2014年総選挙政策

2014年 総選挙各分野政策

36、憲法

日本を「戦争をする国」にしようとするいかなる憲法改悪の動きにも反対を貫きます

2014年11月


 安倍政権は今年7月、国民多数の反対、懸念の声に背いて、集団的自衛権行使容認を柱とした解釈改憲の「閣議決定」を強行しました。「憲法9条の下では海外の武力行使は許されない」という従来の政府見解を180度転換するもので、「海外で戦争する国」に舵を切る動きにほかなりません。「集団的自衛権行使は、憲法上許されない」というこれまでの政府見解は、半世紀を超える長い国会での審議の積み重ねをつうじて定着・確定してきたものです。それを、国会でのまともな論議もなく、与党間の密室協議だけで「閣議決定」をするやり方は、立憲主義を根底から覆すものです。近代の立憲主義は、主権者である国民が、その人権を保障するために、憲法によって国家権力を縛るという考え方にたっています。時の権力者が都合の良いように、簡単に憲法を変えることができないようにされているのです。

 安倍政権が強行した「閣議決定」は、憲法9条をなきものにして日本を「海外で戦争をする国」にしようとするだけでなく、日本の政治の根幹である立憲主義をも根底から崩してしまう危険なうごきにほかなりません。

 

(1) 憲法違反の「閣議決定」の撤回を強くもとめます

――日本共産党の総選挙政策基本政策から (3)「『海外で戦争をする国』づくりを許さない――>

 

憲法9条の精神に立った外交戦略で平和と安定を築く

【海外で自衛隊が米軍とともに戦争をする――集団的自衛権の危険はここにあります】

 安倍政権は、国民多数の反対の声を踏みつけにして、集団的自衛権行使を容認する「閣議決定」を強行しました。憲法9条を破壊し、戦後日本の国のあり方を根底から覆す歴史的暴挙です。

 集団的自衛権の現実の危険は、どこにあるのでしょうか。2001年のアフガニスタン報復戦争、2003年のイラク侵略戦争のような戦争をアメリカがおこしたさいに、従来の海外派兵法にあった「武力行使はしない」「戦闘地域に行ってはならない」という2つの歯止めを外し、自衛隊が従来の「戦闘地域」まで行って軍事活動をすることになる――このことが、日本共産党の国会論戦によって明らかになりました。そうなれば、自衛隊は攻撃対象になります。攻撃されたらどうするのか。日本共産党の国会での追及にたいして、安倍首相は「武器の使用をする」と認めました。自衛隊が「武器の使用」をすれば、相手はさらに攻撃し、自衛隊はさらに反撃することになります。それは戦闘活動そのものではありませんか。

 集団的自衛権行使とは、日本の国を守ることでも、国民の命を守ることでもありません。安倍首相は「海外での戦闘に参加することは決してない」とくりかえしていますが、首相がどうごまかそうとも、アフガン・イラク戦争のような戦争で、自衛隊が米軍と肩をならべて戦争を行う――「海外で戦争する国づくり」こそ、その正体です。

 10月に発表された日米軍事協力の指針(「ガイドライン」)の再改定に向けた「中間報告」でも、そのことがあらためて明確になりました。「中間報告」は、集団的自衛権行使の「閣議決定」を「適切に反映」するとしたうえで、従来の「ガイドライン」にあった「2つの制約」を取り払うものとなっています。

 第一に、従来の「ガイドライン」は、「周辺事態」のさいに日米軍事協力をするという建前でした。ところが「中間報告」には「周辺事態」という言葉がなくなりました。これは、地理的な制約を一切なくして、「地球の裏側」まで行って米軍と一緒に戦争をするということです。

 第二は、従来の「ガイドライン」は、米軍への支援は、「後方地域」――「非戦闘地域」に限るとしていました。ところが「中間報告」では、「後方地域」という言葉がなくなりました。従来の「戦闘地域」まで行って米軍と一緒に軍事活動をする――これが「ガイドライン」再改定の正体です。

 こんな重大な戦争計画を、国会での審議もせずに、米国との協議を先行させて、勝手に決めてしまうというのは、国民不在、国会不在、民主主義否定のさいたるものであり、決して許すわけにはいきません。

 

【「海外で戦争する国」づくりを許しません】

――日本を「殺し、殺される国」につくりかえる憲法違反の集団的自衛権行使の「閣議決定」を撤回させます。

――日米「ガイドライン」の再改定、「海外で戦争する国」づくりのための法改悪など、「閣議決定」を具体化する一切の作業を中止させます。

――国民の目、耳、口をふさぎ、戦争に動員する秘密保護法の施行に反対し、廃止させます。秘密保護法廃止法案を提出し、その成立のために力をつくします。

――「武器輸出3原則」を投げ捨て、武器輸出を拡大する新「原則」を撤回させます。海外派兵型装備などの軍拡に反対し、軍縮への転換をすすめます。

 

【憲法9条の精神に立った平和の外交戦略で、北東アジアの平和と安定を築きます】

 それでは、北東アジアの平和と安定をどうやってはかるのか。北東アジアにはさまざまな緊張や紛争の火種があります。しかし、それに対して、もっぱら軍事で構えたら、「軍事対軍事」の悪循環に陥ってしまいます。いま何よりも大切なのは、憲法9条の精神に立った外交戦略を確立することです。

日本共産党は、次の4つの目標と原則からなる「北東アジア平和協力構想」を提唱しています。

 

北東アジア平和協力構想

①紛争の平和解決のルールを定めた北東アジア規模の「友好協力条約」を締結する。

②北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させる。

③領土問題の外交的解決をめざし、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶ。

④日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は、不可欠の土台になる。

 

 これは、すでに東南アジア諸国連合(ASEAN)がつくっている東南アジア友好協力条約(TAC)のような紛争を話し合いで解決する平和の枠組みを、北東アジアにも構築しようという提案です。

 今年9月にスリランカのコロンボで、アジア29カ国、75政党が集まって開催されたアジア政党国際会議(ICAPP)で全会一致採択された「コロンボ宣言」には、日本共産党の提案で、「ASEANのような地域の平和協力の枠組みを北東アジアなど全アジア規模に広げる」ことが盛り込まれました。日本共産党の「北東アジア平和協力構想」の方向が、アジアの諸政党の賛同をえたのです。

 日本共産党は、この「構想」が実るよう、ひきつづき、国内外であらゆる知恵と力をつくします。

 

(2)日本共産党は、解釈改憲も、明文改憲も許しません。立憲主義を守ります。

 

 安倍首相は、集団的自衛権の行使を容認する「閣議決定」をおこないましたが、憲法改定については国民の批判が強いことを自覚しながらも、「すでに自民党は全体像をお示ししている。その中で3分の2の多数派を形成できるものから行っていくというアプローチが私は一番現実的ではないかと思っている」とのべて、明文改憲の意思を強くしめしています。自民党は、「戦力不保持」と「交戦権否認」を規定した9条2項を改変して、「国防軍」をつくるとした憲法草案を持っています。今回の衆院選のマニフェストでも、「憲法改正原案を国会に提出し、憲法改正のための国民投票を実施」し「憲法改正を目指」すとしています。

 これまで、憲法9条2項が「歯止め」となって「海外での武力行使はできない」という建前は崩せませんでした。しかし、今回の集団的自衛権の行使を容認する「閣議決定」によって、この「歯止め」を取り払うことで、9条2項を変更する動きがいっそう強まる危険性があります。

 自民党と連立政権を組む公明党は、憲法を守る立場ではなく、新たな要素を加える「加憲」を唱える立場をとっています。また野党内からも、「統治改革のための憲法改正」「憲法96条の改正」(維新の党「マニフェスト」)、「自主憲法制定」(次世代の党マニフェスト)などと、改憲を主張する動きが出ています。民主党は、「憲法解釈を恣意的に歪める」ことに反対して、集団的自衛権の「閣議決定」に否定的立場をとりながらも、「補うべき点、改めるべき点への論議を深め、未来志向の憲法を構想します」(衆院選マニフェスト)と述べて、護憲ではなく改憲の立場をとっています。

 日本共産党は、集団的自衛権行使を容認する「閣議決定」の撤回を強く求めるとともに、憲法9条を改悪する明文改憲にも断固反対します。

 「96条改憲」は立憲主義を否定するもの……9条の改憲に先立ち「96条改憲」と行く動きがあります。「憲法96条」は憲法改正手続きを定めた条項です。憲法改定は、国会が「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」が必要とされていますが、ハードルが高すぎるので引き下げようという動きです。しかし、96条の改定は単なる「手続き」ではありません。。近代の立憲主義は、主権者である国民が、その人権を保障するために、憲法によって国家権力を縛るという考え方にたっています。そのために改憲発議の要件も、時の権力者が都合の良いように、簡単に憲法を変えることができないようにされているのです。憲法改正の発議要件を緩和し、一般の法律なみにしてしまうことは、立憲主義を根底から否定するものにほかなりません。

 改憲手続き法は廃止に……改憲勢力は解散前の時点で、衆院では3分の2以上の議席を確保していました。今回の総選挙結果次第では、解釈改憲にとどまらず、明文改憲への動きが急加速する危険性もあります。

 先の国会では、自民、公明、民主、維新の会、みんなの党、結いの党、生活の党が、改憲手続き法の改定案を共同で提出し、成立させるなど、憲法を変えるための条件づくりが進んできています。

 改憲手続き法は、成立から3年後の2010年5月に施行されたものの、法律で義務付けられていた選挙権年齢や成年年齢の18歳引き下げへの与党内の反発もあり、手がつけられない状況が続いていました。自民・公明両党は、選挙権年齢の引き下げを先送りし、国民投票権年齢を当面20歳以上、4年後に18歳以上にするなどの改定案を、民主、維新などとともに7党で共同提出し、強行成立させました。とりあえず、いつでも使えるようにしておこうというものです。「18歳」に引き下げることを先送りにし、そのうえ、公務員の国民投票運動に制限を加えるような改定案は、国会の審議経過をも無視したものでした。

 日本共産党は、改憲手続き法は、きっぱりと廃止することを求めます。

 

(3)日本共産党は憲法のすべての条項を守ります――憲法の豊かで先駆的な条項を生かす政治にするために国民のみなさんとともに活動します

 

 昨年4月に発表された自民党改憲案の問題点は、9条を改定し、国防軍を創設するだけではありません。基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」とした憲法97条を全面削除し、表現・結社の自由を含む基本的人権を「公益及び公の秩序」に反しない範囲しか認めないとしていることなどもきわめて重大です。

 古色蒼然(こしょくそうぜん)とした時代逆行、時代錯誤の自民党「改憲案」にたいしては、国内外から厳しい批判の声が上がっています。憲法の平和的民主的条項の全面破壊を断じて許すわけにはいきません。

  憲法の豊かで先駆的な人権条項を生かす政治に……日本国憲法の先駆性は9条だけではありません。生存権を定めた25条、幸福追求権をうたった13条をはじめ、憲法は30条にわたって、世界でも先駆的で豊かな人権条項をもっています。憲法が「時代に合わない」のではなく、憲法のこうした先駆的原則を踏みにじり続けてきた自民党政治こそ、「時代おくれ」になっているのです。日本共産党は、憲法の前文も含む全条項を厳格に守り、憲法の平和・人権・民主主義の原則を国政の各分野に生かします。

  憲法と子どもの権利条約を教育に生かします……“教育の目的は子どもの人格の完成にある”というのが憲法の精神です。ところが長年の自民党政治はこの精神を無視し、支配層のための人づくりを教育に求め、「過度の競争主義」などで教育を荒廃させてきました。この間、社会的問題となったいじめや体罰、それらの隠蔽(いんぺい)もその表れです。「過度の競争主義を一掃する」「“上からの統制強化”をやめ、教育の自由を尊重する」「重い教育費負担の軽減と教育条件の整備」という観点で、日本の教育を立て直します。

  女性の権利が尊重され、生き生きと活躍できる社会に……男女平等・均等待遇のルールの確立・充実をすすめ、女性の力が正当に評価され、社会的支援で男女がともに仕事と家庭が両立できる条件整備をすすめます。選択的夫婦別姓制度、婚外子差別の禁止など、社会のすみずみまで男女平等、個人の尊厳の徹底をはかります。

  民意を正しく反映する国会に――小選挙区制と政党助成金の廃止を……現行衆議院選挙制度の小選挙区定数「格差」についての一連の違憲判決は、現行小選挙区制が、投票価値の平等をめぐって憲法違反の重大な欠陥を持っていることを厳しく断罪するものとなりました。

  そもそも、現在の小選挙区制を中心とする選挙制度は、大政党有利に民意をゆがめるという根本的欠陥をもっています。それは、この制度のもとで実施された6回の総選挙で、第1党の得票率が4割台にもかかわらず、7~8割もの議席を占めるという結果に、はっきりと示されています。

 また、小選挙区制のもとでは、「1票の格差」の是正のためには、市町村の行政単位や地域社会を寸断する異常な線引きが避けられず、有権者は選挙区の不自然な変更を強いられることになります。小選挙区制がもともと、投票権の平等という憲法の原則とは両立できない制度であることは、その導入以来の歴史が証明しています。

  自民、公明が推進している「0増5減」は、投票価値の平等を保障するものとは到底いえない姑息(こそく)な弥縫(びほう)策であるとともに、小選挙区制を固定化するものであり、認めるわけにはいきません。

  さらに、比例定数を大幅削減する動きは、民意の反映に逆行するものです。投票価値の不平等が問題になっているときにこれを持ち出すのは、きわめて不当であるとともにまったくの筋違いです。日本の議員の総定数は、国際的にみても歴史的にみても少ないものであり、定数削減を行う合理的根拠は存在しません。

  ――衆議院小選挙区制度を廃止し、民意を正確に反映する比例代表制への抜本改革を行います。現行の総定数480を維持し、全国11ブロックを基礎とした比例代表制にします。そうすれば「1票の格差」も、最大1.03倍にとどめることができます。11月26日には最高裁判所が、2013年の参院選について「違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態にあった」と指摘し、違憲状態であったとの判断を示しました。「一票の価値」の平等は国に政治の基本です。格差の是正をはかり、「一票の価値」の平等の実現をはかりつつ、多様な民意を反映する制度に抜本改革します。

 ――政党助成金は、国民の税金を支持していない政党にも配分する憲法違反の制度であり、活動資金の大半を助成金に依存する「国営」政党を生み出し、政治の堕落と退廃の温床にもなっています。すみやかにこの制度を廃止します。

 ――企業・団体献金は、本質的に政治を買収するわいろであり、全面禁止します。

 

 

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