各分野政策(2013年)

2013年参議院選挙各分野政策

37、憲法

20136


 昨年末の総選挙で、自民党をはじめ、日本維新の会、みんなの党など、むき出しの改憲派が多数を占めました。改憲勢力の一番の狙いは、憲法9条をかえて、日本を「海外で戦争をする国」につくりかえることです。日本共産党は、憲法改悪の動きと真正面からたたかいます。

 

(1)“憲法を憲法でなくしてしまう”96条改憲をやめさせ、立憲主義を守ります

 安倍首相は、「96条ならハードルは低い」という党略的でよこしまな思惑で、改憲の発議を、国会議員の「3分の2以上」から「2分の1以上」に引き下げる96条改定を、「参院選の争点にする」などと言い出しました。

 しかし、これは単なる「手続き」論ではありません。近代の立憲主義は、主権者である国民が、その人権を保障するために、憲法によって国家権力を縛るという考え方にたっています。そのために改憲発議の要件も、時の権力者が都合の良いように、簡単に憲法を変えることができないようにされています。憲法改正の発議要件を緩和し、一般の法律なみにしてしまうことは、立憲主義を根底から否定するものにほかなりません。

 安倍首相などの「96条改憲」に対して、「憲法が憲法でなくなる」「邪道だ」という批判が、9条改憲を主張している人からも出てくるなど、立場の違いをこえて広くわきおこっています。

 日本共産党は、96条改定反対の一点で、一致するすべての政党、団体、個人の共同を広く呼びかけます。国民的な力で、このたくらみを断念に追い込むことができるよう、その先頭にたって奮闘します。

 

(2)憲法9条を守る――日本を「海外で戦争する国」にする改憲策動を許さず、9条を生かした平和の外交をすすめる国に

9条改定の狙いは、「海外で戦争する国」にすることにあります

 自民党は、「戦力不保持」と「交戦権否認」を規定した9条2項を改変して、「国防軍」をつくるとしています。これは「自衛隊」の名称変更というような形式論ではありません。歴代の自民党政府は、「解釈改憲」で自衛隊を増強してきましたが、9条2項が「歯止め」となって、「海外での武力行使はできない」という建前は崩せませんでした。この「歯止め」を取り払ったら、日本が「海外で戦争する国」に変えられてしまいます。

 安倍内閣は明文改憲の前にも憲法解釈の変更によって武力の行使に道をひらこうとしています。安倍内閣は2月、集団的自衛権をめぐる政府の憲法解釈を変えることを目的に07年の第1次安倍政権のもとで設置した「有識者懇談会」を復活しました。集団的自衛権の行使とは、「日本防衛」とはまったく無関係に、海外でアメリカとともに武力を行使するというものです。これは、「憲法9条に照らして許されない」と、政府がくりかえし言明してきたことでした。

 この背景には、集団的自衛権についての憲法解釈を変えることを求めてきたアメリカの要求があります。安倍内閣はアメリカにつきしたがって、明文改憲と解釈改憲の両面から現行憲法の平和主義を葬り去り、海外で武力行使する道に踏み出そうとしているのです。

  自民党は、新「防衛大綱」の提言として、「国防軍の設置」とともに、「海兵隊機能」を付与するための水陸両用部隊の新設や「敵基地攻撃能力」の保有をとなえています。自衛隊の侵略機能の強化をはかろうとするものです。自衛隊の組織と装備の面でも、日本がアメリカとともに「海外で戦闘する」危険が大きくなっています。

憲法9条を生かし、軍事にたよらない「平和的安全保障」を

  改憲勢力は、「北朝鮮や中国との関係を考えても憲法の改定が必要」だといいます。しかし、北朝鮮の問題にしても、中国との領土問題などにしても、何よりも求められるのは道理に立った外交交渉によって解決をはかることです。

  北朝鮮問題の解決にあたっては、核、ミサイル、拉致、過去の清算などの両国間の諸懸案を、日朝平壌宣言にもとづいて包括的に解決することが必要です。また、「6カ国協議」を再開し、この枠組みを地域の安定と平和の機構にしていくことが大切です。

  尖閣諸島周辺の日本領海内での中国の監視船の航行や航空機による領空侵犯は許されません。力によって日本の実効支配を脅かす動きは国際法上認められない行為です。この問題では、日中双方が、領土に関わる紛争問題の存在を認め、冷静な外交交渉による解決をはかるとともに、現状を変更する物理的対応、軍事的対応を、きびしく自制し、両国の経済関係、人的・文化的交流に影響をあたえないよう努力をはかることが必要です。

  もっぱら「力対力」の立場に立って、これらの問題を、軍事力の強化、軍事同盟強化、憲法9条改悪に利用するというのは、日本国民を危険にさらす思慮も分別も欠いた最悪の姿勢です。

 「紛争を戦争にしない」「紛争の対話による解決」は、いま世界が真剣に取り組んでいる課題です。東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々では、紛争が起こっても絶対に戦争にしない、軍事に頼らない「平和的安全保障」の考え方をとりいれ、それを実践しています。このASEAN方式を北東アジアにも広げようというのが日本共産党の提案です。その際、もっとも力強いよりどころとなるのが憲法9条です。憲法9条を生かした平和外交によって、アジアと世界の平和に貢献する日本にしようではありませんか。

 

(3)日本国憲法の全条項を守り、民主的・平和的条項の全面実施を

 昨年4月に発表された自民党改憲案の問題点は、9条を改定し、国防軍を創設するだけではありません。基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」とした憲法97条を全面削除し、表現・結社の自由を含む基本的人権を「公益及び公の秩序」に反しない範囲しか認めないとしていることなどもきわめて重大です。

 古色蒼然(こしょくそうぜん)とした時代逆行、時代錯誤の自民党「改憲案」にたいしては、国内外から厳しい批判の声が上がっています。憲法の平和的民主的条項の全面破壊を断じて許すわけにはいきません。

  憲法の豊かで先駆的な人権条項を生かす政治に……日本国憲法の先駆性は9条だけではありません。生存権を定めた25条、幸福追求権をうたった13条をはじめ、憲法は30条にわたって、世界でも先駆的で豊かな人権条項をもっています。憲法が「時代に合わない」のではなく、憲法のこうした先駆的原則を踏みにじり続けてきた自民党政治こそ、「時代おくれ」になっているのです。日本共産党は、憲法の前文も含む全条項を厳格に守り、憲法の平和・人権・民主主義の原則を国政の各分野に生かします。

  憲法と子どもの権利条約を教育に生かします……“教育の目的は子どもの人格の完成にある”というのが憲法の精神です。ところが長年の自民党政治はこの精神を無視し、支配層のための人づくりを教育に求め、「過度の競争主義」などで教育を荒廃させてきました。この間、社会的問題となったいじめや体罰、それらの隠蔽(いんぺい)もその表れです。「過度の競争主義を一掃する」「“上からの統制強化”をやめ、教育の自由を尊重する」「重い教育費負担の軽減と教育条件の整備」という観点で、日本の教育を立て直します。

  女性の権利が尊重され、生き生きと活躍できる社会に……男女平等・均等待遇のルールの確立・充実をすすめ、女性の力が正当に評価され、社会的支援で男女がともに仕事と家庭が両立できる条件整備をすすめます。選択的夫婦別姓制度、婚外子差別の禁止など、社会のすみずみまで男女平等、個人の尊厳の徹底をはかります。

  民意を正しく反映する国会に――小選挙区制と政党助成金の廃止を……現行衆議院選挙制度の小選挙区定数「格差」についての一連の違憲判決は、現行小選挙区制が、投票価値の平等をめぐって憲法違反の重大な欠陥を持っていることを厳しく断罪するものとなりました。

  そもそも、現在の小選挙区制を中心とする選挙制度は、大政党有利に民意をゆがめるという根本的欠陥をもっています。それは、この制度のもとで実施された6回の総選挙で、第1党の得票率が4割台にもかかわらず、7~8割もの議席を占めるという結果に、はっきりと示されています。

 また、小選挙区制のもとでは、「1票の格差」の是正のためには、市町村の行政単位や地域社会を寸断する異常な線引きが避けられず、有権者は選挙区の不自然な変更を強いられることになります。小選挙区制がもともと、投票権の平等という憲法の原則とは両立できない制度であることは、その導入以来の歴史が証明しています。

  自民、公明が推進している「0増5減」は、投票価値の平等を保障するものとは到底いえない姑息(こそく)な弥縫(びほう)策であるとともに、小選挙区制を固定化するものであり、認めるわけにはいきません。

  さらに、比例定数を大幅削減する動きは、民意の反映に逆行するものです。投票価値の不平等が問題になっているときにこれを持ち出すのは、きわめて不当であるとともにまったくの筋違いです。日本の議員の総定数は、国際的にみても歴史的にみても少ないものであり、定数削減を行う合理的根拠は存在しません。

  ――衆議院小選挙区制度を廃止し、民意を正確に反映する比例代表制への抜本改革を行います。現行の総定数480を維持し、全国11ブロックを基礎とした比例代表制にします。そうすれば「1票の格差」も、最大1.03倍にとどめることができます。参議院も「1票の価値」の平等を実現しつつ、多様な民意を反映する制度に抜本改革します。

 ――政党助成金は、国民の税金を支持していない政党にも配分する憲法違反の制度であり、活動資金の大半を助成金に依存する「国営」政党を生み出し、政治の堕落と退廃の温床にもなっています。すみやかにこの制度を廃止します。

 ――企業・団体献金は、本質的に政治を買収するわいろであり、全面禁止します。

 

憲法96条の改定に反対します――「特別に変えづらい」のウソ 96条こそ世界標準、引き下げることは世界でも異例な憲法にしてしまう(志位和夫委員長の4月11日の会見)http://www.jcp.or.jp/web_policy/2013/04/post-510.html

自民党改憲案は時代逆行の動きです。(志位夫委員長の5月3日憲法集会でのスピーチ)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-05-04/2013050403_01_0.html

自民党と相呼応した他党の改憲への動き――憲法に対する姿勢は政党の基本です。

 自民党の改憲の動きが強まるなか、昨年来、これに呼応した動きが相次ぎました。日本維新の会は2013年3月30日の党大会で決定した綱領で、「日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる」と明記しました。

 「みんなの党」がまとめた「憲法改正の基本的考え方」(2012年4月27日)では、「国際平和に貢献し、我が国を防衛するため、自衛権のあり方を明記」として9条改憲の方向を明確に打ち出すとともに、天皇を「日本国の元首」の明記し、「国旗を『日章旗』、国家を『君が代』と明記」する改憲案を明らかにしています。

 一方、民主党の細野豪志幹事長は、「護憲派ではありません」「立憲主義者です」と公言しています。また、生活の党がまとめた「憲法についての考え方」(2013年5月9日)では、「国連の平和維持活動に自衛隊が参加する根拠となる規定を設ける」「国連の平和維持活動への参加に際しては、実力行使を含むあらゆる手段を通じて、世界平和のために積極的に貢献する旨を規定する」として、9条改憲の方向を打ち出しています。

 自民党と連立政権を組む公明党も、憲法を守るのではなく、新たな要素を加える「加憲」を唱え、改憲の動きに事実上呼応しています。

 改憲勢力は衆院ではすでに3分に2以上の議席を確保しています。参院選の結果しだいでは、憲法の解釈改憲だけでなく明文改憲への動きも急加速する危険性もあります。日本共産党は、憲法の全条項を守り、その先進的原則を実際の政治の場で発揮させるために全力で奮闘するとともに、思想信条や政党支持の違いを超えて、憲法を守り生かそうと願う広範な人びとと手を携え、憲法改悪の策動を打ち破るために全力を尽くします。

 

 

 (c)日本共産党中央委員会