
障害者のため暮らしが大変です。(トップにもどる→)
障害者の暮らしを支える制度はきわめて不十分で、抜本的な拡充が必要ですが、いまある制度をよく知り、最大限活用していきましょう。
都道府県や市町村窓口、保健福祉センターなどでよく相談して、障害者向けの制度を確認してください。また、全国組織である障害者団体などでも、いろいろな制度の紹介や相談にのってくれます。
そうした団体には、「障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会」(障全協、〇三―三二〇七―五九三七)、作業所などの全国組織である「きょうされん」(〇三―五三八五―二二二三)、精神障害者の団体である「全国精神障害者団体連合会」(全精連、〇三―五四三八―五五九一)、「日本てんかん協会」(〇三―三二〇二―五六六一)、心臓病の子どもをはじめ、特定疾患、難病の相談もできる「全国心臓病の子どもを守る会」(〇三―五九五八―八〇七〇)などがあります。また、各地の「生活と健康を守る会」との連携も大切です。
障害者手帳は、各種の支援制度・サービスの活用や、障害者枠での一般企業などへの就職活動をおこなうときにも必要です。手帳には、身体障害者手帳、知的障害者向けの手帳(名称は自治体によって異なる)、精神障害者保健福祉手帳があります。
■身体障害者手帳……対象者は、上肢、下肢、目、耳、心臓、腎臓、呼吸器などに加え、新たに肝機能障害も対象になる予定(二〇一〇年四月より。申請の開始は同年二月)です。人工肛門や人工膀胱、HIV感染者も対象です。高齢で補聴器をつけたときも、手帳の交付対象になれば障害者控除を受けられます。
申請書、指定医(各都道府県により指定を受けた医師)の診断書、顔写真、台帳付表(家族の状況などを記入)を添えて市町村の担当窓口へ提出すると、一〜二カ月ぐらいで結果が出ます。身体障害は、障害ごとに等級が一〜七級まであり、六級までの人が手帳を取得できます。
■療育手帳……知的障害者・児には、「療育手帳(自治体によって『愛の手帳』、『希望の手帳』などの名称)」が交付されます。「療育手帳」は、身体障害者手帳のように法的根拠のあるものでなく、交付対象となるかどうかの判定方法や判定区分なども、全国共通ではなく、都道府県によってさまざまです。
本人や保護者が福祉事務所か市町村窓口に申請書、台帳付表、顔写真を提出し、児童相談所や知的障害者更生相談所で障害の程度が確認されると、手帳が交付されます。国の要綱では「A」=重度、「B」=軽度、の二区分ですが、都道府県によっては、細分化して「A1」、「A2」などと区分を設けています。
■精神障害者保健福祉手帳……うつ、統合失調症、てんかんなどの疾患の人が「精神障害者保健福祉手帳」の対象者です。
市町村窓口に、申請書と医師の診断書、顔写真、台帳付表を添えて提出します。障害年金を受給している場合には、診断書の代わりに、年金証書の写し、直近の年金振込通知書または年金支払通知書、年金受給者に照会するための同意書の提出などでもかまいません。
手帳の判定は、精神保健福祉センターの判定部会(医師や精神保健福祉士で構成)でおこなわれます。他の手帳(有効期間一年)と異なり、二年間の有効期間があります。
■活用できる制度・サービスと改善の課題……障害者手帳によって活用できる支援制度・サービス等は、手帳の種類によって、また、細かくは都道府県や市町村ごとに違います。
ただし、所得税や住民税、利子などの非課税、相続税、贈与税、自動車税の控除、自治体独自の制度である公共施設利用の免除・割引、公共住宅の優先入居、公共料金の免除・割引などは、ほぼ共通しておこなわれています。地上デジタル放送対応の無料チューナーの配布は、NHKの受信料が免除されている障害者世帯も対象です。また、全国共通の制度として、JR運賃、航空運賃や高速道路の料金割引などがあります。
手帳制度には、改善すべき問題があります。再申請すると障害程度が実態に合わずに軽く判定されてしまうとか、障害が重い人しか使えない支援制度・サービス等が多くなっていることです。とくに精神障害者は、交通運賃の割引きなど使える支援制度・サービス等が、他の障害とくらべて制限されています。
また、申請に必要な診断書の発行に、一回五千円以上かかる場合がある(病院ごとに違う)ことも、大変な負担です。身体障害者には診断書の手数料を助成する市町村も多数ありますが、精神障害者には助成のない自治体があります。今後、手帳の基準やあり方を見直し、だれでも使いやすいものになる制度への改善が求められています。
障害者の医療(更生・育成・精神通院)や介助(在宅および施設入所)、福祉施設での就労など、生活を支えるための福祉サービスや事業は、現在、障害者自立支援法にもとづいておこなわれています。福祉サービスが必要になったとき、各市町村の窓口などに申請し、調査・審査を経て、支給決定(利用できる福祉サービスの内容や量)されます。内容の詳細や手続き、課題についてはQ13を参照してください。
障害年金
障害を持っている人は、一般に、就労し生活のための賃金を得ることが困難なことが多いことから、一定の所得保障をおこなうための障害年金制度が設けられています。年金のしくみ等の詳細は、年金についてのべている「? 暮らしと営業 Q2」(62?)を参照してください。
障害があるにもかかわらず、無年金者になっている人を救済する制度が〇五年からはじまりました。対象となるのは、国民年金が任意加入であった一九九一年三月以前の大学生、短大、高校および高専生、または一九八六年四月から一九九一年三月までの専修学校および一部の各種学校の学生と、一九八六年三月以前に厚生年金・共済年金等加入者の配偶者だった人で、任意加入しなかった人が対象です。
そのうち、任意加入期間に初診日があり、請求時の障害の状況が障害基礎年金一・二級に該当する人には、特別障害給付金が支給されます。〇九年度は、一級が月額五万七百円、二級が四万五百六十円です。申請により、国民年金保険料の免除を受けることができます。申請は毎年必要です。
無年金障害者たちが裁判をおこし、世論に訴えて、ようやく特別給付金制度ができました。しかし、これはあくまでも福祉的措置です。日本共産党は、年金制度の不備のために引き起こされた問題であり、障害基礎年金なみに給付金の額を引き上げる、そして年金制度の枠内で解決するべきだと主張してきました。
また、一九八二年まで国籍条項があったために無年金障害者になった在日外国人は、救済の対象になっていません。国は誤りを認めて、問題を早急に解決するべきです。
重度心身障害者(児)医療費助成制度(「マル障」、「福祉医療」などとよばれている)は、自治体が独自に重度障害者(児)の公的医療保険の医療自己負担分の一部または全額を助成する制度で、全都道府県で実施されています。外国人でも、住民登録し、公的医療保険に加入していれば、助成を受けられます。実施主体は市町村で、都道府県の制度に上乗せして手厚い助成をおこなっている市町村もあります。毎年更新が必要です。
制度発足時は、医療費自己負担分への全額助成だったものの、自治体の財政難や国の制度の変更(自立支援医療費の原則一割負担導入や入院時食事療養費全額自己負担を導入)を理由に、重度心身障害者(児)にも一割負担を導入したり、所得制限をもうけて一定以上の所得のある人を除外したり、入院時食事療養費の助成を廃止するなどの改悪が、各地でおこなわれています。
給付対象の障害者の範囲は、身体障害者手帳一・二級相当が基本ですが、内部障害にかぎり三級まで適用している自治体や、療育手帳や精神保健手帳所持者もふくむ自治体もあります。また、手帳がなくても、障害年金受給者や、特別児童扶養手当の受給者を対象にしている自治体もあります。所得制限は、老齢福祉年金に準拠するというきびしい自治体から、自立支援医療の基準を採用しているところまで、さまざまです。
日本共産党は、重度心身障害者(児)医療費助成制度を、国としての制度として確立するよう求めています。
六十五歳から七十四歳の障害者は、任意で後期高齢者医療制度に加入することができます。いったん加入しても、脱退する自由もあります。しかし、後期高齢者医療制度の加入を、重度心身障害者(児)医療費助成の受給条件としている県があり、問題になっています。後期高齢者医療制度の廃止をめざしつつ、医療保険の選択にかかわりなく医療費助成を継続するよう、県に要求する運動が求められています。
重度障害者に支給される手当で、市町村窓口に申請します。二十歳以上で、おおむね、身体障害者手帳一・二級程度および療育手帳一・二度程度の障害が重複している人、もしくはそれと同等の疾病・精神障害者が対象です。申請月の翌月分から、毎年二、五、八、十一月に各月の前月分までの手当が支給されます。月額二万六千四百四十円です。
ただし、病院または診療所に継続して三カ月を超えて入院している人や、施設などに入所している人には支給されません。また、受給するには所得制限があり、受給者の所得が所得限度額を超える場合や、受給者の配偶者・扶養義務者の所得が所得限度額以上であるときも、対象外となります。
東京都では、特別障害者手当に加えて、さらに重度である障害者世帯には重度心身障害者手当が、きびしい基準や所得制限があるものの、月額六万円支給されます。障害者の独自の手当があるかどうか、各区市町村窓口に問い合わせてください。
「住宅改修費給付事業」として、国の補助制度があります。手すりの取り付け、段差の解消、洋式便器への取り替え、などです。対象になるのは、「下肢、体幹または乳幼児以前の非進行性の脳病変による運動機能障害(移動機能障害に限定)を有する身体障害者であって、障害程度等三級以上の人」となっています。自治体独自の制度もあります。(秋山千尋)
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