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日本共産党

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赤旗

2016参議院議員選挙/各分野の政策

3、子どもの貧困

――就学援助、児童扶養手当、教育費負担の軽減、子ども医療費

2016年6月


子どもの貧困問題の解決にとりくみます

 3年ごとに発表される日本の子どもの貧困率は過去最悪の16・3%(2012年)になりました。日本の子どもの貧困率は、OECD加盟国34か国中ワースト10の深刻さです。中でも深刻なのはひとり親世帯で、その貧困率は54・6%にもおよびます。貧困率が急増する背景には、政府がすすめてきた雇用、福祉、社会保障の切り捨てによる「貧困と格差の拡大」があります。

 2013年6月に成立した子どもの貧困対策推進法(以下貧困法)は、どういう状況が貧困なのかという基本概念も定義されていないことや、貧困率の削減目標も盛り込まれないなど不十分な法律でしたが、日本共産党は子どもの貧困解決に社会全体でとりくんでいく第一歩として賛成しました。

 貧困法の課題や目標を示した「子どもの貧困大綱」が14年8月に閣議決定されました。「親から子への貧困の連鎖を断ち切る」ことをうたい、「教育支援」「生活支援」「保護者に対する支援」「経済支援」の4項目で40項目の課題をかかげています。しかし、実効性ある施策が乏しく、間接的な支援ばかりです。大綱の責任者は首相です。「大綱」の5年後の見直しを待たずに、以下のような実効性ある施策の早急な実施を求めます。

貧困の実態を把握し、それに基づいて削減目標を設定する……政府が貧困率の削減目標を設定して、貧困対策に取り組むようにします。国として責任を持って貧困の実態調査を毎年おこない、当事者や支援団体の協力も得ながら、貧困の解決のための体制を整備します。

 都道府県・政令指定都市で子どもの相対的貧困率の調査がおこなわれたのは沖縄県のみです。自治体ごとに現状をつかみ、対策をたてるために貧困率や実態の調査を求めます。

貧困問題の根本にある低賃金・不安定雇用をなくすために、労働法制を整備し、人間らしく働けるルールを確立する……日本社会に貧困が広がった大きな要因に、労働者派遣法の改悪など労働法制の規制緩和で、低賃金で不安定な働かせ方を広げてしまったことがあります。ひとり親家庭の子どもの貧困が、とくに深刻なのは、「正社員なら長時間労働は当たり前」とする働かせ方が横行し、子どもを育てるためには低賃金労働しかない、という状況が広がっていることにあります。ところが安倍政権は、「残業代ゼロ法案」や裁量労働制のいっそうの拡大、不当解雇も「カネで解決」という解雇の金銭解決をはじめ、「多様な働き方」という名目で、労働法制の規制緩和をさらにすすめようとしています。貧困を大規模に深刻化するもので、貧困対策と逆行しています。

 労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は臨時的・一時的業務に限定して正社員の派遣労働への置き換えをなくします。

 同一労働同一賃金、均等待遇を、労働基準法、男女雇用機会均等法、パート労働法、労働者派遣法に明記するなど、非正規への不当な差別・格差をなくします。

 最低賃金を全国どこでもいますぐ1000円以上に引き上げ、さらに1500円をめざします。最低賃金の地方間格差を是正し、全国一律最低賃金制に踏み出します。社会保険料減免や賃金助成など、中小企業の賃上げに本格的な支援をおこないます。

就学援助を拡充する……義務教育の子どもの給食費・学用品代・修学旅行費などを援助する就学援助利用者の割合が、小中学生全体の15・42%(2013年度)で、6人に1人の子どもが利用しています。支給額を実態にあった水準に引き上げます。

 国が2005年に生活保護に準ずる世帯の国庫補助金を打ち切り、一般財源化してしまったことで、支給額や基準を厳しくしている自治体が広がりました。生活保護に準じる準要保護世帯への国庫補助金を復活・拡充させます。

 13~15年の生活扶助基準を引き下げた影響により、所得基準が変わったことで就学援助を受けられなくなる世帯を出さないよう、国や自治体に引き続き対応を求めます。国は自治体に通知するだけでなく、財政支援をおこなうべきです。

児童扶養手当は1人目から拡充を……ひとり親105万世帯(15年3月)が受給する児童扶養手当を抜本的に増額し、全体の6割をしめる第1子のみの世帯にも支援を拡充します。世論におされて加算額を第2子は最大1万円、第3子以降は最大6000円引き上げられることになりましたが、一律に1万円の引き上げを求めます。年3回の分割支給から毎月支給に変えて、現行18歳までの支給を20歳未満に延長します。

2002年の法改正による支給開始後5〜7年で手当額を最大2分の1まで自動的に削減するという仕組みは、国民の世論と運動を受けて「凍結」されていますが、「就業している」「求職活動など自立を図るための活動中」などの証明書類を提出しなければ、減額されてしまいます。「勤労意欲」を証明させる書類は廃止し、提出書類を簡素化し受給世帯の不安と負担を解消します。手当削減を定めた法律条項はすみやかに撤廃します。

授業料の無償化や給付制奨学金の実現を

(義務教育)義務教育無償の原則にも関わらず、無償の対象は授業料や教科書代のみで、制服代、ドリル代、修学旅行積み立て、部活動費など義務教育段階の家計負担はあまりに重すぎます。義務教育にふさわしく家計負担の解消をめざし、段階的に負担の引き下げをすすめます。

(高校)安倍政権は公立高校の無償化や私立高の就学支援金制度を廃止し、所得制限を導入した就学支援金制度に変えてしまいました。また、低所得者に対して授業料以外の教育費に充てるための高校生等少額給付金制度が始まりましたが、非課税世帯に限定しており、自治体ごとに要件や給付額が異なります。高校教育を無償化に戻し、国として責任をもった給付金制度を確立します。

(大学生)国立大の国の交付金を毎年1%程度(約160億円)ずつ増やし、現在53万円の授業料を10年後には26万円にまで引き下げます。公立大にも10年で授業料を半減化するための助成を実施します。

 国の私学助成に学費値下げ用の緊急枠をつくり、国費投入で10年後には半分の額まで引き下げます。

 月額3万円の給付制奨学金を、現行の奨学金受給者の半分にあたる70万人規模で創設します。

 すべての有利子奨学金を無利子にします。

 既卒者の奨学金返済の減免制度をつくり、生活困窮者には救済措置を講じます。

子どもの医療費の無料化を推進する……小学校就学前の子どもの医療費を、所得制限なしで無料化する、国の制度を確立します。その共通の制度の上に、全国に広がった自治体独自の助成制度をさらに前進させます。子どもや障害者の医療費無料化をおこなう自治体の国保に対する国庫負担の減額調整のペナルティをやめさせます。

生活保護の申請・受給権の保障し制度改悪の中止を……2013年強行された生活保護法改悪は、生活保護申請の書類提出を義務付け、書類の不備を理由に窓口で保護の申請をさせず追い返す「水際作戦」にお墨付きをあたえ、親族による「扶養」を事実上の保護の要件としました。しかし保護申請は口頭でも可能で、行政はそれに応じる義務を負っており、親族の扶養義務を保護の「前提」扱いすることは違法行為であることが、日本共産党の国会論戦で明らかになっています。国が責任をもって各自治体の保護行政をチェック、指導し、憲法にもとづく生活保護の申請・受給権を保障します。

 復活した母子加算を再び廃止する動きに反対します。

 生活困窮者自立支援法はただちに就労が困難な生活困窮者に「中間的就労」を促す「就労訓練事業」を導入しましたが、保護の受給者・申請者を最低賃金にも適用されないような事業にとりあえず就労させるものです。「就労支援」の名で要保護者に圧力をかけて、生活保護を申請させない「水際作戦」の実施や強権的な保護の打ち切りをやめさせます。

学習支援の継続した支援を……生活保護世帯などの学習支援(無料塾)に取り組む自治体は300自治体(15年度)に広がっていますが、15年度から生活困窮者自立支援法の任意事業となり自治体が2分の1を負担するために、実施をためらう自治体も少なくありません。「大綱」にある「生活困窮世帯への学習支援事業を実施する」と逆行するものであり、国の全額負担を求めます。

スクールソーシャルワーカーの拡充を……学校で困難を抱える子どもを支援するスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの増員は、「大綱」にももりこまれています。すべての小・中学校に専門性のある正規職員として毎日配置できるよう、国の責任で予算の増額を求めます。

すべての学童保育で6年生までの利用を……学童保育を増設し、待機児や大規模化によるつめこみを解消します。すべての学童保育で6年生までの利用ができるようにして、子どもたちの放課後の生活を支援します。

子ども食堂・居場所づくりに公的支援を……無料か低額で利用できる子ども食堂が全国に広がっています。また、食事だけでなく、遊びや学習などもできる“居場所”づくりがボランティアやNPOなどのとりくみで広がっています。自治体の施設などを提供するなど自治体が積極的に協力し、国・自治体の財政支援をすすめます。

社会的養護の拡充を……児童養護施設、乳児院、自立支援ホーム、里親など社会的養護のもとで生活する子どもたちは4万6千人います。施設の小規模化をすすめ、支える職員の配置基準や専門職の配置を充実させます。職員の処遇改善をすすめます。

 施設を退所する若者に、公営住宅の優先利用など住まいを保障し、進学や就労を支援します。国は社会的養護の若者に条件付き貸付奨学金でなく、すみやかに給付制奨学金の支給をおこなうべきです。どんな問題でも相談できるアフターケア事業を全国ですすめます。

 児童相談所や自治体の児童家庭相談窓口に専門性のある児童福祉司などの配置を拡充し、保護者と子どもの支援をすすめます。

 

 

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