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日本共産党

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赤旗

2012年総選挙政策各分野政策

15、女性

女性への差別を是正し、社会のすみずみに男女平等を実現します

2012年11月


 2500万人を超える女性が企業や自営業、農林業など社会のさまざまな分野で働いています。全就業者の4割以上を占める女性の力なしには、日本の産業を支えることはできません。ところが、経済や政治参加の面での男女平等度は世界135カ国中101位、先進国でこれほどの男女格差と女性差別が残っている国は日本以外にありません。

 女性の賃金は正社員でも男性の約7割、非正規社員をふくめると約5割です。管理職につく女性はごくわずか、課長級の管理職の女性割合は5・5%、部長相当職では4・5%にすぎません。正規労働者として働く女性は減り続け、パートや派遣、臨時などの非正規雇用は、女性労働者の55%にまで増加しており、貧困や格差をひろげる雇用破壊が働く女性を直撃しています。働く女性の43%が年収200万円以下の低賃金です。「子どもができても、ずっと仕事を続ける方がよい」と考える女性も47・5%と半数近くになっているにもかかわらず、妊娠・出産で6割もの女性が仕事をやめている実態はまったく改善されていません。妊娠や産休・育児休業を理由にした解雇・不利益取り扱いがひきつづき深刻です。

 世界でも異常なこの女性差別のおおもとには、財界・大企業いいなりの日本の「ルールなき資本主義」があります。戦前の日本の社会を「理想」とする勢力が政界で影響力をもち、選択的夫婦別姓など世界であたり前の制度がいまだに実現しないことも異常です。自公政権からかわった民主党政権は、女性差別の是正にとって重要な労働者派遣法改正でも、民法改正でも女性・国民の期待を裏切り続けてきました。

 女性への差別は人間の平等と尊重の原則に反し、人類の発展に貢献すべき女性の能力の発揮を困難にし、その国の発展をそこなうものです。国連からは、条約の完全実施にもとづく早急な改善をもとめられています。日本共産党は、国連女性差別撤廃条約やILO条約の具体化・実現をはかり、国際的な基準にたったヨーロッパ並みの「ルールある経済社会」を実現し、男女がともに仕事も子育てもでき、いきいきと働くことができる社会にします。女性がどんな生き方を選択しても不利益をうけない社会にします。男女平等への逆流を許さず、法律に残された差別をなくし、社会のあらゆる分野で男女平等を実現するために力をつくします。権利侵害を国連に通報できる制度を定めた女性差別撤廃条約の選択議定書などを早急に批准するようもとめていきます。

 

1.女性が、生きいき働き続けられるよう、職場での男女平等をすすめます

男女賃金格差・昇進昇格差別の是正をはかります

 男女雇用機会均等法制定から27年、男女の賃金格差是正も昇進昇格差別の改善も、遅々としてすすんでいません。財界・大企業が、労働者支配ともうけ最優先の立場から、女性を低賃金で働かせ、また異常な残業、長時間・過密労働をすすめ、女性が子育てしながら働き続けることを困難にしてきたからです。働く女性、労働者を守り、女性差別を是正するための法整備をすすめます。

 男女雇用機会均等法を抜本的に改正して、事実上の差別をもたらす「間接差別」の禁止を実効性あるものにし、労働者の申し立てにより差別を是正できる強力な救済機関の設置、罰則の強化、法律にもとづく企業への指導強化などをはかります。賃金や管理職比率で大きな男女格差がある企業に改善措置を義務づけて、積極的に格差の是正にとりくみます。「同一価値労働同一賃金」の原則にもとづいた均等待遇の法制化をすすめます。

パートや派遣など非正規労働者の権利を守り、均等待遇と正規雇用化をすすめます

 女性のパート労働者は953万人、パート労働者の7割近くにのぼります。平均賃金は時給988円、正規雇用の男性の49%です。派遣労働者も半数近くが女性です。先の展望が見えない不安がつきまとう日雇い・臨時雇い労働者が、女性労働者の2割以上にあたる500万人近くにもなっています。

 日本共産党は、非正規労働者の権利を守り、労働条件の改善をはかります。正規雇用があたりまえの社会をつくります。

 労働者派遣法の抜本改正、有期雇用の規制強化をすすめ、派遣や契約社員などは、臨時的・一時的な業務など合理的な理由がある場合に限定し、非正規雇用を安易な雇用の調整弁として利用する「使い捨て雇用」をやめさせます。均等待遇を厳格に実施し、正規と非正規の不当な差別・格差をなくします。

 パート労働法を抜本的に改正し、正規労働者との均等待遇を明記し、事業主が、賃金、休暇、教育訓練、福利厚生などの労働条件で差別的取り扱いをすることを禁止します。正規労働者の募集・採用の際には、いまその業務についていて正規を希望するパート・有期労働者を、優先的に雇い入れることを努力義務とします。事業主が、差別的取り扱いをした場合などは、公表し、勧告に従うことを命令できるようにします。公務労働者や有期労働者も法の対象に加えます。

 最低賃金をひきあげ、女性の賃金の底上げをはかります。時給1000円以上に引き上げ、中小企業への賃金助成などの支援を制度化します。最低賃金は、労働者の平均給与の半分を上回るようにし、働き続けても貧困から抜け出せない「働く貧困層」をなくします。

 女性が多く働く保育士や学童保育指導員など、自治体職場でひろがる非正規雇用の正規化、労働条件を改善し、「官製ワーキング・プア」を許しません。

 パートの均等待遇を求めたILOパートタイム労働条約など国際水準にたった法整備、ルールづくりをすすめます。

妊娠・出産への不利益取り扱いをやめさせ、解雇、退職勧奨を根絶します

 妊娠・出産による解雇や不利益扱いが法律で禁止されているにもかかわらず、全国の雇用均等室に3429件(2011年度)も相談がよせられています。妊娠・出産にともなう権利を全面的に守ることが男女平等の大前提です。

 妊娠・出産による解雇や退職勧奨、不利益取り扱いを許さないよう、企業への指導を強め、違反企業への指導の徹底、罰則の強化をはかります。産前産後休業をとることが人事評価やボーナス・退職金の算定でマイナスにならないように法整備をすすめます。休業中の所得保障を充実します。

 出産・育児等で退職した女性が再び、その経験や実績を生かして働けるように、再就職への支援、職業訓練制度の抜本的な充実、資格取得のための助成の拡充、正規雇用での再就職を促進します。

自営業・農業女性の労働を正当に評価し、支援します

 ヨーロッパなどでは、自営業・農業の女性の働き分を評価し、労賃を認めることがあたり前ですが、日本では認められていません。妻など家族従業者の働き分が必要経費と認められるように、所得税法56条を廃止し、働きを正当に評価します。

 病気や出産のときに安心して休めるような支援制度をつくります。国民健康保険に出産手当金・傷病手当金の「強制給付」の制度をつくり、経済的な負担の軽減をはかります。

 資金不足や家庭・子育てとの両立の問題など女性ならではの困難で、起業を断念したり、廃業せざるをえない場合も少なくありません。起業に関する知識、情報提供、相談窓口や低利融資の拡充、子育てとの両立支援をすすめます。農産物加工技術の研修や販路の拡大などを支援します。

 自営業・農業にたずさわる女性の仕事と健康など総合的な実態調査を継続的におこないます。

 

2、女性も、男性も、仕事と家庭の両立ができる条件整備をはかります

長時間労働の改善、人間らしい働き方のルールをつくります

 女性が働き続けられない、既婚女性がパートタイムを選ばざるを得ない背景には、世界でも異常な長時間労働があります。子育て世代である30代男性の5人に1人が週60時間以上働いています。また1997年の労働基準法改悪で女性の残業や深夜労働の規制が撤廃されて以降、女性にも長時間労働がひろがっています。健康破壊・母性破壊も深刻です。

 異常な長時間労働を改善して、男女がともに仕事と家庭を両立でき、人間らしく働き続けられる働くルールをつくることは急務です。労働時間の短縮のために、残業時間を法律で制限するとともに、違法なサービス残業を根絶します。子育て中の変則勤務、夜間・休日出勤、単身赴任などを制限します。

だれもが利用できる育児介護休業制度へ充実します

 だれもが育児休業制度を利用でき、安心して働き続けられるように拡充をすすめます。休業中の所得保障(現行5割)を6割以上に改善するとともに、中小企業への助成や代替要員の確保のための助成を強化します。有期雇用労働者が取得しにくい制度を見直し、6カ月以上勤続している労働者すべてに適用します。

 2.63%と依然として少ない男性の育児休業取得の促進のため、ヨーロッパ諸国でおこなわれている「パパ・クオータ」なども参考に、両親とも取得すると休業可能期間が延びる現行制度をさらに改善します。保育所に入れないなどやむをえない場合の延長を1年にのばします。短時間勤務制度や時間外・深夜労働免除制度は、子どもの対象年齢の拡大などさらに充実させます。子どもの病気などで利用できる「子ども看護休暇」は、学校行事への参加などにもつかえる「家族休暇」制度とし、両親が各年10日以上に拡充します。

 介護休業制度は最長3か月間と期間が短く、所得保障が4割、休業中の社会保険料免除もないなど不十分です。休業期間の延長と所得保障の充実をすすめます。

 制度利用による不利益取り扱いを許さず、苦情処理・救済制度の拡充、指導・監督の徹底、違反企業への罰則強化などをはかります。

「子ども・子育て新システム」の実施を許さず、公的保育制度を守り、認可保育所を増やします

 認可保育所が足りないために、働きたくても働けない、退職せざるをえないなどの深刻な事態がつづいています。しかし、自公政権も、民主党政権も、もっぱら定員を超えた“つめこみ”や認可外の保育施設を“受け皿”にする安上がりな「待機児童対策」に終始してきました。そのうえ今度は、3党合意で、消費税増税と一体に、保育への公的責任を投げ捨て、保育所さがしまで親の自己責任にする制度改悪、「子ども・子育て新システム(子ども・子育て関連法)」を強行してしまいました。これでは、待機児童の解決も、安心して子どもを預けられる保育所をという願いにもこたえられません。「子ども・子育て新システム」の実施を許さず、国と自治体の責任にもとづく公的保育制度を守り、発展させます。

 潜在的希望者を含めれば数十万人規模にのぼるとみられる待機児童を解消し、働きたい女性が子育てしながら働き続けられるようにするために、国の責任で、当面1年に10万人分、3年間で30万人分の認可保育所を新・増設します。公立保育所の民営化の促進の流れに国民のみなさんとともにストップをかけます。無認可保育所の認可化、国の助成による保育条件の改善をすすめます。非正規保育士の正規化と専門職にふさわしい労働条件に改善します。高すぎる保育料の軽減をはかります。定員超過を改善するとともに、諸外国と比べても低すぎる保育室の面積や保育士の配置などの最低基準を改善します。

学童保育の拡充、環境整備と指導員の待遇改善をすすめます

 共働き世帯やひとり親家庭が増えており、子どもたちが放課後を安全に安心して過ごせる学童保育の拡充は、切実な願いとなっています。学童保育数は、この1年で441カ所増え、2万843カ所になっていますが、「潜在的な待機児童」が約50万人と推測されており、必要数に遠く及びません。「大規模化」での対応は子どもたちの安全と成長を保障することはできません。指導員にとっても限界です。

 学童保育の増設、大規模化の解消と施設・設備の改善、指導員の正規化・労働条件の改善、複数配置、利用料の軽減などをすすめます。国の学童保育予算を大幅に増やします。公的責任を後退させ、営利企業の参入促進、学童保育を市町村事業にとどめ地域格差をひろげる「子ども・子育て新システム」では、安心して利用できる学童保育の充実はできません。国と自治体の責任を明確にした制度のもとで、国の設置・運営基準を定め、地域格差の改善をすすめます。

学童保育と、すべての子どもを対象とした「放課後子ども教室」などは、それぞれ拡充することが必要です。

 

3、ひとり親家庭への支援をつよめます

母子家庭が安心してくらせるように支援を強めます

 児童扶養手当制度は母子家庭の命綱です。支給額の引き上げ、所得制限の緩和による支給対象の拡大などをすすめます。子の扶養者が公的年金を受けていても児童扶養手当を支給するようにします。小泉自公政権時代、支給から5年後には支給額を半額にするという児童扶養手当制度の改悪は、運動と世論の批判を受けて「凍結」されていますが、改悪そのものは撤回されていません。「凍結」にとどめず、制度改悪そのものを撤回中止するべきです。2011年度からの物価スライドを適用した手当の削減の中止ももとめます。

 母子家庭にとっては、長期の安定した雇用が切実です。母子家庭の母親の8割が働いていますが、正社員は39%にまで減っています。パートや派遣の正社員化、非正規雇用と正規雇用の均等待遇、仕事と子育て両立施策などをすすめ、母子家庭の仕事と収入の安定をはかっていきます。パートを正規雇用に転換した事業主にたいする奨励金や資格取得や技能訓練費など、いまある国の支援制度も充実させていきます。2012年9月に採択された母子家庭と父子家庭の就業支援のための特別措置法は、義務づけが弱いなど不十分さはあるものの恒久法とされたことは一歩前進です。ひとり親家庭の就業支援をさらに強めます。

 保育所への入所はひとり親家庭にとってとりわけ切実です。法律にひとり親家庭の保育所優先入所への配慮をうたい、通達も出ていますが、実際には入ることができず働くこともできないなどの悲鳴もあがっています。保育所の増設をすすめ、ひとり親家庭が安心して優先入所できるようにします。ひとり親家庭の親が、病気や講習会受講などのときにヘルパー等を派遣する事業や、生活の相談事業などを拡充させます。安価で良質な公共住宅を供給します。

 「死別・離婚」の条件を満たさないために母子家庭の寡婦控除を受けられないシングル・マザーも、税控除がうけられるように条件を変更します。

父子家庭への支援をつよめます

 父子家庭への手厚い支援が必要です。父子家庭にとって子育ての困難とともに、仕事と子育ての両立ができず、仕事をかえたり、辞めざるをえない人も少なくありません。正社員で働く父親は67%まで減っています。

 父子家庭関係者と国民の運動で父子家庭にも児童扶養手当が支給されるようになって 2年、46%の父子家庭が受給しています。母子家庭・父子家庭の就業支援のための特別措置法で、就業支援の対象が父子家庭にも広がりました。母子家庭とともに父子家庭の実態・要望調査をすすめ、父子家庭に必要な子育て・生活支援などを強めます。

 

4、女性が健康に生涯をおくるために社会保障を拡充します

妊婦健診を充実し、出産費用の軽減をはかります

 母体や胎児の健康のために欠かせない妊婦健診を充実させます。運動と世論の成果で自治体の検診回数は、国が望ましいとしている14回をこえるまで前進しています。しかし、あくまで時限措置であり、回数や検診内容にも違いが残されています。恒久化をはかり、国の責任で自治体負担のない妊婦健診費用の軽減をすすめ、無料化をめざします。若い夫婦にとって出産費用は重い負担です。現在42万円の出産育児一時金を大幅に増額します。

 非正規雇用や、業者、農業などを問わず、安心して産前産後休暇がとれるように、国保の出産手当金制度を「強制給付」にするなど休業中の所得保障、社会保険料免除などをすすめます。

 不妊患者の経済的負担の軽減をはかります。高額な費用がかかる特定不妊治療費の助成は2004年から始まったものの、不十分です。助成額の増額、所得制限の緩和をはかります。健康保険の適用範囲の拡大をめざします。不妊専門相談センターの整備・拡充をはかり、カウンセリング体制の強化をすすめます。

産科医不足を解決します

 都市でも地方でも産科医のいない地域が急増、「お産難民」といわれた事態がいまも改善していません。歴代政権による「医療費削減」の名による医師数の抑制、診療報酬の抑制・削減、不採算を理由にした国公立病院の産科の切り捨てなどが原因です。「医療費削減」路線を転換し、国の責任で計画的な打開策をこうじることが必要です。

 医師の養成数を抜本的に増やし、国の責任で産科医の育成・研修などをすすめます。地域の産院・産科病院への公的支援を強め、産科・小児科・救急医療などにかかわる診療報酬を引き上げます。国公立病院における産科切り捨てをやめ、周産期医療をまもる拠点として支援します。産科医の過酷な労働条件の改善をすすめます。女性産婦人科医の妊娠中の当直免除、産休・育休中の身分保障や代替要員の確保、職場内保育所の設置、職場復帰に向けた研修な、仕事と家庭の両立支援をすすめます。重要な役割をはたしている助産師・助産院への手厚い公的支援をすすめます。助産師の養成数を増やし、「院内助産所」の設置など医師と助産師の連携を国の責任で推進します。

乳がん・子宮がん検診、健康診断の充実などをすすめます

 乳がん・子宮頸がん検診の受診率はともに24・3%、OECD(経済協力開発機構)34カ国のなかで最低レベルです。早期発見で治癒率は向上します。国の予算をふやし、乳がん・子宮がん検診の自己負担の軽減・無料化をはかります。ウィルス感染を主な原因とする子宮頸がんの予防のため、若年者へのヒトパピローマウィルス(HPV)ワクチンの接種の公費負担が実現したことは前進です。定期接種化をはかり、日本での開発をすすめます。

 長時間の残業や深夜労働による過労・ストレスで体調を崩す女性が増え、精神疾患の労災認定も急増しています。生理休暇取得率は1・6%まで低下し、月経障害や不妊に悩む女性も少なくありません。男女ともに長時間労働を規制し、生理休暇なども気兼ねなく取得できるよう、企業への指導を強化します。企業の定期健診に女性関連項目を加えます。働く女性の長時間労働、深夜労働の実態・健康影響調査をすすめます。

 女性の体、性差を考慮した医療、教育の充実をはかります。女性専用外来の開設をさらに促進します。若年層を対象にした妊娠・出産の機能を持つ女性の体についての教育、性教育、性感染症予防教育をすすめます。骨粗しょう症や甲状腺障害など女性に多い疾病の予防・健診の充実をはかります。

女性が老後を安心して生きることができる公平な年金をめざします

 多くの女性が低額年金、無年金の状態におかれています。単身女性の64%が貧困層といわれる高齢期の生活実態は、女性の地位の低さがそのまま影響しています。男女賃金格差の改善、パート労働者と正規労働者の均等待遇の改善をはかります。パート労働者の社会保険加入の権利を保障します。厚生年金の遺族年金を女性が働き納めた保険料が受給額に反映できるよう改善をはかることなど、女性がどんな生き方を選択しても公平に受給できる年金制度の方向を検討します。

 日本共産党の「経済提言」がかかげている無金者、低年金者への年金政策を実現し、女性の無年金を解消し、低年金を底上げします。当面、現行の基礎年金の受給額の2分の1を税金で負担する仕組みをあらためることで、月4万円の基礎年金額の場合は5万3000円に、その次の段階で、無年金を解消し、低年金を底上げする「最低保障年金制度」を本格的にスタートさせ、国民年金の満額は月6万6000円から月8万3000円へと引き上げます。「最低保障年金制度」の実現に足を踏みだせば、女性の低年金や無年金、サラリーマン世帯の専業主婦の「第3号被保険者問題」など年金制度がかかえる矛盾を抜本的に解決する道が開けます。

 

5.男女平等、民主主義を法的にも社会的にもつらぬき、女性の人権を尊重する社会をつくります

民法改正し、差別的規定をなくします

 民法に、夫婦同姓を強制する制度や女性のみの再婚禁止期間、男女別の婚姻最低年齢、婚外子への相続差別など、男女平等と人権に反する遅れた制度が残されています。法制審議会答申から16年も歴代政権が放置してきた結果です。国連女性差別撤廃委員会からもくりかえし改善勧告が出され、09年夏の女性差別撤廃委員会も法制度改善の遅れを批判し、「早急な対策」を求めています。憲法や国連女性差別撤廃条約の精神にそって、一日も早い民法改正の実現をはかります。離婚後300日以内に出生した子の無戸籍の問題の解決のためにも重要です。

 離婚した父や母などと子の面会交流、養育費の分担のとりきめについて、2011年の民法改正で法律に、努力義務としてもりこまれたこと、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と位置づけられたことは一歩前進です。面会交流をすすめるための公的サポートなどを強化します。

 国際離婚にともなう、一方の親による子の国外への連れだしにかかわる問題の解決のために、ハーグ条約を批准します。子の立場にたった解決とDV被害者の懸念にこたえる実効ある整備をすすめます。

セクシャルハラスメント防止をはかります

 雇用均等室によせられたセクハラの2011年度の相談数は1万2228件、女性労働者からの相談の6割余、全相談件数の過半数を占めています。男女雇用機会均等法は事業主にセクハラ防止義務を課しています。行政による企業のセクハラ防止対策の強化・指導を強めます。改善命令をだせる機関の設置、被害者の保護、相談窓口の拡充などをすすめます。被害の相談、申し出をおこなった労働者への解雇や不利益取り扱いをやめませます。

 人身売買被害者の保護・人権擁護の体制を拡充します。雑誌やインターネット、メディアなどには性を商品化するような写真、記事、動画などが氾濫しています。女性を蔑視し、人格をふみにじる文化的退廃を許さず、人権尊重の世論と運動をひろげます。

DV被害の防止、被害者の保護と自立支援を充実させます

 全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられるDV相談は、毎年過去最高を更新し2011年度は8万2099件にのぼっています。被害者の救済と保護の拡充、自立支援の充実、暴力を防止するための施策の強化はますます重要な課題となっています。

 国の予算を増やし、相談体制のいっそうの充実、関係諸機関との連携協力・ネットワークづくりと切れ目のない支援をすすめます。配偶者暴力相談支援センターの増設と施設条件の改善、24時間相談体制の確立、保護命令期間の延長、民間シェルターへの委託費の増額と運営費への財政的支援を強めます。被害者が自立の準備をするためのステップハウスへの助成、公営住宅への優先入居や自立に要する費用援助をするとともに、被害女性や子どもの心身のケアの拡充、専門スタッフの養成など総合的な支援をはかります。DV被害者への適切な対応がはかられるよう警察内での教育を徹底します。女性からの暴力もふえています。男女ともに加害者更生をはかるための調査研究と対策強化、学校などでの予防教育の強化をはかります。暴力を許さない社会的合意をつくります。

性暴力から女性や子どもを守ります

 性暴力から女性や子どもを守ります。国と自治体の責任で24時間対応のワンストップ相談支援センターの増設、被害者に配慮した相談体制、必要な医療などが受けられる支援、二次被害防止のため専門家の養成・研修、心身の回復に効果的な支援などをつよめます。性交同意最低年齢の引き上げ、被害者の告訴なしでも訴追できるようにする、近親姦の規定を設ける、強姦罪の要件の見直しなど、刑法の規定を強めます。ストーカー被害には、公的な相談体制の確立・充実、被害者の立場にたった警察による法にもとづく迅速で適切な対応、法の見直しを求める声があがっています。被害をうけない、被害の拡大を防止する措置をすすめていきます。

「慰安婦」問題の解決をはかります

 「慰安婦」問題は、日本がおこした侵略戦争のさなか、植民地にしていた台湾、朝鮮、軍事侵略していた中国などで女性たちを強制的に集め、性行為を強要した非人道的行為です。当時の国際法規からみても違法行為です。

 1993年の河野官房長官談話などで政府は強制連行と慰安所での痛ましい生活の事実を認め、謝罪はしています。しかし国による賠償はおこなわれておらず、いまだ未解決です。国連やILOなどの国際機関はもとより、海外の議会から、被害女性への公的な謝罪や国による賠償を求められています。被害者は高齢化し、亡くなった方もおり、一日も早い解決が必要です。

 政府に「慰安婦」問題の真の解決と、国による謝罪・賠償、教科書への記載をおこなうことをもとめていきます。国会の責任として、これを促す「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律」の成立のために力をつくします。”強制連行の証拠はない“などとして、河野談話の見直しなどを迫る勢力の時代錯誤の異常な動きは許しません。

6、防災対策・被災者支援に女性の意見が反映するしくみをつくり、いかします

 阪神大震災を機にひろがりはじめた女性のニーズにたった防災対策・被災者支援、復興支援をもとめる声は、東日本大震災をへて、いっそう高まっています。国連機関などでも、自然災害のときにも、女性への差別、固定的性別役割から、適切な情報や就業への平等なアクセスの不足、より重くかかる家族的責任など男女に異なる影響を及ぼしていると指摘されています。また、防災・災害救援・復興にかかわる意思決定機関への平等な参加の機会の確保、女性のニーズと人権に配慮した支援、暴力の防止、就業機会の平等な確保の保証などをかかげた決議などが採択され、とりくみが強められています。

 女性独自のニーズにそった対応をすすめます。防災会議、避難所運営への女性の参加を促進し、女性の意見を反映できるしくみをつくります。

7、政策・意思決定機関への女性の参加の促進など女性が生きいき活躍できる社会にします

 女性の高校進学率は男性を上回り、大学・大学院への進学率も高まっています。社会のあらゆる分野で女性の活躍がひろがっています。しかし、政治の分野でも、公的な分野でも、教育、雇用の分野でも、政策・意思決定機関への参加は著しくおくれています。

 女性があらゆる分野で活躍できる社会をつくることは日本の民主主義にとっても、日本の社会の発展にとっても重要です。世界でも異常な女性への差別、非正規労働の実態、働きたくても働きつづけることの困難を解決してこそ、女性が生きいきと力を発揮し、日本社会の発展に貢献することができます。

 女性への差別の是正、非正規労働者と正規労働者の均等待遇、仕事と子育ての両立支援をすすめます。また、国連女性差別撤廃委員会の勧告にあるように、暫定的特別措置も導入した早急な改善が必要です。2020年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%にするという政府目標の実現に、政府が直接責任をもっている女性国家公務員の登用はもとより、民間企業、とりわけ男女格差の大きい大企業にこそ、格差の是正を確実にすすめるよう、男女労働者の雇用状況の分析、改善のための目標・計画の作成とその実施と報告を義務づけ、積極的に格差是正に取り組む措置をとり、その実施・報告を義務づけるなど、民間大企業に是正の措置をはかり、企業の社会的責任をはたすようもとめていきます。

 民主党政権が、2012年6月に決定した「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画は、財界の主張にそって、少子化のなかでの労働力確保のための女性の活用戦略の一環として、「福祉や男女平等論ではなく、経済再生論としてとりくむ」(関係閣僚会議第1回会合での国家戦略担当大臣の提起)立場ですすめようとしているものです。財界の意向にそって女性の労働力を使うだけ使うこんなやり方では、女性の力が発揮される社会をつくることはできません。

 審議会などでの女性の登用については、人口の半数をしめる女性の意見が、公平に反映することができる適切な構成にするために、女性の積極的な選任をはかるとともに、業界や大企業など特定の団体の比重が高く、民間の団体、個人も同じ団体・個人が多いなどの偏りをただし、あらゆる層の意見が反映する人選と運営をもとめます。

 女性研究者をとりまく条件も、出産や育児、介護等で継続が難しいこと、昇進差別など、劣悪であり、研究者にしめる女性の割合は14%弱であり、講師、准教授、教授となるにしたがって女性割合が低くなっています。昇進差別やセクハラをなくし、出産・育児における休職・復帰支援策の拡充、大学内保育施設の充実など研究者としての能力を十分に発揮できる環境づくりなどをすすめます。

 政治分野への女性の進出度の低さは世界でも異常です。女性議員を増やすうえでも、雇用をはじめ社会全体の男女平等を進めることが必要です。政党の自主的な努力とともに、小選挙区制をやめ、比例代表による選挙制度への改革が重要です。女性の政治参加の促進にいっそう障害をもたらすという点からも比例定数削減は絶対反対です。異常に高い供託金も女性の政治参加の促進の障害となっており、改善します。



 

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