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日本共産党

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赤旗

【19】子ども・子育て

安心して子育てできる社会環境をつくり、経済的保障の充実をはかります

2007年6月22日 日本共産党中央委員会


 心身ともに基礎をつくる乳幼児期、成長が著しい児童期をはじめ、子どもたちにとって、安心してくらすことができる家庭と社会の環境が必要です。ところが、いま、政治と社会のゆがみが、子どもを産み育てることへの困難をひろげています。不安定な雇用と長時間労働、低賃金に追いうちをかける増税、保育料・教育費などの負担増、子どもたちをばらばらにする過度な競争教育や地域の変化──子育ての不安、負担はますます大きくなっています。安心して子どもを産み、男女ともに仕事と家庭生活の両立ができる雇用条件の改善、子育てにかかる経済的負担の軽減をはじめ、ゆきとどいた子育てができる社会環境をつくります。

 家族政策にかんする財政支出のGDP比で、日本は、フランスの4分の1、スウェーデンの5分の1です。家族政策にかんする予算を抜本的に引き上げます。

児童手当の支給額を倍にし、医療費無料化などをすすめます

 若い世代の不安定な雇用、増税・社会福祉切り捨てのなかで、出産費用、子どもの医療費、保育料、幼稚園教育費、学校教育費など、子育て家庭の経済的負担の解決はいっそう切実です。児童手当の支給額を小学6年生まで月額1万円に増額するとともに、支給対象の18歳までのひきあげをめざします。子どもの医療費助成制度は何らかのかたちで全都道府県・市区町村でおこなわれていますが、「国の制度」として就学前の医療費を所得制限なしで無料化する制度を確立します。安価で良質な住宅の供給をはかり、子育て世帯、一人親家庭の優遇措置をすすめます。お金の心配をせずに出産できるように、出産育児一時金を増額します。

教育費、学費の父母負担の軽減、奨学金制度の拡充をはかります

 「私立の幼稚園の入園料、教育費、高すぎます」「家計が苦しく泣く泣く高校中退」など教育費負担は深刻です。私学助成の拡充をすすめ、私費負担の軽減をはかります。修学旅行費や給食費などの父母負担の軽減措置をとります。削減された就学援助の国庫負担を復活し、実態に見合った拡充をはかるなど、抜本的に増額します。家計急変などの場合の授業料免除や教育資金の無利子貸し付けなどの制度を拡充します。高校や大学、専門学校の学費の値上げを抑えます。無利子奨学金の拡大、返還義務なしの給付制の導入など、奨学金制度の充実をはかります。

保育所の新・増設、保育料の引き下げなど、切実な保育要求にこたえます

 「保育所待機児童ゼロ作戦」の実態は定員オーバーの詰めこみです。しかも、保育所入所を希望して入れない待機児童は3万9千人です。「保育所整備計画」をつくり、認可保育所の新・増設をはかり、希望者の入所をはかります。国の保育所運営費をふやし、保育料を軽減します。延長・夜間・休日・一時・病後児保育等を拡充します。保育条件を切り下げる民営化・民間委託に反対します。最低基準の切り下げを許さず、保育士の配置基準の改善などをすすめます。無認可保育所に税制的支援・財政支援をおこない、認可の促進をはかります。

 直接入所や保育料の自由化は、公的保育を後退させているという批判のもとで認定子ども園の認定がすすめられています。実態を掌握し、国や自治体の責任を明確にした責任ある指導をもとめます。

学童保育、児童館、スポーツ施設の拡充など、地域に子どもの居場所を整備します

 子どもが安心して過ごせる居場所つくりは、子どもにとっても親にとっても切実な願いです。学童保育は、子どもたちに負担を強いる大規模化ではなく、新・増設によって、希望する子どもがみな入所できるようにします。「遊びと生活の場」にふさわしく安心して生活できるよう設置基準を定め、専門の指導員の常勤・複数配置と労働条件の改善をはかります。学童保育の充実とともに、放課後子ども教室など全児童対策の拡充もはかります。子どもたちの生活圏内に児童館、中高生の居場所やスポーツ施設などをふやし、整備します。

子育ての不安や悩みにこたえる専門的できめ細かな支援をつよめます

 出産直後からの子育ての不安や児童虐待、子どもの障害、不登校などの悩みにこたえる専門的できめ細かな相談・支援体制を拡充します。児童相談所、保健所、子育て支援センター、児童養護施設など子どもにかかわる専門機関や施設の増設、職員の増員をはかるために、必要な財源を確保し、体制を強化します。小児科医の不足や小児救急体制の廃止は深刻な不安をひろげています。公的病院の小児科切り捨てをやめ、早期復活をはかり、国の責任で小児救急医療体制の整備をすすめます。精神的な悩みをかかえる子どもたちのケアをはかることができるように医療関係機関の連携強化をはかります。不登校や「ひきこもり」などの「親の会」やフリースクールなどへの公的支援を拡充します。

安定した雇用の確保、労働時間の短縮で子育てにゆとりをとりもどします

 25~34歳の3人に1人がパートや派遣、契約社員などの非正規雇用で、その多くが年収200万円にもみたない低賃金で働いています。これでは、安心して子どもを産み育てる経済的な土台が得られません。若者を安あがりに使い捨てる働かせ方をやめ、企業に正規雇用の拡充を求めます。差別をなくし、正社員との均等待遇をはかります。最低賃金を抜本的に引きあげ、人間らしい生活水準を確保します。

 また、子育て真っ最中の30代、40代では、男性正規社員の5人に1人が週60時間以上も働いています。そのため、男性の家事・育児時間は先進諸国で最低水準のわずか30分、家庭責任は女性に重くのしかかっています。残業時間の規制で長時間労働を改善し、人間らしい働き方のルールをつくります。

 子育て中の変則勤務、夜間・休日出勤、単身赴任などを制限し、残業も本人同意を原則とします。

 サービス残業の根絶をはかります。「自律的な働き方」だとして政府が導入をすすめようとしている「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、残業代なしで長時間働かせる制度です。これが導入されれば、いっそう子育ての困難が拡大します。絶対に導入を許しません。

学校行事参加のための「家族休暇」など、男女ともの両立支援をすすめます

 1人目の出産で女性の7割が退職しています。企業への指導を強化し妊娠・出産による解雇やいやがらせなどの不当な扱いをなくします。

 女性の育児休業取得率は7割以上に前進していますが、男性の取得率は0.42%から0.50%にすぎません。取得すると昇進・昇格にひびくなどの企業の雇用管理の改善をはかり、男女ともに取得しやすくします。

 休業中の所得保障を6割に増額し、中小企業への助成や代替要員の確保、「パパクオータ制度」の導入などをはかります。子どもが病気のときの「子どもの看護休暇」を、学校行事への参加などにも使える「家族休暇」制度に拡充します。派遣・パート労働者へのきびしい条件を緩和します。

暴力や性の有害情報などから子どもを守る社会のルールをつくります

 「少女買春」、少女をターゲットにした風俗業、雑誌、テレビ、インターネット、ゲームでの性や暴力をむきだしにした映像など、「児童ポルノ」の氾濫には、国連をはじめ米国など世界からも批判があがるほど、日本は後進国です。「少女買春」、風俗などのおとなの側の犯罪を厳罰にし、おとなの側の取り締りを厳重にすすめます。

 有害な映像から子どもを守る社会的規律、子どもをもうけの対象とする度をこした商業主義を規制する社会的ルールの確立を促進します。

「子どもの権利条約」を社会のすみずみにいかします

 日本は子どもの権利条約批准国であるにもかかわらず、子どもたちの権利を守る施策がきわめて不十分です。国連・子どもの権利委員会は日本政府にたいして過度の競争教育や管理教育の改善、婚外子差別の是正、児童のポルノグラフィーや買春の防止などを求めるきびしい勧告をだしています。日本政府は、勧告に従わないどころか、06年5月までに提出とされている第3回政府報告をいまだに提出せず、きわめて不誠実な態度をとりつづけています。安倍政権の中枢をしめ、侵略戦争を正当化する「靖国」派は、"子どもの権利条約は家族を破壊し、日本の文化・伝統を破壊する"などと攻撃しています。歴史に逆行する価値観の社会へのおしつけを許さず、子どもの権利条約を社会のすみずみに実現するための国民の共同をひろげます。

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