各分野政策(2013年)

2013年参議院選挙各分野政策

4、介護

介護を受ける人も、介護をささえる人も、誰もが安心できる公的介護制度をめざして改善をすすめます

20136


 介護保険は開始から13年を迎えました。この間社会保障切り捨ての「構造改革」がすすめられた結果、介護保険制度は危機的な状況です。介護保険利用者は増えましたが、家族の負担は重く毎年10万人以上が介護退職をせまられています。老老介護、介護殺人、介護心中など痛ましい事件が絶えません。行き場のない「介護難民」が「寝たきり老人専用住宅」「住み込みデイサービス」を利用せざるを得ません。「介護の社会化(家族が支える介護から社会が支える介護へ)」「利用者本位」という当初のスローガンは、風前の灯となっています。制度の抜本的な見直しが必要です。

2012年法「改正」と介護報酬改定

 2012年4月から3年にわたる全国の65歳以上の介護保険料の月額平均は4972円となり、もはや年金生活者には限界です。昨年、介護保険法が「改正」され、「地域包括ケアの実現」と「持続可能な制度の実現」を名目として、「給付の重点化・効率化」を本格的に推進しようとしています。

 「地域包括ケア」とは、「身近な地域で、住まいを基本に、医療や介護、生活支援サービス、介護予防がきれめなく提供される体制」です。政府は利用者の、「住み慣れた自宅で医療や介護を受けたい」という願いを逆手にとり、できるだけ病院や施設を使わせず、安上がりな体制を高齢化のピークといわれている2025年までに作り上げることを目標にしています。

地域包括ケアの目玉である24時間体制の「定期巡回サービス」の昨年度の実施自治体は、全国の7・6%にあたる120自治体にとどまり、当初の政府見込より大幅に少数にとどまっています。地域包括ケアの拠点となる地域包括ケアセンターも7割以上は民間委託のままです。地域包括ケア構想の大幅な見直しが必要です。

12年に創設された「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」は、自治体の判断で要支援者の予防給付の利用が制限され、訪問介護を保険給付からはずし、ボランティアなどに委ねることができます。すでに27自治体で実施され、13年度以降132自治体が実施する予定です。

 訪問介護利用者の7割が使う生活援助(掃除、洗濯、調理など)は、単なる「家事代行」でなく、利用者にとって、生きる意欲にもつながる人間らしく安定したくらしを維持する支援です。ところが改定では、基準時間を60分から45分に短縮した上、介護報酬を約2割引き下げました。その結果、「時間が足りず掃除のし残しがある」「調理の時間がなくなり、そう菜やコンビニ弁当になった」「利用者と会話する時間がなく、体調変化に気づきにくい」など、深刻な被害が広がっています。ヘルパーは、細切れ・駆け足介護をせまられ、労働条件の切り下げに直面しています。

 この間、共産党議員団の奮闘もあり、川崎市、大阪市などで生活援助の一律の時間短縮を認めない通知を出させるなどの成果も勝ち取られていますが、介護報酬の減額をもたらすという矛盾は解決されていません。日本共産党は、利用者、労働者、事業所と一体となって、生活援助時間短縮の撤回と、大幅な拡充を求めていきます。

 デイサービスでは、多数をしめていた「7時間以下」の事業所に平均12%近い報酬引き下げをおこないました。通所や訪問介護では、地域区分の見直しで、何もしなくても数百万円規模の減収になるような事業所も出ています。

 施設サービスは、低所得者が多く入所している多床室の報酬が大きく引き下げられ、要介護1、2の基本報酬もより引き下げるなど、低所得や軽度者が施設から締め出されるような改定です。老健施設は、在宅復帰率やベッド回転数が低い施設は報酬が下がる仕組みが初めて導入されました。

 報酬引き下げは、介護労働者の離職を促進し、労働者の事業所の存続をおびやかし、利用者の困難をうみだします。加算偏重ではなく、介護報酬本体の適正な引き上げが必要です。

 介護職員の医療行為は、たんの吸引、経管栄養が介護職の業務として法律上容認されました。そもそも医療行為は専門的訓練を受けた医療職がおこなうべきですが、不十分な研修体制をしっかり介護職員に保障するように見直すべきです。

 日本共産党は、これまで「提言」を節目ごとに発表し、2010年には介護保険制度を検証する、見直しにむけた利用者、事業者、自治体アンケートに取り組み、現在の介護保険の枠組みにとらわれず、誰もが安心して利用でき、安心して働ける介護制度への抜本的な見直しのために国民の協力・共同の輪を広げることに力をつくしてきました。そのとりくみは、要介護認定の改悪を一部撤回させたことをはじめ、自治体独自の解釈で利用制限をできる「ローカルルール」をやめさせるなど、大きな役割を担ってきました。

 日本共産党は以下のような改革にとりくみます。

国庫負担割合を10%引き上げ、負担軽減とサービス充実などを両立します

 保険料値上げか、サービス切り下げかという介護保険の根本的な矛盾を打開するには、国庫負担割合の引き上げで財源を確保することが不可欠です。国庫負担割合を10%増やし(在宅は25%から35%へ、施設は20%から30%へ)、公費負担割合を当面60%にすることで、国として介護保険料・利用料の減免制度をつくることをはじめ、高齢者の負担をおさえながら、介護サービスの充実、家族介護の負担軽減、介護労働者の処遇改善などに取り組みます。

 将来的には、国庫負担割合を介護保険がはじまる前の50%にまで引き上げることで(公費負担割合75%へ)、高齢者の経済的負担の軽減と、介護内容の充実、介護労働者の処遇改善などを抜本的にすすめます。介護の財源を口実とした消費税増税には反対します。

所得の少ない高齢者も安心して利用できる制度に改善します

 介護保険料は、そもそも約3人に2人が住民税非課税という高齢者に高い保険料を求めることに無理があります。

 国庫負担を増やすなかで介護保険料を値下げするとともに、国として、実効性のある保険料の減免制度をつくります。高齢者の保険料のあり方を全国単一の所得に応じた定率制など、支払い能力に応じた負担にあらためていきます。

すみやかに低所得の高齢者の利用料を無料にします。当面は利用料を在宅サービスでも施設サービスでも減免制度を抜本的に充実させます。

要介護認定を廃止し、現場の専門家の判断で適正な介護を提供する制度へ

 2009年の要介護認定の見直しにあたっては、日本共産党が暴露した内部文書によって、そのねらいが「介護とりあげ」にあったことが明らかになりました。現在も、更新する人が軽度に変更される事態は続いており、改善はまったなしの課題です。

 利用者の実態をふまえずに、機械的に必要な介護までとりあげる要介護認定と利用限度額は廃止し、ヘルパーやケアマネジャーをはじめとした現場の専門家の判断で適正な介護を提供する制度に改善させます。

 高齢者の身近な相談相手・専門家として、利用者の声を中立・公正な立場から代弁できるようにケアマネジャーを支援・育成します。ふさわしい介護報酬や研修などを保障します。介護予防プランの作成をケアマネジャーの担当にもどし、介護報酬も引き上げ、高齢者が自分の担当のケアマネジャーから一貫した支援が受けられるようにします。再びねらわれているケアプランの有料化をやめさせます。

「介護とりあげ」をやめさせ、その人らしい生活を保障する介護制度へ

 2005年の大改悪による「軽度」と判定された人に対する訪問介護や福祉用具利用などの「介護とりあげ」を元に戻します。また、「ローカルルール」として、自治体の乱暴な「介護とりあげ」の背景となっている、国の給付適正化事業のあり方を抜本的に改め、ヘルパーやケアマネジャーなどの判断で、利用者の人間らしい、その人らしい在宅での生活を保障するために、介護の現場の実態に応じて、柔軟に適切なサービスが提供されるようにします。

 「介護の社会化」に反する、同居家族がいる場合の調理・洗濯・掃除などの生活援助の利用制限は、国の責任で基準を示して、キッパリとやめさせます。

 いわゆる「院内介助」の規制が、自費サービスなどを生み、高齢者の医療を受ける機会を奪っていることは重大です。医療機関内では「院内のスタッフにより対応されるべき」という国の通知を撤回することをはじめ、医療機関の内部や、必要ならば利用者が受診しているときに医師の指示などを一緒に聴くこともふくめて、要介護者の通院介助を保障するようにあらためます。

 生活援助の取り上げ、保険はずしなどの改悪に断固反対します。「生活援助」の介護報酬を、「身体介護」と区分して低く抑えるやり方を改め、同等に引き上げます。

待機者解消へ5カ年計画で計画的な基盤整備の取り組みを進めます

 地域の介護をささえる核となる特養ホームや、生活支援ハウスなどの計画的整備、ショートステイの確保、グループホームや宅老所、小規模多機能施設への支援など、在宅でも施設でも、住み慣れた地域で安心して暮らせる基盤整備をすすめます。国による自治体への低い数値目標のおしつけをやめ、基盤整備への国庫補助を復活・充実する、都市部での介護施設やグループホームなどの用地取得への支援など、特養ホームの待機者を解消するための、緊急の基盤整備5カ年計画をすすめます。

 高齢者施設の火災事件の教訓を踏まえ、275平方メートル未満の小規模なグループホームなども含めてスプリンクラーのような初期消火設備や自動火災報知装置などを設置するために国の補助を抜本的に拡充するとともに、なによりも「火事をおこさない」ために、夜間の職員の人員配置をふやし、職員の定着をはかることなど、介護労働者の処遇改善などをすすめます。

 「コムスン事件」の反省を生かし、非営利の介護提供者を支援するとともに、民間事業者については適切な介護が提供できるかなどを事前に審査できるようにあらためます。特養ホームへの営利企業の参入拡大には反対します。

医療と介護の連携をすすめます。療養病床の廃止・削減に反対します

 医療が必要な高齢者が、介護施設やショートステイなどを利用できないという事態が広がっています。特養ホームやグループホームなどでも、医療行為は医療保険の適用を認めるなど、医療と介護の連携を強め、どこでも必要な医療と介護が受けられるように改善します。介護従事者にたいする医療にかかわる研修なども充実させます。現在は介護保険の利用に結びつかないとまったく報酬の対象にならない、高齢者の退院などの相談にのっているケアマネジャーなどの働きを評価する仕組みをつくります。

 療養病床の廃止・削減計画に反対し、その医療施設が地域で果たしてきた役割をまもり、地域における慢性期医療を充実します。介護と医療の連携の土台である地域医療をまもります。

介護職員の処遇改善をすすめ、介護従事者の確保をすすめます

 介護職は、人の命や人生をあずかる専門職です。「派遣切り」をはじめ解雇された労働者を"右から左に"介護の現場にもってくればよいというような発想の対策はまちがっています。処遇や研修体制を現場の要望を踏まえて改善し、国の責任で介護職の養成にとりくみます。公費負担で研修や教育が受けられるように、時間や費用を負担する仕組みをつくります。

 介護職員が生活設計を描けるような賃金水準を目標として設定し、その計画的な実現をめざすとともに、介護職一人月4万円賃金アップの実現を国庫負担の投入で求めます。そのためにも、介護報酬の引き上げとあわせた国庫負担割合引き上げ、利用料・保険料の値上げにつながらない対策をすすめます。

 サービス提供責任者が常勤で配置できるように、介護報酬に位置づけます。施設の人員配置基準を利用者の重度化がすすんでいる実態に合わせて3対1から2対1に改善させ、それにみあった介護報酬にあらためます。24時間・365日の在宅介護体勢を整備するために、夜間の訪問介護は複数のヘルパーの派遣を保障できるように改善します。現在の地域計数と人件費率をかけあわせる介護報酬の算出式は、とりわけ大都市部の物価や賃金水準からかけ離れたものになっており、地域の物価や賃金水準を反映した介護報酬にあらため、中山間地でも大都市部でも安心して介護が提供できるようにします。介護保険の手続き・指導・監査などを改善し、書類作成などの簡素化をはかります。

 介護労働者の労働条件を改善し、早急に150万人の介護従事者を養成・確保して人材不足を解消します。

自治体が高齢者福祉にたいする公的責任をはたせるようにします

 福祉事務所や保健所の機能強化など、保健・福祉・公衆衛生などの自治体の取り組みを再構築します。地域に暮らす高齢者の生活を行政がつかみ、総合的にその生活をささえていくために、地域包括支援センターを公費で運営し、機能を強化するなど、自治体の取り組みを充実させます。

 介護保険だけで高齢者の生活を支えることには限界があり、行政の高齢者福祉を充実させます。介護予防や高齢者の保健事業などは、介護保険から取り出して、再び公費で運営するようにあらためます。介護・医療・福祉などの連携をすすめ、国の財政保障に裏付けられた自治体の取り組みによって、高齢者の健康づくりをすすめます。介護のなかでも、民間での対応が難しい人には自治体が介護を提供するなど、積極的な役割をはたせるようにします。

認知症の人の介護・医療を保障します

 いまや認知症の高齢者は462万人とされ、軽度認知障害のある人も400万人いると推計されています(2012年時点・厚労省調査)。高齢者の3~4人に1人は認知症か軽度認知障害ということになります。

 早期発見・診断、初期の相談・家族への支援から終末期のケア・看取りまで、医療、保健、福祉が緊密に連携して切れ目のない支援が行われる体制の構築は急務です。

 昨年9月に厚労省が打ち出した認知症施策推進5ケ年計画(オレンジプラン)では、初期対応の重要性が強調されていることは関係者からも歓迎されています。その一方、精神科病院に入院している5万2千人に認知症の人を「できる限り短い期間での退院をめざす」と強調し、ある月に入院した人の50%が退院できるまでの期間を、現在の6ケ月から2ケ月に短縮した目標を示していることは、不安や疑問の声が出されています。

 精神科病院からの拙速な追い出しはやめ、安価に利用できるグループホームや介護施設を計画的に増設します。介護保険の「軽度者からとりあげ」は認知症対応にもふさわしくなく中止すべきです。

介護保険のいっそうの改悪に反対します

 すすめられてきた「社会保障と税の一体改革」では、「給付の重点化・効率化」を本格的に推進し、「施設から在宅へ」「軽度から重度へ」と給付体系を再編しようとしてきました。安倍自公政権は、「一体改革」よりさらに踏み込んで、露骨な社会保障削減・改悪を冷酷にすすめようとしています。

「財政制度等審議会」では介護保険の適用を「要介護3」以上の重度者に限定する、「産業力競争会議」では「軽度のデイサービスは全額自己負担」「デイケアは3割負担」にすることなどが議論されています。

「介護保険部会」では、「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の実施を自治体の選択にゆだねるのではなく、要支援者全体を保険給付から対象外にして、総合事業しか使わせないという方向が出されています。

軽度者や合計所得200万円以上の人を「高額所得者」とみなし利用料2割への引き上げや、施設の多床室入所者から室料負担を求めることなどもねらわれています。

 日本共産党は、介護保険制度が実施される前から、一貫して国民の介護の切実な要求にこたえて、制度の改善を求めてたたかってきました。これからも国民のみなさんとともに、公的介護保障制度の充実をめざします。「介護保険だけがのこって、高齢者の生活が崩壊する」ような、介護保険のいっそうの改悪はキッパリとやめさせるために力をつくします。

 

 

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