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日本共産党

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赤旗

2014年 総選挙各分野政策

34、文化

芸術・文化の活動を支え、文化が豊かに発展する社会をめざします

2014年11月


 人々に生きる力を与える芸術・文化は、社会進歩に不可欠です。

 ところが、国民の多くが文化に親しむ機会から遠ざけられています。最大の問題は、長時間過密労働や低賃金がもたらしている「時間」と「費用」の問題です。しかも、安倍自公政権の「アベノミクス」のもとで、実質賃金は15カ月連続で減少し、内閣府の消費動向調査によれば、昨年7~9月期以来6期連続で、向こう3カ月にコンサートや演劇、映画館、美術館などへの入場料支出を減らすと回答した世帯が、増やすと回答した世帯を上回っています。そのうえ、今年4月からの消費税の8%への引き上げは、ますます文化に接する機会を国民から奪い、芸術・文化団体の運営にも困難をもたらすなど、芸術・文化活動への大打撃となっています。消費税10%への増税は、「先送り」実施ではなく、きっぱり中止させるために、全力をあげます。

文化を自由に創造し、享受することは国民の権利であり、その条件を整えるのは国の責務です。広範な芸術団体が取り組んだ文化予算増額の署名を受け、2012年9月の国会で史上初めて文化予算増額の請願が採択されました。文化に親しめるよう国民のふところを温めるとともに、文化予算を抜本的に増やし、芸術・文化活動を支えます。文化を担当する国の専門機関の位置づけをヨーロッパ並みに高めます。

 

芸術団体と活動への助成削減を許さず、文化予算を増やします

 日本の国家予算に占める文化予算の割合は、文化庁のデータ(2012年)によっても、韓国の8分の1、フランスの10分の1程度にすぎません。しかも、芸術団体への助成は、小泉自公政権の2003年以来、毎年のように削減され、芸術団体助成の中心である重点支援は最高時の半分以下にまで落ち込んでいます。

 国民が芸術・文化を楽しめるようにするためにも、芸術・芸能団体の活動が活発になることが不可欠であり、芸術団体の助成の中心である重点支援が増えるかどうかが文化予算充実の試金石です。

 芸術団体(舞台芸術)への重点支援は、わずか31億円であり、これを最高時に戻すには36億円増ですみます。1機160億円のF35戦闘機など浪費の一部を削るだけでも、増額は可能です。日本共産党は、目先の効率優先の助成縮減をやめさせ、抜本的に拡充します。

 芸術団体への助成方式は、一部が改善されましたが、いまだ無理な自己負担を前提にしたものが多数残されています。これを全面的に改善し、芸術団体が専門性を発揮し、持続的に発展していけるよう助成制度の発展をはかります。けいこ場や公演・展示会場費への補助をはじめ、幅広い団体が気軽に活用できる助成制度の確立や、助成への応募を年複数回にするなど利用の改善をはかります。助成金の一部「前払い」制度を本格的に実施し、すみやかな支払いを実現します。寄付税制の充実など、税制支援をすすめます。

 心豊かな成長のためにも、子どもたちが芸術・文化に参加できる条件を整えることが重要になっています。学校での芸術鑑賞教室は、すべての子どもに芸術鑑賞の機会を保障する大切なとりくみですが、実際には、芸術鑑賞教室が激減しています。日本共産党は、すべての子どもが年1回以上、芸術鑑賞ができるよう条件整備をすすめます。国としてすべての芸術鑑賞教室を視野に入れた支援制度を確立し、学校と芸術団体の自主的な努力を応援します。文化団体が全国の草の根ですすめているとりくみを、交通費・宿泊費や会場費の援助などで応援する制度を確立します。

 諸外国では、表現の自由を守るという配慮から、財政的な責任は国がもちつつ、専門家が中心となった独立した機関が助成を行っています。文化庁の助成は応募要綱などが行政の裁量で決められ、芸術団体の意見がそこに十分反映されていません。すべての助成を専門家による審査・採択にゆだねるよう改善します。

 日本映画やアニメなどの製作システムをささえる財政支援の充実をはかります。文化庁の「映画振興に関する懇談会」の提言「これからの日本映画の振興について」(2003年)が提起した製作支援、専門家育成など日本映画再生のための支援策を、その後の映画をめぐる状況の変化を踏まえて抜本的に強化します。

 

震災復興への文化の役割を重視し、地域の芸能・文化の保存と育成をはかります

 東日本大震災で被災した文化財の保存・修復や民俗芸能の復活は道半ばであり、福島や三陸沿岸部などでは、閉鎖したまま再開できない博物館や文化会館・文化施設が数多くあります。こうした活動への補助は一部となっており、要望には足りない状況があります。文化財保存も、国指定文化財以外は、地方自治体や民間の寄付頼みとなっています。こうした事態を改め、国が被災地の文化活動への支援、文化財保存のために財政的にも積極的に支援します。

 大型公共事業とその関連工事による文化財破壊を許さず、埋蔵文化財をはじめ、文化遺産、歴史的景観および文化的景観の保護をはかります。「陵墓」に指定されている古墳の学術目的での公開と保存をすすめます。

 

劇場・音楽ホールなど、文化施設への支援を強めます

 劇場・音楽堂は、創造と鑑賞の両面から、芸術の発展になくてはならない場所です。ところが、自民党政治のもとで指定管理者制度が設けられ、多くの文化施設で予算が削減されてきました。施設・設備が老朽化したのに大規模改修の費用を捻出できず、休館・閉館に追いこまれる劇場・音楽堂もでてきており、民間劇場の閉鎖も相次いでいます。

 2012年に成立した劇場法を生かし、専門家を適切に配置するとともに、施設改修や舞台機能の高度化への支援措置を設けるなど、劇場・音楽堂への国の支援を強めます。

 国立美術館・博物館、国立劇場・新国立劇場については、国の施設にふさわしく予算の充実をはかります。国民の身近な文化施設である文化ホールや図書館、美術館・博物館の民営化、民間委託をやめさせ、公的支援を充実します。

 芸術・文化活動の拠点として活性化するために、文化施設の運営への芸術家と市民の参画を促し、舞台技術者や司書、学芸員など専門家の身分を保障し、専門家として力量を発揮できるよう支援します。また、民間の劇場・音楽堂や映画館は、現状では商業施設として扱われ、何らの支援もありません。年間100日以上事業を行っている会館を劇場とみなして固定資産税の軽減を図るなど、積極的な支援を行います。

 まだまだ足りない大小さまざまな表現空間や展示場所、けいこ場といった芸術家・文化団体の活動の条件を整備します。アニメ、マンガ、写真、音楽、美術など、文化各ジャンルの貴重な遺産の収集・保存を支援します。映画フィルムの保存を急ぐとともに、急速にすすむデジタル化に対応し映画作品の保存をすすめます。映画の国立フィルムセンターの人員を拡充し、国立美術館の付属施設から、国が責任をもつ独立した組織へと発展させます。

 

著作者の権利を守ります。文化を支える専門家の地位向上にとりくみます

 日本の芸術・文化の発展のうえで各ジャンルの専門家の役割はきわめて重要です。ところが、その専門家の権利や社会保障がないがしろにされています。こうした状態を改め、著作権者の権利を守ることや、専門家の低収入、社会保障の改善にとりくみます。

 著作権は、表現の自由を守りながら権利者を守る制度として文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画監督やスタッフに権利がありません。実演家もいったん固定された映像作品への権利がありません。国際的には視聴覚実演に関する条約が作成されるなど、実演家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが強まっています。著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。

 私的録音録画補償金制度は、デジタル録音録画の普及にともない、一部の大企業が協力義務を放棄したことによって、事実上機能停止してしまいました。作家・実演家の利益をまもるために、私的複製に供される複製機能を提供することによって利益を得ている事業者に応分の負担をもとめる、新たな補償制度の導入をめざします。

 

 年収300万円未満が5割以上という劣悪な状態にある実演家をはじめ、多くの芸術家は、一般の勤労者に比べても低収入です。また、仕事のうえでの怪我であっても労災認定は5.3%にすぎないように、社会保障がほとんどありません。そのため、ユネスコやILOは、芸術家の地位向上をはかることを求め、収入の向上や社会保障制度を実演家の実情に適合させることを求めています。専門家の地位向上を理念として掲げるだけでなく、一般勤労者並みに改善することを目標に施策を実施します。

 演劇・舞踊や映画の国立大学の設立や国立劇場・新国立劇場での専門家養成・研修事業の充実、海外研修支援の拡充など、専門家の養成における国の責務をはたさせます。

 

憲法を生かし、表現の自由を守ります

 芸術活動は自由であってこそ発展します。憲法は「表現の自由」を保障しています。ところが、第2次安倍内閣の発足以降、各地の美術館や図書館、公民館など公の施設で、創作物の発表を不当な理由で拒否するなど、表現の自由への侵害が相次いでいます。憲法の基本的人権の条項をまもり生かして、表現の自由を侵す動きに反対します。

 「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。「風営法」の規制対象からダンスを削除し、「ダンス規制」をやめさせます。

 

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