日本共産党

2002年10月28日(月)「しんぶん赤旗」

主張

大学改革

序列化は学問の発展を妨げる


 基礎研究は「産業に役立つとか、国民がもうけるためでもない…人類共通の知識を新たに加えたいという自分の夢のための研究」―ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊東大名誉教授は講演でこうのべています。ここには今日の日本の大学と研究のあり方への重要な示唆があります。

大学に競争原理を導入

 ところが小泉内閣が進める「大学改革」は、人類の知的発展に役立つ地道な研究を大事にするのではなく、「大学に競争原理を導入」し少数の大学を「重点育成する」方向です。

 文部科学省が九月末に発表した「二十一世紀COE(卓越した研究拠点)プログラム」の審査結果は、遠山文科相が「経済再生のため…世界に勝てる大学にする」とのべたように、政府が「世界最高水準」とみなす大学だけを優遇し、大学の序列化をいっそう強めるものです。

 大学院博士課程の約三千ある研究組織(専攻)のうち、生命科学や情報・電子などの十分野ごとに、十〜三十専攻を文科省のもとにある委員会が選定し、五年間、毎年一〜五億円の研究費を補助するといいます。

 今年度の審査は、そのうちの五分野ですが、申請した百六十三大学・四百六十四専攻のうち、選ばれたのは五十大学・百十三専攻です。全大学数、全専攻数の一割に満たない一部の研究組織にすぎません。

 しかもその46%は、東大、京大など「旧帝大」といわれる七大学がしめ、二十県では選ばれた大学がありません。大学関係者から「新たなランク付けにつながる」「地方大学の切り捨て」との批判が出されているのは当然です。マスコミも「『旧帝国大や特定の私立大に偏るのではないか』と指摘されている。結果は、その通りになった」(「毎日」五日付)、「日の当たる研究を追う風潮を高め、地道な分野の研究が敬遠されかねない」(「高知新聞」四日付)と批判しているのです。

 いま、大学は、地道な基礎研究分野で水光熱費も事欠くような窮状にある一方で、政府が予算を「重点配分」した分野では「お金を使いきれない」など、研究分野間、大学間の驚くべき格差がうまれています。これをさらに広げることになります。

 選ばれなかった大多数の大学では、各種の研究資金を獲得することにも困難がうまれ、地道な分野の研究は、ますます日があたらなくなるでしょう。学生や大学院生の企業などへの就職先が少なくなることも危ぐされます。地域の経済、文化、教育に貢献している地方の大学が、これによって弱体化し、受験競争のいっそうの激化も避けられません。

 審査のやり方も「情報公開がなく選考が不明朗だ」との批判が集中しています。文科省が五分野ごとに二十人前後の有識者に委嘱し、わずか二カ月の非公開審査で選定しました。このような審査で、審査方針にある「将来の発展性もあり、高度な研究能力を有する」かどうか、「独創的、画期的な成果が期待できる」のかどうかを判別できるでしょうか。

公正な資金配分こそ

 このプログラムは、真剣に見直すべきです。いま必要なことは、大学関係予算を大幅に引き上げ、「大学教員が自由に使える教育研究費」を充実させること、政府の裁量で大学に資金を交付する現在の仕組みを、大学・学術団体の代表や有識者で構成する独立した配分機関を確立し、公正に資金配分を決める仕組みに改革することです。そうしてこそ、自由で独創的な研究による学問の発展を期待することができます。


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp