日本共産党
2004年11月10日「しんぶん赤旗」

主張

原子力長期計画

核燃料サイクルからの撤退を


 わが国の原子力政策の基本方針である「原子力長期計画」について、政府の原子力委員会が改定作業を行っています。一日の会議では、原発の使用済み燃料を再処理して、抽出したプルトニウムを核燃料として利用する、いわゆる核燃料サイクル路線の継続を確認しました。

国民的な不信の広がり

 日本の原子力政策は、原発大増設と核燃料サイクルを基本としてきました。この路線は、いま大きな岐路に立っています。
 この十年間でも、一九九五年の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ・火災事故、九七年の東海再処理施設爆発事故、九九年の東海村JCO臨界事故など、核燃料サイクルの安全性が根本から問われる重大な事故が相次ぎました。

 今年八月には、美浜原発の配管破裂事故で、十一人の死傷者を生む惨事を引き起こしました。原発と核燃料サイクルに対する国民の不信は大きく広がっています。

 いま行われている原子力長期計画の改定論議には、原発推進と核燃料サイクルをこれからも続けるのかどうかが厳しく問われています。

 原子力委員会は、使用済み核燃料の扱いについて、全量再処理、部分再処理、再処理しない、当面貯蔵、という四つのシナリオを想定して議論しました。そこでは、安全性、資源節約・安定供給性、環境適合性、経済性、核不拡散性など十項目で検討、評価したとしています。

 しかし、検討の中身は、原発や核燃料サイクルに対する国民の不安と不信を真剣に受けとめたとは言えないものです。安全性に焦点を当てた議論は一回だけにすぎません。その結論も、「適切な安全規制の下で実施される限りにおいて人に与える放射線影響は十分小さくできる」として、四つのシナリオ間に差はほとんどないという断定です。

 核燃料内の放射性物質を溶かしだす再処理そのものの危険性や、プルトニウム利用の危険性は事実上無視されました。安全規制に対する国民の厳しい批判に、まともにこたえたものではありません。

 使用済み核燃料の処理・処分については、再処理してもしなくても、地下埋設を当然の前提として議論されています。しかし、地震列島日本で、安全に処分できる安定した地層があるかどうかは疑問です。安全な処分技術が確立されていないことに目をふさいでいるのは問題です。

 また、再処理等によるコストが膨大になることも問題になりました。原子力委員会の試算によれば、二〇六〇年度までのコストは約四十三兆円です。これは電気料金として国民が負担することになります。安全に対する国民の不安にこたえず、巨額の負担だけは押し付ける、そんな横暴は許されません。

安全優先の政策に転換を

 これまで何回も、再処理した場合しない場合のコスト比較が試算されていたのに、政府が隠していたことも発覚しました。再処理によるコスト増が分かっていながら、国民には知らせずに核燃料サイクル路線を推進してきたのです。このような国民を無視するあり方を改めない限り、原子力行政に対する国民の不信は増すばかりです。

 原子力長期計画の見直しというなら、国民の批判を正面から受けとめ、原発推進と核燃料サイクル路線を根本から見直すことが不可欠です。いまこそ、核燃料サイクル路線から撤退し、安全が最優先される方向へと転換すべきです。


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