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日本共産党

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赤旗


2013年度一般会計予算、2013年度特別会計予算及び

2013年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

2013年4月16日  日本共産党


第一、編成替えを求める理由

 2013年度政府予算案は、自民・公明両党が政権に復帰し誕生させた第二次安倍内閣が13兆円の補正予算と一体で編成したものである。安倍内閣は、「デフレ・不況からの脱却」をかかげているが、その内容は、消費税10%にむけて来年4月から増税を開始し社会保障負担増などと合わせて20兆円という戦後最大の国民負担を前提にして、大企業減税など相変わらず大企業中心の「成長戦略」にしがみつく経済政策をとり、内需の6割を占める家計消費、可処分所得を落ち込ませたまま物価を引き上げる金融緩和を推進するものとなっている。これでは、景気低迷下の物価上昇をまねくだけで、国民のくらしも経済もいっそう深刻となる。さらに、TPP(環太平洋連携協定)交渉参加に踏み出し、食糧・農業をはじめ日本経済と国民のくらしを破壊する危険な道をすすめようとしている。こうした路線の根本的転換が求められている。

 日本共産党は、260兆円もの大企業の内部留保の一部を賃金などの国民所得と中小零細企業へ還元しながら、大企業と富裕層に対して応分の負担を求め、軍事費や新規大型開発事業などの浪費を削減して、国民が真に求める社会保障の実現を軸とする内需主導の経済政策へ切りかえることを求める。

 東日本大震災から2年がたつが、被災者の生活と生業の再建に力を注ぎ、復興への展望を本格的に切り開かなければならない。また、東京電力福島原発事故の被害から国民の暮らしと健康を守ることは切実な課題である。東電と政府に対し、「収束宣言」を撤回し、事故の収束、除染、賠償などで責任ある対応をとらせることが求められている。原発からただちに撤退する決断をおこない、再生自然エネルギー政策への転換を進めなければならない。

 以上の立場から、2013年度予算案について、以下の内容で抜本的に組み替えることを要求する。

 

第二、編成替えの内容

(1)消費税増税を中止する

  1. 消費税増税は、国民の暮らしと経済を破壊し、税収はかえって落ち込み、財政危機打開にもつながらない。消費税増税を中止し、消費税に頼らないで社会保障の財源を確保する。消費税増税を前提とした「年金特例公債」方式をやめる。
  2. 不要不急の新規大型開発事業、大企業への立地補助金、「思いやり予算」をはじめとした軍事費、原発推進予算、政党助成金など、あらゆる浪費にメスを入れる。
  3. 証券優遇税制の廃止、所得税・相続税の最高税率の大幅引き上げなど、富裕層への課税を強化する。
  4. 研究開発減税や投資減税などの大企業優遇税制の拡充をやめ、特権的減免税措置をなくすことで、大企業に応分の負担を求める。

(2)賃金をはじめとする、国民の所得を増やす政策への転換

 日本経済が長期の大不況に陥った最大の要因は、賃金をはじめとする働く人の所得が減り続けてきたことにある。大企業に対し、内部留保のなかから勤労者の賃金引上げや中小零細企業の下請け代金の引き上げなどに回すことを求めるとともに、政府としても賃金引上げと雇用の安定のための必要な対策を強化する。

  1. 最低賃金を抜本的に引上げて、雇用の7割を支える中小零細企業への支援などを行う。
  2. 労働者派遣法などの抜本改正で、非正規雇用の差別をなくす。
  3. 保育園待機児童問題を解消するため、認可保育所を抜本的に増設する。
  4. 地方公務員の給与削減の押しつけをやめる。
  5. 年金給付の2.5%削減を中止する。
  6. 生活保護の給付削減をやめ、拡充をはかる。

(3)大きく崩された社会保障の基盤を再生し、教育予算を拡充する

  1. 医療費の窓口負担を軽減する。高すぎる国民健康保険料(税)を引き下げ、保険証とりあげなどの滞納制裁をやめる。国公立病院の統廃合を中止し、診療報酬を適正に引き上げる。
  2. 特別養護老人ホームの待機者をゼロにする介護施設の整備目標を策定し、計画的増設に着手する。低所得者の介護保険料・利用料を減免する。
  3. 障害者総合支援法を抜本的に見直す。障害者福祉・医療の負担を無料にする。
  4. 35人学級の「見送り」を撤回し、全学年での早期実現をはかる。
  5. 「ローン化」「サラ金化」が問題化している奨学金の実態を改善するため、無利子を基本として、給付制奨学金の実施に踏み出す。
  6. 国立大学運営費交付金や私学助成の削減をやめ、高等教育や科学研究の予算を増額する。文化・芸術関連費を抜本的に増額する。地域スポーツ振興の予算を拡充する。

(4)TPP参加を撤回し、農業、中小零細企業など地域経済の支援を抜本的に強化する

  1. TPPは、日本農業に壊滅的打撃を与え、地域の雇用と経済を破壊するものであり、参加をただちに撤回する。アメリカは交渉などを通じ、関税分野にとどまらず「非関税障壁」と称して広範な分野の対日要求を強めている。郵政の完全民営化、金融・保険、混合診療などの医療、食品安全基準、公共事業など、国民生活のさまざまな分野に弊害をもたらす規制緩和・市場開放はおこなわない。
  2. TPP参加を前提とした農業の大規模化一辺倒の施策をやめ、だれもが農業を続けられる予算への転換を求める。国産材の価格が輸入材価格を下回っているにもかかわらず、国産材の需要が伸びない状況を打開するため、公共建築物をはじめ、民間住宅などへの国産材の使用促進対策を強める。漁価下落に歯止めをかける予算削減をやめ、抜本的に強化する。
  3. 日本経済の「根幹」にふさわしく中小零細企業対策予算を強化する。大企業と中小零細企業の公正な取引のルールを確立する。最低賃金引き上げへの助成を拡充する。「緊急保証」や「金融円滑化法」を復活し、資金繰りを支援する。生活密着型公共事業に転換し、中小企業むけ官公需を拡大する。「公契約法・条例」を制定する。

(5)被災地の生活と生業の再建、復興の取組みを抜本的に強化する

 被災地の復興にあたっては、被災者の負担を軽減し、生活と生業の再建を最後まで支援する立場を明確にする。

  1. 医療・介護の減免措置については、全ての被災者に対して国の負担で行う。宅地も含めた住宅再建支援を抜本的に強化する。支援金は300万円から500万円に引き上げる。
  2. 中小零細企業の再建を支援し、地域復興をすすめるため、「グループ補助金」の拡充など必要な対策を強化する。地域医療の再建のための支援を抜本的に強化する。

(6)原発事故被害の解決を本格的に進め、「即時原発ゼロ」を決断する

  1. 賠償の「線引き」や切り捨てをやめ、被害の全面賠償を大原則とし、賠償請求手続き、賠償支払いを被害者本位に改める。徹底した除染を進める。
  2. 再稼働方針を撤回し、原発からただちに撤退することを決断する。自然エネルギーの普及と低エネルギー社会への転換をすすめる。自然エネルギー(再生可能エネルギー)の豊かな可能性に挑戦する。地域の条件に見合った自然エネルギーの「地産地消」と固定価格買い取りをさらにすすめる。

(7)沖縄・辺野古への新基地建設を撤回し、軍事費を大幅に削減する

  1. 沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設を撤回し、普天間基地の即時閉鎖・無条件返還を求める。また嘉手納以南の基地返還は、移設条件を付けず、ただちに返還を求める。
  2. 米軍オスプレイの配備撤回を求め、日本全土での低空飛行訓練を中止させる。グアムの米軍基地建設費や「思いやり予算」、SACO(沖縄特別行動委員会)関係費などは全額削除する。
  3. 新型ステルス戦闘機F35、ミサイル防衛、南西諸島地域の自衛隊態勢強化など軍事費の増強は、周辺諸国との軍事緊張を高め、東アジアの平和環境づくりに逆行するものであり、大幅に削減する。
  4. F35生産への日本企業参画のための閣議決定は、紛争当事国への武器輸出を認め、憲法の平和主義に基づく「武器輸出禁止3原則」を真っ向から蹂躙するものであり、撤回する。

 

以上

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