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日本共産党

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赤旗

参議院選挙にのぞむ日本共産党の各分野の政策

3、公共事業の浪費と利権の構造にメスを入れ、生活・福祉・防災・環境型中心に転換する

 2004年6月2日


 この数年間、公共事業予算は減少傾向になっていますが、その内容は工事費のコスト削減などが中心で、事業そのもののムダにはメスが入れられ ず、高速道路や空港などの巨大開発事業は軒並み温存され、「都市再生」などの名目で、大企業のための新たな浪費も拡大されています。その一方で、ほんとう に必要な住民生活に密着した事業の予算は削減されています。巨大開発中心の公共事業のあり方をあらため、「生活・福祉・防災・環境」重視に、大きくきりか えます。

大型開発の浪費にメスを入れる

 いまの公共事業の大きな問題は、誰が見てもムダが明らかな事業でも、歯止めがかからないことです。関西国際空港の2期事業は、2000年から 2007年まで毎年平均、発着数が1・7%、国際線旅客数が3%増えるという需要予測をもとにしていますが、この3年間の実績は、それぞれ年平均マイナス 7%とマイナス12・8%です。それにもかかわらず、毎年900億円以上もの巨額の事業費が注ぎ込まれているのです。川辺川ダムや諫早湾干拓事業なども同 様です。

 大型公共事業を総点検して、事業の中止を含む大胆なメスを入れ、ムダと環境破壊の公共事業をやめさせます。そのために、計画段階、事前、着工 後のそれぞれの段階で、事業の必要性、採算性、環境への影響という三つの角度から、住民参加と徹底した情報公開のもとで、公共事業を評価する「事業評価制 度」を法制化します。

 政府が目玉にしている「都市再生」は、一部の大都市に公共事業を集中させ、バブル期に計画され頓挫していた開発を公共事業の後押しで復活させ ようというものです。すでにオフィスビルや大型マンションの供給過剰が指摘されている中で、さらに巨大ビルの建設を促進すれば、新たなムダや環境破壊、住 民の追い出しにつながります。こうしたムダに歯止めをかけます。

道路特定財源を一般財源化する

 ガソリンにかかる揮発油税や、自動車重量税などの道路特定財源は、国の分だけでも3・4兆円、地方の分を含めると5・7兆円にものぼります。道路特定財 源は、1953年に、国道・県道の舗装率は5%以下しかなく「整備が急務だ」という理由でつくられた制度です。舗装率が96%を超えた現在も、この制度を 続ける理由はまったくありません。使途が限定されているために、税収が増えれば増えただけ道路をつくるというように、ムダを拡大する原因の一つになってい ます。

 道路特定財源制度を廃止し、社会保障財源にも使えるようにします。これによって、公共事業の予算自体についても、道路優先の固定的な配分を改め、生活密着型事業への配分を増やすことができるようになります。

道路公団は「民営化」ではなく、ほんとうの改革を

 政府の「道路四公団改革法」は、ムダな高速道路建設にいっさい歯止めがかからないという点でも、40兆円もの債務返済の保証がなく国民に巨額 の負担を残すおそれがあるという点でも、政官財の癒着にメスを入れるどころか「民営化」によって天下りや談合規制が緩和されるという点でも、採算の合わな い高速道路建設の建設費という形で、道路特定財源を温存し続けるという点でも、まったく「改革」の看板に値しません。

 日本共産党は、道路四公団については、(1)高速道路整備計画を廃止して新たな建設を凍結して無駄を見直す、(2)債務を安易に国民に押しつ けるのではなく、計画的な返済をすすめるとともに、料金を段階的に引き下げ、将来の無料化に向かう、(3)「天下り」禁止やファミリー企業の廃止など、国 民の管理・監視のもとで債務返済と維持・管理を行う公企業として再生させることを提案していますが、引き続き、この立場で、道路四公団の改革にとりくみま す。

「生活・福祉・防災・環境」型事業中心に転換する

 低家賃の公共住宅の供給、負担と環境に配慮した下水道・合併浄化槽、生活道路などの生活関連施設、特養ホームや保育所など福祉関係施設の新増 設、学校などの耐震化、災害に強いまちづくり、バリアフリー化、自然エネルギーの開発、「みどりのダム」である森林の保全など、「生活・福祉・防災・環 境」型の公共事業を、大いに推進します。

 公共事業の内容を転換するためには、地方自治体が住民の要求に対応して、ほんとうに必要な事業に優先順位を置いて事業を選択できるようにする ことが大切です。いまの公共事業の補助金制度では、補助金交付のための基準が細かに定められているため、実態に合わない大規格の工事がされる場合も少なく ありません。しかも、政府は「公共事業の重点化」と称して規模の小さい事業は補助対象からはずす方向を進めているため、「補助金確保のため」ということ で、住民にとって不必要な大型事業計画を助長するおそれがあります。

 公共事業補助金は、災害復旧など特別な場合を除いては、個所づけや規格の限定なしに地方が裁量を働かせて使えるような、大きな分野ごとの統合補助金にきりかえます。

中小建設業者の仕事を確保する

 公共事業の内容を生活密着型に転換することは、中小業者の仕事を確保し、地域経済への波及効果をもたらすうえでも重要です。

 生活密着型の事業は、大型開発事業に比べて、中小企業の受注が格段に多くなります。東京都の発注した臨海副都心関連の大型工事では大企業の受 注が9割ですが、福祉・住宅・教育関連の工事では中小企業が8割を受注しています。雇用効果や経済への波及効果も、生活密着型事業の方が大きく、公共事業 の転換は、経済にも良い効果をもたらします。

 全国の市町村で実施されている住宅リフォーム助成制度は、助成額の20倍以上の工事が実施され、関連産業を含めると、その2倍以上の経済効果 を生んでいるといわれます。これを国が支援することや、遅れている学校耐震化工事を急ぐことなどによって、中小企業の仕事を増やします。

 大手ゼネコンが小規模な公共事業にも進出して、ダンピングや下請けコスト削減など、中小企業の経営を圧迫しています。政府は、官公需法による 中小企業への発注金額目標の設定をなくせという大企業の要求にこたえて、その検討を開始しているといわれますが、こうした動きに反対します。

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