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日本共産党

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赤旗

2016参議院議員選挙/各分野の政策

4、女性

――男女差別の是正、女性の貧困、仕事と家庭の両立支援、夫婦別姓問題

2016年6月


女性の人権が尊重され、生きいきと活躍できる社会にします

 戦争法に反対する運動が全国で広がるなか、女性たちの共通の合言葉になってきたのが“安倍政治を許さない”という言葉です。ここには、3・11の福島原発事故以来、“黙っていられない”と主権者としての行動に踏み出した女性たちの怒りがあふれています。

 いま多くの女性が「幸せになる権利」「自分らしく生きる権利」を新しい政治の実現に託し、自らの意思と力を発揮しています。女性参政権行使七〇年の節目に、女性たちの力で日本の政治が大きく変わろうとしています。

 そのたたかいと結んで、私たちは、『女性の人権が尊重され、生き生きと活躍できる社会』実現にむけ、力を尽くしていきます。

 日本の女性のおかれている地位には、男性と比較して大きな格差と差別があります。日本の女性にとって、解決すべき要になる問題といえば、こうした格差と差別の是正にあります。

 日本の男女平等の到達は、発達した資本主義国のなかでもっとも遅れています。顕著なのは、女性労働者の賃金が非正規も含むと男性の半分にすぎないことです。欧米諸国では、女性の賃金は男性の賃金の8~9割に差が縮小しています。日本では正規と非正規の均等待遇を義務づけていないため、パートや非正規の女性たちは、不安定な雇用で低賃金におかれています。また、ヨーロッパでは出産・子育て期の女性の8割が働いています。保育や雇用の条件や環境が遅れている日本では、妊娠・出産を機に6割の女性が仕事を辞めています。

 女性国会議員比率や司法や行政、民間などあらゆる分野で方針・政策決定の過程に参加する女性が圧倒的に少ないことも、女性の地位の低さを表すものです。法律上の男女差別が民法(家族法)にいまだ残されています。

 世界経済フォーラムが毎年示す「男女の格差指数」調査(ジェンダー・ギャップ指数)で、日本は145カ国中101位です。日本の女性の人権、平等の遅れは、国連・女性差別撤廃委員会や人権規約委員会などの国際機関から繰り返し改善が指摘されているのです。

 安倍政権がいう「女性の活躍推進」には、その要となる男女の格差の是正や女性に対する差別の撤廃の言葉も政策もなく、もっぱら自らすすめる「成長戦略」のために女性を活用するということしかありません。「企業が世界一活躍しやすい国をつくる」ために、女性を都合よく活用し、利用していくことを「女性の活躍推進」とするなら、女性を二重三重にだまし、新たな女性への差別と格差をひろげることになります。

 女性に対する格差と差別の是正のために、いま求められているのは世界が国連女性差別撤廃条約によって社会のあり方の改革をすすめてきたように、女性差別撤廃条約批准国としての責任を果たし条約にもとづく実効ある施策を具体化し、実施することです。日本共産党は、その実現に努力するとともに、男女平等の社会を実現するために力をつくします。

1、働く女性への差別を是正し、職場での男女平等をすすめます

 企業などで働く人の5人に2人以上が女性です。女性の賃金は正社員で男性の7割、管理職の女性比率は約1割です。大企業ほど賃金格差が大きく、女性管理職比率が低い傾向にあります。働く女性の56・3%はパートや派遣、契約社員などの非正規雇用です。働く女性がおかれている差別と格差を是正し、労働条件や職場環境の改善をすすめます。

男女賃金格差・昇進昇格差別の是正をはかります

 男女雇用機会均等法施行から30年、均等法によって募集、採用、配置、昇進などで性別を理由に差別的な扱いをしてはならないと明記されました。ところが、男女賃金格差や昇進・昇格の格差、低賃金・不安定な雇用の実態は解決していません。雇用する形態を総合職と一般職などと区分し、女性の多くを一般職につけ「雇用形態が違うから賃金や処遇が違って当り前」とする巧妙な女性差別が横行しています。管理職につく女性は課長級で9・8%、部長級では6・2%にすぎません。

 国際機関では、このような形の上では性による差別を含まない制度や基準であっても、一方の性に不利益な影響を与える行為を、すべて「間接差別」と規定し、許されない違法な差別として禁止しています。ところが均等法が「間接差別」とするのは、労働者の募集や採用・昇進などの際に、転居を伴う転勤ができることを要件とするなど、わずか三つに限定され、「間接差別」のほとんどが野放しです。

 均等法に「すべての間接差別の禁止」を明記し、権限のある救済機関を設置します。EUのように使用者に「差別はしていないこと」の立証責任をもたせ、実効ある措置をとります。

 また、まったく同じ職種でなくても、必要な知識・技能や経験、負担・責任などにもとづいて公正な評価を行えるよう、批准しているILO(国際労働機関)条約「同一価値労働・同一報酬」(100号)にもとづき実効ある是正をはかります。

非正規労働者と正社員の均等待遇をすすめ、正社員が当たり前の社会をつくります

 働く女性の2人に1人はパートや派遣です。女性パート労働者の60・1%が会社や仕事について「不満・不安がある」と答え、「賃金が安い」、「雇用が不安定」、「有給休暇がとりにくい」などをあげています。

 ヨーロッパでは有期雇用や非正規でも、同じ仕事なら正社員との均等待遇を保障しています。賃金や有給休暇などの差別をなくすために、パートタイム労働法や労働者派遣法を改正し、均等待遇の原則を明記、厳格な実施、正規と非正規の不当な差別・格差をなくします。

 全国一律最低賃金制の確立は、女性の低賃金を底上げする大きな力となります。現在、全国平均798円の最低賃金を、すぐに時給1000円以上に引き上げ、1500円をめざします。労働者の平均給与の半分を上回るようにし、働いても貧困から抜け出せない「働く貧困層」をなくします。中小企業への賃金助成などの支援を制度化します。

 労働者派遣法の抜本改正、有期雇用の規制強化をすすめ、派遣や契約社員などは、臨時的・一時的な業務など合理的な理由がある場合に限定し、非正規雇用を安易な雇用の調整弁として利用する「使い捨て雇用」をやめさせます。

 正規労働者の募集・採用の際には、いまその業務についていて正規を希望するパート・有期労働者を、優先的に雇い入れることを努力義務にします。事業主が差別的取り扱いをした場合などは、公表し、勧告に従うことを命令できるようにします。公務労働者や有期労働者も法の対象に加えます。女性が多い保育士や学童保育指導員など、自治体職場でひろがる非正規雇用の正規化、労働条件を改善し、「官製ワーキング・プア」を許しません。

配偶者控除の縮小・廃止による庶民増税には反対します

 政府は、妻の年収が103万円以下であれば夫の所得税が軽くなる配偶者控除の制度の縮小・廃止を検討しています。女性が働く意欲をもつための支援策のようにいいますが、「女性の活躍」を口実にした庶民増税そのものです。現在の配偶者控除は、イギリス(198万円)、ドイツ(114万円)、フランス(128万円)など諸外国と比べても低すぎる基礎控除(38万円)を補完する役割をはたしています。基礎控除を大幅に引き上げるような代案もなしに配偶者控除の縮小・廃止をすすめれば、国民の基礎的な権利を奪い、税負担を重くすることになります。年収300万~400万円の世帯で5万4500円、500万~600万円の世帯なら7万1000円も増税です。また、最低限度の生活費に相当する額は非課税にという税制の生計費非課税の原則に反するものです。いま税と社会保障制度をめぐっておきている最大の問題は政府がこの応能負担原則を投げ捨てようとしていることです。配偶者控除の縮小・廃止の動きもその一つです。女性の就労支援のためではありません。

所得税法56条を廃止し、自営業・農業女性の労働を正当に評価します

 家族従業者に支払う給与が経費として認められていない現行制度は、自営業、農業に従事している女性に対する人権侵害だとして、廃止を求める運動がひろがっています。国連女性差別撤廃委員会も、家族経営での女性の労働を認めるよう所得税法の見直しの検討をもとめています。所得税法56条を廃止して、妻など家族従業者の働き分を正当に評価し、必要経費と認められるようにします。

 自営業者が加入している国民健康保険には病気やけが、出産時の休業補償がありません。病気や出産のときに安心して休めるような支援制度をつくります。国民健康保険に出産手当金・傷病手当金の「強制給付」の制度をつくり、経済的な負担の軽減をはかります。

2、子どもを産み育てながら、働き続けられる社会的条件をつくります

 「子どもができても、ずっと仕事を続ける方がよい」と考える女性が45・8%と半数近くになっています。ところが、妊娠・出産で6割もの女性が仕事をやめている実態がいまだ続いています。

 女性が働き続けられないのは、出産・子育て、家庭と仕事を両立する社会的条件や環境がつくられていないからです。大学以上を卒業した女性の就業率はOECD(経済協力開発機構)平均の80%を大きく下回り、69%にとどまっています。妊娠・出産による解雇や長時間労働、保育所不足など、女性の就労意欲や就業継続をはばんでいる問題の解決は日本社会の在り方にも関わる重要な課題でとなっています。

妊娠・出産への不利益取り扱い(マタハラ)をやめさせ、解雇、退職勧奨を根絶します

 妊娠や産休・育児休業を理由にした解雇・不利益取り扱いがひきつづき深刻です。妊娠・出産した女性を「戦力外」として本人の同意なく配置転換したり、「戻ってくる場所はない」などと公然と退職強要されたりする事態が横行しています。こうした問題で、1年間に都道府県労働局雇用均等室に寄せられた労働者からの相談は4269件(2015年)、前年より2割近く増加しています。女性労働者の妊娠・出産にかかわる母性健康管理が不適切とされた是正指導件数は年間5065件にのぼります。こうした事例は氷山の一角です。

 労働基準法や男女雇用機会均等法は妊娠・出産による解雇や不利益扱いを禁止しています。妊娠中や出産前後の女性が泣き寝入りすることなく、すぐに相談でき迅速な解決ができる相談窓口を行政の責任で増設します。雇用環境均等部(室)の体制の強化・拡充、企業への指導を徹底し、違反した企業名の公表、罰則を強化します。

長時間労働を是正し、人間らしい働き方のルールをつくります

 男女が共同で子育てをするためには、男女双方の働き方の抜本的な是正・改善が欠かせません。また、日本の企業の男性労働者の働かせ方のうえに、女性労働に対する差別的な扱いが行われています。男性労働者に長時間労働を押しつける現在のような働かせ方は、家事、育児をもっぱら女性の役割とする男女性別の役割分担によって支えられているからです。6歳未満の子どもをもつ夫の育児・家事時間は、ドイツ、スウェーデンの男性の3分の1です。女性が働き続けられない、既婚女性がパートタイムを選ばざるをえない大きな要因です。また1997年の労働基準法改悪で女性の残業や深夜労働の規制が撤廃されて以降、女性にも長時間労働がひろがっています。働く女性の4人に1人が切迫早産、流産を経験するなど健康破壊・母性破壊も深刻です。

 安倍政権が、「あらたな労働時間制度」などといってすすめようとしている「残業代ゼロ法案」がおこなわれれば、子育て期の労働者はいっそうの長時間労働を押しつけられ、役割分担の固定化につながります。女性の活躍にとっても暮らしのためにも、労働時間の規制強化こそが必要です。「残業代ゼロ法案」を撤回させます。残業時間の上限を法律で規制し長時間労働を是正します。子育て期の労働者の時間外労働の免除、短時間勤務制度は小学校入学前まで、深夜労働の免除も中学校入学前まで請求できるようにします。

だれもが利用できる育児(介護)休業制度へ充実します

 育児休業制度を利用している女性は87%、男性は2%です。女性でも男性でも利用できるように、所得保障を父母それぞれに3カ月間は100%にする、保育所入所ができない場合には育児休業の1年以内の延長を可能にするなど、制度の拡充をすすめます。

 育児休業取得中は“労務を提供しなかった期間”として、昇進・昇格や賞与、退職金の算定で不利益な取り扱いが行われていることを改めさせます。代替要員確保の助成金の増額や助成期間の延長など中小企業への支援を充実します。企業は“子育ては男女共同の責任”であることを管理職などに教育、徹底します。

 非正規雇用の父母は、子どもが2歳になるまで雇用が続いていることが条件とされています。政府は2017年1月からは1歳半までに短縮しましたが、すべての有期雇用労働者が取得できることにはなりません。有期雇用をふくめ6カ月以上勤続している労働者すべてに対象を拡大します。

 短時間勤務制度や時間外・深夜労働免除制度は、子どもの対象年齢の拡大などさらに充実させます。子どもの病気などで利用できる「子ども看護休暇」は、学校行事への参加などにもつかえる「家族休暇」制度とし、両親が各年10日以上に拡充します。

 制度利用による不利益扱いを許さず、原職復帰原則の確立、苦情処理・救済制度の拡充、指導・監督の徹底、違反企業への罰則強化などをはかります。休業中の社会保険料免除もないなど不十分です。休業期間の延長と所得保障の充実をすすめます。

国と自治体の責任で、安心して預けられる保育を保障します

 「保育園に落ちたの私だ」という切実な声と運動が広がっています。昨年4月に認可保育所に申し込んでも入れなかった待機児童は2万3167人と発表されていますが、隠れ待機児童数は約6万人、実際には倍以上とみられています。女性が働きつづけるうえで必要な社会的条件の第一にあげられるのが保育所などの整備です。

 保育所の待機児童問題は、認可保育所をふやして解決することを大原則に、国が財政支援を行なって、30万人分約3000カ所の認可保駆除を緊急に建設します。保育士の賃金と配置基準を引き上げ、深刻な保育士不足を解消します。必要とするすべての子が保育園に入れるあたりまえの社会をつくります。

→ くわしくは、保育所・待機児問題への日本共産党の緊急提言分野別政策の5、【保育】をお読みください。

 父母、保育関係者の反対をおしきって昨年4月に実施された「子ども・子育て支援新制度」は、国と自治体の保育に対する責任を後退させ、保育を営利企業にゆだねるものです。「新制度」発足以降、高まる保育要求にふさわしく保育所整備がされず、待機児童の増加、園庭のないビルの一室など保育条件が引き下げた施設の急増、保育料の大幅引き上げなど、問題が各地で広がっています。子どもたちの命と成長を守り、安心して預けられる保育を保障することは、子どもの権利条約や児童福祉法にもとづく国と自治体の責任です。安心して預けられる保育の公的保障をつよめます。

学童保育の拡充、環境整備と指導員の待遇改善をすすめます

 共働き世帯やひとり親家庭が増えており、子どもたちが放課後を安全に安心して過ごせる学童保育の拡充はいっそう切実な願いとなっています。学童保育の数は、2015年5月現在、2万5541カ所、入所児童数は101万7429人となりました。施設は2014から15年の1年間で3445カ所、入所児童数も8万3894人増加し、初めて100万人を越えました。しかし、なお「潜在的な待機児童」が約40万人とも推測されており、不足しています。政府は30万人分の受け皿を整備するとしますが、その中身は、学童保育と全児童対策としての「放課後子ども教室」の「一体型を中心とした」整備です。

 「子ども・子育て支援新制度」のもとでも、施設の改善・拡充、高学年の児童の受け入れなど市町村任せのため、施設・運営面での自治体間格差が広がりっています。指導員の処遇改善も事業者任せで、指導員の身分や労働条件の改善につながっていません。

 公的責任で学童保育の増設、大規模化の解消をすすめます。基準を引き上げ、毎日の生活の場にふさわしく生活室、遊び場、休養室などをそなえ、子どもたちが安心して楽しく過ごせる施設に改善します。指導員の正規化・労働条件の改善、利用料の軽減などをすすめます。

 すべての子どもを対象とした「放課後子ども教室」と「学童保育」は一体化ではなく、それぞれ充実させつつ、連携強化をはかります。

3、深刻な貧困問題を解決します

 単身女性の暮らしは深刻であり、20~64歳の勤労世代の単身(離別、死別)女性の3人に1人、65歳以上の単身女性の2人に1人が貧困状態にあると指摘されています。近年とりわけ、非正規・不安定雇用の拡大のもと、10代、20代の若い女性の貧困が深刻になっています。女性の社会進出がすすんでも、ワーキングプアという状況の改善なしに、女性の自立も安定もありません

若い女性、働く女性の貧困を解決します

 20代前半の女性の平均年収は226万円、働く女性の4割、女性非正規労働者の8割以上が年収200万円未満です。学校を卒業して新たに仕事に就く女性の25・5%がパート労働者です。低賃金、ボーナスも昇給もないなど無権利で劣悪な労働条件で働いています。解雇や失業などを繰り返し、風俗産業で働かざるをえない若い女性、ホームレス状態に陥る女性が少なくないことも社会的な問題となっています。

 最低賃金をいますぐ、どこでも時給1000円にし、1500円をめざします。非正規・低賃金で安上がりに使う働かせ方をなくすために、同一労働同一賃金、均等待遇の原則を、均等法、労働者派遣法、パート労働法などに明記します。

 「住宅手当」や公営住宅の保障、雇用保険適用条件の緩和、失業・半失業状態にある女性の雇用相談窓口の拡充、生活保護のすみやかな支給など、貧困状態を放置せずに社会的・政治的支援で解決をはかります。

シングルマザーへの経済的支援を拡充します

 母子家庭の母親の81%が働いていますが、そのうち47%がパート・アルバイト、派遣社員であり、非正規雇用労働者です。母子家庭の年平均就労収入は179万円、両親と子ども世帯平均の3割にもとどきません。ひとり親家庭の相対的貧困率は約55%であり、そのうちの85%をしめる母子家庭への経済的支援拡充は喫緊の課題です。

 ひとり親家庭の命綱である児童扶養手当を支給開始5年後に半減する措置を撤回し、支給額の引き上げ、所得制限の見直し、多子加算の引き上げなどをすすめます。児童扶養手当を支給開始5年後に半減する措置をやめさせます。

安心して生活し、子育てをするためには、安定した仕事につくことが必要です。長期の安定した雇用確保の就労支援、保育所への優先入所、安価で良質な公営住宅の供給など、安定した暮らしへの支援を強めます。

結婚歴のないシングルマザーにも寡婦控除が適用されるように所得税法を改正します。法改正以前にも、保育料の算定、公営住宅利用の手続きなどで、寡婦と同等の控除をうけられるようにします。

最低保障年金を確立し、無年金・低年金をなくします

 男女賃金格差など女性の地位の低さがそのまま影響し、女性の厚生年金受給額は男性の6割です。女性の国民年金平均月額は5万1455円、基礎年金だけの受給者の多くは女性で、その受給額は3万~4万円が最多です。国連社会権規約委員会は、日本の高齢女性の年金は適格な基準を満たしていないと指摘し、改善を求めています。国連女性差別撤廃委員会も最低保障年金制度をつくることを日本政府に勧告しています。

 女性の低年金の土台を引き上げるために、男女賃金格差の是正、パート労働者と正規労働者の均等待遇、業者女性などの働き分を正当に評価する税制などへの改善をすすめます。最低保障年金を確立し、低年金、無年金を改善します。パート労働者の社会保険加入の権利を保障する、受給資格期間の25年から10年への短縮を消費税増税と切り離して早期に実現する、厚生年金の遺族年金を女性が働き納めた保険料が受給額に反映できるようにするなど、公平な年金制度にします。サラリーマン世帯の専業主婦の保険料は「応能負担の原則」で、夫が高額所得の場合には応分の負担をもとめるしくみにします。

 全額国庫負担の最低保障年金制度を実現で、女性の低年金や無年金の解決のみならず、「第3号被保険者問題」など、年金制度の矛盾を解決する道を開きます。第2号被保険者が負担している専業主婦の基礎年金部分も自営業の主婦や学生の国民年金負担のいわゆる「不公平」という問題も解決します。

4、法律的にも社会的にも、人間としての尊厳、女性の人権を守ります

 女性差別撤廃条約の批准国には、条約の規定にそってすべての法律を見直し、女性に対する差別となる規定を改正する義務があります。法律上の差別的規定の是正は、女性の地位向上と男女平等の前提です。

 女性への暴力は女性の人権と基本的自由の権利を侵害するものであり、絶対に許されません。女性への暴力をうむ背景には、女性蔑視の風潮や女性差別意識の根強さがあります。日常の社会生活のなかで女性の人権を守り、差別や暴力を許さない社会的合意をつくります。

選択的夫婦別姓などを一刻も早い実現します

 憲法24条は「個人の尊厳と両性の本質的平等」をうたい、その権利を擁護しています。ところが日本にはいまだ法律に差別的規定が残されています。最高裁判所判決によって、婚外子相続、女性だけに課せられた離婚後6カ月の再婚禁止期間の100日への短縮がようやく実現しました。

 民法を改正し、選択的夫婦別姓の導入、男性18歳、女性16歳と男女で異なる結婚最低年齢を18歳に統一し、再婚禁止期間を廃止する、戸籍法に残る婚外子差別規定を撤廃するなど、家族に関する法律上の差別を全面的になくします。

 離婚した父や母などと子の面会交流、養育費の分担のとりきめについては、2011年の民法改正で、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と努力義務としてもりこまれています。面会交流をすすめるための相談機関や支援体制の確立、子どもが離婚した父や母から適切な養育をうける権利を保障する公的サポートを強化します。国際離婚にともなう、一方の親による子の国外への連れだしにかかわる問題は、子どもの利益にたった解決とDV被害者の懸念にこたえた相談体制の強化など必要な整備改善をすすめます。

セクシャルハラスメントの防止をはかります

 職場のセクハラやパワハラは女性労働者の人権と働く権利を傷つける重大な行為です。雇用均等室によせられたセクシュアルハラスメントの相談数は7343件(2014年度)、女性労働者からの相談のなかの6割余、最多です。退職や体調不良に追い込まれたり、相談・申し出をおこなった労働者が解雇や不利益取り扱いをされたりするケースも少なくありません。

 男女雇用機会均等法で防止義務を課せられている事業主が対策を徹底するよう、行政の指導・援助を強めます。国と都道府県に改善命令をだせる独立の機関を設置し、被害者の救済と保護、不利益取り扱いの禁止、希望にもとづく原職復帰などを明確にします。相談窓口を拡充します。議会でのセクハラ暴言も後を絶ちません。セクハラをなくす先頭にたつ議会をつくります。

DV、性暴力被害の防止、被害者の保護と支援を充実させます

 全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられるDV相談は、毎年過去最高を更新し、2014年度は10万3000件にのぼっています。被害者の救済と保護の拡充、自立支援の充実、暴力を防止するための施策の強化をすすめます。DV防止法を改正し保護命令期間の延長をすすめます。国の予算を増やし、関係諸機関との連携協力・ネットワークづくりと切れ目のない支援、配偶者暴力相談支援センターの増設、24時間相談体制の確立などをすすめます。民間シェルターへの委託費、運営費への財政的支援を強め、施設条件の改善をすすめます。ステップハウスへの助成、公営住宅への優先入居など被害者の自立のための支援を強めます。被害女性や子どもの心身のケアをすすめるため専門スタッフの養成・研修の充実、警察内での教育の徹底をすすめます。

 性暴力被害女性の7割がどこにも相談できず、心身に不調をきたし、休学、退職、転居などに追い込まれる例も少なくありません。被害者を支援する施設も体制も不十分です。ワンストップ支援センターは全国27カ所しかありません。国と自治体の責任で24時間対応のワンストップ相談支援センターを少なくとも各県1カ所につくり、被害者に配慮した相談体制、必要な医療体制、二次被害防止のため専門家の養成・研修、心身の回復に効果的な支援などをつよめます。性交同意最低年齢の引き上げ、被害者の告訴なしでの訴追、強姦罪の要件の見直しなど法律上の見直しをすすめます。加害者更生プログラムの研究・対策をすすめます。

 DV、性暴力の加害者更生をはかるための調査研究と対策強化をすすめます。

 米兵による女性・少女への暴行・傷害・殺害事件が後を絶ちません。基地があるかぎり米兵による犯罪・事件はなくなりません。唯一の解決策は米軍基地撤去であり、事件の元凶である米軍基地を押し付けてきた日米両政府の責任が厳しく問われるものです。

日本軍「慰安婦」問題の解決をはかります 

 日本軍「慰安婦」問題は、日本がおこした侵略戦争のさなか植民地にしていた台湾、朝鮮、軍事侵略していた中国などで女性たちを強制的に集め、性行為を強要した非人道的行為です。当時の国際法規からみても違法行為です。

 昨年12月の日韓外相会談で、日本政府は「当時の軍の関与」を認め、「責任を痛感している」と表明し、日本政府が予算を出し、韓国政府と協力して「全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業」を行うと発表しました。その後、岸田外相は「性奴隷」というのは適切ではないと述べ、安倍首相も官憲による強制連行を示す記述はなかったとの閣議決定を維持すると述べるなど、女性たちの意に反して軍のつくった慰安所に入れ、性奴隷状態にしたことを否定する態度をとっています。2016年2月におこなわれた国連女性差別撤廃委員会の日本報告審査でも、日本政府代表は〝強制連行はなかった〟〝性奴隷という表現は事実に反する〟などの主張を展開しました。

 女性の人間としての尊厳を踏みにじった歴史の真実に対して、「性奴隷制」の加害の事実を認め、被害者への謝罪と賠償の責任をはたすべきです。

6、女性が健康に生涯をおくるための支援をすすめます

 女性には思春期、妊娠・出産期、更年期など、生涯を通じて男性と異なる健康上の問題に直面します。疾患の罹患率も男女で異なっています。性差を考慮し、女性が健康に生涯をおくるための支援をすすめます。

性差を考慮した医療の充実性、検診、健康診断の充実など女性の健康支援をつよめます

 女性の体、性差を考慮した医療の充実をはかります。乳がん・子宮頸がん検診の受診率は3割強、OECD(経済協力開発機構)34カ国のなかで最低レベルです。早期発見で治癒率は向上します。国の予算をふやし、乳がん・子宮がん検診の自己負担の軽減・無料化をはかり、検診受診率の向上をはかります。子宮頸がん(HPV)ワクチン接種によるさまざまな症状の改善へ原因究明、治療法の確立、被害者救済をすすめます。ワクチンの安全生の確保・向上をすすめます。骨粗しょう症や甲状腺障害など女性に多い疾病の予防・健診の充実をはかります。

 長時間の残業や深夜労働による過労・ストレスで体調を崩す女性が増え、精神疾患の労災認定も増えています。生理休暇取得率は1・6%まで低下し、月経障害や不妊に悩む女性も少なくありません。男女ともに長時間労働を規制し、生理休暇を気兼ねなく取得できるよう、企業への指導を強化します。企業の定期健診に女性関連項目を加えます。働く女性の長時間労働、深夜労働の実態・健康影響調査をすすめます。

 若年層を対象にした妊娠・出産の機能を持つ女性の体についての教育、性教育、性感染症予防教育をすすめます。東日本大震災による原発事故で放射線の影響を受けた女性・少女への医療提供やフォローアップなどを強めます。

妊婦健診を充実し、出産費用の軽減をはかります

 妊婦健診は母体や胎児の健康のために欠かせません。運動と世論の成果ですべての市区町村が14回態度以上の検診の公費負担をおこなっています。しかし公費負担額は市区町村によって異なっています。どこでも同じように安心して受けられるように国の補助事業にします。

 重い負担となっている出産費用の軽減をはかります。現在42万円の出産育児一時金を大幅に増額します。妊娠希望者・予定者、妊婦の配偶者などへの風疹予防ワクチン接種費用への国による補助をすすめます。高額な費用がかかる特定不妊治療費(体外受精、顕微授精)の助成が2016年4月以降、43歳未満、1回15万円、6回までと削減されました。助成額の増額、所得制限の緩和をはかります。健康保険の適用範囲の拡大をめざします。不妊専門相談センターの整備・拡充をはかり、カウンセリング体制の強化をすすめます。

産科医不足を解決します 

 都市でも地方でも産婦人科医不足は深刻です。歴代政権による「医療費削減」の名による医師数の抑制、診療報酬の抑制・削減、不採算を理由にした国公立病院の産科の切り捨てなどが原因です。「医療費削減」路線を転換し、国の責任で計画的な打開策をこうじることが必要です。

 医師の養成数を抜本的に増やし、国の責任で産科医の育成・研修などをすすめます。地域の産院・産科病院への公的支援を強め、産科・小児科・救急医療などの診療報酬を引き上げます。国公立病院の産科切り捨てをやめ、周産期医療を守る拠点として支援します。産科医の過酷な労働条件の改善をすすめます。女性産婦人科医の妊娠中の当直免除、産休・育休中の身分保障、代替要員の確保、職場内保育所の設置、職場復帰に向けた研修など仕事と家庭の両立支援をすすめます。助産師・助産院への公的支援をすすめます。助産師の養成数を増やし、「院内助産所」の設置など医師と助産師の連携を国の責任ですすめます。

7、あらゆる政策・意思決定の場に女性の平等な参加を保障します

 政策・意思決定過程への女性の平等な参加への改善は、著しく遅れた分野の一つです。日本の国家公務員の本省課長相当職以上の女性3・5%、都道府県の本庁課長相当職以上7・7%、市区町村12・6%、民間企業の課長相当職以上8・7%などに対し、EU加盟国では女性管理職比率が5割に近づいている国もあります。女性国会議員比率も日本は1割強、193カ国中157位です。そのうえ、政府の第4次男女共同参画基本計画(2015年12月)では、みずから2020年までに各分野の女性比率30%という目標をかかげているにもかかわらず、政府が直接責任をもつ国家公務員の目標を課長級7%、指定職相当5%に引き下げています。政府の姿勢が問われています。

 各分野で女性の積極的な参加を促進するとともに、女性が指導的立場で活動できる、女性差別のない社会、仕事や社会活動と家庭の両立が可能な社会的条件をつくります。

国と自治体が責任をもって公務員に女性を登用します

 政府は女性国家公務員、女性地方公務員比率を2020年までに30%にする目標を責任をもって達成すべきです。そのためには、そもそも公共部門の職員数がOECD平均の半分以下で、しかも女性は少なく、その女性が「官製ワーキングプア」で働いている公務の現状を打開し、公務員定数削減による非正規化からの流れを転換することが必要です。政府と自治体が計画的に女性の採用、登用をすすめるようにします。

民間企業での女性登用の改善計画、数値目標等の策定・公表を義務づけます

 2016年4月に施行された「女性活躍推進法」は、民間企業に目標や改善計画作成などを義務づけましたが、対象は301人以上の大企業です。大企業だけでは不十分です。中小企業の負担軽減のための支援策を設けつつ、当面100人以上の規模の企業を対象にします。企業がおこなうべき実態分析や目標設定、計画策定の項目、公表すべき内容も限定的です。採用に占める女性比率や管理職、役員比率、男女賃金格差、非正規の比率、産休等の制度の利用状況などの公表、改善にむけた数値目標と具体的な取り組みをふくむ計画の策定を義務づけます。男女格差の大きい大企業には実施報告の提出を求めます。

国会、地方議会で女性議員を増やします

 政党が国政・地方選挙の候補者や指導的地位への女性の登用を率先してすすめることは当然のことです。各政党が本気で女性候補者の擁立と支援をすることが大切です。女性国会議員を増やす障害として指摘されている小選挙区制度を廃止し、民意を反映する比例代表による選挙制度への改革を行います。比例定数削減は、女性の政治参加の促進にいっそう障害をもたらすものであり絶対反対です。選挙区300万円、比例区600万円という世界的にも異常に高い供託金も女性の政治参加促進の障害となっており、引き下げます。

 女性議員を増やすうえでも、社会全体で女性差別の是正、妊娠・出産、子育てや介護などと社会活動が両立できる条件整備、議会でのセクハラや女性議員いじめなどをなくす議会運営の民主的改革などをすすめます。

 日本共産党の衆参国会議員の女性比率は31.3%、地方議員は36%です。国会、地方議会とも女性議員比率が30%を超えている政党は日本共産党だけです。しかし、有権者の男女比率からみれば、まだまだ不十分です。綱領に男女平等をかかげる党として、有権者の男女比率にふさわしく女性議員を50%にすることをめざします。

あらゆる分野で男女の平等な参加をめざします

 民間団体が自主的に目標や計画をもって取り組むことを奨励し、あらゆる分野で女性が積極的な役割を発揮できる社会をつくります。

 女性研究者をとりまく条件も、出産や育児、介護等で継続が難しいこと、昇進差別など、劣悪です。研究者にしめる女性割合は14・7%、講師、准教授、教授となるにしたがって低くなり、専業非常勤講師などの不安定雇用職では女性割合が5割を超えています。昇進差別やセクハラをなくし、出産・育児休職からの復帰支援策の拡充、大学内保育施設の充実など、能力を十分に発揮できる環境づくりなどをすすめます。

 防災・復興に女性の意見を反映できるしくみをつくります。中央・地方の防災会議、避難所運営への女性の参加を促進します。

 

 

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