各分野政策(2016年)

2016参議院議員選挙/各分野の政策

27、地域活性化・地方自治

――道州制問題、地方の財源確保

2016年6月


憲法の「地方自治の本旨」にたちかえって、地方自治体の役割を拡充し、地域の活性化に取り組む財源を保障します

 いま地方自治体は、都市部・中山間地域にかかわらず、福祉・医療、少子化と高齢化、地域振興と若者の定住、防災・減災など、とりくむべき課題が山積しています。

 ところが安倍・自公政権がすすめているのは、大企業だけが潤うアベノミクス、地域産業の打撃となるTPP推進、福祉の切り下げと消費税増税、さらなる「地方行革」、行政サービスと施設等の「集約化」、地方交付税の改変など、いずれも住民生活と地方自治体の運営を脅かすものです。

 安倍政権による、沖縄県民の総意を無視した辺野古への新基地建設の強行や、名護市の頭越しにおこなった新基地の隣接地域への補助金交付などは、憲法と地方自治を根底から踏みにじる〝独裁政治〟というべきものです。「沖縄対日本政府という対立の構図」について福岡高裁那覇支部は、地方自治法の「精神にも反する状況」と断じました。

 安倍首相が狙う改憲では、地方自治そのものの改変もめざしています。自民党憲法改正草案では、「国と地方自治体の協力」を義務付けて、自治体が国の悪政から住民を守ることを妨害する規定や、道州制導入に道をひらく「広域地方自治体」を規定するなど、その内容は地方自治の破壊そのものです。おおさか維新も「統治機構改革」から改憲を迫るなど、安倍政権の補完勢力となっています。

 日本共産党は、こうした憲法と地方自治を踏みにじる政治を転換し、憲法がうたう「地方自治の本旨」にたちかえって、地方自治体が「住民福祉の機関」にふさわしく、さまざまな課題にとりくめるよう必要な財源を保障し、地方の再生を実現します。

地方切り捨ての「集約化」と道州制に反対し、地域活性化・子育て・定住促進などへの支援で、地方の再生をはかります

 安倍・自公政権が、人口減少対策として打ち出した「地方創生」は、行政サービスの「集約化」など、地域の活性化に逆行し、新たな地方切り捨てとなる重大な内容を含むものです。

 そもそも人口減少と地方が疲弊した原因は、政府がすすめてきた輸入自由化等による農林畜産業の切り捨てと大店法廃止による商店街衰退、三大都市圏への大型開発の集中、非正規雇用の拡大による雇用破壊、「三位一体改革」による地方交付税の大幅削減や「平成の大合併」の地方への押しつけなどによるものです。しかし、こうした問題にはなんらの反省もなく、地方をいっそう疲弊させようとしているのです。

 政府は、これからの地方自治体は、どこでも行政サービスや公共施設がととのっているという「フルセットの行政」から脱却して、「周辺」自治体と補い合う「集約化とネットワーク化」を市町村間などでおこなうとする「新たな広域連携」制度をひろげようとしています。すでに連携中枢都市圏などの名称で、「中心市」と複数の「周辺市町村」による圏域がいくつか形成されています。こうした圏域では、「中心市」に福祉、医療、教育などの行政サービスや公共施設、地域経済と雇用などを「集約化」することになるため、「周辺」となる市町村における行政サービスが低下し公共施設の統廃合がすすめられようとしています。「周辺」住民の声は「中心市」に届きにくく、住民自治の後退も危惧されます。

 政府のねらいは、いま市町村合併を推進するのは、自治体・住民からの「平成の大合併」への反発で非現実的だと判断し、その代替案として「新たな広域連携」を持ち出してきたのです。連携を全国に広げ、財界が究極の「構造改革」と位置づける道州制導入への道をひらこうとするものです。

 さらに、政府がすべての自治体に策定をもとめた「公共施設等総合管理計画」も、「集約化」を加速させる役割を担っています。政府は、「厳しい財政状況や人口減少等の状況」を理由に、計画は「施設の集約・縮減にまで踏み込んだ」ものにすべきと、公共施設を大幅に削減させる圧力を強めています。住民サービスと住民自治の拠点がなくなることへの不安の声が、各地からあがっているのは当然です。

 安倍政権によるこうした地方切り捨て政策では、地方の再生はできません。いま国がやるべきことは、地方自治体が現に取り組んでいるさまざまな地域活性化策を支援し、地域に住み続けられる安定した雇用で、若者が安心して結婚・出産・子育てできる社会をつくることです。

 日本共産党は、政府が「地方創生」の名のもとにすすめる「集約化」に反対し、地方の基幹産業である農林水産業の振興と6次産業化、中小企業と小規模事業者の振興、観光産業や地域おこしなどの振興策、住宅と商店街のリフォーム助成への支援、自然・再生可能エネルギーの地産地消など、地方自治体がおこなっている地域の活性化策を全力で支援します。

 これらの取り組みを支援するため、「地方創生」関連交付金は、すべての地方自治体を支援し、使い勝手が良く自主性を保障したものに改め、増額します。

 都市部や農村部を問わず、自治体がおこなう子育て支援、若者の仕事の確保や非正規から正社員への後押し、定住促進策への財政支援を大幅に拡充します。東京一極集中の政策を是正し、Iターン・Uターン・Jターンへの支援を拡充して、東日本大震災をきっかけに急速に増えつづけている若者の「地方回帰」の流れを後押しします。

 いま課題となっている地方自治体の公共施設等の老朽化(維持・更新)対策について、必要な財源を確保するとともに、地方債措置を拡充します。

 地方自治を変質させ、新たな市町村の大再編となる道州制の導入に断固反対します。

地方交付税制度の変質を許さず、「住民福祉の機関」として運営できる財源を保障します

 福祉や医療、自然災害などへの不安が増大するもとで、住民にもっとも身近な地方自治体が果たすべき役割はますます重要です。地方自治体が地方自治法に定められた「住民福祉の増進を図る」という本来の役割を果たせるよう、政府が財源保障することが必要です。

 ところが安倍・自公政権は、財源保障の中心をになう地方交付税制度に、そのあり方を歪める「トップランナー方式」を導入するなど、地方財政の削減をねらっています。

 地方交付税制度は本来、自治体が行政サービスを標準的に行う場合の経費を基準に、自治体の地方税等の収入でまかないきれない不足分について、どの自治体にも財源保障する制度です。しかし、2016年度から導入された「トップランナー方式」は、民間委託・民営化など「行革」が進んでいる自治体(=トップランナー)の低い経費を基準に地方交付税が算定されるもので、地方交付税の削減につながります。「トップランナー方式」は、「行革」などを誘導するものであり、地方交付税制度本来の趣旨にも根本から反するものです。

 また政府は、地方一般財源総額についても、総務省幹部が2019年度以降の確保は「厳しい」と述べるなど、地方財源そのものの削減まで狙っており、課題山積の地方がおかれた現状に逆行するものといわなければなりません。

 さらに安倍・自公政権は、「公的サービスの産業化」をスローガンに、医療や介護、保育などの社会保障の分野や、自治体の窓口業務などについて、民間企業の参入を促進させるとしています。しかし、〝利益第一〟の民間企業の参入促進は、国と地方自治体の公的責任を投げ捨て、公的サービスの安心・安全の後退や住民の負担増、個人情報の漏えいなどが危惧されます。社会資本整備の分野では、PPP(官民連携)/PFI(公共施設等の建設・運営に民間を活用する手法)を拡大するとして、人口20万人以上の地方自治体は原則的に導入するよう迫っています。しかし、PFIを導入した大型開発が破たんしたり、公共施設の運営が行き詰まるなど、結局〝後始末は自治体と住民に〟という事例も少なくありません。

 日本共産党は、地方自治体が地方自治法に定められた「住民福祉の増進を図る」機関としての役割を果たせるよう、地方交付税の拡充、一般財源の増額でその財源を保障します。地方交付税制度を歪める「トップランナー方式」、「公的サービスの産業化」による「地方行革」は改めます。

 2015年度に地方財政計画に計上された「まち・ひと・しごと創生事業費」について、条件不利自治体が危惧する地方交付税の趣旨に反した、とりくみの「成果」による算定は撤廃し、全額を「必要度」による算定とします。

 熊本地震のこれまでにない特徴を教訓に、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震、集中豪雨や火山噴火等による土砂災害など、大規模自然災害への備えは国が責任をもってすすめるとともに、地方自治体としての備えに十分な財源を、安定的・継続的に確保します。

 

 (c)日本共産党中央委員会