各分野政策(2013年)

2013年参議院選挙各分野政策

1、労働・雇用

雇用ルールの破壊を許さず、人間らしく働けるルールを確立します

20136


 労働者の平均賃金は、1997年のピーク時から年間約70万円も減っています。労働者の3人に1人、若者や女性では2人に1人が非正規雇用労働者です。そのほとんどが年収200万円以下の「ワーキング・プア」(働く貧困層)です。国民の所得が長期にわたって減り続けていることこそ、日本経済が「デフレ不況」に陥った最大の要因です。日本共産党は、賃上げと安定した雇用を実現して、労働者・国民の所得を増やし、暮らしと経済の再建に力をつくします。

 世界がディーセント・ワーク(人間らしい労働)の実現をめざしているのに対し、安倍内閣は、「成長戦略」の名で、「解雇の自由化」「サービス残業合法化」など、いっそうの労働法制の規制緩和をすすめようとしています。日本共産党は、労働法制の規制緩和をやめさせ、人間らしく働けるルールを確立します。そのために、ILO(国際労働機関)の労働時間・休暇関係の条約をはじめ、111号(雇用における差別禁止)、158号(解雇規制)、175号(パートタイム労働)などの諸条約を批准します。

 (なお、労働基本権回復など、公務員労働者については「公務員制度改革」の項を参照してください)。

 

(1)賃上げと安定した雇用の拡大で「デフレ不況」打開を

 「デフレ不況」打開のために、賃上げと安定した雇用の拡大が必要です。大企業が溜めこんでいる260兆円もの内部留保のほんの一部を使うだけで、賃上げを実現することができます。8割の大企業では、内部留保のわずか1%を使うだけで、「月1万円」の賃上げが可能です。企業内に使い道もなく滞留している資金の一部を、その企業の賃上げや非正規社員の正社員化に使われるようにする、これを突破口に、働く人の所得を増やし、消費を活発にし、内需を増やし、企業活動も活性化する、このようにして健全な経済成長への好循環をつくりだしていくことが求められています。

 安定した雇用の拡大の面では、解雇の規制、非正規雇用労働者の正社員化と均等待遇、「サービス残業」の根絶、長時間・過密労働の是正、最低賃金の引き上げ、労働災害の防止と認定基準の緩和など、人間らしく働けるルールを確立することが求められます。

 

(2)安倍内閣による労働法制の規制緩和を許しません

 安倍内閣は、「成長戦略」の名で、いっそうの労働法制の規制緩和をすすめようとしています。職務や勤務地を限定した「限定正社員」をつくり、その職務の廃止や事業所の閉鎖があればいつでも解雇できるようにする「名ばかり正社員」や、「金さえ払えば解雇できる」仕組みの導入など、「首切り自由の国」づくりがねらわれています。派遣労働は「臨時的・一時的業務」「専門業務」に限定するという規制を取り払い、派遣労働をいっそう拡大することも検討されています。何時間働こうが取り決めた残業時間しか認めない裁量労働制の拡大や労働時間規制がルーズになりやすいフレックスタイム制の要件緩和、さらには労働時間規制自体を外す「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入で、「残業代ゼロ」「ただ働きと長時間労働自由の国」づくりもねらわれています。

 安倍首相は、「企業が世界一活動しやすい国」をつくるといっています。しかし、こうしたいっそうの労働法制の規制緩和を許せば、日本社会全体が、労働者を「使い捨て」「搾り捨て」にする「ブラック企業」化し、「働く人が世界一住みにくい国」になってしまいます。日本共産党は、こうした労働法制の規制緩和を許しません。

 

(3)退職強要をやめさせ、解雇規制法をつくります

 「電機リストラ」は、15万人とも16万人ともいわれる大規模な人減らしに発展しています。NECでは、労働者を呼びだして10回以上もの面談をおこない、退職強要をおこなってきました。そのために自殺に追いこまれた労働者も生まれました。それでも辞めない労働者を「追い出し部屋」に追いやり、仕事をあたえずに執拗な退職強要をくり返しています。これに対し、労働者が勇気をもってたたかいに立ち上がり、ソニー仙台では、14人が「追い出し部屋」から職場に復帰することができました。日本共産党は、国会質問などでこのたたかいを支援しました。

 夫婦や婚約者にわざと別々の遠隔地事業所へ強制配転することもおこなわれています。労働者の被る不利益の大きい配転命令は、判例で無効とされています。

 自民党・公明党連立政府が、2003年に労働基準法を改悪して「解雇自由条項」を盛り込もうとしたときに、日本共産党は、労働者・労働組合と協力してこれをやめさせ、逆に解雇を規制する条項をはじめて盛り込ませました(この条項はその後、労働契約法に移行)。さらに、「解雇規制・雇用人権法」を提案して、労働者の人権をまもり、ヨーロッパ並みの労働契約のルールの確立をめざしています。具体的内容は、最高裁の判例などで確立している「整理解雇4要件」(①差し迫った必要性、②解雇回避努力、③選定基準・人選の合理性、④労働者・労働組合の合意)を法律に明文化して解雇制限のルールを法律に明記するとともに、裁判などで解雇を争っているあいだは雇用を継続する、解雇無効になった場合には職場に復帰するという就労権を保障しています。

 希望退職・転籍についても、本人同意・取消権、労働組合の関与などのルールを確立します。解雇を目的としたパワーハラスメント(いじめや嫌がらせ)を禁止し、人権侵害をきびしく取り締まります。労働基準監督署が、退職強要などを日常的に監視し、取り締まるようにします。会社分割などにともなう雇用と労働条件のルールをつくります。55歳一律転籍など、年齢による雇用契約の不利益変更や採用制限を禁止します。事業所の閉鎖、移転、縮小の際の自治体との協議の仕組み(リストラ・アセスメント制度)をつくります。

 投資ファンド(資金運用組織)による企業買収、会社資産の売却が野放しになっており、その結果、労働者が安易に解雇されるなど、深刻な事態が広がっています。ファンドが被買収企業の労働条件を実質的に決定している場合、労働者・労働組合との協議・交渉を義務づけるなど、法的規制をおこないます。

 高年齢者雇用安定法が2012年に改定され、定年を65歳にするか、希望者全員を65歳まで継続雇用することを義務づけました。しかし、「心身の故障」「勤務不良」などの場合、継続雇用をしなくてもよいことになっています。雇用延長措置をとる企業が93%になっていますが、希望者全員を採用しない、雇用延長しても賃金が定年前の半分以下という企業が多数になっています。アメリカやヨーロッパのように、年齢を理由にして雇用や賃金などの労働条件について差別することを禁止します。高齢者雇用延長制度については、法律の趣旨にもとづき希望者全員を採用させるとともに、年齢による賃金などの労働条件差別をやめさせます。

 退職金の後払いである企業年金の一方的な切り下げを許さず、受給権を守ります。

 

(4)異常な長時間労働を是正し、「サービス残業」を根絶します

 日本では、ヨーロッパと違い、労働基準法で残業の上限が定められていないため、長時間労働が横行しています。その労基法さえふみにじる「サービス残業」(ただ働き残業)も横行しています。日本共産党は、1967年以来40数年間、300回をこえる国会質問で、「サービス残業」は企業犯罪だと追及し、2001年には、厚生労働省に、根絶のために企業が責任をもって時間管理を強化することなどを内容とする「サービス残業」根絶通達をださせました。この通達を活用して、過去8年間だけでも1547億円以上の未払い残業代を支払わせています。

 通達を活用し、職場からのとりくみを強化するとともに、「サービス残業根絶法」を制定し、悪質な企業には、企業名を公表するとともに、不払い残業代を2倍にして労働者に支払わせるようにします。中間管理職や裁量労働制で働く労働者の時間管理をきちんとさせます。

 「店長」、「マネージャー」といいながら、管理職としての権限、実態もない「名ばかり店長」「名ばかり管理職」にたいする残業代不払いを許しません。

 2001年に5割を切った有給休暇の取得率は、2007年には、46・6%にまで低下し、その後も5割を回復できていません。ヨーロッパでは、有給休暇は最低でも4労働週(20日~24日)が保障されており、しかも完全取得が常識になっています。日本共産党は、年次有給休暇を最低20日(現行では10日)とし、一定日数の連続取得と完全消化を保障することを提案しています。傷病や家族の看護の心配によって年休を残さないよう、有給の傷病・看護休暇を創設します。

 民間のシンクタンク労働総研の試算では、「サービス残業」をなくすだけでも、新たに310・9万人分の雇用が生まれます。有給休暇の完全取得による雇用創出効果は138・4万人、週休2日制の完全実施による雇用創出は16・8万人です。これらによって創出される合計466・1万人の新規雇用は、家計消費支出を8兆9287億円増やし、国内総生産を13兆6178億円増やすとしています。財界系のシンクタンク日本生産性本部の試算では、有給休暇の完全取得による雇用増は188万人分、経済効果は16兆円にのぼるとされています。

 当面、「残業は年間360時間以内」という大臣告示をただちに法定化し、残業割増率を現行25%増から50%増に、深夜・休日は100%増に引き上げます。さらに、労働基準法を抜本的に改正して拘束8時間労働制とし、残業時間を1日2時間、月20時間、年120時間に制限します。恒常的な長時間残業や有休をとれないことを前提にした生産・要員計画をなくします。深夜労働・交代制労働、過密労働をきびしく規制します。EU(欧州連合)のように、連続休息時間(勤務間インターバル)を最低11時間は確保します(深夜12時まで働いたら翌日の出勤は午前11時以降)。こうして労働時間を抜本的に短縮し、安定した雇用の拡大につなげます。

 

(5)労働者派遣法を抜本的に改正し、派遣労働者保護法をつくります

 2008年秋のリーマンショックのときには、大量の派遣労働者が、違法に長期間働かされつづけたあげく、経済危機を口実として仕事を奪われました。職を失うと同時に住まいまで失うという深刻な事態が広がりました。300万人以上いた派遣労働者は、リーマンショック後の1年間で、約100万人も削減されました。日本は、他国に例を見ない派遣労働者「使い捨て」の国になっています。

そのおおもとには、自民党・公明党連立政権が労働者派遣法を再三にわたって改悪し、対象業務を原則自由化し、専門業務での派遣期間の撤廃などの規制緩和をすすめ、正社員を大量に派遣労働者に置き換えてきたことがあります。日本共産党は、違法な「派遣切り」、「非正規切り」とたたかう労働者・労働組合と力をあわせて、大企業の違法派遣の実態を告発し、国会でくり返し質問し、労働者派遣法の抜本改正を求めてきました。他党に先駆けて、「派遣労働者保護法案」を提案しました。

 ところが、当時の民主党政権の提出した派遣法「改正」案は、製造業派遣は「原則禁止」といいながらも、実際は、1年以上の雇用の見込みさえあれば「常用型」として、これまでと同様に製造業派遣を認めるなど、大きな抜け穴をもつ欠陥法案であり、名ばかり「改正」法案でした。不安定な登録型派遣の「原則禁止」でも、専門業務を例外とするなど、一般業務を専門と偽装することを正すどころか、派遣を固定化するものとなっていました。派遣労働者のなかで「これでは私たちは救われない」との怒りが渦巻きました。ところが、2011年、不十分だった製造業派遣・登録型派遣の「原則禁止」すら削除する法改定が民主党、自民党、公明党などによっておこなわれました。

 日本共産党の「派遣労働者保護法案」は、派遣労働を臨時的・一時的業務に厳格に制限しています。製造業派遣や日雇い派遣を全面的に禁止し、「使い捨て」労働をなくします。登録型派遣は真に専門的な業務にきびしく限定します。派遣受け入れ期間の上限は1年とし、違法があった場合は派遣先に期間の定めなく直接雇用されたものとみなし、正社員化をすすめます。派遣先の正社員との均等待遇、グループ内派遣の制限をおこない、常用代替を規制します。

 

(6)有期雇用を制限して正社員化と均等待遇をすすめるとともに、「個人請負」などの脱法的契約を許しません

 派遣労働者、契約社員やパート、期間社員などの非正規雇用労働者は、短期・細切れの雇用契約の更新をくり返し、つねに雇用不安のなかで働いています。派遣先企業が、直接雇用に切り替えても、数カ月の契約をくり返し、いつでも「雇い止め」「首切り」自由の「期間工」とされるケースが後をたちません。労働基準法では3年をこえる有期雇用契約ができないことになっていることから、「最長2年11カ月契約」と称して、違法・脱法をくり返しているケースもあとをたちません。現行法でも、契約途中の解雇は厳しく規制されており、また、契約更新の「ある」「なし」や、更新する際の基準について明示しなければならず、反復更新を重ねていれば、「解雇権濫用法理」が類推適用されます。現行法を厳しく守らせ、労働者の泣き寝入りを許しません。

 また、2013年4月から、改定労働契約法が全面実施され、同じ雇用主のもとでの雇用契約が5年をこえる場合、無期雇用契約に転換する制度が施行されています。ところが、労働条件は従前の有期契約のときと同じでよいとされ、しかも5年を前にした「雇い止め」を防止する措置がありません。そのために、雇用契約が5年になる以前に、「雇い止め」にしようとする動きが、コーヒー・チェーン店や大学などで多発しています。日本共産党は、正社員化を促進するという労働契約法改定の趣旨にもとづき、こうした「雇い止め」をやめさせるために、全力をあげます。

 ヨーロッパでは、有期雇用は、臨時的・一時的業務、合理的理由のある場合に限定し、正社員との均等待遇を保障しています。日本共産党は、正社員が当たり前の社会をめざし、有期雇用については、臨時的・一時的業務、合理的な理由がある場合に限定し、賃金や有給休暇などの労働条件について正社員と均等待遇にするよう法改正をおこないます。

 日本最大の非正規雇用をかかえる日本郵政グループは、「ワーキング・プア」を大量につくりだし、同様の事業をおこなう宅配事業者のなかに非正規化を広げる牽引車ともなってきました。日本共産党は、国会でこの問題をとりあげ、正社員化への流れをつくりだしてきました。希望者全員を正社員化するよう、ひきつづき力を注ぎます。

 本来、労働者として企業の指揮・命令を受けて仕事をしているのに「個人請負」契約として、社会保険など労働者としての権利を奪う脱法行為(「名ばかり個人事業主」)も増えています。こうした違法行為もきびしく取り締まり、ILOの「雇用関係に関する勧告」(198号)を活用し、請負や委託で働く労働者を保護します。「多様な働き方」の名で、非正規雇用の拡大をすすめる政府・財界の政策に反対します。

 

(7)男女がともに、人間らしく生き、働ける均等な労働条件を確立します

 女性の2人に1人が、パートや有期契約、派遣などの非正規雇用のもとに置かれています。長時間・過密労働のなかで、育児休業どころか、結婚や出産しても働きつづけられる女性は3割にすぎません。

 「転勤できない」「業務がちがう」などを表向きの理由とした男女間の昇給・昇格差別、賃金差別の結果、男性の正社員にくらべて、女性の正社員の賃金は7割、女性の非正規では4割という格差があります。派遣労働者でも、女性の時給は男性の9割です。実態は一般業務派遣であるのに専門業務派遣だと偽装されて、長期に細切れ契約で働かされ、30歳代で事実上の「定年」という実態もあります。雇用形態による差別がそのまま男女間格差に直結し、退職金や年金支給の低さなどにも大きな影響を与えています。わが国も批准しているILO条約「同一価値労働・同一報酬」(100号)にもとづき格差を是正します。

 労働時間を短縮し、男女賃金格差を是正することは、男女ともに仕事も家庭生活も両立できる社会にする上でも重要です。

 日本共産党は、労働条件の均等待遇と正社員への道の拡大をめざし、「パート・有期労働者均等待遇法」を提案しています。賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件について、労働者がパート・有期労働者であることを理由として、正社員と差別的取扱いをすることを禁止します。正社員を募集するときは、パート・有期労働者に応募の機会を優先的に与えるようにします。短期の雇用契約のくり返しを、期間の定めのない雇用契約とみなした判例を法制化します。合理的理由のない「短期・反復雇用」「契約社員」は不公正な契約として規制し、正社員に移行させます。正社員が、育児・介護などの理由のために、一定期間パートタイム労働者として働き、また正社員にもどれるようにします。「均等待遇」に違反している企業に対して、罰則を設けることも含めきびしく取り締まります。

 1985年に男女雇用機会均等法が制定されて28年。しかし、日本の男女賃金格差は130カ国中90位と世界でも最下位の部類に甘んじています。雇用機会均等法では、「間接差別の禁止」について、「募集・採用で身長・体重・体力を要件にすること」「転勤を採用・昇進の要件にすること」などの3例の限定的な列挙にとどめています。条件をつけずに「間接差別」の禁止を明記すべきです。雇用形態による差別や低賃金の業務に女性の比率が高くなっていることなどについて、実効性ある是正措置をとります。
 (詳しくは「女性」の項を参照してください)。

 

(8)最低賃金の抜本的引き上げなど、政治の責任で賃金の大幅底上げを実現します

 貧困と格差が広がるなかで、年収200万円以下の労働者が1000万人をこえています。働いてもはたらいても低賃金でアパートも借りられず、ネットカフェで寝泊りしながら働いている青年もいます。労働者がまともな生活ができるようにするためにも、労働者全体の賃金を底支えするためにも、最低賃金の引き上げが必要です。職場・地域の運動と世論の広がり、日本共産党の国会論戦が相まって、2007年に最低賃金法が39年ぶりに改定されました。改定最賃法では、最賃決定基準として、生計費とかかわって憲法25条の生存権規定が盛り込まれました。この改定にふさわしい最賃の大幅引き上げを実現します。最低賃金の決定基準は、生計費のみとし、改定最賃法にも残されている企業の「支払い能力」を削除します。中小企業への大胆な支援をはかりながら、すみやかに時給1000円以上への引き上げをめざすとともに、全国一律の最低賃金制度を確立します。

 中小企業が最低賃金を支払えるように、大企業の下請けいじめや規制緩和による過当競争をきびしく規制するとともに、助成措置を抜本的に拡充します。米国では、5年間で最低賃金を時給200円引き上げたときに、8800億円の中小企業支援(減税)をおこないました。フランスは、3年間で2兆2800億円です(社会保険料の事業主負担の軽減)。日本は、2011~13年度の3年間で111・7億円にすぎません。

 「官製ワーキング・プア」を許さないためにも、国や自治体の非常勤職員の賃金を引き上げます。国や自治体と受注する事業者との間で結ばれる契約に、生活できる賃金など人間らしく働くことのできる労働条件を定める法律や条例(公契約法・条例)を定めます。また、自治体が誘致する企業について、正社員化の度合いや均等待遇などの状況を重要な判断基準とさせます。

 

(9)失業者の生活と職業訓練を保障し、安定した仕事、公的仕事への道を開きます

 労働者は、失業すればとたんに収入が途絶え、貯蓄だけが頼りです。派遣や期間工の労働者は、貯蓄もできないような劣悪な労働条件で働かされ、首を切られると同時に寮から追い出されてホームレスになっています。ILOは昨年、日本は失業手当を受給できない失業者の割合が77%にものぼり、先進国中最悪の水準にあると発表しました。失業者が安心して仕事を探せるようにするためにも、雇用のセーフティーネットの拡充が不可欠です。

 2009年の雇用保険法の「改正」では、雇用保険から排除されている失業者1008万人のうち適用対象になるのは148万人にすぎません。雇用保険の拡充は、「失業保険が切れる」から劣悪な労働条件でも就職せざるをえないという状況を改善し、「ワーキング・プア」をなくしていくうえでも重要です。失業給付期間を、現在の90日~330日から180日~540日程度までに延長します。給付水準の引き上げ、受給資格の取得に要する加入期間の短縮、退職理由による失業給付の差別をなくし、支給開始までの3カ月の待機期間をなくすなど抜本的に拡充します。

 安定した仕事につく機会を広げるために、専門学校なども活用して職業訓練制度を抜本的に充実させます。フランスでは、職業訓練への資金提供を企業に義務づけています。ドイツには、企業が職業訓練生を一定の報酬を支払って受け入れ、終了後は正社員として採用するという制度があります。低賃金で貯えもなく、企業内での教育訓練の機会もなかった「ワーキング・プア」やフリーターの職業訓練を重視し、有給の職業訓練制度や訓練貸付制度を創設し、訓練期間中の生活援助を抜本的に強化します。全国の地域職業訓練センターの廃止を中止し、希望するすべての失業者に職業訓練の機会を提供します。

 「ネットカフェ難民」だけでなく、「ファミレス難民」や「バーガー難民」まで生まれています。公園の青テントから出勤している人もいます。「ワーキング・プア」や失業者に、公共・公営住宅の建設や借り上げ、家賃補助制度、生活資金貸与制度など、生活支援を強め、子どもの教育費や住宅ローンなどの緊急助成・つなぎ融資制度を創設します。

 政府の不十分な雇用創出制度を抜本的に拡充するとともに、国と自治体の責任で、効果のある公的就労事業を確立します。国と自治体の協力による臨時のつなぎ就労の場を確保させます。また、福祉、医療、環境、防災、教育など、国民のくらしに不可欠な分野が慢性的に人手不足状態にあります。この分野での雇用を、職業訓練と結びつけ、人間らしい賃金・労働条件を確保して拡大することは、国と自治体の重要な責任です。

 働く者が連帯してみずから受け皿をつくり、仕事をつくりだす「協同労働の協同組合」(「労働者協同組合」)について、労働者性を担保した根拠法を制定します。

 新卒者の就職難を打開します。日本共産党は、2010年4月21日、「新卒者の就職難打開へ――社会への第一歩を応援する政治に いまこそ、国、自治体、教育者、そして企業と経済界が真摯な取り組みを」という新卒者の就職難に関する政策を発表しています。くわしくはこちらをご覧ください。 

 

(10)国と地方の労働行政を強化します

 人間らしく働けるルールを確立するために、国の労働行政の強化は不可欠です。労働基準監督署の体制強化や相談窓口の拡充などをはかります。ILO理事会の決定にそって、労働基準監督官を2倍に増やします。職業訓練の充実や再就職支援、労働者の権利と雇用主の義務を知らせる広報・啓蒙活動を強化します。そのために、ハローワークの体制を抜本的に拡充します。中央と地方の労働委員会の民主化と機能の強化、パワハラやセクハラをはじめ個別労働紛争の処理制度の充実をすすめます。学校教育で労働者の権利をしっかり教えるようにします。

 

 

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