政治・外交

米国トランプ大統領による入国制限措置の撤回を求める

2017年1月30日

日本共産党幹部会委員長 志位和夫


一、米国のトランプ大統領は、就任式で「過激イスラムテロ」を打倒すると演説したのに続き、テロ対策として、全ての国からの難民受け入れの120日間の凍結、シリア難民入国の無期限停止、中東・アフリカ7カ国の一般市民の入国の90日間禁止を命じる大統領令を出した。この措置に対して、世界各地で大きな混乱と批判がおこっており、重大な国際問題となっている。

 難民の入国制限、特定の宗教や国籍者に対する入国制限は、難民条約をはじめ国際的な人権・人道法に反するとともに、テロ根絶の国際的な取り組みに対しても、きわめて深刻で否定的な影響を与えるものであり、すみやかな撤回を求める。

一、2006年に、国際社会の対テロ基本戦略として、米国を含め国連総会で全会一致で採択された、国連「グローバル対テロ戦略」は、「すべての人の人権と法の支配の促進・擁護がこの戦略に不可欠」であると明記し、「テロをいかなる宗教、文明、民族グループとも結びつけてはならない」とのべている。

 トランプ大統領による今回の措置は、この総会決議に明記された国際的なテロ根絶の大原則に真っ向から反するものである。それは重大な国際的人権侵害を引き起こしているだけでなく、テロ根絶にとっても深刻で重大な逆流をつくりだし、テロリストを喜ばせることになりかねない。

一、トランプ大統領による今回の措置に対しては、米国国内で激しい批判の声が起こり、15の州と首都ワシントンの司法長官が共同声明を発表し、「憲法に違反し、違法でもあるこの大統領令は遺憾だ」と非難している。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、最も弱い立場である難民は、「宗教、国籍、人種を問わず、平等に扱われ、保護と支援、再定住のチャンスを受けることができるべきだ」との声明を発表した。アラブ連盟は、「正当な手続きではない」「アラブとアメリカの関係に悪い影響を及ぼしかねない」との声明を発表した。

 ドイツ、フランス、イギリス、カナダなど、米国の同盟国の首脳からも批判・不同意が表明されている。

 こうしたなかで、安倍政権が、自身の見解を明らかにせず、「アメリカ政府の話であり、政府としてコメントすることは控えたい。関心を持って見守っていきたい」(30日、菅官房長官)との表明にとどめていることは重大である。

 日本政府は、この重大な国際問題について、トランプ政権に対して、国際的道理にたって言うべきことを言うという姿勢にたつべきである。

 

 (c)日本共産党中央委員会