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日本共産党

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赤旗

2013年参議院選挙各分野政策

26、障害者・障害児

「基本合意」「骨格提言」にもとづいた障害者総合福祉法の制定をめざし、障害者権利条約を実効性ある批准にする国内法の整備をすすめます

20136


「基本合意」「骨格提言」にもとづいた障害者総合福祉法の制定を

 2006年施行の障害者自立支援法は、障害者が生きるために不可欠なサービスを「益」とみなし、障害が重くなるほど負担が増える、原則1割の「応益負担」を強いる生存権侵害の悪法です。自立支援法は「構造改革」路線ですすめられてきた福祉を市場化・商品化し、自己責任による「買う福祉」を障害分野に持ち込んだものです。

 障害者・関係者は大同団結した運動でこうした福祉のあり方にノーをつきつけ、国会行動や毎年の大集会を成功させ、自立支援法の廃止を求めて、「自立支援法違憲訴訟」を全国いっせいに提訴しました。

 2010年1月に国は、自立支援法を廃止し新法を制定することを明記した「基本合意」を結び、和解しました。国は障害者参加による「障がい者制度改革推進会議(「障害者政策委員会」に継承)を設置し、障害者権利条約を批准するための国内法の整備をすすめる「改革」に着手しました。推進会議のもとで自立支援法廃止後の新法の中身を話し合う「総合福祉部会」による「骨格提言」がまとめられました。しかし、昨年6月に成立したのは「基本合意」や「骨格提言」を無視した、障害者自立支援法の実質的な延命である「障害者総合支援法」でした。

 政権交代しても、国が障害者と結んだ「基本合意」の重みは変わりません。国が審議を委託した部会で決めた「骨格提言」の尊重は当然です。

  いま、安倍政権は、かけがえのない生活や平和をおびやかす憲法改悪を維新の会やみんなの党と一緒にすすめています。社会保障では、とんでもない医療・介護・年金などの改悪を「成長戦略」「骨太方針」などで打ち出し、暴走しています。日本共産党は、社会保障を拡充するための対案、財源の見通しをしめす改革を提案し、きっぱりと安倍政権とたたかっている政党です。

日本共産党は総合支援法の見直しをすすめながら、「基本合意」と「骨格提言」にもとづいた「障害者総合福祉法」の制定をめざします。障害者権利条約の批准にふさわしい国内法の整備をすすめていきます。

 障害者が安心して暮らせる社会は、すべての人に生きやすい社会です。改憲を許さず、生存権が保障される社会をつくるために日本共産党は全力をあげます。

 

(1)障害者総合支援法を見直す

応益負担はすみやかに廃止し、利用料は無料に

 「障害者は同年齢の市民と同等の権利を有する」――1981年「国際障害者年」以降、障害者権利条約にもこの理念は引き継がれています。障害を理由とした不利益は、社会全体で支えるべきで、すべての人が安心して暮らすために、国際社会では福祉は無料が当たり前です。

 政府は2010年に強引に「改正」した自立支援法「つなぎ」法によって、「応能負担」に変えたとし、わが党の追及に対して、応益負担の問題は解決済という態度に終始しました。しかし、1割の定率負担は残され、低所得世帯は無料になったといっても、負担上限額は変わりません。「応益負担」制度は廃止し、すみやかな無料化を求めます。

 配偶者の収入認定はやめて、本人所得のみの収入認定とします。障害者の親・きょうだいなどの扶養義務はなくします。

支給決定は障害者の希望の反映を

 総合支援法では2014年に障害程度区分認定から障害支援区分認定に変えるとしていますが、サービス支給量抑制のための装置であることに変わりありません。障害者参加で区分認定の制度内容を早急に協議し、支援の必要量や希望が保障されるしくみにすべきです。

当面、知的障害や精神障害はもちろん、難病や発達障害なども含めた、障害特性の反映する支給決定を求めます。

グループホームとケアホームの一元化は安心して暮らせる場に

 総合支援法では、2014年4月からグループホームにケアホームを一元化するとしています。報酬の引き下げや職員配置の切り下げなど「低い方に合わせる」一元化ではなく、安心して暮らせる場にふさわしい体制や条件整備の保障を求めます。

「新体系」の見直しを

 「新体系」を見直し、骨格提言で示されたような「全国共通のしくみで提供される支援」で、就労支援、日中活動支援、居住支援、補装具・日常生活用具支給などをおこない、「地域の実情に応じて提供される支援」では居住の場である福祉ホームや支給決定プロセスを経ずに柔軟に利用できるという支援体系を求めます。

 就労分野も、障害者の就職を受け入れる企業は依然として少なく、不況下で真っ先に障害者が解雇されているのが現実です。障害者が働く意義は多様で豊かです。「骨格提言」が示した、就労保障とともに日常生活の支援も拡充する新たな事業体系の検討を、強く求めます。

 低水準にある小規模作業所と地域活動支援センターにたいする補助金を、実態に見合った水準に引き上げます。

 2011年10月から、重度の視覚障害者の移動支援事業が「同行援護」として自立支援給付に位置づけられました。「地域間格差をなくすため」に国の事業になったはずが、依然として利用時間に地域間格差があります。視覚障害者に対応できるヘルパーの養成を拡充し、十分な支給量を保障するよう求めます。

地域支援事業の自治体間格差の解消を

 地域生活支援事業の予算を抜本的に拡充し、利用料やメニューの地域間格差をなくします。移動支援事業、意思疎通支援事業などの利用料を無料化し、国の制度として位置付けます。

 身体障害者手帳をもたない聴覚障害者など、必要とするすべての人に手話通訳や要約筆記の派遣をうけられるようにします。

 高い専門性に見合った手話通訳者やコーディネーターの身分保障を求めます。

日額払いを月額払いへ

 日額払いを月額払いに戻し、正規職員の配置を中心とした雇用形態ができるよう、報酬の底上げをおこないます。

 福祉労働者の賃金を、全額国庫負担により、月4万円の引き上げをはかります。給食・事務・施設長など削減された職員配置基準を復活させるとともに、グループホームの夜勤体制の改善をすすめます。

発達障害者の特性をふまえた支援に

 発達障害は成人になって診断されるケースも増え、全世代の問題としてのとりくみが欠かせません。障害程度区分認定制度を改め、医療、雇用、教育などすべてにわたって障害特性をふまえた支援を拡充します。

障害の谷間をなくす

 2011年の障害者基本法の改正審議で、障害の範囲に難病等も含むことが答弁で明確にされました。それを受けて障害者総合支援法でも、障害の範囲に新たに難病等が含まれることになりました。「難病患者等居宅生活支援事業」の対象であった130疾患+関節リウマチからのスタートです。

 障害福祉サービスの対象は、必要とするすべての難病患者が受けられるようなものにすべきです。対象疾患は「難病等」の「等」に着目し、「難病」の範囲に限らず、確定診断がなくとも、疾患による障害で福祉サービスが必要と医師が判断した場合はサービスを受けられるようにすべきです。また、障害者団体の意見をふまえて支給決定のしくみを抜本的に見直すとともに、当面、難病の特性を十分に反映したしくみにするよう求めます。

 依然として必要にもかかわらず福祉利用の対象からもれてしまうあらゆる障害者をなくすよう、障害認定や手帳制度のあり方を含めて見直します。

 

(2)地域でのゆたかな生活の保障を

住まいの選択の保障

 日本の障害福祉施策が長い間前提としてきた家族介護を脱却し、社会的ケアへ転換がはかれるよう、住まいの基盤整備をすすめます。

「障害福祉基盤の緊急整備5カ年計画」を策定し、特別立法を制定します。

ホームヘルプサービスや移動支援の拡充など、在宅支援を保障し、入所施設でも外部サービスを使えるように改善します。

在宅支援のためにも、家族の休息を保障するためにも、ショートステイができる入所型の小規模施設の増設や、「医療的ケア」を必要とする人たちへの支援策を拡充します。

待機者が増え続けている入所施設やグループホームを公的責任で計画的に増やし、障害者がすみやすい公営住宅の建設をすすめます。公有地の活用が積極的にできるよう国や自治体に求めます。

相次ぐ障害者・障害児世帯の孤立死や孤独死を防ぐためにも、ソーシャルワーカーなどの力の発揮ができる相談支援体制を整え、公的責任を中心としたネットワークをすすめます。

年金の保障

 障害基礎年金を1・2級とも大幅に引き上げ、あわせて最低保障年金制度の実現で底上げをはかります。(最低保障年金制度については、各分野政策の「(3)年金」の項目をご覧ください)。

無年金障害者への特別給付制度が2005年4月から開始されていますが、障害基礎年金と同額に引き上げるとともに、国籍要件のために加入できなかった在日外国人など、支給対象をさらに広げるよう改善をすすめます。特別給付金制度はあくまでも福祉的措置であり、年金制度の枠内での根本的な解決が必要です。国の不作為や年金制度の不備を認めて、障害基礎年金の支給を行うべきです。

 初診日認定は、精神障害や内部障害のように発病時期が特定困難な場合や、現在の状態が基準に十分該当するにもかかわらず、初診日が証明できないために障害年金が受けられない場合には、実態に即して支給すべきです。

労働の保障

 法定雇用率の厳守を徹底し、さらに法定雇用率を引き上げます。

障害者雇用促進法が「改正」され、精神障害者の雇用義務化が位置づけられたものの、その実施は施行から5年先です。早急な義務化を求めます。事業主が、求人・採用や賃金の決定、待遇など障害者であることを理由に不当な差別的扱いをしてはいけないという規定に、断続的、周期的に障害が出て職業生活上相当制限がある難病患者などが含まれることが明確になりました。引き続き障害者手帳のない難病・慢性疾患患者も法定雇用率や雇用の義務化の対象になるよう求め、働き続けるためのさまざまな支援をすすめます。

 病状や障害が進行しても働き続けられるよう、通院や病気休暇を保障します。

ジョブコーチ制度などを充実させ、職業訓練や資格取得の支援制度を拡充します。

障害者、難病患者の移動支援において、通勤のためのヘルパー利用をすみやかに認めるべきです。

 労働条件の切り下げやパワーハラスメントなどを防止するためのしくみを構築し、障害者のはたらく権利をまもります。

 保護雇用制度を創設し、所得保障をおこないます。

 あんま・はり・灸の資格者のはたらく場を保障します。自治体の雇用試験に点字試験を位置づけます。

教育の保障

 学校のバリアフリー化、通学できない子どもたちの在宅学習の保障、臨床心理士をはじめとしたメンタルサポートの実施、医療サポートの充実をはかります。

教職員の配置の充実など十分な教育予算をとり、あらゆる場で学べる教育環境をととのえます。

特別支援学校の異常な過大・過密を解決し、「学校設置基準」を策定します。

それぞれの子どもに最適・最善の教育がなされるよう、どの子も排除されないインクルーシブ教育を実現します。

被災時や復興の保障

 東日本大震災では、障害者の死亡率が住民全体の2倍以上であるという調査が出されています。国として被災障害者の実情をすみやかに調査し、震災にそなえての対応を話し合う検証委員会などの設置を求めます。

被災地や避難先で暮らす障害者の制度やサービスの利用、移動支援、仮設住宅や復興住宅などのバリアフリー化をはじめとした住環境の整備などの支援を、引き続きおこなえるようにします

防災、復興の部局に障害当事者が参加できるようにします。

 

(3)障害者の医療の拡充を

すべての国民は貧富の差にかかわりなく医療を受ける権利があり、国が医療を保障する責務を負うというのが、生存権をさだめた憲法25条の精神です。日本共産党はこの立場から、疾患・障害の区別なく、窓口負担ゼロで医療を受けられる日本をめざします。当面、現行の窓口負担を「子ども〈就学前〉=無料、現役世代=2割、高齢者=1割」へと引き下げます。そのなかでも、障害者や難病患者の医療費は、優先してすみやかに無料にすることが当然です。

自立支援医療を無料化に

 自立支援医療の低所得世帯のすみやかな無料化を実施し、低所得世帯以外についても無料化を求めます。自立支援医療の対象拡充をすすめます。

更生医療制度はリハビリテーション医療の観点から身体障害者手帳所持を条件からはずし、障害の除去・軽減のみでなく悪化を防ぐための治療や予防も含めた治療にも適用できるよう対象を拡大します。

 「重度かつ継続」の対象範囲を拡大し、断続的であっても高額の医療費がかかる場合にも適用を求めます。また、「重度かつ継続」者の入院時食事療養費の負担をなくします。

 育成医療制度は「児童の健全育成」の観点から本来の児童福祉法に戻し、障害のある子どもとともに、「放置すれば将来障害が残ると予想される子ども」を今後とも対象に含むようにします。「経過措置」とされている中間所得層の負担軽減措置を恒常化した制度にします。

重度心身障害者医療費助成制度を国の制度に

 すべての自治体で実施している重度心身障害者(児)医療費助成制度を、国の制度として確立します。また、すべての障害者を対象にし、難病以外の治療に難病患者も障害者として使えるようにします。

入院時の介護支援について、医療と福祉の垣根をはずし、実態的な支援がおこなえるよう求めます。

 

(4)精神障害者の医療・福祉の向上を

 子どもから高齢者まで全世代の問題としてメンタルヘルスにとりくみ、精神疾患・障害の理解と対応をすすめ、精神医療や福祉の向上をはかります。

自立支援医療の低所得世帯のすみやかな無料化を実施し、低所得世帯以外についても無料化を求めます。

「社会的入院」をなくし、精神障害者の住まいの場や相談支援体制を保障します。

薬物依存症者の治療体制や社会復帰の支援を強めます。

精神科病院への医療保護入院の「保護者制度」の撤廃は当然であるものの、「家族等の同意」は保護者制度の弊害を引き継ぎ、家族の過重負担を解消することはできません。また、安易な強制入院も危惧されます。患者の思いを代弁する「代弁者制度」を導入し、精神保健指定医2名による判定や第三者機関として精神医療審査会の機能拡充などを合わせ、患者の権利擁護のための制度を拡充すべきです。

 

(5)介護保険の優先原則の廃止を

 「介護保険優先原則」によって、65歳になった障害者が各自治体で障害福祉利用を制限される問題が生じています。「基本合意」「骨格提言」にそって介護保険優先原則は廃止し、介護保険の対象年齢でも従来から受けていた支援を継続して受けられる制度になるよう求めます。介護保険制度を「改革」し、低所得者の利用料無料化を早急に求めます。

介護保険と障害者福祉の「統合」は障害者の実態を無視したものであるとともに、介護保険料の徴収年齢を引き下げて、国民に負担増を求めることにねらいがあり、反対です。

 

(6)交通、参政権、情報のアクセス保障を

バリアフリー、運賃割引制度の拡充を

 駅のホームドア、可動式ホーム柵の普及や、ノンステップバスの導入をすすめ、交通や建物などのバリアフリー化をすすめます。障害者用・オストメイト対応のトイレを普及し、ユニバーサルシートをあわせて設置します。

JR・航空運賃や高速道路の通行料金の割引制度の改善・拡充にとりくみます。精神障害者の運賃割引制度の改善を求めます。

制度から排除されているてんかん・難病などの患者・障害者を運賃割引の対象にすることを求めます。

参政権・司法の場の保障を

 障害者の参政権を保障するため、手話や字幕をすべての政見放送に義務づけるとともに、点字による選挙広報などの改善、在宅投票制度の拡充、投票所のバリアフリー化などをすすめます。

被後見人の選挙権の回復を認めた判決により、国会は公職選挙法を改正して回復を認めました。被後見人が支障なく選挙権が行使できるよう、国や自治体の環境整備を求めます。

 障害者の裁判参加を保障するために、障害者基本法で定められている司法における障害者の意思疎通のための配慮や職員研修の実施にもとづき、障害者を交えた研修などの実施を求めます。
 裁判での点字文書の拡充や手話通訳費の公的負担を求めます。

情報・アクセスの保障を

 アクセシブルな情報通信技術の調達を政府に義務づけるとともに、「新技術」の開発段階からの障害者の参加保障を求めます。

障害者対応のATMの普及や、窓口対応の改善をすすめます。

紙幣について、サイズの差別化をはかり、さわってわかりやすくするなどの改善を求めます。

読書や文字の読み書きに困難がある高齢者や障害者の「読書権」を保障し、公的機関などに読み書き(代読・代筆)情報支援員の配置ができるよう求めます。

災害時にも有用なテレビとラジオが聴取できる携帯用の製品の開発・普及をすすめます。テレビの解説放送の拡充を実施します。

 

(7)障害児の療育・生活の保障を

 すべての子どもたちが、気軽に療育を受けられる環境改善が求められます。障害が確定していない子どもたちも含めて、発達を保障されることは当然です。保護者に自己責任が負わせられる過酷なしくみは、総合支援法でも変わっていません。契約制度をやめ、応益負担をなくし、月払い報酬にして、公的責任で適切な福祉サービスが利用できるように改めます。

 2012年4月から障害児の通所支援は児童発達支援センター、医療型児童発達支援センター、放課後等デイサービスなどに再編されました。しかし、全国のすみずみに療育が広がったとはいえません。国は実態を調査し、量的な整備計画をたて、支援の中核的な役割が求められる児童発達支援センターの機能強化を保障すべきです。

 放課後等デイサービスは、専門性のある正規の指導員の配置が可能になるようにするとともに、事業規模による報酬単価の格差をあらためます。

 被虐待児の入所の増加などから、入所施設の子どもたちの障害の幅が広がっています。施設空間や生活集団の編成の困難を解決する職員配置などを求めます。

 保育所等訪問支援事業の保護者負担をなくし、自治体ごとの巡回指導も引き続き保障します。

 子どものためのショートステイやホームヘルプに対応できる事業所を増やすため、モデル事業の実施を求めます。

 

(8)障害者権利条約の批准にふさわしい国内法の見直しを

 障害者権利条約の批准は、国として内外に障害者の権利保障を確実にすすめていくスタート宣言です。障害にかかわるすべての法が批准に値し、批准後も各法が権利条約の水準で進化・発展していくよう力をつくします。

障害者基本法を見直す

 2011年に改正された障害者基本法は、障害者権利条約の水準からは不十分でしたが、「障害のあるなしにかかわらず基本的人権が尊重される」「共生社会の実現」などが法の目的に盛り込まれたことや、史上初めて法律に、言語に手話を盛り込んだことなど、一定の前進がありました。障害の範囲については、「継続的な」状態ばかりでなく、「周期的または断続的」を追加することで難病などより広い障害を含むということを明確にするために共産党は修正案を出し、修正はされなかったものの、国会の質疑で明確に難病を含むことを明らかにさせることができました。今回反映されなかった権利条約の大事な柱の1つである「合理的配慮を行わないことは差別である」などを盛り込むことを求めます。

障害者差別禁止法制の実現を

 何が差別かを定義し、差別を受けた際に当事者同士の話し合いによる解決を基本とする司法による救済の規範となる法制度が、差別禁止法です。障害者権利条約第1条「障害のあるすべての人によるすべての人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、固有の尊厳の尊重を促進すること」という当たり前の目的を実現するためのものです。

障害者政策委員会「差別禁止部会」は昨年9月に障害者差別禁止法のあり方についてまとめた「意見書」を発表しました。

2013年6月に成立した「障害者差別解消法」は意見書の水準には及ばないものの、障害者の切実な願いを踏まえて暮らしを一歩でも前進させるため、日本共産党は賛成しました。2016年度の施行予定をはやめ、見直しを先送りせず順次実施するよう求めます。

差別についての定義や、「必要かつ合理的な配慮」は障害者権利条約の合理的配慮と同様であること、合理的配慮の不提供が差別であることなどの明記を求めます。

事業者による合理的配慮の提供は「努力義務」とされましたが、「義務」とすべきです。

紛争の解決や救済のしくみは、既存のしくみの活用が中心となっていますが、法の施行状況や差別事例の分析を通じて実質的な救済のためのしくみの創設・拡充をすべきです。

虐待からまもる体制整備を

 2011年の「障害者虐待防止法」施行以降、全国の自治体が1033件の虐待の認定をしていたことが新聞社の調査で判明しています(13年5月9日「読売」)。市町村障害者虐待防止センターの設置などを促進し、専門知識を持つ職員の配置や保護施設が確保できるよう、国の対策をすすめます。

 

(9)財源は消費税増税ではなく大企業や富裕層の負担で

 GDP比でドイツの3分の1、スウェーデンの5分の1など、諸外国に比べてきわめて低い(国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計」2010年度版)、障害者予算を抜本的に増額します。

 消費税増税は所得の低い人ほど負担が大きく、障害者にもっともふさわしくない税金です。日本共産党は 昨年2月に「消費税増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言」を発表し、消費税増税に頼らない別の道をさし示しています。①不要不急の大型公共事業、軍事費、政党助成金など歳出のムダを一掃し、富裕層や大企業に応分の負担を求める歳入歳出の改革にとりくむ、②大企業がためこんだ260兆円もの内部留保を国民経済に還元させ、国民の所得を増やして経済を健全な成長にのせることにとりくみ、「先進水準の社会保障」への転換をはかっていきます。

 

 

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