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日本共産党

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赤旗

2016参議院議員選挙/各分野の政策

52、自殺対策

2016年6月


自殺防止に全力を尽くし、自殺者をつくりださない社会をめざします

 わが国の自殺者数は、1998年以降、14年連続で3万人を超える状態が続いてきました。ようやく2012年になって15年ぶりに3万人を下回って2万6,433人となり、以後2015年まで2万人台となっています(2013年2万7,283人、14年2万5,427人、15年2万4,025人)。4年つづけて3万人を下回り、減少傾向が続いていること自体はいいことですが、それでも、いまだに3万人近い人びとが自殺に追い込まれる社会は、やはり異常といわなければなりません。

 今年は自殺対策基本法制定から10年となり、若干の前向きともいえる変化があるとはいえ、やはりいっそう抜本的な対策が求められています。

 日本の自殺問題は、他の主要国と比較しても深刻です。G7(主要7カ国)で見た場合、10万人あたりの死因では日本の自殺死亡率がトップで、フランス、ドイツの2倍、イギリスの3倍となっています。事故による死亡率は、アメリカなどを除く主要国とそれほど大きな違いがないだけに、日本の自殺率の高さが浮かび上がります。

 なかでも10代から30代の、いわゆる青年層の死因のトップが自殺になっていることは、きわめて異常です(2014年)。前途にもっとも希望をもてる、もつべきはずの世代が、自死を選ぶ社会は、やはり構造的な病弊をかかえているといわざるをえません。

 2015年の自殺者のうち、いわゆる無職者といわれる人の割合は59.5%と6割にも達します。自殺の動機・原因は複合的で一つの要因に絞られませんが、調査結果では、自殺理由のトップが健康問題で49.5%、ついで経済・生活問題16.6%となっており、この2つだけで約7割となっています。

 以上のことからも、少なくとも個々人のくらしや生業を保障し、自己肯定感と人間的尊厳をどのように確保していくか――とくに憲法第25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」をどう保障するか――が、社会全体に問われていると言えます。

 そのためには、なによりも、まず、この間の「貧困と格差」を拡大してきた経済政策を根本的に転換し、社会保障や医療制度を改悪してきた政策を改め、すべての国民が、憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営める」生活を送れるような施策を講じる必要があります。

 この4年間、「アベノミクス」が大々的に喧伝されてきましたが、庶民のくらしはいっこうに向上しないどころか、ますます苦しくなってきました。働く人の実質賃金はこの5年連続でマイナスとなり、5%も目減りしています。労働法制は次つぎと改悪され、非正規雇用も拡大されてきました。

 自殺の原因をとりのぞくためには、以下に上げるような個々の対策も重要であり、いっそうきめ細かく対応してゆく必要がありますが、なによりも重要なことは、安定した雇用の確保、中小企業の経営の安定、生活保護の切り捨てをはじめ社会保障改悪の中止など、国民のくらしをささえ、健康を守る政治です。過度の競争的教育の是正や、学校でも職場でも「いじめ」をなくすなど、個人の尊厳と権利を尊重する教育と社会への転換です。

 自殺問題の解決にむけて、日本共産党は当面、以下のような施策をただちに実行に移していくことを求めます。

 ――各自治体や、自殺・貧困問題にとりくむNPO(非営利法人)などを中心に自殺対策の努力が広がっており、こうした機関・組織などと連携しながら、自殺の未然防止、問題の改善と解決に向け努力する。

 ――警察が収集し、内閣府が保有している地域別、職種別などの詳細な自殺をめぐるデータが非公表とされています。自殺対策をすすめるために、プライバシーに配慮しつつ、データの公表を求めます。

 ――うつ病対策などのメンタルヘルス(心の健康)の問題にも、政府や行政が積極的に取り組み、心の病を患っている人にたいし、適切なケアを施す体制を、職場や地域に確立する必要があります。

 

 

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