2014年総選挙政策

2014年 総選挙各分野政策

4、介護

介護保険の大改悪を許さず、高齢者も現役世代も安心できる公的介護制度をめざします

2014年11月


  「医療・介護を中心に社会保障給付について、いわゆる『自然増』も含め聖域なく見直し、徹底的に効率化・適正化していく」(骨太方針2014)と宣言した安倍内閣のもと、介護制度のかつてない大改悪が次々と打ち出され、実行・着手されようとしています。

 

「医療・介護総合法」=介護保険大改悪の中止・撤回を求めます

 安倍・自公政権は今年6月、「医療・介護総合法」の可決を強行しました。その中身は、多くの高齢者を介護サービスから除外し、利用者に大幅な負担増を押しつけるなど、公的介護保障を土台から掘り崩す大改悪となっています。

●要支援者サービス切り捨ては許されない

 「総合法」は、「要支援1・2」と認定されて介護サービスを受ける人の8割が利用する、ホームヘルパーによる訪問介護、デイサービスなどの通所介護を保険給付から外すとしています。そのかわり、市町村が実施する地域支援事業に新しいメニュー(介護予防・日常生活支援総合事業=新総合事業)をもうけ、“代替サービス”を提供するというのが政府・厚生労働省の言い分です。しかし、この新事業は予算に上限がつけられ、自治体は給付費の大幅な抑制を求められます。

 厚労省が7月に提示した新総合事業の「ガイドライン案」は、①「低廉な単価のサービスの利用普及」、②「認定に至らない高齢者の増加」、③「自立の促進」という3つのやり方で、事業の効率化を図るよう自治体に指示しています。

 「低廉な単価のサービスの利用普及」とは、ヘルパーなど介護職によるサービスを、非正規やボランティアなど“人件費の安い”非専門職のサービスに置き換えていくということです。要支援者向けの“代替サービス”には、既存の介護事業所による「専門的サービス」と、ボランティア、NPO、民間業者などに委託する「多様なサービス」が用意されます。現在、すでに保険給付を受けている人は、制度移行後も一定期間、「専門的サービス」の受給を認めるが、新規利用者は基本的に「多様なサービス」を割り振り、いったん「専門的サービス」を割り振った人も、ゆくゆくは「多様なサービス」への転換をすすめるというのが厚労省の方針です。まさに、“安上がりサービス”への流し込みにほかなりません。

 「認定に至らない高齢者の増加」とは、要介護認定を受けない人を増やすということです。新制度では、高齢者が市町村に介護サービスを申請し、窓口の職員が“要支援相当”と判断した場合は、要介護認定を“省略”して“代替サービス”を割り振ることが可能となります。要介護認定を“省略”された人は、もはや「要支援者」とは呼ばれず、「非該当」と同じ扱いとなっていきます。こうして“要支援相当”の人を大量に“安上がりサービス”への流し込むのと同時に、保険制度上の「要支援者」という存在自体をなくしていこうというのです。

 「自立の促進」とは、介護サービスからの「卒業」推進です。新制度のもとでは、要支援者や“要支援相当”の人は漫然とサービスを受けるのではなく、「要支援状態からの自立」にむけた「目標」を持たされ、行政から「目標達成」「状態改善」とみなされると、単価の低いサービスへの転換や、サービスの「終了」が求められます。厚労省が実施する「予防モデル事業」などで今回の法改定を“先行実施”している自治体では、行政が要支援者を「説得」し、強引に介護サービスを打ち切ったり、要介護認定の更新を受けさせないなどの事態が相次いでいます。これでは「卒業」ではなく「強制退学」です。

 「ガイドライン案」は、“安上がりサービスへの置きかえ”“要介護認定を受けさせない水際作戦”“介護サービスからの卒業作戦”という3つの手法を示したうえで、現行制度のままなら毎年「5~6%」のペースで伸びていく、要支援者サービスの給付費の自然増を、後期高齢者の人口伸び率である「3~4%」に抑え込んで行くよう指示しています。これが実行されれば、要支援者の訪問・通所系サービスの給付費は2025年度で800億円、2030年度で1500億円、2035年度で2600億円という大幅な縮減となります。この目標を達成するため、各自治体の“代替サービス”の事業費には、当該自治体の後期高齢者の人口伸び率に基づいた上限がつけられます。上限を超えた超過分には国庫補助を出さないというのが厚労省の方針です。そうなれば、市町村は、3つの手法によるサービスの利用制限や利用者の自己負担増に走らざるを得ません。

 政府・厚労省はこれまでも、要支援者への在宅サービスの給付を白眼視し、ヘルパー派遣の回数制限や1回あたりの介護時間の短縮など給付抑制の改悪を繰り返してきました。今回の改悪は、そうした保険制度の枠内での給付抑制を踏み越え、要支援者を丸ごと保険制度の枠外に追いだし、「非該当」と同じ扱いにすることで、給付費の抜本的削減を図ろうとするものです。

●特養入所の「要介護3」以上への限定――膨大な「介護難民」を放置

 「総合法」により、2015年度から特養ホームへの入所は原則として「要介護3」以上に限定されます。現在、特養待機者は52・4万人、うち17・8万人は「要介護1・2」ですが、それらの人は原則として特養入所の対象外とされます。介護施設団体などの厳しい批判を受け、厚労省は、▽虐待被害者、▽知的・精神障害者、▽認知症で常時見守りが必要などの事情がある場合は、「要介護1・2」でも「特例入所」を認めるとしていますが、これらの人たちは本来、老人福祉法にもとづいて救済し、措置施設である養護老人ホームで救済するべき対象です。「特例入所」といっても、実態は「措置入所」の余地を残したというだけであり、救済される人はきわめて限定されます。

 安倍政権の発足直後の2013年1月、財務省の財政制度等審議会は、社会保障費削減のため、介護保険の対象を「要介護3」以上に限定するよう提言しました。今回の改変は、それを施設サービス分野で実行に移そうとするものです。政府は、特養入所から外される「要介護1・2」の人に対し、“受け皿”を整備する計画も持っていません。今回の改変は、膨大な「介護難民」を放置したまま、見かけ上、待機者数を減らすというだけのものです。

●2割負担の導入――利用抑制を引き起こす過酷な負担増

 「総合法」により、介護保険の利用料に初めて2割負担が導入されようとしています(2015年8月実施)。今回、負担増の対象となるのは「所得160万円以上」(年金収入280万円以上)の層です。厚労省が設定する2割負担の所得基準は医療保険の「現役並み所得」のライン(単身:年収383万円、2人世帯:年収520万円)よりはるかに低く、しかも、世帯ではなく個人の所得で決まるため、介護関係者からは「高所得といえない人まで負担増となる」「必要なサービス抑制が起こりかねない」という懸念が噴出しています。症状が重く、介護と医療の両方で自己負担をしている人、施設に入所して食費・居住費の全額負担をしている人などには過酷な負担増となります。

●「補足給付」打ち切り――利用者と家族のくらしを脅かす負担増

 低所得者が施設を利用する場合に食費・居住費の負担を軽減する、「補足給付」の縮小・打ち切りも行われようとしています(2015年8月実施)。これが実行されれば、月5万円の基礎年金以外に収入のない人が、毎月10万円以上の自己負担をせまられるなどの事態が起こってきます。(1)世帯分離をしている配偶者が住民税課税である場合、(2)単身で1,000万円以上、2人世帯で2,000万円以上の預貯金がある場合に「補足給付」の対象から外すというのが、改悪の内容です。さらに、厚労省は、(3)これまで収入に算定していなかった、障害年金・遺族年金などの非課税年金を、今後は収入・所得と扱うとしています。

 配偶者の課税を基準に「補足給付」を打ち切るというやり方では、たとえば、特養ホームに入所する妻の年金が月5万円、別世帯でくらす夫の年金が月20万円という夫婦が、妻の利用料・食費・居住費として月13万円を徴収されるというケースが発生します。これでは、双方の生活が“共倒れ”に追い込まれかねません。

 今後、介護施設の利用者は、預貯金・信託・有価証券などの有無を施設や行政から「調査」され、たとえば、タンス貯金を報告しなかった場合などには、利用者がペナルティを科されることになります。低収入の高齢者に高額の負担を求め、貯金を“吐き出させる”というやり方は、社会保障のあり方をゆがめるものです。

 さらに、障害年金など“非課税の給付”を所得と扱うことは、制度の理念に風穴をあけるものであり、他の制度に波及すれば、さらに大きな被害を生みだします。

 「補足給付」は、2005年の制度改悪で、もともと保険給付だった施設の食費・居住費を全額自己負担にしたときに、低所得者の施設利用の道を閉ざさないため導入されました。貧困な入所者・待機者が激増するなか、拡充こそ求められています。制度を後退させること自体、重大な逆行にほかなりません。

●改悪法の中止・撤回を求めます

 「医療・介護総合法」の介護保険改定は、ひたすら国の社会保障費を抑制するために、介護サービスの対象を限定し、利用者に自己負担増を求めるというものです。「総合法」が実施されれば、要支援者・要介護者が必要なサービスを受けられない事態はいっそう拡大し、「介護難民」の問題がさらに深刻化して、高齢者と家族の負担と不安は増すばかりです。今回の介護保険改変には全国239の地方議会が反対・批判の決議をあげ(今年8月時点)、自治体当局や介護事業所、NPOやボランティア団体のなかからも「このまま実施していいのか」という声が噴出しています。日本共産党は、国政でも地方でも、「医療・介護総合法」の中止・撤回を求める論戦・運動の先頭にたって奮闘します。

●介護制度のさらなる改悪に反対します

 安倍政権は、「医療・介護総合法」による制度改悪を“突破口”に、さらなる介護の切り捨てを狙っています。財務省は、10月8日の財政制度等審議会に、▽介護報酬の6%削減、▽「要介護1」の生活援助の保険給付外し、▽利用料のさらなる引き上げ、▽ケアプランの有料化、▽特養ホームの「相部屋」入所者からの居住費徴収など、給付削減の改悪案を列記したペーパーを提出しました。経済財政諮問会議に参加する日本経団連会長からも介護報酬の削減が声高に叫ばれ、2015年度の予算編成にむけ、介護報酬削減に向けた動きが強まっています。日本共産党は、公的介護保障の基盤を根底から突き崩す、介護保険のさらなる改悪、介護報酬の大幅削減を阻止するために力をつくします。

 

「介護の危機」を打開するため、介護・福祉・医療制度を立て直します

 家族の介護・看護を理由にした離職者数は、この間、毎年8~10万人にのぼっています(総務省「就業構造基本調査」)。民間シンクタンクの調査によれば、家族の介護をしながら働く「介護社員」は今、全体の13・8%ですが(2012年時点)、この割合は今後増大し、2022年には24・5%、2032年には30・8%となる見通しです(東レ経営研究所・渥美由喜部長)。経済誌やビジネス誌が「介護特集」を連打し、「介護独身」がメディアの話題となるなど、介護問題が、高齢者はもちろん現役世代の大きな不安要因となっています。

国の施策で病院を出され、介護施設にも入れない高齢者が、「お泊りデイサービス」などの脱法施設を利用したり、ホームレス用の宿泊施設を転々とするなど、メディアが「介護難民」「老人漂流社会」と呼ぶ深刻な状況も広がっています。「シニアマンション」という看板で大量の高齢者を収容していた脱法的な住居施設が、多くの入居者を拘束・拘禁状態にしていたという悲惨な事件も報じられています。

 「独居老人」や「老老介護世帯」が急増し、高齢者の貧困・孤立が進行するなか、「介護心中」「介護殺人」などの痛ましい事件も続発しています。認知症高齢者の行方不明が年間1万人を超え(警察庁発表)、65歳以上の「孤立死・孤独死」も年間2万人にのぼると推計される状況です(ニッセイ基礎研究所調査)。

 こうした現実から目をそむけ、介護・医療・福祉の公的給付を切り縮めていく安倍政権の路線では矛盾は拡大するだけです。日本共産党は、いまや日本社会の大問題となっている「介護の危機」を打開するため、介護・福祉制度の再建・充実をすすめます。

●特養ホームの待機者をゼロに――国策転換で「介護難民」を解消します

 介護保険導入後の13年間に、全国の特養ホームのベッド数は1・7倍に増えましたが、入居希望者はそれをはるかに上回る規模で増え続け、待機者が52万人を超える状況となっています。このように特養待機者が爆発的に増え続ける大本には、“高齢者の貧困化”があります。現在、国民年金の平均受給額は月4万9千円、厚生年金も女性の平均受給額は月11万円です。こうした低年金の人が要介護状態になったとき、最期まで入居できる施設は特養ホームしかありません。ところが、政府は、給付費抑制のために特養ホームの増設を抑え、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など、利用料の平均でも月12~15万円かかる、“低所得者が利用できない施設”の整備ばかり応援してきました。

 「介護難民」を解消するには、特養ホームの抜本的な増設に舵を切るしかありません。日本共産党は、待機者解消の「5カ年計画」を策定し、国の責任で特養ホームの抜本的増設を図ることを提案します。廃止された特養建設に対する国庫補助を復活させ、都市部での用地取得を支援するなど、「待機者ゼロ」の実現に向けて、あらゆる施策を動員することが必要です。この間、資材高騰や人手不足で「入札不調」が相次いでいる各地の特養建設も速やかに着手できるよう、国からの支援を行います。

 「介護難民」増加の引き金となっている、病院や老人保健施設からの“追い出し”政策を中止します。強引な退院や、老健施設からの“早期退所”を誘導・促進する診療報酬・介護報酬のあり方を抜本的に見直し、「漂流高齢者」を生まない仕組みに改善します。

 小規模多機能型施設、グループホーム、宅老所など特養ホーム以外の多様な施設についても基盤整備を進め、食費や部屋代への公的補助など、低所得者が利用できるよう改善をすすめます。

●サービスとりあげ中止、利用料・保険料減免――「必要な介護が保障される制度」に

 介護保険制度は、14年前、「家族介護から社会で支える介護へ」というスローガンをかかげて導入されましたが、実際には、要介護度に応じてサービス内容や支給額が制限され、スタート当初から「保険あって介護なし」と言われてきました。

 さらに、歴代政権の社会保障費削減路線のもと、負担増やサービス取り上げの制度改悪が繰り返され、「介護保険だけで在宅サービスを維持できない」状況はますます深刻化しています。給付削減の改悪は、利用者・家族を苦しめるとともに、“いざというとき使えない制度”という国民の不信を高め、制度の存立基盤を危うくするだけです。利用者からサービスを取り上げる改悪や機械的な利用制限の仕組みを撤廃し、介護保険を「必要な介護が保障される制度」へと改革していきます。

介護とりあげの改悪の中止……軽度者にたいする訪問介護・通所介護・福祉用具などの厳しい利用制限、「介護とりあげ」をやめさせます。2012年の介護報酬改定で導入された、生活援助の基準時間の「60分」から「45分」への短縮など、この間、続けられてきた在宅サービス切り捨ての改変を抜本的に見直します。「給付適正化」の名を借りて、国と自治体がすすめている利用抑制、国の基準にてらしてもいきすぎた、自治体の「ローカル・ルール」による給付制限をただちにやめさせます。“究極のローカル・ルール化”ともいうべき要支援者サービスの保険給付外しをやめさせるため、全力をあげます。

利用料・保険料の減免制度を確立……高齢者のサービス利用をはばむハードルとなっているのが自己負担の重さです。低所得者の利用料を減額・免除する制度をつくり、経済的な理由で介護を受けられない人をなくします。施設の食費・居住費負担の軽減をすすめ、自己負担から保険給付へと戻していきます。2割負担の導入や、「補足給付」の縮小など、もってのほかです。

 高齢者の3人に2人は住民税非課税であり、65歳以上の介護保険料(第1号保険料)の負担が生活圧迫の大きな要因となっています。高齢者本人や家族の貧困が深刻化するなか、保険料が「年金天引き」の対象とならない年金が月1万5千円以下という人の保険料滞納が急増しています。緊急に、国として実効性のある保険料の減免制度をつくります。

国庫負担引き上げで安心できる制度に……現在の介護保険は、サービスの利用が増えたり、介護職の労働条件を改善すれば、ただちに保険料・利用料の負担増に跳ね返るという根本矛盾をかかえています。厚労省の見通しによれば、「医療・介護総合法」による過酷な給付削減が実行されたとしても、現在、全国平均で月5,000円程度となっている65歳以上の介護保険料は、2025年には月8,200円となります。保険料・利用料の高騰を抑えながら、制度の充実や介護の提供基盤の拡大を図り、本当に持続可能な制度とするには、公費負担の割合を大幅に増やすしかありません。

 自民党と公明党は、消費税増税の実施前、“増税で財源を得られたら1兆円の国費を投入し、介護保険の公費負担割合を現行の50%から60%に引き上げる”と主張していましたが、増税が決まったとたん、その公約は反故にされました。政府は2015年度から、消費税増税で得られる財源の一部を使い、第1号保険料の低所得者軽減をおこなう予定ですが、そこに使われる予算は1300億円、消費税8%増税で得られる増収の60分の1に過ぎません。この軽減策が実施されても、保険料がうなぎ上りに上がっていくことには変わりはなく、しかも、安倍首相の10%増税「先送り」表明を受け、実施自体が危ぶまれる状況です。

 日本共産党は、介護保険の国庫負担割合をただちに10%引き上げ、将来的には、国庫負担50%(公費負担75%)に引き上げることを提案します。その財源は、国民生活にも日本経済にも大打撃となる消費税ではなく、▽富裕層や大企業への優遇をあらため、「能力に応じた負担」の原則をつらぬく税制改革、▽大企業の内部留保の一部を活用し、国民の所得増で税収をふやす――という「消費税にたよらない別の道」で確保します。

 こうした公的介護制度への国庫負担の引き上げとあわせ、65歳以上の介護保険料を全国単一の所得に応じた定率制にあらためる、要介護認定や利用限度額など機械的な利用制限の仕組みを撤廃して、現場の専門家の判断で適正な介護を提供する仕組みに転換するなど、制度の根本的改革をすすめていきます。

●介護・福祉労働者の労働条件改善、介護報酬の増額――提供体制を強化する

 介護労働者の平均月収は20万8,000円、全産業の平均29万9,600円を大きく下回っています。こうした低すぎる賃金と、長時間労働やサービス残業のまん延、福祉への初心を生かせない労働環境など劣悪な労働条件のために、介護現場は深刻な人手不足におちいっています。歴代政権は、介護を“新たな雇用創出分野”などと宣伝しながら、介護従事者の労働条件や低すぎる社会的評価などの問題の解決を先送りしてきました。「福祉は人」と言われるように、介護・福祉の提供体制を強化するには、労働条件の抜本的改善、担い手の育成・確保が不可欠です。

国費の投入で賃金アップを実現……保険料・利用料の引き上げに連動させることなく、緊急かつ確実に介護・福祉労働者の賃金アップを図るため、介護報酬とは別枠の、国費の直接投入による賃金引き上げの仕組みを創設します。

介護報酬の削減反対、抜本的な底上げを……劣悪な労働条件の根本原因は、介護報酬が低すぎることです。かつて小泉内閣が強行した介護報酬の連続削減(2003年度:2・3%、2005~06年度:2・4%)は、介護事業所・施設の経営に大打撃を与え、介護職の賃金・待遇の劣悪化、人手不足の加速、特養の整備抑制による待機者急増など、深刻な事態を引き起こしました。これを反省し、介護基盤の再建のため、削減分を元に戻すことが必要です。ところが、安倍政権は、今年10月の財政制度等審議会で介護報酬の6%削減を打ち出し、来年度の予算編成に向け、介護報酬削減の議論をすすめています。マイナス6%などという空前の報酬削減が強行されれば、介護の基盤崩壊が起こることは必至です。

 政府は、介護報酬削減の根拠として、介護事業所の収支差は、一般中小企業より良好だといっています。しかし、介護事業所の経営状況には、地域や分野によって大きな格差があり、人件費も土地代も高い都市部の事業所の多くは経営難にあえぎ、地方でも公的支援があるので何とか経営が成り立っているという事業所が数多くあります。

 財界や一部メディアは、社会福祉法人には多額の「内部留保」があると言い立てていますが、事業からの撤退が許されず、運営規則で多額の借入も禁じられている非営利法人が、老朽施設の改修・建て替えなどのために長期保有しているお金は、大企業の内部留保とは性質が違います。介護施設の大多数が不当に利益を貯めこんでいるという主張は、事実をゆがめた悪宣伝に過ぎません。

 財務省は、介護報酬全体を引き下げても、介護職の処遇にかかわる部分だけ増額すればよいと言っていますが、たとえ処遇改善部分を加算したとしても、報酬全体が下げられ、事業所の経営の見通しが立たなくなれば、待遇・労働条件の悪化は避けられません。

 日本共産党は、安倍政権がねらう介護報酬の大幅削減に反対し、国庫負担割合の引き上げや利用料減免などとあわせながら、介護報酬の抜本的な増額・底上げを求めます。

介護職の常勤化、人員配置基準の改善をすすめる……歴代政権の介護報酬抑制路線のもと、多くの事業所は経営難に苦しみ、介護分野は低賃金の非正規労働が主流となっています。介護報酬を引き上げながら、事業所の雇用管理や法令順守を図り、正規化・常勤化の流れをつくります。サービス残業の根絶、長時間労働の是正をすすめます。

 高齢者の尊厳を大切にした介護を行うためにも、介護職の人員配置基準を改善し、介護報酬で評価することが必要です。現在は利用者3人につき職員1人(3対1)となっている特養ホームや老健施設の職員配置基準を、実態にふさわしい「原則2対1」に引き上げる、24時間・365時間の介護体制を確立するため、夜間の訪問介護を職員が安心して働ける「2人体制」にするなど、改善をすすめます。

 介護保険導入前にいくつかの自治体で実施されていた、施設や事業所の職員確保、人員配置に対する公的助成制度をつくり、労働環境の改善を支援することも重要です。

介護職の地位向上に逆行する改悪に反対……介護現場の深刻な人手不足を受け、安倍政権も「介護人材の確保」を言いだしましたが、その内容は、賃金引き上げなどの待遇改善には力を入れず、規制緩和や外国人の登用で“安上がりな労働力”をかき集めようというものです。

 安倍政権は、「外国人介護職」の活用をいいだし、「外国人技能実習制度」の実習期間を3年から5年に延長して業務を介護分野に拡大することを検討しています。介護は、高度な専門性を要する知的労働であり、利用者とのきめ細かなコミュニケーション抜きに適確なサービスは提供できません。介護の質を二の次にし、安い労働力への置き換えをねらった“外国人への開放”は、利用者・国民の願いに逆行し、介護職の低賃金、労働条件の悪化に拍車をかけるものです。

 また、安倍政権は、介護の質と介護職の社会的地位を向上させるため、2007年の法改定で決めた介護福祉士の資格取得方式の「一元化」(すべての養成ルートにおける国家試験の義務化)を“棚上げ”にする動きも見せています。介護職の資格のハードルを下げることで「人材確保」を進めるといいますが、その背後には、社会保障費抑制のため、介護職の賃金・待遇を低水準にとどめようという意図が透けて見えます。

 介護労働の専門性の確保、介護職の社会的地位の向上、それを正当に評価する処遇改善が図られてこそ、介護分野への入職意欲も高まり、人材確保も前進します。日本共産党は、介護の質を担保する規制を弱め、介護職の低賃金や劣悪な労働条件を放置しながら“安上がりな労働力”に置き換えていく、あらゆる改悪に反対します。介護の質を高め、介護職の技能と社会的地位を向上させるため、資格取得「一元化」の早期実施、研修事業の充実と機会保障、介護職のキャリアアップに向けた職員・事業所への支援をすすめます。

介護職による医療行為の代替は見直しを……たん吸引、経管栄養など医療行為が介護職の業務として解禁されました。政府の意図は、本来、医療従事者が行うべき業務を介護職に担わせることで給付費の抑制を図ることにあります。現場からは、患者の安全や介護職の不安・負担などを指摘する声が引き続き出されています。再検討・見直しを求めます。

●現行制度の不合理をただし、介護保険・介護報酬の改善をすすめます

 ヘルパーの生活援助の時間短縮、「7時間以下」のデイサービスへの報酬削減、特養ホームの「多床室」やベッドの回転が遅い老健施設に対する報酬削減など、この間、繰り返されてきた、サービス利用制限のための報酬改悪を見直します。

 安倍政権が検討するケアプランの有料化に反対します。高齢者の身近な相談相手・専門家としてケアマネジャーの育成をすすめ、介護報酬での評価や研修の保障などを行います。

 介護報酬の制限などにより、介護施設では医療が十分に提供できず、医療を多く必要とする高齢者が特養ホームやショートステイなどを利用できない事態が広がっています。介護施設でも医療行為は医療保険の適用を認めるなど、どこでも必要な医療と介護が受けられるように改善します。介護従事者が医療制度にかかわる知識を持つための研修や、高齢者の退院時におけるケアマネジャーの相談などを介護報酬で評価し、医療・介護の円滑な連携を推進します。

 いわゆる「院内介助」の規制が、自費サービスなどを生み、高齢者の医療を受ける機会を阻害しています。医療機関内での介助は「院内のスタッフにより対応されるべき」という国の通知を撤回させ、必要ならば、利用者の受診時に介護職が医師の指示を一緒に聴くことなどを含め、要介護者の通院介助を保障するようにあらためます。

 現行の地域計数と人件費率をかけあわせる介護報酬の算出式は、とりわけ、大都市部の物価や賃金水準からかけ離れたものになっており、地域の物価や賃金水準を反映した介護報酬にあらため、中山間地でも大都市部でも安心して介護が提供できるようにします。

 「コムスン事件」のような“儲け本位”の営利企業による不正の発覚、廃業が相次ぎ、そのたびに利用者が犠牲となっています。問題が起きた後に事業者を処分するだけの「事後規制」の仕組みをあらため、適切な介護を提供できるかを事前に審査する「事前規制」へと、参入規制の在り方を転換します。

 グループホームでの火災事件などを受け、すべての高齢者施設にスプリンクラーなどの初期消火設備や、自動火災報知装置の設置が義務づけられました。これらを実効ある措置とするため、国の補助を抜本的に拡充します。「そもそも火事を起こさない」「緊急時には入所者をすみやかに避難させられる」など、高齢者施設の安全確保に向け、夜間の職員配置の改善などをすすめます。

●貧困・病気・孤立など高齢者の困難を解決する福祉・医療体制を構築します

 「介護の危機」を打開するには、介護保険制度の改善にとどまらず、さまざまな制度・施策を総動員することが必要です。

 政府・厚労省はこの間、「身近な地域で、住まいを基本に、医療や介護、生活支援サービス、介護予防が切れ目なく提供される体制」をめざす、「地域包括ケア」の構想をかかげ、介護・医療・福祉などの制度改変をすすめています。しかし、その看板のもとで安倍内閣が提出した「医療・介護総合法」は、国の社会保障費抑制のため、医療や介護サービスの対象を限定し、病院や介護施設をできる限り使わせず、提供するサービスを“安上がり”なものに置きかえていく改悪法でしかありませんでした。給付費削減を前提にした「連携」「再編」では、介護をめぐる危機的状況は解決されず、逆に矛盾が深まるだけです。2025年の高齢化のピークに備えるというなら、医療・介護は「自然増削減」ではなく、抜本的拡充が必要です。

 日本共産党は、介護・福祉・医療の拡充と連携を国の責任で推進し、地域全体で高齢者を支えられる体制づくりをすすめます。

自治体の高齢者福祉を立て直す……虐待、貧困、社会的孤立など「処遇困難」の高齢者の救済は本来、老人福祉法にもとづく自治体の仕事ですが、介護保険導入後、多くの自治体で福祉事務所や保健所が担っていた高齢者福祉は縮小され、“介護保険任せ”にされてきました。福祉職の削減、保健所の統廃合、養護老人ホーム運営費の一般財源化など、国の制度改変もそれに拍車をかけています。未曽有の貧困が日本社会を覆い、生活・病気・家族関係などで複雑な問題をかかえた高齢者が急増するなか、自治体の「措置控え」がメディアでも問題視され、厚労省も「指導」せざるを得ない状況となっています。今こそ自治体の福祉・保健・公衆衛生の再生が必要です。

 自治体の福祉職を増員し、介護保険や民間では対応しきれない困難をかかえた人を自治体が直接救済して、支援や介護を提供する体制を再構築します。地域の高齢者の実情をつかむ拠点として、地域包括支援センターを老人福祉法に位置づけ直し、国の責任で人員・体制の構築を図ります。“立ち枯れ状態”になっている各地の養護老人ホームに財政支援を行い、機能を回復・拡充させます。

低所得で身寄りのない高齢者に住まいを保障する……日常生活は自立しているが体調に不安があり、同居家族がいない高齢者を低廉な費用で住まわせる「軽費老人ホーム(ケアハウス)」の増設、低所得者・高齢者・障害者などが、住み慣れた町でくらせるよう、国と自治体の責任で住宅整備・家賃補助を実施する「地域優良賃貸住宅」の拡充など、“孤立高齢者”“漂流高齢者”をつくらない施策を推進します。

 “保険給付の肩代わり”ではなく、地域福祉の本来の役割発揮を応援する……「独居老人」や「老老介護世帯」が急増するなか、ボランティアや民生委員による訪問活動、自治会による行事や交流、社会福祉協議会による様々な支援活動が高齢者に張りあいを与え、孤立を防ぐ貴重な役割を果たしています。安倍政権は「医療・介護総合法」で、要支援者への介護サービスに代わる“代替サービス”をこれらの多様な実施主体に任せるとしています。しかし、地域の高齢者を支えるボランティアやNPO、民生委員や自治会、社会福祉協議会などは、慢性的な予算と人手の不足、担い手の高齢化、後継者の不在などに悩まされており、過重負担の押しつけは新たな疲弊の要因となりかねません。専門職が提供する介護と、ボランティアなどの支援は、目的・性格・役割が違うものであり、強引なサービスの切り替えは、利用者の願いにそむき、福祉の現場に混乱と矛盾をもたらすだけです。

 要支援者サービスの“肩代わり”の押しつけをやめさせ、地域福祉で高齢者を支える、多様な実施主体の本来の役割発揮を応援します。地域のコミュニティを支える社会的資源と位置づけ、連携促進、財政的な支援、後継者づくりへの協力などを推進します。

医療・介護の連携をすすめる……「介護難民」増大の引き金となっている、病床削減・「患者追い出し」政策を中止し、すべての患者に必要な医療・介護を保障する体制を確立します。介護保険と医療保険の“併給禁止”のルールが現実にあわず、必要なケアが受けられないなどの問題の改善をすすめます。

 2006年の「医療改革法」で決められ、その後、実施が「延期」されてきた「介護療養病床の廃止」をめぐっては、今年11月の社会保障審議会・介護給付費分科会で、政府もその機能の必要性を認めざるを得なくなりました。厚労省は今後、介護療養病床を、老健施設や新区分の施設(療養機能強化型施設)へと再編していく意向ですが、廃止方針の誤りを認めるのなら、介護型療養病床をきっぱり存続させ、医療的ケアを必要とする要介護者の貴重な“受け皿”として強化・拡充を図るべきです。

 在宅医療を担う診療所や訪問看護に対する報酬を改善し、在宅生活を支える拠点として公的支援を強めます。

 政府が鳴り物入りで導入しながら、実施自治体236、実施事業所525(14年8月時点)という状況にとどまっている、24時間体制の「定期巡回・随時対応訪問介護看護サービス」の普及にむけ、報酬の改善や人員体制への支援を行います。

認知症対策を促進する……いまや認知症の高齢者は462万人とされ、軽度認知障害のある人も400万人いると推計されています(2012年時点・厚労省調査)。高齢者の3~4人に1人は認知症か、軽度認知障害という状況です。ところが、現行の介護保険では利用できるサービスに限度があり、“認知症のお世話はもっぱら家族任せ”という高齢者が膨大な数にのぼっています。今年4月、徘徊症状のある認知症の男性(愛知県在住)が電車にはねられて死亡した事故をめぐり、JR東海が、「監督が不十分」と遺族を訴えた事件について、名古屋高裁が91歳の妻に賠償を命じる判決を下したことが、各界に衝撃を与えています。このまま、認知症高齢者への対応を“家族任せ”にする状況が続けば、悲惨な事態はますます広がるだけです。

 認知症の早期の発見・診断、初期の相談と家族への支援から、終末期のケア・看取りまで、切れ目なく治療と支援を行う、医療・保健・福祉の連携体制の構築をすすめます。

 2012年9月、厚労省が、認知症の初期対応の重要性を強調する「認知症施策推進5ケ年計画(オレンジプラン)」を発表したことが、関係者から歓迎されています。その一方で、同プランが、精神科病院に入院している5万2000人の認知症の人を「できる限り短い期間での退院をめざす」と強調し、「ある月に入院した人」の50%を退院させる目標期間を、現在の「6ケ月」から「2ケ月」に短縮したことに、「受け皿もないままの追い出しになるのではないか」という不安、疑問が広がっています。

 給付費削減のための「追い出し」ではなく、安価に利用できるグループホームや介護施設の計画的増設など、認知症の人が地域でくらせる基盤の緊急整備をすすめながら、在宅復帰をすすめていきます。

認知症対策に真っ向から反する、“要支援者切り”“介護とりあげ”の改悪に反対します。

 

 

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