時金の引き上げと改善〕

 出産に要する費用は年々高騰しています。それに見合うように、出産一時金の金額を、大幅に引き上げます。

〔歯科医療の充実〕

 政府は、歯科の診療報酬を不当に低く抑え、自費診療・混合診療を拡大してきました。

 基礎的な診療行為の保険点数が長年にわたって据え置かれ、新たな歯科技術の保険収載も大幅に遅れるもと、多くの歯科医は経営難にあえぎ、少なくない開業歯科医が「ワーキングプア」となっています。患者は保険だけでは十分な治療が受けられず、高い自費負担に苦しめられています。

 歯科医療従事者のねばり強い運動や日本共産党の国会論戦を受け、この間の診療報酬改定では、基礎的な診療行為や訪問歯科診療にかかわる報酬の一部是正などが進んでいますが、劣悪な水準の抜本的な改善にはいたっていません。

この間、口腔の状態の改善が、全身の健康状態の改善、認知症の予防、病気の早期治癒などに大きく貢献することも明らかとなっています。

 日本共産党は、国民の口腔の健康をまもり、「保険でよい歯科治療」を実現するため、歯科診療報酬の抜本的な増額と改革、歯科医療の充実にむけた支援を進めます。

 初診料・再診料の水準を抜本的に引き上げ、医科・歯科間格差を是正します。医科・歯科ともに窓口負担の抜本的軽減を進めます。

 歯周病の治療・管理や義歯に関わる包括的・成功報酬型の診療報酬を撤廃し、治療行為を適正に評価する報酬に改定します。画一的な文書提供業務の押しつけをやめさせます。

 国民の歯科医療への需要の高まりや、治療技術の進歩に対応し、保険治療の大幅な拡大と保険外治療の解消をはかります。金属床の部分入れ歯など、実績もあり、広く用いられている治療法を、長らく自費負担にとどめるなどの施策を改め、安全・有効で実績のある治療法はすみやかに保険給付の対象としていきます。現在、保険で給付されている補綴物の保険給付外しに反対し、「混合診療」となっている欠損・補綴の保険移行をすすめます。

 歯科技工士や歯科衛生士の役割を、適正に評価する診療報酬にあらためます。入れ歯にかかわる診療報酬の改悪により、歯科技工所の経営難・廃業が加速し、新たに歯科技工士となる若い人を確保できないなどの事態が深刻化しています。一方で、安全や品質に規制のない安価な海外技工物が大量に輸入され、自費診療で使用されています。歯科技工士が安心して仕事を継続でき、歯科医と連携して「よい入れ歯」を保険で給付できるよう、歯科技工物にたいする診療報酬の改善をすすめます。海外技工物の輸入・使用・安全性の実態を調査し、材料・製作者・技工所などの基準を設けて規制をおこないます。

 歯科健診の充実など、国民の口腔の健康をまもる取り組みを国の責任で推進します。

〔感染症の発生・拡大・重症化を防止する施策を国の責任で推進します〕

 欧米諸国では「命脈がつきた」と言われる、はしかの患者が毎年10万人以上も発生し、風疹の患者数も世界ワースト4位(2012年・WHO調査)、毎年のようにインフルエンザが流行して、HIV・エイズ患者も増加傾向にあるなど、日本は先進国のなかで屈指の「感染症大国」です。

 西アフリカを中心とするエボラ出血熱の国際的な感染拡大、中南米を中心とするジカ熱の流行、韓国でのMERS(中東呼吸器症候群)の感染の広がり、デング熱の国内感染などを受け、感染症に対する国民の不安が高まっています。

 ところが、国の感染症対策の中心として研究、ワクチン開発、流行状況の調査・監視などを行う国立感染症研究所では、経常研究の予算が不足して電気代が払い切れず、資料保存に欠かせない超低温槽の休止まで検討されたような状況が続いています。

 感染症が発生・流行した場合、実際の治療・予防の拠点となるのは地域の専門医療機関や保健所ですが、「医療費削減」「採算重視」を求める政府の路線のもと、感染症指定医療機関は100施設・3400床も削減され、保健所も、地域保健法改定前(1994年)の847カ所から490カ所(2014年)へとほぼ半減させられました。

 空港・海港などでの水際検疫の体制も、この間、検疫官の定数増がはかられましたが、海外渡航者の激増には追いついていないのが現状です。

 日本共産党は、感染症の研究・ワクチン開発体制の抜本的拡充、地域の医療・保健体制の再建、水際検疫体制の抜本的強化をすすめます。予防接種の推進、正確な知識の普及など、感染症の発生をくいとめ、重症化を防止する施策を国の責任で推進します。国際的な感染症対策に対する人的・財政的支援を強めます。

 エボラ出血熱、デング熱、MERS、ジカ熱など、再興感染症・新興感染症の発生・拡大などにそなえ、国立感染症研究所の予算・体制を抜本的に拡充します。

 エボラ出血熱や、MERS、ジカ熱など、世界的規模で拡大する感染症を予防するため、水際検疫体制の強化、ワクチンや治療法の研究・開発の促進、発生時に備えた専門医療機関と保健所の体制確保、一般医療機関への情報提供と国民への知識普及などを、緊急にすすめます。国際社会と共同し、感染国に対する支援の強化をはかります。感染国から帰国した邦人に対する調査・予防の措置は、人権を守る立場から行うようにします。

 強毒性の新型インフルエンザ流行に備え、ワクチン製造システムの確立、抗インフルエンザ薬とプレパンデミック・ワクチンの備蓄量の大幅増などを推進します。

 はしか・風疹対策をすすめます。国の責任でワクチンを備蓄し、追加接種が必要な人には公費助成をおこなうなど、感染・流行を防ぐ、あらゆる手立てをとります。

 HIV、梅毒、クラミジアなど性感染症の予防・治療をすすめます。教育・保健の連携による性にかかわる正しい知識の普及とHIV・エイズの予防法の周知、「無料・匿名」のHIV検査の体制強化、一般医療機関への情報提供による早期発見の推進、患者の人権をまもる取り組みの強化など、HIV・エイズ対策を推進します。

 保護者・住民の長年の運動によって実現した「ヒブワクチン」「小児用肺炎球菌ワクチン」の公費接種事業について、保護者の負担軽減・無料化など制度のさらなる充実をめざします。

 子宮頸がん予防が重要課題となっていますが、この間、公費接種の対象となったワクチンについては、副作用の頻度が高く、重い症例もあることが問題となっています。接種勧奨は再開せず、疫学調査もふくめた副反応被害の徹底した検証をすすめます。

 おたふくかぜ、ロタウィルスワクチンの定期接種化をすすめます。

 今後も予想される、さまざまな感染症の発生・流行にそなえ、閉鎖・削減してきた感染症指定医療機関の復活、拠点病院への専門医・看護師の配置、公立病院の強引な統廃合の中止と体制強化、医療機器の整備、保健所の体制強化、ワクチンの研究・製造システムの確立をすすめます。

〔医療の安全、患者の権利の確立〕

 日本共産党は、医療事故の検証と再発防止に取り組む第三者機関の設置を早くから提案してきました。2014年の「医療・介護総合法」で医療事故調査の「第三者機関」が設置されたことは一歩前進ですが、▽公費負担の確保、▽遺族の費用負担の問題、▽医療機関が事故を認めなかった場合に遺族から調査請求できるようにすること――など、さまざまな課題が残されています。真に実効ある制度となるよう問題提起や改善をすすめていきます。

 分娩時の事故で子どもが脳性まひとなった場合に補償をおこなう「産科医療補償制度」が始まって8年がたちますが、補償の対象が限定されるなか、巨額の保険料が余る状態が続いており、基金の運営の透明性・公平性にも疑問がだされるなど、多くの問題点が指摘されています。現行制度の抜本的見直しをすすめつつ、諸外国のような幅広い医療事故に対応できる無過失補償制度の創設をめざします。

 患者の権利を明記し、医療行政全般に患者の声を反映する仕組みをつくる「医療基本法」の制定をすすめます。

 医療内容のすべてを反映せず、患者のための情報開示というニーズを満たさない一方、医療現場に負担をしいるだけとなっている、現行の「診療明細書の発行」を見直し、患者に医療の内容をわかりやすく知らせる、情報開示の仕組みを整備します。

〔がん対策〕

 日本国民の死因の第1位である、がんの予防・治療には、国が総合的な対策をすすめることが必要です。ところが、歴代政権は、窓口負担の引き上げや国保料(税)滞納者からの保険証とりあげなど、がんの早期治療に逆行する施策をとりつづけてきました。自民党政権が、がん検診にたいする国庫補助を廃止したために、各地で、がん検診の有料化や対象者選別、検診内容の劣悪化などの事態が起こっています。「医療崩壊」が進行するもと、がんの治療・予防の地域格差も深刻な問題となっています。

 がん対策基本法の主旨にのっとり、どこにいても必要な治療・検査を受けられる、医療体制の整備が必要です。国の責任で、専門医の配置や専門医療機関の設置をすすめ、所得や地域にかかわらず高度な治療・検査が受けられる体制を確立します。未承認抗がん剤の治験の迅速化とすみやかな保険適用、研究予算の抜本増、専門医の育成、がん検診への国の支援の復活など、総合的がん対策を推進します。

 現在、国会で見直しがすすめられている、がん対策基本法の改正について、当事者の声を反映させ、基本理念に「希少がん、難治性がん、小児がん対策の一層の推進と、社会的支援策の必要」を加えるよう求めます。

 がんの早期発見・早期治療がすすみ、長期の治療を続けつつ、がんとともに生きる患者が増えるなか、高額な自己負担が治療継続の大きな壁となり、金銭的な理由による治療の断念、貧富の格差による治療の格差が生じる状況となっています。ヨーロッパ諸国では、長期療養が必要な患者に、疾病の別なく、手厚い給付と負担の軽減をはかる仕組みが整備されています。日本でも、「高額療養費の支給特例」の改善・拡充、公費助成の導入など、長期治療が必要な患者に自己負担の心配なく給付を保障する公的制度の確立を急ぎます。

〔薬害・肝炎対策〕

 薬害(肝炎、MMRなど)の解決と被害者救済に全力をあげます。

 薬害C型肝炎訴訟の原告・弁護団の運動がみのり、2008年、薬害発生と被害拡大に対する国の責任を明記し、血液製剤によってC型肝炎に感染した被害者を救済する法律が成立しました(2012年改正)。しかし、現行の救済法では、カルテのない被害者の救済が困難で、対象となる血液製剤は限定され、先天性疾患の治療や“血液製剤以外の経路で感染した被害者”は救済対象から外されています。日本共産党は、すべての被害者の一律救済をはかり、製薬企業にも謝罪・補償・再発防止をおこなわせるなど、全面解決にむけた努力をつづけます。

 B型肝炎についても、原告・弁護団の運動がみのり、2011年6月、集団予防接種における注射針の使い回しなど、国の責任を明記した「基本合意」が成立し、B型肝炎特別措置法が成立しました。しかし、国の体制の不備から個別の患者の救済は遅れ、全国に約45万人にいるとされる被害者のうち、提訴した被害者は約3万人、うち和解にまで至ったのは約2万人という到達です。2016年の法改正で、給付金の請求期限の5年延長、発症又は死亡後20年以上を経た患者への給付金支給など一定の改善もはかられましたが、救済のスピードアップや被害者の“線引き”をやめることが引き続き急務となっています。国の体制整備の遅れを解消し、全被害者の救済をすすめるとともに、差別・偏見解消の取り組みなど、全面解決にむけた努力を行います。

 薬害肝炎原告・弁護団と国が結んだ「基本合意」、薬害肝炎検証委員会の『最終提言』にもとづき、薬害防止を目的に医薬品行政を監視する第三者機関の早期設置を求めます。

 350万人とも言われるウィルス性肝炎患者の治療推進と生活支援にむけ、肝炎対策基本法のさらなる充実、ウィルス性肝硬変・肝がん患者に対する医療費助成制度の早急な創設を求めます。C型肝炎に対する肝がん予防を目的としたインターフェロン投与や、B型肝炎に対する核酸アナログ製剤の使用などの有効性をすみやかに確認し、必要な検査・治療は迅速に医療費補助の対象としていきます。すでに着手しているB型肝炎ウィルスを排除する治療薬等の研究開発を加速させます。

 ウィルス性肝炎を「高額長期疾病にかかわる高額療養費の支給特例」の対象に追加し、患者負担を軽減します。「肝炎ウィルス無料検査」の拡充、「肝疾患診療連携拠点病院」の整備、「肝炎情報センター」の機能拡充など、陽性患者の早期発見と治療に向けたフォローアップの施策を推進し、情報提供、研究体制の充実をはかります。

〔医療機関への消費税ゼロ税率適用、事業税非課税・租特法26条の存続〕

 保険診療などの医療費は消費税非課税とされていますが、病院や診療所が購入する医薬品・医療機器などには消費税が課税されています。これによって医療費の負担も増え、医療機関の経営も圧迫されています。保険診療には「ゼロ税率」を適用し、医薬品などにかかった消費税が還付されるようにします。

 社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置を継続します。租税特別措置法第26条等に規定された、医療機関の概算控除の特例を存続させます。

〔救急医療の拡充〕

 救急医療の確保は、人の生死を左右する重大課題です。ところが、救急医療の現場では、出動件数の急増に隊員数の増加が追いつかず、患者の命が脅かされる状況が続いています。「医療崩壊」のなかで、救急患者の搬送先が見つからないという問題も深刻です。

 日本共産党は早くから国会でドクターヘリ導入を提案するなど、救急体制の充実を一貫して要求してきました。救急隊員の抜本増、地域医療の再生とあわせた救急・搬送体制の整備・拡充をすすめます。救急車の有料化、通報段階で患者の「緊急性」を選別して切り捨てる「トリアージ」の導入など、救急医療の改悪に反対します。

 国の責任で小児救急体制を整備し、新生児特定集中治療室(NICU)を計画的に増やします。

〔助産師・助産院への公的支援〕

 「お産難民」が社会問題となるなか、助産師・助産院の役割はますます重要となっています。ところが、自公政権は2006年、嘱託医・嘱託医療機関を確保できない助産院の開業は認めないとする法改悪を強行し、多くの助産院を廃業に追い込みかねない事態を引き起こしました。その後、政府・厚労省は対応を一定あらためましたが、事態が完全に解決されたとはいえません。

 日本共産党は、みんなが安心してお産のできる環境を確立し、助産院ならではの、喜びと満足のある質の高いお産を普及・発展させるため、助産師の養成数を増やし、助産院に対する公的支援をすすめます。助産院を地域の周産期医療ネットワークに位置づけ、「院内助産所」の設置をすすめるなど、助産師と産科医の連携を国の責任で推進します。

〔はり・きゅうの保険適用の改善を求める〕

 戦後、歴代の厚生行政は、「はり・きゅう」を「非科学的な療法」とする見解をとり続け、「はり・きゅう」の保険適用について、①「現物給付」や「受療委任払い」でなく、患者に一旦全額を支払わせる「療養費払い」とする、②「はり・きゅう」の保険適用に医師の同意書を必要とする、③保険適用の対象疾患等を限定する、④診療報酬の技術料もきわめて低く抑える――など、一般医療とは異なる、さまざまな制限を加えてきました。

 日本共産党は、こうした「はり・きゅう」を、事実上、「健康保険制度と別建て」に扱うやり方は、患者の願いにも反していると主張し、鍼灸師の方や視覚障害者の団体とも共同しながら、保険適用の改善を政府に要求してきました。

 「はり・きゅう」については、国際医学会やWHOでも医療上のエビデンスが広く認められており、保険適用を妨げる現行の仕組みの不合理は明らかです。

 「療養費払い」や「同意書」のあり方を再検討し、対象疾患の拡大、診療技術料の引き上げなど、「はり・きゅう」の保険適用の改善・拡充を求めます。

〔在宅医療・介護における駐車問題の解決〕

 在宅医療、訪問看護、訪問介護の分野では、一定時間の駐車が避けられませんが、その仕事に従事している人たちは、駐車禁止で取締りを受けることに不安を感じながら仕事をしなければならないのが実態です。 駐車許可を得るには、煩雑な手続きや実態と合わない基準が障害となっている現状を改め、柔軟で実態におうじた道交法上の配慮を求めます。

 

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