各分野政策(2013年)

2013年参議院選挙各分野政策

19、住宅・マンション

20136


 良好な居住環境の住まいを確保し、安心して住み続けたい、これは多くの人々の共通の願いです。そしてこの願いは、個人の努力まかせではなく、権利として保障することが国際的な流れとなっています。

 日本国憲法ではその第25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する。」と宣言し、社会福祉、社会保障増進の努力義務を国に課しています。また「個人の尊重、生命、自由、幸福追求の権利」を規定しています。

 1990代後半に仕事と住まいを同時に失い路頭に迷う、家賃滞納を理由に暴力的に退去を強要する「追い出し屋」の横行、住宅ローン滞納で多額の債務を抱えたまま住み慣れた持家を失う事態が顕在化しました。また家族構成の変化、高齢化の進展などによる地域コミュニティの喪失、「孤立死」の多発が社会問題になっています。

 また東日本大震災では、多くの人々が津波、地震で住まいが損壊し、いまなお11万人余が劣悪な仮設住宅等に居住を余儀なくされています。生活再建支援法による支援金の額が過小であるため、恒久住宅建設が困難になっています。

 これらは、住まいについて人間らしく生きる権利が損なわれていることを示しています。いまや住まいを権利として位置づけることを本格的に検討すべき時期に来ています。

歴代政権の住宅政策

 我が国の住宅政策は、公営・公団(現在のUR住宅)・公社住宅など公的住宅供給と持ち家支援策である公庫住宅供給という2本柱で進められてきました。しかしその中でも明確に持ち家支援策が優先的に行われてきました。

 その結果、持ち家戸数は全住宅の61%を占め、次いで多いのは民間賃貸住宅で27%、公的な住宅はわずか6%にすぎません。(2008年「住宅・土地統計調査結果」)

 住宅供給をもっぱら民間市場に任せ、公的支援を縮小していく施策が一貫しておこなわれてきました。2006年6月の住宅宅地審議会答申では、新たに「市場重視」という概念が登場し、「国民生活の基盤である『居住』についても、競争を通じた適正な価格の下で多様な選択が可能になるようにしていくことが必要」とし、「公の役割は、『市場の環境整備』『市場の誘導』『市場の補完』に限定」するとされました。

 このような流れを受けて、2006年6月に「住生活基本法」が、07年に「住宅セーフティネット法」が制定され、低額所得者、被災者、高齢者など住宅の確保に特に配慮を要する者の「居住の安定の確保」を謳ったものの 、「居住の権利」は明記されず、結果として公的保障を限られた貧困層に絞り込む内容となっています。また、公的住宅も含め、住宅の計画的な建設を明記した「住宅建設計画法」も廃止されました。

 前・民主党政権もこの路線を継承しつつ、住宅部門における「構造改革」を一層鮮明にし、UR(都市機構)住宅の削減・民営化を推し進め、“地方主権”に名のもとに、公営住宅の削減と入居階層の貧困層の限定化をすすめていきました。また、住宅金融公庫も、住宅ローンを証券化(住宅ローンを証券化して資本市場で売買)する機関へと姿を変えられました。その結果、銀行の住宅ローン供給が急増し、大規模な市場が確保されています。住宅金融市場を、銀行などの金融機関に明け渡したものです。さらに、安全検査の民間まかせと安上がり競争を奨励した建築行政によって、耐震強度偽装事件やエレベーターの異常な事故が起きるなど、住宅の安心・安全も脅かされています。住宅地に高層、超高層マンションが入り込むなど、住環境や景観の破壊も深刻です。

 日本共産党は、この住宅政策を転換し、国民の居住の権利を明確にし、その保障を基本とするよう「住生活基本法」(「住宅基本法」)を抜本的に改正します。その内容としては、(1) 国民の住まいに対する権利の規定と国自治体の責務の明確化、(2) 公共住宅の質量ともの改善の明確化、(3) 耐震性や居住スペースなど、めざすべき居住・住環境の水準の法定化、(4) 適切な居住費負担の設定と家賃補助制度の創設、(5) 国民の居住権を守るための住宅関連業者・金融機関などの責務を明確化し、市場任せでなく国・自治体が積極的に介入するなどです。そして、以下のようなとりくみを地域からすすめ、国民の居住生活の改善・向上をめざします。

住まい喪失者緊急対策……政府は失業に伴う住まい喪失者対策として「住宅手当緊急特別支援事業」を創設しましたが、34万人の対象者に対してその利用状況は8万5千人程度にとどまっています。要件と手続きの緩和、手当支給期間の延長、さらに失業していないものの、収入が低いなどのため、劣悪な居住環境におかれているものに対しても支給するなどの改善を図ります。

雇用促進住宅の全廃方針を撤回し、居住権を保障します……定期契約者も含めて入居者の声を十分に聞き、納得のいく話し合いをおこない、一方的な住宅廃止や入居者退去の強行をやめさせます。低賃金や不安定雇用などで住居を確保できない人たちの住宅対策の一環として、雇用促進住宅の新たな活用をすすめます。

公営住宅の改善……公営住宅は、法制度の改悪で、ごく限られた低所得者しか入居できないため、自治会活動など、住民の共同活動も困難を抱えています。しかも、東京都をはじめ大都市は、新規建設をおこなわないため応募倍率が32.1倍(東京)になるなど、現在の計画では、住宅に困っている人の需要を充足することはできません。

 公営住宅の新規建設をすすめるとともに、UR住宅の空き家や、民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅にするなど、多様な供給方式の活用で公営住宅を大幅に増やします。公営住宅については、現行の月収20万円から15万8千円への入居基準の引き下げをやめ、若い子育て世代も入居できるようにします。子供への居住継承は復活します。また「孤立死」を防ぐため単身高齢者見守りなどをおこなう自治会に対する支援制度を強化・充実します。家賃も収入にあったものにし、収入が増えると不当に高い家賃を課して居住者を「追い出す」ことをやめさせます。期限付き入居制度である定期借家(期限がくれば理由のいかんを問わず契約更新をおこなわない)、入居時の資産調査などをやめさせます。

公団住宅(UR住宅)の改善……大都市部の住宅不足を補うため中堅所得者を対象として誕生した公団住宅(UR住宅)・公社住宅は、今では新規建設から全面撤退しました。そのうえ10年間で8万戸削減する「削減・民間売却」方針を実施し、耐震強度不足を理由にした取り壊しを進めようとしています。また「家賃改定ルール」により、3年ごとに家賃が値上げされるなど、家賃負担が重くなっています。建て替え後の家賃が2~3倍にもなり、住み慣れた団地を去らなければならない居住者が増えています。また、「団地再生」の名による敷地の民間売却がすすみ、隣地への高層マンション建設など、地域社会が大きく変わる事態も進行しています。

 UR賃貸住宅の「民営化」を許さず、公共住宅として守り、充実させます。「削減・民間売却」方針は、白紙撤回させます。また、住み続けられる家賃にするため、家賃は近傍同種家賃制度を改め、負担能力を考慮したものにします。高齢者や低所得者、子育て世帯への家賃減額制度をつくるなど家賃制度を改善します。老朽化した団地についても、一律建て替えでなく、改修やリフォームなど多様な住宅改善をすすめ、だれもが戻って住み続けられるようにします。劣化した台所、風呂場、トイレなどの設備の改善、畳・ふすまの入れ替えを、UR負担で行わせます。阪神淡路大震災でも東日本大震災でもUR住宅で倒壊するなど甚大な被害は出ていません。UR住宅の空き家が被災地から避難した世帯の「みなし仮設住宅」になりました。こうしたことからもUR住宅を存続、改善していくことは重要です。

民間賃貸住宅の改善……民間賃貸住宅市場は全体の住宅の約27%を占めていますがその改善が求められています。居住環境が良好で広い住宅は高家賃であり、また低家賃の住宅は狭いうえ設備も劣悪であるなど多くの問題を抱えています。

 政府は良好な民間賃貸住宅を供給する家主やデベロッパーにたいし、建設費の補助をおこなうなどの施策をおこなっていますが、住宅スペースも小規模で高家賃になるなど効果も上がっていません。ヨーロッパ諸国での施策を参考にしながら、民間賃貸住宅に居住する低所得者への家賃補助制度を創設します。この家賃補助制度によって、年収200万円以下の約340万世帯への居住費負担を軽減します。

 民間賃貸住宅に暮らす高齢者や子育て世帯、「生活困窮フリーター」と呼ばれる、低賃金のために家賃が払えない若者などにたいする自治体の家賃補助、敷金・礼金など住宅確保のための初期費用貸付や相談業務など、「チャレンジネット」のとりくみを広げると共に、公的な居住保証制度を確立して、追出被害の撲滅を図ります。

定期借家制度の導入に反対します……借家人の追い出しを容易にする借地借家法の改悪や定期借家制度の導入・拡大が推進されています。こうした居住の安定確保を脅かす改悪にきっぱり反対します。

住宅の改善、住環境の保護……住宅の耐震化や老朽化対策、バリアフリー化など、安全で快適な住宅をめざすリフォームを自治体として支援します。耐震偽装事件に象徴される欠陥住宅問題の被害をなくすために、建築確認・検査制度を民間まかせにせず国や自治体の責任を明確にし、行き過ぎた厳格運用などを改善するとともに、消費者保護、被害者救済などの制度改善をすすめます。「瑕疵担保責任保険」については、中小建設事業者の保険料負担を軽減します。居住者に重い負担となっている、固定資産税の軽減をはかります。

 42年ぶりに土地区画整理事業の計画決定段階での提訴を認める判例変更が行われました。都市再開発や土地区画整理事業などまちづくりへの住民参加をすすめ、「住民が主人公」のまちづくりを支援し、住環境や景観、コミュニティを守り、改善します。それを目的・基本理念として、住民主体の計画づくりや許認可制度を軸にした「都市計画法」の改正や「建築基本法」の制定をめざします。

分譲マンションの維持・管理への支援……分譲マンションは国民の1割、1400万人の人々が暮らす場であり、都市における新しいコミュニティの場でもあります。マンションの維持・管理に対する公的な支援を充実し、安全、快適で、長持ちするマンションをめざすとりくみを支援することが求められています。

 国や自治体の責任で耐震診断・改修への助成を強めるとともに、共用部分のバリアフリー化、省エネ化、アスベストの除去などを支援します。自治体の実態調査や相談窓口の整備などをすすめ、マンション管理の主体である管理組合のとりくみへの行政の支援を充実します。大規模修繕など、マンションを長持ちさせるとりくみを支援します。電気、ガス、水道など、ほんらい公共がおこなう基本的サービスの居住者負担を軽減するために、行政や、電力・ガス会社などに応分の負担を求めます。すでにいくつもの自治体が実施していますが、集会室、ゴミ置き場、遊び場などは、その公共性にふさわしく固定資産税を減免します。集合住宅の共用部分の固定資産税を減免させます。マンション購入時の消費者保護をすすめます。

 マンションの老朽化と、居住者の高齢化が問題になっていますが、管理組合の理事会をなくし、マンション管理を管理会社まかせにする「新マンション管理方式」をファミリータイプのマンションにまで広げることに反対します。住民の立場で活動するマンション管理士の育成・活用や、管理組合団体などの自主的な助け合いのとりくみへの支援、行政の相談体制の整備など支援体制を充実します。

 

 (c)日本共産党中央委員会