各分野政策(2017年)

2017総選挙/各分野の政策

3、子どもの貧困―子ども医療費、学校給食、児童扶養手当、教育費負担

子どもの貧困問題の解決にとりくみます

2017年10月


 親などが貧困の状態にある家庭で育つ18歳未満の子の割合をしめす日本の子どもの貧困率は13・9%、約7人に1人の子どもが「貧困ライン」を下回っています(厚生労働省、2017年6月公表「国民生活基礎調査」)。なかでも深刻なのがひとり親世帯です。貧困率は50・8%で、主要国で最悪の水準です。調査では、母子世帯の82・7%が「生活が苦しい」と答えています。「貯蓄がない」と回答した母子世帯は37・6%、全世帯平均14・9%の2.5倍です。

 深刻な「貧困と格差の拡大」を生み出してきたのは、自己責任論をふりまき、働くルールを壊し、低賃金で働く非正規雇用の労働者を増やし、軍事費を増大させる一方で社会保障を削減するという政府の施策にあります。日本の家庭分野への社会支出は、対GDP(国内総生産)比で1.31%(2015年度)で、イギリス3.79%、スウェーデン3.64%、フランス2.92%、ドイツ2.23%(いずれも2013年度)に比べて、きわめて低い水準です(国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計」)。

 憲法25条で、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すること、国は社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上と増進に努めなければならないとうたっています。国と社会の責任で、子どもたち一人ひとりを大切にし、未来に希望をもち生きていける社会の仕組みをつくることは、世界の流れです。

 日本共産党は、貧困と格差を拡大する安倍自公政治から、憲法の立場にたってすべての子ともたちが健康で文化的な生活をおくることができる政治への転換をはかるとともに、社会的連帯を大きく広げることのできる社会をつくります。

1、子どもが健やかに生き成長できるよう経済的支援などを強めます

○児童手当の拡充など子育て世代の支援を強めます……児童手当は子育て支援の重要な柱です。児童手当を拡充し、中学卒業までの支給期間を18歳までに延長することをめざします。子育て世代向けの公共住宅の建設や「借り上げ」公営住宅制度、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの支援を特別につよめます

○子どもの医療費の無料化を国の制度として実現します……小学校就学前の子どもの医療費を、所得制限なしで無料化する、国の制度を確立します。その共通の制度の上に、全国に広がった自治体独自の助成制度をさらに前進させます。政府は、子どもや障害者の医療費無料化をおこなう自治体にたいして国保への国庫負担の減額調整のペナルティを続けてきましたが、2016年12月、2018年度から未就学児についてはペナルティを廃止することを決定しました。長年にわたる父母や医療関係者などの運動の成果です。子どもの医療費への国のペナルティを全廃させます。

○国の責任で小中学校の学校給食の制度化・無償化を実現します……貧困がひろがる中で子どもの食のセーフティネットなり、子どもの健康や発達を支える学校給食の果たす役割がますます大きくなっています。給食費の未納などの問題の裏あるのは貧困の問題です。国の責任で学校給食の無償化をすすめます。当面、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめるようにします。安全で豊かな学校給食のために、給食の安全性や質の確保の上で問題の多い民間委託は見直し、地産地消、自校方式、直営方式などをすすめます。中学校給食、高校給食をひろげます。学校栄養職員・栄養教諭を一校に1人配置します。

○就学援助を拡充します……義務教育の子どもの給食費・学用品代・修学旅行費などを援助する就学援助利用者の割合が、小中学生全体の15.39%(2014年度)で、6人に1人の子どもが利用しています。支給額を実態にあった水準に引き上げます。

 国が2005年に生活保護に準ずる世帯の国庫補助金を打ち切り、一般財源化してしまったことで、支給額や基準を厳しくしている自治体が広がりました。生活保護に準じる準要保護世帯への国庫補助金を復活・拡充させます。

児童扶養手当を拡充します……ひとり親世帯は81万世帯にのぼっています(2016年6月)。児童扶養手当を抜本的に増額し、全体の6割をしめる第1子のみの世帯にも支援を拡充します。政府は、世論におされて2016年8月から加算額を第2子は月額5千円から最大で1万円に、第3子以降は月額3千円が最大6千円に引き上げましたが、一律に1万円に引き上げます。年3回の分割支給を毎月支給に変えて、現行18歳までの支給を20歳未満にします。

 2002年の法改定による支給開始後5〜7年で手当額を最大2分の1まで自動的に削減するという仕組みは、国民の世論と運動を受けて「凍結」されたものの、「就業している」「求職活動など自立を図るための活動中」などの証明書類を提出しなければ、減額されてしまいます。「勤労意欲」を証明させる書類は廃止し、提出書類を簡素化し受給世帯の不安と負担を解消します。手当削減を定めた法律条項はすみやかに撤廃します。

○生活保護の申請・受給権の保障し、制度の改悪をやめさせます……2013年強行された生活保護法改悪は、生活保護申請の書類提出を義務付け、書類の不備を理由に窓口で保護の申請をさせず追い返す「水際作戦」にお墨付きをあたえ、親族による「扶養」を事実上の保護の要件としました。しかし保護申請は口頭でも可能で、行政はそれに応じる義務を負っており、親族の扶養義務を保護の「前提」扱いすることは違法行為であることが、日本共産党の国会論戦で明らかになっています。国が責任をもって各自治体の保護行政をチェック、指導し、憲法にもとづく生活保護の申請・受給権を保障します。

 政府は、世論と運動におされて復活した母子加算を再び廃止する検討をすすめています。廃止に反対し、許しません。

 生活困窮者自立支援法はただちに就労が困難な生活困窮者に「中間的就労」を促す「就労訓練事業」を導入しましたが、保護の受給者・申請者を最低賃金にも適用されないような事業にとりあえず就労させるものです。「就労支援」の名で要保護者に圧力をかけて、生活保護を申請させない「水際作戦」の実施や強権的な保護の打ち切りをやめさせます。

○児童養護施設、児童相談所など社会的養護の拡充をすすめます……児童養護施設、乳児院、自立支援ホーム、里親など社会的養護のもとで生活する子どもたちは約4万8千人います。施設に入所している子どもたちの成長にとって家庭的な環境のなかで育つことが大切です。施設の小規模化をすすめます。支える職員の配置基準や専門職の配置を充実させます。職員の処遇改善をすすめます。

 施設を退所する若者に、公営住宅の優先利用など住まいを保障し、進学や就労を支援します。国は社会的養護の若者に条件付き貸付奨学金でなく、すみやかに給付制奨学金の支給をおこなうべきです。どんな問題でも相談できるアフターケア事業を全国ですすめます。

 児童相談所や自治体の児童家庭相談窓口に専門性のある児童福祉司などの配置を拡充し、保護者と子どもの支援をすすめます。

○子ども食堂・居場所づくりのとりくみを応援し公的支援をすすめます……無料か低額で利用できる子ども食堂が全国に広がっています。また、食事だけでなく、遊びや学習などもできる“居場所”づくりがボランティアやNPOなどのとりくみで広がっています。自治体の施設などを提供するなど自治体が積極的に協力し、国・自治体の財政支援をすすめます。

2、すべての子が等しく教育をうけられるようにします

○教育費の無償化をすすめます……教育は人権であり、経済的な理由で教育上の差別をすることは禁じられています。日本の重い教育費負担は、その原則をふみにじるものであり、貧困の連鎖をうむものとなっています。教育費の無償化をすすめます。

〈保育、幼稚園教育〉

 乳幼児は人格の土台をつくる大切な時期です。ところが、日本の乳幼児教育の予算はOECD諸国の平均の半分しかありません。国の予算を引き上げ、高すぎる国の保育料の基準額を改善し、保育所、幼稚園の保育料・授業料の無償化をすすめます。認可保育所などに入れず、認可外施設を利用する子どもの保育料の軽減制度をつくります。

〈義務教育〉憲法で義務教育無償が定められているにもかかわらず、無償なのは授業料や教科書だけです。義務教育無償の原則にもとづき、給食費、ドリルなどの副教材、修学旅行積立金など義務教育期間中の教育費の父母負担をなくします。

〈高校〉安倍政権が導入した高校就学支援金への所得制限を撤廃し、公立高校学費不徴収を国の原則にします。私立高校への支援金を増額し、私立高校も授業料無償にします。国民の運動によって2014年につくられた「高校生等奨学給付金」(年額数万円~十数万円程度)を抜本的に拡充し、通学費や生活費を含め十分な金額となるようにします。

〈大学〉日本政府も承認した国際人権規約の「大学教育の段階的無償化」を具体化し、大学教育無償の国をめざします。当面、国公立も、私立大学も10年間で半分に引き下げます。そのために国立大学運営費交付金、私学助成の金額を計画的に引き上げるとともに、公立大学への補助制度を創設します。

給付制奨学金の拡充をはかります……給付型奨学金の抜本的な拡充をおこない、月額3万円(年間36万円)の給費奨学金を70万人(現行の奨学金受給者の半分)の学生に支給する制度をつくり、規模を拡大します。貸与制奨学金の無利子化に取り組みます。既卒者の奨学金返済の減免制度をつくり、生活が困窮する場合の救済措置を講じます。

○無料塾などの学習支援を強めます……生活保護世帯などの学習支援(無料塾)に取り組む自治体は300自治体(15年度)に広がっています。15年度から生活困窮者自立支援法の任意事業となり自治体が費用の2分の1を負担する仕組みになっていますが、その費用負担のために実施をためらう自治体も少なくありません。政府が2013年に閣議決定した「子どもの貧困対策大綱」がかかげた「生活困窮世帯への学習支援事業を実施する」と逆行するものです。国が全額負担すべきです。

スクールソーシャルワーカーをすべての小・中学校に専門性ある正規職員として配置します……学校で困難を抱える子どもを支援するスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの増員は、「大綱」にももりこまれています。すべての小・中学校に専門性のある正規職員として毎日配置できるよう、国の責任で予算を増額します。

3、人間らしく働けるルールを確立し、低賃金・不安定雇用をなくします

 日本社会に貧困が広がった大きな要因の一つは、低賃金で不安定な非正規雇用が拡大していることです。労働者派遣法の改悪など労働法制の規制緩和が拍車をかけ、子育て世代の生活に深刻な影響を与えています。異常な長時間労働は、子育てを困難にし、子どもの安心の暮らしを奪っています。ひとり親家庭の子どもの貧困がとくに深刻なのは、「正社員なら長時間労働は当たり前」とする働かせ方が横行し、子どもを育てるためには低賃金労働しかない、という状況が広がっていることにあります。

 安倍晋三政権がすすめるニセの「働き方改革」ではなく、残業時間を法的に規制し、過労死を生み出す長時間過密労働を解消し、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」をつくることは、子どもたちが安心して、生き、成長できる何よりの保障です。

 同一労働同一賃金と均等待遇を、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、労働者派遣法に明記するなど、非正規への不当な差別・格差をなくします。労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は臨時的・一時的業務に限定して正社員の派遣労働への置き換えをなくします。

 最低賃金を全国どこでもいますぐ1000円以上に引き上げ、さらに1500円をめざします。最低賃金の地方間格差を是正し、全国一律最低賃金制に踏み出します。社会保険料減免や賃金助成など、中小企業の賃上げに本格的な支援をおこないます。

 

 (c)日本共産党中央委員会