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日本共産党

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赤旗

2013年参議院選挙各分野政策

14、原発問題

原発のない日本に――無謀な原発の再稼働と輸出をやめ、即時「原発ゼロ」の政治決断を

20136


 安倍内閣は、「成長戦略」に、「原発の活用」と再稼働を進めることを明記しました。7月の原子力規制委員会の「新基準」をテコに、12基以上の原発の再稼働をねらっています。安倍首相は、国内の再稼働で日本の原発の「安全性」を装いながら、原発メーカーやゼネコン、経団連と連れ立って、トルコや中東、東欧諸国へ原発輸出の「トップセールス」に奔走しています。

 原発を再稼働させ原発依存社会を続けるのか、再稼働を許さず「原発ゼロの日本」にすすむのか、大きな分かれ道になっています。危険な再稼働をきっぱりやめ、「原発ゼロの日本」へ政治決断を行うことこそ、最も現実的で責任ある道です。

安倍政権の原発固執の暴走は、二重、三重に「破たん」しています。

原発事故は「収束」どころか、危機的事態の真っただ中です

 福島第一原発は、「収束」とは程遠い、事故の真っただ中にあります。とりわけ放射能汚染水の問題はきわめて深刻です。破壊された原子炉建屋などに1日400トンもの地下水が流入して高濃度の放射能汚染水が増え続けており、大量の汚染水が外部に流出する瀬戸際という危機的状況に陥っています。汚染水として核燃料から溶け出てきた放射性物質は10万テラベクレルで、大震災直後の水素爆発で大気中に飛散した量の10倍にのぼると推定されるほど巨大な量となっています。政府は地下水の流入を「抑制」するとしていますが、実現する目途もできていません。ここまで事態が悪化してきたのは、政府も東京電力も、汚染水をいずれ海に流せばよいとする安易で許しがたい発想で、場当たり的で無責任な対応に終始してきたためです。

 

政府が再稼働のテコにしようとする「新基準」も、「破たん」しています

 安倍首相が当初のべていた「世界最高水準の安全基準で、安全が確認された原発は再稼働する」という方針は根底から破たんしています。安倍首相は、厳しい批判におされて、原発に、「絶対安全はない」ということを認めざるを得ませんでした。原子力規制委員会も、「安全基準」という言葉を使えなくなって、「規制基準」に言い換えています。「世界最高水準の安全基準」という安倍首相の言明は完全に破たんしています。

 「新規制基準」は、福島原発事故の原因究明のしないまま、再稼働を急ぐために「スケジュール先にありき」で決定してものにすぎません。重大事故(「炉心の著しい損傷」)が起きても、わずかな追加対策で原発は守られるとし、福島事故で機能しなかった原子炉水位計など必要な設備の対策は先送りされています。活断層があっても見えなければ、その真上に原発を建ててもよいなど、きわめてずさんもんです。アメリカでさえ稼働の前提としている住民の避難対策も条件づけられていません。

 

「原発のない日本へ――日本共産党の三つの提案」

 日本共産党は、危険な再稼働をきっぱりとやめ、「即時原発ゼロ」への政治決断を行うことこそが、もっとも現実的で責任ある道と考え、次のように提案します。

 

①「収束宣言」を撤回し、収束と廃炉、除染と賠償を、日本の英知を結集した国の一大事業として位置づけやりぬく

 政府は「収束宣言」を誤りと認め、きっぱりと撤回すべきです。放射能汚染水の海への放出は、環境汚染や水産業への打撃をもたらし、絶対にやってはなりません。事故の収束と廃炉を、日本の英知を結集した大事業として位置づけ、国と東電は総力をあげるべきです。収束作業に従事する労働者の安全と健康の管理に万全を尽くし、労働条件を可能な限り良くすることを要求します。

 賠償と除染、生活支援、復興支援で、不当な「線引き」をせずに、すべての被災者・被害者を対象にすることを求めます。生活と生業(なりわい)が再建され、希望する人が故郷に帰り、命と健康を守る医療や介護、子どもたちの教育を保障し続け、「安全・安心の福島県」をとりもどすまで、そのすべての過程で、国の責任で復興を支援します。

福島県内の住宅除染は60万戸が必要とされているにもかかわらず、終了したのは約1万8000戸にとどまっており、除染のスピードアップをはかります。危険手当の支払いなどすべての除染作業員の権利を守り、除染事業が確実、迅速にすすむようにします。

原子力損害賠償審査会の「指針」を見直し、全面賠償を行います。東電、経産相の賠償打ち切りを許さず、精神的損害への賠償を含め被災者が納得できるまで一律賠償を行わせます。長期にわたる原発事故被害には「時効」などあってはなりません。賠償金はすべて非課税とします。

福島県の18歳以下の子どもの医療費・検査料は国の負担で無料とします。「子ども・被災者生活支援法」を生かし、子どもの成長と権利を守るよう施策をすすめます。

②原発再稼働の方針を撤回し、輸出政策を中止する

 事故の原因もわからず、収束すらできず、「安全基準」づくりでも破たんした政府が、原発再稼働させるなど論外です。自民党の総選挙公約である「3年で再稼働」という「スケジュール先にありき」で再稼働を押しつけることは許されません。政府の「電力需給に関する検討会合」のとりまとめでも電力不足にならないことは明らかです。大飯原発を止め、原発再稼働方針を撤回することを求めます。建設許可済みのものや計画中のものも含めて、新たな原発の建設は認めません。

 自国で大事故を起こし、国内では原発に「絶対安全はない」と言いながら、他国には「世界一安全な原発技術を提供できる」と原発を売り込むことほど罪深い所業はありません。無責任な原発輸出政策をただちに中止すべきです。

 福島事故の原因究明と大事故にいたるすべてのプロセスを解明する科学的検証をしっかりおこなうため、東京電力や経産省から独立し、調査権限を持った第三者機関と研究機関を確立します。

③「即時原発ゼロ」の政治決断をおこない、再生可能エネルギーの大幅導入へ抜本的に転換する

 原発事故から2年余の体験は、原発と人類が共存できないことを示しています。この間、規制委員会は敦賀原発直下の断層を活断層と認めました。ずさんな評価で原発が立地されてきたことが改めて明らかになりました。日本で大地震が起きないといえる場所はなく、原発は直ちにやめるべきです。

「即時原発ゼロ」の政治決断をおこない、再生可能エネルギーの大幅導入への抜本的転換の計画を立てて、実行していくよう推進します。再生エネルギーは、普及が進めば進むほど安定します。また、太陽光、小水力、バイオマス、風力、地熱といった多様なエネルギーを組み合わせれば安定します。日本の多様で豊かな再生エネルギーの潜在力を生かし、自然エネルギー大国に切り替えます。

 高速増殖炉「もんじゅ」や再処理工場は廃止し、プルトニウム循環方式(核燃料サイクル)からただちに撤退します。

「原発ゼロ」を実現した後も、原発の廃炉、使用済み核燃料の管理・処理など原発関連の「負の遺産」の後始末を安全に実施しなければなりません。使用済み核燃料の処分の手段・方法については、専門家の英知を結集して研究・開発をすすめます。その結論が出るまでは、政府の責任で厳重な管理をおこないます。こうした事業に取り組むためにも、原子力に関する基礎研究とこの仕事を担う専門家の確保・育成をすすめます。

原発の廃炉にいたるプロセスの管理、使用済み核燃料の管理などを目的とし、従来の原発推進勢力から独立し、強力な権限をもった規制機関を確立します。

 原発に依存しなければ生きていけない地域に誘導した国と電力会社の責任は重大です。大きな成長が期待される再生可能エネルギーと関連する新産業の誘致と育成、原発廃炉によって可能性が広がる漁業、農業と関連産業の育成など、本格的な地域経済再生に国として取り組み、「原発ゼロ」と一体に立地自治体の住民のくらし、地域経済再建の支援をすすめます。

 

 

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