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日本共産党

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赤旗

2013年参議院選挙各分野政策

12、TPP

TPPへの暴走=「亡国の政治」に反対し、経済主権、食料主権を尊重した互恵・平等の対外経済関係の発展をめざす

20136


 自民党はTPP(環太平洋連携協定)について、昨年の総選挙で「TPP断固反対。ウソつかない。ブレない」というポスターまで張り出し、「聖域なき関税撤廃」を前提としたTPPの交渉参加に反対するとして、6項目(※)を公約に掲げました。ところが安倍首相は、その選挙公約を投げ捨てて、3月15日にはTPP交渉への参加を表明、さらに4月12日にアメリカとの事前協議「合意」を経て、4月下旬には交渉参加11カ国すべての同意をとりつけるなど、交渉参加への道をしゃにむに突き進みました。

 (※)自民党の政権公約のなかで、TPPについて掲げた以下の「6項目」――①政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する、②自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない、③国民皆保険制度を守る、④食の安全安心の基準を守る、⑤国の主権を損なうようなISD条項は合意しない、⑥政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。

 交渉参加の表明に当たっての会見では「交渉力を駆使し、守るべきものは守り、国益にかなう最善の道を追求する」(3月15日、官邸での記者会見)とのべて、「交渉力」を強調しましたが、アメリカとの事前協議では、コメ、乳製品、砂糖など重要農産物の関税について、何ひとつ維持できるという保証をとることはできませんでした。その一方で、日本の交渉参加の条件とされて、「入場料」と呼ばれた牛肉、自動車、保険の3分野でのアメリカの要求を、丸のみしました。しかも、TPP交渉と並行して、自動車、保険、投資、知的財産権、規格・基準、政府調達、競争政策、衛生植物検疫などの非関税措置の撤廃・緩和に向けた日米2国間協議を行い、TPP交渉の妥結までにまとめることまで、約束させられました。アメリカに続いて日本の交渉参加に同意したオーストラリアやニュージーランドも、全品目の「高い自由化の実現」こそ、参加の条件だとして念押しをしています。

 こうした現状のいったいどこに、安倍首相のいう「強い交渉力」があるというのでしょうか。TPP交渉に参加すれば、農林水産物の関税全廃が迫られ、わが国の農林漁業など「守るべきものが守れない」のはいよいよあきらかです。「守るべきものを守る」という首相の言明が、まったくの虚構であることを明らかにしました。

 こうしたなかで際立ったのは、関税をすべて撤廃し、国民の暮らしに関わるルールを「非関税障壁」として撤廃・削減するTPPそのものの危険性だけでなく、アメリカのいうままに譲歩を重ね、日本を丸ごと売り渡しかねない安倍内閣の「亡国」的な姿勢です。「国のかたちを変えてしまう」と言われるTPPへの参加を、TPPの交渉内容を秘密にするというルールにそって、国民への情報開示も抜きに、強引にすすめようとしています。アメリカと財界の要求のままにTPPに突き進むなら、国民の生活と日本経済は重大な打撃を受けます。

 

1、「食と農」に壊滅的打撃――国民が生きていく土台を崩していいのか

 TPP参加は、日本の農林水産業に壊滅的打撃を与え、国民への安定的な食料供給と食の安全を土台から崩します。自国での農業と食料生産をつぶし、もっぱら外国にたよる国にして良いのか、この国の根本的なあり方が問われています。

農林水産業をこわし、食料自給率を大幅に低下させる――農林水産省は2010年に行った試算で、関税撤廃によって、日本のコメの自給率は1割以下、国民が食べるコメの9割以上が外国産米になり、その結果、自民党政権のもとで低下した食料自給率は、現在の39%からさらに13%に落ちると試算しました。この試算がTPP反対の世論に影響を与えているとみた政府は、交渉参加の表明(今年3月15日)に合わせて、「政府統一試算」を公表しました。そのなかの「やり直した」農林水産物への影響試算でも、農林水産物の生産額減は3兆円程度(2010年試算では4.5兆円)に上るとし、自給率は現在の39%から27%(同13%)へと低下するとしており、TPPの農林水産業への深刻な打撃は、明らかです。今回の試算が2010年のそれと違うのは、TPP交渉参加11カ国に対してのみ関税を撤廃した場合に限定し(2010年は全世界に対して)、コメの輸出国の輸出余力を狭く見て(2010年試算は大幅なコメへの生産転換が起きると想定)、競合する国産品が輸入品の置き換わる可能性を少なくし(2010年は輸出国の余力分がまるまる置き換わると想定)、残存する国産品の値下がり幅を狭く仮定している点です。2010年試算にあった、農林水産業とその関連産業まで含めて350万人の雇用機会が失われるという見通しに相当する試算は、今回の試算から外されています。

 TPP参加と食料自給率の向上は、絶対に両立しません。民主党政権が2010年3月に決定した「2020年度までに食料自給率を50%にする」という「食料・農業・農村基本計画」にも反します。

 「第三の開国」とか「農業は保護されすぎている」などと言いますが、今でさえ日本の農産物の関税率は11.7%とアメリカに次いで世界で二番目に低くなっています。日本は「鎖国」どころか、すでに十分すぎるほど「開かれた国」です。

 競争相手は世界で最も農産物の安いアメリカとオーストラリアです。日本農業が壊滅的打撃を受けることは避けられません。一戸当たりの耕作面積が日本の100倍のアメリカ、1500倍のオーストラリアと、「競争できる強い農業」などというのは、国土や歴史的な条件の違いを無視した暴論にすぎません。

 9か国交渉でまとめられたTPPの「大要」(2011年11月12日に交渉9カ国の指導者が発表した)では、「商品・サービス貿易や投資への、関税や障壁を撤廃する」、「物品貿易に関する法文は、パートナー(参加国)の現在のWTOの義務を超えた約束を含むパートナー間の関税撤廃と、貿易障壁となりえる非関税措置の撤廃に取り組む」と明記しています。日本の外務省も2011年11月にまとめた資料で、「TPP協定交渉においては、高い水準の自由化が目標とされているため、従来我が国が締結してきたEPAにおいて、常に『除外』または『再協議』の対応をしてきた農林水産品(コメ、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産品等)を含む940品目について、関税撤廃を求められる。」と記しています。

 新たに交渉に参加したカナダやメキシコは、参加の承認にあたって、「現行交渉参加国9カ国がすでに合意した条文は全て受け入れる」という条件をのまされました。年内に交渉妥結を目指すとしている現交渉国は、今年7月と10月に交渉会合を持つとしていますが、アメリカの議会が日本の交渉参加を認めるのに時間がかかるため、7月の交渉では日本が参加できるのはわずか3日間だといわれています。この残り少ない交渉時間で、日本がルールづくりに影響を与えられるというのは、交渉の実態からもはずれた無責任な議論です。

 大震災からの復興への希望を奪う――東日本大震災で大きな被害を受けた東北3県の農林水産業にとっては、さらに事態は深刻です。日本有数の"米どころ"への打撃ははかりしれません。三陸の主要産品であるワカメ、コンブ、サケ・マスなど水産業にも甚大な被害が及びます。被災地の基幹産業である農林水産業への大打撃となるTPP参加の強行は、被災者の生活と生業再建の基盤を壊し、復興への希望さえも奪ってしまいます。

 環境や国土の保全など農林水産業の多面的な役割も失う――農林水産業は、環境や国土の保全など、多面的な役割を果たしています。日本学術会議は、農林水産業の多面的機能について、洪水防止機能、土砂崩壊防止機能、水質浄化機能、生態系保全機能などで年間約90兆円の効果があると試算していますが、TPPは、こうした多面的機能も喪失させます。

 

2、破たんした「アメリカ型ルール」の押しつけ――くらしと経済のあらゆる分野に

 TPPは、農業と食料だけでなく、暮らしと経済のあらゆる分野が交渉対象とされます。TPP協定交渉では、政府調達、金融、投資、環境、労働など24の作業部会が設けられています。「非関税障壁」の撤廃の名目で、リーマン・ショックなどで破たんが見えた「アメリカ型ルール」が押しつけられ、「国のかたち」そのものを大きく変えてしまう内容を持っています。

 とくに、食の安全、医療、官公需・公共事業の発注、金融・保険、労働などで、国民の生活や安全を守るルールと監視体制、中小企業を支援する制度などが大きく崩される危険が大問題になっています。

 食の安全を脅かす――昨年5月の日米首脳会談で、オバマ大統領は野田首相(当時)に、BSE対策であるアメリカ産牛肉の輸入制限の緩和を要求しました。自民党へ政権が交代後、今年4月からアメリカ産牛肉の輸入規制を緩和し、さらに国内産牛肉の全頭検査までやめさせようとしています。TPPに参加すれば、食品の安全のための規制も「非関税障壁」とされ、とりはらわれてしまいます。米国通商代表部は、「外国貿易障壁報告書」(2010年)の中で「対日要求」として、輸入食品・農産物の検査、遺伝子組み換えなどの食品表示などがアメリカの規制より厳しいと批判し、緩和を要求しています。さらに、2011年2月に行われた「日米経済調和対話」でも米国政府は、残留農薬や食品添加物などの規制緩和を要求しています。

 国民皆保険制度が崩され、医療崩壊がすすむ――アメリカは、民間医療保険や医薬品などの市場を開放することを繰り返し要求し、その障害として、日本の公的医療保険制度、国民皆保険制度を標的にしています。日本医師会は、TPP参加への懸念として、混合診療の全面解禁で保険のきかない医療が拡大し、所得によって受けられる医療が制限される、株式会社の病院経営への参入によるもうけ本位の医療、不採算部門の切り捨て、地域からの撤退などをあげています。これでは「医療崩壊」と呼ばれるほどの危機をますます深刻にしてしまいます。

 安価な薬の供給が減り、薬価が高止まりに――アメリカはTPPを通じて知的財産権の保護強化を推進しており、ジェネリック薬(後発医薬品)の供給が遅れ、医薬品価格の高止まりにつながる恐れがあります。アメリカは、既存薬の形や使い方を変えた医薬品を、効果がアップしていなくても"新薬"として特許申請する「エバーグリーニング」とよばれる手法を使い、既存薬の権利独占を図ろうとしています。TPPでこのルールが認められると、ジェネリック薬市場に参入するまでに、今まで以上に長い年月がかかるようになります。日本国内だけでなく、多くの途上国では、患者の命をつなぐ安価な医薬品が手に入りにくくなります。安価な医薬品の供給を維持するためにも、薬メーカーに一方的に有利なアメリカ流の「知的財産権の保護」には反対です。

地元中小企業向け官公需発注が困難に――TPP交渉分野の一つである「政府調達」は、政府や地方自治体の物品購入や公共事業で、国際入札を義務づけることなどが検討されています。市町村の小規模な公共事業や物品購入も外国企業への開放が義務づけられ、地元企業への優先発注などは「非関税障壁」として排除される危険があります。地方の建設業界では、外国企業が安い外国の資材や労働力を持ち込んで参入し、「仕事を奪われる」ことも懸念されています。国が「中小企業の受注機会の増大に努める」と定めた官公需法が骨抜きにされ、地方自治体の地元中小企業優先発注や住宅リフォーム助成制度、公契約条例なども、やり玉にあげられかねません。

 自主共済も廃止に追い込まれる――アメリカ政府は、相互扶助機関として保険商品を提供している協同組合である共済について、金融庁の規制のもとにある外資系保険会社と同じ「規制と競争」のもとにおけと要求しています(「日米経済調和対話」)。在日米商工会議所は、農協共済を名指しして問題にしていますが、そうなれば、商工団体、業界団体、労働団体など各種団体の自主的な共済も廃止に追い込まれてしまいます。

労働法制の大改悪の引き金に――アメリカ政府は、「ただ働き残業」を合法化するホワイトカラーエグゼンプションの導入や、会社が自由に解雇できる「解雇の金銭解決」、労働者派遣法のいっそうの規制緩和など、アメリカ型に日本の労働法制を改悪することを要求しています(「日米投資イニシアティブ報告書」)。TPP参加は、労働法制の大改悪に結びつく危険があります。

 

3、TPPの交渉内容は国民に秘密。「毒薬条項」が主権を侵す

 TPP交渉の内容が、国民にも、国会にも知らされず、4年間は秘密扱いにされることが、ニュージーランド政府の文書で明らかになっています。野田前首相は、「事前協議」の開始にあたって、「説明責任を果たし、十分な国民的議論を経て結論を得る」と言いましたが、秘密交渉で説明責任を果たせるはずはありません。まさに「カラ約束」であることは明白です。

 さらにアメリカはTPPに、投資した外国の企業が、その国の政府・自治体がとる施策によって、予定していた利益が減り、損害が生じると判断した場合、その企業は、政府・自治体にたいして損害賠償や、措置の停止を求める訴訟を、世界銀行のもとにある国際機関に行うことができる「投資家・国家間の紛争解決条項」(ISDS条項)を盛り込もうとしていると見られています。この条項は、すでにアメリカ、カナダ、メキシコ3国による北米自由貿易協定(NAFTA)にあり、アメリカ企業が多額の補償金を得るという例が出ています。韓国がアメリカと結んだ米韓FTA(自由貿易協定)にも、この条項があり、自国のルールを国民が決める主権を侵すものとして、「毒薬条項」と呼ばれ、きびしく批判されています。

 

4、TPPは、「成長戦略」どころか、地域経済と雇用、内需に大打撃となる

  国内では、日本経団連など財界が、「成長戦略」とか「貿易立国」などと言って、TPP参加の圧力をかけています。しかし、「恩恵」を受けるのは、一部の輸出大企業をはじめとする多国籍企業で、農業と食料、地域経済と雇用、国民生活は、犠牲だけが強いられることになります。

  TPP参加は、農林水産業や地方の建設業界への直接の大打撃となるだけでなく、食品加工、運輸などの関連産業、地域経済と雇用に、その被害が大きく波及します。TPPへの参加で関税を撤廃することにより、GDPが0.66%(3.2兆円)増加するという安倍政権の試算にたいして、TPPに反対する「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」(賛同者890名超)は5月22日、GDPは減少するというTPPの影響を試算した結果を発表しました。それによると政府の「政府統一試算」を前提にしても、国内生産の減少は合計10.5兆円に達し、農林水産業で146.5万人、他産業で43.7万人、合計190万人の就業機会が消失します。GDPに与える影響は、約4.8兆円の減少となり、GDPを1.0%押し下げますが、そのうち0.6%分は、生産減・就業者減による家計消費の減少です。

 北海道庁も、政府統一試算を前提に、TPP参加で道経済が1.6兆円(2010年試算では2.1兆円)もの損失を被るとしていますが、その7割は農業以外の関連産業、地域経済が受ける被害です。

 TPPは大きな雇用減をもたらし、国民生活と地域経済に大打撃となります。

 またTPP参加は、デフレに苦しむ日本経済に大被害をもたらします。一部の輸出大企業が、労働者と中小企業の犠牲のうえに、突出した「国際競争力」を強め、外需だのみの経済にしてきた結果、国内需要の縮小を生み、デフレの原因となっています。これをいっそう加速させるのがTPPです。一部の輸出大企業をはじめ多国籍企業だけが巨額の富を蓄積し、国民の所得が奪われ、日本経済全体は長期低迷から抜け出せない――TPP参加は、この悪循環を深刻にするだけであり、日本経済のまともな発展の道を閉ざすものです。

 いますすむべき道は、TPPへの参加をきっぱり断念し、国民生活応援・内需主導への政治にきりかえ、日本経済の健全な成長とつりあいのとれた発展をはかることです。

 

5、食料主権、経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係の発展を

 TPPが「自由貿易」「投資の自由化」の名で押しつける市場原理、規制緩和至上主義は、新しい貿易や投資、経済関係の前進どころか、世界でも、日本でも失敗し、破たんずみの時代逆行にすぎません。地球規模での飢えと食料危機打開に向けた国際的な努力、地球環境をまもる取り組みと規制の強化、世界経済を混乱させる投機マネーへの規制など、各国の経済主権を尊重し、民主的で秩序ある経済の発展をめざす投資と貿易のルールづくりこそが、新しい世界の流れです。

 食料主権を尊重した貿易ルールを――自国の食料のあり方は、その国で決めるという食料主権――関税などの国境措置の維持強化は国際的な流れです。国連人権委員会でも「各国政府に対し食料に対する権利を尊重し、保護し、履行するよう勧告する」と決議されています(2004年4月16日)。この決議に反対したのはアメリカだけでした。食料不足と飢餓の拡大のもとで、各国が食料増産、自給率の向上を求められており、貿易ルールにおいても食料主権を尊重することが求められています。豊かな発展の潜在力を持っている日本農業を無理やりつぶして、外国から大量に食料を買い入れ、輸入依存を高める――これは国際正義、人類的道義にも反する行為です。

 「金融自由化」から投機マネーの規制へ――TPPは、投機マネーの規制に反対し、投資の「自由拡大」をいっそうすすめようとする考え方で成り立っています。しかし、世界の流れは、アメリカが先頭にたってすすめた「金融自由化」が、目先の利益だけを追い求めて世界中を動き回る巨額の投機マネーを生み出し、世界的な金融・経済の混乱を引き起こしていることを反省し、金融取引税の導入をはじめ投機規制の強化を探求しています。「投機マネー」による円の乱高下に苦しんでいる日本経済を真剣に考えるなら、こうした流れに合流することこそ求められています。

 経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係の発展をめざす――TPP交渉への参加を表明している国は、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、ペルー、ブルネイ、シンガポール、ベトナム、マレーシアの9カ国に加え、昨年10月から新たに交渉に参加したカナダ、メキシコを合わせ11カ国です。アジアでは、韓国、中国はもちろん、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国も、最大GDPを持つインドネシアをはじめ、フィリピンなども参加していないように少数派にすぎません。中国がTPPへの関心を示しているという報道もありますが、現実味が高まったという話ではありません。TPP参加は、環太平洋諸国、アジアに向かって「開かれた国」にするのではなく、経済主権、食料主権を投げ捨て、経済面でもアメリカの属国になる道にほかなりません。

  日本に求められているのは、アメリカ一辺倒から抜け出し、アジアを含む各国と経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係を発展させることです。貿易や経済関係を拡大すること自体は、悪いことではありません。しかし貿易の拡大の中でも、農業、食料、環境、労働など市場だけに任せておいては成り立たない分野があります。

 新しい世界の流れは、各国の経済主権を尊重し、それぞれの国の民主的で秩序ある経済の発展をめざす、互恵・平等の投資と貿易のルールづくりにあります。とりわけ自国の食料のあり方については自国で決定するという食料主権の尊重は、世界の流れとなっています。この道をすすんでこそ、アジアを含む各国と経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係を発展させることができます。日本は、こうした互恵・平等の経済関係を発展させる貿易・投資のルールづくりをこそ、アジアのなかで進めていくべきです。

 

国民的な共同の先頭に立って、TPP参加を阻止する

 アメリカの顔色をうかがって、「国のかたち」を大きく変えてしまうようなTPPに参加する――これは「亡国の政治」以外の何ものでもありません。

  TPP反対の世論は、大きく広がっています。JA全中(全国農業協同組合中央会)が中心となり、農漁業団体、消費者団体などが反対運動に取り組み、日本医師会もTPP参加反対を繰り返し表明しています。2010年10月以降、TPP参加反対などの意見書・決議を可決したのが44道府県議会、2144市町村議会に及びます。(2013年3月現在)

  日本共産党は、TPP交渉への参加反対の一点で、国民の共同、国会内での共同を広げ、TPP参加を阻止するために全力を挙げます。

 

 なお、日本共産党は今年5月9日、安倍内閣に交渉参加の撤回を要求するアピールを発表しています。ご参照ください。

 「TPP交渉への参加は日本をアメリカに丸ごと売り渡すことになる――安倍内閣に交渉参加の撤回を強く求めます」(2013年5月9日)

 

 

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