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日本共産党

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赤旗

2012年総選挙政策各分野政策

13、高齢者

高齢者が安心してくらせる社会をつくります

2012年11月


 65歳以上の高齢者は3000万人にのぼっています。戦前、戦中、戦後の苦難の時代を、身を粉にして働きつづけ、家族と社会のためにつくしてきた人たちです。高齢者が安心して暮らせる社会をつくることは政治の重要な責任です。

 ところが、小泉内閣以来の「構造改革」路線と、その路線を丸ごと引き継ぐ民主党政権により、年金・医療・介護など社会保障制度の改悪が繰り返され、高齢者の暮らしと権利が脅かされています。

 自公政権によって導入された後期高齢者医療制度は、民主党政権のもとでも温存され、保険料値上げや差別の被害が続いています。“家族介護の解消をめざす”として発足した介護保険制度が発足して12年。特別養護老人ホームの待機者が40万人にのぼり、「介護難民」が社会問題になるなど、“保険あって介護なし”の様々な問題点が噴出しています。

 ところが、この間、民主党政権や自民・公明は、消費税増税と社会保障切り捨ての“一体改悪”を推進するため、“社会保障が高齢者優遇となっている”“高齢者の年金や医療にかかる費用を負担するため若い世代が苦しんでいる”など、「世代間の分断」をあおり、高齢者を攻撃するキャンペーンを展開しています。

 日本の高齢者は、年間所得200万円以下の世帯が37・8%、年間所得100万円未満の世帯も13・1%にのぼります(2010年「国民生活基礎調査」)。国民年金だけを受給している人の年金の平均額は月4・9万円、女性の厚生年金の平均受給額は月11万円です。生活保護受給者の40%以上が高齢者であり、自殺者のなかに高齢者が占める割合も、日本は世界のトップクラスです。“優遇されている”どころか、高齢者の貧困・生活破壊が社会の大問題となっているのです。

 高齢者は「多年にわたり、社会の進展に寄与してきた者」「豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいをもてる健全な安らかな生活を保障される」と、老人福祉法には明記されています。

 日本共産党は、高齢者が大切にされ、安心して老後をおくれる社会の実現をめざして全力をあげます。

後期高齢者医療制度は一刻も早く廃止……民主党政権が打ち出した「高齢者医療制度の見直し案」は、高齢者を形式上、国保に加入させながら、保険財政を現役世代と「別勘定」にし、負担増や差別医療を押しつけるという“看板の架け替え”案でした。しかも、民主党は、自民・公明との協議を受けて、この“看板の架け替え”案も棚上げにし、差別制度をそのまま温存・継続しています。日本共産党は、後期高齢者医療制度をすみやかに撤廃して、元の老人保健制度に戻します。 減らされ続けた高齢者医療への国庫負担を復元し、保険料や窓口負担の軽減をすすめます。

 医療費の重すぎる窓口負担に、多くの高齢者が悲鳴をあげています。ところが、民主・自民・公明の3党は、70~74歳の窓口負担を2割に引き上げる改悪を強行しようとしています。欧州諸国など先進国では、窓口負担は無料または少額の定額制です。日本でも、沢内村で始まった老人医療費無料化制度が全国に広がり、1973年から1983年まで国の制度として実現した歴史をもっています。

 日本共産党は、70~74歳の窓口負担を2割に引き上げる改悪に断固反対します。今年2月に発表した「経済提言」の「社会保障再生計画」にもとづき、「現役並み所得者」も含めたすべての高齢者の窓口負担を1割とし、“窓口負担ゼロ”の医療制度へ前進していきます。

 国の責任で国保料(税)を1人当たり年1万円、緊急に引き下げます。削減された国庫負担を計画的に増額し、だれもが払える国保料(税)に改革します。

療養病床の削減計画をストップさせ、安心して入院治療・療養ができるよう体制をととのえます。

年金の充実……公的年金は老後の暮らしを支える柱です。ところが、毎年のように繰り返される支給額の削減のために、年金制度への不信と不安が高まっています。民主・自民・公明は、解散前のどさくさに年金支給額の2・5%削減法案を強行しました。今後、さらに年金支給を恒久的に減らしていくのが、3党の計画です。

 日本共産党は、2月に発表した提言の「社会保障再生計画」にもとづき、年金支給削減の仕組みを撤廃して、“減らない年金、頼れる年金”を実現します。受給者全員に基礎年金満額の2分の1にあたる3.3万円の公費負担を行い、低額年金の底上げをはかります。これによって、年金額が月4万円だった人は5.3万円に増えます。次の段階では、月5万円の最低保障年金に保険料に応じた額を上乗せする制度をスタートさせます。これが実現すれば、現在、国民年金の満額を受け取っている人は、年金が6.6万円から8.3万円に底上げされることになります。

 社会保険庁解体・年金機構発足を口実に、「消えた年金」「消された年金」問題に対する国の責任を放棄することを許さず、「分限免職」した職員の再雇用をはじめ、問題解決の体制をとり、解決に責任を持つことを求めます。

介護保険制度の拡充……老老介護に疲れ果てた高齢者夫婦の無理心中や、要介護の高齢者を抱えた一家全員が遺体で発見される「孤立死」など、痛ましい事件が後を絶ちません。重い保険料・利用料負担、深刻な介護施設の不足など、「保険あって介護なし」の事態を解決することは急務です。

 日本共産党国会議員団の介護保険実態調査でも、「重い負担を理由にサービスを抑制している人がいる」との回答が7割を超え、「国庫負担の増額を」の声がトップで7割近くにのぼりました(2010年6月、介護事業所からの回答)。

 介護保険料、利用料など国民の負担増を抑えながら介護制度の抜本的改善をはかるために、介護保険にたいする国庫負担割合をただちに10%引き上げ、公費負担割合を60%にします。

 所得の少ない高齢者が安心して介護を受けられように、国の制度として保険料、利用料の減免制度をつくります。ホームヘルパーによる「生活援助」などの給付制限をやめさせます。在宅介護サービスの利用制限の仕組みになっている要介護認定や利用限度額は廃止し、現場の専門家の判断で必要な介護を提供できる制度に改善します。

 介護の人材不足を打開するために、事業所にたいする介護報酬を大幅に引き上げます。

 国の責任で、介護労働者の処遇改善をすすめます。2012年度の介護報酬改定で「介護職員処遇改善交付金」が介護報酬につけかえられ、それまで国が負担していた介護労働者の待遇改善の費用が保険料・利用料に転嫁されました。介護報酬とは別枠で国費を投入し、すべての介護職員の月4万円の賃金引上げを行います。

 特別養護老人ホームの待機者を解消するために、国の財政支援を大幅につよめ、施設整備を緊急重要課題として推進します。小規模・多機能施設、グループホームや宅老所などが地域にきめこまかくととのえられるよう、国と自治体の財政支援をつよめます。

高齢者むけ住宅の増設……高齢者で、現在、居住している住宅で困っている人は4割を超えます。特養ホーム待機者は40万人を超えており、ケアハウス、グループホームなどの入居希望者も増えています。政府は、「高齢者住まい法」を改定し、「サービス付き高齢者向け住宅」の建設を推進する方向を打ち出しましたが、この住宅を利用できるのは、家賃、食費、サービス費、介護保険の自己負担分をあわせて月20万円程度を負担できる人に限られます。低所得者も含め、高齢者に、その生活実態や要求にあった住まいを確保する取り組みが必要です。

 住宅のリフォームがすすめられるよう、介護保険の住宅改造費を拡充するとともに、自治体の住宅改造助成制度の新設・拡充をはかります。高齢者むけケア付住宅・施設の整備を急ぐとともに、自己負担への補助制度や、入居者のくらしと権利をまもる仕組みづくりを進めます。

 公営住宅やUR(都市再生機構)の賃貸住宅の建設をふやし、高齢者むけ家賃減免制度の拡充をはかります。

 民間賃貸住宅に暮らす高齢者にたいする、自治体の家賃補助制度の普及をすすめます。

就業・雇用の保障……働く意欲と能力があっても、まっさきにリストラの対象となるのは高齢者です。ハローワークに通っても、希望どおりの仕事につけるのは皆無に近く、中高年齢者の再雇用はきわめて厳しいのが実情です。

 今年、高年齢者雇用安定法が改正され、60歳定年後も希望者全員を雇用することが原則化されましたが、そのなかで、使用者が労働者を選別できるようにする“抜け穴”がつくられ、病気や障害のある人への差別が生まれかねないことに懸念が広がっています。継続雇用をする企業が“グループ企業”に広げられたことで、関連企業への派遣・出向による賃金の大幅ダウン、労働者の心身の負担、親企業の雇用責任回避につながる危険性も指摘されています。雇用延長によって労働者の賃金・待遇が悪化する事態をなくすため、企業への指導・監督の強化、“抜け穴”をふさぐための法令改正を求めます。年齢による賃金差別や年齢を理由にした解雇をやめさせるため、アメリカやEUなどで実施されているような、「年齢による差別を禁止する法律」(仮称)を制定します。

 地域の実情におうじて高齢者の就労・社会参加の場をひろげることも大切な課題です。シルバー人材センターについて、賃金や労働条件、災害補償など改善をはかります。また高齢者の就労の場の確保のために活動している団体にたいして、行政が支援をおこなうようにすべきです。

安心・安全のネットワークづくり……ひとり暮らしの高齢者(65歳以上)は年々増えつづけ479万人にのぼります(2010年)。誰にもみとられず亡くなるという痛ましい孤独死が各地でふえています。貧困と格差の象徴です。医療制度の改悪や冷たい生活保護行政、介護保険の導入を機に高齢者福祉にたいする行政の責任が大幅に後退したことも背景にあります。 行政が責任をもって、地域住民と協力しあい、高齢者を地域でささえる安心のネットワークをつくることが急務です。

 自治体やNPO、地域自治会などがとりくんでいる、高齢者への配食サービス、見守り活動、緊急通報システムなどの普及・拡充をはかります。高齢者が積極的に外出し、住民同士で会食や交流などができるミニ集会所をきめこまかにととのえることも必要です。

 600万人に達するといわれる「買い物弱者」(買い物難民)をなくすため、移動販売車への補助、商店街・小売店への移動手段の確保などを行います。

 自治体と地域包括支援センターが、介護保険の対象者だけでなく、広く地域の高齢者の実態を把握し、安心のネットワークをつくりあげていくうえで役割を果たすことが必要です。そのためにも、国が地域包括支援センターへの職員の増配置や財政保障をつよめるようにすべきです。


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