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日本共産党

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赤旗

日本共産党提出の非営利法人特例法(案)

1997年10月13日


目次

第一章 総則(第一条―第十条)

第二章 設立(第十一条―第十四条)

第三章 管理

第一節 構成員の総会(第十五条―第二十二条)

第二節 役員(第二十三条―第三十五条)

第三節 剰余金の分配の禁止等(第三十六条―第三十八条)

第四節 活動報告書等の備置き及び閲覧等(第三十九条・第四十条)

第五節 定款の変更(第四十一条)

第四章 合併(第四十二条―第四十九条)

第五章 解散(第五十条―第六十五条)

第六章 監督(第六十六条・第六十七条)

第七章 登記(第六十八条―第八十二条)

第八章 非営利法人委員会(第八十三条―第九十二条)

第九章 税法上の特例(第九十三条・第九十四条)

第十章 罰則(第九十五条・第九十六条)

附則 第一章 総則 (目的)


第一章 総則

第一条 この法律は、営利を目的としない団体に法人格を付与すること等について当分の間の措置を定めることにより、その活動の健全な発達の促進を図り、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「非営利法人」とは、この法律により法人となった団体をいう。

(原則)
第三条 非営利法人は、その目的とする活動が多様な価値観を有する個人の自発的な意思に基づくべきものであることにかんがみ、その構成員となることについて、及び構成員としての権利義務について、人種、国籍、信条、性別、社会的身分又は門地によって不当な取扱いをしてはならない。

(名称の使用制限)
第四条 非営利法人以外の者は、その名称中に、「非営利法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない。

(収益事業)
第五条 非営利法人は、その目的とする活動に係る事業に支障がない限り、その収益を当該事業に充てるため、収益を目的とする事業(第九章を除き、以下「収益事業」という。)を行うことができる。

2 収益事業に関する会計は、当該非営利法人の目的とする活動に係る事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。

(非営利法人の住所)
第六条 非営利法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

(登記の効力)
第七条 非営利法人は、第七章の規定により登記しなければならない事項については、登記により効力を生ずる事項を除くほか、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

(登記に関する届出)
第八条 非営利法人は、第七章の規定による登記をしたときは、遅滞なく、登記簿の謄本又はその登記した事項に係る抄本及び当該登記に係る第八十条の添付書類を添えて、その旨を主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会に届け出なければならない。

(非営利法人の能力)
第九条 非営利法人は、法令の規定に従い、定款で定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

(非営利法人等の責任)
第十条 非営利法人は、理事その他の代表者がその職務を行うにつき第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

2 非営利法人の目的の範囲外の行為により第三者に損害を加えたときは、その行為をした理事その他の代表者並びにその事項の決議に賛成した構成員及び理事は、連帯してその損害を賠償する責任を負う。

 

第二章 設立

(定款)
第十一条 非営利法人を設立しようとする者は、定款を作成しなければならない。

2 定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 目的

二 名称

三 その目的とする活動に係る事業の種類

四 主たる事務所及び従たる事務所の所在地

五 構成員の資格の得喪に関する事項

六 役員に関する事項

七 会議に関する事項

八 資産に関する事項

九 会計に関する事項

十 収益事業を行う場合には、その種類その他その収益事業に関する事項

十一 解散に関する事項

十二 定款の変更に関する事項

十三 公告の方法

3 前項第十一号に掲げる事項中に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、他の非営利法人その他の営利を目的としない法人であって同一又は類似の目的を有するもののうちから選定されるようにしなければならない。

(財産目録の備置き)
第十二条 非営利法人は、設立の時に財産目録を作成し、これをその主たる事務所に備え置かなければならない。

(成立の時期)
第十三条 非営利法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

(商法の準用)
第十四条 商法(明治三十二年法律第四十八号)第四百二十八条(監査役に係る部分を除く。)の規定は、非営利法人の設立について準用する。

 

第三章 管理

第一節 構成員の総会

(通常総会の招集)
第十五条 非営利法人の理事は、少なくとも毎年一回、通常総会を招集しなければならない。

(臨時総会の招集)
第十六条 非営利法人の理事は、必要があると認めるときは、いつでも臨時総会を招集することができる。

2 構成員が構成員の総数の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあった日から二十日以内に、臨時総会を招集しなければならない。

(総会の招集手続)
第十七条 総会の招集は、少なくとも五日前に、その会議の目的たる事項を示し、定款に定める方法に従って通知しなければならない。

(総会の権限)
第十八条 非営利法人の事務は、定款をもって理事その他の役員に委任した事務を除き、すべて総会の決議により行う。

(総会の決議事項)
第十九条 総会においては、第十七条の規定によりあらかじめ通知をした事項についてのみ決議をすることができる。ただし、定款に特別の定めがあるときは、この限りでない。

(構成員の議決権)
第二十条 構成員は、それぞれ一個の議決権を有する。

2 総会に出席しない構成員は、書面又は代理人をもって議決権を行使することができる。

3 前項の規定は、定款に特別の定めがある場合においては、適用しない。

第二十一条 非営利法人と構成員との関係について決議をする場合においては、当該構成員は、議決権を行使することができない。

(商法の準用)
第二十二条 商法第二百四十三条、第二百四十四条第一項及び第二項並びに第二百四十七条から第二百五十二条までの規定(これらの規定中監査役に係る部分を除く。)は、非営利法人の構成員の総会について準用する。この場合において、同法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは、「非営利法人特例法第十七条」と読み替えるものとする。

第二節 役員

(定数等)
第二十三条 非営利法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。

2 理事は、構成員でなければならない。

3 役員の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。ただし、再任を妨げない。

(事務の決定)
第二十四条 非営利法人の事務は、定款に特別の定めがないときは、理事の過半数をもって決する。

(理事の代表権)
第二十五条 理事は、すべて非営利法人の事務について、非営利法人を代表する。ただし、定款をもってその代表権を制限することができる。

第二十六条 理事の代表権に加えた制限は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

(代理の委任)
第二十七条 理事は、定款又は構成員の総会の決議により禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。

(仮理事)
第二十八条 理事が欠けた場合において遅滞のため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又はその非営利法人の主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会の請求により、仮理事を選任する。

(特別代理人)
第二十九条 非営利法人と理事との利益が相反する事項については、理事は、代表権を有しない。この場合においては、前条の規定の例により、特別代理人を選任しなければならない。

(監事の職務)
第三十条 監事は、次に掲げる職務を行う。

一 理事の業務執行の状況を監査すること。

二 非営利法人の財産の状況を監査すること。

三 前二号の規定による監査の結果、非営利法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見した場合には、これを構成員の総会に報告すること。

四 前号の報告をするために必要がある場合には、構成員の総会を招集すること。

五 理事の業務執行の状況又は非営利法人の財産の状況について、理事に意見を述べること。

(監事の兼職禁止)
第三十一条 監事は、理事又は非営利法人の職員を兼ねてはならない。

(役員の欠格事由)
第三十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、非営利法人の役員になることができない。

一 禁治産者又は準禁治産者

二 破産者で復権を得ないもの

三 禁こ錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなるまでの者

(役員の親族等の排除)
第三十三条 役員のうちには、それぞれの役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族が一人を超えて含まれ、又は当該役員並びにその配偶者及び三親等以内の親族が役員の総数の三分の一を超えて含まれることになってはならない。

(役員の欠員補充)
第三十四条 理事又は監事のうち、その定数の三分の一を超える者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければならない。

(役員の氏名等の変更の届出)
第三十五条 非営利法人は、その役員の氏名又は住所に変更があったときは、遅滞なくその旨をその主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会に届け出なければならない。ただし、第八条の規定により届け出なければならない場合は、この限りでない。

第三節 剰余金の分配の禁止等

(剰余金の分配の禁止)
第三十六条 非営利法人は、剰余金をその構成員に分配してはならない。

(過大な役員報酬等の支給の禁止)
第三十七条 非営利法人は、その役員又は職員に対して、不相当に高額な報酬又は給与を支給してはならない。

(過大な寄附の禁止)
第三十八条 非営利法人は、特定の個人又は法人その他の団体に対して、不相当に高額な寄附をしてはならない。

第四節 活動報告書等の備置き及び閲覧等

(活動報告書等の備置き及び閲覧)
第三十九条 非営利法人は、その主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会の定めるところにより、前年(事業年度を設けている場合は、前事業年度。以下この項において同じ。)の活動報告書、貸借対照表及び収支計算書並びに前年末における財産目録(これらに附属する明細書を含む。次項において「活動報告書等」という。)を作成し、これらを、定款、役員名簿及び構成員の総会の議事録(理事会、評議員会その他これらに類する機関を設けている場合には、その議事録を含む。次項において「定款等」という。)とともに、主たる事務所に備え置かなければならない。

2 非営利法人は、その構成員から活動報告書等又は定款等の閲覧又は謄写の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、これらを閲覧させ、又は謄写させなければならない。

(活動報告書及び役員名簿の提出)
第四十条 非営利法人は、その主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会の定めるところにより、活動報告書及び役員名簿の写しを、当該都道府県の非営利法人委員会に提出しなければならない。

第五節 定款の変更

第四十一条 定款の変更は、構成員の総会の決議を経なければならない。

2 前項の決議は、構成員の総数の二分の一以上が出席し、その出席者の三分の二以上の多数をもってしなければならない。

 

第四章 合併

(合併)

第四十二条 非営利法人は、他の非営利法人と合併することができる。

(合併の手続)
第四十三条 非営利法人が合併するには、構成員の総会の決議を経なければならない。

2 前項の決議は、構成員の総数の三分の二以上の多数をもってしなければならない。

第四十四条 非営利法人は、前条第一項の決議があった日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作成し、次項の規定により債権者が異議を述べることができる期間が満了するまでの間、これをその主たる事務所に備え置かなければならない。

2 非営利法人は、前項の期間内に、その債権者に対し、合併に異議があれば一定の期間内に述べるべきことを公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。この場合において、その期間は、二月を下回ってはならない。

第四十五条 債権者が前条第二項の期間内に異議を述べなかったときは、合併を承認したものとみなす。

2 債権者が異議を述べたときは、非営利法人は、これに弁済し、若しくは相当の担保を供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。ただし、合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

第四十六条 合併により非営利法人を設立する場合においては、定款の作成その他非営利法人の設立に関する事務は、それぞれの非営利法人において選任した者が共同して行わなければならない。

(合併の効果)
第四十七条 合併後存続する非営利法人又は合併によって設立した非営利法人は、合併によって消滅した非営利法人の一切の権利義務(当該非営利法人がその行う事業に関し行政庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

(合併の時期)
第四十八条 非営利法人の合併は、合併後存続する非営利法人又は合併によって設立する非営利法人の主たる事務所の所在地において登記をすることによって、その効力を生ずる。

(商法の準用))
第四十九条 商法第四百十五条(監査役に係る部分を除く。)の規定は、非営利法人の合併について準用する。

 

第五章 解散

(解散事由)

第五十条 非営利法人は、次に掲げる事由によって解散する。

一 構成員の総会の決議

二 定款で定めた解散事由の発生

三 目的とする活動に係る事業の成功又はその成功の不能

四 構成員が一人となったこと。

五 合併(合併後存続する非営利法人における当該合併を除く。)

六 破産

七 裁判所による解散命令

(解散決議)
第五十一条 前条第一号の決議は、構成員の総数の三分の二以上の多数をもってしなければならない。

(破産)
第五十二条 非営利法人がその債務を完済することができないこととなった場合においては、裁判所は、当該非営利法人の理事又は債権者の請求により、又は職権をもって、破産の宣告をする。

2 前項に規定する場合においては、理事は、直ちに破産宣告の請求をしなければならない。

(裁判所による解散命令)
第五十三条 裁判所は、非営利法人が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その構成員、債権者その他の利害関係人又はその主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会の請求により、当該非営利法人の解散を命ずることができる。

一 その設立が不法の目的をもってなされたとき。

二 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたとき。

(解散したものとみなされる場合)
第五十四条 正当な理由がなくてその成立後一年以内にその目的とする活動を開始せず、又は引き続き三年以上その目的とする活動をしない非営利法人は、その主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会が、当該非営利法人委員会に対していまだその目的とする活動に係る事業を廃止していない旨の届出をすべき旨の公告をした日から二月以内に、当該都道府県の非営利法人委員会の定めるところにより、その旨の届出をしないときは、その期間満了の日に解散したものとみなす。

2 都道府県の非営利法人委員会が前項の公告をしたときは、当該非営利法人委員会は速やかに同項の非営利法人に対しその公告をした旨を通知しなければならない。

(清算中の非営利法人)
第五十五条 非営利法人は、解散の後であっても、清算の目的の範囲内においては、その清算の結了に至るまでなお存続するものとみなす。

(清算人の選任)
第五十六条 非営利法人が解散したときは、合併及び破産の場合を除き、理事がその清算人となる。ただし、定款に特別の定めがあるとき又は構成員の総会において他人を選任したときは、この限りでない。

第五十七条 前条の規定により清算人となる者がないとき又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくはその主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会の請求により、又は職権をもって、清算人を選任することができる。

(清算人の解任)
第五十八条 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくはその主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会の請求により、又は職権をもって、清算人を解任することができる。

(清算人の職務及び権限)
第五十九条 清算人は、次に掲げる職務を行う。

一 現務の結了

二 債権の取立て及び債務の弁済

三 残余財産の引渡し

2 清算人は、前項の職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

(債権申出の公告及び催告)
第六十条 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を催告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。この場合において、その期間は、二月を下回ってはならない。

2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときはその債権は清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、判明している債権者を除斥することはできない。

(期間後に申出をした債権)
第六十一条 前条第一項の期間後に申出をした債権者は、非営利法人の債務を完済した後に、なお帰属すべき者に引き渡さない財産に対してのみ請求をすることができる。

(清算中の破産)
第六十二条 清算中に非営利法人の財産がその債務を完済するために不足することが明らかとなったときは、清算人は、直ちに、破産宣告の請求をして、その旨を公告しなければならない。

2 清算人は、破産管財人にその事務の引継ぎをしたときは、退任したものとする。

3 前二項の場合において既に債権者に支払い、又は帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。

(解散及び清算の監督)
第六十三条 非営利法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。

2 裁判所は、いつでも職権をもって前項の監督に必要な検査を行うことができる。

(残余財産の帰属)
第六十四条 解散した非営利法人の残余財産は、合併及び破産の場合を除き、清算結了の登記をした時において、定款で定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。

2 定款に残余財産の帰属すべき者に関する規定がないときは、解散の決議をもって、他の非営利法人その他の営利を目的としない法人であって同一又は類似の目的を有するものに帰属させることができる。

3 前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

(非訟事件手続法の適用)
第六十五条 この章に定めるもののほか、非営利法人の解散及び清算については、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)の定めるところによる。

 

第六章 監督 (報告及び資料の提出等)

第六十六条 非営利法人が法令、法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反している疑いがあり、又はその運営が著しく適正を欠く疑いがあると認められる相当な理由があるときは、その主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会は、当該非営利法人に対し、その業務若しくは財産の状況に関し、報告若しくは資料の提出を求め、又は当該非営利法人の役員に対し、出頭を求めることができる。

(勧告)
第六十七条 非営利法人が法令、法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認められるときは、その主たる事務所の所在地の都道府県の非営利法人委員会は、当該非営利法人に対し、その改善のために必要な措置を採るべき旨の勧告をすることができる。

 

第七章 登記

(登記事項)
第六十八条 非営利法人が登記しなければならない事項は、次のとおりとする。

一 目的

二 名称

三 その目的とする活動に係る事業の種類

四 主たる事務所及び従たる事務所の所在地

五 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

六 定款で解散事由を定めたときは、その事由

(設立の登記)
第六十九条 非営利法人の設立の登記は、定款の作成その他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内に、主たる事務所の所在地においてしなければならない。

2 前項の登記には、前条各号に掲げる事項を登記しなければならない。

3 非営利法人は、設立の登記をした後二週間以内に、従たる事務所の所在地において、前条各号に掲げる事項を登記しなければならない。

(従たる事務所の新設の登記)
第七十条 非営利法人は、成立後新たに従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に第六十八条各号に掲げる事項を登記し、他の従たる事務所の所在地においては同期間内にその従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。

2 非営利法人の成立後主たる事務所又は従たる事務所の所在地の登記所の管轄区域内において新たに従たる事務所を設けたときは、前項の規定にかかわらず、その従たる事務所を設けたことを登記すれば足りる。

(事務所の移転の登記)
第七十一条 非営利法人が主たる事務所を移転したときは、二週間以内に旧所在地においては移転の登記をし、新所在地においては第六十八条各号に掲げる事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に同条各号に掲げる事項を登記しなければならない。

2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、前項の規定にかかわらず、その移転の登記をすれば足りる。

(変更の登記)
第七十二条 非営利法人は、第六十八条各号に掲げる事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、変更の登記をしなければならない。

(代表権を有する者の職務執行停止等の登記)
第七十三条 非営利法人を代表する者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分又はその仮処分の変更若しくは取消しがあったときは、主たる事務所及び従たる事務所の所在地において、その登記をしなければならない。

(合併の登記)
第七十四条 非営利法人は、合併に必要な手続を終了した日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する非営利法人については変更の登記を、合併によって消滅する非営利法人については解散の登記を、合併によって設立する非営利法人については第六十八条各号に掲げる事項の登記をしなければならない。

(解散の登記)
第七十五条 非営利法人は、解散したときは、合併及び破産の場合を除き、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、解散の登記をしなければならない。

(清算結了の登記)
第七十六条 非営利法人は、清算が結了したときは、清算結了の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、清算結了の登記をしなければならない。

(設立無効等の登記)
第七十七条 非営利法人につき、設立若しくは合併を無効とし、又は構成員の総会の決議を取り消し、若しくはその不存在若しくは無効を確認する判決が確定したときは、主たる事務所及び従たる事務所の所在地において、その旨を登記しなければならない。ただし、決議を取り消し、又はその不存在若しくは無効を確認する判決が確定した場合において、決議事項の登記がないときは、この限りでない。

(管轄登記所及び登記簿)
第七十八条 非営利法人の登記に関する事務は、その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所が管轄登記所としてつかさどる。

2 各登記所に非営利法人登記簿を備える。

(登記の嘱託)
第七十九条 第七十七条の設立無効等の登記は、裁判所の嘱託によってする。第五十三条の規定により、非営利法人が解散した場合の登記も、同様とする。

2 前項の規定により裁判所が登記を嘱託するときは、嘱託書に裁判の謄本を添えなければならない。

3 第五十四条の規定により非営利法人が解散したものとみなされた場合の登記は、同条の規定による公告をした非営利法人委員会の嘱託によってする。

(登記申請書の添付書類)
第八十条 設立の登記の申請書には、定款及び代表権を有する者の資格を証する書類を添えなければならない。

2 従たる事務所の新設、事務所の移転その他登記事項の変更の登記の申請書には、その登記の事由を証する書類を添えなければならない。ただし、代表権を有する者の氏名又は住所の変更の登記については、この限りでない。

3 合併による設立又は変更の登記の申請書には、第一項又は前項に掲げる書類のほか、第四十四条及び第四十五条の規定による手続を経たことを証する書類並びに合併によって消滅する非営利法人(当該登記所の管轄区域内に事務所があるものを除く。)の登記簿の謄本を添えなければならない。

4 解散の登記の申請書には、解散の事由を証する書類を添えなければならない。

5 清算結了の登記の申請書には、清算が結了したことを証する書類を添えなければならない。

(登記事項の公告)
第八十一条 登記した事項は、登記所において遅滞なく公告しなければならない。

(商業登記法の準用)
第八十二条 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第二条から第五条まで、第七条から第十八条まで、第二十条から第二十三条まで、第二十四条第一号から第十二号まで及び第十四号、第二十五条、第二十六条、第五十五条第一項、第五十六条から第五十九条まで、第六十一条第一項及び第三項、第六十六条、第六十八条第二項、第六十九条、第七十条並びに第百七条から第百二十条までの規定は、非営利法人の登記について準用する。この場合において、同法第五十六条第三項中「商法第六十四条第一項」とあるのは、「非営利法人特例法第六十八条」と読み替えるものとする。

 

第八章 非営利法人委員会

(設置)
第八十三条 この法律に基づく権限を行うため、都道府県知事の所轄の下に、非営利法人委員会を設置する。

2 非営利法人委員会は、独立してその職権を行う。

(所掌事務)
第八十四条 非営利法人委員会は、第一章、第三章、第五章及び第六章の規定に基づく権限に関する事務のほか、次に掲げる事務を行う。

一 非営利法人の運営に関する連絡、助言、指導その他の援助

二 非営利法人に関する情報の収集及び提供

2 前項各号に掲げる事務のほか、非営利法人委員会は、第八条、第三十五条及び第四十条の規定に基づいて非営利法人から提出された書類の写しを管理し、及びその内容を一般に公開する業務を行う。

(組織及び委員)
第八十五条 非営利法人委員会は、六人以上で都道府県の条例をもって定める数の委員をもって組織する。

2 委員は、その定数の三分の二以上に相当する者を当該都道府県の区域内に主たる事務所の所在地がある非営利法人の推薦を受けた者のうちから、その他の者を非営利法人の活動に関して学識経験を有する者のうちから、それぞれ、都道府県の議会の同意を得て、都道府県知事が任命する。

3 委員は、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員と兼ねることができない。

4 委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、都道府県の議会の閉会又は解散のためにその同意を得ることができないときは、都道府県知事は、第二項の規定にかかわらず、都道府県の議会の同意を得ないで、委員を任命することができる。

5 前項の場合においては、任命後最初の議会でその承認を得なければならない。この場合において、議会の承認を得ることができないときは、都道府県知事は、その委員を罷免しなければならない。

6 委員は、非常勤とする。

(委員の任期)
第八十六条 委員の任期は、三年とする。ただし、再任を妨げない。

2 委員が任期中に欠けたときは、後任の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(委員の欠格事由)
第八十七条 第三十二条各号のいずれかに該当する者は、委員となることができない。

(委員の身分保障)
第八十八条 委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中その意に反して罷免されることがない。

一 非営利法人委員会の議決により心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき。

二 非営利法人委員会の議決により職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められたとき。

2 委員が前項各号のいずれかに該当するときは、都道府県知事は、その委員を罷免しなければならない。

3 委員が第三十二条各号のいずれかに該当するに至ったときは、当然失職するものとする。

(委員長)
第八十九条 非営利法人委員会に委員長を置く。

2 委員長は、委員のうちから、委員の互選をもって選任する。

3 委員長は、非営利法人委員会を代表し、議事その他の会務を総理する。

4 委員長に事故があるときは、委員のうちからあらかじめ互選された者が、その職務を代理する。

(委員の給与)
第九十条 委員は、都道府県の条例で定めるところにより、給与を受ける。

(非営利法人委員会の事務の整理) 第九十一条 非営利法人委員会の事務を整理させるため、非営利法人委員会に必要な職員を置く。

2 前項の職員は、都道府県知事が当該都道府県の職員のうちから委員長の同意を得て任命する。

3 都道府県知事は、第一項の規定にかかわらず、その定める当該都道府県の局部において非営利法人委員会の事務を整理させることができる。

(非営利法人委員会の運営)
第九十二条 この法律又はこの法律に基づく条例に規定する事項を除くほか、非営利法人委員会の会議その他運営に必要な事項は、非営利法人委員会が定める。

 

第九章 税法上の特例

(非収益事業所得等の非課税)
第九十三条 非営利法人は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条の規定を適用する場合には同条第三項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(非営利法人特例法(平成九年法律第   号)第二条に規定する法人(以下「非営利法人」という。)を除く。)」と、同条第四項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(非営利法人を除く。)」と、同法第六十六条の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは「普通法人(非営利法人を含む。)」と、同条第三項中「公益法人等」とあるのは「公益法人等(非営利法人を除く。)」とする。

2 非営利法人は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第三に掲げる法人とみなす。

3 非営利法人は、地価税法(平成三年法律第六十九号)その他地価税に関する法令の規定(同法第三十三条の規定を除く。)の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。ただし、同法第六条の規定による地価税の非課税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第七号に規定する人格のない社団等とみなす。

(税制上の優遇措置)
第九十四条 非営利法人のうちその目的とする活動が社会的活動として推進すべきものと認められるもの(以下この条において「免税非営利法人」という。)に係る法人税の税率の特例、免税非営利法人がその収益事業に属する資産から収益事業以外の事業のために支出した金額をその収益事業に係る寄附金の額とみなす特例その他の税制上の優遇措置については、別に法律で定めるところによる。

2 免税非営利法人のうち公益の増進に著しく寄与するもの(以下この項において「特定免税非営利法人」という。)に対して法人が支出した寄附金の損金算入限度額の特例、特定免税非営利法人に対して個人が支出した寄附金に係る所得控除の特例その他の税制上の優遇措置については、別に法律で定めるところによる。

 

第十章 罰則

第九十五条 次の各号の一に該当する場合においては、非営利法人の理事、監事又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。

一 第八条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

二 第十二条の規定に違反して、財産目録を備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。

三 第三十五条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

四 第三十九条の規定に違反して、書類を備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。

五 第四十条の規定に違反して、書類の提出を怠ったとき。

六 第四十四条第一項の規定に違反して、書類の作成をせず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。

七 第四十四条第二項又は第四十五条第二項の規定に違反したとき。

八 第五十二条第二項又は第六十二条第一項の規定に違反して、破産宣告の請求をしなかったとき。

九 第六十条第一項又は第六十二条第一項の規定に違反して、公告をせず、又は不正の公告をしたとき。

十 第六十三条第二項の規定による裁判所の検査を妨げたとき。

十一 第六十六条の規定による報告、資料の提出若しくは出頭をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。

十二 第七章の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。

第九十六条 第四条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

 

附 則

(施行期日)
1 この法律は、平成十年四月一日から施行する。ただし、第八十五条第二項の規定(都道府県の議会の同意を得ることに関する部分に限る。次項において同じ。)及び次項の規定は、公布の日から施行するものとする。

(検討)
2 営利を目的としない法人に関する制度については、その全般に関して検討が加えられ、その結果に基づき必要な措置が講ぜられるものとする。

(非営利法人委員会の委員の任命に関する経過措置)
3 第八十五条第二項の規定の施行後最初に任命される非営利法人委員会の委員に関する同項の規定の適用については、同項中「その定数の三分の二以上に相当する者を当該都道府県の区域内に主たる事務所の所在地がある非営利法人の推薦を受けた者のうちから、その他の者を非営利法人の活動に関して学識経験を有する者のうちから、それぞれ」とあるのは「非営利団体の活動に関して学識経験を有する者のうちから」とする。

(地方自治法の一部改正)
4 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
第百八十条の五第二項中「の外」を「のほか」に、「左の通り」を「次のとおり」に改め、同項に次の一号を加える。
六 非営利法人委員会
第二百二条の二第五項中「指示その他の事務を行い」の下に「、非営利法人委員会は別に法律の定めるところにより非営利法人に対する監督その他の事務を行い」を加える。

(地方税法の一部改正)
5 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第五項中「地縁による団体並びに」を「地縁による団体、」に改め、「政治団体」の下に「並びに非営利法人特例法(平成九年法律第   号)第二条に規定する法人」を加える。

 第五十二条第二項第三号中「地縁による団体並びに」を「地縁による団体、」に改め、「政治団体」の下に「並びに非営利法人特例法第二条に規定する法人」を加える。
第五十三条第十二項中「公益法人等」の下に「(非営利法人特例法第二条に規定する法人を含む。)」を加える。

 第七十二条の五第一項に次の一号を加える。
十二 非営利法人特例法第二条に規定する法人
第二百九十四条第七項、第三百十二条第三項第三号及び第七百一条の三十四第二項中「地縁による団体並びに」を「地縁による団体、」に改め、「政治団体」の下に「並びに非営利法人特例法第二条に規定する法人」を加える。

(総理府設置法の一部改正)
6 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。

 第四条中第七号の二を第七号の三とし、第七号の次に次の一号を加える。

 七の二 非営利法人特例法(平成九年法律第   号)の施行に関すること。

     理 由

 営利を目的としない団体の活動の健全な発達の促進を図り、公共の福祉の増進に寄与するため、営利を目的としない団体に法人格を付与すること等について当分の間の措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

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