各分野政策(2013年)

2013年参議院選挙各分野政策

3、年金

年金削減政策を中止し、無年金・低年金の解決に足を踏みだして、今も将来も信頼できる年金制度を確立します

20136


年金制度の2段階の改革で、今も将来も安心できる制度を実現します

 年金保険料の際限ない値上げ、繰り返される給付削減、支給開始年齢の先送りなど、年金制度の連続改悪が強行されるなか、国民の年金不信が広がっています。

 現役世代では、国民年金保険料の未納率が4割に達し、免除者や未加入者も含め、保険料を払っていない人が1000万人を超えるなど、制度の「空洞化」が進行しています。高齢者でも、年金を1円も受給していない人が100万人にのぼり、国民年金の平均受給額が月5万円に満たないなど、無年金・低年金問題は深刻です。

 ところが、安倍内閣・自公政権は、年金支給額を3年間かけて2・5%削減する改悪を、今年から実行することを決めています(2013年12月支給:▲1・0%、2014年6月支給:▲1・0%、2015年6月支給:▲0・5%)。アベノミクスで物価上昇目標をかかげ、消費税を増税するのと同時に年金額を削減するのでは、高齢者やその家族の生活を圧迫し、地域経済にも打撃を与えることは必至です。

さらに、安倍内閣は、年金額を自動的に抑えていく「マクロ経済スライド」の仕組みを物価が下がった年にも発動するように改変し、毎年の年金支給額を恒久的に削減する改悪や、年金の支給開始を68~70歳に先送りにし、現役世代が将来受けとる年金を大幅に削減する改悪も「検討」しています。これでは、年金不信はいっそう拡大し、生活苦と将来不安はますばかりです。

 日本共産党は2段階の改革により、年金への信頼を取り戻し、真の持続可能な年金制度を確立します。

 第1段階として“減らない年金”を実現し、無年金・低年金問題の解決に足を踏みだして、“たよれる年金”の第一歩を築きます。

 物価下落を名目にした年金削減、今年から実施予定の2・5%の年金削減を中止します。「マクロ経済スライド」の拡大を許さず、この制度自体を撤廃します。物価上昇率が名目賃金上昇率を上まわった場合に、物価スライドを名目賃金上昇率の範囲に抑える仕組みなど、あらゆる年金削減の仕組みをなくし、減らない年金制度へ転換します。

 「保険料を25年、払わないと年金を受け取れない」という現行制度をすみやかに改めます。自公民3党は、受給資格を得られる期間を、「25年」から「10年」に短縮する法案を可決しましたが、その施行日は“消費税率が10%に上がったとき”と規定されています。年金制度の改善は国民の生活と権利をまもるため無条件に行うべきものであり、それを、消費税増税を飲ませるための“人質”に使うなど言語道断です。日本共産党は、受給資格期間の短縮を消費税増税と切り離し、すみやかに実現するために全力をあげます。

 あわせて、低年金の重点的な底上げを行います。現行の基礎年金は、受給額の2分の1を国が税財源で負担する仕組みとなっています。この仕組みをあらため、受給者全員に定額(現行の基礎年金満額の2分の1にあたる月3万3000円)の税財源を投入します。これが実現すれば、現在、月4万円の年金を受給している人は、受給額が月5万3000円に増額されます。

 改革の第2段階で、全額国庫負担による最低保障年金制度の確立に進みます。第1段階の低年金の底上げを発展させ、保険料納付にかかわらず月5万円の最低保障額を設定し、その上に、支払った保険料に応じた給付を上乗せする制度をスタートさせます。これにより、国民年金で40年間、保険料を納めた人は、月8万3000円の年金を受給できるようになり、厚生年金も、給付水準の低い人から底上げがされていきます。

 公的年金制度のなかに、最低保障の仕組みがないのは、先進国では日本だけです。国連の社会権規約委員会からも「最低年金を公的年金制度に導入すること」が、たびたび勧告されています。最低保障年金の導入に足を踏みだせば、低年金・無年金の増大、年金制度の「空洞化」、サラリーマン世帯の専業主婦の「第3号被保険者問題」など、今日の年金制度が抱えるさまざまな矛盾を抜本的に解決する道が開けます。

 これらの改革に必要な財源は、消費税増税にたよらず、①ムダづかいの一掃、富裕層・大企業に対する優遇税制の是正、②応能負担の原則に立った税制改革――という2段階の税・財政改革によって確保します。あわせて、雇用のルールの確立、中小企業の振興、農林水産業の再生など、国民の所得を増やし、日本経済を健全な成長軌道に乗せる民主的経済改革を行います。また、仕事と子育ての両立支援、子育ての経済的負担の軽減、日本社会のゆがみをただす改革を行い、「少子化」問題の克服に取り組みます。

 正規雇用が当たり前の社会をつくり、「働く貧困層」をなくして中小企業の経営をまもる改革は、年金保険料の未納者や滞納事業所を減らし、年金財政の支え手を増やす決め手ともなります。「少子化」問題の克服は、安定した年金制度を確立するうえでも重要です。

 年金制度を2段階で充実させる改革、その財源を消費税にたよらず確保する税・財政の改革、「ルールある経済社会」に転換する経済の民主的改革により、今も将来も安心・信頼できる年金を実現していきます。

 

「消えた年金」「消された年金」問題を、一人たりとも被害者を残さないよう、一日も早く、国の責任で解決します

 「消えた年金」「消された年金」問題は、国が引き起こした問題であり、被害者には何の責任もありません。“被害者を一人も残さない”“一日も早く”という立場で、日本共産党は、国が解決に責任を果たすことを求めます。

 年金記録が消えたり、消されたりしていないかどうか、一人ひとりの受給者・加入者にわかるよう、国が管理・保有している情報をきちんと提供するとともに、相談・問い合わせ、記録の照会や訂正、未払い金の支払いのスピードアップなどに対応できる体制の抜本的強化をはかります。第三者委員会などでは、物証がなくても、申立てや証言などを尊重して支給することなどを進めます。コンピューターの誤った記録は、すべて手書き台帳とつきあわせて、修正するべきです。

 「消えた年金」「消された年金」問題の根本には、国民の年金受給権をまもることには無関心で、保険料徴収と納入率アップを至上命令にするという、年金行政の大きなゆがみがあります。年金をはじめ、社会保障は国民の権利であり、行政の国民の権利をまもるために仕事をするという基本原則を、行政の上から下まで徹底することこそ、求められている改革です。この立場で、年金保険料の流用の中止、世界に例のない巨額の積立金の計画的な取り崩しと給付への充当など、年金行政の抜本的改革を進めます。

 社会保険庁解体・年金機構発足を口実に、「消えた年金」「消された年金」問題に対する国の責任を放棄することを許さず、「分限免職」した職員の再雇用をはじめ、問題解決の体制をとり、解決に責任を持つことを求めます。

 

パート、派遣、契約社員など非正規雇用で働く人たちの厚生年金加入の権利を保障します

 厚生年金など社会保険に加入することは、本来、非正規雇用も含めた労働者の権利です。現在の法律でも、法人又は従業員数が常時5人以上の事業所は、正社員の4分の3以上の時間を働く労働者をすべて厚生年金に加入させる義務を負っています。ところが、この義務を果たしていない事業所が少なくありません。派遣社員も、派遣元企業に社会保険加入の義務が課されていますが、責任逃れや違法行為が蔓延しています。

 昨年、国会を通過した法改定で、①従業員数501人以上の企業、②週の所定労働時間20時間以上、③月額賃金8・8万円以上、④雇用期間1年以上――という要件を満たす人が、厚生年金の対象とされました。これによって、新たに25万人が厚生年金加入となる見通しです。こうした改善措置を実効あるものとするためにも、低賃金や重い保険料負担の解決、雇主の違法・脱法行為の是正、低すぎる給付の引き上げなどが必要です。

 日本共産党は、経営が苦しい零細企業などについては社会保険料の軽減制度などをもうけて支援を行うと同時に、違法・脱法行為をなくし、非正規雇用で働く人たちの社会保険加入・厚生年金加入の権利をまもります。この問題を解決するためにも、年金制度充実の2段階の改革と、人間らしい雇用と賃金を確立する民主的経済改革に取り組みます。

 

公的年金等控除改悪など“高齢者増税”を見直し、「天引き」をやめさせます

 小泉・自公政権が強行した“高齢者増税”を見直します。65歳以上の公的年金等控除の最低保障額を140万円に戻すとともに、所得500万円以下の高齢者には、老年者控除を復活します。

 介護保険料や住民税の年金「天引き」の強制をやめさせ、各人の希望で、普通徴収などに変更できるようにします。

 

「一元化」の名による負担増・給付減に反対し、制度間の格差をなくして、公平な年金制度へ前進させます

 現在の国民年金と被用者年金(厚生年金・共済年金)には給付水準に大きな格差があり、また、被用者年金の保険料には事業主負担がありますが、国民年金にはありません。この間、自民党の一部議員や民主党が、こうした「制度間格差」を解消するためとして、年金制度の「一元化」をさかんに言いたててきました。

 しかし、民主党政権のときに打ち出された、国民年金と被用者年金を統合して「最低保障年金+所得比例年金」に再編する「一元化」案は、自営業者に大幅な保険料の値上げを押しつける一方、被用者の多数が受けとる年金額は現行制度よりも引き下げるなど、“負担は重いほうに、給付は低いほうにあわせる”改悪案でした。そこで提案された「最低保障年金」も、満額を受けとれるのは40~60年後で、「所得比例年金」の保険料を未納にすると無年金になるなど、「最低保障」の名に値しない看板倒れの案に過ぎず、あえなく頓挫しました。

 また、自公民3党は昨年、厚生年金と共済年金を統合する被用者年金の「一元化法」を可決しましたが、その中身も、厚生年金はなんら改善せず、ただ、“保険料を高いほうに、給付は低いほうに揃える”というだけの改変です。

 これらの事態は、社会保障削減路線の枠内で、保険者組織を統廃合する「改革」案では、国民が願っている“公平な年金制度”はできないことをしめしています。

 日本共産党は、「一元化」の名による負担増・給付削減に反対し、年金制度間の格差をなくして、公平な年金制度をめざす改革を進めます。そのために、一番、現実的な方法は、国民年金や、厚生年金の低い部分の底上げをはかり、全体として格差を縮小していくことです。「第1段階」で低年金の重点的な底上げを行い、「第2段階」で最低保障年金を導入するという2段階の改革は、この点でも有効な打開策となるものです。

 

社会保障の給付削減をねらい、国民のプライバシーを危機におとしいれる共通番号(マイナンバー)の導入に反対します

 安倍・自公政権と民主・みんな・維新の会は、国民一人ひとりに背番号をつけ、税金・保険料の負担や社会保障給付の記録を国が一元管理する、「共通番号」法案(マイナンバー法案)の可決を強行しました。

 この法律が実施されれば、すべての国民に識別番号(マイナンバー)がつけられ、各自の納税、保険料納付、医療機関での受診・治療、介護・保育サービスの利用などの情報をデータベース化して管理する仕組みがスタートします。2015年10月から、番号と氏名・住所・生年月日・性別が一体に記載されたカードを全国民に送り、16年には、顔写真やICチップの入った「個人番号カード」を導入するというのが、政府の計画です。

 もともと、国民の税・社会保障情報を一元管理する「共通番号」導入を求めてきたのは、財界でした。日本経団連は2000年代から、各人が納めた税・保険料の額と、社会保障として給付された額を比較できるようにし、“この人は負担にくらべて給付が厚すぎる”などと決めつけて、医療、介護、福祉などの給付を削減していくことを提言してきました。社会保障を、自分で納めた税・保険料に相当する“対価”を受けとるだけの仕組みに変質させる大改悪にほかなりません。社会保障を「自己責任」の制度に後退させ、「負担に見合った給付」の名で徹底した給付抑制を実行し、国の財政負担、大企業の税・保険料負担を削減していくことが、政府・財界の最大のねらいです。

 年金の分野では、保険料の納付額と、受けとる年金額が比較・対照され、“過大な給付を受けている”という攻撃のもと、さらなる年金削減が打ち出されることになります。

この間、年金の保険料収納の現場では、徴収業務の民間委託による取り立ての強化や、差し押さえなどがすでに問題になっています。「共通番号」の導入にともない、国の税金・社会保険料の徴収業務が“統合”され、機械的な徴収や無慈悲な滞納制裁がさらに横行することも懸念されます。

 日本共産党は、社会保障を民間の保険商品と同様の仕組みに変質させ、国民に負担増・給付削減を押しつけるための「共通番号」導入に反対します。社会保障を“自己責任”にかえる策動を許さず、国民の権利としての社会保障をまもります。

 政府が国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報をコンピューターに入力して行政一般に利用すること自体、重大な問題を持つものです。

 本来、個人に関する情報は、本人以外にむやみに知られることのないようにすべきものであり、プライバシーをまもる権利は憲法によって保障された人権の一つです。

 今般、法律が可決されたマイナンバーは、既存の「住基ネット」などとは比較にならない大量の個人情報を蓄積し、税・医療・年金・福祉・介護・労働保険・災害補償などあらゆる分野で活用されるものです。役場への申請はもちろん、病院の窓口や介護サービスの申し込みに使われるなど、公務・民間にかかわらず多様な主体が、そこにアクセスをしていきます。これが導入されれば、個人情報が“芋づる式”に引き出され、プライバシーを侵害される危険性が高まることは明らかです。

 また、データ管理を国から委託される企業に、国費をつうじて巨大な利権をもたらすことも問題視されています。

 日本弁護士連合会は、2007年10月に発表した「『社会保障番号』制度に関する提言」で、「米国の社会保障番号(SSN)がプライバシーに重大な脅威を与えていることは広く知られている」「あらゆる個人情報がSSNをマスターキーとして検索・名寄せ・データマッチング(プロファイリング)され、個人のプライバシーが『丸裸』にされる深刻な被害が広範に発生している」「SSNの身分証明性を悪用されて、『なりすまし』をされたりする被害も広がっている」と指摘し、日本への「社会保障番号」導入に反対を表明しています。

 実際、アメリカでは、「社会保障番号」の流出・不正使用による被害が全米で年間20万件を超えると報告されています。同様の制度がある韓国でも、06年、700万人の番号が流出して情報が売買され、大問題となりました。イギリスでは、労働党政権下の06年に導入を決めた「国民IDカード法」が、人権侵害や膨大な費用の浪費の恐れがあるとして、政権交代後の11年に廃止されました。

 日本共産党は、個人の人権を脅かす策動を許さず、国民のプライバシー権をまもるため、マイナンバー法の実施中止・撤廃を求めて全力をつくします。

 

 (c)日本共産党中央委員会