各分野政策(2013年)

2013年参議院選挙各分野政策

18、交通

20136


【1】交通・移動の権利を保障し、安全と公共性を重視した「交通基本法」を制定します

 交通は、人やモノの交流や活動を支え、国民生活にとって欠かせないものです。交通を取り巻く社会経済情勢は、地方の過疎化の進行や、地域社会の高齢化、人口減、地球環境問題の深刻化などにより大きく変化してきています。

 とりわけ、これまで住民の足となってきた鉄道・バス・フェリーなどの路線廃止が相次ぎ、地域公共交通が衰退し、自家用車を利用できない高齢者等、移動が大きく制限される「移動制約者」が増大しています。無秩序な郊外型開発による都市のスプロール化、中心市街地の“空洞化”がすすみ、“買い物難民”を発生させるなど交通弱者の日常生活を困難にしています。

 また、高速ツアーバス事故をはじめ、JR尼崎脱線事故など鉄道事故、航空機のトラブルなど相次いでいる公共交通機関の事故・トラブルの背景に、安全より利益を優先する規制緩和があったことも明らかになってきています。

 自民党政権のもとで進められてきたモータリゼーション推進、自動車優先・道路偏重の交通施策が、道路公害の発生や、地域公共交通の衰退など様々な弊害をもたらしたことは明らかです。

 地域公共交通の利用者の減少により、路線を維持できない交通事業者の厳しい経営状況を見れば、民間事業者に委ねるだけでは、地域公共交通の衰退に歯止めをかけることが困難になっています。地球温暖化対策を強化することも喫緊の課題となっています。

 いまこそ、自動車優先・道路偏重の交通施策を根本的に見直し、住民の足を守り、人間を優先した政策に転換すべきです。

 民主党政権が、2011年に国会に提出し、廃案となった「交通基本法案」は、「移動権の保障」を盛り込まず、交通の安全や公共性をあいまいにしたものでした。安倍自公政権は、「交通政策基本法案」として、さらに骨抜き的な内容の法案を検討しています。

 こうした状況を踏まえ、交通・移動の権利を保障することを明記し、交通の安全確保を基本理念の第一に据え、公共性を重視して「規制緩和」等市場競争原理から脱却することを内容とした「交通基本法」を制定します。

 

(1)住民の足を守るため交通・移動の権利を保障する

 交通・移動の権利は、日本国憲法が保障した居住・移転の自由(第22条)、生存権(第25条)、幸福追求権(第13条)など関連する人権を集合した新しい人権です。国民が安心して豊かな生活と人生を享受するためには、交通・移動の権利を保障し行使することが欠かせません。

 地域公共交通の衰退を止め、維持確保改善することは、もはや、事業者任せにできません。国と地方公共団体など行政府が、財源の補助を含めて努力すべきです。そのための「財源」の確保や「行政の不作為」などの責任を放棄させないためにも交通・移動の権利を保障することが重要です。

 

(2)『絶対安全』――安全の確保を大前提にすることを、国や事業者等の責務として明確にする

 高速ツアーバス事故等、相次ぐ公共交通機関の事故を踏まえて、安全に対する考え方を明確にすることが必要です。「利益なくして安全なし」(稲盛日航名誉会長)など、利益を優先して安全を軽視する経営の考え方を厳しく批判します。

そのため、「交通基本法」の基本理念として、安全確保を大前提にすることを第1番目に盛り込むとともに、国・地方自治体、事業者の責務として、安全確保を大前提にすることを明確に規定します。あわせて、運転者等の運行従事者の賃金・労働条件の適正化なくして、安全確保はできないことを明確にして、そのための施策をとるようにします。

 「交通安全対策基本法」や運輸関連の各事業法を見直し、安全を大前提とすることを明確に位置付けるとともに、安全の直接的な担い手である運転者等の運行従事者の賃金・労働条件の適正化を図ることをようにします。

 

(3)「国際競争力の強化」など「規制緩和」・市場競争原理から脱却する

 地方路線の廃止や公共交通機関の事故の要因になり、背景にあったのは市場競争原理主義のもとに進められた「規制緩和」路線です。交通権(移動権)を保障し、安全を大前提にした交通施策を実施する上でも、公共交通の安全や公共性と相対立する「規制緩和」等市場競争原理から脱却することが必要です。そのため、その象徴的な文言となっている「国際競争力の強化」を法案に盛り込むことはしません。

 

【2】人と環境に優しいまちづくり・交通体系へ

(1)地域公共交通

◎地域の足である地域公共交通を守るため、必要な財源を確保します。

 地方の鉄道、公営バス、コミュニティバス、LRT、離島航路・フェリーなど、生活に欠かせない地域公共交通を維持します。そのため、「規制緩和」等市場競争万能路線を改め、国と地方公共団体、事業者等の責任と共同により、地方公共交通を維持するために必要な財源を確保します。

 ・地域公共交通の確保維持改善事業の国の予算は、年間約300億円です。当面、これを1000億円まで増額します。

 ・財源を確保するため、フランスの事例など参考に、JRなど大手事業者等からの拠出による「地域公共交通を守る基金」を創設します。

 

(2)バリアフリー

 06年、新しいバリアフリー法(バリアフリー新法)が制定されました。「誰もが自由かつ安全に移動・利用することは基本的権利である」という考え方にたち、「事業者まかせ」ではなく、国として、国民の足の確保、交通・移動の権利を保障しうる施策を計画的に実施することが必要です。

 公共施設はもちろんのこと、多数が利用する施設、歩道、地方の駅や利用者数の少ない駅などのバリアフリー化をすすめます。法基準の見直し、計画づくり、実施には、利用者、住民、NPOなどの参加と協働を広げます。

 

(3)通学路の安全確保・・・自動車走行優先から歩行者優先へ

 京都府亀岡市で集団登校中の児童の列に車が突っ込み、小学生ら10人が死傷するなど、通学路での交通事故が相次いでいます。国が行った緊急点検では、小学校などの通学路のうち、安全対策をとる必要のある場所は約6万か所にのぼり、1校当たり3か所程度の危険な場所があることになります。▽交差点に横断歩道がない▽見通しが悪いのに交差点に信号機がない▽交通量が多いにもかかわらず歩道が狭い上に片側にしかない▽踏切の見通しが悪い、などが挙げられています。

 ・通学路の安全対策を緊急に実施します。そのためには、自動車走行を優先する交通施策を歩行者優先に改める必要があります。

 ・道路法や道路交通法に、生活道路や通学路を位置付け、通過交通を排除・抑制する等の改正を行います。学校の半径500m以内の道路は、時速30キロに制限し(「ゾーン30」規制)、速度違反には一般道路の2倍の反則金を科すなど徹底した安全対策を講じます。

 ・自動車走行を優先する「優先道路」規制の見直し、通学路の歩道の整備、道路にデコボコをつけて自動車の速度を落とさせる「ハンプ」の設置や車道幅を狭める「狭さく」など児童が安心して通行できるよう道路を整備します。

 

(4)クルマ社会から人と環境にやさしい社会へ

 高度経済成長期以来、自民党政権のもとで進められてきたモータリゼーション推進、自動車優先・道路偏重の交通施策が、交通事故や道路公害の発生、地域公共交通の衰退、さらには、地球環境汚染、都市のスプロール化など様々な弊害をもたらしたことは明らかです。

 いまや政府でさえとらざるを得なくなっているモーダルシフトやコンパクトシティなどの施策は、クルマ社会から人と環境にやさしい社会へ転換するうえで重要です。

 ところが、大都市圏環状道路など高速道路の新規建設によって、その周辺に大型物流施設をはじめとした大型商業施設の出店が相次いでいます。貴重な農地をつぶすなど都市の郊外に大型開発事業が復活しています。これでは、都市のスプロール化を加速させるとともに、トラック輸送を増大させることは目に見えています。

 モーダルシフトやコンパクトシティなどの施策を推進するためにも、大都市圏環状道路など高速道路の建設を見直します。

◆コンパクトシティとは、都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化が図られた、生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な都市、もしくはそれを目指した都市政策のことです。

◆モーダルシフトは輸送・交通手段の転換を図ることです。一般的には、トラックや航空機による貨物輸送を鉄道や船舶に、自家用車を公共交通機関に、といったように、より環境負荷の少ないものに代替することを指します。

 

【3】自動車運送事業(バス・トラック・タクシー)

◎「規制緩和」を見直し、安全を担う労働者の賃金・労働条件を改善します。

 高速ツアーバス事故をはじめ、相次ぐ自動車運送事業の安全を脅かす背景には、規制緩和による過当競争、運賃のダンピング競争がありました。事前チェックから事後チェックする新規参入の緩和措置で、事業者が急増し、法令を守らない違法業者もはびこり、競争が激化する一方、12万事業者に対し、わずか320人の監査官しかおらず、監査は手が回らず、法令違反に対応すらできませんでした。監査で質を担保することには無理があります。入口規制を強化する必要性が明らかになりました。

 運賃のダンピング競争は、労働集約型の運転手の賃金、労働条件の悪化に直結し、過労運転など安全運行が確保できない状況を生み出しました。

 国交省は、高速ツアーバス事故を受け、夜間・長距離運行する貸切バス等の交替運転者の配置基準を670キロから実車距離500キロ以内に改めるなど過労運転防止対策や監査のあり方など検討を始めています。トラック事業についても参入規制のあり方などの検討が行われています。

 しかし、規制緩和の見直しについては、事故発生件数との間に因果関係が見出せないとして、踏み込もうとしていません。

 ・トラック・バス事業の過当競争を激化させた規制緩和を抜本的に見直します。

 ・トラック・バス事業への参入規制を強化します。バス事業の届出運賃(公示運賃)を守るなど適正運賃が授受できるよう運賃ダンピング競争を排除することや悪質不良業者の参入を阻止するためにも入口規制の強化が必要です。

 ・法令違反を繰り返す悪質な運行事業者を排除し、バス事業における日雇い・アルバイト運転者など法令違反を一掃するため監査・罰則を強化します。

 ・バスを発注する旅行業者の発注者責任を明確化し、低運賃や無理な運行(旅行行程自体が改善基準の拘束時間をオーバーしているもの等)を押し付ける旅行業者への監督・指導と法令違反に対する罰則を強化します。

 ・貸切バス等の夜間・長距離運行の交替運転者の配置基準について、回送距離を含めるなど、より実態に即して見直します。

 ・「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を改善し法制化します。

当面、①拘束時間1日13時間以内、②休息期間11時間以上、③運転時間1日7時間以内、④連続運転時間2時間以内に改善します。

 ・安全運転で生活できる賃金・労働時間を保障する「自動車運転者安全賃金法」を制定します。

交通機関にあって安全を担保するのは、直接、運転に携わっている運転労働者です。この労働者の労働条件を改善して、安全運転で生活できる賃金・労働時間を保障しない限り、真の安全は確保できません。そのため、自動車運転者が安全に働くことのできる最低賃金・労働条件を設定する裁定機関を設置するなどを内容としたもので、オーストラリアで制定されています。

◎タクシー政策 (タクシー政策リンク)

 規制緩和政策を根本的に改め、国民の命・安全、運転者のくらしを守るタクシー行政への転換を求めます――タクシー政策の改定に当たっての日本共産党の提言と要求――2008年9月26日 日本共産党国会議員団

 

【4】鉄道・新幹線

◎国民の足を守り、安全・公共性の確保を前提とした鉄道行政に転換します。

鉄道は、大量の人とモノの移動を支える足であり、環境にもやさしい公共交通機関です。クルマ中心・道路偏重行政のもとで、赤字路線が増え、地方ローカル鉄道や都市部の電車など相次いで廃止されてきました。高齢化や人口減、地球環境問題、過疎化など社会経済情勢の変化に伴い、鉄道のもつ重要な役割を改めて位置付け、安全と公共性の確保を前提とした鉄道行政への転換がもとめられています。

 ・これ以上の地方鉄道、在来線の廃止に歯止めをかけます。

 ・都市部の電車路線の経営を守り、LRTなど人と環境に優しい交通システムを推進します。

 ・鉄道駅のエレベーター・エスカレーターの設置、鉄道ホームへのホームドア(可動式ホーム柵)の設置など鉄道施設のバリアフリー化、安全対策を緊急課題として促進します。

 ・4半世紀を経た「国鉄の分割・民営化」を検証し見直します。とりわけ、JR北海道とJR四国、JR九州(以下、JR三島会社)及びJR貨物の分割については、すぐに見直します。

 JR三島会社の経営は、発足当初から厳しく、国による政策的経営支援スキームである経営安定基金(合計で1兆2781億円)からの運用収益で、かろうじて経営を維持しているのが実情です。相次いで重大事故を起こしたJR北海道のように、経営難から安全投資を削っていた事態は見過ごせません。

 ・大阪市など市営地下鉄の民営化に反対します。

◎整備新幹線と並行在来線

 整備新幹線の新規着工区間は、北海道新幹線の新函館-札幌、北陸新幹線の金沢-敦賀、九州新幹線長崎ルートの諫早-長崎の3区間で、その総事業費は3兆100億円にのぼります。事業中区間の残事業費を含めると4兆円を超えることになります。

 建設財源は、国・地方自治体の負担とともに、運行中の新幹線施設の貸付料収入などを充てます。しかし、貸付料収入は、いまだに20兆円弱残っている国の借金に付け替えられた旧国鉄の債務返済などに充てるべきです。

 需要があるのかどうか採算性に疑問符が付けられています。国交省の試算でも費用対便益(B/C)は、1.1というギリギリです。高速道路や空港など既存の交通インフラとの関係をどう整理するかなど総合的な議論もないままです。

この3区間をめぐっては、JRからの並行在来線の経営分離に“同意”することを沿線自治体に強要し、並行在来線の存廃も、経営形態もあいまいなまま、多くの住民の批判を無視して建設着工を認めてしまいました。

(1)並行在来線の経営分離を前提とせず、JRに社会的責任を果たさせる。

 整備新幹線着工の条件として、並行在来線をJRから経営分離することが前提とされています。経営分離は、JRに地方ローカル線の切捨てを認め、儲けを保障する企業優遇策です。地域住民の足を守るのは、行政府の責務であるとともに、公共交通機関であるJRの社会的責任でもあります。そのため、経営分離を前提とする「政府与党合意」を見直し、JRに社会的責任を果たさせます。

(2)並行在来線など地方鉄道路線の維持・存続させるための新たな法律の制定を求める。

 並行在来線など地方鉄道路線は、住民の足であり、地域社会と産業の基幹交通網です。同時に、大震災では、物流の全国鉄道ネットワーク形成の重要性も明らかになりました。鉄道路線が存在し、つながっていること、それ自体が大事な役割を果たしているのです。

 並行在来線など地方鉄道路線を維持・存続するために、国と自治体、JRなど公共交通機関の役割と責務を明確にした新たな法律を制定します。

 並行在来線など地方鉄道路線を国民の交通権を保障する公共交通網と位置付け、路線維持と経営安定のために、国・自治体、JR等が責任を負うことを明確にします。また、国・自治体、JR等の経営支援や関与のあり方、上下分離方式など経営形態のあり方などについて協議する住民参加の仕組みをつくるなどを内容とします。

(3)経営分離を決定した並行在来線については、国の責任で路線を維持・存続させること

 経営分離後の並行在来線については、路線の維持を大前提に、①JRの経営参画を含め国・自治体による積極的な経営支援をもとめる。②JRに、鉄道施設の無償譲渡や鉄道技術の継承のための人員派遣など求める。③運賃や運行体制等乗客の利便について、分離前の水準を下回らないこと、③鉄道ネットワークの確保や安全確保など、設備の更新への支援、④災害時の復旧について支援スキームを整えること、必要な手当てを国が関与して実施する――などすすめます。

◎リニア新幹線

 「リニア新幹線の建設に反対する――東海道新幹線の地震・津波対策、大震災の鉄道復旧こそ」(2012年05月17日)を参照してください。

 

【5】航空・港湾

◎産業中心から国民生活中心の交通・運輸政策への転換を

 これまでの自民党政権による交通・運輸政策は、大企業・財界の産業支援が政策の中心で、過大需要予測に基づく空港・港湾を全国各地につくってきました。一方で、グローバル化が進展し、中国、韓国などでハブ空港・ハブ港湾化がすすみ、物流等の拠点機能は、アジアの主要都市に移行しました。これに対抗できる空港・港湾の再興をめざし、大都市圏空港の拡張整備、スーパー中枢港湾整備などへ重点投資してきました。

 民主党政権も、「国際競争力の強化」をかかげ、首都圏空港整備や国際コンテナ戦略港湾などグレードアップ化、投資の絞り込み、重点化をすすめました。安倍自公政権は、「骨太の方針」などで、この方向をいっそう強化しようとしています。

 

(1)安全・公共性を優先した航空・空港政策への転換を

 政府は、LCC(格安航空会社)の参入促進をはじめとした徹底したオープンスカイを推進するため、100項目の安全規制の緩和や首都圏空港を更に容量拡大するなど、前のめりの姿勢を強めています。羽田空港の24時間国際拠点空港化をすすめるとして、国際線9万回、発着容量44・7万回に増枠し、成田空港も30万回に増枠するために必要な整備をめざしています。

 東京都心と羽田・成田両空港を結ぶ鉄道などのアクセス改善をすすめるとして、新たな地下鉄道の整備など検討しています。格安バスも運行を始めています。

 空港・航空政策として、考えなければいけないのは、空港・航空の安全性と公共性は確保できているのかどうかです。LCC参入を手助けするために、コストがかかる安全規制を緩和するなどあってはならないことです。羽田空港を24時間フルに活用するとしても、年間44・7万回だと、ほぼ1分間隔で1機の発着になります。管制官などから安全性が確保できるのか疑問も出されています。また、飛行ルートの真下に当たる千葉県浦安市や東京都大田区などの住民に与える騒音被害が危惧されます。ますます、東京一極集中を加速し、首都直下地震などの対策が可能なのかなどの問題もあります。

 こうした問題が、周辺住民や関係都県住民、国民の意見を聴き、議論することなく進められています。

 ・空港・航空政策のあり方について、安全性と公共性の確保の視点からで国民的議論をすすめます。

 ・航空の安全規制の緩和をやめ、安全確保のための規制を強化します。

 

国と地方が管理する空港は、全国に98空港もあります。自民党政権時に採算を度外視した過大な需要予測によってつくられました。その多くが、いまでも採算が取れず赤字経営を続けています。

 政府は、空港の事業運営権を民間に売却する(コンセッション契約)などで採算がとれる空港経営をめざしていますが、もともと需要の見込めない空港など事業経営の引き受け手が現れる保障はありません。そればかりか、採算の取れる事業を民間企業に売却し、利潤獲得のために利活用させるもので、空港の安全性や公共性を確保する公的な責任をあいまにするものです。 「民活」方式の失敗で巨額の負債を抱えた旧関西空港と国直轄の伊丹空港を民営化・統合し、新関西国際空港(株)が発足しましたが、巨額の負債を解消する目途は立っていません。

 ・離島航空路など住民の空の足を確保する公共交通として必要な空港を維持・存続させるのは当然ですが、他の交通機関と競合するなど、将来的にも利用客の増加が見込めないなど、地方自治体の重荷になっている空港については、存廃を含め見直します。

 ・新関西国際空港㈱では、将来の旧伊丹空港の廃止を前提としていますが、地元の住民の意見等が反映されないままです。住民等の意見を十分反映させ、合意形成を重視します。

 ・空港の安全対策、航空機の騒音対策など住民が安全・安心して暮らせる周辺対策を優先して取り組みます。

日航再建問題 安全脅かす不当解雇

 10年1月に会社更生法の適用を受けた日本航空は、企業再生支援機構による3500億円の出資など公的支援を受けて、12年9月に再上場を果たしました。

 日本航空は、11年3月期連結決算では1884億円の営業利益をあげ、更生計画を大幅に上回りました。さらに、2012年3月期には、2049億円もの利益となり、13年3月期も1,952億円となりました。

 これだけの大儲けをあげた最大の要因は、16000人の人員削減などリストラによるコスト削減にあります。このリストラは、すでに人員削減目標も達成し、更生計画を上回る利益(10年12月時点で1586億円)をあげ、稲盛会長が解雇の必要がないことを認めていながら、165人のパイロットと客室乗務員を12月31日に解雇を強行するという不当極まりないものでした。「退職強要」の人権侵害や労組への支配・介入する不当労働行為など繰り返したうえの暴挙でした。この「整理解雇」は、たたかう労働者・労組を狙い撃ちにした労働者・国民の権利を奪う攻撃であるともに、航空の安全運航を支えてきたベテラン労働者を対象にした航空の安全を軽視する『利益なくして安全なし』を実践するものでした。不当解雇撤回闘争に立ちあがった労働者の闘いは、航空の安全、国民のいのちと安全を守るたたかいでもあります。

 日本航空が再上場したとしても、真の再建とは言えません。安全性と公共性の確保を大前提にした再建こそ求められています。人員削減のやりすぎとベテランの不当解雇によって、現場では過密労働がはびこり、不安や喪失感がひろがり、退職者が急増し、人員不足が深刻になっています。骨折したパイロットがそのまま操縦するなど利益優先で安全を軽視する運航も散見されます。離島航空路線などから撤退したまま、収益の上がる路線復活など公共性もないがしろにされています。

 公的資金の援助を受けて、史上最高の利益をあげ、欠損金の繰越控除によって税負担を免れ、路線増など事業拡大をすすめる一方で、不当解雇など大リストラで雇用削減し、安全や公共性の確保もないがしろ――これが今の日本航空の姿です。これを支援してきた政府の責任は重大です。

 ・日本航空の真の再生に向け、航空の安全と公共性の確保を最優先するよう監督・指導を強めます。

 ・“不当解雇の撤回なくして真の再建なし”です。日本航空に、不当解雇を撤回し、ベテラン労働者を職場に戻すよう指導させます。

 

(2)国際競争優先から国民生活、地方経済重視の港湾・海運政策へ

 国際物流では、コンテナ貨物船やバルク(バラ積み)貨物船など船舶の大型化が急速に進むなか、これに対応できる国際戦略港湾(京浜港・阪神港)を整備し、5500億円の総事業費をつぎ込もうとしています。「我が国の『港湾力』を最大限に発揮し、アジア・世界からの成長を取り込むため」としていますが、近隣諸国の大型港湾に奪われた貨物を取り戻すため、というのが本音です。

 コンテナ貨物を集荷するために、高規格道路の整備などもすすめるとします。国交省は、地方港湾の貨物を、内航フィーダー輸送(支線輸送)の強化で、国際戦略港湾に集約するなどとしています。しかし、自動車産業が釜山港等の活用を考えて九州に事業所を集約するなど、円高等による輸送のコスト削減圧力が強まっている状況の下では、簡単な話ではありません。

 また、「港湾運営会社」を設立するなど、港湾運営の民営化を進めています。国際競争力強化や効率化と称して、もともと公共財である港湾を、特定の民間事業者の儲けの場として提供する懸念が払拭できません。これまでも規制緩和がすすみ、コスト削減競争が激化し、港湾で働く労働者に犠牲が押し付けられてきましたが、民営化で更に労働者の雇用・労働条件は深刻化することが危惧されます。

 港湾整備事業も90年代以降、アメリカの要請などによる公共投資拡大策で、「船の来ない港」「1000億円の釣堀」など揶揄される港を全国各地につくってきました。既存の港湾をどのように活用していくか検討する余地があります。釜山などアジアのハブ港湾を中継すれば、直接、地方都市への貨物輸送が可能になり、三大都市圏の港湾に荷揚げあされた荷物を、陸路でトラック輸送しなくても済みます。モーダルシフトとしての内航海運の利活用の促進にもつながります。

 ・国際戦略港湾事業は中止を含め抜本的に見直します。新規の大型港湾開発事業から、既存港湾の耐震化・老朽化対策など維持更新事業に重点を切り替えます。

 ・港湾運営の「規制緩和」・民営化に反対し、労働者の雇用労働条件を守ります。

 ・物流貨物の大都市圏港湾集中から、地方に直結した物流へ転換します。

近隣国の港に奪われた「荷物を奪還する」など競争至上主義の発想ではなく、すでにハブ港となっている近隣諸国の港湾を活用し、日本の既存地方港湾と直接結ぶ輸送を重視するなど、「協調」による物流戦略に転換します。

 ・モーダルシフトや地域の循環型経済を推進するため、内航海運の振興を強めます。

 

 

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