各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

8、貧困―貧困率、低年金、医療・介護の改悪、雇用・賃金の破壊

日本社会のあらゆる分野に広がる、貧困と格差を是正します

 2017年10月


  現在、日本の貧困率(相対的貧困率)は15・6%、子どもの貧困率は13・9%でOECD加盟国平均を上回り、とくに、ひとり親家庭の貧困率は50・8%と、断トツの高さとなっています(2015年調査)。

 安倍首相は、日本の相対的貧困率が、前回調査(2012年調査)よりわずかに低くなったことを根拠に、「アベノミクスで貧困が改善した」といっています。しかし、相対的貧困率は、全国民の所得の真ん中(中間値)を基準に、その半分しか所得がない人を「貧困層」と定義し、全体に占める割合を示したものです。2012年から2015年の間に数値が変動したのは、中間層の所得が落ち込んだため、「貧困層」にあたる人の割合が見かけ上、少なくなったからで、生活困窮者の所得や生活はなんら改善していません。むしろ、中間層が所得を減らし、貧困層は放置され、国民生活はますます落ち込んでいるのが実態です。

 実際、「ワーキングプア」「下流老人」「貧困女子」「子どもの貧困」などの言葉がマスメディアをにぎわすように、今の日本では、あらゆる年代・階層が、失業や病気などで所得が減れば、たちまち生活が行き詰まり、貧困におちいる危険と隣りあわせで暮らしています。これらの事態は、労働法制の規制緩和による雇用破壊と賃金下落、年金・医療・介護など社会保障の連続改悪、中小企業や地場産業の切り捨てによる地域経済の荒廃など、自民・公明政権の悪政の積み重ねによって引き起こされたものです。とくに、安倍政権の5年間で、働く人の実質賃金は年額10万円も減り、中間層の疲弊と貧困の拡大は、いよいよ深刻になっています。

 一方、米誌『フォーブス』の「日本の富裕層」によれば、この5年間(2012年→2017年)、株価上昇の恩恵により、上位40人の試算は7・7兆円から15・9兆円へと2倍以上に増えました。

 こうした「貧困と格差」の是正は、すべての国民に生存権を保障した憲法の規定にもとづき、日本社会の健全な発展をすすめる重要な課題です。同時に、それは家計という経済の最大のエンジンをあたため、日本経済に好循環を生みだして、持続的な経済成長を実現するうえでも、不可欠の課題となっています。

 日本共産党は、格差・貧困をただし、国民のくらしを応援する「4つの改革」をすすめます。

 ――税金の改革:消費税10%増税を中止し、「アベノミクス」で大儲けをした富裕層・大企業に応分の負担を求める。

 ――予算の改革:社会保障、教育、子育て、若者を優先し、格差と貧困の是正につながる予算を増やす。

 ――働き方の改革:ブラックな働き方をなくし、人間らしく働けるルールを確立して、8時間働けばふつうのくらせる社会にする。

 ――地域経済の再生:農林水産業・中小企業を応援し、地域を再生する。

 

「働く貧困層」をなくします――雇用のルールの確立、セーフティネットの構築を

 労働者の平均賃金は、1997年のピーク時から年間70万円も減りました。安倍政権の消費税8%増税と「アベノミクス」による輸入物価高が、実質賃金の低下に拍車をかけています。

この間、非正規労働者は増え続け、労働者全体の4割に達しています。その多くが年収200万円以下の「ワーキングプア」(働く貧困層)です。1年間を通じて働いても年収200万円以下の労働者は1132万人となっています(2016年・民間給与実態統計調査・国税庁)。

貧困と格差をただすには、安定した雇用と継続的な賃上げを実現する、雇用政策の根本的転換が不可欠です。ところが、安倍政権は、2015年9月、「生涯ハケン」「正社員ゼロ」に道をひらく労働者派遣法の大改悪を強行し、さらに、無制限の長時間労働を可能とする「残業代ゼロ」法案の国会提出を狙うなど、労働法制のさらなる規制緩和にひた走ろうとしています。

 日本共産党は、安倍政権の労働法制の大改悪を阻止し、人間らしく働けるルールを確立します。

〔最低賃金の大幅引き上げで「働く貧困層」をなくす〕

 「ワーキングプア」をなくし、労働者全体の賃金を底上げするため、最低賃金を大幅に引き上げ、いますぐどこでも時給1000円を実現し、1500円をめざします。そのために、社会保険料の減免や賃金助成など、中小企業の賃上げに対する本格的支援を行ないます。最低賃金の地方間格差を是正し、全国一律最低賃金制度に踏みだす制度をつくります。

〔労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は一時的・臨時的なものに限定する〕

 自民党政権は1985年の労働者派遣法制定、1990年代以後の労働法制の規制緩和のなかで、派遣労働を野放図に拡大し、正規労働者を大量に派遣労働者に置きかえてきました。その結果、他国に例を見ない派遣労働者の「使い捨て」が横行し、「ワーキングプア」が爆発的に増大しました。

 労働者派遣法を抜本的に改正し、派遣労働を臨時的・一時的業務に厳格に制限します。製造業派遣や日雇い派遣を全面禁止し、「使い捨て」労働をなくします。登録型派遣は真に専門的な業務に限定します。派遣受け入れ期間の上限は1年とし、違法があった場合は派遣先に期間の定めなく直接雇用されたものとみなして、正社員化をすすめます。派遣先の正社員との均等待遇、グループ内派遣の制限をおこない、常用代替を規制します。

〔非正規から正規への流れをつくり、同一労働同一賃金、均等待遇をすすめる〕

 派遣労働者、契約社員、パート、期間社員などの非正規労働者は、正規労働者の6割弱という低賃金に加え、短期・細切れの雇用契約の更新が繰り返されて、つねに雇用不安を抱えながら働いています。会社が法定上限ギリギリの有期雇用契約を繰り返し、労働者を「雇い止め」自由の「契約社員」にするなど、違法・脱法行為も後を絶ちません。不当な「雇い止め」の取り締まりを強化します。

「非正規から正規へ」の流れをつくるため、有期雇用は臨時的・一時的業務、合理的な理由がある場合に限定し、「同一労働同一賃金」をはじめ、賃金や有給休暇など正規労働者との均等待遇を、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、労働者派遣法などに明記する法改正をおこないます。

〔異常な長時間労働を是正し、「サービス残業」を根絶する〕

 「高度プロフェッショナル」の看板で「残業代ゼロ制度」を導入し、裁量労働制の対象を拡大し、「時間外労働の上限規制」と称して過労死ライン(月100時間)の残業に“お墨付き”を与えるなど、「働き方改革」の名で長時間労働をさらに加速・悪化させる安倍政権の労働法制改悪に断固反対します。

「サービス残業」を根絶するため、違法な「サービス残業」が発覚したら、企業名の公表、不払い残業代を2倍にして労働者に支払わせる罰則の導入などをすすめます。「名ばかり店長」「名ばかり管理職」への残業代の不払いを許さず、裁量労働制で働く人などの時間管理を厳格に行わせます。

 残業時間の上限について、真に実効力ある法的規制を実現し、終業から翌日の始業までに最低11時間の勤務間インターバルを確保するなど、労働基準法の改正をすすめます。

〔ブラック企業・ブラックバイトを根絶する〕

 ブラック企業・ブラックバイトの根絶にむけ、▽「サービス残業」の取り締まりと“残業代2倍返し”など罰則の強化、▽残業時間の上限規制や勤務間インターバル確保の推進、▽離職者数や労働法令の違反歴など、労働条件や職場環境の実態がわかる企業情報の公開、▽パワハラ行為を行った企業への労基署による助言・指導・勧告、勧告に従わない企業名の公表――などの取り組みを推進します。

〔若い世代が安心して就労できる環境をととのえる〕

 学生や高校生の就職難は引き続き深刻です。就職できずに非正規雇用を繰り返し、「ワーキングプア」になってしまったり、就職先が「ブラック企業」で心と体の健康を害し、退職に追い込まれるなどの事例も少なくありません。就職難を打開し、若い世代が貧困に落ち込むことを防止するために、就職活動のルールをつくります。

 会社説明会やエントリーシートの受付、面接の開始日など、就職活動への社会的なルールを確立し、違反企業には企業名公表などのペナルティを科すようにします。

 新卒未就職者への職業訓練の提供などの対策を、国の責任で強化します。

 「新卒者雇用確保・促進法」を制定し、採用計画の策定、内定取消の防止など、企業の社会的責任を明確にします。

 新卒者に、社会人としての出発時点で“借金苦”を背負わせる、奨学金のあり方を改革します。大学授業料の半額化と月3万円の給付制奨学金の創設をすすめるとともに、既卒者も含めた、すべての有利子奨学金の無利子化と、返済困難におちいった人に対する救済制度を実現します。

〔失業者・生活困窮者に対する公的支援を抜本的に強化する〕

 “生活保護以外に貧困への支援がない”という日本の社会保障制度の問題点を是正し、失業者や「ワーキングプア」を対象とした総合的な貧困対策をすすめます。

 雇用保険制度を抜本的に改善し、失業給付期間の拡充、受給資格期間の短縮、退職理由による差別の是正などを行います。失業者に対する扶助制度を充実し、職業訓練の拡充や訓練期間中の生活援助の強化を図ります。

 公共住宅・公営住宅の増設と借り上げ、家賃補助制度、生活資金貸与制度など、失業者や「ワーキングプア」への生活支援を強め、子どもの教育費や住宅ローンなどの緊急助成・つなぎ融資制度を創設します。

 政府の不十分な雇用創出制度を抜本的に拡充し、国と自治体の責任で、効果のある公的就労事業を確立します。

 同時に、憲法25条の生存権保障を体現する「最後のセーフティネット」として、生活保護の改善・強化を行います。

 安倍政権が推進する保護費減額などの改悪を中止し、保護申請の“門前払い”など生活困窮者を切り捨てる無法な行政をあらためます。給付水準の改善、迅速なアクセスと捕捉率の向上、受給への恥辱(スティグマ)をあおる誤った行政のあり方や生活保護バッシングの風潮の是正など、生活保護を人権保障の制度として再構築する改革をすすめます。

 

社会保障の再生・充実で「高齢者の貧困」を打開します

 高齢者の生活苦と貧困の広がりが社会問題となり、「下流老人」「老後破産」「老人漂流社会」などの言葉がメディアをにぎわす、かつてない状況が生まれています。

現在、「生活保護相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」は推定600~700万人にのぼると推計され、政府の報告でも、「65歳以上」は「30歳未満」と並んで、貧困率が最も高い年齢層とされています。これは、世界でもっとも高齢化がすすんだ国=日本において、社会全体に悪影響とゆがみをもたらす重大な問題です。

 こうした事態の根底には、国民年金(基礎年金)の満額が月6・5万円しかなく、国民年金の平均受給額が月5・1万円、厚生年金も女性の平均受給額が月10・2万円しかないなど、貧しすぎる年金給付の問題があります。

 もう一つの重大要因は、医療・介護・福祉制度などの機能不全です。

 医療費の窓口負担や差額ベッド代などの保険外負担が高齢者のくらしを直撃し、「医療費破産」、受診抑制、「孤独死」などを引き起こすケースが急増しています。国民健康保険料(税)や後期高齢者医療保険料など、高すぎる保険料が高齢者の家計を圧迫し、保険料を滞納して銀行口座を差し押さえられた高齢者が、自殺や餓死に追い込まれるなどの痛ましい事件も各地で起こっています。

 特養ホームに入れない待機者は、「要介護1・2」を入所枠から排除した後でも39万人にのぼり、政府による入院患者の“追い出し”政策のもと、膨大な数の貧困・要介護状態にある高齢者が、行き先が見つからないまま「漂流」し、「介護難民」と呼ばれる、深刻な状況におちいっています。

 公的介護制度の機能不全は、現役世代の生活困難の大きな要因ともなっています。家族の介護のために仕事をやめる「介護離職」は毎年10万人――直近十年間で105・5万人にのぼり、高齢者の介護の費用を工面したり、離職を余儀なくされたりした親族が、自らも貧困におちいる「共倒れ」が大問題となっています。介護を苦にした殺人・心中など痛ましい事件も後を絶ちません。

 生活保護受給者に占める高齢者の割合は5割を超えますが、保護を求めてきた人を自治体の窓口で追い返す「水際作戦」や、保護受給を「恥辱」と感じさせる悪宣伝が横行するなか、本来なら生活保護を受けるべき高齢者や家族が、「孤独死」「孤立死」などにいたる事件も続発しています。すでに保護を受けている世帯にも、老齢加算の廃止など、貧困に追い打ちをかける改悪が繰り返されています。

 医療・介護・福祉などのセーフティネットが機能しないことが、もともと生活が大変だった高齢者や家族を“どん底”に叩き落とす重大要因となっています。

 高齢者の貧困を打開するには、機能不全におちいった社会保障の立て直しが必要です。

 日本共産党は、高齢者の貧困問題を解決し、国民の生活苦と将来不安に歯止めをかけるため、社会保障を削減から充実へと転換し、年金・医療・介護・福祉制度の立て直しをすすめます。社会保障の充実は、高齢者やその家族はもちろん、広範な世代の生活の再建に直結し、日本経済の好循環を取り戻すことにも大きく貢献していくものです。

〔年金削減とストップさせ、減らない年金・頼れる年金を実現する〕

 「マクロ経済スライド」をはじめとする年金の支給削減の仕組みを撤廃し、低年金の底上げや最低保障年金の導入で、“減らない年金、頼れる年金”を実現します。

 具体的には、まず、現行の基礎年金国庫負担の仕組みを拡充し、受給者全員に定額の国費(基礎年金満額の2分の1相当)を投入する仕組みを導入します。これにより、現在、月4万円の年金を受けとっている人の受給額は、月5・3万円に底上げされます。

 さらに、月5万円の最低保障額の上に、支払った保険料に応じた給付を上乗せする最低保障年金制度をスタートさせます。これが導入されれば、により、現在、月6・5万円(基礎年金の満額)を受けとっている人の年金は月8・3万円に引きあがります。厚生年金も、給付水準の低い人から底上げがされていきます。

 老後の保障となる年金給付への引き上げは、いまの高齢者の貧困打開に道を開くとともに、「どうせ保険料を払っても、老後にまともな年金など受け取れない」という現役世代の年金不信を払拭し、保険料納付の意欲を高めるなど、年金財政の強化にもつながります。

 日本社会の高齢化がすすみ、“高齢者の消費”が地域経済の大きな比重を占めるようになるなか、年金増額は、消費拡大・経済活性化のインパクトとなります。

〔高すぎる負担の軽減で、必要な医療が受けられる制度に改革する〕

 「現役世代=3割、高齢者=1~3割」という医療費の窓口負担を引き下げ、他の先進国並みの“窓口負担ゼロの医療制度”をめざします。保険診療を拡充し、差額ベッド代など高額な保険外負担の問題を解消します。

 国保料(税)の抜本的引き下げ、後期高齢者医療制度を廃止して高齢者の負担軽減をすすめ、だれもが必要な医療を受けられる制度の再建をすすめます。

 医療の充実による国民の健康確保は、社会の成長・進歩の基盤ともなるものです。

〔高齢者も現役世代も安心できる介護制度に〕

 特養ホームの計画的増設により、待機者問題を解消します。利用料・保険料の減免、要支援者・軽度者からの保険給付取り上げの中止、介護報酬の増額による介護職員の賃上げ・待遇改善などをすすめ、高齢者も現役世代も安心できる介護制度に改革します。

 公的介護サービスの充実は、要介護の家族を持つ人の就労・社会参加の条件をととのえ、経済・社会の成長にも大きなプラスとなります。介護分野は全産業のなかでも雇用波及効果が高く、介護職員の待遇改善と人手不足の解消をすすめることは、若い世代の安定した就労の場を広げ、地域経済に好循環をもたらします。

〔福祉・セーフティネットを充実させる〕

 保護費の減額や“門前払い”の強化など、生活保護を切り縮める制度改悪をやめさせ、国民のくらしと人権を守る制度として再構築します。

 介護保険の導入以来、後退を続けている自治体の高齢者福祉を再建し、虐待被害・貧困・孤立など“民間任せ”“介護保険任せ”では解決しない、高齢者に係わる事案を、自治体が直接解決していく取り組みを強化します。

〔税制の改革、経済の改革で社会保障の財源を確保する〕

 社会保障や国民生活を将来にわたって支えるには、大きな財源が必要です。景気・経済の大打撃となる消費税増税が、安定した財源となりえないことは、8%増税による景気の大後退によって証明されました。

 日本共産党は、▽富裕層・大企業への優遇税制をやめ、予算のムダ遣いをなくす税制・財政の改革、▽正規雇用への転換や大幅賃上げで400兆円を超える内部留保を還流させ、日本経済を安定した成長軌道に乗せる経済の改革により、社会保障や国民のくらしを支える施策の財源を確保します。

 

「女性の貧困」を打開します―生活困窮の解決、男女間の差別・格差の解消を

 雇用の非正規化や賃金の引き下げなど格差拡大の経済路線と、男女の賃金格差など日本社会に根強く残る女性差別が結びつくなか、働く女性の貧困が深刻な広がりをみせています。子育て支援が貧弱すぎるなかでのシングルマザーの困窮、現役時代の低賃金を受けた女性の低年金・無年金も重大問題です。こうした「女性の貧困」を打開するため、生活困窮の解決、男女間の差別と格差を解消する施策をすすめます。

〔若い女性、働く女性の貧困を打開する〕

 女性労働者の過半数は非正規雇用で、その8割以上が年収200万円未満となっています。学校を卒業して仕事に就く女性の25・6%はパート労働者であり、多くの女性が、低賃金でボーナスや昇給もないなど劣悪な労働条件で働いています。解雇や失業を繰り返し、風俗産業で働かざるをえない若い女性、ホームレス状態におちいる女性が少なくないことも、社会問題となっています。

 労働者派遣法の抜本改正、有期雇用の対象業務の限定、同一労働同一賃金や均等待遇の法律への明記など、非正規雇用の「使い捨て」をやめさせ、「非正規から正規へ」の流れをつくる、雇用のルールの確立をすすめます。諸外国と比較しても異常な男女の賃金格差、昇進・昇格差別などを是正します。

 最低賃金をいますぐどこでも時給1000円にし、1500円をめざします。

 住宅手当や公営住宅の保障、雇用保険の適用条件の改善、失業・半失業状態にある女性への雇用相談窓口の拡充、生活保護のすみやかな支給など、貧困状態を放置せず、社会的・政治的に支援する取り組みをすすめます。

〔シングルマザーへの経済的支援を拡充する〕

 母子家庭の母親の81%が働いていますが、そのうち47%がパート、アルバイト、派遣社員など非正規雇用です。母子家庭の平均年収は179万円、両親と子どもがいる世帯の平均年収の3割にも届きません。働く女性の雇用・賃金を立て直す改革とともに、母子家庭への公的支援の拡充が喫緊の課題となっています。

 児童扶養手当を、支給開始5~7年後に半減させるという2002年の法改定で導入された措置を撤回し、支給額の抜本的引き上げや所得制限の見直しをすすめます。

 母子家庭の母親が安定した仕事に就けるよう、長期の雇用確保にむけた就労支援、保育所の優先入所、安価で良質な公営住宅の供給など、くらしへの支援を強めます。

 結婚歴のないシングルマザーにも寡婦控除が適用されるよう所得税法を改正します。法改正以前にも、保育料の算定、公営住宅利用の手続きなど、寡婦と同等の控除を受けられるようにします。

〔女性の無年金・低年金問題の解消をすすめる〕

 現役時代の賃金格差や昇進・昇格差別など、女性の地位の低さがそのまま影響し、女性の厚生年金受給額は男性の6割です。基礎年金(国民年金)だけの受給者の大半は女性であり、その受給額は月3~4万円が最多となっています。国連社会権規約委員会は、日本の高齢女性の年金は適格な基準を満たしていないと指摘し、改善を求めています。国連女性差別撤廃委員会も、最低保障年金の創設を日本政府に勧告しています。

 低額年金を底上げし、全額国庫負担の最低保障年金を創設して、低年金・無年金の打開をすすめます。最低保障年金を導入し、その上に、払った保険料に応じて年金額が増えていく仕組みをつくることは、「第3号被保険者問題」など、現行の年金制度の矛盾解決にも道を開くものです。

 女性の低年金問題を解消するために、男女の賃金格差の是正、非正規労働者と正規労働者の均等待遇、業者女性の働き分を正当に評価する税制への改善などをすすめます。

▽パート労働者に社会保険加入の権利を保障する、▽遺族厚生年金を、女性が働き納めた保険料が受給額に反映する仕組みに改善する――など公平な年金制度にします。

 

先進国でワースト上位の「子どもの貧困」の打開をすすめます

 日本における、先進国でワーストレベルの「子どもの貧困」は、1990年代以来の、労働法制の改悪による若い世代の雇用・賃金の破壊によって急速に深刻化しました。

また、児童扶養手当、就学援助、生活保護など、生活に困窮する子育て世帯への支援が貧弱すぎること、子どもの教育や医療にかかる自己負担が重すぎることも、貧困に拍車をかける重大要因となっています。

この状況を打開するには、若い世代の雇用・賃金の立て直しとともに、子育て世帯の困窮を解決し、くらしと育児を応援する総合的な対策をすすめることが必要です。

 2013年に成立した「子どもの貧困対策推進法」は、「子どもの貧困」の解決に社会全体で取り組む第一歩となるものですが、同法には、「貧困」の定義や貧困率削減の数値目標などは盛り込まれていません。同法に基づいて国が決定した「子どもの貧困大綱」も、「親から子への貧困の連鎖を断ち切る」ことをうたう一方、あげられている施策の多くは実効性が乏しく、間接的な支援ばかりです。

日本共産党は、「子どもの貧困」の打開に向けた、実効性ある施策の早急な実施を求めます。

〔貧困の実態を把握し、削減目標を設定する〕

 政府が、貧困率の削減目標を持ち、貧困対策に取り組むようにします。国として責任をもって貧困の実態調査を行い、当事者や支援団体の協力を得ながら、貧困の解決のための体制を整備します。自治体にも、実態の把握・調査の取り組みを求めます。

〔低賃金・不安定雇用をなくすために、雇用のルールを確立する〕

 貧困拡大の大きな原因は、労働者派遣法の改悪など労働法制の規制緩和で、低賃金と不安定雇用が大幅に拡大したことです。ひとり親家庭の貧困がとくに深刻なのは、“正社員ならば長時間労働が当たり前”という働かせ方が横行し、一人で子どもを育てる人は低賃金の非正規雇用しか就ける仕事がないからです。

 派遣労働を臨時的・一時的業務に限定する労働者派遣法の抜本改正を行い、正規雇用の派遣への置きかえをなくします。

同一労働同一賃金・均等待遇を、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、労働者派遣法に明記する法改正など、非正規への不当な差別・格差をなくし、「非正規から正規へ」の流れをつくる労働法制の改革を行います。

 最低賃金をどこでもいますぐ時給1000円に引き上げ、時給1500円をめざします。最低賃金の地方間格差を是正し、全国一律最低賃金制に踏みだす制度をつくります。社会保険料減免や賃金助成など、中小企業の賃上げに本格的な支援を行います。

〔就学援助を拡充する〕

 子育て世帯の貧困が急速に広がるなか、義務教育の子どもの給食費・学用品代・修学旅行費などを援助する就学援助の利用者は、小中学生全体の15・39%(2014年度)、6人に1人となっています。支給額を実態にあった水準に引き上げるなど、制度の改善・拡充をすすめます。

 政府が2005年、生活保護に準ずる世帯(準要保護世帯)の就学援助に対する国庫補助金を打ち切り、一般財源化したために、支給額や基準などを後退させる自治体が出ています。準要保護世帯への国庫補助金を復活・拡充させます。

 安倍政権が2013~15年に強行した生活扶助基準引き下げにより、準要保護世帯の所得基準も下げられて、就学援助の対象から外される世帯が出てくることが懸念されています。そうした事態を生まないよう国・自治体に対応を求めます。

〔児童扶養手当の拡充を〕

 105万世帯を超えるひとり親世帯が受給する児童扶養手当を抜本的に増額します。とくに、全体の6割を占める第1子のみ世帯への支援を拡充します。年3回の分割支給を毎月支給に変え、現行18歳までの支給を20歳までに延長します。

 2002年の法改定で導入された、支給開始後5~7年で手当額を最大2分の1まで削減する仕組みを撤廃します。

〔授業料の無償化、給付制奨学金の実現を〕

 制服代、給食費、副教材費、修学旅行の積み立てなどを含めた、義務教育の完全無償化を実現します。

 高校教育の完全無償化、国の責任による給付金制度を確立します。

 大学授業料を毎年引き下げ、10年後に半額にする政策をすすめます。

 月額3万円の給付制奨学金を70万人規模で創設し、既卒者も含めたすべての有利子奨学金の無利子化と返済が困難になった人への救済措置の導入など、奨学金制度の抜本的改革を行います。

〔子どもの医療費の無料化〕

 小学校就学前の子どもの医療費を、所得制限なしで無料化する、国の制度を創設します。その共通の制度を土台に、全国に広がった自治体独自の助成制度をさらに前進させます。

子どもや障害者・障害児の医療費無料化を行う自治体の国保に、国庫負担減額のペナルティが科される問題について、政府は、来年度から就学前児童への無料化に限ってペナルティを中止するとしていますが、地方団体からはペナルティの全面撤廃が要求されています。あらゆるペナルティを廃止し、自治体による、子ども、障害者・障害児、ひとり親家庭などへの医療費助成の取り組みを応援します。

〔生活保護を生存権保障の砦として再構築〕

 困窮する子育て世帯がたよりにできる「最後のセーフティネット」として、生活保護の改善・強化を行います。

 安倍政権が推進する保護費減額などの改悪を中止し、申請・受給権を保障します。給付水準の向上、アクセス・支給決定の迅速化など、困窮世帯が安心して利用できる仕組みに改善します。保護を受給する親や子どもに恥辱(スティグマ)を植えつける誤った行政のあり方や生活保護バッシングの風潮を是正します。

 復活された母子加算を再び削減・廃止する動きに反対します。

〔子どもの学習・生活・居場所づくりへの支援を〕

 生活保護世帯などの学習支援(無料塾)に取り組む自治体は300市町村を超えていますが、2015年度から生活困窮者自立支援法の任意事業として自治体の2分の1負担が定められたために、実施をためらう自治体が少なくありません。「生活困窮世帯への学習支援事業を実施する」という国の「子どもの貧困大綱」の文言にてらしても、国の全額負担を実施するべきです。

 「子どもの貧困大綱」にも位置づけられているスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを、すべての小中学校に正規職員として毎日配置できるよう、国の予算措置を求めます。

 学童保育の増設と指導員の処遇改善により、待機児童問題の解決と、詰め込みの解消をはかります。すべての学童保育を6年生まで利用できるようにし、子どもたちの放課後の生活を支援します。

 無料・低額で利用できる「子ども食堂」が全国に広がっています。食事にとどまらず、遊びや学習もできる“居場所”づくりを取り組みが、ボランティアやNPOによって推進されています。こうした努力に自治体の施設を提供するなど、自治体が積極的に協力することや、国・自治体による財政支援を求めます。

〔児童への社会的養護の充実を〕

 児童養護施設、乳児院、自立支援ホーム、里親など社会的養護のもとで生活する子どもたちは4・6万人にのぼります。きめ細やかな支援ができるよう、施設の小規模化、支える職員の配置基準の見直し、専門職の配置などを行います。職員の処遇改善も急務です。

 施設を退所する若者に、公営住宅の優先利用など住まいを保障し、進学・就労を支援します。社会的養護の若者については、条件付きの貸付奨学金ではなく、すみやかに給付制奨学金の支給を行うべきです。これらの若者がどんな問題でも相談できるアフターケア事業を全国ですすめます。

 児童相談所や、自治体の児童家庭相談窓口への、専門性のある児童福祉司などの配置を増やし、保護者と子どもの支援をすすめます。

 

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