各分野政策(2013年)

2013年参議院選挙各分野政策

5、保育

子どもに犠牲をしいる「詰め込み」や「規制緩和」をやめ、安心できる認可保育所の大幅増設で待機児童の解消を

20136月6日


 「子どもを保育園に入れてほしい」――行政から入所を認められなかった父母たちが、どうしたら認可保育所を増やせるのかと訴え、新たな運動を広げています。

 保育所に入所できずにいる子どもをかかえた父母に安心・安全の保育を保障することは待ったなしであり、国と自治体の責任で解決に踏み出すことが急務です。

 現在のような認可保育所に入れない子どもがあふれる事態をまねいた責任は、自民党・公明党政権と先の民主党政権にあります。認可保育所の建設を中心にすえず、保育予算を抑えるために、子どもの「詰め込み」や園庭がない保育条件の不十分な認可外施設を受け皿とする「規制緩和」に力を入れ、「官から民へ」と公立保育所の廃止・民営化をすすめるなど、保育所整備に対する国の責任を次つぎに後退させてきたためです。

 安倍政権は、こうした「規制緩和」と保育に対する公的責任投げ捨ての流れをいっそうおしすすめ、営利企業の「保育」を増やすことや、保育所の設置基準・保育士配置の「規制緩和」で「待機児童解消」をしようとしています。安倍政権は「成長戦略」の中心に女性の活用をかかげ、「2年間に20万人、5年で40万人分の保育の受け皿整備」をうちだしましたが、その中身は、株式会社(営利企業)の参入で“待機児童ゼロ”を実現したと報道された横浜市をモデルに、それを全国に広げるというものです。

 株式会社立の保育所は、自民・公明政権が2000年に容認し、“保育士の入れ替わりが激しく保育内容が不安”“急な閉園で明日から預けるところがない”などの事態が各地で続出しました。父母、保育士、自治体関係者から不安や懸念の声があがり、多くの自治体が株式会社の参入を認めてきませんでした。

 「保育所つくって」と声をあげた父母たちは、「詰め込み」と「規制緩和」をさらにすすめようとする政府の議論に対して、「子どもの安全や健やかな育ちという観点を軽視し、異議申し立てを行った保護者の意向を取り違えている」「私たちが望んでいるのは、子どもの成長していく安全・安心な環境水準を維持したうえでの施設整備です」と直接政府に申し入れをしています。

 日本共産党は、「詰め込み」と「規制緩和」、保育の営利化の流れを根本から切り換え、「安心できる認可保育所を」の願いにこたえた認可保育所の大幅増設を基本に、待機児童の解決を以下の方向ですすめるため、父母のみなさんとともに奮闘します。

 

1、安心して預けられる認可保育所を大幅に増設します

 安心安全の認可保育所の建設による待機児童解消は、国の保育政策を転換し、国と自治体が本気になってとりくめば可能です。今年度、全国の政令指定都市だけでも、100カ所近くの認可保育所整備予算を盛り込むなど、自治体が認可保育所の建設にふみだしつつあります。この自治体の動きをしっかり支援することこそ国の責任です。自治体が直面している困難を解決し、国の責任で、安心して預けられる認可保育所の建設を待機児童解消にふさわしい規模とスピードに引き上げます。

 国の予算のごく一部を組み替えるだけで、年間6000億円を消費税の増税なしに確保できます。それにより毎年10万人分の認可保育所を建設します。まず3~5年間を集中的な整備期間としてとりくみます。

(1)国の責任で市町村の財政負担を軽減します

 認可保育所建設にふみだした自治体から共通して出されている課題は、「運営費の確保」、「建設費負担」などの財政的負担の重さです。政府は80年代に保育所運営費の国庫負担割合を連続して引き下げ、自治体に負担をおしつけてきました。さらに2004年に公立保育所の建設費・運営費を廃止・一般財源化したことで、6割をこす市区が保育予算を減らしています。国の責任で自治体の財政的負担を軽減します。

「安心こども基金」を拡充し、公立保育所を含めて建設費・改修費を助成します

 国の「安心こども基金」で国庫補助率を3分の2に引き上げたことは、保育所建設の前進に一定の役割を果たしましたが、公立保育所は対象にならない、1年ごとの措置で先の見通しがたてられないなど、自治体から改善の要望がだされています。国の建設費補助率は3分の2を基本に、公立保育所の改修・建て替えや新設も対象にします。少なくとも5年間の措置にします。無認可保育所を認可するための補助を充実します。

運営費を増額し自治体負担を軽減します

 「運営費に関わる補助が十分にない」など自治体が負担する運営費の重さが、新増設の足かせになっています。廃止された公立保育所の運営費国庫補助を復活し、公立保育所の廃止・民営化に歯止めをかけます。とりわけ待機児童の多い0~2歳児の運営費を増額します。大規模住宅開発などで人口が急増している地域には、特別な予算措置をおこない、見通しをもった保育所整備を可能にします。国の運営費を増やすことで、保育料の値上げをストップさせ、父母負担の軽減をすすめます。

(2)国有地の活用などで建設用地を確保します

 日本共産党の国会質問で、国有地の活用による認可保育所建設に道がひらかれました。国有地、UR(旧住宅公団)などの所有地、都や区市町村の保有する多くの土地などを活用するために、国・自治体による協議体制をつくり、迅速な情報提供、保育所などの公共施設のための自治体による優先的利用を保障します。

国有地は原則無償貸与します

 国有地を活用するうえで、「地代の自治体負担が2園で年3000万以上」(世田谷区)など、地代が重すぎることが、自治体が活用に消極的にならざるをえない要因となっています。自治体への貸与を原則無償とします。土地取得に対する国の助成制度をつくります。

大規模な住宅・マンション開発に対応した保育所用地の確保をすすめます

 都市の再開発、住宅開発にともなう保育需要の急増に対応するために、条例でマンション業者などに保育所用地の確保を要請する自治体も生まれています。保育所など公共福祉施設の建設を街づくりの基本に位置づけ、一定規模の住宅・マンション開発の際に保育所を含む公共施設の用地確保を求め、大企業にふさわしい社会的責任を果たさせます。

(3)保育士の待遇改善をはかり、保育士の配置を保障します

  “保育士が確保できない”“いつも求人中”など、保育士不足が深刻です。しかし毎年4万人が保育士資格を取得して社会にでています。資格をもっているが保育士として働いていない、「潜在保育士」も約57万人にのぼります。保育士が足りないのは、賃金の低さや過重労働が原因です。働き続けることのできる労働条件の改善が急務です。

保育士の正規雇用化、賃金・労働条件の改善をはかります

 保育士の平均給与は、専門職であるにもかかわらず女性の一般労働者の平均と比べても月額12万円以上も低く、パートや臨時、派遣などの非正規雇用も急増しています。保育士の処遇を大幅に改善し、非正規化に歯止めをかけ、正規雇用化をすすめます。乳幼児期の子どもの保育・教育の専門職にふさわしく賃金等の労働条件を改善し、長時間保育を実施するのにふさわしい保育士配置にして過重労働を軽減します。

安心して復職でき、働き続けやすい環境の整備をすすめます

 出産・子育てなどで退職した保育士が復帰し働き続けやすいように、研修制度の充実、復職のための情報提供等の支援をつよめます。育児休業制度などの両立支援制度が使いやすいよう、代替職員配置などに支援をすすめます。

無資格の保育従事者の資格取得を支援します

 無認可保育所などで保育に携わってきた職員が保育士資格を取得しやすいよう、財政的保障、代替職員の確保などの支援をつよめます。

(4)認可保育所に入れない子どもへの緊急措置をおこないます

 認可保育所の建設・整備には一定の時間がかかります。申し込んでも認可保育所に入所できなかった子どもたちに対する緊急措置をすすめ、国が助成することが必要です。

緊急・臨時保育を確保します

 自治体の努力で職員配置や面積基準などでは認可水準を確保した緊急保育施設を建設しているところもあります。学校の空き教室や公共施設等などの利用もふくめ、職員・面積などは認可水準を基本に、緊急保育を確保します。翌年度の認可保育所入所を保障します。

無認可保育所への助成、利用料補助を創設します

 25万人近い子どもが認可外の保育所を利用しています。その多くは認可保育所に入れない、利用時間が合わないためなどで、とりわけ待機児童の多い0~2歳が利用者の半分を占めています。政府が必要な認可保育所をつくらず、低年齢児、延長保育、夜間・休日保育など、保護者の就労実態にあった保育条件整備を怠ってきたことが原因です。

 無認可保育所は、産休明け保育に先駆的に取り組むなど、公的保育の遅れを補う役割を果たしてきましたが、国の助成がないために、保育料が高く、保育士もきびしい労働条件におかれ、地域の父母の運動に支えられているところが少なくありません。無認可保育所の4割が認可を希望しているにもかかわらず、きびしい保育条件、格差を放置し、補助を出さず自治体まかせにし、待機児童の受け皿として活用してきた国の責任は重大です。

 どの子にも公的に保育を保障する立場から、無認可保育所に対しても、施設整備、保育士確保や資格取得などを支援し、保育条件の改善をはかりながら認可化をすすめます。自治体の保育料軽減制度を補助し、充実します。営利目的の劣悪な施設や深刻な事故を繰り返す事業者に対して、行政の実態把握と指導・監督をつよめます。

人口減少地域でも安定した保育を保障します

 過疎地など人口減少地域では、保育所運営が困難になり、統廃合がすすみ必要な保育が保障できない事態がすすんでいます。過疎地の保育を担っている公立保育所への国庫補助を復活させるとともに、小規模でも安定した保育を維持できるよう運営費を充実し、どの地域でも必要な保育を確保できるようにします。

 

2、「詰め込み」や営利企業への「丸投げ」に反対し、保育条件を改善します

 政府は、「規制緩和」「官から民へ」の路線にしがみつき、社会福祉法人による保育所建設をすすめてきた自治体にも営利企業参入のおしつけをつよめ、保育の基準をいっそう引き下げる議論もおこなっています。父母の願いに反し、保育内容の低下につながる保育の「営利化」や基準引き下げに反対し、保育条件を計画的に改善します。

営利企業参入のおしつけに反対します

 営利企業参入を積極的にすすめた横浜市では、新設の認可保育所144園のうち6割近い81園が株式会社立です。そのうち46園は園庭の面積基準の緩和をうけており、ビルの高層階やマンション内、鉄道の高架下の認可保育所も増えています。日本共産党横浜市議団調査では、保育士の平均年収が200万円足らずという保育所もありました。

もともと児童福祉法にもとづく保育所の整備は、保護者の就労を保障し、子どもの福祉をまもる見地から、国と自治体の責任で設置・運営され、公立保育所を基本に、それ以外の場合も非営利の社会福祉法人による私立保育所に保育を委託する形でおこなわれてきたのです。営利企業への「丸投げ」、押し付けは国と自治体の責任放棄であり、許されません。

保育の基準緩和を許さず、引き上げをめざします

 財界や政府の「規制改革会議」は、待機児童解消を口実に、保育室の面積や保育士配置などの基準引き下げを繰り返し求めるとともに、国基準を上まわる基準を設けている自治体を攻撃することまでしています。

 現在の保育所の面積基準は、戦後直後に制定されてからほとんど改善がなく、欧米諸国に比べてきわめて遅れたものです。それを補うため自治体が上乗せの努力をしてきたのは当然のことです。引き下げは子どもの命と安全にかかわります。厚労省の委託研究でも、2歳未満児の保育室は現在の「3・3平方メートル」を「4・11平方メートル」に、2歳以上児で「1・96平方メートル」を「2・43平方メートル」に広げる改善が必要としています。認可保育所建設をすすめ、「詰め込み」を解消し、施設や職員配置の基準を計画的に引き上げます。

「子ども・子育て支援新制度」(「新システム」)の実施を中止します

 こうした保育の「営利化」「規制緩和」の流れは、自民党、公明党、民主党の3党が強行した「子ども・子育て支援新制度」(「新システム」)の先取りです。「新制度」は、保育に対する国・自治体の責任を後退させ、子どもの保育に格差を持ち込み、保育を営利企業にいっそう委ねていくもので、公的保育制度の大改悪です。保育所整備のための補助金も廃止されます。また、「新制度がどうなるかわからない」と、自治体が保育所建設にちゅうちょする傾向もうまれており、国・自治体があげて認可保育所整備にとりくむうえでの障害ともなっています。

 2015年4月に予定されている「新制度」の本格実施を中止し、児童福祉法にもとづき国・自治体の責任で実施する公的保育制度を抜本的に拡充します。

 本来、国の保育・子育て支援政策は、将来をみすえて、誰もが子育てしながら安心して働き続けられる社会条件の整備をめざすべきものです。いつでも利用できる保育所の整備とともに、安心安全で子どもたちが健やかに育つ豊かな保育環境の保障が不可欠です。「子どもの最善の利益」をかかげる子どもの権利条約の見地からも当然です。

 日本共産党は、2010年に3年間に30万人の認可保育所建設をよびかける緊急提言を発表し、各地で認可保育所づくりの先頭にたってきました。引き続き父母、国民のみなさんと力をあわせ、安心して預けられる認可保育所を増設し、待機児童問題の解決をはかるために全力をつくします。

 

 

 (c)日本共産党中央委員会