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日本共産党

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赤旗

2017・第2回中央委員会総会/志位委員長の幹部会報告

第2回中央委員会総会

志位委員長の幹部会報告

2017年10月3日


 中央役員のみなさん、インターネット中継をご覧の全国のみなさん、こんにちは。みなさんの日夜をわかたぬ奮闘に心からの敬意を申し上げるとともに、ともにたたかう決意を込めて、熱い連帯のあいさつを送ります。

 私は、幹部会を代表して、第2回中央委員会総会への報告を行います。

 衆議院選挙の公示日まで7日間、投票日まで19日間となりました。超短期決戦です。一日一日が勝敗を分ける歴史的な19日間となります。

 まず冒頭に、全党と後援会の力を一つに集めて、市民と野党の共闘を必ず成功させるとともに、党大会で決めた総選挙の目標――「比例を軸に」を貫き、「850万票、15%以上」、「全国11のすべての比例ブロックでの議席増」を達成し、小選挙区でも必勝区を中心に議席の大幅増に挑戦するために、大奮闘する決意を、みんなで固めあおうではありませんか。

政治対決の構図と、総選挙をたたかう基本姿勢について

 報告の第一の主題は、総選挙の政治対決の構図と、総選挙をたたかう基本姿勢についてであります。

「自公とその補完勢力」対「市民と野党の共闘」――対決構図がいっそう浮き彫りに

 私たちは、党大会決定で、今度の総選挙の政治対決の構図を、「自公とその補完勢力」対「市民と野党の共闘」にあると見定めて、たたかってきました。

 9月25日、安倍首相の衆議院解散表明と同じ日の「希望の党」の立ち上げ、28日、解散の日、突然の民進党の「希望の党」への「合流」方針の決定など、選挙戦の様相を大きく変える出来事が続いています。

 こうした状況のもとで、一部メディアは、総選挙の対決構図を「自公」対「希望」と描いています。これはまったく偽りの対決構図であります。この両者には「対決」の中身はまったくありません。「自公」対「希望」対「リベラル・共産」と描いているメディアもありますが、これも正しくありません。

 総選挙の政治対決の構図は、「自公とその補完勢力」対「市民と野党の共闘」にあります。これは、いささかも変わりがありません。むしろ、この対決の構図が、いっそう鋭い形で浮き彫りになってきています。そのことを深くつかむことが大切であります。

「疑惑隠し解散」によって安倍自公政権は窮地に追い込まれている

 まず「自公とその補完勢力」の側はどうでしょうか。

 私は、9月21日の都道府県委員長会議の報告で、臨時国会冒頭での解散が「森友・加計疑惑隠し」を狙った前代未聞の異常で党略的な暴挙であることを厳しく批判するとともに、この暴挙は国民の世論と運動に追い詰められた結果であることを強調し、安倍政権を退場させるチャンスの選挙ととらえて全力をあげることを訴えました。

 安倍首相は、25日の解散表明にあたって、あれこれの解散理由を並べましたが、「なぜ冒頭解散なのか」については一切説明することができませんでした。解散の大義を語ることもできませんでした。イチかバチかの解散に打って出たものの、「疑惑隠しの解散」「大義なき解散」という批判が、国民のなかで急速に広がり、安倍政権はさらに窮地に追い込まれています。そのことは、一時的に持ち直した内閣支持率が、党利党略解散を受けて、軒並み下落に転じていることにも、はっきり示されているではありませんか。

 総選挙が、安倍政権を退場に追い込む歴史的チャンスの選挙であることがいよいよ明瞭になってきました。全国の同志のみなさん。このことをしっかりつかんで、この総選挙を意気高くたたかいぬこうではありませんか。

「希望の党」――どこからみても「自民党の補完勢力」の本質は明らか 

 「希望の党」をどうとらえるか。わが党は、この動きについて、当初から、「自民党の補完勢力」と批判してきましたが、その本性がはっきりとあらわれてきています。

 ――まず結党メンバーの顔ぶれであります。自民党政治の中枢にいた人、野党共闘に反対して民進党から出てきた人、ウルトラ右翼の政党の党首だった人などが、結党メンバーに名をつらねました。小池百合子代表自身、防衛大臣、総務会長など政府と自民党の要職を歴任し、安保法制=戦争法を策定するさいには、自民党の安全保障法制整備推進本部の副本部長として、これを推進した人物です。小池代表は、安倍首相とともに、安保法制=戦争法という戦後最悪の違憲立法強行という暴走政治を推進した張本人の一人なのであります。小池氏をはじめとするこうした顔ぶれ一つを見ても、「希望の党」が、「自民党の補完勢力」であることは、あまりにも明らかではないでしょうか。

 ――政治的主張と行動の中心点はどうでしょうか。いろいろな公約を並べていますが、「安保法制容認」と「9条を含む憲法改定」の二つが「希望の党」の政治的主張の要となっています。安倍首相も「安全保障の基本理念は同じだ」と認めるように、政治的主張の根幹部分は安倍政権と何ら変わりがありません。そして、この二つを「踏み絵」にして、民進党出身者に屈服を迫り、野党共闘を破壊する。これが現実にとっている行動であります。安倍首相からすれば、“最大の脅威”であった野党共闘を破壊するという点で、「希望の党」は自民党の最大の援軍となっています。政治的主張を見ても、行動を見ても、「自民党の補完勢力」としての面目躍如といわなければなりません。

 ――「希望の党」が「維新の会」との連携を確認したことも重大です。「維新の会」は、国会で、「共謀罪」法や、「カジノ」法を自民・公明とともに強行採決し、野党共闘に対する口汚い攻撃を行うなど、「自民党の補完勢力」としての実績が試されずみの党であります。さらに、「維新の会」は、「憲法9条の改定」を総選挙公約に明記しています。「希望の党」と「維新の会」の連携は、東西で「自民党の補完勢力同盟」をつくろうというものにほかなりません。

 ――小池都知事が、都政でやっていることは何か。小池知事は、都政の最大の問題――築地市場の豊洲移転の問題で、豊洲市場の「無害化」という東京都の約束、「食の安全・安心」という都議選での公約を放り投げ、都政の「情報公開」「見える化」という公約を裏切って、都議会での議論を封殺し、問答無用の態度で自民党がすすめてきた豊洲移転をごり押ししています。業者のみなさんから激しい批判が起こり、都政運営が立ち行かなくなる行き詰まりに直面しています。都政における重大な公約違反の態度は、小池氏が国政であれこれの公約を語る資格そのものを問うものとなっているといわなければなりません。

 あらゆる面からみて、「希望の党」が「自民党の補完勢力」であることは、明らかであります。それは、いかなる意味でも、野党が連携・協力の対象にできる勢力ではありません。安倍自公政権にも、その別動隊であるこのような勢力にも、断じて負けるわけにはいきません。事実にもとづいて、その姿を、広く国民に明らかにしていこうではありませんか。

民進党の「希望の党」への合流の決定について

 それでは「市民と野党の共闘」の側はどうでしょうか。

 私たちは、この2年間、4野党と市民の共闘を発展させるために力をつくしてきましたが、多くの人々の共闘のための努力に背く重大な動きがおこりました。

 9月28日、民進党の前原代表は、突然、民進党の事実上の解散と、「希望の党」への合流を提案し、民進党の両院議員総会はこの提案を受け入れました。合流といっても、民進党の候補者は「希望の党」に公認を申請し、その審査を行うのは「希望の党」だということであります。合流というより、「希望の党」による民進党の吸収・合併・併合というのが、事の真相にほかなりません。

 この民進党の決定は、この2年間の共闘の原点を否定するものであります。2年間の市民と野党の共闘の原点――「一丁目一番地」は、憲法違反の安保法制を廃止し、立憲主義を回復することにありました。このことを求める市民の空前のたたかいのなかから、この共闘は生まれたのです。「安保法制容認」を政治的主張の要としている「希望の党」への合流は、この原点を投げ捨てるものにほかなりません。

 民進党の決定は、4野党での繰り返しの党首合意――安保法制を廃止し立憲主義を回復する、安倍政権を倒すために国政選挙でできる限りの協力を行う――などの公党間の合意を一方的にほごにするものといわなければなりません。この決定を行うさいに、民進党からわが党に対して何らの説明もありませんでした。わが党として、小池書記局長から民進党の大島幹事長に、公党間の信義にもとる行為として、厳重に抗議する対応を行いました。

 さらに、民進党の決定は、市民連合のみなさんと4野党が9月26日に交わした、総選挙をたたかう共通公約――そこには、「特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法などの白紙撤回」「安倍政権が進めようとしている9条改正への反対」などが明記されています――を、そのわずか2日後に裏切るものとなりました。

 民進党の決定は、この2年間、共闘の発展のために力をつくしてきた人々に対する、重大な背信行為といわなければなりません。

 民進党の候補者が「希望の党」の公認候補となった場合には、日本共産党は、公認候補を、原則として擁立してたたかいます。それは、有権者のみなさんに対するわが党の当然の責任であると考えるものです。

日本共産党の基本姿勢――共闘によって日本の政治を変えていく立場を断固貫く

 今後をどう展望するか。市民と野党の共闘に重大な逆流が持ち込まれたことは明らかですが、日本共産党は、市民と野党の共闘によって、日本の政治を変えていくという立場を、断固として堅持して、前途を切り開く決意であります。

 まず何よりも、これまで協力してきた市民連合のみなさんとの協力関係を大切にして、さらに発展させていきたいと考えています。市民連合は、9月29日、「見解」を発表し、民進党の決定を厳しく批判し、「立憲主義に反する安保法制を肯定する希望の党と市民連合が共闘することはありえません」とのべるとともに、「市民と立憲野党・議員の共闘を力強く再生させる可能性を模索しつづけたい」と表明しました。心強い表明であります。

 さらに、日本共産党は、こういう状況の下でも、勇気をもって共闘の道をしっかり進もうという政党、議員、候補者のみなさんとは、共闘を追求していきます。

 すでに日本共産党は、社会民主党とは、総選挙において、できる限り多くの選挙区で候補者の一本化を図る合意を行い、12都府県24選挙区で候補者を一本化することで合意しました。両党のこの合意は、どこでも熱い歓迎をもって迎えられています。

 「希望の党」が、民進党出身者の「選別」を開始し、「安保法制容認」を「踏み絵」とするもとで、深刻な矛盾が広がっています。民進党の候補者のなかで、「希望の党」に入ることを拒否する方々が生まれています。昨日(2日)、民進党の枝野幸男代表代行は、「立憲民主党」を立ち上げ、「希望の党」に合流しない民進党国会議員らに参加をよびかけることを明らかにしました。私は、安保法制廃止、安倍政権による憲法9条改憲反対を貫こうという流れの中から、こうした動きが起こってきたことを、心から歓迎します。わが党は、共闘の原点と大義に立ち返って行動するという方々とは、この間の経過や行きがかりをのりこえて、協力・連携を追求していくことを表明するものです。

“大義の旗”“共闘の旗”を高く掲げる日本共産党の躍進を

 この2年間、市民と野党の共闘は、昨年の参議院選挙、新潟県知事選挙、仙台市長選挙などで、多くの実績を積み重ねています。市民と野党が一つに結束すれば安倍政権を倒すことができる。これは、誰も否定できない政治の現実であります。

 またこの2年間、共闘にとりくむなかで、全国各地で草の根から「共闘の絆」がたくさんつくられています。それは、一部の逆流によって、簡単に壊すことはできないものであり、今後に必ず生きるものと確信するものです。

 市民と野党の共闘にこそ未来がある。逆流をのりこえることができれば、この共闘はもっと強く、もっと確かなものに発展しうる。このことに確信をもち、直面する総選挙でその可能性を、最大限に追求して奮闘しようではありませんか。

 そして、安保法制廃止、立憲主義回復をはじめ、市民と野党の共闘が掲げてきた“大義の旗”を高く掲げているのが日本共産党であります。政治的立場の違い、思想・信条の違いを超えて、共闘の力で政治を変える――“共闘の旗”を握って離さず、一貫して高く掲げ続けているのが日本共産党であります。

 全国の同志のみなさん。この党を躍進させることこそ、市民と野党の共闘を、試練をのりこえて前に進める最大の力となり、日本の政治を良くする一番の力となることを、総選挙で大いに訴えてたたかおうではありませんか。

総選挙の政治論戦をどうすすめるか――いくつかの留意点について

 報告の第二の主題は、総選挙の政治論戦をどうすすめるかについてであります。

 9月21日の都道府県委員長会議では、当面の政治論戦の中心点として五つの柱を強調しました。解散第一声でも、総選挙の争点を五つの柱で明らかにしました。すなわち、(1)安倍暴走政治をこのまま続けさせていいのか。とくに三つの違憲立法――安保法制・秘密保護法・共謀罪法の廃止。(2)北朝鮮の核・ミサイル問題をどうやって解決するか。(3)消費税10%を中止し、格差と貧困をただす四つの経済改革を実行する。(4)安倍政権による憲法9条改定を許していいのか。(5)核兵器禁止条約にサインする政府をつくろう。

 原発再稼働を許さず「原発ゼロの日本」をつくる、沖縄の新基地建設の中止なども、重要な争点となります。明日、発表する「総選挙政策」で、わが党の政策的立場の全体を明らかにしたいと思います。

 総選挙の政治論戦は、これらを土台にしながら、情勢にそくして発展させていきたいと考えています。ここでは、政治論戦で、とくに留意していただきたい点を4点ほどのべます。

安倍暴走政治を正面から追及し、政治の根本的転換を求める論陣を

 第一に、この選挙の最大の争点は、安倍暴走政治をこのまま続けさせていいのか。ここにあるということであります。

 安倍首相は、この解散を「国難突破解散」と称し、「急速に進む少子高齢化を克服し、わが国の未来を開く」、「北朝鮮の脅威に対して国民の命と平和な暮らしを守り抜く」ことが争点だと主張しています。もちろん、これらに対しても、私たちは、それを迎え撃つ攻勢的な論戦を行います。

 同時に、そうした個々の政策以前の大争点として、「この5年間の安倍暴走政治」を正面から徹底的に追及し、政治の根本的転換を求める論陣を大いに張っていきます。安保法制=戦争法、秘密保護法、共謀罪法の強行など、憲法をこれだけないがしろにした政権はかつてありません。沖縄米軍新基地建設でも、原発再稼働でも、国民の民意をこれだけ踏みつけにした政権はかつてありません。そしてこの暴走の行き着いた果ては「森友・加計疑惑」など国政私物化です。こんな異常な「お友達優遇」の政治私物化疑惑にまみれた政権もかつてありません。どれも安倍首相がこの総選挙で避けて通りたい問題ばかりですが、それを決して許してはなりません。

 安倍首相は、「国難突破」と言いますが、安倍晋三氏が首相に居座っていることが、わが国にとっての最大の「国難」ではありませんか。憲法を壊し、民意を踏みつけにし、国政を私物化する、安倍暴走政治に退場の審判を下し、日本の政治に立憲主義・民主主義・平和主義を取り戻す――この論戦の先頭に、私たち日本共産党がたって大奮闘しようではありませんか。

 この論戦ができるのは、日本共産党と共闘勢力であります。「希望の党」には決してできません。この党は、日本の政治を「リセットする」と抽象的に唱えることはできても、「安倍暴走政治」に対する批判はできません。小池代表自身が、自民党政治の中枢にいて、安倍首相とともに暴走政治を進めてきた「暴走仲間」だからであります。

 私たちの正面の相手は、あくまで安倍自公政権であります。安倍自公政権への批判を正面にすえ、それとの関係で「希望の党」など「補完勢力」への批判を適切な形で行うという基本姿勢を堅持して論戦にとりくむようにしたいと思います。

北朝鮮問題の道理ある解決の道を、大いに攻勢的に語ろう

 第二に、北朝鮮問題の道理ある解決の道を、大いに攻勢的に語ることであります。

 安倍首相は、総選挙の訴えで、「北朝鮮の脅威から国民の命を守り抜く」ことを前面に掲げ、自分がやってきた外交活動を自賛しながら、日米同盟の強化と安保法制の重要性を繰り返しています。

 しかし、安倍政権のこの問題に対する姿勢は、(1)「対話のための対話は意味がない」とする異常な対話否定論に立ち、(2)「すべての選択肢はテーブルの上にあるという米国政府の立場を支持する」と、アメリカの軍事力行使を公然と容認し、(3)危機に乗じて安保法制を発動し、この地域の軍事的緊張を高めるとともに、日本を危険にさらす――問題の解決に役立つどころか、二重三重に危機を高めるだけの危険なものといわなければなりません。

 日本共産党は、北朝鮮による核実験、弾道ミサイル発射を強く糾弾するとともに、破滅をもたらす戦争だけは絶対に起こしてはならないということ、経済制裁強化と一体に「対話による平和的解決」のために力をつくすことこそ唯一の解決策であるということ、とくに米朝が、危機打開のために直接対話に踏み出すことが重要だということを、一貫して主張するとともに、こうした内容を関係各国に伝達し、働きかけてきました。

 経済制裁強化と一体に「対話による平和的解決」をはかることは、世界の多数の諸国が主張していることであります。それはまた、北朝鮮の制裁措置を決めた国連安保理決議自身がよびかけていることであります。

 日本共産党の立場こそ、世界の大勢に立った、冷静で道理ある立場であることに確信をもって、これを大いに攻勢的に語ろうではありませんか。

消費税10%への大増税の是非を大争点に――格差・貧困をただす経済改革論を

 第三に、経済論戦では、消費税10%への大増税の是非を正面から問うとともに、格差と貧困をただす日本共産党の経済改革論を豊かに語っていきたいと思います。

 安倍首相は、解散の口実として、「消費税10%の増税分の一部を教育・子育てにまわす」ということを突然言い出しました。国民の切実な教育・子育ての願いを「人質」にとって、2度も延期を余儀なくされた消費税10%を押し付ける――「10%増税宣言」こそこの主張の本質であります。消費税10%増税を既定事実として、その「使い道」に議論を矮小(わいしょう)化することを許さず、消費税10%への大増税の是非そのものを大争点にしていくことが大切であります。

 8%への増税が、3年半にわたる深刻な消費不況をつくりだしたこと、こうした状況下での増税は、経済も家計も破壊することを示し、10%増税をきっぱり中止することを訴えようではありませんか。増税するなら「アベノミクス」で大もうけをあげている富裕層と大企業に応分の負担を求めるべきという財源論の対案を大いに語ろうではありませんか。

 この問題で、「希望の党」と「維新の会」は、「消費税凍結」を言いますが、共通しているのは「身を切る改革」を先にやれという主張であります。これは、「身を切る改革」――国会議員定数の大幅削減という民主主義破壊をやったうえで、10%を実施するという、二重の問題点があります。

 消費税問題と一体に、格差と貧困をただす日本共産党の経済改革論を大いに語ることが大切であります。解散第一声では、大会決定をベースに、税金の改革、予算の改革、働き方の改革、地域経済の再生と、四つの柱を打ち出しました。大会決定、「総選挙政策」を大いに活用し、国民の切実な要求にかみあわせて、わが党の経済改革論を豊かに語ろうではありませんか。

自民党などが9条改憲を初めて総選挙の公約に――痛打をあたえる選挙に

 第四は、憲法9条改定を許していいのかという大争点についてです。

 安倍首相が、「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という改憲案を提起したことを受けて、自民党は「憲法9条の改定」を公然と公約に掲げました。「維新の会」も「憲法9条の改定」を初めて公約に掲げました。「希望の党」も「憲法9条を含む憲法改定」を公約に掲げています。

 自民党、「維新の会」、「希望の党」――自民党を含む複数の政党が、そろって9条改憲を総選挙の公約に掲げたのは、戦後でも初めてのことであります。憲法9条をめぐっても、この総選挙の意義はきわめて重大なものとなりました。まさに日本の命運がかかった選挙であります。全国の同志のみなさん、市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進で、9条改憲勢力に痛打を浴びせる選挙にしていこうではありませんか。

 わが党が、繰り返し明らかにしてきたように、憲法9条に自衛隊を明記する改定を行えば、単に存在する自衛隊を憲法上追認することにとどまらず、2項の空文化=死文化、無制限での海外での武力行使に道を開くことになります。ここにこそ本質と狙いがあることを、徹底的に明らかにする論陣を張っていこうではありませんか。

選挙戦の宣伝・組織活動をどうすすめるか

 報告の第三の主題は、選挙戦の宣伝・組織活動をどうすすめるかについてであります。

「二つの一体的追求」を揺るがずにつらぬく

 選挙戦の宣伝・組織活動をすすめる基本姿勢として、まず強調したいのは、党大会決定が明らかにした「『二つの一体的追求』を揺るがずにつらぬく」ということであります。

 第一は、野党共闘の勝利と日本共産党躍進の一体的追求であります。わが党は、市民と野党の共闘に重大な逆流が持ち込まれたもとでも、共闘の可能性を最大限に追求し、その勝利のために力をつくします。この姿勢を貫くことは、安倍政権を退場させて新しい政治をつくるうえでの貢献となるとともに、わが党への国民の共感と信頼を広げることにつながるものとなるでしょう。

 同時に、日本共産党躍進のためには、そのための独自の活動に力をそそがなければならないことは、いうまでもありません。日本共産党の独自の政策、党の姿を丸ごと語るとりくみを強め、日本共産党を伸ばすことが政治を変えるうえでどんな意味をもつかを大いに語り抜き、広げに広げようではありませんか。昨年の参院選では、「野党共闘での選挙区選挙に手がとられ、比例の対策が弱かった」という反省も寄せられましたが、この反省を、総選挙をたたかう教訓として銘記しておきたいと思います。

 第二は、日本共産党の躍進という点では、「比例を軸に」、比例代表で「850万票、15%以上」をめざすとりくみと、小選挙区必勝区での勝利の一体的追求をはかるということであります。

 わが党は、この総選挙で、16の小選挙区必勝区を設定しました。その勝利に正面から挑戦します。同時に、選挙戦の軸は、あくまで比例代表選挙であります。現在の選挙制度のもとで、わが党が議席を伸ばす「主舞台」は、比例代表選挙であることを強調したいと思います。「比例を軸に」、「全国は一つ」でこの選挙をたたかいぬき、全国で「850万票、15%以上」という目標達成とともに、全国11の比例ブロックのすべてで議席増を達成するという目標を掛け値なしにやりぬくために、全党があらゆる力を傾注しようではありませんか。比例代表で党躍進の大波をつくってこそ、必勝区の勝利の道も開かれることを、肝に銘じて奮闘しようではありませんか。

 沖縄1区~4区は、米軍新基地建設を許さない「オール沖縄」勢力が、統一候補を擁立して選挙戦をたたかいます。このすべてで勝利をかちとることは、「基地のない平和な沖縄」を求めるたたかいの前途を開くうえでも、前回選挙でわが党が小選挙区で唯一議席を確保した沖縄1区の、あかみね政賢候補の議席を守り抜くという点でもきわめて重要であり、必勝のために特別のとりくみを行います。

全党のみなさんが心一つに躍進に挑戦しよう――五つの行動提起

 投票日まで19日。一日一日が勝負であります。最後に、具体的な行動提起をいたします。

 ――第一。すべての支部・グループが、「850万票、15%以上」に見合う得票目標、支持拡大目標をもって活動しましょう。全党員に声をかけ、緊急の支部会議を開きましょう。センター、たまり場を確保し、臨時電話を確保し、日々、活動参加を広げ、活動総量の飛躍をはかりましょう。党機関は、緊急に選挙ボランティアをつのり、非常勤の党員もふくめてもてる力を総結集し、選挙をたたかう指導態勢、臨戦態勢を強化しましょう。

 ――第二。大量政治宣伝で日本列島に元気な党の風を巻き起こしましょう。公示までの1週間の宣伝が特別に大切です。候補者、地方議員が先頭に立って、支部とともに、宣伝カー、ハンドマイクをフル稼働させましょう。党押し出しポスター、9条ポスターを一枚残らず張り出しましょう。「しんぶん赤旗」号外(第1弾)を一気に配布しましょう。

 公示後、「しんぶん赤旗」号外(第2弾)を発行します。これも一枚残らず配布しましょう。4種の新大型プラスターを活用し、駅頭・路地裏でのメガホン、スタンディング宣伝など、人の流れにそって訴える創意をこらした宣伝活動を強めましょう。

 ――第三。対話と支持拡大をただちに大飛躍させましょう。公示までに得票目標を上回る対話と支持拡大を必ずやりぬき、公示後は天井知らずに広げに広げましょう。飛躍のための三つの試されずみの鉄則を同時並行でやりきりましょう。すなわち、(1)「全国は一つ」の立場で、「マイ名簿」にもとづいて、党員の全国的な結びつき、つながりを視野に入れた、対話と支持拡大にとりくみましょう。(2)「声の全戸訪問」――テレデータを使った不特定の有権者への働きかけを選挙活動の柱にすえてとりくみましょう。(3)読者、後援会員、党支持者に協力を訴える「折り入って作戦」にとりくみましょう。この活動のなかで、党員拡大と「しんぶん赤旗」読者拡大を意識的に位置づけて推進しましょう。

 ――第四。市民・国民とともにたたかう壮大な選挙戦に挑戦しましょう。市民と野党の共闘の発展のために一貫して力をつくす日本共産党に対して、これまでにない広範な方々から自発的な期待と支援の動きが起こっています。これまでともに市民運動にとりくんできた方々に、サポーターになってもらうこと、応援演説に立ってもらうこと、SNSで共産党を支援する発信をしてもらうことなど、選挙への協力を率直に訴えましょう。

 ――第五。総選挙募金・新聞広告募金の一大運動にとりくむことを訴えます。「共産党に伸びてほしい」――この思いに働きかけ、よびかければ、募金が、街頭でも対話のなかでも、びっくりするほど集まっています。総選挙募金とあわせて、新聞広告募金を呼びかけます。新聞広告は、さきの都議選でも、全国からの募金に支えられて実施し、大きな力になりました。総選挙では、さらに大きな資金が必要ですが、比例代表での躍進に欠かせないものと位置づけ、思い切った募金活動にとりくむことを訴えるものです。

 全国の同志のみなさん、試されずみの方針をすべてやり抜き、情勢にそくして方針を創意的に発展させながら、勝利を必ずつかもうではありませんか。

情勢の大激動――やるべきことを、やるべき期日までにやりきって、必ず勝利を

 全国の同志のみなさん。

 今度の総選挙は、安倍政権が、何の大義も道理もない冒頭解散という最悪の党利党略に打って出る、解散と同時に、「希望の党」という政権批判の「受け皿」をねらって新党が登場する、野党第1党の民進党がそれに吸収されて消滅する――こうした前例のない情勢の大激動のもとでたたかわれます。

 こうした大激動のもとで、ブレない政党、市民とともにたたかう政党、政党らしい政党、日本共産党への新たな注目と期待が広がっています。困難なもとでも共闘の信義をまもり、共闘を断固として追求する姿勢に、広く共感の声が寄せられています。それは、解散の大激動のなか、9月度、5400人の「しんぶん赤旗」読者が増えたことにも示されています。頑張りぬけば、日本共産党が躍進をかちとる条件は、間違いなく存在しています。

 同時に、チャンスを結果に実らせるためには、党のもつ力を底の底まで発揮することが、どうしても必要であります。やるべきことを、やるべき期日までにやりぬいてこそ、躍進は現実のものとなります。

 全党の同志のみなさんに心から訴えます。

 日本の命運がかかったこの歴史的な総選挙に、95年の歴史によって鍛えられ試された、わが党の革命的伝統・革命的気概を発揮して、総決起しようではありませんか。若い同志も、ベテランの同志も、全国の同志が、心を一つに、一日一日を悔いなくたたかいぬこうではありませんか。自ら風を起こして、市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進を何としてもつかみとろうではありませんか。

 そのことを心から訴え、中央委員会が先頭に立って奮闘する決意をのべて、報告を終わります。みなさん、ともに頑張りましょう。

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