2014年総選挙政策

2014年 総選挙各分野政策

46、核兵器

「核兵器のない世界」と「非核の日本」実現のため力をつくします

2014年11月


 来年は広島と長崎に原子爆弾が投下されてから70年になります。「核兵器のない世界」の実現は、被爆者をはじめ日本国民の切実な願いです。それはまた、人類の生存がかかった緊急の課題でもあります。日本共産党は被爆国の政党として、核兵器全面禁止・廃絶のために力を尽くします。

 

<核兵器禁止条約の交渉開始をめざします>

 「核兵器のない世界」をめざす世界的な流れが生まれています。核兵器を禁止し、廃絶するための条約=核兵器禁止条約が国際政治の焦点となり、その交渉開始が現実の課題として提起されています。

 国連総会では、核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議が、加盟国の2/3をこえる多数で採択されています。マレーシアが1996年以来提案してきた決議とともに、昨年からは非同盟諸国によって、核兵器を禁止、廃絶するための「包括的な条約」の交渉を緊急に開始することを求める決議も提案、採択されています。

 しかし、核保有国は、その破綻が広く指摘されているにもかかわらず、いまだに核兵器で他国を威嚇する「核抑止力」論にしがみつき、直ちに核兵器廃絶に踏み出すことに抵抗しています。彼らは、「ステップ・バイ・ステップ」(=段階的に、部分的措置を積み上げること)を主張しています。しかし、この方法が前進を生み出せてこなかったことは明らかであり、「核兵器のない世界」を永遠に先送りするものです。

 こうしたもとで、多くの非核保有国が、核兵器の非人道性を告発し、その使用禁止と廃絶を求めていることはきわめて重要です。2014年10月、155カ国の連盟で発表された「核兵器の人道上の影響に関する共同声明」は、「いかなる状況の下でも決して再び(核兵器が)使われないことが人類の生存にとって利益」であるとし、それを「保証する唯一の道は、その全面廃絶である」と訴えました。これは、「核抑止力」論をうちやぶる力となるものです。それはまた、被爆者を先頭に日本の原水爆禁止運動が一貫して訴えてきた運動の「原点」でもあります。

 来年は五年に一度の核不拡散条約(NPT)再検討会議が国連本部(ニューヨーク)で開かれます。核兵器禁止条約は、その重要な焦点です。

 2010年のNPT再検討会議では、核保有五大国を含めた全会一致の合意で「核兵器のない世界の平和と安全」を実現することを確認しました。そして、「すべての国が、核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを確立するための特別な取り組みをおこなう」ことをよびかけました。

 来年の会議では、この合意の具体化と実践が求められています。核兵器禁止条約の交渉開始は、「枠組みを確立する」最も重要な柱の一つです。

 日本共産党は2010年NPT再検討会議にさいして、志位委員長を団長とする代表団をおくり、会議主催者、国連関係者、各国代表団に、被爆国・日本国民の悲願を訴えるとともに、「核兵器廃絶の目標そのものを主題として、この目標にいたるプロセスを検討する国際交渉を開始する」ことなどを要請し、会議成功のために尽力しました。

 29カ国から75政党が参加したアジア政党国際会議(ICAPP)第8回総会(9月18日〜20日、スリランカ、コロンボ)では、志位委員長を団長とする代表団が参加し、日本共産党の提案をうけて、「核兵器禁止条約についてのすみやかな交渉開始をよびかけた」宣言が全会一致で採択されました。

 核兵器禁止条約の交渉開始を求める署名が、地域や職場、自治体で広がっています。日本共産党は、被爆70周年にひらかれるNPT再検討会議で、「核兵器禁止条約の交渉開始」が国際社会の合意となるよう、世界と日本の反核運動と連帯し、力を尽くします。

<「核の傘」から脱却し、被爆国にふさわしい外交を>

 日本は、核戦争の惨禍を体験したただ一つの国であり、「核兵器のない世界」をめざす世界の流れの先頭に立たなければなりません。ところが、核兵器禁止条約の交渉を求める国連総会決議に棄権を続けています。「核兵器の人道上の影響に関する共同声明」にも一昨年までは、賛同を拒んできました。核兵器廃絶の流れの「足を引っ張っている」と言われてもしかたのない有様です。

 しかも、安倍政権は「個別的・集団的自衛権に基づく極限の状況」には、「核兵器の使用」を認めています(岸田外相「核軍縮と不拡散政策スピーチ」2014年1月20日、長崎大学)。被爆国であれば、いかなる場合でも、いかなる地にも、再びヒロシマ・ナガサキを繰り返してはならないと主張すべきです。

 

 日本は「核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませず」の「非核3原則」を国是としています(1976年4月27日、衆議院外務委員会決議など)。ところが、日本政府はアメリカとの間で、日本に寄港・飛来する米艦船・航空機の核兵器搭載については、「条約上の権利」として認める秘密の取り決めをしていました(「日米核密約」)。2000年の国会審議で、日本共産党の不破哲三委員長(当時)は、1960年の日米安保改定時に結ばれた「討論記録」という決定的な事実を示し、その存在を明らかにしました。

 この存在を認めた民主党政権は、「核持ち込みの明確な合意は存在していなかった」などいい、安倍政権もこれを否定していません。したがって、アメリカが必要と判断すれば、わが国に核兵器が持ち込まれる危険はなくなっていません。

 日本共産党は、「日米核密約」を廃棄し、「非核三原則」を厳守・法制化することをはじめ、名実ともに「非核の日本」に進む実効ある措置をとることを強く求め、その実現のために全力をあげます。

 

 日本政府が被爆国にふさわしい態度をとれないのは、日米軍事同盟のもとで、米国の「核抑止力」=「核の傘」に依存し続けているからです 。

 安倍政権は、今後10年間の軍事方針である「国家安全保障戦略」(2013年12月)で、「核抑止力を中心とする米国の拡大抑止(=「核の傘」)は不可欠」と明記しました。このようにアメリカの核兵器で日本を守ってもらうという姿勢が、問題の根本にあります。

 東アジアの平和にとって重要なことは、六カ国協議の枠組みと合意にもとづいて、北朝鮮の核問題を解決し、東南アジアの非核兵器地帯確立・強化のながれを東アジアにも広げて行くなどの、外交的努力です。被爆国・日本がそのイニシアチブを発揮することは、日本の安全にとっても重要です。

 日本共産党は、日本政府が軍事同盟と「核の傘」の鎖を断ち切り、被爆国の政府にふさわしい行動をとることを強く求めます。

 

<原爆被害への国家補償と被爆者施策の抜本的改善をすすめます>

 

 20万人近い被爆者(被爆者健康手帳保持者)の平均年齢は80歳にせまっています。被爆者は核兵器廃絶とともに、原爆被害への国家補償をもとめ、長年たたかいつづけています。政府は一刻も早くその願いにこたえて、被爆者施策の抜本的改善、原爆被害への国家補償に踏み切るべきです。

 これまで政府は原爆被害を過小評価し、原爆症に認定される被爆者はきわめて限定され、被爆者援護は不十分なものにとどまってきました。そのため被爆者は2003年から原爆症認定集団訴訟をたたかい、国の制度が被害の実態にあっていないことを司法の場で明らかにし、原爆症の認定基準を改善させてきました。

 その改善で認定者数は増えたとはいえ、いまだ被爆者手帳保持者の4%程度にすぎません。それは厚生労働省が依然として残留放射線の影響を軽視するなど、判決の内容をきちんとふまえた認定をしていないからです。これを是正させるために、2012年からは新たな訴訟もたたかわれています。

 一方、厚労省は原爆症認定制度のあり方について、被爆者代表も参加した「検討会」を行ってきました。しかし、昨年12月に発表された最終報告は、司法の判断にたった被爆者の要求を反映したものとはいえませんでした。新たに定められた認定基準でも、認定対象の拡大は小幅にとどまり、司法の判断と認定行政との隔たりが残ったままです。司法の判断にもとづいて、被爆者への援護・救済を抜本的に拡大することが強く求められています。

被爆者団体は、被爆の実態にふさわしく、狭い「認定基準」による「足きり」をやめ、全ての被爆者に一定の手当てを支給したうえで、障害の度合いに応じて加算する、という抜本的で、合理的な提言を出しています。

日本共産党は、被爆者の要求を支持し、原爆症認定制度を、現行法の改正を含め、被爆者の実情・要求にそったものとするために尽力します。被爆二世対策、また海外に住む被爆者が日本に住む被爆者と同等の援護措置を受けられること、被爆実態に見合った被爆者手帳交付条件の見直し(被爆地域の拡大)を進めます。

 政府は原爆被害に正面から向き合い、国家補償を実現する政策の根本転換をはかるべきです。原爆被害・戦争被害の「受忍」を強いる政策をとり続けることは許されません。

 

 (c)日本共産党中央委員会