2014年総選挙政策

2014年 総選挙各分野政策

41、いのち・人権の保障

性的マイノリティ、アイヌ民族、在日外国人―人権が尊重される社会をめざします

   2014年11月


 日本共産党は、社会のあらゆる面で憲法に保障された基本的人権が保障され、一人ひとりが大切にされる社会をめざします。とりわけ、社会的マイノリティとされる人びとの人権が尊重される社会をめざします。

 憲法13条は、「すべて国民は、個人として尊重される」と明記し、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定めています。これはどんな人でも人間らしく、安心して、幸福にくらす権利があることを宣言したものです。

 しかし、現状は、憲法が定めたこの規定からほど遠い状況にあります。

 安倍政権は、「経済成長」を最優先に、いわゆる「アベノミクス」といわれる政策をすすめてきましたが、この路線は首相自身が、「『世界で一番企業が活躍しやすい国』を目指します」(2013年2月28日の市政方針演説)と明言しているように、国民生活の向上はそっちのけに、株価対策を最優先にした政治であり、大企業・大資産家の利益を最大限に確保することが眼目です。

 その一方で、国民のくらしと営業は「そのうち良くなる」という事実上の無策ぶりで、ごく一部の大企業などをのぞいて、勤労者の賃金は上がらず、円安による物価高騰、

福祉、医療などの社会保障の切り捨てによって、格差は拡大する一方です。

 こうした国民生活切り捨ての政治のもとで、各層各分野で貧困がいっそう広がり、労働法の改悪による雇用破壊も深刻化しようとしています。日本は、先進国のなかでも貧富の差が拡大し、経済的な格差が、そのまま学力の格差や医療格差につながり、それが命の格差にまでつながる社会になっています。

 一方で、いまだに思想、信条による差別もなくなっていません。マンションや団地に共産党のビラや戦争反対のビラを配布したというだけで、不当に逮捕・拘留されるだけでなく、有罪とされる事件もあとを絶たない状況です。法律を制定する際には国歌・国旗は国民に強制しないと答弁しておきながら、全国各地の自治体と学校で「日の丸」「君が代」への強制がまかり通っています。

 憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と宣言し、国がそのための責任を果たすことをもとめています。ところが、この十数年のあいだに貧困と格差が広がり、「市場原理主義」と「自己責任」の名のもとに、国民にたいする国の責任が投げ捨てられてきました。とくに、生活保護制度への攻撃がいっそう激しくなり、貧困や格差が広がり逆行して、人間らしい生活が根底から脅かされています。競争主義の導入と「自己責任」論の広がりが、それに拍車をかけています。

 こんな状況は、憲法で「すべて人間は、個人として尊重される」と明記された社会に百八十度逆行するものです。いま必要なのは、憲法で定められた人権の規定を、社会のすみずみに根づかせるとともに、国民が主権者にふさわしく政治に参加できるように制度を整備・改善することです。いまこそ、人間らしい生活を保障させる政治の責任を明確にするとともに、東日本大震災でも大きな力を発揮した、社会的連帯を強めるとりくみを全国津々浦々に広げるときです。

 

性的人権を守り社会的地位向上をはかります

 一人ひとりの人間の性的指向や性自認(心の性)は、実に多種多様です。社会のなかには、「異性愛者」のほかにも、LGBT(エル・ジー・ビー・ティー)と呼ばれる人たちもいます。Lはレズビアン(女性同性愛者)、Gはゲイ(男性同性愛者)、Bはバイセクシュアル(両性愛者)、Tはトランスジェンダー(いわゆる性同一性障害など心と体の性が一致しなかったり違和をもったりする人)です。これらの人びとは、「性的マイノリティ」と総称されます。性的マイノリティの占める割合は、イギリス政府の調べでは英国人の6%(最新の人口で推計すると470万人)が、日本人の場合は5%とも言われています。日本共産党は、性的マイノリティの人権保障につとめます。

 欧米などでは性的マイノリティを保護し、その人びとの性的人権を守り、社会的地位を向上させるための施策の整備がすすんでいます。たとえば、同性同士の共同生活を事実上、夫婦同様のものとして公認し、権利を保証する「登録パートナーシップ法」や「パートナーシップ契約」(市民契約法)を制定している国は、ドイツ、フィンランド、英国、フランスなど世界各国に広がっています。

 NPO法人「EMA日本」(EMAはEqual Marriage Alliance の頭文字)によると、同性婚および登録パートナーシップなど同性カップルの権利を保障する制度を持つ国・地域は世界中の約20%の国・地域に及んでいます。

<同性婚が認められる国・地域>(19カ国・地域。一部地域で認められている国を含む)

 オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、アイスランド、デンマーク、フランス、南アフリカ、アルゼンチン、カナダ、ニュージーランド、ウルグアイ、イギリス、ブラジル、米国(ニューヨーク州、カリフォルニア州、ハワイ州など24州)、メキシコ(地域による)、エストニア(2016年より)

<登録パートナーシップなどを持つ国・地域>(25カ国・地域。同上)

 フィンランド、グリーンランド、ドイツ、ルクセンブルク、イタリア、サンマリノ、アンドラ、スロベニア、スイス、リヒテンシュタイン、チェコ、アイルランド、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、オーストラリア(州による)、イスラエル、ハンガリー、オーストリア、クロアチア、マン諸島、ジャージー諸島、ジブラルタル、マルタ、エストニア

 また、上記以外に、タイ、台湾、ベトナムなどで同性結婚法案が国会で審議されているといいます。このいずれかの国・地域で同性婚が認められれば、アジア初になります。

 一方、日本をはじめとして、社会のなかにはいまだに性的マイノリティへの誤解や偏見が根強く存在します。そのもとで、自分の自然な性的指向や性自認を否定的にとらえ、強い疎外感や社会不信、自己否定の気持ちにかられる人もいます。こうした人たちも、同じ一人の人間として、堂々と「自分らしさ」を主張でき、個性豊かに暮らせる社会をつくることが求められています。

 性別や性自認、性的指向を理由とした、就労や住宅入居などのあらゆる差別をなくし、生き方の多様性を認め合える社会をつくります。公的書類における不必要な性別欄を撤廃するよう求めます。未成年の子どもがいても性別の変更が可能となるよう、「性同一性障害特例法」を見直します。また、性同一性障害の適合手術には数百万円がかかるなど、当事者の負担は深刻です。保険適用に性同一性障害をくわえ、治療のできるクリニックの拡充を求めます。

 公営住宅、民間賃貸住宅の入居や継続、看護・面接、医療決定の問題など、同性のカップルがいっしょに暮らすにあたっての不利益を解消するため力をつくします。欧米各国のパートナーシップ法などを参考に、日本でも性的マイノリティの人権と生活向上、社会的地位の向上のために力をつくします。

 学校現場でLGBTの存在を知らせるとともに、性の多様性を尊重し、すべての人間が個性豊かに、「自分らしく」生きられる社会のあり方について認識を深められる教育を重視します。

 

アイヌ民族の生活向上と権利の擁護のために

 08年の通常国会では「アイヌ民族を先住民族とする国会決議」が全会一致で採択されました。これは、国連総会での決議「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(2007年9月13日)を踏まえたものです。従来、アイヌを「先住民族」と認めてこなかった日本政府も、国会決議をうけ、「政府として先住民族として考えている」(町村官房長官談話)と表明しました。これまでの政府によるアイヌ政策は、文化振興にたいして一定の焦点があてられてきただけで、アイヌの人々の生活向上には正面からとりくんできませんでした。しかし、09年7月29日に政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」は、アイヌの生活向上と権利を回復するための新法制定を求める報告書を提出しました。日本共産党は、アイヌ民族の生活と権利を擁護するために、こうした新法を含め、施策の抜本的拡充を要求します。

 一方、アイヌのもともとの居住地であり、いまもアイヌ民族がもっとも多くすんでいる北海道で、道議会議員や市議会議員が、それぞれ「アイヌ民族が先住民族かどうかには疑念がある」(2014年11月11日、道議会で)、「アイヌ民族なんて、いまはもういないんですよね。せいぜいアイヌ系日本人が良いところですが、利権を行使しまくっているこの不合理。納税者に説明できません」(8月11日のブログ)などと発言しました。これは、アイヌ問題にたいする今日の政府の到達点すら無視し、アイヌ民族の差別につながる重大な発言であり、議員としての資質が問われる主張といわなければなりません。

(※日本共産党北海道委員会が2014年11月28日に発表した「2014年総選挙北海道政策 力合せ、希望のもてる北海道をつくりましょう」に「5 アイヌの生活と権利を守る新法制定を」があります。ここからご覧ください

 

在日外国人の生活と権利向上

 厚生労働省の調査によれば、わが国で合法的に就労する外国人労働者(派遣、請負含む)は、126,729カ所の事業所に717,504人います(2013年10月末現在)。これは、前年同期と比べ35,054人、5.1%の増加となり、2007年に届出が義務化されて以来、過去最高となりました。

 国籍別では、中国が最も多く303,886人(外国人労働者全体の42.4%)。次いでブラジル95,505人(同13.3%)、フィリピン80,170人(同11.2%)の順となっています。

 日本共産党は、外国人労働者が人間らしい生活を営めるよう、労働条件の改善をはかることを要求します。永住外国人(特別永住資格を含む)に地方参政権を保障する立法の実現に全力をつくします。地方自治体の運営は、本来、すべての住民の参加によってすすめるのが憲法の保障する地方自治の根本精神です。永住外国人を地方自治の担い手としてむかえ、日本国民と等しく参加する政治を実現することは、わが国の民主主義の成熟と発展につながります。

 

個人情報とプライバシーの保護のために

 個人情報保護法に、自己情報の取り扱いに本人が関与し選択できる「自己情報コントロール権」を明記するよう要求します。思想・信条や病歴・犯罪歴などの収集・取り扱いは、原則禁止すべきです。個人情報の漏えいが心配される住民基本台帳ネットワークの中止を要求します。個人情報保護措置の策定や、漏えいの恐れがある場合のネットからの切断措置など、自治体として可能な対策をとらせます。

 住民基本台帳の閲覧制度を改善し、個人情報は原則非公開とすることを求めます。

 公共サービスの窓口業務の民間委託化に反対し、住民のプライバシーを守らせるようにします。

 

自殺防止に全力を尽くし、自殺者をつくりださない社会をめざします

 わが国の自殺者数は、1998年以降、14年連続で3万人を超える状態が続いてきました。ようやく2012年になって15年ぶりに3万人を下回って2万6,433人となり、2013年は2万7,283人でした。2年つづけて3万人を下回ったとはいえ、いまだに3万人近い人びとが自殺に追い込まれる社会は、やはり異常といわなければなりません。

自殺者のなかでもとくに重大なのは、20代を中心とする若い世代の自殺率が、格段に高いことです。とりわけ、15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっています(日本の2009年死因別死亡率は、自殺20%、事故8%、悪性新生物5%)。こうしたことは国際的にみても異常な水準にあり、G7(主要7カ国)では日本だけです。自殺の理由がどうあれ、本来、もっとも未来あふれる若い世代がみずから死を選ぶような社会はきわめて異常であり、本人、家族はもとより、日本社会と未来にとっても一刻も放置できない問題です。自殺率が減少傾向を示しているとはいえ、現状のまま放置することは、絶対に許されません。

 自殺の理由でもっとも多いのは、「健康問題」であり、つづいて「経済・生活問題」があります。また、職業別でみれば、「無職者」が全体の半数以上を占めていることも大きな特徴です。これらのことは、日本社会のあり方――とくに憲法第25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」――との関係で自殺の問題を考える必要があることを提起しているといえます。

 自殺を誘発しかねない「社会的要因」をとりのぞくためにも、「人間に温かい社会」に変え、それに必要な施策をすすめることが重要です。そのために政治と行政ができることは無数にあります。なによりも、まず、この間の「貧困と格差」を拡大してきた路線を根本的に転換し、社会保障や医療制度を改悪してきた政策を改め、すべての国民が、憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営める」生活を送れるような施策を講じる必要があります。

 消費税の税率は2014年4月から8%に引き上げられました。安倍政権は、15年10月から税率を10%に引き上げる予定を「先延ばし」することを表明しましたが、いま必要なことはきっぱり再増税を断念することです。

 大企業や資産家が「アベノミクス」で浮かれているときに、庶民・勤労者は低賃金と物価高であえぎ、中小・零細企業も営業難・経営危機の大波をかぶっています。自殺者の増加を許さず、その原因をとりのぞくためにも、国民を塗炭の苦しみに陥れる安倍政権の暴走はただちにストップさせなければなりません。

 自殺問題の解決にむけて、日本共産党は当面、以下のような施策をただちに実行に移していくことを求めます。

 ――不安定雇用の急速な拡大に歯止めをかけ、非正社員の権利を守る。長時間・過密労働やサービス残業を根絶する。

 ――大企業による下請けいじめや身勝手を規制し、中小企業の経営を守るルールを確立する。

 ――各自治体や、自殺・貧困問題にとりくむNPO(非営利法人)などを中心に自殺対策の努力が広がっており、こうした機関・組織などと連携しながら、自殺の未然防止、問題の改善と解決に向け努力する。

 ――年金・介護・医療など社会保障の負担増、サービス切り捨てをやめ、社会保障を予算の主役にすえる。生活保護が必要な人を切り捨てるような行政を改める。

 ――競争と管理の教育から、子どもの発達と成長を中心にすえた教育に転換する。

 警察が収集し、内閣府が保有している地域別、職種別などの詳細な自殺をめぐるデータが非公表とされています。自殺対策をすすめるために、プライバシーに配慮しつつ、データの公表を求めます。

 こうした施策の充実、拡充とともに、うつ病対策などのメンタルヘルス(心の健康)の問題にも、政府や行政が積極的に対応するようにしなければなりません。心の病を患っている人にたいし、適切なケアを施す体制を、職場や地域に確立することが求められています。

 

シベリア・モンゴル抑留者の実態調査、遺骨収集等の取り組みをすすめます

 「戦後強制抑留者に係る問題に関する特別措置法(シベリア特措法)」(2010年6月)の成立・施行から4年余りが経ちました。シベリア特措法は、終戦直後、旧ソ連のシベリアやモンゴルに抑留され、強制労働に従事させられた元抑留者や遺族のねばり強い運動によって成立したものです。このシベリア特措法に基づき2012年3月までに、元抑留者には特別給付金(25万円~150万円)が支給されました。

 しかし、シベリア抑留問題には大きな課題が残されています。ひとつは、シベリア特措法は、特別給付金受給者について日本国籍を有する生存者としたために、日本軍の軍人・軍属だった台湾・朝鮮半島出身等の強制抑留者が対象から外されていることです。こうした日本国籍以外の強制抑留者に応える方策の検討が必要です。

 さらに、政府にはシベリア特措法第13条に基づく責任をしっかりと果たしていくことが求められます。第13条は、政府に対して、強制抑留の実態調査等についての基本方針を策定し、強制抑留下での死亡確認や遺骨、遺品の収集を行い、またシベリア抑留問題に関する真実の究明、過酷な抑留体験の次世代への継承などの総合的な取り組みを、国が責任をもって実施することを法定化しました。これは、特別給付金の支給にとどめず、この歴史の真実を広く国民に広げ、次世代にも継承してほしいという元抑留者の強い願いが込められたものです。政府は、「強制抑留の実態調査等に関する基本的な方針」を閣議決定し予算も措置されてきましたが、その取組はまだまだ十分なものではありません。

 シベリア特措法以後も、元強制抑留者や遺族の運動やシベリア抑留問題を研究する国内外の識者や専門家等の努力のなかで、新たな資料や事実も明らかになっています。これらを幅広く結集し、情報開示の徹底などを通じて、シベリア抑留の真実を国民に広げ取り組みをいっそうすすめていくことが必要です。

 

 

 (c)日本共産党中央委員会