日本共産党

2006年8月16日「しんぶん赤旗」

断面

若手研究者「夏の学校」

就職難解決へ広がる連帯


 今、若手研究者のなかで、「博士(はくし)が百にんいるむら」という創作童話がインターネット上で話題になっています。話のてん末が「博士」が百人いても“十六人が無職 八人が行方不明か死亡”というショッキングな事実が紹介されるからです。大学院博士課程を修了しても研究職につける人は少なく、他の職種を含めても就職率は六割に満たないという深刻な就職難が社会問題化しつつあります。

■民間企業での活路

 この就職難の解決策を若手研究者自身によって探求しようと、七月十五日、NPO法人「サイエンス・コミュニケーション」(サイコム)が「夏の学校〜若手理系人のキャリアチェンジ」を開催しました。

 サイコム事務局長の春日匠・大阪大学特任研究員は講演のなかで、就職難の背景に、政府や大学が研究者ポストを増やさずに大学院生を倍増させる一方、民間企業も「博士は使いにくい」と敬遠している問題がると指摘。「若手研究者はある種の被害者」と告発しました。

 大学院で博士号をとって大手証券会社に就職した女性は、ベンチャー企業への投資という仕事のおもしろさを紹介しながら、「研究の知識・経験は、企業の技術評価で非常に活きる」とのべ、キャリア・チェンジ(民間企業への就職)をすすめます。

 分析化学系の大学院修士課程修了後、機器メーカーに就職し、勤めながら、博士号を取得した男性は、「研究で得た知識を活かすことで製品開発の実績を上げた」と報告しました。

 企業で働く「博士」たちの経験談は、「博士」だからこそできる仕事が民間企業にもあることを示すものでした。

■苦労やきびしさも

 同時に、「民間では一年単位で研究業績を求められる」「いきなり製品開発を任され、プレッシャーが大きい」など企業での苦労や厳しさも語られました。

 文部科学省も、若手研究者が研究機関以外の方面に進み、その能力を活かせるように「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」を四月に立ち上げ、三億円の予算をつけています。

 これについて、一部の経済誌は「研究者だけ厚遇されるのはなぜか」「博士号をとるほど優秀であれば、自分の進路は自分で切り開いてほしい」と批判しました。

 しかし、サイコム代表の榎木英介氏は、「(この批判は)雇用問題を『自己責任』の問題として捉えてしまう新自由主義的な考え」「企業と博士が相互に歩み寄れば、(博士の)活躍の可能性が高まると思う。そのために資金が投入されるならば、決して無駄なお金ではない」と反論します。

 「自己責任」が強調され、若手研究者もバラバラにされかねないなか、就職難を解決しようと若手研究者のネットワーク(連帯)が広がっています。(土井誠)


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