日本共産党

2001年10月18日「しんぶん赤旗」

主張

国立大学法人化

これでは教育研究が衰退する


 国立大学の独立行政法人化について、昨年七月以来検討してきた文部科学省の調査検討会議が、中間報告「新しい『国立大学法人』像について」をまとめました。今年度中に最終報告を提出し、文科省はそれをふまえて法案化します。

 その内容はわが国の戦後からの大学制度を根本的に変えるものです。

学問の自由を崩す

 国立大学の独立行政法人化は、「効率的運営」の名目で大学の予算と人員の大幅削減に道をひらき、人事や運営についても政府の関与を強めようというものです。学術研究や教育をになう大学とはまったく相いれないとの批判が、大学関係者から強く出されてきました。

 中間報告は「大学の特性に配慮しつつ国立大学を法人化する」とのべますが、その内容は独立行政法人のしくみを大学に適用するものです。マスコミも「政府と一線を画して真理を探究する大学にはふさわしくない。再考を求めたい」(「朝日」一日付社説)と批判しています。

 中間報告によると、各大学の中期目標を文科相が策定し、文科省の国立大学評価委員会(仮称)が各大学ごとに中期目標の達成度を評価します。その結果を次の中期目標や運営交付金の配分に反映させます。総務省が行う評価の対象にもなり、廃止や民営化にも道がひらかれます。

 大学の運営体制にも「民間的発想の経営手法」を導入するとしています。大学の役員や運営組織に学外者が参加するとともに、学長に経営責任をもたせ、トップダウンによる大学運営のしくみをつくるというものです。この体制のもとで教員選考などの人事も行い、教授会の権限を定めた教育公務員特例法を変える方向も示されています。

 学費は一定の枠内で大学ごとに決めるため、学部間格差が生じ、学費値上げにつながります。

 中間報告が求める大学像では、政府が求める目先の経済的目的にそった教育研究機能だけをつよめ、教授会を基礎とした民主的な大学運営を取り払うことになります。遠山文科相が「日本の大学は基礎研究ばかり偏重しがち」(「日刊工業新聞」五月三日付)、「旧来の学部自治だけではだめ」(『週刊東洋経済』九月十五日付)とのべたことにそっています。

 同時に、国立大学に効率的運営や経営努力を求めることで、大学設置者としての国の財政負担責任を弱めていくものです。

 これでは大学の基礎研究や教育は衰退を余儀なくされます。ノーベル賞を受賞した野依良治氏や白川英樹氏のような独創的研究も、自由な基礎研究の中から生まれたものです。

 中間報告の方向は、国立大学だけでなく、公立や私立をふくめ、高等教育全体への国の責任をいっそう後退させ、憲法の定める「学問の自由」と、それを保障する「大学の自治」を崩すことにつながります。

 国立大学協会も、一日に発表した会長談話で、「中間報告の内容には、学問の自由に由来する『大学の自治』を基礎に教育研究を発展させるという観点…から更に検討を要する点がある」とのべています。

憲法の精神いかして

 学術の中心である大学の発展のために政府は、教育研究条件を整備し教育研究の自由な発展を保障すべきです。大学には国民の負託にこたえた自主的創造的改革が期待されます。これが「学問の自由」を定めた憲法の精神です。私たちはこの立場から日本社会の知的基盤のいっそうの充実のために力をつくします。

 


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