各分野政策(2013年)

2013年参議院選挙各分野政策

31、消費者

「消費者の権利」を実現するために、消費者行政の抜本的拡充をはかります

20136


 憲法は、国民の基本的人権を保障し、消費者基本法は「消費者の権利」を8つのカテゴリーに具体化しました。「基本的な需要が満たされる権利」「健全な生活環境が確保される権利」「安全が確保される権利」「選択の機会が保障される権利」「必要な情報が提供される権利」「消費者教育の機会が提供される権利」「消費者の意見が消費者政策に生かされる権利」「被害者が適切かつ迅速に救済される権利」です。しかし、食の安全、製品事故、不当契約や詐欺など、消費者の安心・安全を脅かす事件が後を絶ちません。こうした事件は、消費者の命と健康を脅かしています。内閣府の調査によると、最大3兆4000億円もの資産が消費者被害によって不当に奪われています。憲法、消費者基本法に謳う「消費者の権利」がないがしろにされています。

 「消費者の権利」を実現するために、「消費者行政の重視」が叫ばれ、消費者庁と消費者委員会が設置されたにもかかわらず、消費者の安全や安心が脅かされています。そのおおもとには、規制緩和路線があります。「市場への参入規制を取り払い、誰でも自由に市場に参入できるようにして、自由に競争させれば消費者に不利益を働く事業者は消費者の支持を得られないため、市場から撤退をせざるをえなくなり、結果、優良な事業者だけが市場に残り、消費者の利益は増進する」として進められました。そして、「事前規制から事後チェック」の名で、国民の安全にかかわる規制までもが緩和されてきました。そもそも、「事後チェック」では、国民の生命や安全を守ることにはなりません。それさえも不十分なまま推移しています。さらに、「消費者重視」といいながら、「産業優先」の省庁からの骨抜きも繰り返されています。

 安倍首相は、「安倍政権は、『世界で一番企業が活躍しやすい国』をめざします」とし、「企業活動を妨げる障害を、一つひとつ解消していきます。これが、あらたな『規制改革会議』の使命です」(施政方針演説、2月28日)と露骨に強調しています。この路線にたって、規制改革会議では、「一般健康食品の機能性表示の容認」「一般用医薬品のインターネット等販売規制の見直し」「医療関連業務における労働者派遣の拡大」などが討議されています。また、TPP(環太平洋連携協定)参加のために、BSE対策輸入規制を緩和し、アメリカの保険会社の営業利益に配慮してかんぽ生命の新規商品の販売を中止しました。しかも、TPP交渉の妥結までに、日米二国間で、保険、投資、知的財産、規格・基準、政府調達、競争政策、衛生植物検疫などの非関税措置についても、まとめるとしています。これらが、国民の安全・安心をさらに踏みにじるものとなります。

 いま求められているのは、こうした規制緩和を根本的に見直して、「消費者の権利」や利益をまもる立場にたつことです。

 日本共産党は、企業や産業界から献金をうけていません。アメリカにも堂々とものをいう政党です。消費者の安全・安心よりも、大企業やアメリカ業界のもうけを優先する政治をきりかえ、「消費者の権利」をまもります。

 

1、食品の安全をないがしろにするTPP参加ストップ。食品安全行政の抜本的強化をはかります

●TPPに参加すれば、日本の農水産業に壊滅的打撃を与え、国民への安定的な食料供給と食の安全を土台から崩します。食の安全のための規制も「非関税障壁」とされ、撤廃・削減されてしまいます。米国政府は、残留農薬や食品添加物などの規制緩和を要求し、輸入牛肉の規制見直し問題では、日本政府は2月には緩和し、さらにゆるめようとしています。

 食の安全をはじめ、暮らしと経済のあらゆる分野に「アメリカ型ルール」を押し付けるTPPに断固反対します。食料主権、経済主権を尊重した貿易ルールの確立をすすめます。

●福島原発事故を受けて、食品の放射能汚染にたいする不安が高まっています。行政として食品の安全検査を徹底しておこなうこと、生産者の検査への行政支援を強化すること、こうした情報の徹底開示を進めます。

 「投機とバブル」をあおる「アベノミクス」の急激な円安で、輸入燃料が高騰し、公共料金や物価の値上げが相次いでいます。福島原発事故との関連で、電気料金のあり方が大問題になりました。電気料金、ガス料金、水道料金、鉄道料金、電話料金など公共料金については、その根拠となる情報の公開、透明性を担保する必要があります。

●輸入食品の検査体制について、人員の抜本的増員をはかるなど強化し、子ども・妊婦・病弱者への影響を最大限配慮した安全基準の設定、消費者へのすばやくてわかりやすい情報の提供など、食品衛生法を強化、改定します。食品安全委員会は「国民の健康の保護が最も重要であるという基本認識の下に、食品の安全性の確保」をはかるために設置されました。しかし、BSE問題をはじめ政治的な圧力にたいして、独立性・中立性を確保しているとはいえません。現行の食品安全行政を、独立性・中立性のあるものとして国民の立場に立って機能させ、実効あるものとします。

●食品の表示は、消費者が商品やサービスを正確に知るための権利であり、とりわけ、食品の安全を求める権利、食品の内容を正確に知る権利、食品選択の自由の権利などを実現していく必要があります。閣議決定された「食品表示法案」は、「消費者の権利」を明記し、また、栄養表示の原則義務化、適格消費者団体による差し止め請求権を盛り込むなど、消費者の要望を一定程度取り入れています。しかし、すべての加工食品の原産地表示、添加物表示の見直し、遺伝子組み換え食品の表示の見直しになどついては、義務化しておらず、今後の検討課題とされています。また、インターネット販売や自動販売機における表示についても当面実態調査をすることにとどまっています。それは、法案を準備するにあたって昨年8月に報告書をまとめた「食品表示の一元化検討会」が、食品衛生法、JAS法、健康増進法の食品表示の部分についての統合という狭い枠での検討にとどまっており、他の法律・制度もふくめ食品表示を通じていかに「消費者の権利」を実現していくのかという本腰を入れた対策になっていないからです。抜本的な改定によって、「消費者のための表示」制度を実現します。

 

2、消費者の生命・身体の安全を確保するための施策を強化します

●消費者被害や事故情報は、国民共有の財産です。情報収集の強化とともに、情報開示を一段と進めます。

●欠陥製品による被害者の救済は不十分です。製造物責任法(PL法)を抜本的に改正し、企業責任を追及しやすくします。そのためにも、欠陥や因果関係の推定規定の導入、企業側による立証責任、リコール隠しをするような悪質企業には懲罰的賠償を命じるなどの改善をおこないます。

●日常生活用品や遊具・建造物などの安全確保に努めます。日常の生活用品での死傷事故、エレベーター、エスカレーター、プール、ジェットコースターなどの設備による事故や建物の耐震強度の偽装などが相次いでいます。消費者庁の消費者安全調査委員会に事故情報が一元的に収集されるようになりましたが、原因調査の件数が少なすぎ、報告も遅いと批判されています。事故情報のさらなる収集、分析、公開のためには、体制の充実が必要です。事故分析の上に立って、行政と企業の責任による安全基準のいっそうの厳格化をはかります。

 

3、悪徳商法や悪質な取引から消費者をまもります

●特定商取引法によるクーリングオフ期間のさらなる延長やネット上の広告の改善など、特定商取引法をさらに消費者が使い勝手のよいものに改めます。

●事業者の情報提供義務の明記、「適合性の原則」(消費者の知識・経験・財産の状況を事業者が配慮する)の導入、契約取り消し期間の延期、誤認して結んだ契約の取り消し範囲の拡大など、消費者契約法の改正を求めます。

●改正貸金業法ではグレーゾーン金利は廃止されましたが、法定金利そのものが高すぎます。引き下げに全力をあげます。多重債務者にたいする相談体制の強化、生活福祉資金の改善などで生活の建て直しが図れるようにします。

●クレジット会社による加盟店の厳密な審査、クレジット会社と加盟店との連帯責任の強化など、割賦販売法の運用をすすめます。

 

4、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの役割を発揮するために

●食の安全が脅かされるもとで、2009年に消費者庁、消費者委員会が創設されました。消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの3つの機関のそれぞれの役割発揮が求められます。消費者庁は、消費者の利益の擁護・増進に関する基本的な政策の企画・立案・推進や、法執行といった「権力的事務」などをすすめる機関です。国民生活センターは「国民の目線」にたった業務をすすめています。そのためにも、直接相談の復活、事業の「関連性」、各省庁からの「独立性」、事故や被害にたいする「迅速性」の担保が必要です。消費者委員会は、消費者行政全般の監視、諮問を受けた事項について答申や建議をおこなうものです。それぞれの役割・機能を発揮させるためには、人員体制や組織体制の整備、予算の増額がどうしても必要です。

●消費者庁の抱える課題のなかでも、地方消費者行政の充実は最も重要なものです。「地方消費者行政活性化基金」を継続・拡充するとともに、非常勤の消費生活相談員の待遇改善にも使えるようにするなど、基金の積極的活用を可能にします。

●消費者被害や消費生活に関連する情報は、国民で共有すべき「財産」です。重大製品事故報告制度の対象から除外されている食品、医薬品なども対象とし、すべての消費生活製品をフォローできるようにします。

 

5、消費者、消費者団体への支援を一段とつよめます

●不当な事業者利得を吐き出させるため、「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度」を創設します。消費者団体訴訟制度について、消費者団体が使いやすい制度に改善します。適格消費者団体に、行政が入手した情報の提供や財政的援助を強化します。

●NPOの自主的な活動は、国民生活を豊かにする上でも、社会全体の発展のためにも重要な役割をもっています。NPOの自主性を尊重し、行政との対等の関係を保ちつつ、活動資金の助成や活動に必要な施設・設備の提供、寄付が受けやすくする制度への改善など、支援を強化します(分野別政策「NPO・NGO」をご参照ください)。

●スマートホン、携帯電話やインターネットを使った消費者被害が広がっています。学校での体系的な消費者教育をすすめます。公的機関による消費者教育の充実はもちろん、社会教育活動として、地域の住民や団体を対象にした、自主的な消費者教育運動への支援を強化します。

 

 (c)日本共産党中央委員会